翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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ブログの会社を引っ越しました

古村治彦(ふるむらはるひこ)です。

この度、ブログ「古村治彦の酔生夢死日記」のブログの会社を、エキサイト・ブログからライヴドア・ブログに変更することにしました。その理由は、ある人にライヴドア・ブログに引っ越すことを勧められたからです。

これまで、更新を怠ってきましたが、これからは心機一転、定期的に更新してまいりたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

新しいURLは、「http://suinikki.blog.jp/」となります。
※新しいブログへは、こちらからもどうぞ。

古村治彦拝
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# by Hfurumura | 2013-11-14 15:10

フランシス・フクヤマ著『政治の起源』を宣伝します

本日は、フランシス・フクヤマ著『政治の起源』(会田弘継訳、講談社、2013年)をご紹介いたします。本書は、『歴史の終わり』で有名になったフランシス・フクヤマの畢生の大事業である政治秩序の起源から発達を探った研究成果です。

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私は、今回、第5章から第14章の下訳を担当しました。下訳というのは翻訳の世界では良くあるものなのですが、翻訳者の為に、事前に翻訳をしておきまして時間の節約を行うというものです。今回、下訳とは言え、フクヤマの新刊の翻訳に関わることができたことは大変に光栄なことであります。

皆様には是非、手に取ってお読みいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

今回は、欧米の新聞などに掲載されました書評を皆様にご紹介いたします。参考にしていただけましたら幸いです。

※ウェブサイト「副島隆彦の論文教室」に掲載した宣伝文へは、こちらからどうぞ。



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①エコノミスト誌 2011年5月31日

http://www.economist.com/node/18483257

「歴史に関する諸理論」

11世紀にカトリックは聖職者に対して禁欲を強制したが、これが他の地域に先駆けてヨーロッパに法の支配を生み出した。その理由は何であろうか?その答えは、フランシス・フクヤマの刺激的な新刊の中にある。禁欲主義はローマ法王グレゴリー七世によって制度化された重要な改革の一つであった。禁欲主義によって、教会法は発達し、王と言えど協会法には従わねばならないという考えが生み出されたのだ。グレゴリー七世は、神聖ローマ皇帝ヘンリー四世を屈服させたことで名前が残っている。カノッサにおいてヨーロッパで最強の人物ヘンリー四世を自分の前で跪かせて懺悔させたのだ。

禁欲主義は、カトリック教会名部の腐敗とタダ乗りに対する戦いにおいて重要であった。この2つは世襲では必ず起こるものであった。禁欲主義改革はカトリック教会が「近代的で、階層的、官僚的で法に支配された機関」と呼ぶものへと進化するための道徳的進歩をもたらした。この「近代的で、階層的、官僚的で法に支配された機関」は、精神面での権威を確立した。これが世俗国家の確立のための土台となるルールを生み出すことになった。

サミュエル・ハンチントンは40年以上前に政治秩序に関する古典的名作を書いた。フクヤマはハンチントンの生徒だった。フクヤマは、政治秩序起源の研究を小規模の狩猟グループから部族への変化の研究から始めた。それがやがて「リバイアサンの登場」、つまり強制力を持つ国家へと変化していった。農業を基礎とする社会の複雑さが増す中で国家は登場した。更には、規模が拡大し続けていった戦争を遂行するために組織の面の必要性からも国家は生まれたのだ。

フクヤマの知識の豊富さには目を見張るものがある。加えて、彼は中国、インド、イスラム世界、ヨーロッパ各国を旅し、良い政治秩序の主要な構成要素を探し求め、それぞれの地域でどのようにして、そしてどうして政治秩序が生まれ、消えていったかを調査した。
フクヤマは、政治秩序の重要な3つの要素として、強力な国家、社会全体に対する法の支配、支配者の行動を制限する説明責任を挙げている。

フクヤマは史上初の近代国家は、紀元前221年に成立した中国の秦であると確信している。秦が生み出した多くの管理メカニズムはそれから500年間を通じて発達した。中国全土が小国に分立し、それぞれが相争いながらも合従連衡をするという東周時代まで続いた。このような管理メカニズムには、徴兵された軍隊とそれを率いる実力主義で昇進した(貴族中心ではない)指揮官、洗練された徴税システム、そして家族のつながりではなく才能を重視して採用される官僚たちが行政を司るといったことが含まれていた。秦は更に改革を勧め、全体主義に近い、その前身とも言うべき独裁政治制度を確立しようとして、社会の全ての部門に非情な変革を強制した。

秦の急進主義は結局のところ、秦の滅亡を誘発し、その後、漢王朝が取って代わった。韓王朝は秦よりも長く続いた。漢は貴族エリートたちと妥協し、復活した儒教の正当性を認めた。漢は400年以上続いた。しかし、フクヤマが「悪帝問題」と呼ぶ問題と人間の思考傾向そのものによって滅んだ。富、力、地位を与える基準に親族関係を据えたことで漢は滅んだのである。フクヤマは次のよう書いている。「中央集権的な国家の強さと家族主義のグループの強さとの間には負の相関関係がある。部族主義は、近代国家が生み出された後でも、政治組織の決まった形として存続した」

本書の大部分のページで描かれているのは、強力な統一国家を目指す世界各地の支配者たちの間の争い(軍事的な支配がこの当時の支配者たちの目的であった。それは技術の発達よりも征服ことが豊かになる方法であったからだ)と、支配者たちと親族集団との間の争いのことである。親族集団は支配者たちが目指す統一国家を崩壊させる力を持っていた。中国の歴代皇帝たちは、宦官を高い地位に就けることを好んだ。8世紀のアッバース朝からエジプトのマムルーク朝とオスマントルコまで、イスラムの歴代支配者たちは身内優先の贔屓と部族間の争いを減らすために軍事奴隷制度を確立した。

マムルークは一代限りの貴族で、スルタンにだけ忠誠を誓った。ジャニサリーはオスマントルコ帝国の軍事奴隷の中のエリート部隊であったが、結婚は認められなかった。しかし、2つの制度とも空洞化していった。それはマムルークもジャニサリーも利益団体に変質し、彼らがそれを守ることを目的にして創設されたはずの中央集権化した国家を滅亡させるだけの力を蓄える結果となった。縁故主義が再び姿を現したのである。

フクヤマは、そこまでの絶対王制ではなかった一七世紀のフランスと内戦と1688年に名誉革命が起きたイギリスとの間で興味深い比較研究を行った。イギリスは世界で最初の望ましい政治秩序の構成要素が結合した場所である。デンマークがそれに続いた。政治秩序の構成要素とは、強力な国家、法の支配、そして説明責任の三つである。フランスが抱えていた問題は、王が貴族たちの法的特権に挑戦する自信を十分に持っていなかったことであった。しかし、王も貴族も農民たちと勃興しつつあった商人たちに対する法の支配の適用は拒絶する点で一致していた。農民も商人も徴税を通じて国王が戦争に必要としていた資金を提供していた。その当時のイギリスは民主政治体制と言えるものではなかったが、慣習法の発達、立憲君主制のための政治的条件の確立、経済発展によって社会全体で説明責任が確立されていた。

この第一巻目はフランス革命までを取り上げたものだ。第二巻目はそれから現在までを取り上げるもので執筆中だそうだ。この一巻目の内容は、私たちの近代国家と近代国家の成り立ちの理解にとって重要なものを提供してくれる。例えば、中国には中央集権化した賢明な官僚たちが存在するが、法の支配はまだ弱く、説明責任という考え方もない。フクヤマは、毛沢東という存在が、中国は未だに「悪帝」問題から免れられないでいることを示していると主張している。一方、インドの国家は弱体であるが、中国に比べて説明責任は確立され、法律も整備されている。

フクヤマはまたわたしたちにこの春に起きたアラブの春が政治秩序に関する、彼の3つの試験に合格しているかどうかの尺度を与えてくれる。テストの成績は良くはなかったが、落第というものではなかった。フクヤマは今でも私たちに俯瞰図を与えてくれる人物である。彼は私たちに「歴史の終わり」という大きな考えを提示した。しかし、彼は同時に細かい点にも目配りをしている。政治理論の本というととかく難しくて読み進めるのも大変だが、この本はそうではない。

(終わり)

②ガーディアン紙 2011年5月12日

http://www.theguardian.com/books/2011/may/12/origins-political-order-francis-fukuyama-review

「書評:フランシス・フクヤマ著『政治の起源』」

デイヴィッド・ランシマン(David Runciman)筆

秩序だった、活発な活動を行う社会を形作るのは要素とは何か?フクヤマはこの問いに答えを持っているのか?

フランシス・フクヤマはこれからも常に『歴史の終わり』の著者として知られていくだろう。『歴史の終わり』という本を書いたことで、フクヤマには政治的な楽観主義者という評判が付いて回る。「フクヤマは、歴史がその辿るべきコースを辿っていけば全てが民主政体にたどり着くと確信しているのだ」というのである。実際のところ、フクヤマは皆さんが考えているよりもずっと悲観的な思想家である。常に何か悪い方向に行くのではないかと考えている。『歴史の終わり』は1992年に出版された。綺麗な装丁の本ではあったが、1989年に出された「歴史の終わり?」論文よりもだいぶ中身が暗いものになっていた。『歴史の終わり』は、フクヤマの師の一人で、シカゴ大学の哲学教授で保守派のアラン・ブルームの影響を色濃く反映していた。ブルームは、アメリカ社会が知的な相対主義とポップカルチャーの海に沈みつつあるとかなえた。そして、フクヤマは、1989年以降の民主政体の勝利もまたそれらによって脅かされると考えた。イデオロギー上の激しい戦いがなくなったことで、人々にとって政治は関心事ではなくなるだろうというのであった

フクヤマの新刊は彼のもう一人の師である、ハーヴァード大学の保守的な政治学者であったサミュエル・ハンチントンの影響を強く受けている。ハンチントンは『文明の衝突』によって世界的に知られている。しかし、彼の主要な関心は政治秩序にあった。政治秩序はどのように構築され、どのように崩壊するのかということに彼は関心を持った。ハンチントンは、より良い秩序を持つ社会に至る道筋には2つの危険なものが存在すると考えていた。より良い秩序に到達できない理由は、社会が血なまぐさい闘争と内戦が起きる条件を超越できないことと、ある型に固執して、新たな脅威や挑戦に対処できないことである。フクヤマはこの枠組みを民主的な秩序に関する問題に適用している。いくつかの社会では民主的で安定した秩序に到達できるのに、貴族政に留まる社会があるのはどうしてだろうか?そして、民主政治体制は直面する新たな脅威や挑戦に対処できるのであろうか?

最初の質問に答えるために、フクヤマは人間社会の起源にまで遡る。これを人類以前の歴史と呼ぶのはやり過ぎだと思われる。最初の数ページは猿のことが書かれ、それから初期人類の物語が書かれている。人類は常に緊密な関係を持つグループに組織化されている。ルソー流のパラダイスなど存在しなかった。精神的に自由な個人が原始的な森の中で自由に暮らしているなどと言うことはなかった。問題は最初の人類社会が人々の緊密過ぎる関係の上に成り立っていたということである。これらは基本的に親族関係を基にしたグループであり、フクヤマが「いとこたちの暴政」と呼ぶ状態を生み出した。人間は親族のためなら大体のことをやる。そして、親族でない人間に対してもたいていのことをやる(レイプ、強盗、殺人)。これが世界でいつも起きている争いから、大量の人間が死亡する規模な戦争までに共通する理由となる。

親族関係の陥る罠から抜け出す方法は国家(フクヤマは中央集権化した政治的権威と呼んだ)を作ることである。これには家族のしがらみを打ち破る必要があった。国家はフクヤマが考える政治秩序の基礎となる3つの柱の一つである。政治秩序にとって強力な国家だけでは十分ではない理由は、政治的な権力だけでは親族関係がもたらす問題を解決できないからだ。それどころか、政治権力が親族関係の利益のために使われてしまうことになる。
強力な支配者は自分の力を親族の利益のために使用する。このような現象は古代世界から現在のリビアまでを考えてみれば理解しやすい。従って、国家の統治には法の支配が必要となる。法の支配によって政治権力と腐敗には制限が加えられる。しかし、法の支配自体が政治秩序を不安定化させることもある。それは必要な時に国家が決定的な行動を取る能力を削いでしまうこともあるし、非国家組織に過度の自由裁量を与えてしまうこともあるからだ。よって、第三の原理である説明責任を負う政府が必要となるのだ。これは私たちが民主政治と呼んでいるものだ。民主政体では強力な国家は維持されるが、人々は支配者が間違いを犯した場合に彼らを交代させることができる。

フクヤマは私たちが政治秩序の3つの原理をそれぞれ別のものであり、別々に機能を果たすことができるものとして扱い過ぎていると考えている。もしくは、私たちは民主政体を賞賛するが法の支配がなければ社会の分裂を深めるだけだということを忘れている。また、私たちは法の支配を賞賛するが強力な国家がなければ政治的な不安定をもたらすことになることを忘れている。しかし、フクヤマは社会全体が同じ間違いを犯すとも考えている。フクヤマは良い政治秩序と「まあまあ良い」政治秩序との間を区別している。「まあまあ良い」政治秩序は政治秩序の3つの原理のうちの1つか2つが実現し、安全であるという幻想が存在する時に成立する。例えば、古代中国で強力な、中央集権的な国家が誕生したのは、西洋よりも早かった。国家が成立した理由は、長年にわたって続く内戦問題と戦うためであった。しかし、中国に誕生した国家は強力過ぎた。国家は領主を打ち倒したが、同時に初期市民社会や説明責任という考えを壊してしまった。従って中国は政治秩序確立に関しては西洋に先行していたが、それがまた遅れを生み出したのだ。それは、強力過ぎる権力はすぐに集権化した。そして、フクヤマはこれが現在の中国政治の独裁的な側面の理由であると確信している。


もう一つの国家はうまくいった部分とうまくいかなった部分があった。その国はハンガリーである。13世紀、イギリスでマグナカルタが成立して7年後、ハンガリーにも独自のマグナカルタ制定の時期が到来した(これは「黄金の雄牛」と呼ばれる)。貴族たちが王の示威的な権力に対して法的な制限を加えることができた。それでは、どうしてハンガリーは、イギリスのように自由と憲法に則った統治を確立できなかったのだろうか?それは、貴族たちが余りにも多くのものを手にしたからだ。彼らは王を弱体化させ過ぎ、自分たちが望むものは何でも手に入れることができ、何でもできるようになったからだ。これは、貴族たちが自分たちの親族を富ますために農民を搾取することができたということである。国家の力を無力化させてしまったために、ハンガリーの貴族たちは安定した政治秩序構築の機会を失い、自分たちの力を強大化させるだけにとどまったのだ。

フクヤマは、人類社会が政治秩序の構築に成功する方法よりも政治秩序の構築に失敗することの方に興味を持っている。彼が本当に答えたいと思っている疑問は、ハンガリーがどうしてイギリスのようにならなかったのかというものではなくて、イギリスがどうしてハンガリーのようにならなかったのかというものだ。彼の答えは基本的に幸運に恵まれるかどうかというものである。西ヨーロッパの端にあるイギリスで政治秩序の構築に成功したのは、いくつかの偶然が重なったためである。宗教、法律面での改革、才能に恵まれた行政官がうまくミックスされ、それに17世紀に起きた内戦と疫病によって人々は、そうした好条件をバラバラにしてしまうのは得策ではないと考えるようになった。

フクヤマは私たちに対して、良い政治社会というものは実現が難しく、多く尾条件が揃なければならないものであることを記憶して欲しいと思っている。しかし、彼はこのことからポジティヴなメッセージを導き出している。政治秩序を構築することは偶然の要素が多いということは、そこに行きつくまでには様々な経路が存在する。必ず政治秩序を構築できるという保証がある社会など存在しない。しかし、だからと言って、絶対に構築できないという社会も存在しない。中国であってもそうだ。このような積極的なメッセージには納得できないものも含まれているが、本書『政治の起源』全体の内容は興味深いものだ。フクヤマはどっちつかずの議論を行うことがよくある。政治秩序は基本的に、数世紀にもわたる政治闘争の結果生まれた偶然の産物である。しかし、そのことを知れば政治秩序を確立することはより容易になる。それはどのようにしたら可能か?それには、自分の運を良くすることしかない。更に言えば、政治秩序の話は、「ニワトリが先か、卵が先か」の話に集約される。イギリスは1688年に名誉革命を達成したが、それは、イギリスが比較的秩序が整った社会であったからだ。そして、私たちは、名誉革命によってイギリス社会が秩序だった社会になったと教えられる。

もう一つの問題は、フクヤマガ最初に提示した2番目の疑問に対して答えを提示していないことだ。安定した民主社会が一つの様式に陥ることを止めるものは何か?政治秩序は安易な自己満足と安全を生み出す。フクヤマはこれもまた3つの原理の上に成り立っている社会にとっても問題であることは認識している。しかし、3番目の原理が希望を与えてくれると主張している。政治的な説明責任の意味するところは、政府が失敗すれば、私が政府を変えることができるということである。しかし、これは上辺だけのことで建前であり、誰も信用していない。これはまるで政府が交代するということは、根本的な変化(気候変動、債務、中国の台頭)が起きている時に、デッキチェアを動かすくらいのことのように見える。『政治の起源』は2巻出るシリーズの1巻目である。そして、フクヤマによると、2巻目は、フランス革命から現代までを網羅した内容になるということである。1巻目はフランス革命までで終わっている。 しかし、このような野心的な本にはありがちだが、解決したいと思っている基本的な問題に対して、十分な回答を出せていない。フクヤマは現代の社会科学の言葉を借りて彼が本当に興味を持っていることを説明している。彼が興味を持っているのは、どのようにすればデンマークのような国にまで到達できるのか。つまり、安定していて、反映していて、現在世界最高のレストランがある国になるにはどうしたら良いのかということである。しかし、フクヤマが本書で描写している歴史はこの疑問に対する答えとはならない。王子の出てこない『ハムレット』のようなものなのである。

(終わり)

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# by Hfurumura | 2013-10-29 21:20

覇権国を巡る国際関係論の学説を基にして考える。

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



今回は、覇権国(hegemonic state、ヘゲモニック・ステイト)について考えてみたい。副島隆彦先生の本を読まれている皆さんには「世界覇権国」という言葉はお馴染みだ。これは現在で言えばアメリカのことを指す。歴史的に見ればスペイン(17世紀)、オランダ(18世紀)、イギリス(19世紀)、アメリカ(20世紀)の各国がそれぞれ歴史の一時期に覇権国として君臨してきた。日本は第二次世界大戦でドイツと共に新旧の覇権国であるアメリカとイギリスに挑戦して敗れ、戦後、アメリカの従属国(tributary state、トリビュータリーステイト)になったというのが世界的な認識である。

覇権国と覇権(hegemony、ヘゲモニー)というのは政治学(Political Science)、特に国際関係論(International Relations)で使われる概念だ。簡単に言うと、「他からの挑戦を退けるほどの、もしくは挑戦しようという気を起こさせないほどの圧倒的な力を持つこと」が覇権である。国際関係論で言えば、圧倒的な外交力と軍事力と経済力を持ち、他国を従わせることのできる国のことを覇権国と呼ぶ。現在の覇権国は言うまでもなくアメリカである。歴史上、覇権国は交代してきたが、アメリカの次は中国が覇権国なるという見方も出てきている。これまでの歴史を考えると覇権国の地位はある程度の期間で交代しており、アメリカが永久に覇権国であるとは言えない。

 現在のアメリカは景気が低迷し、巨大な軍事力を持つ負担に耐えられなくなっている。アメリカは巨額の国債を発行し、中国や日本、サウジアラビアが買い支えている。他国のお金で巨大な軍事力を維持しているのはおかしな話だ。「アメリカの軍事力があるから世界の平和は保たれているのだ。だからその分のお金を払っていると思えば良いのだ」という主張もある。しかし、他国のお金頼みというのは不安定なものだ。国債を買ってもらえなくなればお金が入ってこなくなる。そんなことになれば世界経済は一気に崩壊するから、あり得ないことだという意見もあるが、不安定な状況であることは間違いない。

 現在、アメリカの政府機関は閉鎖状態にある。これは、アメリカ連邦議会が2013―2014年度の連邦予算を可決していないためである。現在、アメリカ連邦上院は、民主党(Democrats)が過半数を占め、一方、連邦下院は共和党(Republicans)が過半数を占めている。日本風に言えば、「ねじれ国会」の状態にある。民主党側と共和党の一部は予算を通したいのだが、共和党の中にいるティーパーティー系の議員たちがオバマ大統領の推進した健康保険政策(オバマケア)の廃止を目論んで、民主党と対立している。また、上院と下院の間でも対立が起きている。これに加えて、アメリカ国債の上限問題も再燃し、2013年10月17日までに予算の執行と国債の上限が引き上げられないと、アメリカは国債の償還に応じられない、デフォルトに陥ってしまう。こうなると、アメリカ発の世界規模での景気後退が発生してしまう懸念もある。このように、アメリカの覇権国としての地位も危ういものであることが今回露呈された。

ここからは、国際関係論の分野に存在する覇権に関する理論のいくつかを紹介する。これまで国際関係論という学問の世界で覇権についてどういうことが語られてきたのかを簡単に紹介する。私の考えでは、国際関係論で扱われる覇権に関する理論は現実追認の、「アメリカはやってきていることは正しい」と言うためのものでしかない。それでもどういうことを言っているかを知って、それに対して突っ込みを入れることは現実の世界を考える際に一つの手助けになると私は考える。

まずは覇権安定論(Hegemonic Stability Theory)という有名な理論がある。これは、覇権国が存在すると、国際システムが安定するという理論である。覇権国は外交、強制力、説得などを通じてリーダーシップを行使する。このとき覇権国は他国に対して「パワーの優位性」を行使しているのである。そして、自分に都合の良い国際システムを構築し、ルールを制定する。このようにして覇権国が構築した国際システムやルールに他国は従わざるを得ない。従わない国々は覇権国によって矯正を加えられるか、国際関係から疎外されて生存自体が困難になる。その結果、安定的な国際システムは安定する。

ロバート・コヘイン(Robert Keohane)という学者がいる。コヘインはネオリベラリズム(Neoliberalism)という国際関係論の学派の大物の一人である。ネオリベラリズムとは、国際関係においては国家以上の上位機関が存在しないので、無秩序に陥り、各国家は国益追求を図るという前提で、各国家は協調(cooperation)が国益追求に最適であることを認識し、国際機関などを通じて国際協調に進むという考え方をする学派である。

コヘインが活躍した1970年代、アメリカの衰退(U.S. Decline)が真剣に議論されていた。そして、コヘインは、覇権国アメリカ自体が衰退しても、アメリカが作り上げた国際システムは、その有用性のために、つまり他の国々にとって便利であるために存続すると主張している。コヘインは、一種の多頭指導制が出現し、そこでは、二極間の抑止や一極による覇権ではなく、先進多極間の機能的な協調(cooperation)が決定的な役割を果たすだろうと書いている(機能主義)。

ロバート・ギルピン(Robert Gilpin)は、1981年にWar and Change in World Politics(『世界政治における戦争と変化』、未邦訳)という著作を発表した。リアリズムの立場から、国際政治におけるシステムの変化と軍事及び経済との関係を理論化した名著だ。本書は国際関係論の古典の一つともなっている。ギルピンは、覇権安定論(hegemonic stability theory)の唱道者の一人である。覇権安定論は、ある国家が覇権国として存在するとき、国際システムは安定するという考え方である。しかし、ギルピンは『世界政治における戦争と変化』のなかで、覇権国の交代について考察している。

本書の要旨は次の通りである。歴史上国際システムが次から次へと変わってきたのは、各大国間で経済力、政治力、社会の持つ力の発展のペースが異なり(uneven growth)、その結果、一つの国際システムの中で保たれていた均衡(equilibrium)が崩れることになる。台頭しつつある国が自分に都合がいい国際システムを築き上げるために、現在の国際システムを築き上げた覇権国と覇権をめぐる戦争(hegemonic war)を戦ってきた。台頭しつつある国が勝利した場合、その国が新たに覇権国となり、自分に都合の良い国際システムを構築する。逆に現在の覇権国が勝利した場合、そのままの国際システムが継続する。

現在、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)という各新興大国の経済発展はすさまじい勢いである。先進国である欧米、日本の経済成長はほとんどなきが如しであり、日本のGDPは中国に既に抜かれた。現在世界最大のGDPを誇るアメリカも10年から20年以内に中国に抜かれてしまうという予測もある。ギルピンの理論は、世界各国の不均衡な発展は覇権戦争を導くとしている。理論通りになると、アメリカが既存の覇権国で挑戦を受ける側、中国が新興大国で覇権国に挑戦する側になって戦争が起きるということが予測される。このギルピンの理論は歴史研究から生み出された理論である。スペインが打ち立てた覇権をオランダが奪い、オランダに移った覇権をイギリスが奪取するが、やがてアメリカに奪われるという歴史を踏まえての理論である。

それでは、未来のある時点でアメリカと中国が覇権をめぐって戦争するかと問われると、「ここ数年以内という直近の間では戦争はない」と私は考える。こう考えるにはいくつかの理由がある。第二次世界大戦での日本とドイツ、冷戦でのソ連とアメリカの覇権に挑戦して失敗した国々を見ていれば、「戦争をして覇権を奪取する」と言うのは危険を伴うということは分かる。だから中国の立場からすると戦争をするのは慎重にならざるを得ない。米中それぞれの軍人たちはスポーツ選手が試合をしたくてうずうずしているように「戦争をしてみたい、手合わせをしてみたい」と思っているだろう。しかし、政治指導者たちはそんな危険な賭けをすることはない。

また中国は、アメリカの覇権下で急激な経済成長をしてきたのだから、今のままの環境が維持されるほうが良い。アメリカとの貿易がこれからもどんどん続けられ、輸出ができればそれで良い。アメリカが不況で輸入が鈍化すると中国も困る。だから輸出先を多く確保しておくことは重要だが、アメリカがこのまま世界一の超大国であることは現在の中国にとっても利益となることである。ギルピンの理論では自国にとって不利なルールが嫌になって新興大国は、戦争をすることの利益と損失を計算したうえで、戦争を仕掛けるということになっている。現在の中国にとっては、現状維持、アメリカが超大国であることが重要だから、自ら戦争を仕掛けるということはない。アメリカが覇権国としての地位を失い、経済力を失うことを一番恐れているのは、チャレンジャーと目される中国だと私は考える。

また、イギリスからアメリカに覇権が移った過程を考えると、「覇権国が勝手に没落するのをただ見ているだけ」「覇権国の没落をこちらが損をしないように手伝う」という戦略が中国にとって最も合理的な選択ではないかと私は考える。イギリスは「沈まない帝国」として世界に君臨し、一時は世界の工業生産の過半を占め「世界の工場」と呼ばれるほどの経済大国となり、その工業力を背景に軍事大国となった。イギリスはアメリカの前の覇権国であった。
しかし、ヨーロッパ全体が戦場となった第一次、第二次世界大戦によって覇権国の地位はイギリスからアメリカに移動した。第二次世界大戦においてはアメリカの軍事的、経済的支援がなければ戦争を続けられないほどだった。アメリカは農業生産から工業生産、やがて金融へと力を伸ばし、超大国となっていった。そして、自国が大きく傷つくことなく、イギリスから覇権国の地位を奪取した。イギリスとアメリカの間に覇権戦争は起きなかった。外から見ていると、アメリカに覇権国の地位が転がり込んだように見える。中国も気長に待っていれば、アメリカから覇権が移ってくるということでどっしり構えているように見える。

現在の中国はアメリカにとって最大の債務国である。中国はアメリカの国債を買い続けている。中国にとってアメリカが緩慢なスピードで没落することがいちばん望ましい。「急死」されることがいちばん困る。覇権国が「急死」すると世界は無秩序になってしまい、経済活動が鈍化する。中国としては自国が力をためながら、アメリカの延命に手を貸し、十分に逆転したところで覇権国となるのがいちばん労力を必要とせず、合理的な選択なのである。

「覇権をめぐる米中の激突、その時日本はどうするか」というテーマの本や記事が多く発表されている。日本でも「日本はアメリカと協力して中国を叩くのだ」という勇ましいことを言う人たちも多い。しかし、その勇ましい話の中身も「日本一国ではできないがアメリカの子分格であれば、中国をやっつけられるのだ」というなんとも情けないものである。

米中が衝突することでその悪影響は日本にも及ぶ。日本は中国や韓国といった現在の「世界の工場」に基幹部品を輸出してお金を稼いでいる。米中が戦争をすることは日本にとって利益にならない。だからと言って、日本が戦争を望まなくても何かの拍子で米中間の戦争が起きるという可能性が完全にゼロではない。このとき、日本がお先棒を担がされて戦争や挑発に加担しないで済むようにする、これが日本の選ぶべき道であろうと私は考える。そして、大事なことは。「日本は国際関係において最重要のアクターなどではない、ある程度の影響力は持つだろうが、それはかなり限定される。そして、アメリカに嵌められないように慎重に行動する」という考えを持つことである。そう考えることで、より現実的な対処ができると思う。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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# by Hfurumura | 2013-10-17 15:09 | 国際政治

2013年7月28日講演会が行われます

※2013年7月28日に講演会が行われます。是非ご参集くださいませ。

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# by Hfurumura | 2013-07-16 17:01 | 宣伝

2016年問題と言ったほうがよいかもしれない

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



4月になってもまだまだ寒い日々が続きます。私は現在、福島県の山間部におりますが、春というよりも晩秋といった風情です。まだまだ雪をも降ります。

季節が進み、夏になりますと、参議院議員選挙が行われます。この参議院議員選挙の争点は、「憲法改正」という点で、各政党は一致しているようです。

その中でも、特に日本国憲法第96条の「改正」を主張している政党(米政翼賛会と私は呼んでいます)と、それに反対している政党があります。

日本国憲法第96条は以下のような条文です。

(引用はじめ)

第9章 改 正
 
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

(引用終わり)

この条文は、憲法改正の手続きに関する条文です。この条文によると、憲法を改正する手続きとして、衆参両議院それぞれが所属議員3分の2以上の賛成で国民に憲法改正を提案し、国民投票で過半数の賛成があった場合に、憲法を改正することができるということになっています。複数の段階を経る、議員の3分の2というハードルの高さのために、これまで憲法改正は行われてきませんでした。また、55年体制下、野党第一党日本社会党は、憲法改正を阻止するために、しかし、与党になることは望まないという姿勢で、自民党とある種の妥協を行っていました。

今回、この日本国憲法第96条の改正を自民党と維新は目指しています。現在、衆議院は憲法改正に前向きな勢力が3分の2以上(自民と維新で348、民主党の一部も含めるともっと増える)を占めている状況です。参議院は3分の2以上となると162となりますが、憲法改正勢力はまだそれを占められないでいます。また、この夏の参議院選挙で3分の2以上を占めるためには、113議席の獲得が必要ですが、これはなかなか困難です。しかし、これは今回の参議院議員選挙だけを考えれば、です。次回2016年7月までを考慮に入れると、決して不可能な数字ではありません。また、現在の衆議院議員の任期は2016年12月15日までですから、それまでに解散がなければ、もう一度チャンスが巡ってきます。

「2016年」が大変重要であると考えます。今回の参議院議員選挙はそのための足掛かりになるということができます。

アメリカのオバマ政権も2016年まで(正式には2017年1月まで)ですから、それまでにTPPや日本の憲法改正手続きの「緩和(easing)」を進めておきたいということもあるでしょう。そして、2017年からの新しい大統領(おそらく共和党←外れたら申し訳ありません)で、「日米新時代」ということになるのではないかと考えます。自衛隊の領土領海外活動の拡大、米軍の下請け軍隊としての性格がよりはっきりとなっていくでしょう。経済、政治、そして軍事で属国化が進んでいくものと考えられます。

このシナリオが荒唐無稽で、まったく箸にも棒にもかからない笑い話で終われば良いなとは思いますが、そうならないかもしれない雰囲気も感じられるのです。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「首相と橋下氏が一致…改憲発議要件「過半数」に」

読売新聞電子版 2013年4月12日

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130411-OYT1T01202.htm

 安倍首相と日本維新の会の橋下共同代表が9日の会談で、憲法96条が規定する改憲手続きを巡り、衆参各院の「3分の2以上」の賛成が必要とする改憲発議要件を「過半数」に緩和
すべきだとの認識で一致していたことが11日、分かった。

 会談に同席した維新の会の松井幹事長が、大阪府庁で記者団に明らかにした。

 松井氏によると、首相は「国民が憲法改正を議論するためにも、改正の発議ができる96条を緩和する必要がある」と述べ、橋下氏らも同様の認識を示した。さらに、過半数の賛成が必要とされている国民投票の要件の厳格化を検討する必要性でも一致したという。

 これに関連し、橋下氏は11日、大阪市役所で記者団に、「改正する条項に応じて(国民投票の)要件を変えてもいいのではないか」と述べ、要件の厳格化は重要条項の改正の場合に限定すべきだとの考えを示した。

(2013年4月12日10時15分 読売新聞)

●「維新連携視野に?菅長官「改憲を参院選争点に」」

読売新聞電子版 2013年4月9日

http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20130408-OYT1T01183.htm

 菅官房長官が憲法改正を夏の参院選の争点とすることを目指し、活発に発信している。

 8日の記者会見では、具体的な憲法改正の論点について「必要だと思うのは、環境権などだ。環境問題は憲法ができた当時、なかった。国民生活に大きな影響を与えるものだから、『加憲』で、憲法改正に入れていくのは当然のことだ」と環境権の明記に踏み込んだ。

 環境権は、「加憲」を掲げる公明党が新しい人権として主張しているテーマで、改正争点化に慎重な意見が多い同党に配慮したものとみられる。

 7日の福岡市での講演では、憲法改正の発議要件を緩和する96条改正に最優先に取り組む考えを示し、8日の記者会見でも「96条の改正がなければ、物事が進まない」と強調した。

 憲法改正に関する積極的な発信には、改正に意欲的な日本維新の会などと連携し、憲法改正に必要な衆参両院で3分の2以上の議席を確保する狙いがある。菅氏は9日、日本維新の会の橋下共同代表、松井幹事長と首相官邸で会談する予定。憲法改正を通じて公明、維新などとの連携を強化し、民主党を孤立化させる狙いも指摘されている。

(2013年4月9日10時50分 読売新聞)

●「<憲法改正>「ポイントは環境権」菅官房長官、公明に配慮か」

毎日新聞 4月8日(月)19時38分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130408-00000054-mai-pol

 菅義偉官房長官は8日の記者会見で、憲法改正の発議要件を定めた96条の見直しに関連し、改憲のポイントとして「環境問題は憲法ができたときにはなかったから、環境権を入れるのは自然ではないか」と述べた。

 記者団が、戦争の放棄を定めた9条の改正との優先順位をただしたのに対しては「自民党としても、現在の憲法の基本路線を守りながら、まず96条を改正しないと前に進まない」とかわした。環境権などを追加する「加憲」を掲げる公明党に配慮したとみられる。【鈴木美穂】

(新聞記事転載貼り付け終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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# by Hfurumura | 2013-04-12 11:36 | 日本政治

黒田「異次元」節とは結局何なのか

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



前回に引き続き、黒田節(日銀による量的、質的緩和)に関することを書きます。

英紙フィナンシャル・タイムズ紙は、アベノミクスや日銀による金融緩和に関する批判を多く掲載しています。

今回、ご紹介するのもその一つと言って良いでしょう。マーティン・ウォルフによる記事です。この中には、今回の日銀の金融緩和について、鋭い批判がなされています。

この記事の中で重要だと思われるのは、円安とインフレ(ハイパーインフレの可能性も指摘しています)によって、

「中長期的に見れば、日本の企業投資の対GDPは下がるばかりで、決して上昇しない。家系による貯蓄は低下し、借入を行う意志も小さくなり、そうなると、現在、日本企業が
過度に持っている内部留保の行く先は2つしかない。それは外国と日本政府だ」

という部分です。

黒田節によって、すでにヨーロッパ諸国の国債が買われていることはご紹介しました。日本国内の富裕層が日本円や円建ての資産を持っていても、価値が毀損されるだけですから、海外に流れるのは当然のことでしょう。利子を見ても日本の銀行に預けていても、これからますます利率が下がっていくのですから、何にもなりません。

また、安倍首相や浜田宏一内閣参与は消費税の増税に否定的ですが、物価の上昇というのは「好景気」の一つの指標なのですから、財務省が増税をしないなどということを許すはずがありません。外圧でもなんでも使って、消費税増税をして、政府が日銀が垂れ流したお金を吸い上げることになります。

そのために、与野党問わず若手の、財務省の御教育がしっかり行き届いた議員たちが「消費税増税は良いこと」という論陣を張りつつあります。

物価上昇に苦しみ、形ばかりの給料の増額があったかと思えば、消費税増税、円安による値上げによってますます生活が苦しくなる、という構図が既にできています。

黒田節にある「酒は飲め、飲め」で、平成元禄気取りを酔っぱらって、しらふに戻ったら真っ青なんてことになるんだろうと私は考えています。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●Japan's unfinished policy revolution

By Martin Wolf
April 9, 2013 7:07 pm
Financial Times
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/2d7cc812-a079-11e2-88b6-00144feabdc0.html#axzz2Q2YkcONG


Tokyo’s economic system is a machine for generating high private savings

Haruhiko Kuroda, the new governor of the Bank of Japan, has launched a monetary policy revolution. He has ended two decades of caution, during which the BoJ declared
itself helpless to end deflation. Prime Minister Shinzo Abe’s goal of 2 per cent inflation within two years is ambitious – and Mr Kuroda now has a bold policy to meet
it. The question is whether the policy will work. My answer is: on its own, no. The government must follow up with radical structural reforms.

On April 4, the Bank of Japan announced the launch of “quantitative and qualitative easing”. It promises to double the monetary base and to more than double the
average maturity of the Japanese government bonds that it purchases. The monetary base will rise at an annual rate of Y60tn-Y70tn ($600bn-$700bn or 13-15 per cent of
gross domestic product) and the average maturity of holdings of JGBs will increase from three to seven years. Furthermore, says the BoJ, it “will continue with the
quantitative and qualitative monetary easing as long as it is necessary”.

This is not “helicopter money”, since the intention is to reverse the monetary expansion when the economy recovers. This is also not an outright purchase of foreign
assets, as the Swiss National Bank has done. This is, instead, in the words of Gavyn Davies, chairman of Fulcrum Asset Management, “an outsize dose of internal
balance sheet manipulation”, designed to encourage the financial sector to shift from holdings of JGBs and to raise the prices of real assets. Nevertheless, a weaker
exchange rate is surely a desired consequence.

Why might this work? The answer is that Japan suffers from a structural excess of savings in the private sector. Companies are accumulating too much cash. The announced
policy could change this, at least temporarily, in a combination of two ways. First, by lowering the real exchange rate, it could increase Japan’s ability to export
excess savings via a larger current account surplus. Second, by turning the real interest rate negative and also raising real wealth, the policy might raise investment
and lower savings.

Yet, at best, this would only work in the short run. At worst, it could destabilise inflation expectations so dangerously that it pushes Japan from deflation to
ultra-high inflation, without stopping for long at any point in between. Thus, the Japanese might decide that the aim of the government is to impoverish them brutally,
by reducing the real value of their (admittedly unsustainable) savings. If this frightened them into fleeing the yen, policy makers would be at a loss, since they
could not respond by increasing interest rates without devastating the public finances. They might even have to impose exchange controls.

What, then, has to be done to make the shift in monetary policy work? The answer is to recognise that the underlying obstacle is structural: it lies in what is now a
dysfunctional corporate sector.

Andrew Smithers of Smithers & Co and Charles Dumas of Lombard Street Research have recently made much the same point. Japan’s private savings – almost entirely
generated by the corporate sector – are far too high in relation to plausible investment opportunities. Thus, the sum of depreciation and retained earnings of
corporate Japan was a staggering 29.5 per cent of GDP in 2011, against just 16 per cent in the US, which is itself struggling with a corporate financial surplus.

Japan’s economic system is a machine for generating high private savings. A mature economy with poor demographics cannot use these savings productively. As Mr Dumas
notes, US gross fixed business investment has averaged 10.5 per cent of GDP over the past 10 years, against Japan’s 13.7 per cent. Yet US economic growth has much
exceeded Japan’s. Japanese corporations must have been investing too much, not too little. It is inconceivable that raising the investment rate, to absorb more of
the corporate excess savings, would not add to the waste.

In the short term, negative real interest rates might raise investment a little, since savings earn less. But, in the medium to long term, Japanese corporate
investment should fall, relative to GDP, not rise. Since household savings are low and their willingness to borrow is small, this leaves only two other areas capable
of absorbing the huge excess savings of the corporate sector: foreigners and the government.

In practice, the government has largely done the job over the past two decades. That is why fiscal deficits are huge and public sector indebtedness is on an
ever-rising trend. Meanwhile, the external surplus has diminished. This is due to worsening terms of trade and poor performance on export volume. Again, a depreciation
in the yen should help, but only a little. The current account surplus needed to absorb the excess savings of the corporate sector and generate the fiscal surplus
needed to lower public debt ratios would be at least 10 per cent of GDP. Still a fairly closed economy, Japan could not generate such a surplus. If it could, the rest
of the world would surely not absorb it.

It follows that Japan desperately needs structural reform – but not just any structural reform. It needs reform that both lowers excess corporate savings and
increases the trend rate of economic growth. This combination should be possible, since Japan’s GDP per head (at purchasing power parity) is down to 76 per cent of
US levels and its GDP per hour to just 71 per cent. The policy options include: a huge reduction in depreciation allowances; a punitive tax on retained earnings,
possibly combined with incentives for higher investment; and reform of corporate governance, to give more power to shareholders. The aims would be to deprive companies
of the cash flow cushion that has featherbedded inefficiency. The worst possible tax rise is the one on consumption now planned, since Japan consumes too little. Tax
corporate savings, instead.

Such reforms really would be radical. Is there the smallest chance that Mr Abe might move in this direction? No. But without this sort of reform, the BoJ’s new
policy will prove, at best, a short-term palliative and at worst an inflationary disaster. Meanwhile, China needs to note that this is the end result of an economy
built by favouring investment and suppressing consumption. That is a great strategy for catching up with the rich world, but it leaves huge headaches when fast growth
is over.

(新聞記事転載貼り付け終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-04-10 22:57 | 日本政治

日本の「異次元の金融緩和」はヨーロッパ救済のためのものでもあった

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



古村治彦です。

ここ2カ月ほど、翻訳の作業に没頭して、ブログの更新を滞らせまして大変申し訳ございません。拙ブログをお読みいただいている皆様に深くお詫び申し上げます。

さて、2カ月の間、世間で何が起きているのか、ほとんど分からない状況でありましたので、浦島太郎のようにメディアのウェブサイトを見て回り、詳しい方々からお話を
伺っておりました。

その中で重要なのは、日銀の黒田東彦総裁にによる金融緩和の発表だったそうです。「ここが大きな転換点だ」と話した方もいました。

この日銀の金融緩和については、デフレ脱却のため、これまでにはない方法で、全艦突撃、総攻撃スタイルで行われるものであるということです。日銀が10年まではいかない
日本国債を大量購入して、通貨供給を増やすということで強制的に物価を引き上げるということだと私は理解しています。

そう考えておりましたところ、先ほど、英紙『フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)』紙に興味深い記事が掲載されていました。今回の異次元の金融緩和によって、
日本の債券市場からヨーロッパにお金が流れるということが起きている、もしくはそれがこれからどんどん加速していくという内容の記事です。

日銀による日本国債の大量購入によって、利率が下がります。それに魅力を感じない投資家たちが、ヨーロッパ各国の国債を購入する動きに出ているということです。記事では、
フランスが大きな恩恵を受けているが、それ以外にもオーストリア、ドイツ、オランダ、フィンランド二もお金が向かっているそうです。また、利率が危険な水準にまで達していた
イタリアとスペインの国債も買われているそうです。これらの国々の国債の利率は軒並み下がっています。

このように、「風が吹けば桶屋が儲かる」式の、いや、もっと単純な形ですが、日本がヨーロッパを支えるという構図が出来上がっている訳です。

これを安倍首相と黒田日銀総裁があらかじめ予定していたのかどうかは分かりません。しかし、日米欧の関係、中国との関係を考えると、米欧が日本にヨーロッパを支援を
行うように依頼した、また誘導したということは考えられることだと思います。

際限なく通貨を発行して、通貨の価値を毀損して、そして、そのお金でヨーロッパを救おうということで、これは「異次元の金融緩和」でもなんでもない。アメリカのQE、
ヨーロッパのドラギ砲の日本版であり、それも自国の経済に果たして効果があるのかどうか、分からないのにこんなことをやらされる。

「属国・日本論」の観点からだと、以下の記事を、このように読むことができます。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●Japan’s yield hunters seek European debt

Financial Times
Last updated:April 8, 2013 8:21 pm
By Robin Wigglesworth and Alice Ross in London
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/b5a2046e-a042-11e2-a6e1-00144feabdc0.html#axzz2PpPB0IYc


Increased expectations of a jump in Japanese investment in Europe’s bond markets following the Bank of Japan’s drastic action to ease monetary policy helped drive
borrowing costs lower across the continent on Monday.

The BoJ’s massive bond-buying plans unveiled last week are forecast to push domestic yields down and encourage Japanese investors to venture abroad for better
returns, fuelling expectations of further declines in European borrowing costs.

“The amount of money in the Japanese government bond market that could leave Japan is monumental,” said Bob de Groot, a head trader at BNP Paribas. “We’ve just
seen the tip of the iceberg so far.”

Investors are on high alert for signs that domestic Japanese investors are shifting into overseas markets. Traders at Citigroup said the vast majority of yen selling
continued to be driven by hedge funds trying to front-run the wall of cash from Japan that is expected to hit global markets in the coming weeks.

However, some traders and bankers said Japanese investment had already increased noticeably in recent days and weeks, as local investors prepared for aggressive BoJ
action.

“We’ve see big Japanese flows into Europe recently, and particularly into French bonds,” said Demetrio Salorio, global head of debt capital markets at Société
Générale.

France’s 10-year bond yield fell to 1.71 per cent on Monday, a new record low and down from more than 2 per cent just a week ago. Austria’s benchmark borrowing
costs also fell to an all-time low, while German, Dutch and Finnish bond yields were also close to their trough.

But the biggest impact was in Europe’s debt ridden periphery as the yield on Italy’s 10-year benchmark fell 11bp to 4.31 per cent, while Spain’s fell 9bp to
4.71 per cent.

Japan’s army of retail investors has largely preferred to take advantage of the weaker yen to repatriate overseas assets this year rather than putting more money
to work abroad. Analysts are predicting that lower Japanese bond yields will spur them into action in the coming weeks.

“Now that Japan’s long-term bond yields look set to remain low – and the yen weak – for the next few years, domestic savers may venture into foreign assets with
renewed interest,” analysts at Bank of America Merrill Lynch said in a note.

The euro hit its strongest level against the Japanese yen in more than three years on Monday as investors returned to the short yen trade. The single currency has
risen more than 7 per cent against the yen since the Bank of Japan surprised global markets last Thursday with its radical policy action. On Monday, the euro was more
than 1 per cent higher at Y128.83, its strongest level since January 2010.

Buying the euro and selling the yen has been one of the most popular trades in the global foreign exchange market this year as hedge funds bet that the Japanese
currency will weaken while snapping up cheap peripheral bonds earlier this year. Many speculators reversed that trade shortly before the Bank of Japan’s meeting on
Thursday.

The yen also tumbled again on Monday, falling 1.6 per cent against the US dollar to trade at Y99.15, the lowest since April 2009.

An analysis of internal flows by Nomura, the investment bank, showed that selling the euro and buying the yen was a popular trade among hedge funds earlier last
amid caution over whether the BoJ’s stimulus measures would go far enough.

Currency traders reported hectic trading on Monday as investors who were not positioned for the weaker yen scrambled to make fresh bets it would fall further.

“What the BoJ is doing is unprecedented – we’ve had every type of client getting involved,” said Mr de Groot.

Analysts singled out France as a particular beneficiary of Japanese investment abroad. Although some are concerned by France’s economic and fiscal weaknesses,
the country remains one of the most highly rated governments in the world and its bond market is among the largest and most liquid – a key factor for many investors.

Emerging market bonds are also expected to be a big winner from Japan’s aggressive policy easing.

The average blended yield of JPMorgan’s EMBI Global Diversified index of bonds sold by the developing world tumbled more than 10 basis points to 4.61 per cent on
Friday, the biggest one day drop since October 2011.

“The higher growth and interest rates offered by emerging markets may attract a significant portion of these savings,” BofA’s analysts said.
“Within Latin America, Brazil and Mexico ought to benefit due to the size of their domestic bond and currency markets.”

(新聞記事転載貼り付け終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-04-09 12:02 | 日本政治

副島l隆彦の“予言者"金融セミナー第5回『ぶり返す世界恐慌と軍事衝突』発刊記念講演DVDが発売されます

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



副島l隆彦の“予言者"金融セミナー第5回『ぶり返す世界恐慌と軍事衝突』発刊記念講演DVD (副島隆彦の“予言者"金融セミナーDVD)

副島 隆彦 / 成甲書房



2013年1月27日に開催された、副島l隆彦の“予言者"金融セミナー第5回『ぶり返す世界恐慌と軍事衝突』発刊記念講演会のDVDが発売されます。宜しくお願い申し上げます。

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はじめから計画されていた円安と株高。2012年末に突如として行われた衆議院選挙
2013年の世界と日本の政治、金融・経済を予測する
2013年1月27日に東京 東商ホールにて行われた講演会を収録したDVD。(DVD-ROM1枚:収録時間270分)

[第1部]
・作られた円安
・今後のドル円相場の動き
・日本国にとっては円高がいいのだ! 国力を落とすな
・日本政府は米国債を50兆円分買うという形で、米国に日本国民の大切なお金を貢ぎ続ける
・スペインとイタリアで金融危機が再燃し秋には崩れる
・資産は海外へ逃がせ、隠せ!

[第2部]
・現在の金価格について
・金は1グラム5千円を突破し、一万円をめざす
・金に関する質問にすべて答える
・日本国債は暴落するか?
・米国の今後の動き
・これからの中国
・世界一の高層ビルが間もなく湖南省の長沙に完成する

[第3部]
・これから東南アジアに世界中からもっと富と人が集まる
・投資するなら実体のあるものに
・株式相場、日本経済、国債についての質問に答える
・副島隆彦とセミナー参加者のナマの質問コーナーほか

副島l隆彦の“予言者"金融セミナー第5回『ぶり返す世界恐慌と軍事衝突』発刊記念講演DVD (副島隆彦の“予言者"金融セミナーDVD)

副島 隆彦 / 成甲書房



アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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# by Hfurumura | 2013-03-01 23:25 | 宣伝

副島隆彦先生の最新刊『それでも中国は巨大な成長を続ける』をご紹介します

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



古村治彦です。最近、翻訳の仕事が忙しく、本ブログの更新が滞りまして申し訳ございません。

今回は、副島隆彦(そえじまたかひこ)先生の最新刊『それでも中国は巨大な成長を続ける』(ビジネス社、2013年2月20日発刊)をご紹介します。

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本書は、副島先生が昨年、中国に調査に行かれた成果を中心として書かれています。本書の第5章「日本と中国、そして世界の行方」で、拙著『アメリカ政治の秘密』の内容を取り上げていただいております。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

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それでも中国は巨大な成長を続ける 目次

まえがき …… 3

第1章 世界経済を牽引する中国の実力
 反中国という大きな計略 …… 16
 元が上昇し始めた …… 22
 ドルの世界支配が終わろうとしている …… 26
 近い将来、ドルが暴落する …… 32
 中国の株 …… 37
 住宅バブルか、株の高騰かの選択 …… 43
 中国での金投資は有効か? …… 46
 金の買い取り調査 …… 51
 金の保有量でも中国が急伸している …… 54
 中国に拓かれた大きな可能性 …… 66

第2章 新指導部「チャイナ・セブン」
 新リーダー、習近平 …… 78
 中国の新しい指導者たち …… 87
 薄熙来の失脚 …… 90
 中国民主化の旗頭としての胡耀邦 …… 94
 受け継がれる民主派の命脈 …… 98
 中国に日本をぶつける勢力たち …… 101
 中国と日本は戦争させられるのか? …… 106

第3章 中国の底力
 尖閣問題で揺れる中国へ私は向かった …… 112
 いずれ不動産価格も再上昇する …… 114
 薄熙来事件の真相 …… 118
 四川省の開発の拠点、成都 …… 124
 地方都市の不動産は今後も上昇する …… 128
 20年で100倍になった国 …… 132
 バブル崩壊も軽々と乗り越えていく …… 134
 新興国と先進国、どちらがまともか? …… 137
 中国の最大の資産は“人口の増加” …… 140
 中国の成長は止まらない …… 147
 巨大な国土を急速に開発できる国 …… 150
 誰も中国を止められない …… 155
 中国がチベットを手放さない理由 …… 160
 独立運動は漢民族との同化に飲み込まれていく …… 164
 民主化もいずれ実現する …… 168

第4章 中国は世界覇権を目指す
 私は中国を旅行した …… 172
 続々と出現する資産家、富裕層 …… 176
 商品市場も中国が引っ張っていく …… 178
 旧満州で今やコシヒカリを大量に作っている …… 182
 あらゆる分野で日本は追い抜かれる …… 189
 着実な食料増産計画によって物価が安定している …… 191
 ロシアの譲歩で中ソ国境問題も解決 …… 195
 中国を封じ込めることはできない …… 197
 世界最大の債権国・中国の戦略 …… 200
 世界一の高層ビルを猛スピードで建設 …… 208

第5章 日本と中国、そして世界の行方
 「ヒラリーの終わり」、「日本を中国にぶつけさせよ」戦略の頓挫 …… 216
 アメリカの凶暴な“女高官4人組” …… 217
 ヒラリーが国務長官を辞任した理由 …… 222
 尖閣諸島の領有問題の唯一の解決法 …… 227

あとがき …… 234

巻末付録 主要な中国株の代表的銘柄30 …… 236


まえがき

 私は、この本で、今も中国で働く日本企業の派遣社員たち約400万人(概算)をどうしても激励し、励はげまさなければならない。そのためにこの本を書く。

 日本人(派遣)社員たちは、中国でのビジネスで、今のまま利益を出して生きていくしかない。そして、その中国は現にものすごい力で今も巨大な成長を続けているのである。

 日中関係が、昨年2012年の間に、どんどん悪化した。尖閣諸島(中国名では釣ちょう魚ぎょ島とう)の領有を巡る争いで、両国の険悪な関係をテレビ・新聞が毎日のように報じている。

 この30年間に(1980年代から)中国に進出した日本企業は、2万5000社ある。このうちの12%にあたる3000社が、「中国からの撤退を考えている」と表明しているそうだ。残りの2万2000社はこのまま操業を続けるということだ。

 果たして、中国からの撤退など簡単にできることか? できるはずがない。

 今も成長し続ける巨大な中国市場を無視して、日本国が生きていく道はない。2011年の日本からの中国への年間の輸出額は12・5兆円である。輸入額は14・5兆円だ。どちらも日本の対外貿易で第1位である。ちなみに対アメリカ貿易は、輸出10兆円、輸入5・9兆円である。中国とのつき合いを軽視して日本(人)のこれから先の生き残りは考えられない。

 私は日中の平和的な経済成長と両国の繁栄を願っている。私は20年前から「アジア人どうし戦わず。戦争だけはしてはいけない」という旗(ルビ=はた)を掲げて言論活動をやってきた。今こそ「日中不戦(ルビ=にっちゅうふせん)」の勢力を、日本国に公然と出現させなければならない。苦しい時だからこそ私たちが声を挙げなければいけない。

 そして、今も続いているおそろしいまでの巨大な中国の経済成長の様子の真実を誰かが伝えなければならない。それを私がこの本でする。           副島隆彦



あとがき

 この本は私の中国研究の本の5冊目である。だから内輪(ルビ=うちわ)では「中国本5」と呼んでいる。

 この本では重慶・成都への調査旅行の成果を素(ルビ=もと)に書いた。それでも尖閣(ルビ=せんかく)諸島の領有権(主権)の紛争がどうしても全体に色濃く出ている。すでにこの問題は日本と中国の深刻な国際政治問題になってしまった。地政学(ルビ=ちせいがく)(ジオ・ポリティックス Geo-Politics)の観点からは、衝突するべくして衝突せざるを得ない問題である。国家主権(ルビ=ブリーンティ)を前提とする冷酷な視点に立つならば、すべては、「喰うか喰われるか」である。王様(ルビ=キング)(国王 ルビ=モナーク)という歴史上の残忍な暴力団の親玉たちの視点から見れば、すべての利権(利益)は奪い合いである。

 この国家主権という欲望主体は、リヴァイアサン Leviathan というどう猛な野獣(ルビ=やじゅう)であって、人間たちを大量に次々に取って喰う生き物である。国家間の争いに翻弄(ルビ=ほんろう)される個々の人間にとってはたまったものではない。

 私は、この政治紛争にすでに巻き込まれてしまったのに、それでも大きな経済法則に従って中国に進出してゆかざるを得ない、そして現に進出している日本企業2万5000社の、おそらく400万人はいる日本人社員たちの苦しい立場への理解と共感をつねに念頭に置いてこの本を書いた。何があろうがこれからもどんどん伸びてゆく中国の巨大な経済成長に寄り添って生きてゆく、と決めた人々の人生選択は決して間違っていない。繁栄するほうに近寄っていかない者は衰退し、没落するのである。

 私は中国の全土に、そしてアジア諸国に社命(ルビ=しゃめい)で派遣されていく日本人技術者、ビジネスマンたちへの熱い共感と激励の気持ちを込めてこの本を書いた。

 この本の中でも書いた「馬賊の歌」(大正11年作)(P72)も、決して始めは中国、満蒙(ルビ=まんもう)を侵略しようとして日本人に慕(ルビ=した)い歌われたわけではなかっただろう。
「俺も行くから君も行け 狭い日本にゃ住み飽いた 海の彼方にゃ支那がある 支那にゃ四億(ルビ=しおく)の民が待つ」の心意気で「アジア人どうし戦わず。戦争だけはしてはならない」の旗を揚げながら、アジア人の団結を、私は死ぬまで唱え続ける覚悟です。

 この本も伴走者であるビジネス社岩谷健一編集長と「反中国の嵐」が吹き荒れる苦しい時期を耐え抜いて、できあがった。記して感謝します。

2013年2月1日                           副島隆彦

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アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-02-22 00:33 | 宣伝

砕けた文体ではあるが真面目なヒラリー論:ネイション誌から

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 今回は、前回に引き続き、ヒラリー・クリントン国務長官についての文章を皆様にご紹介します。今回の文章は前回と異なり、ヒラリーに対して辛辣な内容になっています。砕けた文体ですが、ヒラリー(とその周囲の人々)が何をやって来たかの一端が分かる内容になっています。アメリカ人による、ヒラリーに対する辛辣な惜別の辞になっています。もう一つ付け加えるなら、この2つの文章の作者はオバマ大統領を評価していますが、この部分は、ジョー・バイデン副大統領と読めばより正確になると思います。どうぞお読みください。

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戦争狂いのヒラリー・クリントンを厄介払いできて良かった、良かった(Good Riddance to Warmonger Hillary Clinton)

ロバート・ドレイファス(Robert Dreyfuss)筆
ネイション誌(The Nation)
2013年2月4日
http://www.thenation.com/blog/172635/good-riddance-warmonger-hillary-clinton

ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)にあまり心はこもらないが、とりあえず、さようならと別れの言葉を言えるのは幸せなことだ。ヒラリーを「厄介払い」という言葉は強すぎる、もしくは攻撃的すぎるだろうか?しかし、ヒラリー・クリントン国務長官は過去4年間、オバマ政権のタカ派的な面を象徴してきたのだ。

 最新の証拠:ニューヨーク・タイムズ紙は、ヒラリー・クリントン国務長官の在任期間の検証をしている。その中で、ヒラリーについて、ある事実が明らかにされた。ヒラリーは、デイヴィッド・ペトレイアス(David Petraeus)元CIA長官と一緒になって、アメリカが直接、シリアの反政府勢力に武器を供与し、トレーニングを施すように提案した。

 ありがたいことに、クリントン・ペトレイアスのコンビの提案はは、ホワイトハウスによって覆された。

 実際のところ、2009年以来、外交政策は、国務省ではなく、ホワイトハウスで立案されてきた。

 しかし、ニューヨーク・タイムズ紙は、「クリントンは戦争狂い(warmonger)だった」と報じている。

 昨夏、シリア国内での戦闘が激化し、アメリカが動かないことへの疑問が人々から出されるようになった。この時、ヒラリー・ロドハム・クリントン国務長官は、デイヴィッド・H・ペトレイアスCIA長官と私的に会談した。そして、2人はシリアの反政府勢力に武器を供与するという計画を立てることになった。

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 2人の考えは、反体制勢力の各グループについて綿密に調査をし、戦闘員たちにトレーニングを施し、武器を与えるというものだった。この計画にはリスクがあった。しかし、シリアの反体制勢力と、内戦中、そしてバシャール・アル=アサド大統領を追い落とした後、アメリカの同盟者として協力していくことができるという利益があった。

 オバマ政権内のある人物によると、クリントン国務長官とペトレイアスCIA長官は、ホワイトハウスにシリアの反政府勢力への武器供与計画を提出した。しかし、ホワイトハウスはリスクを憂慮した。また、オバマ大統領は再選に向けて動いていた。そのため、彼らの計画は却下された。

 ボブ・ウッドワードは、著書『オバマの戦争』の中で、「クリントン国務長班は、アフガニスタンに対しても、タカ派的な態度を取っていた」と書いている。クリントン国務長官とスーザン・ライス米国連大使は、2012年のアメリカとNATO共同の空爆を主導した。

 シリアの反アサド勢力は大変危険である。寄せ集めのギャングや軍人志望者たちに率いられている。イスラム過激派やその他のテロリストグループも入っている。勢力の中から「穏健派」を見つけ出すことは、不可能ではないが難しい。このような勢力に武器を供与して、過激派に横流しされないだろうと考えるのは間抜けだ。

 ラムジー・マーディニがニューヨーク・タイムズ紙の論説ページで、シリアの反政府勢力について次のように書いている。

 「71名からなる反体制派連合にはシリア国民評議会のメンバーが多く参加している。彼らはシリア政府と交渉することを望んでいない。しかし、権力を掌握する準備も全くできていない。彼らが直面しているのは逃亡であり、最悪のケースは、国の分裂である。自分たちの目の前の小さな利益が優先されている。イスラム主義者たちは世俗主義者たちを押さえつけている。国外に逃げていた反体制派の人々はシリアの人々を食い物にしようとしている。反体制派連合の中に信頼を置ける人々はほとんどいない。

 マーディニはまた次のように書いている。「反体制派連合は、イスラム過激派を数多く抱えている。そして、女性やシリア国内の少数派の人々はほとんど参加していない。ロシアと国連の調停官ラフダール・ブラヒミが主導して、反体制派とアサド大統領の政府の交渉を行わせようとしている。強硬な反アサドのギャングたちの多くにとって、調停は呪いのようなものなのだ」

 マーディニの結論について私は同意する。

 シリアにとって最高の希望となるべきは、軍事的な勝利ではなく、政治的な解決である。しかし、国民を代表する反対(野党)勢力が存在しない状況下では、この願いは、かなえられないだろう。

 ありがたいことに、ペトレイアスは失脚した。オバマ政権内のタカ派、ヒラリー・クリントンも政権を去った。

 ジョン・ケリー(John Kerry)国務長官がそこまでバカではないことを祈ろう。

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オバマ大統領が、ヒラリー、ペトレイアス、パネッタ、デンプシー大将が共同でていあインしてきた「シリア戦争計画」に反対した(Obama Opposed Syria War Plan from Clinton, Petraeus, Panetta, Gen. Dempsey)

ロバート・ドレイファス(Robert Dreyfuss)筆
ネイション誌(The Nation)
2012年2月8日
http://www.thenation.com/blog/172774/obama-opposed-syria-war-plan-clinton-petraeus-panetta-gen-dempsey

 ホワイトハウスとオバマ大統領には個人的に評価を与えたいと思う。オバマ大統領は、政権内のタカ派たちがシリアでの戦争にアメリカを参加させようとしていたのを阻止したのだ。

 先週、私たちは、ヒラリー・クリントンとデイヴィッド・ペトレイアスが、シリアの寄せ集めの反政府勢力に武器とトレーニングを与える計画を練っていたことを知った。この計画は、アメリカをシリアの悲惨な内戦に直接関与させるものとなるはずだった。有難いことに、ヒラリーもペトレイアスもそれぞれCIA長官と国務長官の座から退き、家族とより多くの時間を過ごす決断をしてくれた。

 レオン・パネッタ(Leon Panetta)国防長官とマーティン・デンプシー(Martin Dempsey)統合参謀本部議長は、クリントン・ペトレイアスの提案した計画を支持した。彼らもまた退任が決まっている。

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シリアでの戦争計画に反対したのは誰か?オバマ大統領だ。

 上院軍事委員会の公聴会の場で、好戦的なジョン・マケイン上院議員の質問によって、「爆弾による革命(bombshell revelation)」がどのように進められようとしていたかが明らかになったとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

 マケイン上院議員は次のように発言した。「国防総省は、アメリカがシリアの反政府勢力に武器を供与するというクリントン国務長官とペトレイアスCIA長官の提案を支持しましたか?あなた方は支持しましたか?」

 「私たちはシリアの反政府勢力への武器供与を支持しました」とパネッタは述べた。

 「統合参謀本部もそうですか?」とマケインは質問した。

 「そうです」とデンプシー大将は答えた。

 パネッタ国防長官、ヒラリー・クリントン国務長官、ペトレイアスCIA長官、デンプシー統合参謀本部議長は連合を組んでいた。これにスーザン・ライス国連大使も加わっていた。そして、彼らはシリア戦争計画を進めようとした。しかし、オバマ大統領がこの計画を阻止したのだ。

 マケインは、怒りのために顔を真っ赤にしながらがなり続けた。「オバマ大統領は政権内の国家安全保障チームのリーダーたちの提案を却下した。彼らはシリア国内の軍事的なバランスを変えるためにアメリカがより関与するという考えで一致していたのだ」

 その通りですよ、上院議員。

 このことの重要性は強調しすぎるということはない。マケインの発言内容は、オバマ大統領が将軍たち、タカ派の人々、国防総省、そしてネオコンに対峙していたことを示す貴重な証言である。こうした人々は、オバマがシリアを見捨てたと盛んに批判している人々である。

 脚注:ポーラ・ブロードウェルと彼女が巻き込まれた三角関係に感謝すべきだろう。フロリダの社交界の花形と前CIA長官との不倫が、アメリカをシリアに関与させる計画を葬り去ったのだ。歴史に残っていく話だろう。

ペトレイアス氏が、不倫が原因でCIA長官を辞任し、クリントン国務長官が脳震盪で倒れ、数週間職務を休んだ時、問題は自然消滅したのだ。

ポーラ、どうもありがとう!

 また、オバマ大統領の決断がヒラリーたちのアイディアを葬り去ったのだ。

 パネッタ国務長官もデンプシー大将もオバマ大統領がどうして彼らの勧めを受け入れなかったのかを説明しなかった。しかし、複数の政府関係者の証言を総合すると、ホワイトハウスは、シリア危機により深く関与してしまうというリスクを憂慮したということだ。その中には、アメリカが供与した武器が横流しされてしまうということも含まれていた。

 シリアに関与するというアイディアはこれからも実行されないことを願っている。ジョン・ケリー、チャック・ヘーゲル、ジョン・ブレナンといった皆さん、聞いていますか?

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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# by Hfurumura | 2013-02-09 21:55 | アメリカ政治

最後まで自説を曲げなかったヒラリー:アトランティック誌から

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



ヒラリー・ドクトリン(The Hillary Doctrine)

デイヴィッド・ロード(David Rohde)筆
アトランティック誌(The Atlantic)
2013年1月25日
http://www.theatlantic.com/international/archive/2013/01/the-hillary-doctrine/272511/

 党派の戦いの場である議会の場はやはり一流の人間が集まる場所であった。ランド・ポール(Rand Paul)上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、「可能ならば、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)を首にする」と言い放った。ロン・ジョンソン(Ron Johnson)上院議員(ウィスコンシン州選出、共和党)は、ベンガジ事件に関し、オバマ政権はアメリカ国民を間違った方向に導いたと主張し、ヒラリー・クリントンは怒りをもって反論した。ジョン・マケイン(John McCain)上院議員(アリゾナ州、共和党)は、国務省が職員の安全に関してぞんざいな対応をしていたことに怒りを持ち続けている。マケインの怒りは正しい。

 議員たちは様々な態度を取っている。しかし、一つの疑問が浮かび上がってくる。それは、「北部、西部アフリカを席巻した武装勢力とアメリカは対峙しなければならないが、そこにどんな戦略があるのか?」というものだ。ヒラリーは、マケインとの緊張感あふれるやり取りの中で、次のような悲しくなる発言をした。

 「私たちは一致団結してことに臨まねばなりません」

 アメリカの政治家たちはアメリカの外交官たちの安全に関心を集中させている。これは正しいことだ。一方で、アフリカのイスラム教系のテロリストたちと戦ううえで重要なのは地元の政治家と軍隊だ。アメリカと同盟諸国はイラクとアフガニスタンで警察と軍隊のトレーニングを行ってきた。現在、その成果が試されているところだ。アフリカでもまた試される日が来るだろう。

 フランスがマリに介入して10日後、西アフリカの国であるマリでも私たちアメリカ人にはお馴染みのパターンが出現しつつある。アメリカ人ジャーナリストのピーター・ティンティは、電話インタビューの中で、ディアバリの住民たちがイスラム聖戦主義者たちをディアバリから退散させたフランス軍の空爆の後に「興奮」していた様子を語った。

 「地元の人たちはフランスの空軍能力が凄いことについて話したがっていた。地元の人たちによると、フランスの戦闘機はテロリストのトラック群は攻撃し破壊したが、近隣の住宅には被害を及ぼさないほどだったそうだ。彼らはフランス空軍の正確な攻撃に驚いていた。私が知る限り、公式には非戦闘員から死傷者が出ていないようだ」

 このような成果の後には、えてして人道主義による介入が起きる。外交官たちと海外支援の活動家たちは、介入後、世界の善意と影響力が最高潮に達する最高の瞬間について語る。1995年、NATOはセルビア人勢力に最初の空爆を加えた。この時、ボスニアのイスラム教徒たちは喜んでいた。2001年、アメリカはアフガニスタンに攻撃を加え、タリバンを追い落とした。この時、アフガニスタンの人々も喜びを表明した。2003年、アメリカはイラクに侵攻し、サダム・フセイン大統領を警護する共和国防衛隊を壊滅させた。この時、イラクのシーア派の人々はアメリカを応援した。問題は、このようなことが起きた後に何が起きるのかということだ。

 水曜日に行われた公聴会で、ヒラリー・クリントンは彼女の中にあるジレンマを次のように語った。

 「世界でアメリカ軍の能力と勇敢さに匹敵する軍隊は存在しません。しかし、私たちが直面している問題の多くは、軍事力だけですぐに、完全に解決できるということはありません」

 ティンティは、ジャーナリストになる前、マリ北部で平和部隊(Peace Corps)のヴォランティアをしていた。ティンティはマリ国内の政治状況がアフガニスタンとよく似ていると指摘している。イスラム聖戦主義者たちは国内では人気がないが、政府は弱体化している。マリの地方幹部の多くが国民の信認を失っている。マリ軍と治安維持部隊は機能不全に陥っている。トゥアレグ族やその他の人々は自治権を要求しているが、長年にわたり実現していない。そして、ヨーロッパへコカインを輸出する麻薬取引がこれら全てを悪化させている。

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 ヒラリー・クリントンは、公聴会で、ソマリアとコロンビアがマリにとっての良い具体例になると発言した。クリントンは、「アフリカ連合(African Union)によるソマリア・ミッション(AMISOM)」に対してアメリカは資金援助を行っており、これが徐々にではあるが、アル・ハシャブやその他のイスラム原理主義勢力の駆逐に役立っていると主張した。コロンビアでは、コロンビア政府がコロンビア革命軍と麻薬組織の駆逐に成功しつつある。

 ソマリアでもコロンビアでも後退している部分はあり、努力が完璧な形で実を結んでいるという訳ではない。しかし、国際社会からの資金援助とトレーニングを受けている地域の警察や治安維持部隊は徐々にではあるが、成果を出し始めている。

 クリントンは公聴会で次のように発言している。「私たちがやらねばならないことは、長期にわたり、北部、西部アフリカにとどまり、問題解決に努力しなければならないと認識することです。これは、アメリカが歴史的に無視、もしくは軽視してきた地域に注意を払わねばならないということを意味しているのです」

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 熱を帯びたやり取りの中で、マケインは、ヒラリーとオバマ政権に対して、リビアの軍隊と警察に十分なトレーニングをしてこなかったと批判した。ヒラリー・クリントンは、この批判に対して、オバマ政権は、リビアの治安部隊へのトレーニングに対する予算を求めたが、連邦下院の共和党が請求を拒絶したのだと反論した。

 「リビアの軍隊と警察をしっかりとしたものとするためにリビア政府を手助けすることが最優先事項であり、私たちがそれに本気で取り組もうとするならば、私たちは協力しなければなりません」とヒラリー・クリントンは述べた。

 ヒラリーの述べたことが正しい。また、マケインの批判も正しい。議会での政治的な駆け引きが国務省の邪魔をしたのだ。そして、国務省はベンガジで大きなミスを犯した。私はこれまでクリントンを批判してきた。しかし、ヒラリーは、中東における脅威については正しい認識を持っている。

 ヒラリー・クリントンは中東を席巻している変化に言及し、次のように述べている。「私たちは新しい現実に直面しています。私たちは誰も予想しなかった事態に対応しなければなりません。そして、私たちは新しい現実と共に生きていかねばなりません」

 ヒラリーは、アメリカが海外では「謙虚さ」を示し、国内では、国家安全保障問題を「政争の具」にしてしまうことを止めるように求めた。ヒラリーは、アフリカとアラブの春が一段落した中東地域において、治安維持のための警察力を強化し、民主政治体制を促進するためにアメリカが長期にわたり関与するために、冷戦期のような超党派の合意が必要であると述べた。

 ヒラリーは、ソマリアとコロンビアに言及しながら、次のように述べた。「私たちは賢くならねばなりませんし、過去の教訓から学ぶ必要もあります。私たちは政権が代われば変更されてしまう政策を遂行するのではなく、一つの全く同じ政策を遂行していく必要があります」

 ヒラリーは更に次のように語っている。「私たちは世界で誰も持っていない政治力、経済力、軍事力を持っています。しかし、私たちはこのような力を最も効果的に使う方法を知ろうとせずに、横道にそれてばかりいます」

 「横道にそれている」とは、国家安全保障を危険にさらす党は争いについてのヒラリー・クリントン独自の婉曲表現である。もしアメリカが一つにならなければ、ベンガジ事件のようなことは更に起こることになるだろう。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-02-07 19:48 | アメリカ政治

読売新聞が大々的に報じた東京財団出身者の動き

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 昨日の読売新聞に興味深い記事が掲載されていました。今年の夏に行われる参議院選挙の山形選挙区の自民党候補に大沼瑞穂氏という女性が決定したということです。党内の選挙で現職の県議に圧勝しての候補の内定ということになりました。

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 地元出身の県議が東京出身、公募で山形に移住してきた候補者になったということです。これは日本ではなかなかないことで、よほどのバックアップがなければ難しいことです。そのバックアップの一つの要素が「東京財団(Tokyo Foundation)」というシンクタンクです。

 東京財団はアメリカ(のジャパンハンドラーズ)の日本における一つの拠点になっています。東京財団の研究員一覧(→http://www.tkfd.or.jp/research/people/)を見ていただければわかりますが、ジャパンハンドラーズの頭目、現地司令官のジェラルド・カーティスコロンビア大学教授が研究員として在籍しています。ジェラルド・カーティス氏については、拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)で詳しく書きました。お読みいただければ幸いです。

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 大沼氏の内定には、自民党本部の意向、もっと言えば、アメリカの意向が反映したものと思われます。

 東京財団と読売新聞社は共同で講演会やセミナーを開催するなど深い関係にあります。この2つの組織は共にアメリカの手先の拠点となっています。その点で関係が深いのは当然のことだと思われます。

 今回の大沼氏の内定は、読売新聞にとっても喜ばしいことだったようです。それで大々的に報道したようです。しかし、それは属国メディアのさもしい喜びということになるでしょう。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「女性元研究員、自民党員選挙に圧勝…参院候補に」

読売新聞電子版 2013年2月5日
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20130205-OYT1T00340.htm

 自民党山形県連は4日、参院選山形選挙区(改選定数1)の公認候補を選ぶ党員投票の開票を行い、元東京財団研究員の大沼瑞穂氏(34)が選出されたと発表した。

 県連は近く、党本部に大沼氏の公認を申請する。

 大沼氏と県議の児玉太氏(42)の2人で争われた。発表によると、投票総数は5702票で、大沼氏が約63%にあたる3579票を獲得し、2118票の児玉氏に大差をつけた。投票権を持つ党員は8801人で、投票率は64・79%だった。

 大沼氏は、2010年の前回参院選でも公募に応じたが、党員投票で現職の岸宏一氏に503票差で敗れている。再挑戦で公認の座を射止めた大沼氏は「女性と高齢者の雇用を取り込むことが経済成長に欠かせないと訴えていきたい」と抱負を語った。

 県連を二分する激しい選挙戦が展開された前回の党員投票から一転、今回は県選出の国会議員が目立った動きを見せない「静かな」戦いとなった。大沼氏は前回の党員投票で培った知名度や若さを武器に、幅広い支持を集めた格好だ。

 今回の結果について、記者会見した同党県連の志田英紀幹事長は「もっと競ると思っていたので予想外だった」とした上で、「決まったからには大沼さんを挙党一致でもり立てていきたい」と話した。

 同選挙区は、いずれも新人で共産党の太田俊男・党県副委員長(59)、幸福実現党の城取良太氏(35)が出馬の意向を表明。改選を迎えるみどりの風現職の舟山康江氏(46)も近く立候補を表明する見込み。舟山氏が離党した民主党は、県連と連合山形が3月末までに共同で候補者擁立を目指す。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-02-06 01:40 | 日本政治

みんなの党・渡辺喜美代表についての記事を読んで:米政翼賛会内の動きが活発化している

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 今年の1月に入ってから、みんなの党と日本維新の会の選挙協力、合併の記事と合わせて、渡辺喜美・みんなの党代表に対する攻撃記事が目立つようになりました。これらの記事は、週刊CIA日本版の週刊文春(文藝春秋社)と日刊CIAにもなれない哀れな属国メディアで、全国紙の落ちこぼれの産経新聞に掲載されています。文藝春秋社と産経新聞が海の向こうの意向を受けて渡辺氏に攻撃を加えていることは明らかです。

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 渡辺氏は、日本維新の会との合併や協力について慎重な立場を取っています。確かに、渡辺氏は一時期、みんなの党と日本維新の会の合併を模索したことがありました。しかし、日本維新の会が石原慎太郎氏率いる太陽の党(今となってはもう懐かしい響きですね)と合併したことで、昨年の総選挙では選挙協力までは行いましたが、それ以降、合併の話はしなくなりました。

 一方、橋下徹大阪市長は、「日本維新の会がなくなっても」「自分が下がっても」良いので、みんなの党と日本維新の会の合併を進めたいと主張しています。「第三極」として、自民党に対抗するという姿勢を見せています。

 これに対して、渡辺氏は、「日本維新の会が政策の異なる太陽の党と合併したこと」に対して、不信を持っているということになっています。しかし、渡辺氏以外のみんなの党の政治家たちは日本維新の会との合併に乗り気で、(恐らくとしか言えませんが)渡辺氏の許可を得ることなく、選挙協力や合併に向けての話し合いをしているようです。

 私は昨年から、渡辺氏以外のみんなの党の面々は日本維新の会との合併を望んでおり、渡辺氏は孤立しているということを感じ、そのことをツイッターなどで書いてきました。いよいよそれが現実になりそうです。これには権力闘争の面とよりアメリカの意向に沿うように米政翼賛会の引き締めを図るという面があるように私には感じられます。

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 みんなの党の江田憲司幹事長は、橋本龍太郎元首相の女婿であり、元通産官僚です。竹中平蔵氏や堺屋太一氏との関係も深い人物です。諸事情で今はみんなの党にいますが、元々は自民党や日本維新の会の中核、米政翼賛会の中核となる人物です。また、浅尾慶一郎氏もまた同じような人物と言えます。

 党の代表が放り出されるということは、近々であれば、亀井静香氏が国民新党から追い出されるということがありました。みんなの党もまたそのようなことが起きるのではないかと思われます。それにしても、文藝春秋も産経もアメリカの御用聞きばかりで情けなくないのでしょうか。いっそとのこと、合併してしまえばすっきりしてよいのではないかと思います。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「ミスター・アジェンダ 渡辺喜美の孤独な闘い 前門の橋下、後門の江田 みんなの党がひとりの党になる可能性も」
MSN産経ニュース 2013.2.1
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130201/stt13020122560002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130201/stt13020122560002-n2.htm

 みんなの党の渡辺喜美代表が、日本維新の会に対し“けんか腰”の姿勢を強めている。連携を互いに模索しているはずの維新の橋下徹共同代表と舌戦を繰り広げたかと思えば、国会での維新との幹部間協議まで「どうでもいい」と一刀両断。ただ、足下の党内には渡辺氏のワンマンぶりへの不満もくすぶっており、今のところ「孤独な闘い」を強いられている。(原川貴郎)

 「維新のペースに巻き込まれてしまうと、ズルズル遅れちゃうんです…」

 1日の国会内での記者会見。夏の参院選の候補者擁立について問われた渡辺氏は、維新をこう牽制(けんせい)し、一部公認候補を月内に発表すると明言した。

 維新との候補者調整が緒に就いたばかりであることを考慮し、1月27日の党大会で予定していた候補者のお披露目を見送ったことを踏まえての発言だった。

 「維新ペース」を警戒するのは昨年8月の苦い思い出があるからだ。渡辺氏は維新に「対等合併」を持ち掛けたが、維新は渡辺氏を袖にし、旧太陽の党と合併。結局、昨年の衆院選で自民党の大勝を許す結果となり、渡辺氏は「(維新には)猛省を促したい」と発言している。

「ミスター・アジェンダ(政策課題)」を自認する渡辺氏にとって、政策の一致は譲れない一線。維新の政策にも「旧太陽系が本当に原発ゼロの路線を飲めるのか」と疑問のまなざしを向ける。

 「渡辺氏には合併を拒否しながら、政策的に異質の旧太陽と合流し、今になって結婚したいと言ってくる橋下氏への不信感がある」

 そう解説するのはみんなの党幹部。橋下氏がみんなの党と民主党の一部を巻き込む形での新党結成に言及するなど、野党再編の主導権を握ろうとしていることも、「元祖第三極」を自負する渡辺氏の神経を逆なでしているようだ。

 だが、そんな渡辺氏の「不信感」は、党内をも覆いつつある。

 維新との連携話を進める江田憲司幹事長の動きすら、「選挙協力の権限の持ってない人たちが集まっているわけで、どうでもいい話」とこき下ろしたのだ。これには党内から「本来、選挙は幹事長マター。江田さんの立場がなくなる」との声が出ており、江田氏との主導権争いの様相を呈している。

 前門の橋下氏に、後門の江田氏。このままでは渡辺氏が孤立し、みんなの党が「ひとりの党」になりかねない。

●「「もう少し大人の政治家に」 橋下氏、みんなの党との合流に期待「維新なくなっても…」」
MSN産経ニュース 2013.1.28
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130128/stt13012814280003-n1.htm

 みんなの党の渡辺喜美代表が今夏の参院選に向けた日本維新の会との合流に否定的な姿勢を示していることについて、維新の共同代表に就任する橋下徹大阪市長は28日、「自公政権への対抗勢力となる新しい大きな政党をつくり、参院選で選択肢を示したい。そのために維新がなくなっても構わない」と重ねて合流に期待感を示した。

 渡辺氏は、維新が昨年の衆院選直前に太陽の党と合流して以降、維新について「政策が分からなくなり信頼が壊れた」との発言を繰り返し距離を置いている。

 これに対し、橋下氏は「反省すべきところは反省する」としつつ、みんなとは政策が基本的に一致しているとの認識を表明。両党の合流を求め、「どちらが吸収するとかではない。渡辺代表が気に入らないなら僕が引いても構わない。もう少し大人の政治家になってほしい」と述べた。

 一方、自民については「既得権を打ち破り、新しい社会構造をつくるというスタンスが決定的に違う」と対決姿勢を鮮明にした。

●「維新との幹部級協議、渡辺代表「どうでもいい」」
読売新聞電子版 2013.2.1
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20130131-OYT1T01205.htm?from=ylist

 みんなの党の渡辺代表は31日、国会内で記者団に対し、同党と日本維新の会の幹部級協議について、「選挙協力などの権限を持っていない人たちが集まっているのだから、どうでもいい話だ」と語った。

 国会内で同日開かれた幹部級協議には、維新の会の松野頼久国会議員団幹事長とみんなの党の江田幹事長らが出席し、協議の定例化で合意した。両党の政調会長らは30日、10項目の基本政策でも合意。夏の参院選の選挙協力に向けた連携の動きに、渡辺氏が冷や水を浴びせた形だ。

 維新の会幹部は31日、渡辺氏の発言について、「ひどい発言だ。江田氏の立場もなくなる」と憤った。みんなの党内では、「選挙協力を主導する江田氏と渡辺氏の主導権争いが激化している」との見方が出ている。

(2013年2月1日08時04分 読売新聞)

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-02-02 20:32 | 日本政治

自民党内の新しい動きについて:小泉氏の人脈づくりと石破氏の派閥づくり

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



ここ数日、自民党内の新しい動きの話が記事になっています。小泉進次郎氏が率いる、自民党青年局の陣容が紹介されたり、石破茂幹事長(脱派閥を標榜しているし、昔は武村正義氏が主宰したユートピア政治研究会に参加していたこともある)の側近がグループ作りを行っているという記事が出たりしています。

 現在の自民党の派閥について、読売新聞の取材・記事によると、次のような状況になっています。

・町村派(町村信孝元官房長官):80名→岸派・福田派・安倍派・三塚派・森派
・額賀派(額賀福志郎元財務相):約50名→田中派・竹下派・小渕派・橋本派
・岸田派(岸田外相):40名→池田派・前尾派・大平派・鈴木派・宮澤派・加藤派
・麻生派(麻生太郎副総理):34名→河野(洋)派
・二階派(二階俊博総務会長代行):28名→中曽根派・渡辺派・亀井派・伊吹派
・石原派(石原伸晃環境相):約15名→山崎派
・大島派(大島理森前副総裁):12名→三木派・河本派・高村派
・無派閥:約120名

 石破幹事長の側近と言われているのが、鴨下一郎国対委員長や山本有二衆院予算委員長です。彼らが石破派作りに動いているようです。一方の記事は、青年局の人事のことで、この中から小泉派ができてくるという筋立てになっています。

 小泉派ができるまではまだまだ時間がかかるでしょう。派閥はお金を配り、人事に介入し、若手の教育をするための組織です。小泉氏自体にはお金がなく、時分がまだ教育課程にいる身ですから、シンパグループ作りにはなるでしょうが、派閥という訳にはいかないでしょう。しかし、小泉進次郎氏のグループ作りの記事が出て、すぐに石破氏の派閥づくりの記事が出たというのは興味深いことです。こうした動きは恐らく、自民党内では、安倍氏の次は石破氏で、その次の次位は小泉氏であるちということを示すためのものでありましょう。

 小泉氏は父親の純一郎氏がある意味で最大の切り札です。はっきり言ってそれ以外には、学閥や閨閥(これはこれからのことですが)がありません。そこで、青年局長の今こそ、人脈作りをしなければならず、現在の青年局には、将来、小泉氏のライバルになる人、側近になる人、他派閥・グループながら親小泉氏になる人が出てきそうです。小泉氏の学閥と言えば、コロンビア大学やアメリカ留学経験者ということになるでしょう。これならば、自民党の内部にもたくさんいます。青年局次長には初当選組の福田達夫氏が入っています。福田氏は福田康夫元首相の長男です。福田氏と関係が深いのが国務省日本局長のマーク・ナッパー氏で、ナッパー氏は、ケント・カルダー・ジョンズホプキンズ大学SAIS教授の弟子筋であり、自民党で秘書をしていたということでは、マイケル・グリーンとは先輩後輩ということになります。ここに恐らくですが、今年の参議院議員選挙で中曽根康弘元首相の孫である康隆氏(コロンビア大学大学院で小泉氏とほぼ同時期に学ぶ。指導教授は共にジェラルド・カーティス教授)も加わってくるものと思われます。ジェラルド・カーティス、ケント・カルダー、マイケル・グリーンとの関係が深い人々が「若手」として自民党内で蠢動を始めようとしています。ここら辺のことは拙著『アメリカ政治の秘密』に書きましたので、お読みいただければ幸いです。

 自民党青年局で思い出すのは、竹下登青年局長と宇野宗祐次長の関係です。彼ら2人は、正力松太郎氏などからお金をもらい、アジアを歴訪し、青年海外協力隊創設のアイディアを得て、その創設に尽力します。2人は別派閥でありながら、友人関係を続けます。そして、竹下氏が退陣した後に、宇野氏の名前が出てきたのです。歴代の青年局長の名前を見ると、のちに総理大臣にまでなった人たちの名前が散見されます。現在の安倍氏も1996年から青年局長を務めています。この青年局長というポストはこれからの自民党内では、スッテピングボードになっていくのかもしれません。

 小泉氏にはまだ時間的な余裕がありますが、石破氏は待ったなしの状況で、党内に勢力を作らねばなりません。前回の自民党代表選でも明らかなように、国会議員の中で人気がないのが石破氏の弱点でした。しかし、今回の衆院選では新人たちが多数当選し、党内のバランスも変わってきています。新人たちが誰よりも恩義を感じるのが幹事長です。ですから、石破氏には現在の状況は大きなチャンスと言えましょう。ポスト安倍と言って、名前が出てくるのは石破氏と石原伸晃氏くらいのものです。ここで石破氏が党内を固めておけば自然と次の総理の座は転がり込んでくるでしょう。そうした中で、キーマンになるのは、山本有二代議士ということになるでしょう。汚れ役も引き受けられるキングメーカー型の政治家です。鴨下氏は医者からの転身で、ソフトな語り口の理論派であり、テレビ受けのする政治家です。硬軟取り合わせた人たちが側近にいるというのは、石破氏の強みとなります。石破氏の派閥づくりは石破氏の個人的な意向というよりも、ポスト安倍に向けた大きな動きであり、その裏にアメリカがいると言えましょう。政治家たち以外での人気は証明されたわけですから、不安要因である政治家たちの人気を固めておけば、安倍氏が辞任するような事態になってもすぐに対応できます。

 自民党内で新しい動きが出ているようです。若い小泉氏の人脈づくりとベテラン石破氏の派閥づくり。これはポスト安倍へ向けた動きであり、将来に備えた動きです。そして、これらの動きの裏にはまたアメリカがいるようです。その点では確かに記事として連続して出てくるべきものなのでしょう。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「石破氏、“無派閥の派閥”を旗揚げ! 「包囲網」打破が狙い?」

ZAKZAK 2013年1月29日
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130129/plt1301291136003-n1.htm

 自民党の石破茂幹事長を支持する無派閥議員が、事実上の「石破派」を立ち上げることが分かった。昨年9月の総裁選で、石破氏は「脱派閥」を掲げて戦ったが、安倍晋三首相率いる主流派が「石破包囲網」を敷くなか、前言を修正して基盤強化に乗り出すつもりなのか。

 石破派の名称は「無派閥連絡会」。総裁選で石破氏を支えた鴨下一郎国対委員長や、山本有二衆院予算委員長ら約30人が参加し、31日に初会合を開く。党内第4、5勢力となる見込み。他派閥と同様、今後、毎週木曜日昼に定例会合を開くという。朝日新聞が29日朝刊で報じた。

 昨年末の衆院選で圧勝し、自民党幹事長に留任した石破氏だが、その立場は極めて微妙だ。

 石破氏は党三役に懇意の小池百合子元防衛相を推したが、安倍首相は、野田聖子総務会長と高市早苗政調会長を抜擢した。自身の周辺にも、安倍首相に近いベテランの河村建夫選対委員長や、細田博之幹事長代行、二階俊博総務会長代行らがおさまり、完全に包囲網を敷かれているのだ。

 政治のイロハを学んだ田中角栄元首相の教え通り、「数の力」で政治の壁を打ち破るつもりなのか。

 自民党関係者は「『脱派閥の派閥』なんて冗談みたいな話だ。まあ、石破氏が『脱派閥』を掲げたのは、所属した額賀派の幹部らとソリが合わず、同派を飛び出たから。本気で『脱派閥』を唱えたわけではない。今後、隙を狙って『ポスト安倍』に踏み出すつもりだろう」と語っている。


●「進次郎氏、事実上の旗揚げか 82人決起! メンバーは大物の子弟ズラリ」

ZAKZAK 2013年1月28日
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130128/plt1301281826006-n1.htm

 自民党内で若手エース、小泉進次郎青年局長(31)をめぐる動きが活発化している。通常国会の28日召集を受け、青年局は30日に役員会を開いたうえで、2月1日から毎週、定例役員懇談会を開くというのだ。役員数は衆院議員72人、参院議員10人の計82人で、党所属国会議員の5分の1以上になる。永田町では「事実上、進次郎派の旗揚げでは。一致結束すれば、無視できない勢力になる」と見る向きもある。その全容とは-。

 「進次郎氏がやる気満々らしい」

 自民党の一部に先週初め、こんな噂が飛んだ。関係者によると、進次郎氏は先々週あたりから、若手の議員会館事務所に「これから頑張りましょう」などと、あいさつをして回っていた。

 念頭には青年局の人事があったようだ。22日の総務会で青年局役員人事が決定され、新体制が発足した。45歳以下の衆院1-3回生、参院1、2回生のうち、政府入りした議員などを除く82人が役員になった。

 同日、青年局事務局から会館事務所に、会議・会合の案内がファクスで届いた。それによると、1月30日正午に党本部で役員会を開き、2月1日以降の毎週金曜日、正午から定例役員懇談会を行うという。

 進次郎氏の脇を固める青年局メンバーの顔ぶれはどうなっているのか。目につくのは、父である小泉純一郎元首相と縁のある大物政治家らの子弟だ。

 橋本岳(がく)氏は、1996年と2001年の総裁選で小泉元首相と争った橋本龍太郎元首相の次男。武部新氏の父は、小泉元首相に「偉大なるイエスマン」として尽くした武部勤元幹事長。福田達夫氏の父は、同じく官房長官として仕えた福田康夫元首相。中川俊直氏の父は、やはり政調会長を務めた中川秀直元幹事長、大野敬太郎氏の父は、大野功統(よしのり)元防衛庁長官…。

 彼らが国会議員になる前の経歴としては、地方首長や財務・農水・国交官僚、弁護士、医師、経営者、松下政経塾出身者、五輪メダリスト、ミスコン女王など、まさに多士済々といえる。

 こうした面々を統括する役員懇談会が、定例化されたのが特筆される。

 政治評論家の浅川博忠氏は「自民党の各派閥は、毎週木曜日に定例会を開いており、進次郎氏は曜日をズラして同じ形を取った。青年局所属議員は、国民的人気の高い進次郎氏とともに行動することで後援会などに発信できて選挙にプラス。進次郎氏としては、今後に備えてそれなりのグループを作りたい思惑もありそうだ。政策が近く、気心の知れた議員が絞り込まれて『進次郎グループ』のような形になるのではないか」と語る。

 過去の若手議員グループとしては、2005年衆院選で初当選した「小泉チルドレン」83人がつくった「83会」が記憶に新しい。08年の総裁選では、83会メンバーが中心となって小泉元首相の再登板を目指すなど、政局にも絡んだ。

 24日現在、自民党の国会議員は378人(正副議長含む)だから、青年局の82人が結束して動けば大きな力となるのは間違いない。

 自民党中堅議員は「83会と違い、青年局には進次郎氏という『核』があるのでインパクトが大きい。政策形成の過程で執行部に圧力をかけたり、いざとなったら進次郎氏を総裁候補として立てる可能性もある」と警戒感を隠さない。

 実際、進次郎氏は存在感を発揮し始めている。

 新年早々の党厚生労働部会で、70-74歳の医療費窓口負担を1割に据え置いている特例措置の存廃について議論した際、進次郎氏は「2割という本来の水準に戻すべきだ」と主張し、夏の参院選への影響を懸念する議員と対立した。

 進次郎氏と青年局メンバーは2月10日から11日にかけて、全国の青年部長や青年局長も交えて、1泊2日で東日本大震災の被災地・福島を訪問する。毎月11日、被災地を訪問する青年局の事業「TEAM-11」の一環で、被災者を招いて同事業の1周年報告会を開催するという。

 さらに、島根県が2月22日に主催する「竹島の日」記念式典に、進次郎氏は青年局メンバーと出席する予定で、石破茂幹事長も了承済みだ。

 青年局長は「首相への登竜門」といわれ、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相も経験者だ。進次郎氏もここで人脈を作り、政策、グループの動かし方を学びステップアップしていくのか。

 前出の浅川氏は「先輩議員から『若手を囲い込んでいる』と嫉妬されないように、うまくやれるかが課題だ。参院選までは『選挙の顔』として進次郎氏には活発に動いてもらいたいはずなので、動きは黙認される。参院選後は難しいかじ取りを迫られるだろう」と話している。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-01-30 21:24 | 日本政治

ネオコンは死なず:ナショナル・インタレスト誌から

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



マルコ・ルビオとネオコンの復活(Marco Rubio and the Neocon Resurgence)

ジェイコブ・ハイルブラン(Jacob Heilbrunn)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2013年1月24日
http://nationalinterest.org/blog/jacob-heilbrunn/marco-rubio-the-neocon-resurgence-8016
http://nationalinterest.org/blog/jacob-heilbrunn/marco-rubio-the-neocon-resurgence-8016?page=1

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フロリダ州選出の共和党所属連邦上院議員マルコ・ルビオ(Marco Rubio)は、次の大統領選挙出馬の準備として、小さいが重要な動きを行った。それは、ルビオがジェイミー・M・フライ(Jamie M. Fly)を国家安全保障担当補佐官として雇った。フライは、シンクタンクのフォーリン・ポリシー・イニシアチヴ(Foreign Policy Initiative)の事務局長を務め、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権に参画していた。これはなかなか賢い決定であった。それは、イラク戦争が失敗だったとは認めることを拒否し、ネオコンが支配している共和党向けには賢いということではあるが。ネオコンが、外交政策について議論を行う際の決まりきった定型文を作っている。共和党内部をネオコンが支配している状況では、共和党内で外交政策に関する議論、内輪もめさえも起こすことができないでいる。ネオコンは共和党内部をこれまでよりも完全にコントロールしているようである。

フォーリン・ポリシー・イニシアチヴ(FPI)は2009年にウィリアム・クリストル(William Kristol)によって創設された。その目的は、有望な若手を訓練することだ。この組織は目的を達成したように見える。FPIは、ニューヨークに1か所、ワシントンに2か所のリーダーシップ・プログラムを作った。フライは、手堅い手腕と熱意にあふれたネオコンであり、シリア、アフガニスタン、イスラエルといった幅広い外交政策に関する諸問題で強硬な発言を繰り返している。昨年の秋、フライは『フォーリン・ポリシー』誌で次のように書いている。

「オバマ大統領は、同盟諸国を疎外し、専制国家に対する国家を代表して発言することを失敗している。オバマ大統領はアメリカの国益を脅かす暴政国家に関与し、異議申し立てを無視してきた。イランが核兵器開発能力を手にする日はだんだん近づいている。アメリカと同盟国イスラエルとの間の不協和音は大きくなっている。そして、テロリストによるアメリカ国民や政府関係者たちへの攻撃計画は、イラン政府の指令に基づいて次々と立てられている」

フライがマルコ・ルビオのスタッフに参加したことは、共和党内にネオコンの影響力が残っていることを示している。そして、ウィリアム・クリストルが自分の片腕を共和党内部で地位を得させることに成功したことも示している。

 フライは、ゲイリー・シュミットと共著で、『フォーリン・アフェアーズ』誌に記事を掲載した。この記事の中で、フライは、アメリカがイランを攻撃することを求めている。記事の中から引用する。

「限定的な軍事攻撃が一時的であるが、有効な解決策である。しかし、核兵器開発プログラムを阻止したいとアメリカ政府は考えているのに、実際には反対のことを行うことになる。イラン政府は核兵器開発プログラムを地下に潜らせ、アメリカとアメリカの同盟諸国に脅威を与える能力を保持している。それをアメリカは許しているのだ。アメリカは軍事行動の採用について真剣に考える場合、イランの核開発プログラムにだけ攻撃するだけではなく、イランの現体制を不安定にするべく攻撃することが必要だ。それによって、イランの核開発危機を一気に解決することにつながるのだ」

 残念なことに、空爆を行っても、体制変革(regime change)が起きるという保証はない。どれほど大規模な空爆を行っても、体制変革が起きないこともある。オリバー・ノースはかつてイラン・コントラ事件について述懐した時、攻撃が体制変革につながるとは限らないという考えを「きちんとした考え」と評した。アメリカによる空爆によって、中東地域を混乱に陥るか、イランの現体制を強化するという結果で終わることもある。ルビオは、自分の領分をはっきり区分している。外交問題に関して言うと、敵を作らないようにという意図を持っている。ルビオの決断は他の大統領選挙立候補希望者たちにも影響を与え、彼らがネオコンを自陣営に招くこともあるだろう。そして、大統領選挙の予備選挙と本選挙での焦点となる可能性もある。

『ニューヨーカー』誌にジル・レポーレによる重要な記事が掲載された。その記事によると、冷戦終結後、アメリカの軍事的な立ち位置について再評価はなされてこなかったということだ。レポーレは、ボストン大学のアンドリュー・J・バセヴィッチ(Andrew J. Bacevich)教授の文章を引用している。この部分は単純ではあるが重要である。バセヴィッチはアメリカの軍事中心主義(militarism)に対して批判的な人物として有名である。

「アメリカは地理的に言えば、2つの大洋によって世界から隔絶されているが、同盟諸国に囲まれている。アメリカは地理的に見て、偶然の結果ではあるが、地上で最も堅固に守られている国である。それにもかかわらず、太平洋戦争終結後の約60年間、約30万のアメリカの将兵が海外に駐留してきた。ドイツには5万5000人、日本には3万5000人、イタリアには1万人が駐留している。連邦政府の「国防」予算とは言っているが、国境警備やアメリカ国民警護にはそこまでのお金が投入されてはいない。それどころか、アメリカ軍は、アメリカの外交政策を補強しているのだ。

 これは否定しづらいものだ。オバマ大統領はイラクからアメリカ軍を撤退させ、アフガニスタンからも撤兵させつつある。しかし、アメリカの国外における軍事力と目的についての基本的な議論は、オバマ政権内でも連邦議会でも行われていない。これまでの20年間のことを懐かしむ人は、アメリカは冷戦期に持っていた精神を現在でも保つべきだと考えているようだ。中国とイスラム教徒のテロリストが冷戦期のソ連の代わりになっている。また、冷戦期の主張が現在もなされていることもある。体制変革のような考えを現在でも主張しているのはネオコンである。しかし、レポーレが書いているように、アメリカ国民の中で、そのような暴力を伴う政策に対して違和感を持っている。しかし、アメリカ軍に対しては違和感を持っているということではない。「年若い帰還兵への対処が重要になっている。2011年にピュー・リサーチセンターが行った調査によると、アフガニスタンとイラクからの帰還兵のうち、半数がアフガニスタン戦争は戦う価値のないものだと考えている。約60%はイラク戦争も戦う価値のない戦争だと考えている」アメリカ国民は、イラン、シリア、その他の紛争地域に軍事介入すべきではないと考えているのは疑いようのないところだ。しかし、アメリカ国民のこのよう気持ちは共和党内部では反映されていない。オバマ大統領は、二期目では軍事よりも外交を優先するという姿勢を見せている。これに対して、ネオコンは、オバマ大統領が小心過ぎると非難している。1月22日にPBSのテレビ番組に出演したアメリカ・エンタープライズ研究所のダニエル・プレツカは、オバマ政権を激しい言葉づかいで非難した。プレツカは、アメリカの安全に対する多くの脅威を無視していると主張した。

「私は、全体の流れはトラブルだらけということになっているように思う。ベンガジ事件は、オバマ政権の後退政策を象徴したものである。また、オバマ政権がアルカイーダからの挑戦に対処したくないという姿勢が招いたものだ。オバマ政権がアルカイーダに対して消極的なのは、アルカイーダが北アフリカ、リビア、マリ、アルジェリアだけで活動している訳ではないからだ。アルカイーダは、イエメン、シナイ半島、イラク、南アジア、アフガニスタン、パキスタンでも活動している。アルカイーダに対処するには世界中に出なければならないが、オバマ大統領はそれに対して消極的なのだ」

言い換えるならば、脅威というのはどこにでもあり、全く予想しない場所にすらある。マルコ・ルビオはネオコンをこんなに早い時期から支持することを表明した。しかし、共和党がネオコンに支配され続ける限り、次の選挙でも敗北することになるだろう。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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# by Hfurumura | 2013-01-26 18:13 | アメリカ政治

第29回副島隆彦を囲む会主催定例会開催決定!

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



第29回副島隆彦を囲む会主催定例会
『ますます衰退国家にさせられる策略を見抜く』(副島隆彦)
『アイン・ランドは日本人向き――ハイエクより早く赤裸々に』(藤森かよこ)
講師:副島隆彦、藤森かよこ
開催日:2013年3月3日(日)
会場:建築会館ホール

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「副島隆彦を囲む会」主催の定例会のお知らせを致します。開催場所は東京・「田町」駅近くの「建築会館ホール」という会場になります。
どうぞ今回も、是非ご参加ください!

※この集まりは「副島隆彦を囲む会」会員の方を対象とした定例会です。
参加費は「特別会費(1Day会員)」という扱いになります。消費税の課税対象ではありません。
会員でない方は、この機会に是非、正式会員にもお申し込み下さい。※

・会員のお申し込みに関するご案内は、以下のページにございます↓
http://www.snsi.jp/tops/entry

※当日券は発行いたしません。ご参加いただく方は、全て事前のお申し込みをお願い致します。

■□■□■

<<講演会のお申込み方法>>

1.以下の「お申込みフォーム」に必要事項を入力し、最後に「送信する」ボタンを押して(クリックして)下さい。

2.お客様のメールアドレス宛に送信される「返信メール」に従って、ご入金ください。(「『囲む会』会員の方:4,000円/非会員(1 Day会員)の方:6,000円」)

3.当方でご入金を確認した後で、随時、当日の交通アクセスなどを記載した「入場券(はがき)」をご住所宛てに郵送します。
(※郵便振替の場合には、銀行よりも2日ほど、入金確認までお時間が掛かります。)

4.あとは当日、この「入場券(はがき)」を会場に忘れずにお持ち下さい。

■□■□■

【参加費について】
参加費(特別会費)は
「『囲む会』会員の方:4,000円/非会員(1 Day会員)の方:6,000円」
になります。

【ご注意】
※複数人でお申し込みをされた方は、
「各お一人様につき、4,000円(または 6,000円)ずつ」の合計の金額を、お振込み下さい。

■□■□■

【会場について/交通手段】

・「建築会館ホール」
↓以下のURLをクリックしていただくと、
↓会場「建築会館ホール」までのアクセスのご案内が出てきます。
http://www.aij.or.jp/jpn/guide/map.htm

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第29回 副島隆彦を囲む会主催定例会
「ますます衰退国家にさせられる策略を見抜く」
講師:副島隆彦先生、藤森かよこ先生

開催日 2013年3月3日(日曜日)
会場 「建築会館ホール」
アクセス
●JR「田町」駅,都営地下鉄「三田」駅(浅草線・三田線)徒歩3分

会場住所 〒108-8414
 東京都港区芝5丁目26番20号
 TEL 03-3456-2051
 FAX 03-3456-2058

※定例会の予定等についてのご質問は、囲む会(042-529-3573)へ、お問い合わせをお願い致します。
「建築会館ホール」へは、交通アクセスについてだけ、お問い合わせ下さい。

【当日の予定】

開場  12:15
開演  13:00
終了  17:30

※開場、開演時間以外は、あくまで予定です。終了時刻等が変更になる場合もございます。
※お席は全て「自由席」になります。お手荷物・貴重品等はお客様ご自身で管理をお願い致します。

お問い合わせ先:
「副島隆彦を囲む会」
〒190-0012 東京都立川市曙町1-24-11 橋本ビル5F
Tel.042-529-3573 Fax.042-529-3746
メールアドレス:snsi@mwb.biglobe.ne.jp

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-01-24 18:17 | 宣伝

日本の円安に対してヨーロッパから批判が起きている

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 フィナンシャル・タイムズ紙(Financial Times)が日本の甘利明経済財政担当大臣のインタビューを基にした記事を掲載していました。タイトルは、「日本政府は円安に対する批判へ反論(Japan fires back at currency critics)」(アドレスは以下の通りです。→ 
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/45bf2708-6546-11e2-8b03-00144feab49a.html#axzz2Io3uYryA)です。このインタビューの肝は、ドイツの中央銀行総裁バイトマン氏と英イングランド銀行のキング総裁が日本の金融政策を批判し、「通貨戦争(currency war)」を起こすつもりかと述べています。また、中央銀行の独立性を犯しているという批判を行っています。これに対して、甘利大臣は、「日本が意図的に通貨安になるようにはしていない」「これまで以上に円高だったのが是正されているだけ」といった反論を行っています。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

January 23, 2013 10:50 am

Japan fires back at currency critics

By Jonathan Soble in Tokyo
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/45bf2708-6546-11e2-8b03-00144feab49a.html#axzz2Io3uYryA

Japan’s government has denied that it is trying to revive the country’s economy at the expense of its trading partners by intentionally weakening the yen, defending a new and more assertive monetary policy that some critics have warned could lead to “currency war”.

Akira Amari, economy minister, hit back against admonishments by Jens Weidmann, the president of Germany’s Bundesbank, and other officials in Germany as well as the UK, who have raised concerns about the political pressures that led the Bank of Japan to ease its policy this week.

In an interview with the Financial Times on Wednesday, Mr Amari rejected Mr Weidmann’s characterisation of the Japanese moves as “alarming infringements” of central bank independence that could lead to “politicisation of the exchange rate”.

“Germany is the country whose exports have benefited most from the euro area’s fixed exchange rate system. He’s not in a position to criticise,” Mr Amari said.

Japan’s new prime minister, Shinzo Abe, is pushing the BoJ to take stronger measures to support the economy and end consumer-price deflation, which has dogged the country for much of the past two decades.

His effort is seen as a primary cause of the yen’s 10 per cent drop against the dollar and 14 per cent tumble against the euro since November, when the election that brought him to power was called.

On Tuesday, the central bank extended indefinitely its programme of buying up government bonds and set a target of 2 per cent inflation, reaching beyond what had been a flexible “goal” of 1 per cent.

Mr Amari rejected the notion that Japan was trying specifically to weaken the yen, saying its efforts were aimed at reviving the domestic economy and reversing price declines.

“The market is in the process of correcting on its own from an excessively strong yen,” he said. “We aren’t guiding it, we aren’t doing anything.”

After the BoJ’s decision, Michael Meister, a senior member of Germany’s ruling Christian Democratic Union, said Germany might seek support from fellow G20 nations to pressure Japan to reverse course. Sir Mervyn King, Bank of England governor, also warned of the risk of competitive currency devaluations – dubbed “currency wars” since the US adopted unorthodox measures to ease monetary policy in 2010.

China added to the criticism on Wednesday. In a harsh editorial, the official Xinhua news agency said the “decision to crank up money printing presses is dangerous” and could lead to “currency wars” that could knock the global economy off track.

Mr Amari countered that the world would benefit if Japan’s economy strengthened and Japanese began buying more foreign goods. “Japan can’t simply be carried along by other country’s consumption,” he said. “We have to strengthen our own economic foundation so we can be a global leader.”

He said the government had taken an important step in that direction by announcing Y10.3tn of stimulus spending this month. Japan has the highest public debt among developed countries, at more that twice annual economic output, but Mr Amari said previous austerity measures had only made matters worse by depressing the economy and, by extension, tax revenues.

Masaaki Shirakawa, the BoJ’s governor, is to retire at the end of March and Mr Abe is expected to install a more dovish replacement.

Mr Amari said that, in addition to being “strongly committed” to co-operating with the government, the next governor should be a skilled communicator with a good command of English who can explain Japanese policy to foreign leaders and financial markets.

If Mr Abe agrees, it could favour candidates with international experience such as Haruhiko Kuroda, a former finance ministry official who heads the Asian Development Bank.

“English is a necessary but not sufficient requirement,” Mr Amari said.

Additional reporting by Simon Rabinovitch

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 ここで気になったのが、通貨戦争(currency war)という言葉です。戦争という言葉は穏やかではありません。しかし、通貨戦争についてはイメージしかないので調べてみました。この言葉は、2010年にブラジルのマンテガ財務相が使い、広がった言葉だそうです。当時のドル安政策に対して、新興国の通貨の価値が高くなったことを背景に、通貨の切り下げ競争が行われることを警告した言葉だそうです。

 各国とも輸出で景気回復を行おうとした場合、自国の通貨が安い方が良い訳です。日本も円安の方が輸出しやすい、もしくは輸出で利益を得やすいということになります。オバマ政権は製造業の復活を目論み、ドル安政策を進めました。また、ヨーロッパもユーロ安を求めました。これに対して、円は価値が上がり続け、円高状態となっていました。

 これに対して、安倍政権は、直接円安にするための政策はしていない(円売りドル買い介入)をしていません。しかし、円の価値を下げることになる、金融政策の緩和や物価上昇の目標設定をして、円安を実現しています。円が安くなると相対的にドルやユーロの価値が上がり、輸出で景気回復をしようとしている欧米としては困ってしまいます。

 また、通貨切り下げ競争が起きるのかどうか、専門家の間でも議論が分かれているようです。昨日の段階で、全く異なる予想をしている記事がありましたので、タイトルとアドレスをご紹介します。

●「【コラム】今度の通貨戦争は世界大戦に,日本が口火-ペセック」ウィリアム・ペセック
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MGZ4C66KLVR401.html

●「コラム:日銀の緩和政策、「通貨戦争」につながらず」フェリックス・サーモン
http://jp.reuters.com/article/jpeconomy/idJPTYE90M03920130123

 ヨーロッパからは日本の円安に対して大変な文句が出ていますが、アメリカでは、自動車メーカーのビッグ3の経営陣からは文句が出ていますが、あまり大きな批判は聞こえてきません。アメリカもドル安政策をやっているし、為替市場を操作することに関しては人一倍うるさい国です。オバマ大統領と大統領選挙で戦ったミット・ロムニー氏は「自分が大統領になったら初日に中国を、為替市場を操作している国に認定する」と言って批判しました。

 また、主要国が日本の円安を容認しないと、いつまでもは円安を続けることができません。95円になる、100円になるというのも日本だけの力では無理な話です。しかし、ヨーロッパは円安を望んでいないようです。しかし、アメリカは批判のトーンが鈍いようです。

 これは恐らく、安倍政権が、円安によって輸出で儲けたドルとじゃぶじゃぶに刷った円でアメリカ国債を買うということをアメリカに伝えて了承されているのでしょう。その一環が、安倍政権が打ち上げた、50兆円規模の外国債を買う政府運営の基金(SWF)を創設するということです。このことは少し前の本ブログの記事でもご紹介しました。

 日本のSWFは、外国債を専門に取り扱うということですが、そうなれば「一番安全、安心な(ことになっている)」アメリカ国債を購入するということになります。アメリカは債務上限を引き上げさえすれば、買い取ってくれる国がある訳です。そのためにも、日本にはお金(ドル)を儲けてもらわねばならない。


 だから、円安に対しても批判のトーンが低い訳です。「日本が儲けても、それは自分たちが使えるお金なのだ」ということなのです。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-01-24 13:50 | 日本政治

アメリカ政府債務上限引き上げと米国債購入のための基金(fund)の話

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 5日程前に、ブルームバーグで、「日本が外国債を買い入れる見通し:安倍がバーナンキに助け舟を出す」という記事が出されました。これは、昨年、元日本銀行副総裁の岩田一政氏が、円高介入のために50兆円規模の基金を創設し、外国債(米国債)を買い入れるようにすべきだと主張したことに、安倍晋三首相も同調したという内容です。

 そして、本日、米連邦下院の共和党が政府債務上限を暫定で気に引き上げる案を提出したという記事が出ました。これは、アメリカ政府の借金の上限を引き上げて、支払い不能(デフォルト)になることを防ぐことが目的ということです。しかし、共和党は、元々、国の借金が増えることには反対で、政府の予算をどんどん削ることを求めていたはずです。

 これら2つのニュースは結びつけて考えてみるべきです。アメリカは国債の発行額を増やそうとしている。日本はアメリカ国債をもっと買おうとしている。アメリカは、日本にもっとアメリカ国債を買ってもらおうとしています。ブルームバーグの記事によると、安倍政権は、そのために、日銀や事務省が運営する基金(fund)を創設しようとしています。

 日本の財務省は、円を売ってドルを買う(円の価値が下がってドルの価値が上がる)ことで、円安ドル高になります。日本の財務省は手元にあるドルでアメリカ国債を買うということになります。現在は、円安ドル高になっているので、介入は行われませんが、アメリカの製造業などからは円安に対して文句が出ています。恐らく、アメリカはある程度の円安を容認しているかもしれませんが、ここら辺が限界ということなのかもしれません。

 円安になると、日本は資源や農産物の輸入に頼っているので、電気やガスの料金は上がりますし、食料品の値段も上がります。人々の所得が増えないままに物価が上がれば、これはスタグフレーションという現象で、不景気の原因となります。安倍政権は、物価を押し上げ、GDPも2%増加させるために、金融緩和策と財政出動を組み合わせた緊急経済対策を実施することを先日発表しました。これで景気が回復すればよいのですが、どこまで効果があるかは疑問です。また、数字上は景気回復ということになっても、豊かさを実感できなかった小泉政権下のようなことになることも大いに考えられます。

「米国債は絶対安全」という考えを建前でも信じて、米国債を買い続けています。日本が買い支え続けることで、米国債の「安全性」は保ち続けられているという面があります。しかし、ここで逆回転が起こり、米国債の価値が減少を始めた時、日本は営々と築き上げてきた富を失うということになります。

 また、ここで指摘しておかねばならないのは、日銀や財務省が運営する基金を作って、外国債を買い入れるという点です。このような政府が運営する基金は、ソブリン・ウエルス・ファンド(sovereign wealth fund、SWF)と呼ばれるものです。SWFは一時期、持て囃されました。このSWF、政府による市場参加を、アメリカのコンサルタント会社ユーラシア・グループ(Eurasia Group)のイアン・ブレマー(Ian Bremmer)は、国家資本主義(State Capitalism)と呼んでいます。

 イアン・ブレマーは安倍氏と特別親しい関係にあるということを喧伝しています。安倍政権の緊急経済対策やSWFの創設といった話は、政府が経済において、主要な役割を果たすということです。これは安倍氏や現在の安倍政権に参加、協力している人々が参加した小泉政権の路線とは全く異なるものです。彼らは静かに路線を転換しています。そこに、イアン・ブレマーの影響があるのではないかと私は考えています。

 どちらにしても、日本は金融緩和でお金をじゃぶじゃぶ刷る訳で、それが日本国内ではなく、海外の、アメリカ国債の買い付けに回るということも考えられます。どちらにしても、属国の悲しさ、下駄の雪のような悲しさがそこにはあります。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「米共和党、政府債務上限を暫定的に引き上げる案」
読売新聞電子版 2013年1月19日
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130119-OYT1T00415.htm?from=ylist

 【ワシントン=岡田章裕】米下院で多数派を占める野党共和党は18日、早ければ2月半ばに米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る事態を回避するため、米政府がどこまで借金できるかを定めた政府債務の法定上限を、暫定的に引き上げる案を発表した。

 引き上げる額は、政府の資金繰りに必要な3か月分で、国債を発行して借金できる額が増える。政府が資金繰りに行き詰まるデフォルトの危機は当面先送りされる可能性が高くなった。

 連邦債務は昨年12月末に上限の16兆3940億ドル(1477兆円)に達し、現在は非常措置でしのいでいる。共和党は大幅な歳出削減なしでは債務上限の引き上げは認めないと主張し、2月半ばから3月上旬に資金繰りが行き詰まってデフォルトの危機に直面する見通しだった。

 同法案は、4月15日までに予算の大枠をまとめることを条件にする方針だ。来週、採決する方向だ。共和党にとっては、予算審議の時間を稼ぎながら、社会保障分野の大幅な歳出削減を含めた抜本的な財政再建策につなげる狙いがある。

(2013年1月19日12時16分 読売新聞)

●Abe Aids Bernanke as Japan Seen Buying Foreign Debt

Bloomberg January 13th 2013
By Wes Goodman & Daniel Kruger - Jan 15, 2013 3:37 AM GMT+0900.
http://www.bloomberg.com/news/2013-01-13/abe-aids-bernanke-as-japan-seen-buying-558-billion-foreign-debt.html

Shinzo Abe is set to become the best friend of investors in Treasuries as Japan’s prime minister buys U.S. government bonds to weaken the yen and boost his nation’s slowing economy.

Abe’s Liberal Democratic Party pledged to consider a fund to buy foreign securities that may amount to 50 trillion yen ($558 billion) according to Nomura Securities Co. and Kazumasa Iwata, a former Bank of Japan deputy governor. JPMorgan Securities Japan Co. says the total may be double that. The purchases would further weaken a currency that has depreciated 12 percent in four months as the nation suffers through its third recession since 2008.

Shinzo Abe, Japan's prime minister, speaks during a news conference in Tokyo on Jan. 11, 2013. Abe’s Liberal Democratic Party has proposed establishing a fund run by the Bank of Japan, the Ministry of Finance and private investors to buy foreign bonds.

The support would help Federal Reserve Chairman Ben S. Bernanke damp yields after the worst start to a year since 2009, according to the Bank of America Merrill Lynch U.S. Treasury Index. Government bonds lost 0.5 percent as improving economic growth in the U.S., Europe and China curbed demand for the relative safety of government debt even with the Fed buying $45 billion in bonds a month.

“I can’t imagine the U.S. would be disappointed in Japan buying Treasuries,” Jack McIntyre, a fund manager who oversees $34 billion in global debt at Brandywine Global Investment Management in Philadelphia, said in a Jan. 8 telephone interview. “The Fed’s been doing all the heavy lifting.”

Bond Yields

Ten-year note yields fell one basis point, or 0.01 percentage point, to 1.86 percent at 1:34 p.m. New York time. The yield touched 1.97 percent on Jan. 4, the highest level since April. This year, U.S. debt maturing in 10 years or longer ranked 125 out of 144 indexes tracked by Bloomberg and the European Federation of Financial Analysts Societies.

The average Treasury 10-year note yield in 2012 was the lowest since at least World War II at 1.79 percent, compared with the 20-year mean of 4.73 percent. The average 10-year yield for Japan’s debt in 2012 was 0.85 percent, and was 1.85 percent during the past 20 years.

Strategists are already paring back bearish forecasts for U.S. debt. The 10-year Treasury yield will rise to 2.27 percent by year end, according to the median prediction of economists in a Bloomberg survey. In July, the estimate was 2.7 percent.

Hiromasa Nakamura, a senior investor for Tokyo-based Mizuho Asset Management Co., which oversees the equivalent of $38 billion, is more bullish. Ten-year Treasury yields will fall to a record low of 1 percent by year-end as Japan ramps up purchases, while the yen falls to 90 per dollar, he said in an interview on Jan. 11. Japan’s buying “will be one of the positive factors in the market.”

Fund Details

Abe said yesterday he wants someone “who can push through bold monetary policy” as the next governor of the Bank of Japan when Masaaki Shirakawa steps down in April. He has demanded the central bank double its inflation target to 2 percent and engage in unlimited easing till the goal is met.

Abe’s LDP, which swept to power in elections last month, has proposed establishing a fund run by the Bank of Japan, the Ministry of Finance and private investors to buy foreign bonds. He announced Jan. 11 a 10.3 trillion yen stimulus plan including about 3.8 trillion yen for disaster prevention and reconstruction, aimed at boosting gross domestic product by about 2 percentage points and creating about 600,000 jobs.

‘Bazooka Strategy’

The election handed the LDP a political mandate to follow through on its bond-purchase plan, George Goncalves, the head of interest-rate strategy at Nomura Securities International, one of 21 primary dealers that trade with the Fed, said in a Jan. 8 telephone interview from New York. “It’s a quantum leap from doing central bank easing in local markets to foreign markets.”

Details of the bond fund weren’t announced. It might be targeted at a variety of assets including Treasuries, though the whole amount may not even be deployed, according to Yunosuke Ikeda, the head of foreign-exchange strategy at Nomura in Tokyo.

“It’s the bazooka strategy,” Tokyo-based Ikeda said in a telephone interview on Jan. 10. “In order to have an impact on the dollar-yen market, the size needs to be very big.”

The yen may weaken to about 95 per dollar, Iwata, the president of the Japan Center for Economic Research, said at a forum in Tokyo on Jan. 11. The currency traded at 89.23 against its U.S. counterpart, having earlier fallen to 89.67, a level not seen since June 2010.

Buying Treasuries

In an October report, Iwata said that a 50 trillion yen fund would enable the BOJ to purchase foreign bonds to rein in the yen.

The fund could be twice that size or more as “there’s no upper limit,” said Masaaki Kanno, the chief Japan economist for JPMorgan and a former BOJ official. Abe can hold off on unveiling a large plan now until the next time the currency starts to appreciate, Kanno said by telephone Jan. 11.

Whatever the foreign bond fund’s amount, more than half will probably be funneled into Treasuries because they are the most easily-traded securities, Yoshiyuki Suzuki, the head of fixed-income in Tokyo at Fukoku Mutual Life Insurance Co., which has about $64.8 billion in assets, said on Jan. 8.

Tradable Treasury debt amounted to $11 trillion at the end of 2012, with weekly trading volume in the securities among 21 primary dealers averaging $521.4 billion, Fed data show.

Japanese Finance Minister Taro Aso said last week that his nation will buy bonds issued by the European Stability Mechanism to weaken the yen. The nation hasn’t decided on the amount, he said.

Yen ‘Myth’

Support for a new foreign-bond fund isn’t universal.

“I personally think it won’t happen,” said Naruki Nakamura, head of fixed income at BNP Paribas Investment Partners Japan in Tokyo, which has the equivalent of $8.7 billion in assets. “There’s no need to boost yen weakness. It’s a myth. I’m not sure the new administration wants unlimited inflation,” he said in a telephone interview Jan. 4.

Working against Abe’s plan is the decade-long pattern of the yen strengthening alongside U.S. debt. Moves in the 10-year Treasury note and the yen were correlated 60 percent of the time in 2012 on a weekly basis, reflecting their roles as havens from risk. Since the start of the financial crisis in August 2007, the yen appreciated 33 percent against the dollar, while yields on 10-year U.S. government debt fell to 1.87 percent from 4.74 percent.

Good Investments

Japan bought $76.9 billion of Treasuries in September 2011 and $59.9 billion in November 2011, its two largest monthly purchases. The 10-year U.S. note yield plunged 0.31 percentage point to 1.92 percent in September 2011 as Europe’s sovereign debt crisis worsened, and in November 2011 dropped 0.05 percentage point to 2.07 percent.

These turned out to be good investments. Treasuries returned 2.1 percent in 2012, or 15 percent after accounting for the dollar’s gain against yen, according to EFFAS index data compiled by Bloomberg. Japanese government bonds gained 1.8 percent, with only Swedish government securities returning less among 26 sovereign debt markets tracked by the gauges.

Treasury yields and the value of the yen last fell in tandem between January 2000 and October 2001, as U.S. stock prices declined 21 percent from then-record highs and as the Fed lowered borrowing costs to address a recession. The currency depreciated to 122 per dollar from 103 as 10-year yields slid to 4.23 percent from 6.44 percent.

Timing Right

For Bernanke, the timing couldn’t be better. Yields have risen 49 basis points from the record low of 1.379 percent July 25 with a pickup in economic growth curtailing demand. U.S. GDP grew at a 3.1 percent annual rate in the third quarter, up from 2.7 percent in the previous three months, the Commerce Department reported Dec. 20.

With the economy improving “Treasuries are susceptible to higher yields” over the next 6 to 12 months, Gary Pollack, who oversees $12 billion as head of fixed-income trading at Deutsche Bank AG’s Private Wealth Management unit in New York, said in a Jan. 10 telephone interview. “The market will start pricing in that the Fed stops buying Treasuries as part of quantitative easing. Without the Fed you’d see higher yields.”

European Central Bank President Mario Draghi said last week the euro-area economy will slowly return to health in 2013 as the region’s bond markets stabilize after three years of turmoil. Chinese government data showed exports increased 14.1 percent in December from a year earlier, the most since May.

Europe, China

Japan raised its holdings of U.S. debt in 2012 by 7.2 percent to $1.13 trillion as of October and is on pace to again become the largest U.S. creditor since slipping to second place in September 2008. China owns $1.16 trillion. The Treasury Department’s next report on foreign ownership of U.S. securities, covering November, is due Jan. 16.

Overseas investors help reduce U.S. borrowing costs by absorbing about half of the $11 trillion of publicly traded debt. Foreign buyers benefit as the purchases help to weaken their currencies, making their exports cheaper than American goods.

The yen slid 11 percent in 2012, the most in seven years. It is still about 13 percent stronger than its 10-year average of 101.15. Domestic manufacturers want the currency to trade between 90 and 100, Hiroshi Tomono, president of Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp. said Jan. 7 in Tokyo.

Japan has been battling deflation for more than a decade, with consumer prices falling 0.1 percent each month on average over the past 10 years, causing shoppers to delay purchases. The nation’s economy contracted in the second and third quarters of 2012.

Purchasing Treasuries would “have the double benefit of allowing them to drive down the value of the yen and also better control any possible increase in yields of Japanese government bonds,” Brian Jacobsen, the chief portfolio strategist at Wells Fargo Funds Management in Menomonee Falls, Wisconsin, said Jan. 9 at Bloomberg’s headquarters in New York.

(新聞記事天左飛貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-01-19 23:31 | 日本政治

軽減税率か、給付付き税額控除か、それが問題だ:財務省にすればどちらでもOK!

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 安倍晋三首相は、先日、緊急経済対策を発表しました。安倍政権は、この経済対策で、GDPの2%成長を目論んでいます。この2%の経済成長が達成された後に実施されるのが、消費税率の5%から8%への引き上げです。「景気が良くなったら消費税を上げる」ということで、基本的に自民、公明、民主が合意しているのですから、これは予想されてきた動きです。消費税率を上げたい財務省とすれば、財政出動しても、その後、その分以上のお金を税金として取り立てることができる訳ですから、財政出動に対して文句を言いません。

 このところ、話題になっているのは、消費税率引き上げに伴って、低所得者層に対する軽減措置制度です。自民党と公明党は、導入の時期に関しては意見が異なりますが、軽減税率制度の導入を主張しています。これは食料品など生活必需品の税率を低くするというものです。しかし、どの物品やサービスの税率を低くし、どれを高くするかを決めるのは大変なことです。また、富裕層も低所得者層も同じものを買う場合は、富裕層に恩恵があるというデメリットがあります。一方、民主党は、給付付き税額控除を主張しています。給付付き税額控除とは、「所得税を減税しても、低額所得でもともと納税額が少ないため、減税の恩恵があまり受けられない人に対して給付金を支給する制度」です。この制度には、所得の把握が難しいこと、財産はあるが所得が少ない人に恩恵があるというデメリットがあります。

 この2つの制度が今、議論されています。このことについて、先日、私はとある専門家にお話を聞く機会がありました。お恥ずかしい話ですが、専門家からお話を伺うまで、そこまで関心がありませんでした。その方は、私があまり興味を持っていないのを感じたのか、大変興味深いお話を聞かせてくださいました。

 その方は、「古村君、この2つの制度の議論で何が大事か分かるかな?」とまず言われました。私は、「事務手続きの煩雑さでしょうか?」と答えました。その方は、「そんなことじゃないんだよ、財務省が絡んだことさ」とその方は言われました。そして、次のような説明をしてくださいました。

 自民党が主張している軽減税率制度が導入されたどうなるか。どの業界団体も、自分たちの商品は軽減税率の適用を受けたいと考えるでしょう。そして、一度軽減税率の適用を受けたら、その適用がずっと続いてほしいと願うでしょう。そうなると、各業界団体は、自民党の政治家、そして官僚たち、この場合は財務省にロビー活動を行います。そうなると、当然見返りということになります。政治家には政治献金や集票、官僚には天下りの受け入れということになります。財務省にしてみれば、天下り先をこれから確保するためにも、軽減税率は重要です。これだと、いわゆる「政官財の鉄の三角形」が維持されます。そして、民主党は天下りをさせないためには、給付付き税額控除が良いのだと主張しています。しかし、この給付付き税額控除にもカラクリがあります。

 給付付き税額控除を行うためには、日本国民各人の「所得の正確な把握」が必要になります。そうなると、必要になるのは、「マイナンバー(社会保障と税の共通番号)制度」です。これによって、税務署は各人の名寄せが簡単になり、転居や結婚により姓の変更などによって名寄せが困難になることを防ぐことができます。しかし、日本人のプライベートな情報まで一つの番号で把握されることになります。財務省は、マイナンバーの導入を悲願として掲げています。

 所得の正確な把握ということになると、「公正、公平な制度」のために、マイナンバー導入が不可避となります。そうなると、給付付き税額控除とマイナンバーは表裏一体の関係になります。

 財務省とすれば、「天下りの確保」と「マイナンバーの導入」のどちらが良いかということになります。私が話を聞いた専門家は、「天下りの確保はいつでもできるから、やはり、マイナンバーの導入を優先したいだろう」と話しておられました。そして、「あと、重要なことは、富裕層、財産のある層には税金が重くなるだろうね」とも話しておられました。どちらの制度も富裕層、財産家層には恩恵があるというデメリットがありますから、これを是正するための富裕層・財産家層への課税は強化されるでしょう。

 消費税の論議は、国民のためにどちらが良いかという視点でやられていると思われていますが、結局は、どちらに転んでも財務省には美味しいことになっているようです。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「低所得者対策 自民、公明は軽減税率で足並み 民主は給付付き税額控除」
MSN産経ニュース 2012.9.27 21:42
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120927/fnc12092721440013-n1.htm

 消費税率引き上げの大前提になる低所得者対策が、次期衆院選の争点に浮上してきた。自民、公明両党が食料品など生活必需品の税率を低くする「軽減税率」の導入で足並みをそろえたのに対し、政府・民主党は所得に応じて減税と現金給付を組み合わせる「給付付き税額控除」を柱に据えているためだ。長引く景気低迷で節約を強いられている家計にとって税負担の増大は切実で、各党の政策判断が注目される。

 平成26年4月に消費税率を8%に、27年10月に10%に上げる社会保障・税一体改革関連法で積み残された課題が低所得者対策だ。消費税増税は、低所得者ほど負担感が重くなる「逆進性」が問題視され、今後の税制改正論議で具体策を急ぐ必要がある。

 自民党の安倍晋三新総裁は総裁選の公約で、「軽減税率を導入」と主張。公明党は22日に発表した公約案で、税率8%段階からの「軽減税率の導入を目指す」と明記した。これに対し、野田佳彦首相は「給付付き税額控除が基本」との立場を崩していない。

 軽減税率は買い物のたびに、恩恵が実感できるわかりやすさが魅力だ。消費税にあたる付加価値税の標準税率が20%程度と高い欧州では、食料品や新聞などで広く適用され、国民負担の緩和に役立ってきた。

 政府・民主党は軽減税率は対象品目の線引きが難しく、税収が目減りするなどの難点を指摘するが、自民党は給付付き税額控除について、正確な所得把握が困難で「バラマキになる」と強く反対している。


●「軽減税率、導入時期で自公の綱引き続く」
読売新聞電子版 2013年1月13日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130113-OYT1T00437.htm?from=ylist


 2013年度税制改正を巡る自民、公明両党の綱引きが続いている。

 所得税、相続税を巡る調整は進んでいるものの、消費税率引き上げに伴う低所得者対策として生活必需品などの税率を抑える軽減税率の扱いは、なお着地点が見えない。両党は軽減税率を導入することでは一致したものの、導入時期で隔たりがある。

 「国民から消費税(率の引き上げ)を理解してもらうために、最も良い方法は軽減税率だ」

 公明党の斉藤鉄夫税制調査会長は、12日のTBS番組でこう強調した。

 斉藤氏と自民党の野田毅税調会長らによる11日の与党税制協議会では、軽減税率導入の必要があるとの認識で一致した。しかし、公明党が税率を8%に引き上げる14年4月から導入するよう主張するのに対し、自民党は10%に引き上げる15年10月以降を念頭に置いており、溝は埋まっていない。

 公明党は11日の協議会で、適用品目をコメなどの穀類や野菜などに限定する案を提示した。適用品目を絞れば、自民党が「軽減税率に不可欠だ」と指摘するインボイス(税額票)制度の導入も当面は不要になるとの判断だ。

 これに対し、自民党は、10%段階での導入を念頭に「軽減税率の検討チームを設けることでどうか」と妥協案を示し、決着はつかなかった。自民党も軽減税率には賛成しているものの、8%段階での導入には否定的な意見が根強い。夏の参院選前に8%段階での導入を決めれば、納税額の算出などで事務負担の増える小売店が反発し、支持を失う可能性も指摘されている。

 自民、公明両党は、14日に協議会を開き、軽減税率の導入時期について再度調整することにしている。(2013年1月13日15時45分 読売新聞)


●「民主 給付付き税額控除導入を」
NHK NEWS WEB  1月13日 18時11分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130113/k10014775491000.html

民主党の細野幹事長は、高知県南国市で記者団に対し、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策に関連し、自民・公明両党との今後の協議では、所得に応じて給付や控除を行う「給付付き税額控除」の導入を求めていく考えを示しました。

この中で細野幹事長は、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策に関連し、食料品などの税率を低く抑える複数税率について、「どの項目の税率を軽減するのか、本当に公平にできるのかということを考えると現実に導入できるのか、相当慎重に考えなければいけない」と述べました。

そのうえで細野氏は、「基本的には、現金を払い戻す『給付付き税額控除』によって低所得者への対応をしっかりしていきたい」と述べ、自民・公明両党との今後の協議では、「給付付き税額控除」の導入を求めていく考えを示しました。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-01-16 23:08 | 日本政治

本人(プリンシパル)の意向に反した時、代理人(エージェント)は首を切られる

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 『日本政治の経済学―政権政党の合理的選択』(マーク・ラムザイヤー+フランシス・ローゼンブルース著、加藤寛監訳、川野辺裕幸+細野助博訳、弘文堂、1995年)という本があります。この本は、日本政治研究において、大変に重要な本です。政治学に、合理的選択(ラショナル・チョイス、Rational Choice)というアプローチがあります。これは、ある政治的な行動について、「個人は利益の最大化(プロフィット・マキシマイゼーションprofit maximization)のために行動する、合理的に(rational、ラショナル)行動する」と説明するアプローチであり、現在の政治学の世界では大きな勢力になっています。

日本政治は、こうした合理的な説明ではなく、文化とか伝統、慣習、もしくは、構造から説明するものというのが通念でしたが(日本政治研究が本格化したのは第二次世界大戦後、しばらく経ってからです)、欧米の合理的選択で説明できるとしたのが、『日本政治の経済学』です。

この本で使われている理論は、プリンシパル・エージェント理論(Principal-Agent Theory)と呼ばれるものです。プリンシパルを「本人」、エージェントを「代理人」と訳すこともあります。プリンシパルと呼ばれる個人や団体は、自分の利益を最大化するために、エージェント呼ばれる人を雇います。エージェントは、プリンシパルの利益を最大化するために行動し、報酬を得ます。

このように書くと、大変難しく感じますが、日本政治を使って説明すると次のようになります。有権者(私たち)は、利益を最大化するために、政治家(例えば国会議員)を使います。この場合、有権者はプリンシパルとなり、政治家はエージェントとなります。そして、政治家、特に与党の政治家の場合は、官僚を使って、利益が最大になるようにします。この場合、政治家がプリンシパルになり、官僚がエージェントになります。プリンシパルが使う人、エージェントが使われる人ということになります。

・有権者(プリンシパル)―政治家(エージェント)
・政治家(プリンシパル)―官僚(エージェント)

 『日本政治の経済学』のなかで、ラムザイヤーとローゼンブルースは、この理論を使って、日本政治を説明しています。そして、自民党の政治家たちが官僚たちを使っているというモデルを作りました。それまでの日本政治のモデルは、官僚主導モデルというもので、日本政治を本当に動かしている、力を持っているのは官僚たちなのだというものでした。

 このプリンシパル・エージェント理論で重要なのは、エージェンシー・スラック(Agency Slack)と呼ばれる問題です。これは、プリンシパルとエージェントの間で、情報の非対称性、具体的にはエージェントは情報を持っているのに、プリンシパルが情報を持っていない場合、エージェントが自分勝手に行動し、プリンシパルが求めたものと違う結果をもたらすことです。そのために、プリンシパルは、エージェントが自分の要求通りに動くように、アメと鞭、自分の期待通りに動いたら報酬、期待通りに動かなかったら罰を与える、ということになります。ラムザイヤーとローゼンブルースは、『日本政治の経済学』のなかで、自民党官僚たちの昇進をコントロールすることで、エージェンシー・スラックを避けようとしてきたと述べています。

 これを現在の日米関係に当てはめてみます。日本はアメリカの属国(トリビュータリ―・ステイト、tributary state)ですから、プリンシパルはアメリカ、エージェントは日本の安倍晋三首相ということになります。アメリカの国益を最大化するために、安倍首相は行動します。日本の国益のために行動する訳ではありません。そして、安倍首相はプリンシパルになって、側近や官僚たちがエージェントとなります。

・アメリカ―(ジャパン・ハンドラーズ)―安倍首相―側近・官僚

 ここで、アメリカと安倍首相との間にも、エージェンシー・スラック問題があります。アメリカの意向通りに安倍首相が動かない場合、エージェンシー・スラック問題が起こります。

 以下のウェブサイト「プロジェクト・シンディケート(Project-Syndicate)」に、2012年12月27日付で、安倍首相の論文「アジアの民主国家による安全保障のダイアモンドを作る(Asia’s Democratic Security Diamond)」というタイトルの論文が掲載されています。この論文の存在は、新進気鋭の政治評論家である中田安彦氏に教えていただきました。(アドレスはこちら→
http://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe)

 この論文のなかで、安倍首相は、日本が主導して、韓国、インド、オーストラリア、遠くはイギリスやフランスを巻き込んで対中国包囲網を形成すること、東シナ海と南シナ海の海上航行の自由を確保するために、日本が中国と対峙することを主張しています。

 この安倍氏の、対中国強硬姿勢、ジンゴイズム(Jingoism)をアメリカはどれだけ望んでいるのか疑問です。アメリカは中国から国債も買ってもらっているし、経済関係も緊密です。世界覇権国の地位を脅かされるという不安はありながら、ソ連のように、ただ敵対すればよいというものでもありません。安倍氏については、太平洋戦争中の日本軍の行動に関して、歴史を書き変えようとする歴史修正主義(リヴィジョニズム、revisionism)があり、アメリカとしては、決して、「優秀な」エージェントという訳でありません。

 安倍氏個人が「優秀な」エージェントであっても、今度は彼がプリンシパルになって使う側近や官僚たちが「優秀な」エージェントでなく、安倍氏に彼らを抑える力がなければ、安倍氏の期待通りに動かないどころか、暴走することもあります。そうすると、アメリカから見れば、安倍氏が失敗した、エージェンシー・スラックが起きたと見なされるのです。そうなると、安倍氏には罰が与えられます。それは恐らく「辞任」ということでしょう。

 このように見ていくと、安倍氏が「低姿勢(ロー・ポスチュア、low posture)」でスタートしたのは彼にとって良かったと言えますが、いつアメリカから、「暴走した、期待外れだった」ということで首を切られるか分かりません。そう考えると、日本の首相の座というのも安泰ではないし、苦しい仕事なのだろうということが分かります。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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# by Hfurumura | 2013-01-15 20:04 | 日本政治

いよいよ本性を現してきた米政翼賛会③

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 安倍晋三首相は、今月(2013年1月)中の訪米を模索してきました。しかし、アメリカ側も、オバマ大統領の就任式が21日にあり、また、主要な国務、国防、財務格長官の交代もあり、日本の首相の訪問を受け入れるだけの余裕がないようです。そこで、来月2月の訪米を安倍首相は考えているようです。今月末に通常国会が始まり、来年度予算を審議する中で、なんとか時間を作ってもらってアメリカに(参勤交代で)行きたいようです。

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 以下に転載貼り付けした新聞記事にもありますが、安倍首相は、訪米の際に、日本の集団的自衛権(ライト・オブ・コレクティブ・ディフェンス、right of collective defense)の容認に向けての議論を加速させる意向をアメリカに伝えたいとしています。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「首相、集団自衛権の議論加速 訪米で伝達へ」
47ニュース 2013年1月13日
http://www.47news.jp/CN/201301/CN2013011301001168.html

 安倍晋三首相は13日午前、NHK番組に出演し、2月で調整中のオバマ米大統領との首脳会談で、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈見直し議論の加速方針を伝える意向を明らかにした。環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の表明には慎重な姿勢を示し「まだ状況分析が十分ではない。精査、分析し判断したい」と述べた。

 集団的自衛権行使容認に関し「安倍政権の大きな方針」とした上で「このことで日米同盟がどう変わるか、地域がどう安定するか議論したい」と強調した。

2013/01/13 11:18 【共同通信】

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 集団的自衛権とは、国連憲章(Charter of the United Nations)で認められた、自衛権の一種です。以下にインターネットで見られる解説と合わせて引用します。

(引用はじめ)

国連憲章第51条
「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。(Nothing in the present Charter shall impair the inherent right of individual or collective self-defence if an armed attack occurs against a Member of the United Nations, until the Security Council has taken measures necessary to maintain international peace and security. Measures taken by Members in the exercise of this right of self-defence shall be immediately reported to the Security Council and shall not in any way affect the authority and responsibility of the Security Council under the present Charter to take at any time such action as it deems necessary in order to maintain or restore international peace and security.)」

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集団的自衛権とは:

 国連憲章第51条で加盟国に認められている自衛権の一。ある国が武力攻撃を受けた場合、これと密接な関係にある他国が共同して防衛にあたる権利。

◆日本は主権国として国連憲章の上では「個別的または集団的自衛の固有の権利」(第51条)を有しているが、日本国憲法は、戦争の放棄と戦力・交戦権の否認を定めている(第9条)。政府は憲法第9条について、「自衛のための必要最小限度の武力の行使は認められている」と解釈し、日本の自衛権については、「個別的自衛権は行使できるが、集団的自衛権は憲法の容認する自衛権の限界を超える」との見解を示している。

※デジタル大辞泉のアドレスはこちら→
(http://kotobank.jp/word/%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%9A%84%E8%87%AA%E8%A1%9B%E6%A8%A9)

(引用終わり)

 集団的自衛権は、ある国が攻撃を受けた時、同盟を結んでいる、もしくは密接な関係を結んでいる別の国が共同して防衛行動を取る権利のことです。具体的には、日本はアメリカと安全保障条約を結んでいるので、「密接な関係」にありますので、アメリカへの攻撃は自国への攻撃と考え、アメリカと共同して防衛行動を取るということになります。

 しかし、日本政府は、日本国憲法第9条に基づいて、「個別的な」自衛権は行使できるが、集団的な自衛権は行使できないという見解を出しています。安倍首相は、ここの部分を変えたいと考えています。アメリカへの攻撃を日本への攻撃とみなし、アメリカと共同して行動ができるようにしたい、自衛隊を日本国領外でも、アメリカの下請けで行動できるようにしたいと考えているようです。

 更に言えば、日本政府が禁止という見解を出している集団的自衛権の改正(容認)をアメリカは求めています。アメリカのジャパン・ハンドラーであるマイケル・グリーン(Michael Green)が昨年に発表した論稿をこのブログ(「マイケル・グリーンのご神託:野田も安倍も同じだ②」2012年11月29日 http://suinikki.exblog.jp/18935190/)でご紹介しました。この論稿の中で、マイケル・グリーンは日本の集団的自衛権について次のように書いています。

(引用はじめ)

日本には戦略があるのか?(Does Japan Have a Strategy?)

マイケル・J・グリーン(Michael J. Green)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2012年11月28日

 昨年(2011年)、野田総理は日本の武器輸出三原則を緩和することを発表した。そして、野田総理の防衛に関する諮問委員会は、集団的自衛行動の禁止を撤廃することを提言した。集団的自衛行動を認めることで、自衛隊はアメリカ軍との共同行動に参加できるようになる。アメリカと同盟を結んでいるNATOやオーストラリアと同じことができるのだ。日本の首相は集団的自衛権があることを認め、それを発動する力を持っている。それは、日本国憲法第9条(「平和条項」)の再解釈が必要なだけだ。日本国憲法の改正は困難であるが、それをする必要はない。日本の海上自衛隊は、アラビア海で交戦規定に沿って活動している。彼らは、海賊から攻撃を受けた友軍を助けるために武力を使うことを許されている。法律的に言えば、海賊は犯罪者であり、国家ではないということになる。政治的な可能性の世界での話となるが、次のステップは、日本の自衛隊がアメリカやその他の同盟諸国の軍隊と共同作戦が行える能力を促進するということになる。

(引用終わり)

 安倍首相は、今のところ、TPPについては慎重な姿勢を崩していませんが、TPPと同様に重要な集団的自衛権の容認については、積極的に進めようとしています。この集団的自衛権容認は、自衛隊の日本国外での防衛行動(武力行使)への道を拡大することであり、アメリカ軍の下請け化を進めるものです。アメリカとしても、アジア・太平洋地域での秩序維持の負担を日本に押し付けようとしています。このように日本の国益にもならないこと(アメリカの国益にはかなう)を熱心に進めるのが安倍政権であり、米政翼賛会です。またしても彼らの本性が良く現れたニュースを見ましたので、皆さんにご紹介いたします。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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# by Hfurumura | 2013-01-14 17:27 | 日本政治

ネオコンとの戦いであったチャック・ヘーゲルの上院議員時代:ナショナル・インタレスト誌の記事から

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 オバマ政権二期目で国防長官に指名されたチャック・ヘーゲルに関する記事をこれまでも何回かご紹介しました。今回もまた大変興味深い内容の記事をご紹介します。今回の記事は、チャック・ヘーゲルが上院議員時代にいかに「反逆児」であったかを紹介しています。

 ヘーゲルは上院議員時代、皆が持っている印象ほどには反逆児ではなかったようですが、重要な投票では共和党の主流に反対し、「反逆児」という印象を持たれました。また、ブッシュ(子)大統領や共和党の同僚たちを激しく批判して、共和党の中で孤立していったようです。

 ブッシュ(子)政権は、ネオコン(NeoConservatives)と呼ばれる危険な考えを持つ人々が数多く参画しました。ブッシュ大統領は、イラクとアフガニスタンへの侵攻を行い、アメリカを泥沼の戦争に引きずり込むことになりました。これもネオコンの人々が画策したものです。

 こうしてみると、ブッシュ政権下、ブッシュ政権と共和党に反対するというのは、ネオコンに反対するということと同じでした。チャック・ヘーゲルは、共和党内部でネオコンと戦った人物ということになります。問題児、反逆児のように見えますが、ネオコンとの戦いということになると、一貫して反対した人物という姿が浮かび上がってきます。

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 ネオコンと親和性の高い、ヒラリーを旗頭とする民主党内の人道的介入主義派が、オバマ政権第二期目ではだいぶ政権から外れるようです。オバマ大統領は一期目の最初に志向した現実的な外交・安全保障政策を遂行する意図を持っているようです。今回のヘーゲルの国防長官指名はその一環と言えます。

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ヘーゲルはいかにして共和党を怒らせてきたか(How Hagel Angered the GOP)

ジョーダン・マイケル・スミス(Jordan Michael Smith)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2013年1月11日
http://nationalinterest.org/commentary/how-hagel-angered-the-gop-7957
http://nationalinterest.org/commentary/how-hagel-angered-the-gop-7957?page=1

 チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)の国務長官指名は最も議論を呼ぶ指名となった。1989年にジョージ・H・W・ブッシュ(父)大統領がジョン・タワーを国防長官に指名して以来、最も議論が白熱した指名となった。タワーの国防長官就任は上院が承認を拒否したことで幻に終わった。しかし、この時、タワーの敵となったのは民主党所属の上院議員たちだった。今回のヘーゲルの指名に関して、敵となるのは共和党である。共和党は、ヘーゲルが10年以上にわたり上院議員を務めた際に所属した政党である。上院議員時代のヘーゲルの活動を詳しく見ていくと、ヘーゲルが共和党の中で孤立していった様子がよく分かる。ヘーゲルは、共和党の方針に反した投票行動を行い、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権に対して敵対的な発言をし、上院共和党の同僚議員たちを批判してきた。

 ヘーゲルの上院議員としての姿勢は、国内政策に関しては保守的であった。アメリカ保守連合の調査によると、ヘーゲルの投票行動は、84%の割合で保守的だったそうだ。ヘーゲルが共和党を怒らせたのは主として外交政策についての行動である。彼の独自の行動は、新人の頃から始まった。ヘーゲルは、1999年、コソボに対する米地上軍の派遣を主張した。共和党の上院議員でこのような主張をしたのはほとんどいなかった。更に、ヘーゲルは、地上軍派遣を求める決議案の共同提出者となった。この決議案は否決された。この時、ヘーゲルの行動を支持したのは、現在は宿敵となっているジョン・マケイン(John McCain)だった。この時、上下両院の187名の共和党所属の議員たちが決議案に反対した。この時のヘーゲルの主敵は誰だったか?オクラホマ選出の共和党上院議員であるジェイムズ・インホッフェ(James Inhofe)だ。インホッフェは、当時、「この決議案は、アメリカの持つ資源を浪費することになり、効果的な使い方にはならない。米地上軍をコソボに派遣すべきではない」と発言している。ヘーゲルにとって悪いことには、インホッフェは、現在、上院軍事委員会の幹部となり、影響力を持っていることだ。インホッフェは、ヘーゲルの承認に対して反対票を投じるだろう。

 コソボに関しては明確に共和党の方針に反したヘーゲルも、その他の問題では一貫しない姿勢を示し、共和党の主流派を困惑させた。ヘーゲルはアフガニスタンへの侵攻を支持した。またミサイル防衛計画や国防予算増額、同性愛の兵士たちに対して「同性愛者かどうか問わないが、自分から同性愛者であることを発表しない(Don’t Ask, Don’t Tell)」政策、愛国法の改正を支持した。また、包括的核実験禁止条約に反対した。そして、ヘーゲルはイラク戦争に賛成票を投じた。

 投票に関してヘーゲルと共和党の主流派の間で実際に不和が起こった数は少ないが、不和に至った問題は全てが重要な問題であった。2007年の半ば、ヘーゲルは、民主党が提出したイラクからの即時撤退を行うための法案に、他の2人の共和党議員たちと賛成に回った。同じ2007年、ヘーゲルは、ブッシュ大統領のイラクへの米軍増派に反対した。この投票がヘーゲルにとっても、共和党にとっても、ブッシュ政権にとっても致命的に重要なものになった。ヘーゲルの反対に対して、ディック・チェイニー(Dick Cheney)は、「ロナルド・レーガン大統領が定めた規則の11か条目には、“同僚の共和党員のことを悪く言わない”とある。しかし、チャック・ヘーゲルのこととなると、この規則を守ることがとても難しくなる」と発言している。ヘーゲルは、イランに対する禁輸措置に対して反対票を投じたが、別の機会では賛成している。

 従って、彼の投票行動を詳しく見てみると、ヘーゲルが共和党の同僚たちとは反対の投票をしたのは僅か3回しかないことが分かるが、この3回が重要な投票であったのだ。共和党の同僚たちの記憶に残っているのは、ヘーゲルが頻繁にブッシュ政権と共和党全体を批判したことだ。ヘーゲルは、ブッシュ大統領の「悪の枢軸(Axis of Evil)」演説を批判した。そして、「アメリカがアフガニスタンに侵攻している今、イランはアメリカの助けになる」と発言した。ヘーゲルはまた、同僚のマケイン、リンゼー・グラハム上院議員が、イラク戦争の早期開始を求めたことにも異議を唱えた。ヘーゲルは、「サダム・フセインが核兵器開発プログラムを継続している明らかな証拠は存在しない」と主張した。アメリカのイラク進攻の一週間前、ヘーゲルは、「外交チャンネルが全て完全に断たれたわけではない」と主張した。ヘーゲルは、アメリカはブッシュ大統領が「悪の枢軸」というレッテルを貼った国々、イラク、イラン、北朝鮮との関係改善に努力すべきだと提案した。政治雑誌『ウイークリー・スタンダード』誌は、ヘーゲルを批判し、ヘーゲルが「宥和(弱腰)の枢軸(axis of appeasement)」の一員だと書いた。

 ヘーゲルはイラクへの侵攻に賛成票を投じた。しかし、ヘーゲルは熱心に支持していたわけではなかった。ヘーゲルは、2003年に「私たちがイラクに介入することで、イラクやアラブ世界に民主政治体制が樹立されるかどうかは分からない」と述べた。ヘーゲルはまた、ブッシュ大統領のグアンタナモ基地にテロ容疑者たちを収容し、拷問するという政策を批判した。それにもかかわらず、ヘーゲルは、グアンタナモ基地の収容者たちの公民権の回復には反対票を投じた。

 イラクで反米テロが頻発するようになった後、ヘーゲルは共和党内でイラク占領に反対する政治家として有名になっていった。2004年、ヘーゲルはイラクの状況を「悲惨という言葉以上の状況」と述べている。ジョン・ケリー(John Kerry)上院議員は2004年の大統領選挙で、ヘーゲルのこのコメントを選挙運動の中で引用した。共和党の首脳部はヘーゲルのコメントに激怒した。

 ブッシュ大統領の二期目、ヘーゲルは、外交政策に関して共和党の主流にことごとく反対した。ヘーゲルは少なくとも公然と反対を表明した。ヘーゲルはチェイニー副大統領の「イラクでの反米テロは生みの苦しみである」という発言を嘲笑した。ヘーゲルは、ドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)国防長官を非難し、「ブッシュ政権が無為無策であることは何も驚くに値しない」と発言した。ヘーゲルは二度にわたり、ブッシュ大統領の弾劾を提案した。あの時期、確かに多くの共和党の議員たちは、ブッシュ政権から距離を取ろうとしていた。しかし、ヘーゲルほどブッシュ政権への批判を公然と、そして激しく行った人はいなかった。

 2006年、ヘーゲルは「ユダヤ・ロビー(Jewish lobby)」が議員たちを「恐怖を用いて支配している」と発言した。そして、自分はアメリカの上院議員であり、イスラエルの上院議員ではないと述べた。この発言は今になって、ヘーゲルを批判するのにつかわれている。ヘーゲルは、イスラエルとハマスとの間、またアメリカとヒズボラとの間で直接交渉を行うべきだと主張した。そして、パレスチナ人たちへの同情を公然と表明した。このような一連の発言は、彼の言動の中で最も議論を呼ぶものになった。さすがに法的措置まで発展することはなかった。

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 個人との関係で言えば、ヘーゲルの独自の行動はコストを伴うものである。ヘーゲルとマケインは以前友人であった。しかし、現在のマケインは、ヘーゲルが国防長官に適した人物かについて疑義を呈している。ヘーゲルのイラクへの増派に対する反対が分裂を決定づけた、と誰もが口を揃える。マケインの友人は取材に対して次のように語っている。「ヘーゲルとマケインの分裂は、泥沼状態に陥ったイラク戦争開始時から始まり、ヘーゲルの増派への反対で決定的になりました。マケインは、ヘーゲルの反対をマケイン個人に対する侮辱と受け取ったのです」ヘーゲルが共和党の大統領予備選挙でマケインに対する支持を取りやめたことで分裂が深まった。ヘーゲルはマケインを名指しで批判した。ヘーゲルはマケインが「軍を拡大しなくはいけない」と考えているとし、次のように語った。「 私はいつもこのように言うんだ。ジョン、アメリカの力には限りがあるんだよ。現在の陸軍と海兵隊は大きく傷ついている。今のようなことはいつまでも続けられないよ、とね」ヘーゲルはまた、マケインが、産業化された民主国家の集まりであるG8からロシアを排除すべきだと繰り返し述べているのに対し、「完全に狂っている!」と批判した。

 ヘーゲルの孤立化を象徴するのが、2008年の共和党全国大会を欠席したことだ。ヘーゲルは、共和党の国会議員の中でただ一人、マケインがサラ・ペイリン(アラスカ州知事、当時)を副大統領候補に選んだことを批判した。ヘーゲルは、「ペイリン候補は、アメリカの歴史上、履歴書が最も短い履歴書の副大統領候補であることは疑いのないところだ」とこき下ろした。

 ヘーゲルは、マケインの大統領選挙について「大変に失望した」と述べた。ヘーゲルは、「マケインは一回だけ良い演説を行ったがただそれだけだった。彼は5000万ドル(約44億円)も使って敵を打ち破ろうとしたが失敗した」と述べた。更に、ヘーゲルは批判を全ての共和党所属の政治家たちにも向けた。「わが国には“何も知らない人々党”と呼ばれる政党がある。この政党は極端な方向に進んでいる。そして、一つの問題だけしか興味を持たない、具体的には妊娠中絶をどうするかという問題にしか興味がない有権者たちからしか支持を得られていない。もちろん、この問題が重要なのは私も分かってはいる」

 10年以上にわたり、ヘーゲルは外交政策に関して独自の考えを発展させてきた。それが、チャック・ヘーゲルと友人だった共和党の議員たちを分かつことになった。ヘーゲルの承認に関して現在行われている議論から得られる教訓はいろいろあるが、そのうちの一つは次のようなものだ。「言葉を選んで、人と関係を保つことが重要だ。ある人の議会での行動の記録には全てが記録されている」

※ジョーダン・マイケル・スミス:ウェブサイト「サロン」、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、ボストン・グローブ氏に寄稿している。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-01-13 17:43 | アメリカ政治

チャック・ヘーゲル新国防長官はアメリカの路線変更の証左か:ナショナル・インタレスト誌の記事から考える

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 安倍政権は、「価値観外交」を標榜し、対中国包囲網づくりの主導的な役割をアメリカに担わされている。しかし、アメリカ国内では、チャック・ヘーゲル新国防長官は、対中ハト派であり(と言うことは、オバマ大統領も中国に対して敵対的な姿勢を取るつもりはないということになる)、対中タカ派の多い米国防総省を、オバマ大統領の意向に沿う形で抑えるためにヘーゲルが国防長官になるということだという主張がある。それが今回、ご紹介するアミタイ・エツィオーニの記事だ。

 エツィオーニのこの記事は大変重要だと私は考える。それは、アメリカの路線転換を示していると考えるからだ。宥和的なジョン・ケリーが国務長官に、そして、対中タカ派であり、イラク戦争や経済制裁に対して批判的なチャック・ヘーゲルが国防長官になる(ケリーもヘーゲルも連邦上院議員経験者であり、オバマ大統領、バイデン副大統領とも同僚の間柄)ことで、オバマ政権第一期のヒラリーの人道的介入主義路線(Humanitarian Interventionism)・対中強硬路線が変更されることになるだろう。更に言うと、アメリカは、国内問題優先、より具体的には財政問題優先になるだろう。

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 それでは日本はどういうことになるだろうか。安倍政権の対中包囲網づくりはどうなるだろうか。この動きはある程度、アメリカから容認されるだろう。小競り合い程度までなら容認されるだろう。しかし、それ以上の、人民解放軍の艦船と自衛隊の艦船の衝突といった事態は許されないのではないかと考えられる。しかし、こうしたことは偶発性を伴うものだ。現場の指揮官レベルが上層部の意図を「わざと」読み間違うこともある。

 勇ましく姿勢を示して船出した安倍政権であるが、こちらも参議院議員選挙までは、経済優先で政権運営を行うということになる。更に言えば、安倍晋三首相は、アメリカの意図をきちんと読みとり、「集団的自衛権の容認といったことまでは行うが、中国との対決を煽動・先導しない」という方向性に進む可能性も出てきた。

 とりあえず、アメリカは路線変更をしつつあるようだ。これに対して、日本がどのように動くか。日本が対中包囲網づくりの価値観外交を推進し続けるようなら、アメリカは日本を使って中国をけん制している、もしくは安倍氏が独走(暴走)しているということになる。その場合、安倍氏が石破氏に交代させられるということもある。これからの動きを注視しなくてはいけない。

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チャック・ヘーゲルと中国(Chuck Hagel and China)

アミタイ・エツィオーニ(Amitai Etzioni)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2013年1月10日
http://nationalinterest.org/commentary/chuck-hagel-china-7952

 マスコミは、チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)元上院議員の、イラン、イスラエル、同性愛者たちに対する過去の発言や立場を大きく報じている。しかし、ヘーゲルの中国に対する考えについてより注意を払うべきである。

 次期国防長官は世界の秩序の将来、米軍の構造、これから10年間の国防予算の規模に影響を与えることになる戦略的に重要な決定を行うことになるだろう。ヘーゲルは、中国を遅かれ早かれ米国と衝突する国として、それとも、平和的に共存できる国として、どちらを優先して取り扱うか、決定を迫られることになる。

 2011年にオバマ政権が発表した「アジア回帰(pivot to Asia)」で、既に決定はなされ、米中両国の将来における衝突は避けられないと主張する人々がいる。しかし、オバマ大統領の「現在の近東の重要性は低下し、極東がアメリカにとっての最優先事項になる」という宣言は、また違う解釈もできる。オバマ大統領のアジア回帰宣言は、米軍(海兵隊や海軍の艦船など)の極東への再配置を行い、中国の近隣諸国との軍事同盟を形成し、アジア地域で共同軍事演習を行うというシグナルであるという見方をする人々がいる。米国防総省の中には、空軍と海軍の予算を増加させようと努力している人たちがいる。空軍と海軍は、中東においては、陸軍と海兵隊をする支援するという役割を担ってきた。しかし、軍関係者や戦略家たちの中には、アジア・太平洋地域では、海軍と空軍が主導的な役割を果たすべきだと主張する人々がいる。

 このような対中国タカ派の人々は、公然と、中国は「世界に出てきて、私たちの権益を喰い荒らす(out to eat our lunch)」と述べ、中国の「平和的台頭(peaceful rise)」は真意を隠すためのマスクだと主張している。彼らは、中国は、リベラルな世界秩序(アメリカが作り上げた戦後の世界秩序―訳者註)に対して、共産主義国家として挑戦したいと本当のところは考えているのだと主張している。また、対中国タカ派の人々は、中国を直視することを拒否し、ただ「アジアはアメリカにとって新しい活動の場となる」というような物言いに終始する。しかし、彼らは、中国こそが最も重要なターゲットであることを確信している。

 対照的に、「中国との違いを乗り越えて協力することができる」と考える人々が多くいる。彼らは、中国を世界に対する脅威と見なすことは大きな間違いであると主張している。何も切迫した脅威がある訳ではないのに、中国を敵とするのは間違いだと彼らは主張している。ジョセフ・ナイは次のように述べている。「中国を敵視すれば、中国が将来、アメリカの敵になることは間違いない。中国を友人だと見なしても、友情が醸成されるかどうか確かではないが、米中関係が、深刻な危機的状況に陥ることは少なくともないだろう」

 対中国関係について、ヘーゲルはどの立場に立つだろうか?その答えは、PBSで放送された、ロバート・ノーランによるヘーゲルへの最新インタビューの中にある。ヘーゲルは、中国経済が急速に発展しているといる事実から中国を警戒すべきだと考えている人々には与しないとしている。ヘーゲルは次のように語っている。

 「中国は台頭し、経済成長を続けています。これからも存在を増し続け、経済成長を続けるでしょう。私たちは中国の台頭と経済成長を歓迎すべきでしょう。中国は、インドやブラジル、その他の国々と同様、アメリカの競争者となるでしょう。それも良いでしょう。貿易、様々な交流、米中関係、共通する利益といったものを私たちアメリカと新興国家は持っています。またこれらの新興諸国は、安定、安全、エネルギー資源、人材といった点で共通していると言えます。これらを基盤にして発展しているのです。私たちアメリカにもこれらのものが全て揃っていますね。中国もまたそうなのです」

 ヘーゲルは、中国が国内に多くの問題を抱えており、国外でできることは限られているという認識を持っている。ヘーゲルは次のように指摘している。

 「中国は多くの重大な問題を抱えています。13億の人口を抱え、多くの人々が厳しい貧困の中で生活しています。雇用、中国の一番の問題はこれに尽きます。中国はエネルギー問題を抱えています。彼らはこの問題にずっと取り組んでいかねばならないでしょう。中国は世界の大国の一つとなりました。これからも大国であり続けるでしょう。それもまた受け入れねばならないことです。しかし、アメリカは中国の台頭によって衰退することはありません。また、中国がアメリカに取って代わるということを心配する必要もありません」

 ヘーゲルはアメリカについては楽観的見方をしている。

 「私は、私たちアメリカ国民が良く考えられたこと、正しいこと、合理的なことを行い続ける限り、アメリカについて心配はいらないと考えています。私たちは世界をリードしています。しかし、世界を自分勝手に支配している訳ではありません。私たちは世界各国に何かを強制している訳でもありません。私たちは世界のあちこちに介入していません。占領や侵攻をしている訳でもありません。私たちは同盟諸国と緊密に協力しています。私たちは、第二次世界大戦後のアイゼンハワー、トルーマン、マーシャルといった賢明な指導者たちが行ったことを今も行っているのです」

 対中国という重要なテーマについて、ヘーゲルがどのような立場を取っているかについては、彼のインタビューでの発言を見て、なんの疑う余地もない。ヘーゲルは対中国ではハト派ということになる。そして、ヘーゲルは、米国防総省内でオバマ大統領の意向に忠実に沿うように努力するだろう。米国防総省内部には、中国は米国にとって脅威となる敵であると考える人々が数多くいる。このような人々は、意図することなく、アメリカを新しい冷戦(Cold War)に引きずり込むために動いている人々なのである。

※アミタイ・エツィオーニ(Amitai Etzioni):カーター政権上級顧問。コロンビア大学、ハーバード大学、カリフォルニア大学バークレー校で教鞭を執る。現在は、ジョージワシントン大学・栄誉教授国際関係論教授。最新作に『ホットスポット:ポスト人権時代のアメリカの外交政策(Hot Spots: American Foreign Policy in a Post-Human-Rights World)』がある。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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# by Hfurumura | 2013-01-12 23:11 | アメリカ政治

ここまで対立的な姿勢を示して「友好関係を築く」などと言えるのか:貧乏くじをひかされている日本

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 安倍晋三首相の外交姿勢を示す新聞記事が昨日から今日にかけて読売新聞(安倍政権応援・CIA機関紙のような役割を果たす新聞)に掲載されましたのでご紹介します。これらを読むと、日本が積極的に世界に呼びかけて、主導的な立場で、中国封じ込めを行おうとしていることが分かります。日本が世界の外交の場で何か主導的な役割を果たすことはこれまでほとんどありませんでした。しかし、安倍政権は、「お勇ましい」外交姿勢を示しています。フィリピンやNATOを巻き込んで対中国包囲網を形成するというのは、攻撃的な姿勢としか言いようがありません。

 日本が何か主体的に外交の場で動くということは、残念ながらあり得ません。日本にそこまでの外交力はないですし、何より、「外交とはアメリカの望む方向に進めるものだ」というのが官民に染み込んでしまっています。安倍政権の攻撃的な外交姿勢も、アメリカの「望む」範囲で行われていることです。

 日本がいちばんの貧乏くじをひかされています。日本が日中関係の改善を犠牲にさせられて、中国と対峙させられているのです。中国の台頭を一番恐れているのは、世界覇権国(ヘジェモニック・ステイト、hegemonic state)の地位を脅かされるアメリカです。アメリカは中国の台頭を抑えたいと考えています。しかし、同時に中国は重要な貿易相手国であり、アメリカ国債を買ってくれるお得意さまです。米中関係を悪化させることをアメリカは望んでいません。

 しかし、中国を何とか牽制したいというのもアメリカの願いです。アメリカの願いにとって都合の良い国があります。それが日本です。地理的に中国をふさぐ位置にあり、歴史的に関係がしっくりいかないのが日本です。そこで、中国をけん制する「猟犬」のような役割(アメリカは直接やりたくない嫌な仕事)を日本にさせようというのです。アメリカは傍観者、中立のふりをして、事態がエスカレートしたところで間に入るなどして、日中両国に恩を売る、貸しを作ることで、アジア・太平洋地域での主導権(イニシアチブ)を握るという戦略のようです。これは、英語で言うと、オフショア・バランシング戦略(Offshore Balancing Strategy)と言います。私たち日本人にもっとわかりやすく言うと、「漁夫の利を得る」ということになります。

 もっとうがった見方をすれば、中国も致命傷を与える銃や武器を持っている「猟師」であるアメリカと直接事を構えるよりも、「猟犬」である日本と争っている方がまだましと考えているかもしれません。「猟犬」はしっかりしつけられていて、何より、猟師の言うことに絶対服従ですし、獲物に致命傷を与えるという能力を持っていません。

 「アメリカを相手にするよりは目障りではあるが、日本を相手にしていた方がまだましだ。私たち中国はまだアメリカと直接事を構える段階ではない。だから、絶対にアメリカとはやらない。しかし、アメリカが日本という“猟犬”を仕掛けてくるのは、仕方がないから適当に相手をしておこう」というのが中国の姿勢ではないかと思います。

 安倍晋三首相は、価値観外交を唱えています。価値観外交とは、自由、基本的人権、民主政治(デモクラシー)といった価値観を共有する国々で連携して、中国を封じ込めるというものです。これは麻生財務相の「繁栄の弧」と言う考え方も入っているでしょう。いい気になって、「みんな、集まれー。中国をみんなでやっつけようよ」と一生懸命呼びかけているうちはいいですが、そのうち、「あの猟犬も邪魔になったな」ということになれば、一晩のうちに手のひら返しをされて、まるでオセロで多くの駒の色がひっくり返るように、地滑り的な総選挙の結果のように、孤立するという結果に陥ることになるでしょう。

 日本が何か主導的な立場で外交をやらされると、それが日本の犠牲(国益の無視)を伴うということがこれでよく分かります。日本がアメリカの属国である以上、それは仕方がないことです。ですから、できるだけ「猟犬」としては無能な、「何もしない」駄犬でいることが、実は国益を損なわないということになるのではないかと私は考えます。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「中国の進出懸念…首相、NATO事務総長に親書」
読売新聞電子版 2013年1月12日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130112-OYT1T00549.htm?from=top

 安倍首相が、北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長に親書を送り、中国の海洋進出に対する懸念を伝えて連携強化を求めることが12日、明らかになった。

 首相は親書で、中国による尖閣諸島(沖縄県)周辺での領空・領海侵入を念頭に、「中国の海洋進出の活発化と北朝鮮の動向などにより、東アジアの安全保障環境は厳しさを増している」と指摘。日本が東アジア地域の安定と繁栄に積極的役割を果たす考えを表明する一方、東アジアの「戦略的環境の変化」について、NATO側に認識の共有を呼びかける考えだ。

 親書は、15~19日に英国、フランス、ベルギーを訪問する自民党の河井克行衆院外務委員長を通じてラスムセン氏に届けられる予定だ。(2013年1月12日15時25分 読売新聞)

●「海上安保の連携強化で一致…日比外相が会談」
読売新聞電子版 2013年1月11日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130110-OYT1T01161.htm

 【マニラ=伊藤徹也】岸田外相は10日、訪問先のフィリピンでデルロサリオ外相と会談し、海洋権益拡大の動きをみせる中国を念頭に、海上安全保障の連携を強化することで一致した。

 フィリピンは南シナ海のスカボロー礁問題で、日本は尖閣諸島(沖縄県石垣市)を巡る問題でそれぞれ中国と対立している。

 会談ではデルロサリオ氏が、中国に対する懸念を表明、岸田氏は尖閣諸島についての日本の立場を説明した。連携強化策として、フィリピン沿岸警備隊への巡視船供与などの協力を加速させることを確認した。(2013年1月11日10時57分 読売新聞)

●「首相、中国の尖閣対応「国として間違っている」」
読売新聞電子版 2013年1月11日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130111-OYT1T00653.htm?from=popin

 安倍首相は11日午前の記者会見で、沖縄の尖閣諸島を巡る中国側の対応について、「政治的目的を達成するために、日系企業に被害を与えたり、個人に危害を与えることは、国際社会で責任ある国家としては間違っているとはっきり申し上げたらいい」と述べ、批判した。

 首相は会見の中で、尖閣諸島を巡る問題について、「交渉する余地はない」と改めて強調したうえで、両国の立場の違いを踏まえ、「そういう関係を尊重するというのが戦略的互恵関係だ。戦略的互恵関係に立ち戻って、日中関係を改善していきたい」と述べた。(2013年1月11日14時09分 読売新聞)

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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# by Hfurumura | 2013-01-12 17:58 | 日本政治

孫に対する教育費が非課税になる:風が吹けば桶屋が儲かる

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 昨日、2013年1月11日、安倍首相は緊急経済対策を発表しました。緊急経済対策の3つの柱は、「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略」ということです。そして、具体的な施策が検討されつつあります。

 その中で人々の耳目を引くのは、「孫に対する教育費非課税」です。これは、「祖父母が信託銀行などに孫名義で口座を作り、将来の教育資金を一括して贈与した場合、一定額の贈与税を非課税にする。1人当たり1000万~1500万円を上限とする方向で検討している」というものです。おじいさんやおばあさんが孫の名義の口座に纏まった額のお金を贈与しても非課税ということです。これから、どのように教育費に使われたか、孫が使ったかを証明する方法が検討されるでしょう。

 お金持ち層にしてみれば、相続税でこれまでよりも多額の税金を取られるよりも、かわいい孫にお金をあげることを選ぶでしょう。これで、潤うのが、少子化で沈滞していた教育産業です。私立学校や塾は活況を呈するようになるでしょう。子供たちの数が減っても、一人にかけるお金を増やすことで売り上げを維持することができるということになるでしょう。公立に流れていた層もまた私立にということになるでしょう。

 今回、教育再生会議も設置され、早稲田大学の鎌田薫総長が議長になりました。現在の文科相は早稲田大学教育学部出身の下村博文代議士であり、安倍氏の側近です。早大出身者には伝統的に文教族が多いのが特徴です。早稲田は積極的に付属校新設を進めてきましたが、佐賀、大阪の中高一貫校、小学校からある早実、中学もある早大学院などへの志望者、また明治の後塵を拝している大学の受験者数もまた増加することが考えられます。

 更に言えば、アメリカもこの措置を喜んでいるでしょう。アメリカの各大学は世界各国からの留学生を受け入れています。日本からの留学生の数は最盛期の半分にまで減少しています。ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授は、日本人留学生の減少を機会あるごとに訴え、日本人にもっとアメリカに留学するように促しています。また、一部にはこのお先棒を担ぐ形で、留学を煽る言論も見られます。

 1500万円という金額は、アイビーリーグなどアメリカの一流大学の4年間の学費と生活費のほとんどをカバーできる金額です。経済的な理由で留学を諦めていた人たちが、おじいさんやおばあさんの支援で留学できるようになることで、アメリカから日本への留学が増えることが考えられます。また、留学生は合法的にアメリカに銀行口座を開設することもできますから、グローバル化した今日、何かと便利です。世代間での所得移転ということですが、そのお金がアメリカに流れるということが考えられます。

 更に言えば、現在の状況を考えると、シンガポールへの大学留学がおじいさん、おばあさん孝行になるのではないかと思います。シンガポールは日本から直行便も出ていて、安全、英語と中国語、ヒンズー語も学びやすい環境にある、これからますます発展する東南アジアの中心地であり、人脈作りもできるといった利点があります。また、アメリカの場合と同じく、現地の銀行や世界的に有名な銀行の口座を合法的に解説することができて、グローバル化時代には大変便利です。気候の安定しているシンガポールで勉強している孫のところへ、おじいさんやおばあさんが様々なお土産を持って、勉強の様子見がてら訪問するという光景も見られるようになるかもしれません。

 こういう話は「風が吹けば桶屋が儲かる」式の話ですが、とりあえず書いてみました。笑っていただければ幸いです。

 笑えない現実としては、お金が富裕層内部でしか移転しないので、社会の階層化、お金のかかる高度の教育を受けて高収入の仕事に就けるのがお金持ちばかりということなり、階層の固定化が進むということはあると思います。「機会の不平等と結果の不平等」がどうしても出てくることになると思います。

●「「交際費緩和」「孫の教育費非課税」 緊急経済対策、減税措置が判明」
2013.1.10 05:00 Sankei Biz

 政府が11日に策定する緊急経済対策の税制分野の全容が9日、分かった。飲食店などでの接待需要を呼び起こして経済の活性化を図るため、中小企業の交際費の一部を必要経費(損金)に計上できる法人税の軽減措置を拡充する。雇用や給与支払額を増やした企業の法人税減税や、祖父母が孫に教育資金をまとめて贈与した場合に一定額まで贈与税を非課税にする措置も設ける。

 これら6項目の減税措置を含めた緊急経済対策は11日に閣議決定し、詳細は自民・公明両党が24日までに決定する2013年度税制改正大綱までに詰める。

 資本金1億円以下の中小企業は現在、年間600万円を限度に交際費の9割を必要経費とみなし、法人税を軽減する措置を受けている。緊急経済対策では限度額の拡充を明記し、企業の接待需要の喚起を図る。

 交際費は1992年の6兆2000億円をピークに、長引く不況で減少を続け、2010年には2兆9000億円まで落ち込んだ。寂しくなった夜の街を税制面で明るくする効果を期待する。

教育資金の非課税措置は、若年層への資産移転を促進する狙いがある。これまでは教育費名目であっても、まとめて贈与すれば課税対象だったが、祖父母が信託銀行などに孫名義で口座を作り、将来の教育資金を一括して贈与した場合、一定額の贈与税を非課税にする。1人当たり1000万~1500万円を上限とする方向で検討している。

 雇用促進面では、新規雇用だけでなく、在籍している従業員の給与や賞与を増やして人件費総額を拡大した場合も減税対象にする。人件費増加分の1割程度を減税する方向で調整する。

 少額の株式投資を非課税とする制度「日本版ISA」に関しては、14年から3年間としていた実施期間を5年間に延長、非課税になる投資総額も期間内の合計で500万円に増やす。

 このほか、企業の研究開発に対する減税措置の拡充や、設備投資を増やした場合に法人税の減税幅を拡大することも明記。緊急経済対策に6項目の減税措置を盛り込むことにした

項目            内容

 研究開発税制の拡充     企業が試験研究にかかった総額の

               8~12%分の金額を法人税額の20

               %を上限に差し引くことができる

               研究開発税制を拡充する

 企業の設備投資の促進    企業が設備投資の総額を増やした

               場合、法人税額を減らす

 企業の労働分配を促進する  企業が給与や新規雇用を増やした

 税制措置          場合、給与支払総額の増加分の一

               定割合を法人税額から差し引く

 交際費課税の緩和      中小企業の交際費の損金計上を現

               行の上限600万円から拡充

 若年層への資産移転を促進  祖父母が孫らに教育資金として一

 するための教育資金の一括  括贈与した場合、一定額まで贈与

 贈与に関する税制措置    税を非課税にする

 日本版ISAの拡充、金融  個人に対する証券優遇税制を延長

 所得課税の一体化      し、年間100万円、5年間で最大

               500万円まで非課税にする

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-01-12 01:31 | 日本政治

いよいよ本性を現してきた米政翼賛会②

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 本日、午前中に緊急経済対策に関する記者会見を行った安倍晋三首相は、午後、大阪を訪れ、松井一郎大阪府知事・日本維新の会幹事長、橋下徹大阪市長・日本維新の会代表代行と会談を行いました。以下に、会談の様子を報じた新聞記事を3本掲載します。

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 安倍晋三首相と橋下徹市長は、以前から交友関係があり、教育改革に関しては、一致した考えを持っていました。今回の会談では教育に関する話題が出たのかどうか、以下の記事からは分かりませんが、自民党と維新の会が部分連合を形成して、今月末からの国会に望むという方向性が打ち出されたようです。

 以下の記事で特に重要なのは1つ目の記事で、橋下氏が竹中平蔵氏に期待する、という趣旨の発言をしたところです。ここに橋下氏、維新の会、自民、そして米政翼賛会(私の造語で、日本の国益ではなく、アメリカの国益のために動く自民、公明、維新、みんな、民主党の一部のこと)の裏に、竹中平蔵氏がいることが明らかになりました。

 竹中氏は、この前の総選挙での日本維新の会の候補者選定の責任者を務めていました。その人物が今度は、安倍政権下で新しく設置された産業競争力会議の委員となりました。第二次安倍内閣、そして米政翼賛会をリードしているのは竹中平蔵氏だと考えることが自然でしょう。そして、橋下氏が敢えて、出さなくても良い竹中氏の名前を安倍首相との会談の中で出した。このことは大変重要です。

 米政翼賛会は、まだその(そしてアメリカの)最終目標である憲法改正と集団的自衛権の容認を達成するまでには至っていませんが、財政出動と金融緩和で人気を上げて、今度の参議院議員選挙での大勝利を狙っています。自民、公明、維新、みんなで80議席から90議席ということなると、米政翼賛会が両院で3分の2以上を占めてしまうという結果になりかねません。

 今朝、安倍首相が発表した緊急経済対策ですが、これは、消費税増税のための方便にしかすぎません。大規模な財政出動と金融緩和でむりやり景気を引き上げて、「景気が回復したので、消費税や他の税金(法人税は除く)を引き上げて、プライマリーバランスを黒字にします」というシナリオになっています。人々にお金が回る前に増税になってしまえば、消費の落ち込みは避けられません。見せ掛けだけの景気回復のために、政府が出したお金は増税で回収され、その後、私たちには重い税負担だけが残されるということになります。

 増税で政府に入るお金、私たちがいじましいほどの努力で節約し貯めた、貯金や預金はどこにいくのでしょう。それはアメリカに貢がされることになります。そのために、米政翼賛会があり、竹中平蔵氏がいるのです。

 最後に、今回の会談が公党同士の話ということになると、日本維新の会の代表である石原慎太郎氏が姿を見せなかったのが気になります。石原氏が東京で国会議員団を取りまとめるが、決定権は大阪の橋下市長にあるということになるのなら、日本維新の会の分裂は避けられません。この動きも註していく必要があるようです。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「規制緩和で橋下氏が「竹中平蔵氏に期待」」 
2013.1.11 13:53  MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130111/waf13011113540023-n1.htm

 安倍晋三首相との11日の会談で、日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長は冒頭、首相が規制緩和実施に向けて意欲を示したのを受け、「大胆な金融緩和というか、構造改革が必要ということで、会議に竹中平蔵先生も入られたので非常に期待している」と期待感を表明。

 また、「規制緩和は本当に交渉してもなかなか進まない」と、大阪の医療産業に関する現状を紹介。「東京と大阪のツインエンジンということで、特に大阪は創薬医療技術が集積しているが、承認機関が東京にしかない。大阪にもつくってほしいとずっと言っているが実現しない」などと訴えた。


●「「大阪のエンジンたる松井知事、橋下市長」 首相が両氏持ち上げ」
2013.1.11 13:17
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130111/waf13011113190018-n1.htm

11日午後、大阪市内のホテルで始まった安倍晋三首相と日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長、同幹事長の松井一郎大阪府知事の会談。首相を迎えた橋下市長と松井知事は「今日はわざわざありがとうございます」と述べ、会談は和やかな雰囲気で始まった。

 首相は冒頭、「朝、閣議で緊急経済対策をとりまとめて予算が10兆円、20兆円の事業規模」と説明。「今日も記者会見で言ったが、東京と大阪は成長のエンジンです。エンジンたる松井知事さんと橋下市長とお目にかかって現状を伺い、要望も伺いたい」と大阪と東京のツインエンジンで日本経済を牽引(けんいん)したいとの考えを示した。


●「首相、部分連合へ手応え 日本維新、補正に協力」
2013.1.11 47ニュース
http://www.47news.jp/CN/201301/CN2013011101001979.html

 日本維新の会の橋下徹大阪市長は11日午後、安倍晋三首相との会談で、緊急経済対策を盛り込んだ2012年度補正予算案の次期通常国会での早期成立に協力する考えを伝えた。首相は会談後、日本維新と政策ごとに連携する「部分連合」構築に手応えを示した。

 今回は参院選に向けた具体的な協力や憲法改正は取り上げなかったとしているが、将来的な連携に向け一歩を踏み出した格好だ。

 首相は橋下氏との会談後、視察先の神戸市で記者団に「さまざまな規制や課題を突破する熱意を感じた。同意できるところもあったので協力していきたい」と強調した。
2013/01/11 18:57 【共同通信】

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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# by Hfurumura | 2013-01-11 20:46 | 日本政治

属国メディアのいじましさを教えてくれる産経新聞の記事

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 今日の産経新聞の記事に興味深い記事がありましたので、ご紹介します。この記事の筆者である佐々木類氏は怒っています。佐々木氏は、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)が2012年1月3日に掲載した論説記事(editorial)で、安倍晋三首相を「右翼の民族主義者」(英語の原文ではa right-wing nationalist)と呼んだこと、安倍氏が「河野談話」(1993年)の見直しをしようとしている安倍氏を酷評していることに怒っています。また、日本軍による従軍慰安婦募集の際に強制があったことを示す証拠がないにもかかわらず、強制性を認めてしまった「河野談話」に怒り、談話を出せば事を荒立てないと言いながらそれを反故にした韓国政府に怒り、「河野談話」が日本叩きの材料になっていると言って怒っています。全体としては、NYTの日本叩きに怒っています。

 NYTの記事を読んでいなかったので(お恥ずかしい限りです)、早速読んでみました。NYTの記事では、産経新聞が安倍氏に行ったインタビューが引用されています。安倍氏応援団の産経新聞が自社の記事を安倍氏批判に使われたら、それは頭にくるであろうということは分かります。味方の足を引っ張る味方というのが、一番始末に負えないものですから。

 NYTはロイターの記事を引用しています。ロイターは産経新聞による安倍氏へのインタビューの内容を伝えています。安倍氏は、「①1995年の村山談話を見直したい、②第一次政権時に調査したところ、従軍慰安婦について強制性がなかった」と述べています。また、NYTの記事によると、菅義偉官房長官は、記者会見で、「安倍首相は1995年の村山談話は見直さないが、1993年の河野談話は見直すこともあると示唆した」とあります。

 1995年の村山談話は終戦から50年目の節目に、より広範な謝罪の意を表明しています。NYTの記事では、村山談話は、「『植民地支配と侵略を通じて』、日本は『多くの国々、特にアジア諸国の人々に対して、甚大な被害と苦しみ』を与えた(“through its colonial rule and invasion,” Japan had caused “tremendous damage and suffering to the people of many countries, particularly to those of Asian nations.”)」としています。1993年の河野談話についてNYTは、「日本政府は、最終的に、当時の日本軍が、軍が運営する売春宿で数多くのアジア諸国とヨーロッパ諸国の女性隊をレイプし、奴隷化したことを認めた。そして、このような残虐行為に対して、初めて全面的な謝罪を表明した(Japan finally acknowledged that the Japanese military had raped and enslaved thousands of Asian and European women in army brothels, and offered its first full apology for those atrocities.)」としています。

 産経新聞の佐々木氏は、1993年の河野談話について怒っており、今回の記事では、村山談話については全く言及していません。これは、「日本が先の大戦で世界の多くの国々に迷惑をかけた」という、世界と日本の戦後体制の基礎となる考え方は、受け入れるということです。その上で、「日本やアジア、ヨーロッパの女性たちに強制して、従軍慰安婦にはしなかった、給与を渡して女性たちを雇用したのだ。女性たちは自発的に従軍慰安婦になった」という主張をし、それを否定する見解の河野談話に対して、産経新聞の佐々木氏は怒っています。加えて、河野談話があるせいで、ことあるごとに日本叩きの材料に使われるとして怒っています。

 このNYTの記事は、安倍氏の歴史修正主義的(リヴィジョニスト、revisionist)傾向にくぎを刺すための記事であると言えます。集団的自衛権を認めるなど、自衛隊の米軍下請化は進めるべきだが、安倍氏が調子に乗って、歴史を見直すようなことは許さないということです。日本の戦争責任がぐらつくことは、アメリカの戦後体制の基礎がぐらつくことであるし、アメリカ側と歴史の整合性が取れなくなることは、アメリカの全ての勢力が反対するでしょう。

 産経新聞の佐々木氏は、このような身勝手なアメリカやそのお先棒のNYTに対して怒っているというよりは、日本のリベラル派に怒っているということになります。このような複雑な怒りの表明は、まさに属国的です。NYTやその裏にあるアメリカに対して怒りを表明できないので、同じ日本人のリベラル派に対して怒りを見せる。本当は、アメリカに「うるせぇな、そんな事実は本当はないんだよ」と啖呵を切りたいが、そうもいかない。安倍氏が親米である以上、自分たちも親米でなければならない。しかし、アメリカからごちゃごちゃ言われて頭に来たが、その材料を作ったリベラル派に怒りをぶつけるという構図がここにあります。

 産経新聞の佐々木氏は河野談話について怒っていますが、記事の中では「見直せ、撤回しろ」とまでは書いていません。そのように思っていることは、「言外の含み」で痛いほどわかりますが、それを文字として書いていません。ここにもまた属国のメディアとしての悲しみがあります。

 産経新聞も威勢が良いようで、実はいじましいほどに気を使っていることがよく分かる記事でありました。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

【外信コラム】
ポトマック通信 「談話」のツケ重く
2013.1.11 03:13 [外信コラム] MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130111/amr13011103140000-n1.htm

 米紙ニューヨーク・タイムズがひどい。一党独裁で言論の自由がない中国や北朝鮮ではあるまいし、民主国家日本の首相を「右翼の民族主義者」呼ばわりし恬(てん)として恥じないのだ。

 同紙は今月3日、「歴史を否定する新たな試み」と題し、旧日本軍による慰安婦募集の強制性を認めた河野談話に関し、有識者による再検討の必要性に言及した安倍晋三首相を口を極めて酷評した。

 当時、官房副長官として河野談話作成に深く関わった石原信雄氏は、証拠はないが謝罪した方が得だと判断したと私にかつて語った。韓国政府が非公式に「強制性を認めれば事を荒立てない」と伝えてきたからだ。だが韓国政府がその後も態度を変えなかったため、石原氏はだまされたと悔やんだが、後の祭りだった。

 証拠もなく、閣議決定も経ないまま、河野談話が発表された平成5年8月4日の翌日、宮沢内閣は総辞職している。前年の1月13日には、慰安婦問題への軍の関与に言及した加藤紘一官房長官談話が発表されている。3日後、首相の宮沢喜一氏が訪韓し、談話は手土産にされた。事実より政治決着を優先させたのだ。ニューヨーク・タイムズは経緯をどこまで調べて批判しているのか知らないが、談話は日本叩(たた)きに利用され続けている。(佐々木類)


Editorial

Another Attempt to Deny Japan’s History

Published: January 2, 2013
New York Times
http://www.nytimes.com/2013/01/03/opinion/another-attempt-to-deny-japans-history.html?_r=0

Few relationships are as important to stability in Asia as the one between Japan and South Korea. Yet Japan’s new prime minister, Shinzo Abe, seems inclined to start his tenure with a serious mistake that would inflame tensions with South Korea and make cooperation harder. He has signaled that he might seek to revise Japan’s apologies for its World War II aggression, including one for using Koreans and other women as sex slaves.

In 1993, Japan finally acknowledged that the Japanese military had raped and enslaved thousands of Asian and European women in army brothels, and offered its first full apology for those atrocities. A broader apology by Prime Minister Tomiichi Murayama in 1995 conceded that “through its colonial rule and invasion,” Japan had caused “tremendous damage and suffering to the people of many countries, particularly to those of Asian nations.”

In an interview with the Sankei Shimbun newspaper, Mr. Abe, a right-wing nationalist, was quoted by Reuters on Monday as saying he wants to replace the 1995 apology with an unspecified “forward looking statement.” He said that his previous administration, in 2006-7, had found no evidence that the women who served as sex slaves to Japan’s wartime military had, in fact, been coerced. However, at a news conference last week, the chief cabinet secretary, Yoshihide Suga, said that Mr. Abe would uphold the 1995 apology but hinted he may revise the 1993 statement.

It is not clear how Mr. Abe, the leader of the Liberal Democratic Party of Japan, might modify the apologies, but he has previously made no secret of his desire to rewrite his country’s wartime history. Any attempt to deny the crimes and dilute the apologies will outrage South Korea, as well as China and the Philippines, which suffered under Japan’s brutal wartime rule.

Mr. Abe’s shameful impulses could threaten critical cooperation in the region on issues like North Korea’s nuclear weapons program. Such revisionism is an embarrassment to a country that should be focused on improving its long-stagnant economy, not whitewashing the past.

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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# by Hfurumura | 2013-01-11 16:02 | 日本政治

ジョン・ケリーが新国務長官となり、アジアについてどういう人物が担当になるか

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 オバマ大統領の二期目の就任式が今月21日に開催される。それに合わせて、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官が辞任し、ジョン・ケリーが新しい国務長官となる。新しい国務長官となると、ヒラリーに任命された(政治任用political appointeeと言う)高官たちも一緒に退任する。そして、ジョン・ケリー(John Kerry)が新しい人間たちをポストに就ける。

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 ジョン・ケリーがどのような人物を対アジアの最前線に投入してくるか、大変興味があるところだ。ヒラリーの辞任に合わせて、これまで対アジア外交の最前線にいた、カート・キャンベル(Kurt Campbell)国務次官補も辞任すると見られている。キャンベル次官補は、鳩山由紀夫総理(当時)を馬鹿者の意味である「ルーピー(loopey)」と呼んだことがばれたことでも知られている。キャンベルの後任は誰か、これは日本にとって重要である。

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 ここでまず整理しておきたいのは、米国務省の職掌である。国務次官や国務次官補といった名称が出てくるが、それぞれがどのような関係になっているのか、また、英字新聞を読む場合に、どれが国務次官で、国務次官補なのか分からなくなることが多い。恥ずかしながら、私もそうであった。そこで、ここで簡単に米国務省の職掌について皆さんにご紹介したい。職掌は上から以下のとおりである。

①国務長官(United States Secretary of State)
②国務副長官(United States Deputy Secretary of State):2009年から2人体制(国務副長官管理・資源担当Deputy Secretary of State for Management and Resourcesが置かれる)
③国務次官(United States Under Secretary of State):6人
④国務次官補(United States Assistant Secretary of State):11人

 日本だと、外務大臣、外務副大臣、外務政務官、外務次官となるが、以前は外務大臣、外務次官だった。日本だと政治任用(議員が就任するポスト)の数がアメリカに比べて少ない。米国務省に話を戻すと、政治担当国務次官(Under Secretary for Political Affairs)の監督下に、アフリカ局、東アジア・太平洋局、ヨーロッパ・ユーラシア局、近東局、南・中央アジア局、西半球局、国際機関局、国際麻薬・法執行局が属している。東アジア・太平洋担当国務次官補は、東アジア・太平洋局のトップである。その下に日本部長(Director of Japanese Affairs)がおり、現在は、マーク・ナッパー(Marc Knapper)が日本部長を務めている。国務次官補と同じ待遇なのが、政策企画局長(Director of Policy Planning Staff)である。このポジションは国務省での重要なポジションであり、現在はジェイク・サリヴァン(Jake Sullivan)がその地位に就いている。マーク・ナッパーとジェイク・サリヴァンについては、拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)で詳しく取り上げている。

 日本に関係するのが東アジア・太平洋担当国務次官補である。アメリカの外交誌『フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)』の記事の中で、キャンベルの後任でこのポジションに就任すると言われているのが、マイケル・シファー(Michael Schiffer)とダニー・ラッセル(Danny Russel)である。(記事のアドレスは→
http://thecable.foreignpolicy.com/posts/2012/12/21/who_might_kerry_bring_with_him_to_the_state_department)

 国務次官補就任が有力視されているマイケル・シファーとダニー・ラッセルについてこれから見ていく。東京財団が2009年に発表した「オバマ政権の主要高官人事分析」を参考にした。

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●マイケル・シファー(Michael Schiffer)
・ジョージタウン大学で学士号、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)とニューヨーク大学でそれぞれ修士号と博士号を取得。
・ハワイでBアンドB(ベッド・アンド・ブレックファスト、小規模な宿泊施設)の管理人をしていた経験がある。
・ニューヨーク大学戦争・平和・ニュースメディア研究所国家安全保障プログラム部長。
・1995―2004年までダイアン・ファインスタイン連邦上院議員(民主党、カリフォルニア州選出)のスタッフ(国家安全保障担当)。
・2004―2005年:米外交問題評議会(Council for Foreign Relations、CFR)の日立国際問題研究員として、日本の防衛研究所に在籍。
・2006―2009年:スタンレー財団(アイオワ州)・アイオワ大学アジア・太平洋研究所研究員。
・2009―2012年:米国防総省次官補代理(United States Deputy Assistant Secretary of Defense):米軍再編に従事。

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●ダニー(ダニエルが正式)・ラッセル(Daniel Russel):1953年生まれ
・サラ・ローレンス大学で学士号(ラーム・エマニュエルと同窓)。
・1985年に国務省に入省。
・1985―1987年:東京のアメリカ大使館にてマイケル・マンスフィールド駐日大使の補佐官。
・1987―1989年:駐大阪・神戸アメリカ総領事館副領事(名古屋支部担当兼任)。
・1989―1992年:国連本部アメリカ代表部に勤務し、トマス・ピカリング国連大使の政治顧問。
・1992―1995年:駐韓大使館一等書記官(韓国・北朝鮮担当政治主任):駐韓外交官時代は米朝枠組み合意交渉に関与した。
・1995―1996年:国務次官(政治担当)特別補佐官。
・1997―1999年:国務次官(政治担当)首席秘書官。
・1999―2002年:駐キプロス首席公使。
・2002―2005年:駐オランダ首席公使。
・2005―2008年:駐大阪・神戸アメリカ総領事。
・2008―2009年:国務省日本部長。
・2009年―:ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)日本・韓国部長:国家安全保障会議では六者会合を担当。
・夫人が日本人。

 マイケル・シファーは10年近く、連邦上院議員ダイアン・ファインスタインのスタッフをしていた。そして、オバマ政権下、米軍再編、実際には沖縄の米軍基地再編問題を担当していた。一方のダニエル・ラッセルは、職業外交官として勤務し、現在は出向という形で、国家安全保障会議の日本・韓国部長をしている。北朝鮮の核開発をめぐる六者協議を担当している。

 ケリーはおそらく、ヒラリーが敷いた、ネオコンとの親和性が高い介入主義(Interventionism)の外交路線を少しずつ転換していくだろう。しかし、アジア回帰(Pivot to Asia)を掲げ、アジアにおける主導権と中国に対するけん制をも狙っている。その目的に適した人材がマイケル・シファーなのか、ダニエル・ラッセルなのかということが決め手となるだろう。オバマ政権のアジア回帰路線を決定したのは、トマス・ドニロン(Thomas Donilon)国家安全保障担当大統領補佐官(Assistant to the President for National Security Affairs)であった。ドニロンとケリーとの間が悪くなければ、ホワイトハウスの意向を良く知る人物として、ダニエル・ラッセルが国務次官補に任命されることになるだろう。

 シファーがなるか、ラッセルがなるか、その決定によって、これから4年間のアメリカの対アジア、対日本政策の輪郭が少しは分かるようになるだろう。

(終わり)

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ロバート・ケーガン / ビジネス社


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# by Hfurumura | 2013-01-10 15:43 | アメリカ政治

いよいよ本性を現してきた米政翼賛会:自民・維新の連携が本格化

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 昨年12月16日の総選挙の投開票前から、私はツイッター上で、「米政翼賛会」という言葉を使ってきました。この言葉は、自民、公明、維新、みんな、民主の一部が、アメリカの国益に沿った形で日本政治を動かすことを表現したものです。戦前の大政翼賛会をもじって作りました。私は選挙戦期間中、「自民党を中心とする米政翼賛会が議会で圧倒的な議席数を確保することを止めなければならない」と、なんの力もないタダの庶民ですが、考えていました。しかし、現実には自公だけで議席数の3分の2以上を占めるという状況になりました。

 維新やみんなに関しては、「第三極」という言葉が使われていました。これは、自民党でも民主党でもない、第三の勢力を意味する言葉でした。しかし、私は、自民党、特に安倍晋三総裁の主張と、日本維新の会の石原慎太郎代表、橋下徹代表代行の主張との間に似ている点が多いことから、維新は「第三極」ではなく、自民党の補完勢力、公明党に代わる補完勢力になると考えてきました。また、みんなの党に関しては、バックが日本維新の会と重なるところから、同様の、自民党の補完勢力であると考えています。

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 いよいよ通常国会の開会も近づき、自民党と維新が連携を開始しようとしています。安倍総理大臣と橋下大阪市長が11日に会談をすることになりました。ここで協力関係が決まれば、維新の議員たちは橋下市長の号令一下、自民党と共同歩調を取ることになります。協力して行われることは、憲法改正、集団自衛権の禁止の撤廃、教育改革が含まれることは確実です。これらは日本国民の利益ではなく、アメリカの利益のためになされることです。

 いよいよ米政翼賛会が本書を現してきました。維新は自民党に対してそっけないふりをし、野党共闘のようなフェイクをかましてきました。しかし、実際には、自民党の補完勢力であり、米政翼賛会の一部であることがはっきりしてきました。この動きは益々活発化し、公明党に取って代わり、与党の仲間入りをすることも可能性として出てきました。

 これからますます厳しい状況になっていくでしょう。それでも私たちは、失敗をしても何をしても続けていくべきこと、繰り返していくべきことはただただやり続けなければなりません。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「「維新と連携可能」菅官房長官、首相と橋下氏が11日に会談」
2013.1.9 11:54 [west政治] MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130109/waf13010911570014-n1.htm

 日本維新の会の橋下徹代表代行(大阪市長)と松井一郎幹事長(大阪府知事)が11日、大阪市で、安倍晋三首相と会談することになった。首相は近くまとめる緊急経済対策を踏まえた平成24年度補正予算案や日銀総裁の同意人事など国会審議で協力の可能性を探る意向とみられ、橋下氏も衆院選挙後の昨年末、安倍政権誕生について「同じ考えのところは力を合わせたい。何でも反対ではない」と述べ、政策ごとに協力する考えを示していた。

 これに関連し、菅義偉官房長官は9日午前の記者会見で、維新との連携に関し「憲法改正や道州制について、政策ごとに理解を得て進めることができる」と述べた。

 首相と橋下、松井両氏は教育や憲法改正の要件緩和などで主張が近い。会談は維新との距離を縮め、夏の参院選に向け野党共闘にくさびを打つ狙いもありそうだ。

 また、来阪する首相は、ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥京都大教授と面会し、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究施設を視察する予定という。

●「安倍再登板を促した2.26居酒屋会談」
2013.1.7 14:09 (1/2ページ) MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130107/edc13010714110000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130107/edc13010714110000-n2.htm

 「私は以前から安倍さんのファンなんですよ」。昨年2月26日夜、大阪市内の居酒屋。安倍晋三氏にそう話したのは、大阪維新の会の幹部だ。

 安倍氏と維新幹部を引き合わせたのは日本教育再生機構の八木秀次理事長。安倍氏を挟んで八木氏と安倍氏側近の衛藤晟一(えとう・せいいち)参院議員(現・首相補佐官)が座った。向かい側には松井一郎大阪府知事(現・日本(にっぽん)維新の会幹事長)、馬場伸幸堺市議会議長(現・維新衆院議員)、中田宏前横浜市長(現・維新衆院議員)。

 この日開かれた日本教育再生機構の「教育再生民間タウンミーティングin大阪」で安倍氏は、維新の教育基本条例制定の動きを評価し「教育再生は道半ばです。私も同志の皆さんと頑張ります」と発言。松井氏も安倍氏の教育政策を称賛し、意気投合していた。その打ち上げが居酒屋会談だ。

 維新側出席者は「私たちは安倍さんがやり残したことを大阪でやろうとしているんです。だからブレーンも同じです」と何人かの名前を挙げた。安倍氏は「確かにそうだね」と応じた。衛藤氏が首相への再登板を促すと、安倍氏は否定しつつも、まんざらでもない表情を見せた。この顔合わせがきっかけになって、安倍氏は間もなく橋下徹大阪市長(現・日本維新の会代表代行)とも初めて会談した。

「安倍再登板の原点は大阪での『2.26居酒屋会談』。あのころから安倍さんに元気が戻り、政界の中で『過去の人』ではなくなってきました」と、関係者は話す。

 日本教育再生機構は第1次安倍内閣の教育再生政策を民間でリードするため発足し、教育再生会議への提言などを行った。安倍氏の辞任後も再登板を信じ、改正教育基本法に則した中学校歴史・公民教科書や『13歳からの道徳教科書』(いずれも育鵬社)の発行など、安倍氏の理念を実現してきた。安倍氏はその活動を頼もしく感じ、さらに維新の面々に会って勇気づけられたのだ。

 別の関係者は「安倍さんは自民党内の一部勢力より、維新にいる政治家に親近感を抱いているはず」と語る。

 夏の参院選後に憲法改正問題などで自民党と維新の連携が行われれば、国家観に基づく真の政界再編につながるかもしれない。(渡辺浩/SANKEI EXPRESS)

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

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# by Hfurumura | 2013-01-09 20:31 | 日本政治

オバマ大統領二期目の大統領就任式の記事から考える

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 今月21日(日本では22日)に、バラク・オバマ大統領の就任式がワシントンで行われます。二期目ということで、そこまで大きな期待感や変化を感じることはありませんが、今日ワシントン・ポスト紙に掲載された大統領就任式についての記事が目に留まりましたので、ご紹介します。

 記事によると、21日に行われる就任式で、神に祈りを捧げる人物に、市民権運動に参加し、殺害されたメドガー・エヴァース(Medgar Evers)の未亡人のマイリー・エヴァース=ウィリアム(Myrlie Evers-Williams)という女性が決まったという内容です。マイリー自身もアメリカの黒人団体であるNAACPのトップを務めた活動家です。記事によると、祈りを捧げる役目を女性で、しかも聖職者ではない人物が行うのは初めてのことだそうです。

 就任式では、大統領が登場して、聖書に手を置いて、聖職者が宣誓の文言を先導し、大統領が宣誓するのがハイライトです。私たちもテレビなどでよくその光景を目にします。オバマ大統領の一期目は、最高裁判事のジョン・ポール・スティーヴンス(John Paul Stevens)が先導しました。宣誓式で使う聖書は大統領が選ぶことができ、オバマ大統領の一期目の宣誓式では、エイブラハム・リンカーンが宣誓式で使った聖書が使われました。

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一期目の宣誓の様子

 宣誓式ではプロテスタントの聖職者たちが神に祈りを捧げてきたのは、「アメリカはプロテスタントのキリスト教徒(Christianity)が作った国である」という大前提があったからです。

宣誓式にはいくつかの段階があり、祈りを捧げるという段階もあり、マイリーが祈りを捧げることになった、女性でしかも非聖職者の人物が初めてというのが記事の内容です。

 宗教と政治の関係、政教分離(Separation of State and Religion)は長年、アメリカ政治の世界で議論され続けたテーマです。政治という公の場で宗教について語ること、道徳的なことは避けるべきだという考えがあります。一方で、道徳や宗教(特にキリスト教)について政治の場でも表現すべきだという考えがあります。リベラル派(政党で言うと民主党)は、政治の場で宗教について表現すべきではないと考え、保守派(政党で言うと共和党)はその逆の考えを取ります。リベラル派は、マイノリティの人々を重視するという立場から、宗教や道徳を表現することは、マジョリティの人々の考えをマイノリティに「強制する」「押し付ける」ことにつながると考えます。保守派の人々は、社会の基盤となる道徳や宗教について語るのは当然ではないかと主張します。

 1960年代から70年代にかけて、リベラル傾向が強まったアメリカでは、公の場では宗教や道徳について語るべきではないという考えが強まりました。しかし、1980年代以降、人々の孤立化、社会の混乱などから、宗教的な規範や道徳を人々が望むようになりました。レーガン、ブッシュ(父)、そしてブッシュ(息子)の歴代共和党政権では、そのような傾向が強まりました。

 民主党はリベラル派ですから、道徳や宗教について語ることを躊躇っていました。しかし、オバマ大統領は、選挙戦や一期目の就任式で宗教的、道徳的な言葉づかいを多用することで人々を惹きつけた、とハーバード大学教授マイケル・サンデルは著書『これからの「正義」の話をしよう』のなかで述べています。サンデルは、オバマの次の発言を引用しています。「わが国の法律は、その定義からして、道徳を法典化したものであり、道徳の大部分はユダヤ教とキリスト教の伝統に基づいている」

 オバマ大統領は、ミドルネームが「フセイン」であり、正式の名前は、「バラク・フセイン・オバマ(Barack Hussein Obama)」です。フセインと言えば、誰でも思い出すのが、イラクの故フセイン大統領です。この点から、オバマ大統領がアメリカの大統領にふさわしくない、などという批判をする人々もいました。また、オバマ大統領に不安を持つ人々も結構いました。この点を払しょくするために、オバマ大統領は、上記のような発言をしたものと考えられます。ユダヤ・キリスト的な道徳に従うと述べることで不安を一掃しようとしたものと考えられます。

 二期目の今回、就任式のテーマ(正式にはテーマというものはありません)が、伝統や道徳、宗教といったものから、アメリカ人全体の「普遍的な価値である人権」に移ったということが言えるのではないかと思います。そして、シカゴの貧困地域での活動から政治的な活動を始めたオバマ大統領にとって、「普遍的な価値である人権」は「初心忘れるべからず」の「初心」なのでしょう。

 更に言えば、「普遍的な価値である人権」を基礎にして国内、国外の諸問題に取り組んでいくという意思表明なのだろうと私は考えます。これは大きく言えば、非民主的で、人権を抑圧している(と言われている)ロシアや中国に対するけん制という意味もあるのだろうと思います。


(新聞記事貼り付けはじめ)

Widow of Medgar Evers to deliver invocation at Obama inauguration

By Michelle Boorstein,
Washington Post
Published: January 8
http://www.washingtonpost.com/national/inauguration/medgar-evers-widow-to-deliver-invocation-at-obama-inauguration/2013/01/07/293904e2-592e-11e2-88d0-c4cf65c3ad15_story.html
http://www.washingtonpost.com/national/inauguration/medgar-evers-widow-to-deliver-invocation-at-obama-inauguration/2013/01/07/293904e2-592e-11e2-88d0-c4cf65c3ad15_story_1.html

President Obama has picked Myrlie Evers-Williams, widow of slain civil rights icon Medgar Evers, to deliver the invocation at his public swearing-in later this month. It is believed to be the first time a woman, and a layperson rather than a clergy member, has been chosen to deliver what may be America’s most prominent public prayer.

The inaugural committee Tuesday plans to announce that the benediction will be given by conservative evangelical pastor Louie Giglio, founder of the student-focused Passion Conferences, which draw tens of thousands of people to events around the world.

The contrasting choice of speakers are typical of a president who has walked a sometimes complicated path when it comes to religion — working to be inclusive to the point that critics at times have questioned his faith.

In a statement released by the inaugural committee, the president said the careers of Evers-Williams and Giglio “reflect the ideals that the Vice President and I continue to pursue for all Americans - justice, equality and opportunity.”

Obama will privately take the oath of office for his second term on the constitutionally mandated date of Jan. 20, a Sunday. But the public ceremony will be the next day, coinciding with the Martin Luther King Jr. holiday. In a statement issued by the Presidential Inaugural Committee, Evers-Williams said “it is indeed an exhilarating experience to have the distinct honor of representing” the civil rights era at the Jan. 21 event.

This year is the 50th anniversary of the murder of Evers, who was the NAACP’s Mississippi field secretary at the time of his death. Myrlie Evers-Williams spent decades fighting to win a conviction of her late husband’s shooter, and served as chairman of the NAACP in the 1990s.

“I would imagine that even people who are made somewhat uncomfortable by the allusions to religion in such public moments will find an invocation by the widow of a martyr to be moving and poignant,” said author Jon Meacham, who has written on religion in American history. “This is as unifying a gesture as a president could make, it seems to me.”

The invocation comes at the start of the inaugural ceremony, and the benediction comes at the end. An inaugural official said Giglio was picked for the benediction in part because of his work raising awareness about modern-day slavery and human trafficking. Those were core issues at his most recent conference, Passion 2013, attended by more than 60,000 mostly young evangelicals in Atlanta.

“During these days it is essential for our nation to stand together as one,” Giglio said in a statement. “And, as always, it is the right time to humble ourselves before our Maker.”

Decades ago, few Americans paid attention to the clergy (always mainline Protestants) who stood on the podium with the incoming president, or the scripture upon which the president put his hand as he swore the oath of office. But as the country has become more politically polarized and religiously diverse, faith and politics have become far more explosive, and such official moments are now scrutinized.

Obama made news four years ago when he selected conservative megachurch pastor Rick Warren to deliver the invocation. The choice angered progressives who opposed Warren’s work to prevent same-sex marriage, but was seen by many experts as a sign of Obama’s willingness to work with religious conservatives after a bruising campaign.

With the country arguably even more polarized in 2013, historians of religion and politics said Monday that inaugural prayers can be a unifying balm in a nation that overwhelmingly describes itself as Christian. They said they expect Obama to include strong theological references in his address.

Shaun Casey, a Wesley Theogical Seminary professor who has written about faith and the U.S. presidency (and advised the Obama campaign on faith in 2008), said the president is like Franklin D. Roosevelt and Abraham Lincoln in that “he’s trying to unite the nation in the face of deep division and conflict. They are trying to coax more people into the national discussion . . . and this is the last time the entire nation will pay attention to what this guy says in one sitting.”

Some details of the inaugural ceremony have changed over time, including the move to the west side of the Capitol from the east side. But historians say the role of an unspecific deity has been a prominent constant. Lincoln’s address at his second inauguration is the most explicitly religious in history, Casey said.

It was only in the 1970s and 1980s, historians said, with the rise of the religious right and the culture wars that Americans started caring more about who was praying over the president on the podium and how.

“It became a way of making political statements,” said Randall Balmer, professor of American religious history at Dartmouth College.

Progressive evangelical leader Jim Wallis said he has been asked for guidance by some of the clergy who have been involved in previous inaugurations and also some involved this year. He said he warns them against “the temptation or danger” of being only a chaplain offering a blessing.

“When people ask my advice, I always say: ‘Use the occasion to remind our political leaders of their responsibility to the common good. Our involvement in these events should be prophetic in the biblical sense.’ ”

The inaugural committee would not release details about the scripture to be used for the swearing in. Presidents typically rest their hands on the Bible.

An interfaith National Prayer Service is scheduled Tuesday at Washington National Cathedral.

(新聞記事貼り付け終わり)

(終わり)

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# by Hfurumura | 2013-01-09 16:11 | アメリカ政治