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翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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政権のおもしがなくなったら、こんな判決も出るようになる

先週の土曜日に、文京区民センターで開催された、元毎日新聞記者・西山太吉(にしやまたきち)氏の講演会に行ってきました。土曜日の講演会は、前日に東京地裁の杉原則彦裁判長が、密約文書を開示するように求める、原告側勝訴の判決を受けて、西山氏が話すという講演会でした。

西山氏が勤務していて、最後は冷たく追い出された毎日新聞に、今回の判決などについて詳しく解説してある記事が掲載されていましたので、ご紹介するために、以下に貼付けました。

今回の判決、外務省と財務省の両方に対して、原告側が開示を求めている密約を示す文書を開示するように、そして、もしそれが「不存在」と言うなら、その理由を説明せよ、というものでした。また、アメリカ側にはそうした密約を示す書類が存在することも考慮して説明するように、という内容で、財務省、外務省側からすれば大変な判決となりました。

外務省、特に岡田大臣は、就任当初から密約問題に真剣に取り組む姿勢を示し、マスコミにもそれを宣伝してきました。実際に、学者など有識者を集めた有識者委員会を立ち上げ、その委員会から、2010年2月に報告書も提出されていました。しかし、それでは足りない、と裁判所が断じたことになります。

西山氏は、講演の中で、「岡田大臣が有識者委員会を設置したまでは評価できるが、彼は場を設定しただけ。人選や調査の実施は外務官僚に任せていた。元通産官僚の限界であり、アマチュア大臣だ」と切り捨てました。

一方、財務省の場合、藤井前財務相は、密約文書の開示、調査に消極的でしたが、菅直人氏が就任してから、雰囲気が一変したそうです。菅氏は財務政務官の1人を密約文書の担当にし、職員をのべ1000人も動員して探させたそうです。官僚たちを怒鳴りあげ、徹底的に調査させ、最後には職員を米公文書館まで派遣したということです。

今回の判決についてですが、国民の知る権利を守るための素晴らしい判決だったと思います。それでは、どうして今回のような画期的な判決が出たのか。それは、やはり政権交代したからだと思います。自民党政権下では、密約は存在しない事になっていました。そして、裁判所でも不存在ということになっていました。そうしないと、日米安保体制を守れないということになっていました。西山氏は、「日米安保聖域論」という言葉を使っていました。

しかし、民主党は日米安保を大切にしつつ、再考し、現実に適応させようとしてきました。岡田氏が密約問題に取り組んだのも、まさに民主党の姿勢そのものなのです。そして、裁判所でも、密約問題について画期的な判決が出ました。

日本では三権分立、司法の独立が機能している、などと言われてきました。しかし、実際には、裁判官たちは法務省傘下の官僚であり、法務省のご機嫌を損ねるような判決を出してしまえば、出世を阻害されるということで、国に有利になるような判決ばかり出してきました。それが変化しつつあります。

今回の判決から、政権交代が機能するとはこういう事なのだ、という具体例なのだということを申し上げたいと思います。

(新聞記事転載貼付けはじめ)

クローズアップ(コラム・特集)

「沖縄密約文書、開示命令 解明迫られ国側困惑」

2010年4月10日付 毎日新聞大阪朝刊(http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/)

 沖縄返還を巡る密約文書の不開示取り消し請求訴訟で国側が全面敗訴した判決は、外務、財務両省に密約文書廃棄問題の実態解明を進めるよう改めて求めた。判決は「(仮に廃棄されていれば)組織的な意思決定がされていると解するほかない」と指摘し、調査を強く促す内容になっている。外務省は6日に「外交文書の欠落問題に関する調査委員会」を設置し、文書廃棄問題の調査に乗り出したが、同調査委で廃棄問題にどれだけ迫れるか大きな課題を背負うことになった。【中澤雄大、坂井隆之】

 「欠落問題の調査が今後、極めて重要になってくる」。外務省関係者はそう語り、文書廃棄問題での今後の調査に意欲を示した。

 文書廃棄問題を巡っては、外務省設置の有識者委員会が3月9日に出した報告書で「あるべき文書が欠落し、一部は廃棄された可能性がある」と指摘。また、東郷和彦元外務省条約局長が3月19日の衆院外務委員会の参考人質疑で、「外務省の内情をよく知る人から、(01年の)情報公開法施行前に関連文書が破棄されたと聞いた。それが本当なら、外務省は文書管理の実態と今後の対応について、きちんと向かい合ってほしい」と語った。

 東郷氏はさらに、密約関連文書などを赤い箱型ファイルにまとめ、後任局長だった谷内(やち)正太郎前事務次官に引き継ぎ、当時の藤崎一郎北米局長(現駐米大使)にも文書リストを送付したと証言した。

 東郷氏の発言を受け、岡田克也外相は廃棄問題の調査委を設置し、自らトップに就いた。判決が出る前に手は打っているというのが岡田氏の認識だ。

 調査委は今後、同リストに記されながら行方が分からなくなっている文書6点の取り扱いや、ほかに欠落があるとみられる文書について、OBを含む外務省関係者から聞き取り調査を実施する予定で、今夏をめどに報告書をまとめる意向だ。谷内、藤崎両氏などキーマンからの聴取を実現し、廃棄問題に一定の結論を出せるかが焦点となる。

 廃棄問題で積極的な姿勢を示す一方で、岡田氏が控訴の可能性に言及したのは、文書の「ある」「なし」論争は決着済みとの思いがあるからだ。岡田氏は9日の記者会見で「調査を徹底したにもかかわらず、さらに『足りない』ごとくの判決だ。自信を持って(該当文書は)ないと申し上げたい」と強調した。

 密約調査は、岡田氏が昨年9月の外相就任直後に打ち出した肝いりの案件。「沖縄返還時の原状回復補償費肩代わり」密約については、外務省が設置した有識者委員会が「広義の密約に該当する」と結論付けたが、該当文書は見つからなかった。

 判決が外務省調査の不備に触れ、「歴代の事務次官、アメリカ局長、条約局長、アメリカ第1課の課長」らの聴取の必要性を指摘したことについても、岡田氏は「守秘義務をオープンにと、吉野(文六元アメリカ局長)さんについては解いた」(9日の記者会見)と述べ、調査は徹底していたと主張した。

 外務省側は裁判が結審前の2月、「間もなく出る有識者による報告書の内容を反映させてほしい」と東京地裁側に求めたが、杉原則彦裁判長は「待つ気はない」と語り、調査結果は裁判に取り込まれることはなかったという。

 有識者委員だった波多野澄雄筑波大教授は「判決は文書の証拠認定や不存在とする被告側の立証責任についてだいぶ無理を言っている印象だ。控訴審が行われるとすれば、報告書の中身を反映させてほしい」と指摘。岡田氏も控訴すれば有識者委の報告書を基に主張を展開するとみられる。

 ◇「米の文書、どういうものか説明を」裁判長が積極的指揮
 裁判では杉原則彦裁判長(53)が積極的な訴訟指揮をした。昨年6月の第1回口頭弁論で原告側に対し早速、密約を認めた吉野文六・元外務省アメリカ局長を証人として申請するよう勧めた。「米側に文書がある以上、日本にもあるはずだ」との原告主張についても「理解できる」との見解を明示。国側には「文書がなぜないのかを合理的に説明する必要が被告にある。『密約はない』と言うのであれば、米の文書はどういうものなのか十分な説明を希望する」と迫った。その後も国に対し、沖縄返還交渉での経過報告と、意思決定の具体的な方法について説明を求め、外務省内からはほどなく「厳しい判決を覚悟している」との声が漏れ始めた。

 杉原裁判長は81年判事補任官。大蔵省課長補佐や最高裁経理局主計課長、同調査官などを経て、06年4月に東京地裁部総括判事となり、行政訴訟を担当している。

 文書開示関連の訴訟では07年12月、市民団体が日韓国交正常化に関する公文書開示を外務省に求めた訴訟で、同省が1年8カ月たっても大半の公文書の開示・不開示を決定しなかったことについて「必要な措置を怠った」と違法認定。06年7月には警視庁の捜査報償費の帳簿の開示を巡る訴訟で、捜査費の精算をした公務員の氏名などの一部開示を命令。情報公開訴訟で画期的な判決を出していた。

 6日午後4時、東京地裁3階の会議室に原告、被告双方と裁判官らが集まった。前日、原告団が判決言い渡しのカメラ取材を認める要望書を提出したことを受け、裁判所の判断を伝える場。カメラ取材は従来通り冒頭撮影に限ったものの、杉原裁判長はこう述べ、3日後の判決内容に自信を見せた。「合議を尽くして判決で全部答えた。判決文をじっくり読んでほしい」。居合わせた原告の一人は「期待できる判決になると確信した」という。【臺宏士】

(新聞記事転載貼付け終わり)
by Hfurumura | 2010-04-12 19:21
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