人気ブログランキング | 話題のタグを見る

翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
全体
スポーツ
社会
アメリカ政治
宣伝
国際政治
pivot to Asia
中国政治
福島
日本政治
個人的なこと
学問
未分類
以前の記事
2013年 11月
2013年 10月
2013年 07月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
お気に入りブログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


第46回衆議院議員総選挙その他に考えたこと②

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 今回の投票率は戦後最低ですが、2003年の選挙とよく似た数字です。2003年の選挙では、初めて各党がマニフェストを発表して戦い、民主党と自由党の合併の効果がどう出るかが試された選挙でした。2005年や2009年の選挙のようには盛り上がらなかった選挙と言えます。この2003年の結果と選挙結果を比べてみたいと思います。まず、2003年と2012年のそれぞれの総選挙の結果を掲載します。

・2003年
●自民党;小選挙区:168(約2608万、得票率43.85%、議席率56.0%)・比例:69(約2066万、得票率34.96%、議席率38.3%)→237議席(49.4%、-10)
●公明党;小選挙区:9(約88万、得票率1.49%、議席率3.0%)・比例:25(約873万、得票率14.78%、議席率13.9%)→34(議席率7.1%、+3)
●保守新党;4(約791万、得票数1.33%、議席率1.3%)→4(議席率0.8%、-5)
●与党小計;小選挙区:181(約2776万、得票率46.67%、議席率60.3%)・比例;94(約2939万、得票率49.73%、議席率52.2%)→275(議席率57.3%、-12)
●民主党;小選挙区:105(約2181万、得票率36.66%、議席率35.0%)・比例72(約2209万、得票率37.39%、議席率40.0%)→177(議席率36.9%、+40)
●日本共産党;小選挙区:0(約483万、得票率8.13%、議席率0%)・比例:9(約458万、得票率7.76%、議席率5.0%)→9(議席率1.9%、-11)
●社会民主党;小選挙区:1(約170万、得票率2.87%、議席率0.3%)・比例:5(約302万、得票率5.12%、議席率2.8%)→6(議席率1.3%、-12)
●無所属の会;小選挙区:1(約49万、得票率0.84%、議席率0.3%)→1(議席率0.2%、-4)
●自由連合;小選挙区:1(約9万7千、得票率0.16%、議席率0.3%)→1(議席率0.2%、±0)
●諸派;0(約5万1千、得票率0.09%、議席率0%)→0(議席率0%、-2)
●無所属;11(約272万、得票率4.58%、議席率3.7%)→11(議席率2.3%、+6)
●野党小計;小選挙区:119(約3173万、得票率53.33%、議席率39.7%)・比例:86(約2970万、得票率50.27%、議席率47.8%)→205(議席率42.7%、+17)
●合計;小選挙区:300(約5950万)・比例:180(約5910万)

・2012年
●自民党;小選挙区237(約2564万、得票率43.0%、議席率79%)・比例:57(約1662万、得票率27.6%、議席率31.6%)→294(議席率61.02%、+176)
●公明党;小選挙区9(約88万、得票率1.4%、議席率3%)・比例:22(約711万、得票率11.8%、議席率17.22%)→31(議席率6.45%、+10)
●民主党;小選挙区27(約1359万、得票率22.8%、議席率9%)・比例30(約962万、得票率15.9%、議席率16.6%)→57(議席率11.8%、-173)
●維新;小選挙区:14(約694万、得票率11.6%、議席率4.66%)・比例:40(約1226万、得票率20.3%、議席率22.22%)→54(議席率11.2%、+43)   
●未来:小選挙区:2(約299万、得票率5%、議席率0.66%)・比例:7(約342万、得票率5.6%、議席率3.8%)→9(議席率1.8%、-52)
●みんな:4(約280万、得票率4.7%、議席率1.3%)・比例:14(約524万、得票率8.7%、議席率7.7%)→18(議席率3.7%、+10)
●共産;小選挙区:0(約470万、得票率7.8%、議席率0%)・比例:8(約369万、得票率6.1%、議席率4.4%)→8(議席率1.6%、-1)
●社民;小選挙区:1(約45万、得票率0.7%、議席率0.33%)・比例:1(約142万、得票率2.3%、議席率0.05%)→2(議席率0.41%、-3)  
●大地;小選挙区0(約31万、得票率0.5%、議席率0%)・比例:1(約34万、得票率0.5%、議席率0.05%)→1(議席率0.2%、-2)
●国民:小選挙区:1(約11万、得票率0.1%、議席率)・比例:0(約7万、得票率0.1%、議席率)→1(議席率0.2%、-2)
●新党日本;小選挙区:0(約6万、得票率0.1%、議席率0%)→0(議席率0%、-1)   
●改革;比例:0(約13万、得票率0.2%、議席率0%)→0(議席率0%、±0)
●諸派;小選挙区:0(約10万、得票率0.1%、議席率0%)・比例:0(約21万、得票率0.3%、議席率0%)→0(議席率0%、±0)
●無所属;5(約100万、得票率1.6%、議席率1.66%)→5(議席率1.04%、-4)
●合計;小選挙区300(約5957万)・比例180(約6018万)

 投票率がほぼ同じなので、得票数もほぼ同じとなります。自民党は、2003年の総選挙において、小選挙区で約2608万票、比例で約2066万票を獲得しましたが、2012年は、小選挙区は約2564万票、比例で約1662万票を獲得しました。自民党は比例でやや弱いという結果がこれで分かります。これは、自民党の議員たちや候補者たちが選挙区で一定の支持を得るべく、努力をし、それが効果を上げているということです。しかし、党としては、そこまでの支持を得ていないということであり、執行部や党総裁ではなく、個人の努力に負っていることがよく分かります。ですから、安倍総裁や石破幹事長に笑顔がなかったのはうなずけます。今回の選挙では、新人や元職の頑張りには小選挙区の有権者たちは応えましたが、党全体とまた別ということになります。これは、決して、安倍氏や自民党の政策全体を有権者が支持していないことを示しています。

 民主党は、今回、小選挙区で約1359万票(2003年に比べて、-800万票)、比例で962万票(2003年に比べて、-1300万票)という結果に終わりました。比例では強さを見せていたのに(比例復活当選につなげることができた)、これでは、民主党の壊滅的大敗も当然の結果と言えます。小選挙区で1350万票を獲得しながら、比例で962万票しか獲得できなかったことは、これからその原因を探る必要がありそうです。一つ考えられるのは、民主党を支持した連合の組合に加盟している人たちが、小選挙区では民主党候補に投票しながら、比例では日本未来の党や他の政党に投票したのではないかということです。連合傘下の組合員たちは、民主党の姿勢に疑問を持ちながらも、組合の指示通り、小選挙区では民主党候補に投票しながら、比例では民主には投票しなかったということだと思われます。民主党はこれまで比例の受け皿として生き延び、党勢を拡大してきました。しかし、3年間の与党生活の総決算が有権者からの罰を受けるという結果に終わってしまいました。

 前回も書きましたが、今回の選挙結果は、獲得議席の面では、自民党の大勝利でした。しかし、安倍総裁をはじめとする執行部はこの数字の持つ強さをそのまま発揮することに躊躇していると言えましょう。それは、小選挙区という制度が、有権者に梃の原理に似た、大きな力を与えているからです。安倍氏率いる自民党(公明、維新。おそらくみんな)連立政権は、その大きな議席数ゆえに、オールマイティのように見えます。当然、アメリカが作った政権ですから、彼らは大きな要求をしてくるでしょう。憲法改正とTPP,日銀法の改正で、じゃぶじゃぶ資金を市場に流して、それを戦費とする日中衝突、そして増税です。しかし、これらはなかなかに難しい課題です。一つを片づけるだけで、一内閣が必要なほどのものです。安倍氏は日銀法の改正と憲法改正を目指しているようです。しかし、これらにも大きなハードルがあり、かつ国民がそっぽを向いたら、今度は、自民党が壊滅するほどの打撃をこうむり、自分が針のむしろに座らされることになります。

 民主党は、現在の執行部系(凌雲会と花斉会系)だけが残った、骨組みだけの状態になりました。しかし、民主党は結党当時の議席程度は残りました(残されました)。また、ここから若手を育て、捲土重来を期すことになります。アメリカは、第二自民党としての民主党に期待しているでしょうから、これから、民主党の党勢は少しずつでも回復していくと考えられます。

 今回の選挙を通じて、期待を予測や判断に入れてはいけないこと、組織や団体は選挙では強みを発揮するといったことを学びました。また、絶頂は転落の兆しを既に含んでいること、壊滅は回復への兆しを含んでいることも学びました。持久戦、これあるのみです。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


by Hfurumura | 2012-12-19 00:44 | 日本政治
<< 日本には負担はしてほしいけどあ... 第46回衆議院議員総選挙その他... >>