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翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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アフガニスタンは魅力的な国?

現在、アメリカは二つの戦争を戦っています。それはイラク戦争とアフガニスタン戦争です。しかし、正確に言うと、これらは
戦争ではありません。戦争とは国家間における武力行使による紛争の解決の手段です。現在、イラクもアフガニスタンもアメリ
カと戦っている訳ではありません。アメリカは両国政府と協力して、イスラム教過激派組織とテロリズムを掃討すべく、軍事
活動を行っています。しかし、テロリズムの根絶はうまくいっていないのが現状です。

アメリカ軍が多くの軍隊(ヴェトナム戦争時に比べれば人数はかなり少ないですが)を投入しているアフガニスタンで、希少
金属の鉱脈があり、その総額は92兆円に上るという報道がなされました。希少金属は精密機械の部品として大変重要であり、
これからの経済活動を支える重要物資です。アフガニスタンでは、石油ではなく、金、鉄などの他、リチウムが大量に埋蔵され
ているとのことです。

本日の朝日新聞でも書かれていますが、鉱脈発見はめでたい面もありますが、資源を巡り、タリバン勢力、そして中国がアメリ
カと相争い、地域が不安定化する懸念があります。それではせっかくの希少金属の鉱脈発見もその意義が減少してしまいます。

以下のアフガニスタンで鉱脈発見の記事を読みながら、いろいろと考えました。まず、なぜこの時期にこのニュースがアメリカ
からやって来たのかということです。アメリカの地質調査研究所がソ連の残した調査結果を利用して鉱脈を発見したとあります。
と言うことは、アフガニスタンには天然資源が豊富にあるということは何となくでも知られていた可能性があります。それを
わざとらしく世紀の大発見のようにこの時期に発表するのは、何か理由があると考えられます。

それは、アメリカ国民に対して、アフガニスタンにアメリカ軍を増派することは意味があることですよ、アメリカ企業が鉱脈の
開発を主導できますよ、だからアフガニスタンに軍隊を置くことは重要ですよ、というアメリカ政府のアピールなのです。
オバマ大統領はその平和外交を主張するかっこいい姿とは裏腹に、タリバンの掃討を目的としてアフガニスタンへの米軍の
増派を決めています。しかし、アメリカ国民には厭戦気分が蔓延しています。毎日、誰かしら戦争で死んだというニュースを
7年近くも聞かされ続けているのです。いい加減、うんざりしています。

しかし、このような「グッドニュース」を聞けば、「アフガニスタンの人たちのためにもなるし、アメリカ企業にとっても
チャンスになる」と喜ぶアメリカ国民も多いように思われます。

また、今回のニュースを伝える下の記事では、アメリカと中国の資源争いを心配しています。しかし、それは一面的な見方で
あると考えます。中国とロシアは中央アジア諸国と上海協力機構(SCO)を構成して、協力関係を保っています。そして、この
機構のおかげで、中国は国内の西部内陸部を超えてユーラシア大陸最深部の開発にも携わっているのです。

アメリカと中国はG2という枠組みで、これから世界を動かしていく、と報道されることも多いのですが、中国側はこれを迷惑だ
と感じているようです。中国は国力は急激に伸びてはいますが、まだまだアメリカと伍していくほどではありません。それなの
に、世界のリーダーとして行動するようにアメリカから枠をはめられてしまうのは、これからの発展戦略を狭めてしまうことに
なります。

今回、鉱脈が発見されていざ開発されたとしても、それの運び出しや流通に関して、アメリカ一国だけではどうにもなりません。
ですから、アメリカとしては中国を引き入れたいのです。もっと言うと、アフガニスタン国内のタリバン勢力の掃討に、中国の
協力を得たいと考えているのです。だから、魅力的な天然資源がある国アフガニスタンというアピールをするために以下のよう
な報道をしたのだと思います。

中国が食いつくかどうか気になるところです。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

「アフガンに巨大埋蔵鉱脈 金など92兆円規模、米調査」

2010年6月15日付 朝日新聞電子版

 【ワシントン=望月洋嗣】米紙ニューヨーク・タイムズは14日、アフガニスタン各地に1兆ドル(約92兆円)規模の鉱物
資源が埋蔵されているとする米国防総省の調査結果を報じた。鉄、銅、金のほか、リチウムなどの希少金属も大量にあり、経済
復興の要になると期待される一方、資源確保をめぐって反政府武装勢力タリバーンの攻勢が激化するとの見方もある。

 同紙によると、2004年、アフガンの鉱物資源を復興に役立てようと考えた米国の地質学者が、旧ソビエト連邦が侵攻当時
の1980年代に作製した鉱脈図を発見。米地質調査所(USGS)がこれを元に、アフガン全土の7割以上を航空機で調査し、
実際に多くの鉱脈があることをつきとめた。

 鉄や銅、コバルトの巨大な埋蔵地のほか、アフガン南部では大規模な金の鉱脈が確認され、中部ガズニ州付近の塩湖では
リチウムの巨大な埋蔵地がみつかった。リチウムの埋蔵量は、世界有数の産出地として知られるボリビアに匹敵するとみられ、
米国防総省内には「アフガンが『リチウムのサウジアラビア』になる」との見方もあるという。超伝導物質の原料になる
ニオブも大量にあるとみられる。

 これらのデータをもとに、アフガンの経済復興策を担う米国防総省の特別チームが昨年、鉱物資源の経済規模を「1兆ドル
近く」と算出。結果はゲーツ国防長官やアフガンのカルザイ大統領にも報告され、米政府がアフガン政府に対し採掘権管理の
指導などを始めている。鉱業の歴史がないアフガンでは、採掘技術の習得や社会基盤整備に時間がかかるとされるが、数年後に
は一部で操業開始できる見通しだという。

 アフガンの治安と経済の回復を最重要課題とするオバマ政権にとって、膨大な鉱物資源の発見は明るいニュースだが、
「もろ刃の剣」(同紙)だとの指摘も出ている。

タリバーンが資源確保を目的に支配地域の拡大を強めたり、鉱物資源が豊富な地域の指導者と中央政府との間で「資源を
めぐる争い」が頻発したりする事態が予想されるためだ。採掘権の認可をめぐるアフガン当局者の汚職増加や環境破壊も懸念
される。同紙は、アフガンで銅山の採掘権を持つ中国が他の資源獲得に乗り出し、米国と対立しかねないとの米政府高官の見方
を紹介している。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

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by Hfurumura | 2010-06-15 14:08
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