翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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カテゴリ:日本政治( 192 )

2016年問題と言ったほうがよいかもしれない

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



4月になってもまだまだ寒い日々が続きます。私は現在、福島県の山間部におりますが、春というよりも晩秋といった風情です。まだまだ雪をも降ります。

季節が進み、夏になりますと、参議院議員選挙が行われます。この参議院議員選挙の争点は、「憲法改正」という点で、各政党は一致しているようです。

その中でも、特に日本国憲法第96条の「改正」を主張している政党(米政翼賛会と私は呼んでいます)と、それに反対している政党があります。

日本国憲法第96条は以下のような条文です。

(引用はじめ)

第9章 改 正
 
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

(引用終わり)

この条文は、憲法改正の手続きに関する条文です。この条文によると、憲法を改正する手続きとして、衆参両議院それぞれが所属議員3分の2以上の賛成で国民に憲法改正を提案し、国民投票で過半数の賛成があった場合に、憲法を改正することができるということになっています。複数の段階を経る、議員の3分の2というハードルの高さのために、これまで憲法改正は行われてきませんでした。また、55年体制下、野党第一党日本社会党は、憲法改正を阻止するために、しかし、与党になることは望まないという姿勢で、自民党とある種の妥協を行っていました。

今回、この日本国憲法第96条の改正を自民党と維新は目指しています。現在、衆議院は憲法改正に前向きな勢力が3分の2以上(自民と維新で348、民主党の一部も含めるともっと増える)を占めている状況です。参議院は3分の2以上となると162となりますが、憲法改正勢力はまだそれを占められないでいます。また、この夏の参議院選挙で3分の2以上を占めるためには、113議席の獲得が必要ですが、これはなかなか困難です。しかし、これは今回の参議院議員選挙だけを考えれば、です。次回2016年7月までを考慮に入れると、決して不可能な数字ではありません。また、現在の衆議院議員の任期は2016年12月15日までですから、それまでに解散がなければ、もう一度チャンスが巡ってきます。

「2016年」が大変重要であると考えます。今回の参議院議員選挙はそのための足掛かりになるということができます。

アメリカのオバマ政権も2016年まで(正式には2017年1月まで)ですから、それまでにTPPや日本の憲法改正手続きの「緩和(easing)」を進めておきたいということもあるでしょう。そして、2017年からの新しい大統領(おそらく共和党←外れたら申し訳ありません)で、「日米新時代」ということになるのではないかと考えます。自衛隊の領土領海外活動の拡大、米軍の下請け軍隊としての性格がよりはっきりとなっていくでしょう。経済、政治、そして軍事で属国化が進んでいくものと考えられます。

このシナリオが荒唐無稽で、まったく箸にも棒にもかからない笑い話で終われば良いなとは思いますが、そうならないかもしれない雰囲気も感じられるのです。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「首相と橋下氏が一致…改憲発議要件「過半数」に」

読売新聞電子版 2013年4月12日

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130411-OYT1T01202.htm

 安倍首相と日本維新の会の橋下共同代表が9日の会談で、憲法96条が規定する改憲手続きを巡り、衆参各院の「3分の2以上」の賛成が必要とする改憲発議要件を「過半数」に緩和
すべきだとの認識で一致していたことが11日、分かった。

 会談に同席した維新の会の松井幹事長が、大阪府庁で記者団に明らかにした。

 松井氏によると、首相は「国民が憲法改正を議論するためにも、改正の発議ができる96条を緩和する必要がある」と述べ、橋下氏らも同様の認識を示した。さらに、過半数の賛成が必要とされている国民投票の要件の厳格化を検討する必要性でも一致したという。

 これに関連し、橋下氏は11日、大阪市役所で記者団に、「改正する条項に応じて(国民投票の)要件を変えてもいいのではないか」と述べ、要件の厳格化は重要条項の改正の場合に限定すべきだとの考えを示した。

(2013年4月12日10時15分 読売新聞)

●「維新連携視野に?菅長官「改憲を参院選争点に」」

読売新聞電子版 2013年4月9日

http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20130408-OYT1T01183.htm

 菅官房長官が憲法改正を夏の参院選の争点とすることを目指し、活発に発信している。

 8日の記者会見では、具体的な憲法改正の論点について「必要だと思うのは、環境権などだ。環境問題は憲法ができた当時、なかった。国民生活に大きな影響を与えるものだから、『加憲』で、憲法改正に入れていくのは当然のことだ」と環境権の明記に踏み込んだ。

 環境権は、「加憲」を掲げる公明党が新しい人権として主張しているテーマで、改正争点化に慎重な意見が多い同党に配慮したものとみられる。

 7日の福岡市での講演では、憲法改正の発議要件を緩和する96条改正に最優先に取り組む考えを示し、8日の記者会見でも「96条の改正がなければ、物事が進まない」と強調した。

 憲法改正に関する積極的な発信には、改正に意欲的な日本維新の会などと連携し、憲法改正に必要な衆参両院で3分の2以上の議席を確保する狙いがある。菅氏は9日、日本維新の会の橋下共同代表、松井幹事長と首相官邸で会談する予定。憲法改正を通じて公明、維新などとの連携を強化し、民主党を孤立化させる狙いも指摘されている。

(2013年4月9日10時50分 読売新聞)

●「<憲法改正>「ポイントは環境権」菅官房長官、公明に配慮か」

毎日新聞 4月8日(月)19時38分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130408-00000054-mai-pol

 菅義偉官房長官は8日の記者会見で、憲法改正の発議要件を定めた96条の見直しに関連し、改憲のポイントとして「環境問題は憲法ができたときにはなかったから、環境権を入れるのは自然ではないか」と述べた。

 記者団が、戦争の放棄を定めた9条の改正との優先順位をただしたのに対しては「自民党としても、現在の憲法の基本路線を守りながら、まず96条を改正しないと前に進まない」とかわした。環境権などを追加する「加憲」を掲げる公明党に配慮したとみられる。【鈴木美穂】

(新聞記事転載貼り付け終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2013-04-12 11:36 | 日本政治

黒田「異次元」節とは結局何なのか

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



前回に引き続き、黒田節(日銀による量的、質的緩和)に関することを書きます。

英紙フィナンシャル・タイムズ紙は、アベノミクスや日銀による金融緩和に関する批判を多く掲載しています。

今回、ご紹介するのもその一つと言って良いでしょう。マーティン・ウォルフによる記事です。この中には、今回の日銀の金融緩和について、鋭い批判がなされています。

この記事の中で重要だと思われるのは、円安とインフレ(ハイパーインフレの可能性も指摘しています)によって、

「中長期的に見れば、日本の企業投資の対GDPは下がるばかりで、決して上昇しない。家系による貯蓄は低下し、借入を行う意志も小さくなり、そうなると、現在、日本企業が
過度に持っている内部留保の行く先は2つしかない。それは外国と日本政府だ」

という部分です。

黒田節によって、すでにヨーロッパ諸国の国債が買われていることはご紹介しました。日本国内の富裕層が日本円や円建ての資産を持っていても、価値が毀損されるだけですから、海外に流れるのは当然のことでしょう。利子を見ても日本の銀行に預けていても、これからますます利率が下がっていくのですから、何にもなりません。

また、安倍首相や浜田宏一内閣参与は消費税の増税に否定的ですが、物価の上昇というのは「好景気」の一つの指標なのですから、財務省が増税をしないなどということを許すはずがありません。外圧でもなんでも使って、消費税増税をして、政府が日銀が垂れ流したお金を吸い上げることになります。

そのために、与野党問わず若手の、財務省の御教育がしっかり行き届いた議員たちが「消費税増税は良いこと」という論陣を張りつつあります。

物価上昇に苦しみ、形ばかりの給料の増額があったかと思えば、消費税増税、円安による値上げによってますます生活が苦しくなる、という構図が既にできています。

黒田節にある「酒は飲め、飲め」で、平成元禄気取りを酔っぱらって、しらふに戻ったら真っ青なんてことになるんだろうと私は考えています。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●Japan's unfinished policy revolution

By Martin Wolf
April 9, 2013 7:07 pm
Financial Times
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/2d7cc812-a079-11e2-88b6-00144feabdc0.html#axzz2Q2YkcONG


Tokyo’s economic system is a machine for generating high private savings

Haruhiko Kuroda, the new governor of the Bank of Japan, has launched a monetary policy revolution. He has ended two decades of caution, during which the BoJ declared
itself helpless to end deflation. Prime Minister Shinzo Abe’s goal of 2 per cent inflation within two years is ambitious – and Mr Kuroda now has a bold policy to meet
it. The question is whether the policy will work. My answer is: on its own, no. The government must follow up with radical structural reforms.

On April 4, the Bank of Japan announced the launch of “quantitative and qualitative easing”. It promises to double the monetary base and to more than double the
average maturity of the Japanese government bonds that it purchases. The monetary base will rise at an annual rate of Y60tn-Y70tn ($600bn-$700bn or 13-15 per cent of
gross domestic product) and the average maturity of holdings of JGBs will increase from three to seven years. Furthermore, says the BoJ, it “will continue with the
quantitative and qualitative monetary easing as long as it is necessary”.

This is not “helicopter money”, since the intention is to reverse the monetary expansion when the economy recovers. This is also not an outright purchase of foreign
assets, as the Swiss National Bank has done. This is, instead, in the words of Gavyn Davies, chairman of Fulcrum Asset Management, “an outsize dose of internal
balance sheet manipulation”, designed to encourage the financial sector to shift from holdings of JGBs and to raise the prices of real assets. Nevertheless, a weaker
exchange rate is surely a desired consequence.

Why might this work? The answer is that Japan suffers from a structural excess of savings in the private sector. Companies are accumulating too much cash. The announced
policy could change this, at least temporarily, in a combination of two ways. First, by lowering the real exchange rate, it could increase Japan’s ability to export
excess savings via a larger current account surplus. Second, by turning the real interest rate negative and also raising real wealth, the policy might raise investment
and lower savings.

Yet, at best, this would only work in the short run. At worst, it could destabilise inflation expectations so dangerously that it pushes Japan from deflation to
ultra-high inflation, without stopping for long at any point in between. Thus, the Japanese might decide that the aim of the government is to impoverish them brutally,
by reducing the real value of their (admittedly unsustainable) savings. If this frightened them into fleeing the yen, policy makers would be at a loss, since they
could not respond by increasing interest rates without devastating the public finances. They might even have to impose exchange controls.

What, then, has to be done to make the shift in monetary policy work? The answer is to recognise that the underlying obstacle is structural: it lies in what is now a
dysfunctional corporate sector.

Andrew Smithers of Smithers & Co and Charles Dumas of Lombard Street Research have recently made much the same point. Japan’s private savings – almost entirely
generated by the corporate sector – are far too high in relation to plausible investment opportunities. Thus, the sum of depreciation and retained earnings of
corporate Japan was a staggering 29.5 per cent of GDP in 2011, against just 16 per cent in the US, which is itself struggling with a corporate financial surplus.

Japan’s economic system is a machine for generating high private savings. A mature economy with poor demographics cannot use these savings productively. As Mr Dumas
notes, US gross fixed business investment has averaged 10.5 per cent of GDP over the past 10 years, against Japan’s 13.7 per cent. Yet US economic growth has much
exceeded Japan’s. Japanese corporations must have been investing too much, not too little. It is inconceivable that raising the investment rate, to absorb more of
the corporate excess savings, would not add to the waste.

In the short term, negative real interest rates might raise investment a little, since savings earn less. But, in the medium to long term, Japanese corporate
investment should fall, relative to GDP, not rise. Since household savings are low and their willingness to borrow is small, this leaves only two other areas capable
of absorbing the huge excess savings of the corporate sector: foreigners and the government.

In practice, the government has largely done the job over the past two decades. That is why fiscal deficits are huge and public sector indebtedness is on an
ever-rising trend. Meanwhile, the external surplus has diminished. This is due to worsening terms of trade and poor performance on export volume. Again, a depreciation
in the yen should help, but only a little. The current account surplus needed to absorb the excess savings of the corporate sector and generate the fiscal surplus
needed to lower public debt ratios would be at least 10 per cent of GDP. Still a fairly closed economy, Japan could not generate such a surplus. If it could, the rest
of the world would surely not absorb it.

It follows that Japan desperately needs structural reform – but not just any structural reform. It needs reform that both lowers excess corporate savings and
increases the trend rate of economic growth. This combination should be possible, since Japan’s GDP per head (at purchasing power parity) is down to 76 per cent of
US levels and its GDP per hour to just 71 per cent. The policy options include: a huge reduction in depreciation allowances; a punitive tax on retained earnings,
possibly combined with incentives for higher investment; and reform of corporate governance, to give more power to shareholders. The aims would be to deprive companies
of the cash flow cushion that has featherbedded inefficiency. The worst possible tax rise is the one on consumption now planned, since Japan consumes too little. Tax
corporate savings, instead.

Such reforms really would be radical. Is there the smallest chance that Mr Abe might move in this direction? No. But without this sort of reform, the BoJ’s new
policy will prove, at best, a short-term palliative and at worst an inflationary disaster. Meanwhile, China needs to note that this is the end result of an economy
built by favouring investment and suppressing consumption. That is a great strategy for catching up with the rich world, but it leaves huge headaches when fast growth
is over.

(新聞記事転載貼り付け終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-04-10 22:57 | 日本政治

日本の「異次元の金融緩和」はヨーロッパ救済のためのものでもあった

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



古村治彦です。

ここ2カ月ほど、翻訳の作業に没頭して、ブログの更新を滞らせまして大変申し訳ございません。拙ブログをお読みいただいている皆様に深くお詫び申し上げます。

さて、2カ月の間、世間で何が起きているのか、ほとんど分からない状況でありましたので、浦島太郎のようにメディアのウェブサイトを見て回り、詳しい方々からお話を
伺っておりました。

その中で重要なのは、日銀の黒田東彦総裁にによる金融緩和の発表だったそうです。「ここが大きな転換点だ」と話した方もいました。

この日銀の金融緩和については、デフレ脱却のため、これまでにはない方法で、全艦突撃、総攻撃スタイルで行われるものであるということです。日銀が10年まではいかない
日本国債を大量購入して、通貨供給を増やすということで強制的に物価を引き上げるということだと私は理解しています。

そう考えておりましたところ、先ほど、英紙『フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)』紙に興味深い記事が掲載されていました。今回の異次元の金融緩和によって、
日本の債券市場からヨーロッパにお金が流れるということが起きている、もしくはそれがこれからどんどん加速していくという内容の記事です。

日銀による日本国債の大量購入によって、利率が下がります。それに魅力を感じない投資家たちが、ヨーロッパ各国の国債を購入する動きに出ているということです。記事では、
フランスが大きな恩恵を受けているが、それ以外にもオーストリア、ドイツ、オランダ、フィンランド二もお金が向かっているそうです。また、利率が危険な水準にまで達していた
イタリアとスペインの国債も買われているそうです。これらの国々の国債の利率は軒並み下がっています。

このように、「風が吹けば桶屋が儲かる」式の、いや、もっと単純な形ですが、日本がヨーロッパを支えるという構図が出来上がっている訳です。

これを安倍首相と黒田日銀総裁があらかじめ予定していたのかどうかは分かりません。しかし、日米欧の関係、中国との関係を考えると、米欧が日本にヨーロッパを支援を
行うように依頼した、また誘導したということは考えられることだと思います。

際限なく通貨を発行して、通貨の価値を毀損して、そして、そのお金でヨーロッパを救おうということで、これは「異次元の金融緩和」でもなんでもない。アメリカのQE、
ヨーロッパのドラギ砲の日本版であり、それも自国の経済に果たして効果があるのかどうか、分からないのにこんなことをやらされる。

「属国・日本論」の観点からだと、以下の記事を、このように読むことができます。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●Japan’s yield hunters seek European debt

Financial Times
Last updated:April 8, 2013 8:21 pm
By Robin Wigglesworth and Alice Ross in London
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/b5a2046e-a042-11e2-a6e1-00144feabdc0.html#axzz2PpPB0IYc


Increased expectations of a jump in Japanese investment in Europe’s bond markets following the Bank of Japan’s drastic action to ease monetary policy helped drive
borrowing costs lower across the continent on Monday.

The BoJ’s massive bond-buying plans unveiled last week are forecast to push domestic yields down and encourage Japanese investors to venture abroad for better
returns, fuelling expectations of further declines in European borrowing costs.

“The amount of money in the Japanese government bond market that could leave Japan is monumental,” said Bob de Groot, a head trader at BNP Paribas. “We’ve just
seen the tip of the iceberg so far.”

Investors are on high alert for signs that domestic Japanese investors are shifting into overseas markets. Traders at Citigroup said the vast majority of yen selling
continued to be driven by hedge funds trying to front-run the wall of cash from Japan that is expected to hit global markets in the coming weeks.

However, some traders and bankers said Japanese investment had already increased noticeably in recent days and weeks, as local investors prepared for aggressive BoJ
action.

“We’ve see big Japanese flows into Europe recently, and particularly into French bonds,” said Demetrio Salorio, global head of debt capital markets at Société
Générale.

France’s 10-year bond yield fell to 1.71 per cent on Monday, a new record low and down from more than 2 per cent just a week ago. Austria’s benchmark borrowing
costs also fell to an all-time low, while German, Dutch and Finnish bond yields were also close to their trough.

But the biggest impact was in Europe’s debt ridden periphery as the yield on Italy’s 10-year benchmark fell 11bp to 4.31 per cent, while Spain’s fell 9bp to
4.71 per cent.

Japan’s army of retail investors has largely preferred to take advantage of the weaker yen to repatriate overseas assets this year rather than putting more money
to work abroad. Analysts are predicting that lower Japanese bond yields will spur them into action in the coming weeks.

“Now that Japan’s long-term bond yields look set to remain low – and the yen weak – for the next few years, domestic savers may venture into foreign assets with
renewed interest,” analysts at Bank of America Merrill Lynch said in a note.

The euro hit its strongest level against the Japanese yen in more than three years on Monday as investors returned to the short yen trade. The single currency has
risen more than 7 per cent against the yen since the Bank of Japan surprised global markets last Thursday with its radical policy action. On Monday, the euro was more
than 1 per cent higher at Y128.83, its strongest level since January 2010.

Buying the euro and selling the yen has been one of the most popular trades in the global foreign exchange market this year as hedge funds bet that the Japanese
currency will weaken while snapping up cheap peripheral bonds earlier this year. Many speculators reversed that trade shortly before the Bank of Japan’s meeting on
Thursday.

The yen also tumbled again on Monday, falling 1.6 per cent against the US dollar to trade at Y99.15, the lowest since April 2009.

An analysis of internal flows by Nomura, the investment bank, showed that selling the euro and buying the yen was a popular trade among hedge funds earlier last
amid caution over whether the BoJ’s stimulus measures would go far enough.

Currency traders reported hectic trading on Monday as investors who were not positioned for the weaker yen scrambled to make fresh bets it would fall further.

“What the BoJ is doing is unprecedented – we’ve had every type of client getting involved,” said Mr de Groot.

Analysts singled out France as a particular beneficiary of Japanese investment abroad. Although some are concerned by France’s economic and fiscal weaknesses,
the country remains one of the most highly rated governments in the world and its bond market is among the largest and most liquid – a key factor for many investors.

Emerging market bonds are also expected to be a big winner from Japan’s aggressive policy easing.

The average blended yield of JPMorgan’s EMBI Global Diversified index of bonds sold by the developing world tumbled more than 10 basis points to 4.61 per cent on
Friday, the biggest one day drop since October 2011.

“The higher growth and interest rates offered by emerging markets may attract a significant portion of these savings,” BofA’s analysts said.
“Within Latin America, Brazil and Mexico ought to benefit due to the size of their domestic bond and currency markets.”

(新聞記事転載貼り付け終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-04-09 12:02 | 日本政治

読売新聞が大々的に報じた東京財団出身者の動き

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 昨日の読売新聞に興味深い記事が掲載されていました。今年の夏に行われる参議院選挙の山形選挙区の自民党候補に大沼瑞穂氏という女性が決定したということです。党内の選挙で現職の県議に圧勝しての候補の内定ということになりました。

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 地元出身の県議が東京出身、公募で山形に移住してきた候補者になったということです。これは日本ではなかなかないことで、よほどのバックアップがなければ難しいことです。そのバックアップの一つの要素が「東京財団(Tokyo Foundation)」というシンクタンクです。

 東京財団はアメリカ(のジャパンハンドラーズ)の日本における一つの拠点になっています。東京財団の研究員一覧(→http://www.tkfd.or.jp/research/people/)を見ていただければわかりますが、ジャパンハンドラーズの頭目、現地司令官のジェラルド・カーティスコロンビア大学教授が研究員として在籍しています。ジェラルド・カーティス氏については、拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)で詳しく書きました。お読みいただければ幸いです。

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 大沼氏の内定には、自民党本部の意向、もっと言えば、アメリカの意向が反映したものと思われます。

 東京財団と読売新聞社は共同で講演会やセミナーを開催するなど深い関係にあります。この2つの組織は共にアメリカの手先の拠点となっています。その点で関係が深いのは当然のことだと思われます。

 今回の大沼氏の内定は、読売新聞にとっても喜ばしいことだったようです。それで大々的に報道したようです。しかし、それは属国メディアのさもしい喜びということになるでしょう。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「女性元研究員、自民党員選挙に圧勝…参院候補に」

読売新聞電子版 2013年2月5日
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20130205-OYT1T00340.htm

 自民党山形県連は4日、参院選山形選挙区(改選定数1)の公認候補を選ぶ党員投票の開票を行い、元東京財団研究員の大沼瑞穂氏(34)が選出されたと発表した。

 県連は近く、党本部に大沼氏の公認を申請する。

 大沼氏と県議の児玉太氏(42)の2人で争われた。発表によると、投票総数は5702票で、大沼氏が約63%にあたる3579票を獲得し、2118票の児玉氏に大差をつけた。投票権を持つ党員は8801人で、投票率は64・79%だった。

 大沼氏は、2010年の前回参院選でも公募に応じたが、党員投票で現職の岸宏一氏に503票差で敗れている。再挑戦で公認の座を射止めた大沼氏は「女性と高齢者の雇用を取り込むことが経済成長に欠かせないと訴えていきたい」と抱負を語った。

 県連を二分する激しい選挙戦が展開された前回の党員投票から一転、今回は県選出の国会議員が目立った動きを見せない「静かな」戦いとなった。大沼氏は前回の党員投票で培った知名度や若さを武器に、幅広い支持を集めた格好だ。

 今回の結果について、記者会見した同党県連の志田英紀幹事長は「もっと競ると思っていたので予想外だった」とした上で、「決まったからには大沼さんを挙党一致でもり立てていきたい」と話した。

 同選挙区は、いずれも新人で共産党の太田俊男・党県副委員長(59)、幸福実現党の城取良太氏(35)が出馬の意向を表明。改選を迎えるみどりの風現職の舟山康江氏(46)も近く立候補を表明する見込み。舟山氏が離党した民主党は、県連と連合山形が3月末までに共同で候補者擁立を目指す。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-02-06 01:40 | 日本政治

みんなの党・渡辺喜美代表についての記事を読んで:米政翼賛会内の動きが活発化している

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 今年の1月に入ってから、みんなの党と日本維新の会の選挙協力、合併の記事と合わせて、渡辺喜美・みんなの党代表に対する攻撃記事が目立つようになりました。これらの記事は、週刊CIA日本版の週刊文春(文藝春秋社)と日刊CIAにもなれない哀れな属国メディアで、全国紙の落ちこぼれの産経新聞に掲載されています。文藝春秋社と産経新聞が海の向こうの意向を受けて渡辺氏に攻撃を加えていることは明らかです。

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 渡辺氏は、日本維新の会との合併や協力について慎重な立場を取っています。確かに、渡辺氏は一時期、みんなの党と日本維新の会の合併を模索したことがありました。しかし、日本維新の会が石原慎太郎氏率いる太陽の党(今となってはもう懐かしい響きですね)と合併したことで、昨年の総選挙では選挙協力までは行いましたが、それ以降、合併の話はしなくなりました。

 一方、橋下徹大阪市長は、「日本維新の会がなくなっても」「自分が下がっても」良いので、みんなの党と日本維新の会の合併を進めたいと主張しています。「第三極」として、自民党に対抗するという姿勢を見せています。

 これに対して、渡辺氏は、「日本維新の会が政策の異なる太陽の党と合併したこと」に対して、不信を持っているということになっています。しかし、渡辺氏以外のみんなの党の政治家たちは日本維新の会との合併に乗り気で、(恐らくとしか言えませんが)渡辺氏の許可を得ることなく、選挙協力や合併に向けての話し合いをしているようです。

 私は昨年から、渡辺氏以外のみんなの党の面々は日本維新の会との合併を望んでおり、渡辺氏は孤立しているということを感じ、そのことをツイッターなどで書いてきました。いよいよそれが現実になりそうです。これには権力闘争の面とよりアメリカの意向に沿うように米政翼賛会の引き締めを図るという面があるように私には感じられます。

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 みんなの党の江田憲司幹事長は、橋本龍太郎元首相の女婿であり、元通産官僚です。竹中平蔵氏や堺屋太一氏との関係も深い人物です。諸事情で今はみんなの党にいますが、元々は自民党や日本維新の会の中核、米政翼賛会の中核となる人物です。また、浅尾慶一郎氏もまた同じような人物と言えます。

 党の代表が放り出されるということは、近々であれば、亀井静香氏が国民新党から追い出されるということがありました。みんなの党もまたそのようなことが起きるのではないかと思われます。それにしても、文藝春秋も産経もアメリカの御用聞きばかりで情けなくないのでしょうか。いっそとのこと、合併してしまえばすっきりしてよいのではないかと思います。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「ミスター・アジェンダ 渡辺喜美の孤独な闘い 前門の橋下、後門の江田 みんなの党がひとりの党になる可能性も」
MSN産経ニュース 2013.2.1
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130201/stt13020122560002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130201/stt13020122560002-n2.htm

 みんなの党の渡辺喜美代表が、日本維新の会に対し“けんか腰”の姿勢を強めている。連携を互いに模索しているはずの維新の橋下徹共同代表と舌戦を繰り広げたかと思えば、国会での維新との幹部間協議まで「どうでもいい」と一刀両断。ただ、足下の党内には渡辺氏のワンマンぶりへの不満もくすぶっており、今のところ「孤独な闘い」を強いられている。(原川貴郎)

 「維新のペースに巻き込まれてしまうと、ズルズル遅れちゃうんです…」

 1日の国会内での記者会見。夏の参院選の候補者擁立について問われた渡辺氏は、維新をこう牽制(けんせい)し、一部公認候補を月内に発表すると明言した。

 維新との候補者調整が緒に就いたばかりであることを考慮し、1月27日の党大会で予定していた候補者のお披露目を見送ったことを踏まえての発言だった。

 「維新ペース」を警戒するのは昨年8月の苦い思い出があるからだ。渡辺氏は維新に「対等合併」を持ち掛けたが、維新は渡辺氏を袖にし、旧太陽の党と合併。結局、昨年の衆院選で自民党の大勝を許す結果となり、渡辺氏は「(維新には)猛省を促したい」と発言している。

「ミスター・アジェンダ(政策課題)」を自認する渡辺氏にとって、政策の一致は譲れない一線。維新の政策にも「旧太陽系が本当に原発ゼロの路線を飲めるのか」と疑問のまなざしを向ける。

 「渡辺氏には合併を拒否しながら、政策的に異質の旧太陽と合流し、今になって結婚したいと言ってくる橋下氏への不信感がある」

 そう解説するのはみんなの党幹部。橋下氏がみんなの党と民主党の一部を巻き込む形での新党結成に言及するなど、野党再編の主導権を握ろうとしていることも、「元祖第三極」を自負する渡辺氏の神経を逆なでしているようだ。

 だが、そんな渡辺氏の「不信感」は、党内をも覆いつつある。

 維新との連携話を進める江田憲司幹事長の動きすら、「選挙協力の権限の持ってない人たちが集まっているわけで、どうでもいい話」とこき下ろしたのだ。これには党内から「本来、選挙は幹事長マター。江田さんの立場がなくなる」との声が出ており、江田氏との主導権争いの様相を呈している。

 前門の橋下氏に、後門の江田氏。このままでは渡辺氏が孤立し、みんなの党が「ひとりの党」になりかねない。

●「「もう少し大人の政治家に」 橋下氏、みんなの党との合流に期待「維新なくなっても…」」
MSN産経ニュース 2013.1.28
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130128/stt13012814280003-n1.htm

 みんなの党の渡辺喜美代表が今夏の参院選に向けた日本維新の会との合流に否定的な姿勢を示していることについて、維新の共同代表に就任する橋下徹大阪市長は28日、「自公政権への対抗勢力となる新しい大きな政党をつくり、参院選で選択肢を示したい。そのために維新がなくなっても構わない」と重ねて合流に期待感を示した。

 渡辺氏は、維新が昨年の衆院選直前に太陽の党と合流して以降、維新について「政策が分からなくなり信頼が壊れた」との発言を繰り返し距離を置いている。

 これに対し、橋下氏は「反省すべきところは反省する」としつつ、みんなとは政策が基本的に一致しているとの認識を表明。両党の合流を求め、「どちらが吸収するとかではない。渡辺代表が気に入らないなら僕が引いても構わない。もう少し大人の政治家になってほしい」と述べた。

 一方、自民については「既得権を打ち破り、新しい社会構造をつくるというスタンスが決定的に違う」と対決姿勢を鮮明にした。

●「維新との幹部級協議、渡辺代表「どうでもいい」」
読売新聞電子版 2013.2.1
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20130131-OYT1T01205.htm?from=ylist

 みんなの党の渡辺代表は31日、国会内で記者団に対し、同党と日本維新の会の幹部級協議について、「選挙協力などの権限を持っていない人たちが集まっているのだから、どうでもいい話だ」と語った。

 国会内で同日開かれた幹部級協議には、維新の会の松野頼久国会議員団幹事長とみんなの党の江田幹事長らが出席し、協議の定例化で合意した。両党の政調会長らは30日、10項目の基本政策でも合意。夏の参院選の選挙協力に向けた連携の動きに、渡辺氏が冷や水を浴びせた形だ。

 維新の会幹部は31日、渡辺氏の発言について、「ひどい発言だ。江田氏の立場もなくなる」と憤った。みんなの党内では、「選挙協力を主導する江田氏と渡辺氏の主導権争いが激化している」との見方が出ている。

(2013年2月1日08時04分 読売新聞)

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-02-02 20:32 | 日本政治

自民党内の新しい動きについて:小泉氏の人脈づくりと石破氏の派閥づくり

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



ここ数日、自民党内の新しい動きの話が記事になっています。小泉進次郎氏が率いる、自民党青年局の陣容が紹介されたり、石破茂幹事長(脱派閥を標榜しているし、昔は武村正義氏が主宰したユートピア政治研究会に参加していたこともある)の側近がグループ作りを行っているという記事が出たりしています。

 現在の自民党の派閥について、読売新聞の取材・記事によると、次のような状況になっています。

・町村派(町村信孝元官房長官):80名→岸派・福田派・安倍派・三塚派・森派
・額賀派(額賀福志郎元財務相):約50名→田中派・竹下派・小渕派・橋本派
・岸田派(岸田外相):40名→池田派・前尾派・大平派・鈴木派・宮澤派・加藤派
・麻生派(麻生太郎副総理):34名→河野(洋)派
・二階派(二階俊博総務会長代行):28名→中曽根派・渡辺派・亀井派・伊吹派
・石原派(石原伸晃環境相):約15名→山崎派
・大島派(大島理森前副総裁):12名→三木派・河本派・高村派
・無派閥:約120名

 石破幹事長の側近と言われているのが、鴨下一郎国対委員長や山本有二衆院予算委員長です。彼らが石破派作りに動いているようです。一方の記事は、青年局の人事のことで、この中から小泉派ができてくるという筋立てになっています。

 小泉派ができるまではまだまだ時間がかかるでしょう。派閥はお金を配り、人事に介入し、若手の教育をするための組織です。小泉氏自体にはお金がなく、時分がまだ教育課程にいる身ですから、シンパグループ作りにはなるでしょうが、派閥という訳にはいかないでしょう。しかし、小泉進次郎氏のグループ作りの記事が出て、すぐに石破氏の派閥づくりの記事が出たというのは興味深いことです。こうした動きは恐らく、自民党内では、安倍氏の次は石破氏で、その次の次位は小泉氏であるちということを示すためのものでありましょう。

 小泉氏は父親の純一郎氏がある意味で最大の切り札です。はっきり言ってそれ以外には、学閥や閨閥(これはこれからのことですが)がありません。そこで、青年局長の今こそ、人脈作りをしなければならず、現在の青年局には、将来、小泉氏のライバルになる人、側近になる人、他派閥・グループながら親小泉氏になる人が出てきそうです。小泉氏の学閥と言えば、コロンビア大学やアメリカ留学経験者ということになるでしょう。これならば、自民党の内部にもたくさんいます。青年局次長には初当選組の福田達夫氏が入っています。福田氏は福田康夫元首相の長男です。福田氏と関係が深いのが国務省日本局長のマーク・ナッパー氏で、ナッパー氏は、ケント・カルダー・ジョンズホプキンズ大学SAIS教授の弟子筋であり、自民党で秘書をしていたということでは、マイケル・グリーンとは先輩後輩ということになります。ここに恐らくですが、今年の参議院議員選挙で中曽根康弘元首相の孫である康隆氏(コロンビア大学大学院で小泉氏とほぼ同時期に学ぶ。指導教授は共にジェラルド・カーティス教授)も加わってくるものと思われます。ジェラルド・カーティス、ケント・カルダー、マイケル・グリーンとの関係が深い人々が「若手」として自民党内で蠢動を始めようとしています。ここら辺のことは拙著『アメリカ政治の秘密』に書きましたので、お読みいただければ幸いです。

 自民党青年局で思い出すのは、竹下登青年局長と宇野宗祐次長の関係です。彼ら2人は、正力松太郎氏などからお金をもらい、アジアを歴訪し、青年海外協力隊創設のアイディアを得て、その創設に尽力します。2人は別派閥でありながら、友人関係を続けます。そして、竹下氏が退陣した後に、宇野氏の名前が出てきたのです。歴代の青年局長の名前を見ると、のちに総理大臣にまでなった人たちの名前が散見されます。現在の安倍氏も1996年から青年局長を務めています。この青年局長というポストはこれからの自民党内では、スッテピングボードになっていくのかもしれません。

 小泉氏にはまだ時間的な余裕がありますが、石破氏は待ったなしの状況で、党内に勢力を作らねばなりません。前回の自民党代表選でも明らかなように、国会議員の中で人気がないのが石破氏の弱点でした。しかし、今回の衆院選では新人たちが多数当選し、党内のバランスも変わってきています。新人たちが誰よりも恩義を感じるのが幹事長です。ですから、石破氏には現在の状況は大きなチャンスと言えましょう。ポスト安倍と言って、名前が出てくるのは石破氏と石原伸晃氏くらいのものです。ここで石破氏が党内を固めておけば自然と次の総理の座は転がり込んでくるでしょう。そうした中で、キーマンになるのは、山本有二代議士ということになるでしょう。汚れ役も引き受けられるキングメーカー型の政治家です。鴨下氏は医者からの転身で、ソフトな語り口の理論派であり、テレビ受けのする政治家です。硬軟取り合わせた人たちが側近にいるというのは、石破氏の強みとなります。石破氏の派閥づくりは石破氏の個人的な意向というよりも、ポスト安倍に向けた大きな動きであり、その裏にアメリカがいると言えましょう。政治家たち以外での人気は証明されたわけですから、不安要因である政治家たちの人気を固めておけば、安倍氏が辞任するような事態になってもすぐに対応できます。

 自民党内で新しい動きが出ているようです。若い小泉氏の人脈づくりとベテラン石破氏の派閥づくり。これはポスト安倍へ向けた動きであり、将来に備えた動きです。そして、これらの動きの裏にはまたアメリカがいるようです。その点では確かに記事として連続して出てくるべきものなのでしょう。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「石破氏、“無派閥の派閥”を旗揚げ! 「包囲網」打破が狙い?」

ZAKZAK 2013年1月29日
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130129/plt1301291136003-n1.htm

 自民党の石破茂幹事長を支持する無派閥議員が、事実上の「石破派」を立ち上げることが分かった。昨年9月の総裁選で、石破氏は「脱派閥」を掲げて戦ったが、安倍晋三首相率いる主流派が「石破包囲網」を敷くなか、前言を修正して基盤強化に乗り出すつもりなのか。

 石破派の名称は「無派閥連絡会」。総裁選で石破氏を支えた鴨下一郎国対委員長や、山本有二衆院予算委員長ら約30人が参加し、31日に初会合を開く。党内第4、5勢力となる見込み。他派閥と同様、今後、毎週木曜日昼に定例会合を開くという。朝日新聞が29日朝刊で報じた。

 昨年末の衆院選で圧勝し、自民党幹事長に留任した石破氏だが、その立場は極めて微妙だ。

 石破氏は党三役に懇意の小池百合子元防衛相を推したが、安倍首相は、野田聖子総務会長と高市早苗政調会長を抜擢した。自身の周辺にも、安倍首相に近いベテランの河村建夫選対委員長や、細田博之幹事長代行、二階俊博総務会長代行らがおさまり、完全に包囲網を敷かれているのだ。

 政治のイロハを学んだ田中角栄元首相の教え通り、「数の力」で政治の壁を打ち破るつもりなのか。

 自民党関係者は「『脱派閥の派閥』なんて冗談みたいな話だ。まあ、石破氏が『脱派閥』を掲げたのは、所属した額賀派の幹部らとソリが合わず、同派を飛び出たから。本気で『脱派閥』を唱えたわけではない。今後、隙を狙って『ポスト安倍』に踏み出すつもりだろう」と語っている。


●「進次郎氏、事実上の旗揚げか 82人決起! メンバーは大物の子弟ズラリ」

ZAKZAK 2013年1月28日
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130128/plt1301281826006-n1.htm

 自民党内で若手エース、小泉進次郎青年局長(31)をめぐる動きが活発化している。通常国会の28日召集を受け、青年局は30日に役員会を開いたうえで、2月1日から毎週、定例役員懇談会を開くというのだ。役員数は衆院議員72人、参院議員10人の計82人で、党所属国会議員の5分の1以上になる。永田町では「事実上、進次郎派の旗揚げでは。一致結束すれば、無視できない勢力になる」と見る向きもある。その全容とは-。

 「進次郎氏がやる気満々らしい」

 自民党の一部に先週初め、こんな噂が飛んだ。関係者によると、進次郎氏は先々週あたりから、若手の議員会館事務所に「これから頑張りましょう」などと、あいさつをして回っていた。

 念頭には青年局の人事があったようだ。22日の総務会で青年局役員人事が決定され、新体制が発足した。45歳以下の衆院1-3回生、参院1、2回生のうち、政府入りした議員などを除く82人が役員になった。

 同日、青年局事務局から会館事務所に、会議・会合の案内がファクスで届いた。それによると、1月30日正午に党本部で役員会を開き、2月1日以降の毎週金曜日、正午から定例役員懇談会を行うという。

 進次郎氏の脇を固める青年局メンバーの顔ぶれはどうなっているのか。目につくのは、父である小泉純一郎元首相と縁のある大物政治家らの子弟だ。

 橋本岳(がく)氏は、1996年と2001年の総裁選で小泉元首相と争った橋本龍太郎元首相の次男。武部新氏の父は、小泉元首相に「偉大なるイエスマン」として尽くした武部勤元幹事長。福田達夫氏の父は、同じく官房長官として仕えた福田康夫元首相。中川俊直氏の父は、やはり政調会長を務めた中川秀直元幹事長、大野敬太郎氏の父は、大野功統(よしのり)元防衛庁長官…。

 彼らが国会議員になる前の経歴としては、地方首長や財務・農水・国交官僚、弁護士、医師、経営者、松下政経塾出身者、五輪メダリスト、ミスコン女王など、まさに多士済々といえる。

 こうした面々を統括する役員懇談会が、定例化されたのが特筆される。

 政治評論家の浅川博忠氏は「自民党の各派閥は、毎週木曜日に定例会を開いており、進次郎氏は曜日をズラして同じ形を取った。青年局所属議員は、国民的人気の高い進次郎氏とともに行動することで後援会などに発信できて選挙にプラス。進次郎氏としては、今後に備えてそれなりのグループを作りたい思惑もありそうだ。政策が近く、気心の知れた議員が絞り込まれて『進次郎グループ』のような形になるのではないか」と語る。

 過去の若手議員グループとしては、2005年衆院選で初当選した「小泉チルドレン」83人がつくった「83会」が記憶に新しい。08年の総裁選では、83会メンバーが中心となって小泉元首相の再登板を目指すなど、政局にも絡んだ。

 24日現在、自民党の国会議員は378人(正副議長含む)だから、青年局の82人が結束して動けば大きな力となるのは間違いない。

 自民党中堅議員は「83会と違い、青年局には進次郎氏という『核』があるのでインパクトが大きい。政策形成の過程で執行部に圧力をかけたり、いざとなったら進次郎氏を総裁候補として立てる可能性もある」と警戒感を隠さない。

 実際、進次郎氏は存在感を発揮し始めている。

 新年早々の党厚生労働部会で、70-74歳の医療費窓口負担を1割に据え置いている特例措置の存廃について議論した際、進次郎氏は「2割という本来の水準に戻すべきだ」と主張し、夏の参院選への影響を懸念する議員と対立した。

 進次郎氏と青年局メンバーは2月10日から11日にかけて、全国の青年部長や青年局長も交えて、1泊2日で東日本大震災の被災地・福島を訪問する。毎月11日、被災地を訪問する青年局の事業「TEAM-11」の一環で、被災者を招いて同事業の1周年報告会を開催するという。

 さらに、島根県が2月22日に主催する「竹島の日」記念式典に、進次郎氏は青年局メンバーと出席する予定で、石破茂幹事長も了承済みだ。

 青年局長は「首相への登竜門」といわれ、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相も経験者だ。進次郎氏もここで人脈を作り、政策、グループの動かし方を学びステップアップしていくのか。

 前出の浅川氏は「先輩議員から『若手を囲い込んでいる』と嫉妬されないように、うまくやれるかが課題だ。参院選までは『選挙の顔』として進次郎氏には活発に動いてもらいたいはずなので、動きは黙認される。参院選後は難しいかじ取りを迫られるだろう」と話している。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-01-30 21:24 | 日本政治

日本の円安に対してヨーロッパから批判が起きている

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 フィナンシャル・タイムズ紙(Financial Times)が日本の甘利明経済財政担当大臣のインタビューを基にした記事を掲載していました。タイトルは、「日本政府は円安に対する批判へ反論(Japan fires back at currency critics)」(アドレスは以下の通りです。→ 
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/45bf2708-6546-11e2-8b03-00144feab49a.html#axzz2Io3uYryA)です。このインタビューの肝は、ドイツの中央銀行総裁バイトマン氏と英イングランド銀行のキング総裁が日本の金融政策を批判し、「通貨戦争(currency war)」を起こすつもりかと述べています。また、中央銀行の独立性を犯しているという批判を行っています。これに対して、甘利大臣は、「日本が意図的に通貨安になるようにはしていない」「これまで以上に円高だったのが是正されているだけ」といった反論を行っています。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

January 23, 2013 10:50 am

Japan fires back at currency critics

By Jonathan Soble in Tokyo
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/45bf2708-6546-11e2-8b03-00144feab49a.html#axzz2Io3uYryA

Japan’s government has denied that it is trying to revive the country’s economy at the expense of its trading partners by intentionally weakening the yen, defending a new and more assertive monetary policy that some critics have warned could lead to “currency war”.

Akira Amari, economy minister, hit back against admonishments by Jens Weidmann, the president of Germany’s Bundesbank, and other officials in Germany as well as the UK, who have raised concerns about the political pressures that led the Bank of Japan to ease its policy this week.

In an interview with the Financial Times on Wednesday, Mr Amari rejected Mr Weidmann’s characterisation of the Japanese moves as “alarming infringements” of central bank independence that could lead to “politicisation of the exchange rate”.

“Germany is the country whose exports have benefited most from the euro area’s fixed exchange rate system. He’s not in a position to criticise,” Mr Amari said.

Japan’s new prime minister, Shinzo Abe, is pushing the BoJ to take stronger measures to support the economy and end consumer-price deflation, which has dogged the country for much of the past two decades.

His effort is seen as a primary cause of the yen’s 10 per cent drop against the dollar and 14 per cent tumble against the euro since November, when the election that brought him to power was called.

On Tuesday, the central bank extended indefinitely its programme of buying up government bonds and set a target of 2 per cent inflation, reaching beyond what had been a flexible “goal” of 1 per cent.

Mr Amari rejected the notion that Japan was trying specifically to weaken the yen, saying its efforts were aimed at reviving the domestic economy and reversing price declines.

“The market is in the process of correcting on its own from an excessively strong yen,” he said. “We aren’t guiding it, we aren’t doing anything.”

After the BoJ’s decision, Michael Meister, a senior member of Germany’s ruling Christian Democratic Union, said Germany might seek support from fellow G20 nations to pressure Japan to reverse course. Sir Mervyn King, Bank of England governor, also warned of the risk of competitive currency devaluations – dubbed “currency wars” since the US adopted unorthodox measures to ease monetary policy in 2010.

China added to the criticism on Wednesday. In a harsh editorial, the official Xinhua news agency said the “decision to crank up money printing presses is dangerous” and could lead to “currency wars” that could knock the global economy off track.

Mr Amari countered that the world would benefit if Japan’s economy strengthened and Japanese began buying more foreign goods. “Japan can’t simply be carried along by other country’s consumption,” he said. “We have to strengthen our own economic foundation so we can be a global leader.”

He said the government had taken an important step in that direction by announcing Y10.3tn of stimulus spending this month. Japan has the highest public debt among developed countries, at more that twice annual economic output, but Mr Amari said previous austerity measures had only made matters worse by depressing the economy and, by extension, tax revenues.

Masaaki Shirakawa, the BoJ’s governor, is to retire at the end of March and Mr Abe is expected to install a more dovish replacement.

Mr Amari said that, in addition to being “strongly committed” to co-operating with the government, the next governor should be a skilled communicator with a good command of English who can explain Japanese policy to foreign leaders and financial markets.

If Mr Abe agrees, it could favour candidates with international experience such as Haruhiko Kuroda, a former finance ministry official who heads the Asian Development Bank.

“English is a necessary but not sufficient requirement,” Mr Amari said.

Additional reporting by Simon Rabinovitch

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 ここで気になったのが、通貨戦争(currency war)という言葉です。戦争という言葉は穏やかではありません。しかし、通貨戦争についてはイメージしかないので調べてみました。この言葉は、2010年にブラジルのマンテガ財務相が使い、広がった言葉だそうです。当時のドル安政策に対して、新興国の通貨の価値が高くなったことを背景に、通貨の切り下げ競争が行われることを警告した言葉だそうです。

 各国とも輸出で景気回復を行おうとした場合、自国の通貨が安い方が良い訳です。日本も円安の方が輸出しやすい、もしくは輸出で利益を得やすいということになります。オバマ政権は製造業の復活を目論み、ドル安政策を進めました。また、ヨーロッパもユーロ安を求めました。これに対して、円は価値が上がり続け、円高状態となっていました。

 これに対して、安倍政権は、直接円安にするための政策はしていない(円売りドル買い介入)をしていません。しかし、円の価値を下げることになる、金融政策の緩和や物価上昇の目標設定をして、円安を実現しています。円が安くなると相対的にドルやユーロの価値が上がり、輸出で景気回復をしようとしている欧米としては困ってしまいます。

 また、通貨切り下げ競争が起きるのかどうか、専門家の間でも議論が分かれているようです。昨日の段階で、全く異なる予想をしている記事がありましたので、タイトルとアドレスをご紹介します。

●「【コラム】今度の通貨戦争は世界大戦に,日本が口火-ペセック」ウィリアム・ペセック
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MGZ4C66KLVR401.html

●「コラム:日銀の緩和政策、「通貨戦争」につながらず」フェリックス・サーモン
http://jp.reuters.com/article/jpeconomy/idJPTYE90M03920130123

 ヨーロッパからは日本の円安に対して大変な文句が出ていますが、アメリカでは、自動車メーカーのビッグ3の経営陣からは文句が出ていますが、あまり大きな批判は聞こえてきません。アメリカもドル安政策をやっているし、為替市場を操作することに関しては人一倍うるさい国です。オバマ大統領と大統領選挙で戦ったミット・ロムニー氏は「自分が大統領になったら初日に中国を、為替市場を操作している国に認定する」と言って批判しました。

 また、主要国が日本の円安を容認しないと、いつまでもは円安を続けることができません。95円になる、100円になるというのも日本だけの力では無理な話です。しかし、ヨーロッパは円安を望んでいないようです。しかし、アメリカは批判のトーンが鈍いようです。

 これは恐らく、安倍政権が、円安によって輸出で儲けたドルとじゃぶじゃぶに刷った円でアメリカ国債を買うということをアメリカに伝えて了承されているのでしょう。その一環が、安倍政権が打ち上げた、50兆円規模の外国債を買う政府運営の基金(SWF)を創設するということです。このことは少し前の本ブログの記事でもご紹介しました。

 日本のSWFは、外国債を専門に取り扱うということですが、そうなれば「一番安全、安心な(ことになっている)」アメリカ国債を購入するということになります。アメリカは債務上限を引き上げさえすれば、買い取ってくれる国がある訳です。そのためにも、日本にはお金(ドル)を儲けてもらわねばならない。


 だから、円安に対しても批判のトーンが低い訳です。「日本が儲けても、それは自分たちが使えるお金なのだ」ということなのです。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-01-24 13:50 | 日本政治

アメリカ政府債務上限引き上げと米国債購入のための基金(fund)の話

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 5日程前に、ブルームバーグで、「日本が外国債を買い入れる見通し:安倍がバーナンキに助け舟を出す」という記事が出されました。これは、昨年、元日本銀行副総裁の岩田一政氏が、円高介入のために50兆円規模の基金を創設し、外国債(米国債)を買い入れるようにすべきだと主張したことに、安倍晋三首相も同調したという内容です。

 そして、本日、米連邦下院の共和党が政府債務上限を暫定で気に引き上げる案を提出したという記事が出ました。これは、アメリカ政府の借金の上限を引き上げて、支払い不能(デフォルト)になることを防ぐことが目的ということです。しかし、共和党は、元々、国の借金が増えることには反対で、政府の予算をどんどん削ることを求めていたはずです。

 これら2つのニュースは結びつけて考えてみるべきです。アメリカは国債の発行額を増やそうとしている。日本はアメリカ国債をもっと買おうとしている。アメリカは、日本にもっとアメリカ国債を買ってもらおうとしています。ブルームバーグの記事によると、安倍政権は、そのために、日銀や事務省が運営する基金(fund)を創設しようとしています。

 日本の財務省は、円を売ってドルを買う(円の価値が下がってドルの価値が上がる)ことで、円安ドル高になります。日本の財務省は手元にあるドルでアメリカ国債を買うということになります。現在は、円安ドル高になっているので、介入は行われませんが、アメリカの製造業などからは円安に対して文句が出ています。恐らく、アメリカはある程度の円安を容認しているかもしれませんが、ここら辺が限界ということなのかもしれません。

 円安になると、日本は資源や農産物の輸入に頼っているので、電気やガスの料金は上がりますし、食料品の値段も上がります。人々の所得が増えないままに物価が上がれば、これはスタグフレーションという現象で、不景気の原因となります。安倍政権は、物価を押し上げ、GDPも2%増加させるために、金融緩和策と財政出動を組み合わせた緊急経済対策を実施することを先日発表しました。これで景気が回復すればよいのですが、どこまで効果があるかは疑問です。また、数字上は景気回復ということになっても、豊かさを実感できなかった小泉政権下のようなことになることも大いに考えられます。

「米国債は絶対安全」という考えを建前でも信じて、米国債を買い続けています。日本が買い支え続けることで、米国債の「安全性」は保ち続けられているという面があります。しかし、ここで逆回転が起こり、米国債の価値が減少を始めた時、日本は営々と築き上げてきた富を失うということになります。

 また、ここで指摘しておかねばならないのは、日銀や財務省が運営する基金を作って、外国債を買い入れるという点です。このような政府が運営する基金は、ソブリン・ウエルス・ファンド(sovereign wealth fund、SWF)と呼ばれるものです。SWFは一時期、持て囃されました。このSWF、政府による市場参加を、アメリカのコンサルタント会社ユーラシア・グループ(Eurasia Group)のイアン・ブレマー(Ian Bremmer)は、国家資本主義(State Capitalism)と呼んでいます。

 イアン・ブレマーは安倍氏と特別親しい関係にあるということを喧伝しています。安倍政権の緊急経済対策やSWFの創設といった話は、政府が経済において、主要な役割を果たすということです。これは安倍氏や現在の安倍政権に参加、協力している人々が参加した小泉政権の路線とは全く異なるものです。彼らは静かに路線を転換しています。そこに、イアン・ブレマーの影響があるのではないかと私は考えています。

 どちらにしても、日本は金融緩和でお金をじゃぶじゃぶ刷る訳で、それが日本国内ではなく、海外の、アメリカ国債の買い付けに回るということも考えられます。どちらにしても、属国の悲しさ、下駄の雪のような悲しさがそこにはあります。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「米共和党、政府債務上限を暫定的に引き上げる案」
読売新聞電子版 2013年1月19日
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130119-OYT1T00415.htm?from=ylist

 【ワシントン=岡田章裕】米下院で多数派を占める野党共和党は18日、早ければ2月半ばに米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る事態を回避するため、米政府がどこまで借金できるかを定めた政府債務の法定上限を、暫定的に引き上げる案を発表した。

 引き上げる額は、政府の資金繰りに必要な3か月分で、国債を発行して借金できる額が増える。政府が資金繰りに行き詰まるデフォルトの危機は当面先送りされる可能性が高くなった。

 連邦債務は昨年12月末に上限の16兆3940億ドル(1477兆円)に達し、現在は非常措置でしのいでいる。共和党は大幅な歳出削減なしでは債務上限の引き上げは認めないと主張し、2月半ばから3月上旬に資金繰りが行き詰まってデフォルトの危機に直面する見通しだった。

 同法案は、4月15日までに予算の大枠をまとめることを条件にする方針だ。来週、採決する方向だ。共和党にとっては、予算審議の時間を稼ぎながら、社会保障分野の大幅な歳出削減を含めた抜本的な財政再建策につなげる狙いがある。

(2013年1月19日12時16分 読売新聞)

●Abe Aids Bernanke as Japan Seen Buying Foreign Debt

Bloomberg January 13th 2013
By Wes Goodman & Daniel Kruger - Jan 15, 2013 3:37 AM GMT+0900.
http://www.bloomberg.com/news/2013-01-13/abe-aids-bernanke-as-japan-seen-buying-558-billion-foreign-debt.html

Shinzo Abe is set to become the best friend of investors in Treasuries as Japan’s prime minister buys U.S. government bonds to weaken the yen and boost his nation’s slowing economy.

Abe’s Liberal Democratic Party pledged to consider a fund to buy foreign securities that may amount to 50 trillion yen ($558 billion) according to Nomura Securities Co. and Kazumasa Iwata, a former Bank of Japan deputy governor. JPMorgan Securities Japan Co. says the total may be double that. The purchases would further weaken a currency that has depreciated 12 percent in four months as the nation suffers through its third recession since 2008.

Shinzo Abe, Japan's prime minister, speaks during a news conference in Tokyo on Jan. 11, 2013. Abe’s Liberal Democratic Party has proposed establishing a fund run by the Bank of Japan, the Ministry of Finance and private investors to buy foreign bonds.

The support would help Federal Reserve Chairman Ben S. Bernanke damp yields after the worst start to a year since 2009, according to the Bank of America Merrill Lynch U.S. Treasury Index. Government bonds lost 0.5 percent as improving economic growth in the U.S., Europe and China curbed demand for the relative safety of government debt even with the Fed buying $45 billion in bonds a month.

“I can’t imagine the U.S. would be disappointed in Japan buying Treasuries,” Jack McIntyre, a fund manager who oversees $34 billion in global debt at Brandywine Global Investment Management in Philadelphia, said in a Jan. 8 telephone interview. “The Fed’s been doing all the heavy lifting.”

Bond Yields

Ten-year note yields fell one basis point, or 0.01 percentage point, to 1.86 percent at 1:34 p.m. New York time. The yield touched 1.97 percent on Jan. 4, the highest level since April. This year, U.S. debt maturing in 10 years or longer ranked 125 out of 144 indexes tracked by Bloomberg and the European Federation of Financial Analysts Societies.

The average Treasury 10-year note yield in 2012 was the lowest since at least World War II at 1.79 percent, compared with the 20-year mean of 4.73 percent. The average 10-year yield for Japan’s debt in 2012 was 0.85 percent, and was 1.85 percent during the past 20 years.

Strategists are already paring back bearish forecasts for U.S. debt. The 10-year Treasury yield will rise to 2.27 percent by year end, according to the median prediction of economists in a Bloomberg survey. In July, the estimate was 2.7 percent.

Hiromasa Nakamura, a senior investor for Tokyo-based Mizuho Asset Management Co., which oversees the equivalent of $38 billion, is more bullish. Ten-year Treasury yields will fall to a record low of 1 percent by year-end as Japan ramps up purchases, while the yen falls to 90 per dollar, he said in an interview on Jan. 11. Japan’s buying “will be one of the positive factors in the market.”

Fund Details

Abe said yesterday he wants someone “who can push through bold monetary policy” as the next governor of the Bank of Japan when Masaaki Shirakawa steps down in April. He has demanded the central bank double its inflation target to 2 percent and engage in unlimited easing till the goal is met.

Abe’s LDP, which swept to power in elections last month, has proposed establishing a fund run by the Bank of Japan, the Ministry of Finance and private investors to buy foreign bonds. He announced Jan. 11 a 10.3 trillion yen stimulus plan including about 3.8 trillion yen for disaster prevention and reconstruction, aimed at boosting gross domestic product by about 2 percentage points and creating about 600,000 jobs.

‘Bazooka Strategy’

The election handed the LDP a political mandate to follow through on its bond-purchase plan, George Goncalves, the head of interest-rate strategy at Nomura Securities International, one of 21 primary dealers that trade with the Fed, said in a Jan. 8 telephone interview from New York. “It’s a quantum leap from doing central bank easing in local markets to foreign markets.”

Details of the bond fund weren’t announced. It might be targeted at a variety of assets including Treasuries, though the whole amount may not even be deployed, according to Yunosuke Ikeda, the head of foreign-exchange strategy at Nomura in Tokyo.

“It’s the bazooka strategy,” Tokyo-based Ikeda said in a telephone interview on Jan. 10. “In order to have an impact on the dollar-yen market, the size needs to be very big.”

The yen may weaken to about 95 per dollar, Iwata, the president of the Japan Center for Economic Research, said at a forum in Tokyo on Jan. 11. The currency traded at 89.23 against its U.S. counterpart, having earlier fallen to 89.67, a level not seen since June 2010.

Buying Treasuries

In an October report, Iwata said that a 50 trillion yen fund would enable the BOJ to purchase foreign bonds to rein in the yen.

The fund could be twice that size or more as “there’s no upper limit,” said Masaaki Kanno, the chief Japan economist for JPMorgan and a former BOJ official. Abe can hold off on unveiling a large plan now until the next time the currency starts to appreciate, Kanno said by telephone Jan. 11.

Whatever the foreign bond fund’s amount, more than half will probably be funneled into Treasuries because they are the most easily-traded securities, Yoshiyuki Suzuki, the head of fixed-income in Tokyo at Fukoku Mutual Life Insurance Co., which has about $64.8 billion in assets, said on Jan. 8.

Tradable Treasury debt amounted to $11 trillion at the end of 2012, with weekly trading volume in the securities among 21 primary dealers averaging $521.4 billion, Fed data show.

Japanese Finance Minister Taro Aso said last week that his nation will buy bonds issued by the European Stability Mechanism to weaken the yen. The nation hasn’t decided on the amount, he said.

Yen ‘Myth’

Support for a new foreign-bond fund isn’t universal.

“I personally think it won’t happen,” said Naruki Nakamura, head of fixed income at BNP Paribas Investment Partners Japan in Tokyo, which has the equivalent of $8.7 billion in assets. “There’s no need to boost yen weakness. It’s a myth. I’m not sure the new administration wants unlimited inflation,” he said in a telephone interview Jan. 4.

Working against Abe’s plan is the decade-long pattern of the yen strengthening alongside U.S. debt. Moves in the 10-year Treasury note and the yen were correlated 60 percent of the time in 2012 on a weekly basis, reflecting their roles as havens from risk. Since the start of the financial crisis in August 2007, the yen appreciated 33 percent against the dollar, while yields on 10-year U.S. government debt fell to 1.87 percent from 4.74 percent.

Good Investments

Japan bought $76.9 billion of Treasuries in September 2011 and $59.9 billion in November 2011, its two largest monthly purchases. The 10-year U.S. note yield plunged 0.31 percentage point to 1.92 percent in September 2011 as Europe’s sovereign debt crisis worsened, and in November 2011 dropped 0.05 percentage point to 2.07 percent.

These turned out to be good investments. Treasuries returned 2.1 percent in 2012, or 15 percent after accounting for the dollar’s gain against yen, according to EFFAS index data compiled by Bloomberg. Japanese government bonds gained 1.8 percent, with only Swedish government securities returning less among 26 sovereign debt markets tracked by the gauges.

Treasury yields and the value of the yen last fell in tandem between January 2000 and October 2001, as U.S. stock prices declined 21 percent from then-record highs and as the Fed lowered borrowing costs to address a recession. The currency depreciated to 122 per dollar from 103 as 10-year yields slid to 4.23 percent from 6.44 percent.

Timing Right

For Bernanke, the timing couldn’t be better. Yields have risen 49 basis points from the record low of 1.379 percent July 25 with a pickup in economic growth curtailing demand. U.S. GDP grew at a 3.1 percent annual rate in the third quarter, up from 2.7 percent in the previous three months, the Commerce Department reported Dec. 20.

With the economy improving “Treasuries are susceptible to higher yields” over the next 6 to 12 months, Gary Pollack, who oversees $12 billion as head of fixed-income trading at Deutsche Bank AG’s Private Wealth Management unit in New York, said in a Jan. 10 telephone interview. “The market will start pricing in that the Fed stops buying Treasuries as part of quantitative easing. Without the Fed you’d see higher yields.”

European Central Bank President Mario Draghi said last week the euro-area economy will slowly return to health in 2013 as the region’s bond markets stabilize after three years of turmoil. Chinese government data showed exports increased 14.1 percent in December from a year earlier, the most since May.

Europe, China

Japan raised its holdings of U.S. debt in 2012 by 7.2 percent to $1.13 trillion as of October and is on pace to again become the largest U.S. creditor since slipping to second place in September 2008. China owns $1.16 trillion. The Treasury Department’s next report on foreign ownership of U.S. securities, covering November, is due Jan. 16.

Overseas investors help reduce U.S. borrowing costs by absorbing about half of the $11 trillion of publicly traded debt. Foreign buyers benefit as the purchases help to weaken their currencies, making their exports cheaper than American goods.

The yen slid 11 percent in 2012, the most in seven years. It is still about 13 percent stronger than its 10-year average of 101.15. Domestic manufacturers want the currency to trade between 90 and 100, Hiroshi Tomono, president of Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp. said Jan. 7 in Tokyo.

Japan has been battling deflation for more than a decade, with consumer prices falling 0.1 percent each month on average over the past 10 years, causing shoppers to delay purchases. The nation’s economy contracted in the second and third quarters of 2012.

Purchasing Treasuries would “have the double benefit of allowing them to drive down the value of the yen and also better control any possible increase in yields of Japanese government bonds,” Brian Jacobsen, the chief portfolio strategist at Wells Fargo Funds Management in Menomonee Falls, Wisconsin, said Jan. 9 at Bloomberg’s headquarters in New York.

(新聞記事天左飛貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-01-19 23:31 | 日本政治

軽減税率か、給付付き税額控除か、それが問題だ:財務省にすればどちらでもOK!

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 安倍晋三首相は、先日、緊急経済対策を発表しました。安倍政権は、この経済対策で、GDPの2%成長を目論んでいます。この2%の経済成長が達成された後に実施されるのが、消費税率の5%から8%への引き上げです。「景気が良くなったら消費税を上げる」ということで、基本的に自民、公明、民主が合意しているのですから、これは予想されてきた動きです。消費税率を上げたい財務省とすれば、財政出動しても、その後、その分以上のお金を税金として取り立てることができる訳ですから、財政出動に対して文句を言いません。

 このところ、話題になっているのは、消費税率引き上げに伴って、低所得者層に対する軽減措置制度です。自民党と公明党は、導入の時期に関しては意見が異なりますが、軽減税率制度の導入を主張しています。これは食料品など生活必需品の税率を低くするというものです。しかし、どの物品やサービスの税率を低くし、どれを高くするかを決めるのは大変なことです。また、富裕層も低所得者層も同じものを買う場合は、富裕層に恩恵があるというデメリットがあります。一方、民主党は、給付付き税額控除を主張しています。給付付き税額控除とは、「所得税を減税しても、低額所得でもともと納税額が少ないため、減税の恩恵があまり受けられない人に対して給付金を支給する制度」です。この制度には、所得の把握が難しいこと、財産はあるが所得が少ない人に恩恵があるというデメリットがあります。

 この2つの制度が今、議論されています。このことについて、先日、私はとある専門家にお話を聞く機会がありました。お恥ずかしい話ですが、専門家からお話を伺うまで、そこまで関心がありませんでした。その方は、私があまり興味を持っていないのを感じたのか、大変興味深いお話を聞かせてくださいました。

 その方は、「古村君、この2つの制度の議論で何が大事か分かるかな?」とまず言われました。私は、「事務手続きの煩雑さでしょうか?」と答えました。その方は、「そんなことじゃないんだよ、財務省が絡んだことさ」とその方は言われました。そして、次のような説明をしてくださいました。

 自民党が主張している軽減税率制度が導入されたどうなるか。どの業界団体も、自分たちの商品は軽減税率の適用を受けたいと考えるでしょう。そして、一度軽減税率の適用を受けたら、その適用がずっと続いてほしいと願うでしょう。そうなると、各業界団体は、自民党の政治家、そして官僚たち、この場合は財務省にロビー活動を行います。そうなると、当然見返りということになります。政治家には政治献金や集票、官僚には天下りの受け入れということになります。財務省にしてみれば、天下り先をこれから確保するためにも、軽減税率は重要です。これだと、いわゆる「政官財の鉄の三角形」が維持されます。そして、民主党は天下りをさせないためには、給付付き税額控除が良いのだと主張しています。しかし、この給付付き税額控除にもカラクリがあります。

 給付付き税額控除を行うためには、日本国民各人の「所得の正確な把握」が必要になります。そうなると、必要になるのは、「マイナンバー(社会保障と税の共通番号)制度」です。これによって、税務署は各人の名寄せが簡単になり、転居や結婚により姓の変更などによって名寄せが困難になることを防ぐことができます。しかし、日本人のプライベートな情報まで一つの番号で把握されることになります。財務省は、マイナンバーの導入を悲願として掲げています。

 所得の正確な把握ということになると、「公正、公平な制度」のために、マイナンバー導入が不可避となります。そうなると、給付付き税額控除とマイナンバーは表裏一体の関係になります。

 財務省とすれば、「天下りの確保」と「マイナンバーの導入」のどちらが良いかということになります。私が話を聞いた専門家は、「天下りの確保はいつでもできるから、やはり、マイナンバーの導入を優先したいだろう」と話しておられました。そして、「あと、重要なことは、富裕層、財産のある層には税金が重くなるだろうね」とも話しておられました。どちらの制度も富裕層、財産家層には恩恵があるというデメリットがありますから、これを是正するための富裕層・財産家層への課税は強化されるでしょう。

 消費税の論議は、国民のためにどちらが良いかという視点でやられていると思われていますが、結局は、どちらに転んでも財務省には美味しいことになっているようです。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「低所得者対策 自民、公明は軽減税率で足並み 民主は給付付き税額控除」
MSN産経ニュース 2012.9.27 21:42
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120927/fnc12092721440013-n1.htm

 消費税率引き上げの大前提になる低所得者対策が、次期衆院選の争点に浮上してきた。自民、公明両党が食料品など生活必需品の税率を低くする「軽減税率」の導入で足並みをそろえたのに対し、政府・民主党は所得に応じて減税と現金給付を組み合わせる「給付付き税額控除」を柱に据えているためだ。長引く景気低迷で節約を強いられている家計にとって税負担の増大は切実で、各党の政策判断が注目される。

 平成26年4月に消費税率を8%に、27年10月に10%に上げる社会保障・税一体改革関連法で積み残された課題が低所得者対策だ。消費税増税は、低所得者ほど負担感が重くなる「逆進性」が問題視され、今後の税制改正論議で具体策を急ぐ必要がある。

 自民党の安倍晋三新総裁は総裁選の公約で、「軽減税率を導入」と主張。公明党は22日に発表した公約案で、税率8%段階からの「軽減税率の導入を目指す」と明記した。これに対し、野田佳彦首相は「給付付き税額控除が基本」との立場を崩していない。

 軽減税率は買い物のたびに、恩恵が実感できるわかりやすさが魅力だ。消費税にあたる付加価値税の標準税率が20%程度と高い欧州では、食料品や新聞などで広く適用され、国民負担の緩和に役立ってきた。

 政府・民主党は軽減税率は対象品目の線引きが難しく、税収が目減りするなどの難点を指摘するが、自民党は給付付き税額控除について、正確な所得把握が困難で「バラマキになる」と強く反対している。


●「軽減税率、導入時期で自公の綱引き続く」
読売新聞電子版 2013年1月13日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130113-OYT1T00437.htm?from=ylist


 2013年度税制改正を巡る自民、公明両党の綱引きが続いている。

 所得税、相続税を巡る調整は進んでいるものの、消費税率引き上げに伴う低所得者対策として生活必需品などの税率を抑える軽減税率の扱いは、なお着地点が見えない。両党は軽減税率を導入することでは一致したものの、導入時期で隔たりがある。

 「国民から消費税(率の引き上げ)を理解してもらうために、最も良い方法は軽減税率だ」

 公明党の斉藤鉄夫税制調査会長は、12日のTBS番組でこう強調した。

 斉藤氏と自民党の野田毅税調会長らによる11日の与党税制協議会では、軽減税率導入の必要があるとの認識で一致した。しかし、公明党が税率を8%に引き上げる14年4月から導入するよう主張するのに対し、自民党は10%に引き上げる15年10月以降を念頭に置いており、溝は埋まっていない。

 公明党は11日の協議会で、適用品目をコメなどの穀類や野菜などに限定する案を提示した。適用品目を絞れば、自民党が「軽減税率に不可欠だ」と指摘するインボイス(税額票)制度の導入も当面は不要になるとの判断だ。

 これに対し、自民党は、10%段階での導入を念頭に「軽減税率の検討チームを設けることでどうか」と妥協案を示し、決着はつかなかった。自民党も軽減税率には賛成しているものの、8%段階での導入には否定的な意見が根強い。夏の参院選前に8%段階での導入を決めれば、納税額の算出などで事務負担の増える小売店が反発し、支持を失う可能性も指摘されている。

 自民、公明両党は、14日に協議会を開き、軽減税率の導入時期について再度調整することにしている。(2013年1月13日15時45分 読売新聞)


●「民主 給付付き税額控除導入を」
NHK NEWS WEB  1月13日 18時11分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130113/k10014775491000.html

民主党の細野幹事長は、高知県南国市で記者団に対し、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策に関連し、自民・公明両党との今後の協議では、所得に応じて給付や控除を行う「給付付き税額控除」の導入を求めていく考えを示しました。

この中で細野幹事長は、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策に関連し、食料品などの税率を低く抑える複数税率について、「どの項目の税率を軽減するのか、本当に公平にできるのかということを考えると現実に導入できるのか、相当慎重に考えなければいけない」と述べました。

そのうえで細野氏は、「基本的には、現金を払い戻す『給付付き税額控除』によって低所得者への対応をしっかりしていきたい」と述べ、自民・公明両党との今後の協議では、「給付付き税額控除」の導入を求めていく考えを示しました。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-01-16 23:08 | 日本政治

本人(プリンシパル)の意向に反した時、代理人(エージェント)は首を切られる

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 『日本政治の経済学―政権政党の合理的選択』(マーク・ラムザイヤー+フランシス・ローゼンブルース著、加藤寛監訳、川野辺裕幸+細野助博訳、弘文堂、1995年)という本があります。この本は、日本政治研究において、大変に重要な本です。政治学に、合理的選択(ラショナル・チョイス、Rational Choice)というアプローチがあります。これは、ある政治的な行動について、「個人は利益の最大化(プロフィット・マキシマイゼーションprofit maximization)のために行動する、合理的に(rational、ラショナル)行動する」と説明するアプローチであり、現在の政治学の世界では大きな勢力になっています。

日本政治は、こうした合理的な説明ではなく、文化とか伝統、慣習、もしくは、構造から説明するものというのが通念でしたが(日本政治研究が本格化したのは第二次世界大戦後、しばらく経ってからです)、欧米の合理的選択で説明できるとしたのが、『日本政治の経済学』です。

この本で使われている理論は、プリンシパル・エージェント理論(Principal-Agent Theory)と呼ばれるものです。プリンシパルを「本人」、エージェントを「代理人」と訳すこともあります。プリンシパルと呼ばれる個人や団体は、自分の利益を最大化するために、エージェント呼ばれる人を雇います。エージェントは、プリンシパルの利益を最大化するために行動し、報酬を得ます。

このように書くと、大変難しく感じますが、日本政治を使って説明すると次のようになります。有権者(私たち)は、利益を最大化するために、政治家(例えば国会議員)を使います。この場合、有権者はプリンシパルとなり、政治家はエージェントとなります。そして、政治家、特に与党の政治家の場合は、官僚を使って、利益が最大になるようにします。この場合、政治家がプリンシパルになり、官僚がエージェントになります。プリンシパルが使う人、エージェントが使われる人ということになります。

・有権者(プリンシパル)―政治家(エージェント)
・政治家(プリンシパル)―官僚(エージェント)

 『日本政治の経済学』のなかで、ラムザイヤーとローゼンブルースは、この理論を使って、日本政治を説明しています。そして、自民党の政治家たちが官僚たちを使っているというモデルを作りました。それまでの日本政治のモデルは、官僚主導モデルというもので、日本政治を本当に動かしている、力を持っているのは官僚たちなのだというものでした。

 このプリンシパル・エージェント理論で重要なのは、エージェンシー・スラック(Agency Slack)と呼ばれる問題です。これは、プリンシパルとエージェントの間で、情報の非対称性、具体的にはエージェントは情報を持っているのに、プリンシパルが情報を持っていない場合、エージェントが自分勝手に行動し、プリンシパルが求めたものと違う結果をもたらすことです。そのために、プリンシパルは、エージェントが自分の要求通りに動くように、アメと鞭、自分の期待通りに動いたら報酬、期待通りに動かなかったら罰を与える、ということになります。ラムザイヤーとローゼンブルースは、『日本政治の経済学』のなかで、自民党官僚たちの昇進をコントロールすることで、エージェンシー・スラックを避けようとしてきたと述べています。

 これを現在の日米関係に当てはめてみます。日本はアメリカの属国(トリビュータリ―・ステイト、tributary state)ですから、プリンシパルはアメリカ、エージェントは日本の安倍晋三首相ということになります。アメリカの国益を最大化するために、安倍首相は行動します。日本の国益のために行動する訳ではありません。そして、安倍首相はプリンシパルになって、側近や官僚たちがエージェントとなります。

・アメリカ―(ジャパン・ハンドラーズ)―安倍首相―側近・官僚

 ここで、アメリカと安倍首相との間にも、エージェンシー・スラック問題があります。アメリカの意向通りに安倍首相が動かない場合、エージェンシー・スラック問題が起こります。

 以下のウェブサイト「プロジェクト・シンディケート(Project-Syndicate)」に、2012年12月27日付で、安倍首相の論文「アジアの民主国家による安全保障のダイアモンドを作る(Asia’s Democratic Security Diamond)」というタイトルの論文が掲載されています。この論文の存在は、新進気鋭の政治評論家である中田安彦氏に教えていただきました。(アドレスはこちら→
http://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe)

 この論文のなかで、安倍首相は、日本が主導して、韓国、インド、オーストラリア、遠くはイギリスやフランスを巻き込んで対中国包囲網を形成すること、東シナ海と南シナ海の海上航行の自由を確保するために、日本が中国と対峙することを主張しています。

 この安倍氏の、対中国強硬姿勢、ジンゴイズム(Jingoism)をアメリカはどれだけ望んでいるのか疑問です。アメリカは中国から国債も買ってもらっているし、経済関係も緊密です。世界覇権国の地位を脅かされるという不安はありながら、ソ連のように、ただ敵対すればよいというものでもありません。安倍氏については、太平洋戦争中の日本軍の行動に関して、歴史を書き変えようとする歴史修正主義(リヴィジョニズム、revisionism)があり、アメリカとしては、決して、「優秀な」エージェントという訳でありません。

 安倍氏個人が「優秀な」エージェントであっても、今度は彼がプリンシパルになって使う側近や官僚たちが「優秀な」エージェントでなく、安倍氏に彼らを抑える力がなければ、安倍氏の期待通りに動かないどころか、暴走することもあります。そうすると、アメリカから見れば、安倍氏が失敗した、エージェンシー・スラックが起きたと見なされるのです。そうなると、安倍氏には罰が与えられます。それは恐らく「辞任」ということでしょう。

 このように見ていくと、安倍氏が「低姿勢(ロー・ポスチュア、low posture)」でスタートしたのは彼にとって良かったと言えますが、いつアメリカから、「暴走した、期待外れだった」ということで首を切られるか分かりません。そう考えると、日本の首相の座というのも安泰ではないし、苦しい仕事なのだろうということが分かります。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2013-01-15 20:04 | 日本政治