人気ブログランキング | 話題のタグを見る

翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
全体
スポーツ
社会
アメリカ政治
宣伝
国際政治
pivot to Asia
中国政治
福島
日本政治
個人的なこと
学問
未分類
以前の記事
2013年 11月
2013年 10月
2013年 07月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
お気に入りブログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


政治主導に関する反省と批判

自民党の「『政治主導』の在り方検証・検討プロジェクトチーム」(座長・林芳正政調会長代理)が政治主導についての報告書を出したそうです。以下の2本の新聞記事を合わせて読むと、その内容がより分かります。朝日新聞の記事では、自民党の反省を強調して書いてあり、産経新聞の記事では、民主党の現在のやり方に対する批判が書かれています。

その内容を、箇条書きでまとめると以下のようになります。内容は私が分かりやすいように書き換えています。

①官僚が作った内閣提出法案について、自民党に説明させるのを官僚任せにしてしまうことがあった(自民党の反省)

②「族議員」が予算形成を主導したために増やしたり、減らしたりが柔軟にできなかった(自民党の反省)

③政務次官などがどんな質問にもきちんと答えられるほど仕事も勉強もしていなかったために会見に出たくなかったので、各官庁の事務次官が、偉そうに定例記者会見を行うのを許した(自民党の反省)

④「政策決定の内閣への一元化」となると、立法府である議会とそこのアクターである政党がやるべきことが減ってしまっている(民主党への批判)

⑤「政策決定の内閣への一元化」と言いながら、民主党は小沢幹事長が入閣していないので、党と政府でねじれが起きているし、二元的になっている(民主党への批判)

⑥情報を握っていた官僚たちが情報から切り離されて困っていますよ(民主党への批判)

⑦陳情を幹事長が全部取り仕切るのは、恣意的な取り扱いが出て、公平性が保てない(民主党への批判)


これらの反省や批判のうち、②と④は重要であると考えます。それは、与党と政府との関係について書かれているからです。これから政権交代が起こりやすくなるのですから、政党の政府の関係をクリアにしておいた方が良いと思います。

族議員とは、特定の政策分野に関しての専門知識を持ち、業界団体とのパイプが太く、該当する官庁の官僚たちにも影響を与えることができる議員のことです。農林族、道路族などが有名です。彼らは、予算を組む時期になると、業界と官僚から「予算を減らさないためにガンバッテ欲しい」という願いを受け、主に自民党の政務調査会と総務会で活動します。ここで、自分が代表する分野の予算が増やされること、もしくは減らされるにしてもその額を小さくすることのために活動します。その見返りに、業界からは票や政治資金を、官僚からは知識を受け取ります。

行財政改革の必要性は、自民党政権下の1970年代から声高に叫ばれてきました。族議員はそれに対して、「他のところはどうでも良いが、自分の分野の予算は必要だから増やして欲しい(減らさないで欲しい)」と主張してきました。その結果、予算総額がカットされることは少なく、族議員のいない分野や弱い分野は予算を削られてきました。

民主党は政調を廃止しました。これは族議員を作らないようにするためでした。これに反対の声も多かったのですが、民主党内に族議員ができてしまってはいけないので、正しい措置だったと思います。また、党と政府が分裂しやすい状況を生み出していましたので、この点でも評価ができると思います。

④の問題は、これはその通りなのです。元参議院議員で小沢幹事長の側近だった、平野貞夫氏から直接話を伺ったのですが、小沢氏の副総理としての入閣は決まっていたそうです。しかし、「小沢支配が強まる」とか「政治とカネの問題がある」ということで、党内からの批判があり、入閣は見送りになったそうです。

これは本当におかしい話で、政府と与党の一元化のために小沢幹事長が入閣しようとしたら、それは駄目だと批判しておいて、それをしなかったら、「一元化が出来ていないじゃないか」と言って批判しているのです。これは小沢氏に対する個人攻撃が形を変えて行われているのと同じです。

両党が、自民党のプロジェクトチームが発表する報告書の内容を吟味し、良いものは実行するようにしてもらいたいと思います。

(新聞記事転載貼付けはじめ)

「与党時代「官僚主導」だった… 自民PT反省の報告書案」

2010年5月22日付 朝日新聞電子版

 「官僚主導」と呼ばれても仕方のない状態に陥ることもあった――。自民党の「『政治主導』の在り方検証・検討プロジェクトチーム」(座長・林芳正政調会長代理)が21日、与党時代の反省を盛り込んだ報告書素案をまとめた。

 素案のなかの「我が党の政権運営の総括」の章では、「政務三役が自ら責任を持って行うべき与党・政府間の政策調整を、往々にして官僚任せにしてしまうことがあった」などと明記した。

 また「具体的なあるべき姿」の章では、「予算編成過程がいわゆる『族議員』主導の硬直化したものと化していたとの反省に立つ」「記者会見は各省庁の政策責任者たる政務三役が原則として行うべきもの」としている。

 報告書は参院選マニフェストの取りまとめに合わせて公表する方針。(蔭西晴子)


「民主は「誤った政治主導」」

2010年5月22日付 MSN産経ニュース

 自民党の「政治主導の在り方検証・検討プロジェクトチーム」(座長・林芳正政調会長代理)は21日、民主党の政権運営を「誤った政治主導」と批判すると同時に、自民党の与党時代を反省する提言案をまとめた。今国会中に最終案を決定、政権運営について参院選の争点にしたい考えだ。

 民主党が掲げる「政策決定の内閣への一元化」について「三権分立との整合性に問題がある」と指摘。小沢一郎民主党幹事長が入閣していない点を取り上げ「不完全な一元化であるばかりか、逆に幹事長に権力が集中するシステムになっている」と分析した。

 事務次官会議の廃止は「官僚が職務遂行に必要な情報を得られなくなっている」と問題視。陳情制限にも「公務の公平性・公共性の観点から憲法の趣旨に反する」と記した。

(新聞記事転載貼付け終わり)
by Hfurumura | 2010-05-23 11:44 | 日本政治
<< 普天間基地移設問題で考えたこと 民族指導者の敗北は世の常か >>