翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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『日本の原発技術が世界を変える』(豊田有恒著、2010年、祥伝社)からの抜き書きとまとめ②

(抜き書き・まとめはじめ)

第三章 放射能とは何か―原子、核、放射能などに関する常識、非常識(106-139ページ)
・自分は別段、原発推進派ではない。原発批判派のつもりだ、原発やむをえず派とでも呼ぶべきだろう。

・放射能:放射線を出す能力。放射線を出す物質そのものをさすことも多い。放射線:放射性物質が出す線を意味する(アルファ線、ガンマ線、ベータ線など)

・天から降る宇宙線。地上では石炭など、ラジウム温泉、ラドン温泉。人体からも放射線が出る。

・量と時間が問題。強い放射線でも、ごく短時間の被曝ならそれほど害はない。逆に弱い放射線でも長時間ずっと被曝しつづければ影響が出てくる。線源からの距離も重要。距離の2乗に反比例。

・軽水炉:普通の水で冷却する原子炉:加圧水炉(PWR)と沸騰水炉(BWR)がある。

・PWR:原子炉で作った放射能を帯びた蒸気を、熱交換器によって二次的に普通の水に伝え、この蒸気を発電に使う。熱交換のため効率が低下。

・BWR:原子炉の蒸気で直接に発電するシステム。効率は良いがタービン建屋まで放射線管理区画にする。廃炉も高くつく。

・原子炉建屋は厚さ2メートルもあるコンクリートで守られ、鋼鉄の格納容器、圧力容器がある。破壊するためには建屋の基底部に少なくとも16トン以上のTNT火薬を仕掛けなければ
ならない。それでもコンクリートの外壁を壊すだけで、仮に原子炉格納容器が倒れても、漏出する放射能はわずかなもので済む。

・沸騰水炉は放射能を帯びた蒸気を、そのままタービンに吹き付けるので、タービン建屋まで防護しなければならない。タービン建屋がそこまで頑丈に作ってあるか疑問だ。

・原発はどちらの炉型でも、放射能を内部に封じ込めるシステムになっている。通常のことでは、放射能が外へ出ることはない。

・2007年中越沖地震発生。柏崎刈羽原発も被害。原子炉本体はIAEA(国際原子力機関)が、全くと言っていいくらいに損傷がなかった、とお墨付きを与えている。あれほどの震度だったにもかかわらず、ほとんど被害がなかった。むしろ日本の原発の安全性を証明したようなものだ。

・プルサーマルはプルトニウムとサーマル(熱のという意味)の造語。原子炉でできるプルトニウムを既存の原発で燃やそうとなった。通常の原発の原子炉でもプルトニウムが燃やされており、特別なことではない。MOX燃料はプルトニウムとウランを混ぜた酸化物。日本ではプルサーマル運転が2か所(佐賀・玄海と愛媛・伊方)で実施。他国に後れを取る。

第四章 原発商戦 技術大国日本は、ビジネスチャンスを生かせるのか(142-177ページ)
・世界的な原発に対する逆風の中で、草の根のような原発推進に努めていた国がフランスと日本。そして韓国。

・韓国は世界第六位の原発大国。

・WH社はGEに勝っていたが、マネーゲームに手を出して社運を傾ける。1970年に家電部門、1982年に電灯部門、1988年にエレベーター・エスカレーター部門をスイスのシンドラー社に売却。1998年に原子力部門を英国原子燃料会社(BNFL)に売却。WH社のブランド名を管理するだけの会社が設立される。

・2006年、東芝がWH社の原子力部門をBNFL社もろとも買収。総額54億ドル(6210億円)。
・GE社はジャック・ウエルチの下、経営と多角化に成功。

・WH社のサプライヤーは三菱重工だったが、東芝がWH社を買収したことで、国際コンソーシアム(グループのようなもの)の枠組みが変わってきた。

・東芝は蒸気タービンくらいしか作れず、ほとんどをIHI(旧石川島播磨重工)に依存。

・韓国には沸騰水炉は存在しない。

・原発ルネサンス:原発建設再開、原発建設開始の潮流がある:ドイツ、スウェーデン、イタリア、ブルガリア。

・アメリカ:世界一の老朽原発大国。「老朽原発の養老院」。天然ガスに依存。

・アメリカの4つの原発建設計画の一つ、サウス・テキサス・プロジェクトを東芝が受注。東芝以外に沸騰水炉は作れない。

・GE社は三菱重工と組んで中国進出を目指す。

・中国はフランスのフラマトム(現アレヴァ社)とWH社の加圧水炉技術を折衷して国産として開発を目指す。

・韓国の官民挙げての原発技術の輸出攻勢

第五章 日本の原子力技術を世界に(180-220ページ)
・日本製鋼所の技術:原子力圧力容器を鍛鋼品として製造。世界シェア8割。

・ペレット―被覆管―原子炉圧力容器―原子炉格納容器―原子炉建屋の5重の安全対策

・日本製鋼所は戦前から端泉鍛刀所という日本刀を鍛える部門があり、現在も刀匠が勤務している。

・日本の最大のライバル:フランスのアレヴァ社(国策会社):フラマトム社、コジュマ社、シーメンス原子力部門が政府の支援を受けて、2001年統合。アレヴァ社となる。

・アレヴァ社は分社化:原子力プラント部門、燃料・再処理部門、発電・送電部門、エレクトロニクス先端開発部門。

・原発の出力容量ベースのシェア:(1)東芝・WH 28%、(2)アレヴァ社 26%、(3)日立・GE 15%、(4)三菱4%(2010年)

・ロシアはロストアム(国策会社)を作り、国際競争に参入:原子炉を搭載した船舶:海上原発の開発。アカデミク・ロモノソフ号進水。長さが150メートルほどの船体に3万5000キロワットの原子炉2基を搭載している。原発としては小型。港湾施設さえあればどこでも発電可能。途上国向けに売れる可能性がある。

・日本の原発退役(decommisioning)技術もレベルは高い。

・浜岡原発1号、2号機の廃炉、解体が待っている。約50万トンの残骸がでる。実際に放射性のある廃棄物は1万トン。強い放射線残量があるものはわずか。

・日本の原子力技術の輸出はイギリスから始めよ。橋頭堡とせよ。

・インドと協力し、トリウム炉の開発に協力せよ。

・ウラン資源獲得はカザフスタンから。

(以上)

(抜き書き・まとめ終わり)
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by Hfurumura | 2011-03-22 10:22 | 日本政治

『日本の原発技術が世界を変える』(豊田有恒著、2010年、祥伝社)からの抜き書きとまとめ①

古村治彦です。

私は原発について、全く無知でした。そこで本を読んで勉強しようと思い、この本を手に取りました。この本は、原発についての一般的な情報、歴史、世界的な潮流などについて、初めて学ぶ人にもわかりやすく書いてありました。大変勉強になりました。ここでは、数回に分けて、豊田氏の本の中から、重要と思われる部分を箇条書きで書きたいと思います。私は全く素人ですから、豊田氏の書かれていることに何かを付け加えるということはできないので、感想も何も挟まずに、書いておきたいと思います。豊田氏は「原発批判派」「原発やむをえず派」ということで、単純な「原発推進派」ではないということです。

(抜き書き・まとめはじめ)

まえがき(3-6ページ)
・原子力は、巨大産業である。

・温暖化の流れのなかで、各国がゼロエミッション(炭酸ガスの放出ゼロ)を目指す時代、発電の際に炭酸ガスを出さない原子力は、大いに期待されている。

・安全な原子力を、日本が輸出することは、世界に貢献する道なのである。

・1基の設置に必要なイニシャルコストは、4~5000億円にも上るから、景気のインセンティヴにもなる。

・石油や石炭よりも安く上がる。

序章 人類は、どう原子力を発見したか?(14-35ページ)
・核分裂能力を持つ元素:ウランとプルトニウム→ウラン型原爆(リトルボーイ・広島に投下)とプルトニウム型(ファットマン・長崎に投下)

・原潜のエンジンとして利用:アメリカ海軍の原潜の父・ハイマン・リコーバー

・ウェスティングハウス(WH)社:加圧水炉(PWR)

・ジェネラルエレクトリック(GE)社:沸騰水炉(BWR)

・1953年、アイゼンハウアー大統領のAtoms for Peace演説→原子力の平和利用

・1957年、フィラデルフィア州シッピングポートに原子力発電所

・イギリス:コールダーホース型原子炉:炭酸ガスで冷却(GCR):プルトニウム抽出の変換効率が高い

・GCRは原子力委員長の正力松太郎によって、1基だけ東海村の発電所に、強引に導入

・ソ連:黒煙チャンネル型(RBMK)

・インド:1956年にアジア初の原子炉アプサラ、64年に使用済み核燃料の再処理工場

・フランス:1945年にフランス原子力庁設立、電力供給の4分の3は原子力発電

・高速増殖炉は誤訳、fast breeder reactorなので高速繁殖炉とすべき

・冷戦期の平和は核の均衡によって保たれた:相互確証破壊(mutual assumed destrcution)

・トイレ(核の再処理工場)を造れないわけではないが、意地悪な大家のカーターさんが、造らせてくれなかった

・日本は核の平和利用だけという人類最初の夢に挑戦していくべき

・また場合によっては、その気になればいつでも原潜を配備したり、核武装したりできるという点を、大いにアピールする必要も生じるであろう。

・抑止力としては、核武装するという選択肢をちらつかせながら、平和利用という理想を国際社会に訴えていくしかない。綺麗ごとでは、核の平和利用という、理想を実現できないのだ

第一章 日本人は、どう原子力と付き合ってきたか?(38-71ページ)
・1940年の時点で仁科芳雄博士が陸軍航空技術研究所の所長安田武雄中将にすでにウラン爆弾の製造計画を進言していた

・1956年に原子力基本法制定:原子力研究所(茨城県東海村)、原子力燃料公社、放射線医学研究所設立

・1957年に小型研究炉JRR-1が臨界に達した(臨界とは原子炉の中で核分裂が一定の割合で進行すること)

・ホルミシス(放射強精):地球上の放射線は現在よりはるかに強かった。現存している生物はすべてこの放射能地獄をかいくぐって生き残ってきた種の子孫である。放射線を浴びると、
「たいへんだ、放射線が来たぞ。さあがんばって生き残ろう」というサインが出て、身体機能を強化するらしい。

・東京電力―GE社―沸騰水炉―東芝・日立の系列と関西電力―WH社―加圧水炉―三菱重工の系列

・1970年:日本原子力発電の幕開け:関電の美浜原発、日本原電の敦賀原発(69年)が稼働

・ドイツで冷却水をライン川に流したら、下流のオランダで稀少の魚が絶滅しかけた。日本の原発の場合、冷却水を流す先は広い海だから、こういった問題は生じない

・都会の偉い人が、反対であれ、賛成であれ、無責任なことを言い立てるのを、マスコミを通じて目にして耳にして、腹立たしい思いをしたことは、両三度にはとどまらない。

第二章 世界は、軽水炉を推進する方向へ、舵を切った(74-104)
・かつて日本は、アメリカに次ぐ世界第2の原発大国だった。しかし、被爆国民という心情から、世界で最も反対運動の激しい国となり、細々としか新規の原発の建設ができなくなり、
フランスに追い越され、3位に転落したのである。

・アメリカは初めから推進の一点張りだった。まだ原子炉の問題点などが、浮き彫りにならない時代に、反対運動の芽さえ存在しないころ、早くも100基以上の原発を稼働させてしまった

・日本は9電力会社であり、適正規模。アメリカは3000もある。老朽化した原発を抱えてもなかなか止められない。

・イギリスのGCR型は中の黒鉛が燃え出したが、ガスで冷却するタイプのため水が使えず、大量の放射性物質が環境中に放出された→イギリスの技術の凋落。

・ソ連の黒煙チャンネル炉は炉内で飛び交う中性子を黒煙で減速させるが冷却は水で行う。原子炉格納容器を持たない。

・言論の自由、情報の公開のない国では絶対に原子力開発をやってはいけないと確信したものだった。

・中国は核兵器を先に持ち、その後、エネルギー需要の急増で原発開発へ。1994年から。中国核工業公司(CNNC)が浙江省の泰山第一サイトを稼働。

・中国は自力開発といいながら寄せ集め。その後不具合が起き、結局フランスのフラマトム社(現アレヴァ社)と契約。

・インド:タタ財閥の支援で研究開発。インドではプルトニウム専門実験炉が早くから運転。トリウム炉:トリウムをウラン233に転換し使う。「夢の原子炉」→効率性が難点

(抜き書き・まとめ終わり)
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by Hfurumura | 2011-03-22 10:18 | 日本政治

写真を掲載します③

古村治彦です。

写真を掲載します。

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毛布を持つ避難している人々。一時避難所に入るのに行列をつくっている。彼らは大地震でダメージを受けた
福島の原子力発電所から放射能漏れが起きたために避難をしている。2011年3月12日撮影。REUTERS/Jo Yong-Hak

http://jp.reuters.com/news/pictures/rpSlideshows?articleId=JPRTR2JTNF#a=12
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by Hfurumura | 2011-03-15 21:00 | 日本政治

写真を掲載します②

古村治彦です。

引き続いて写真を掲載します。

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福島の原子力発電所の近くから避難してきた男性が核物質を帯びているかの検査をされている。場所は二本松市にある、核物質の検査、洗浄、隔離のために用意された施設。大地震と津波によって死者は1万人以上になると推定されている。2011年3月14日撮影。REUTERS/Yuriko Nakao

http://jp.reuters.com/news/pictures/rpSlideshows?articleId=JPRTR2JTNF#a=8
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by Hfurumura | 2011-03-15 20:41 | 日本政治

ロイター通信の震災写真集ページから

古村治彦です。

2011年3月11日午後2時46分に発生しました東日本大地震で被災された皆様に衷心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。

私は東京におりまして大きな揺れを感じ、慌てて外に出る玄関のドアを開けていました。日頃の備えを全くしていなかったことを反省しています。

さて、この度の大地震では海外メディアも大きな関心を寄せています。私はロイター通信の写真特集ページを見て驚きました。今回の大地震では地震や津波だけではなく、原子力発電所の破損も大きな関心事です。私は日本のメディアが報道しない写真を見て、今回の震災の恐ろしさを感じております。

このブログに私が言葉を失った写真をご紹介したいと思います。

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お母さんが娘さんと何とか話そうとしている。娘さんは福島の原子力発電所の近くから避難したあと、核物質が検出され隔離された。娘さんがいるのは、高濃度の核物質の検査、洗浄、隔離のために用意された施設。東北地方の二本松市にある。2011年3月14日 REUTERS/Yuriko Nakao

http://jp.reuters.com/news/pictures/rpSlideshows?articleId=JPRTR2JTNF#a=6

(終わり)
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by Hfurumura | 2011-03-15 20:31 | 日本政治

ケビン・メア米国務省日本部長の発言メモから抜粋:憲法9条の「本音」と「建前」

今、日本で一番有名なアメリカ人はケビン・メア米国務省日本部長でしょう。彼の発言は物議を醸しました。彼が昨年12月にワシントンにあるアメリカン大学の学生たちにしたレクチャーの中身がメモとして明らかにされました。メア氏の発言をまとめた英語のメモはインターネット上にあり、それを読むことが可能です。私も読んでみました。そこから私が重要であると思う部分を抜粋し、翻訳してみました。

(抜粋貼り付けはじめ)

※日本語訳は抜粋者が行った。

・「日本にある米軍基地の半分は沖縄にあると言われている。しかし、統計には米軍が単独で使用している基地しか含まれていない。米軍単独の基地と米軍と自衛隊が共同使用している基地を統計に入れると、沖縄にある米軍基地の割合はずっと低くなる」

・「日米安保条約下、日本とアメリカとの間は非対称的で、アメリカを犠牲にして日本は利益を得ている。米軍が攻撃されても日本は米軍を守る義務はないが、アメリカ軍は日本国民と財産を守らなければならない」

・「集団安全保障(訳註:多数の国々が集団で相互に安全を保証すること)は憲法問題ではなく、政策課題である」

・「沖縄の人々の怒りと不満はアメリカというよりも日本に向けられている。民主党政権は沖縄の人々の考えを理解していない。現在の日本政府は沖縄と話すための“パイプ”を持っていない。私は民主党政権に対して沖縄の人々を紹介しようかと言った時、民主党の幹部たちは『是非是非、お願いします!』と答えた」

・「軍隊がなければ世界はもっと平和になるのに」と3分の1の人間は考えている。このようなアホな人々とは話をすることは不可能だ。

・「2009年の総選挙で民主党が政権の座に着いた。これは日本で初めて起きた政権交代である。鳩山は左翼政治家である。民主党と鳩山首相という2つの障害はあったが、アメリカと日本は2010年5月の2+2で問題の決着を図った」

・「米海兵隊が駐屯する場所はどこにもない。民主党は日本本土に代替施設を建設することを提案してきたが、日本本土に米軍が駐屯できる場所などない」

・「日本の政治家たちはいつでも「建前」と「本音」を使い分ける。沖縄の政治家たちは東京で日本政府と交渉し合意を得るだろう。しかし、沖縄に帰ると、合意などしなかったと述べるだろう。アメリカ大使や総領事たちは常に真実を語るために批判に晒される。それは、日本の文化が常に「本音」と「建前」を使い分けることに終始しているからだ」

・「私は日本国憲法第9条を変える必要はないと考えている。おそらく変更はできないだろう。日本国憲法が変えられることはアメリカの利益にならない。なぜなら日本国憲法が変更されると、日本が米軍を必要としなくなるからだ。日本国憲法が変更されてしまえば、米軍が日本の土地を使用することはできなくなり、アメリカの利益を追求することもできなくなる。現在日本政府が支払っている思いやり予算は大変に高額であり、アメリカの利益になっている。私たちは、日本との間でかなり好条件の取り決めをしているのである」

(抜粋貼り付け終わり)

大変興味深いのは、アメリカは、「自分たちの犠牲の上に日本の安全保障が成り立っている」という思いを持っているということです。しかし、重要なのは、最後のポイントです。憲法9条はアメリカにとっても利益になっていて、変更すべきではないとメア氏は述べています。リチャード・アーミテージ氏などは、日本に対して「憲法を変えるかどうかは日本国民の意思だが、海外に自衛隊を出すように」と述べています。現在、憲法9条がありながら、自衛隊を海外に派遣することができるようになっています。しかし、同時に憲法9条によって日本は戦争を放棄しており、武力を使って紛争を解決することはできません。

自衛隊の海外派遣が開始されていら、戦闘に巻き込まれることはなく幸いでしたが、これからどうなるかは分かりません。しかし、自衛隊が既に海外に派遣されているという事実は変わりません。これは憲法9条が事実上、骨抜きにされているのと同じです。憲法9条はアメリカにとって日本がアメリカに依存し、米軍が日本国内に駐屯するための基礎となっています。これは憲法9条の「建前」の部分です。しかし、裏の部分で、実際の運用の部分で、既に骨抜きにされ、自衛隊が米軍の世界戦略の一環として組み込まれています。憲法9条を厳格に解釈したら自衛隊の海外派遣には問題があると思います。しかし、実際には自衛隊が存在し、海外派遣されています。ここでメア氏の言う「本音」と「建前」の使い分けがなされています。

憲法9条、日本の安全保障が既に「本音」と「建前」によって使い分けられていることを今回の騒動は明らかにしてくれました。このような「本音」と「建前」の使い分け、憲法の条項の緩やかな解釈が認められていることは大変危険であると私は考えます。

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by Hfurumura | 2011-03-11 00:24 | 日本政治

移民の潮流について

アメリカの有力紙、「ロサンゼルス・タイムズ」紙にアメリカで行われた国勢調査を基にした、カリフォルニア州の状況についてまとめた記事が掲載されていましたのでご紹介します。これはカリフォルニア州だけの特徴ではないと思いますが、国勢調査の結果を一言で表すならば、「ヒスパニックの人口は増えている」というものです。

以下に記事によりますと、カリフォルニア州の人種別人口構成は、白人が約40パーセント、ヒスパニックが37.6パーセント、アジア系が12.8パーセント、アフリカ系(黒人)が5.8パーセントとなっています。白人と白人ではない人々の比率が4対6で、カリフォルニアの多数派は非白人の人々となっています。

もう一つの記事もアメリカの有力紙、「ニューヨーク・タイムズ」紙に掲載されていた記事です。これは、リビアの騒乱によって、リビアからヨーロッパに脱出する人々がこれから増えていくことが予想され、ヨーロッパ諸国は苦慮しているというものです。ニューヨーク・タイムズ紙の記事の中で特に興味深い部分は次の部分です。

(引用はじめ)

Col. Muammar el Qaddafi, the Libyan leader, appeared to be playing into such fears in comments he made Sunday.
「リビアの指導者であるムアンマル・アル・カダフィ大佐は先週の日曜日、(引用者註:イタリアの小さな島にリビアからの脱出者が殺到することが予想されるがこの島だけでは移民に対処できないという)恐怖感を煽るようなコメントをしている」

He told the French newspaper Journal du Dimanche that if he should fall, “you will have immigration — thousands of people from Libya will
invade Europe. There will be no one to stop them anymore.”
「カダフィ大佐は、フランス紙ジュルナル・デュ・ディマンシュに対して次のように語った。“私が権力の座から引きずり降ろされたら”ヨーロッパに多くのリビア人が移民するようになる。リビア人がヨーロッパに侵入することになる。私が指導者の立場でなくなれば、こうした動きは誰にも止められないだろう」と。

(引用終わり)

ヨーロッパはキリスト教文化であり、アルファベットを使うという共通点があり、単一的なイメージがありました。しかし、現在、各国ともEU域外からの移民の波に苦しんでいます。サッカーの国際試合でもフランスやドイツに黒人選手がいて活躍しています。また、フランスでは、公共の場でスカーフをすることを禁止することで大騒ぎとなりました。上記のカダフィ大佐の発言は、ヨーロッパの現状を理解しての発言で、「ヨーロッパ諸国が私を引きずりおろしたいなら、リビアからの移民の急増というしっぺ返しがあることを忘れるな」という脅しになっています。この脅しに対して、ヨーロッパ諸国が、「独裁者のたわごとだ」と切って捨てることはできない状況です。移民の急増はヨーロッパにとっての悪夢なのです。

現在、世界の支配してきた、西洋が移民という波に晒され、対応に苦慮しています。サミュエル・ハンチントンは、『分裂するアメリカ』の中で、「アメリカは移民の国であるが、建国者たちが西洋のキリスト教徒文化を国の礎にした以上、それ以外の地域の人々も同化すべきだ」という主張を行いました。文化多元主義に、アメリカ建国以来の名家の出身であるハンチントンはノーを言い、アメリカが建国以来のアイデンティティを失うのではないかという恐怖感と焦燥感を表明しました。

西洋は、今、「国家のアイデンティティの危機」に直面しています。しかし、人類の平等、移動の自由、幸福追求の権利といった個人的な人権は元々ヨーロッパで誕生し、欧米世界で大切に守られてきたものです。しかし、いざ自分たちの近くに移民がやって来るということに対して、理屈抜きで恐怖を覚えているというのが現状です。本音と建前は日本の特徴だ、と言われますが、この本音「移民なんかあっちに行け」と建前「人類は平等で移動や居住の自由がある」の対立で、欧米諸国は苦しんでいます。それは自業自得であるが、人類が発展していくために欧米の人々に経験してもらって何か解決を見つけてもらうために必要な過程ではないかとも考えます。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)

・「カリフォルニア州のラティーノの人口が増加。アメリカ国勢調査の結果によると内陸部で急増」
(California's Latino population increases, Inland areas boom, U.S. Census finds)

2011年3月8日付 ロサンゼルス・タイムズ紙電子版

Southern California's inland counties grew at a rapid clip in the last decade, far surpassing the growth rates of the region's coastal counties, according to U.S. census data released Tuesday.

Riverside County saw a whopping 41% increase in population in the decade, recording 2,189,641 residents in 2010. San Bernardino County saw a 19% increase, with a total population of 2,035,210.

Both counties experienced an explosion of suburban growth in the early part of the decade, only to be hit hard as the economy turned sour and many of the homes fell into foreclosure.

Los Angeles County saw only a 3.1% growth rate over the decade, with a population of 9,818,605. San Diego County grow by 10% and Orange County by 5.8%.

Once again, Latinos saw the largest increases in population over the decade, making up 37.6% of the state's total population. As a percentage of the total population, whites dropped to about 40%.

The Asian population was 12.8% and the black population was 5.8%.

http://latimesblogs.latimes.com/lanow/2011/03/californias-latino-population-increases-inland-areas-boom-us-census-finds.html


・「ヨーロッパは予想される移民の増加に備える」
(Europe Braces for a Possible Migrant Influx)

2011年3月7日付 ニューヨーク・タイムズ紙電子版

About 1,000 North African migrants traveling in a dozen boats reached the Italian island of Lampedusa early Monday, with other small craft headed there, testing the tiny island’s capacity to accommodate them even as Italy and the rest of Europe braced for a possibly far larger influx, news reports said.

Some boats made it all the way to the island, which is about halfway between Tunisia and Sicily, while others were intercepted by the coast guard and taken aboard. None appeared to have left from Libya itself, but Italian officials have warned that the crisis in their former colony could generate an overwhelming flow.

“So far we have contained the impact well despite the very high number of migrants,” Cono Galipo, who runs the refugee holding center on Lampedusa, told Reuters. “Fortunately we had only 314 migrants at the center already, and therefore the numbers have stayed beneath what we consider a critical level.” The center was built to accommodate up to 850 people, but in recent years it has at times housed as many as 2,000, some of them forced to sleep outdoors under plastic sheeting.

The estimated 213,000 migrant workers who have found their way out of Libya since the uprising began — most of them by land to Tunisia and Egypt — constitute only 15 percent of the foreign population there, according to Jemini Pandya, a spokeswoman for the International Organization for Migration. Her group is seeking $49 million to help the refugees.

“We know more migrant workers will flee,” she said. “There are still a lot of people stuck inside the country.”

With no end in sight to the Libyan fighting, U.N. officials said Monday that one million foreign workers who remain in Libya or who have fled by land, sea or air might need emergency aid in coming months: They appealed for $160 million from international donors to provide food, health care, water, sanitation and hygiene.

Lampedusa, a small, arid island, has for years drawn large numbers of refugees seeking a better life in Italy or elsewhere in Europe. The flow from Tunisia swelled to more than 6,000 this year amid the turmoil there. Now the Libyan crisis has brought a new surge.

Many refugees arrive in small, overloaded craft on trips often organized bysmugglers. The boats are sometimes stripped of fittings — including life jackets — to make room for a larger human cargo. Crossings are particularly problematic in winter months, and there have been cases of sinking and drowning.

On the island, new arrivals are fed, given warm clothing and medical care, and screened. They are eventually sent to identification centers on Sicily and in the Italian mainland.

With its thousands of miles of coastline, Italy has for years faced waves of illegal immigrants. In 2009, it renewed an agreement with Tunisia promising financial aid in exchange for added steps to stop would-be immigrants from leaving that country. That pact appears to have fallen apart since the uprising in Tunisia forced President Zine el-Abidine Ben Ali from power.

When one Italian official last month warned of an “unprecedented biblical exodus” from North Africa, some Europeans officials called his language overwrought. But in appealing Monday for more money for emergency aid, a U.N. official suggested that the outward flow was probably far from over.

“This appeal is based on a planning scenario projecting up to 400,000 people leaving Libya — including the 200,000 who have left to date — and another 600,000 people inside Libya expected to need humanitarian aid,” said the official, Valerie Amos, the U.N. humanitarian and emergency coordination chief.

For the people of Lampedusa, the migration is hardly theoretical. The island’s mayor, Bernardino De Rubeis, said that unless the European Union provided more aid and opened its doors wider, Lampedusa and Italy risked being overwhelmed.

Col. Muammar el Qaddafi, the Libyan leader, appeared to be playing into such fears in comments he made Sunday.

He told the French newspaper Journal du Dimanche that if he should fall, “you will have immigration — thousands of people from Libya will invade Europe. There will be no one to stop them anymore.”

Amid reports and speculation that Colonel Qaddafi’s forces have hindered some migrants from leaving, the U.N. secretary general, Ban Ki-moon, expressed new concern about their plight and urged the Libyan authorities to ensure the safety of all foreigners.

U.N. officials now say they expect the Libyan crisis to last more than three months.

http://www.nytimes.com/2011/03/08/world/africa/08iht-evacuate08.html?scp=3&sq=europe%20%20immigration&st=cse

(新聞記事転載貼り付け終わり)
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by Hfurumura | 2011-03-09 13:48 | アメリカ政治

手嶋龍一氏の報道ステーションでの発言から考える

昨日、2011年3月7日、テレビ朝日で午後9時54分から放送された「報道ステーション」(古館伊知郎氏が司会)のトップニュースは当然のように前原誠司外務大臣の辞任でした。解説者として、手嶋龍一氏が出てきました。元NHKワシントン総局長で、2001年にアメリカで起きた同時多発テロ事件の時にアメリカからニュースを伝え続けました。手嶋氏は国内問題よりも国際問題に大変強い印象があります。アメリカだけでなく、世界で起きた事件の解説者として出てきます。

ここから分かることは、前原外相の辞任は国内問題(在日外国人からの献金を受けていたこと)というだけではなく、国際的な側面を持つ事件だということです。

手嶋龍一氏は、「前原氏はクリントン国務長官から全く評価されていなかった。外交の相手としては見られていなかった」と発言しました。

それに対して、司会の古館氏は「ですが、クリントンさんは前原氏を高く評価するという発言をしていましたよね」と質問しました。

それに対して手嶋氏は、「それは文字通りに“外交辞令”です。外交においては相手が利用できるとなれば最大限の賛辞を送るものです。しかし、クリントン国務長官が前原さんを評価していた証拠はどこにもありません」と答えました。

紹介した手嶋氏の発言は、それまでのマスコミの論調とは全く逆のことでした。2010年9月7日、尖閣諸島沖で中国の漁船と日本の海上保安庁の巡視船2隻が衝突するという事件が起きました。この際、前原氏は、中国側に対して強硬な態度に出るとともに、アメリカ側に、「尖閣諸島は日米安保条約適用対象である」ということを確認させたということで、大変な評価を受けました。「いざとなったら、アメリカが守ってくれるのだ」ということを確認した、ということで単純に喜んで良いとは私は思いませんが、「前原氏は大変な戦果を挙げた」ということになりました。以下に貼り付けた新聞記事をお読みください。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

・「「尖閣は日米安保適用対象」クリントン長官、明言 日米外相会談で」

2010年9月24日付 MSN産経ニュース

 【ニューヨーク=酒井充】前原誠司外相は23日午前(日本時間同日夜)、ニューヨークでクリントン米国務長官と外相就任後初めて会談した。クリントン氏は沖縄・尖閣諸島付近で海上保安庁の巡視船と中国漁船が衝突した事件に関連して、尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象であるとの見解を強調した。今月7日の事件発生以来、米側がこうした見解を直接、日本側に明言したのは初めて。海洋権益を拡大する中国に対し、日米両国が足並みをそろえて牽(けん)制(せい)した格好だ。

 前原氏は約50分間に及んだ会談で、衝突事件について「東シナ海に領土問題はない。日本の国内法にのっとって粛々と対応する」と述べ、日本政府の対応を説明した。その上で、尖閣諸島を日米安保条約の適用対象としている米側の従来の立場に謝意を示し、日中間で問題解決に取り組む決意を示した。

 これに対し、クリントン氏は尖閣諸島について「明らかに日米安保条約が適用される」と語った。日米安保条約第5条は「日本国の施政の下にある領域」で「いずれか一方に対する武力攻撃」があった場合に、「共通の危険に対処するように行動することを宣言する」としている。

 ただ、クローリー米国務次官補(広報担当)は、尖閣諸島の領有権が日中両国のどちらにあるかについて、米国は立場を明確にしないとした上で、外相会談でクリントン長官が、日中両国の対話強化による衝突事件の早期解決を求めたことを明らかにした。

 このほか、会談では日米同盟がアジア太平洋地域の平和と安定に欠かせないとの認識のもと、同盟深化を図ることで一致。米軍普天間飛行場(沖縄県宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)移設問題では、前原氏が同県名護市辺野古を移設先とする5月の日米共同声明の実現に向けて「しっかり対応していく」と述べ、米側の理解を求めた。

 これに対し、会談に同席したキャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は「移設問題も重要だが、もっとグローバルなテーマも日米の戦略対話でしっかりやっていこう」と語った。北朝鮮の核開発問題に対し日米が連携して解決に努力することや核開発を続けるイランへの制裁で協調することでも一致した。日本側が削減を求め、米側が難色を示す在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の問題は話題に上らなかった。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

上の新聞記事にもあるように、クリントン国務長官は尖閣諸島は日米安保条約の適用対象であると認めています。しかし、クリントン氏の部下であるクローリー国務次官補は、「尖閣諸島の領有については日中どちらかに権利があるのかをアメリカははっきりさせない」としています。これは、衝突もあるだろうが、外交できちんと解決することを求めるアメリカ政府からのシグナルです。外交は硬軟の使い分けができなくてはならず、激しく非難している相手ともクールに交渉することが重要です。アメリカ側は期待したものと言えます。それでは次の新聞記事をお読みください。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

・「横浜のAPEC閣僚会議を欠席 クリントン米国務長官」

2010年10月22日付 MSN産経ニュース

 クリントン米国務長官が、11月に横浜市で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議を日程上の都合から欠席することが21日、分かった。複数の日米関係筋が明らかにした。

 クリントン長官は横浜で前原誠司外相と日米外相会談を行う予定だったが、不可能になったため、かわりに27日にハワイで会談することが決まった。

 米国が来年から東アジアサミットに正式参加するため、クリントン長官は今月30日にハノイで開かれる同サミットに特別ゲストとして出席する。その後、カンボジアやマレーシアなどを歴訪し、オーストラリアで外務、防衛担当閣僚による安全保障対話(2プラス2)にも参加する予定で、APECに出席できなくなった。(共同)

・「前原・クリントン会談、日米同盟強調し中国をけん制」

2010年10月29日付 AFPBBNews

 【10月29日 AFP】前原誠司(Seiji Maehara)外相とヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は27日夜、ハワイ(Hawaii)で会談し、日米同盟関係を再確認するとともに、中国からの輸出が滞っているレアアース(希土類)の供給源多角化を目指す方向で一致、外交問題における中国の最近の強硬的態度に連係して対処する姿勢を示した。

 会談後の共同会見でクリントン長官は、「(日米)同盟は、アジア太平洋地域における米国の戦略的関与の基軸」と言明。数十年間にわたって域内の平和を支え、両国の繁栄をうながしてきたとの考えを示した。一方の前原外相は、日本の防衛において2国間協力を確認するためさらに協議を深化させたいと述べた。

 両外相はまた、さまざまな「周辺事態」に対処していく必要性に触れた。

 中国が領有権を主張している沖縄県尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島)についてクリントン長官は、日本人記者の質問に答え、日本の領土への攻撃に対する米国の防衛義務を定めた「日米安保条約第5条の範囲に尖閣諸島が入ることを、再度明確にしておきたい」と明言。「日米同盟は、米国が世界各地で結んでいる同盟関係の中でも最も重要なものの1つだ。日本国民を守るわが国の義務を重視している」と続けた。

 ハイテク製品などの製造に不可欠なレアアース(希土類)の供給源については、中国が輸出をほぼ独占している状況から脱却し、中国に代わる供給源を開拓する重要性をともに強調した。(c)AFP

(新聞記事転載貼り付け終わり)

横浜でのAPEC外相会議は前原氏が議長で、外交の晴れ舞台ですが、大変残念なことにクリントン国務長官は横浜まで来ることができませんでした。アジア諸国を歴訪していたにも関わらず、です。それは、緊急に話し合うこともなく、何が重大な決定がなされる訳ではない会議に出る必要はないし、日本には中国との関係を良くするという課題を与えているので、APECではそれをやるようにということだったのでしょう。それでもクリントン国務長官は、前原氏と話すために時間を作っています。そこで途中経過などを話したものと思われます。そして、中国に対して強硬な姿勢を強調して、前原氏を援護しています。しかし、そうした動きも少しずつ変化していきます。次の新聞記事をお読みください。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

・「日米外相、共通戦略目標の見直し合意 中国台頭など念頭」

2011年1月7日付 朝日新聞電子版
2011年1月7日11時54分

 【ワシントン=鶴岡正寛、伊藤宏】前原誠司外相とクリントン米国務長官は6日午後(日本時間7日未明)、米国務省で会談した。中国の海洋進出や北朝鮮情勢など安全保障環境の変化を受け、次回の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で、2005年策定の「共通戦略目標」を見直すことで合意した。菅直人首相が今春訪米し、オバマ大統領と発表する共同声明に盛り込みたい考えだ。

 日本側の説明によると、最近の東アジア地域の安全保障環境を踏まえて「共通戦略目標の見直し、再確認の作業を進めていく」ことで一致した。事務レベルの意見交換では、中国の南シナ海や東シナ海への進出を受けて「海洋航行の自由」などを盛り込むことを検討している。

 現行の共通戦略目標は、日米が05年2月に発表。台湾海峡問題の平和的解決や北朝鮮に関連する諸懸案の平和的解決などの目標を明記。安全保障環境に応じた見直し条項も盛り込んでいた。

 クリントン氏は会談後の共同記者会見で「この数カ月のうちに2プラス2が開催されることを期待する。今春の後半に、菅首相を招待するのを楽しみにしている」と表明した。ただ日米は、次回の2プラス2で米軍普天間飛行場の沖縄県名護市への移設案の詳細を固めることでも合意している。県内移設に地元の合意を得られる見込みはなく、首相訪米前に2プラス2を開けない可能性もある。

 前原外相は会見で「沖縄の基地負担軽減と抑止力の維持を両立させる努力をしていく」。クリントン氏は「米国は同盟の基盤となる重要な問題について努力し続けていく。普天間問題もその一部だ」と話した。

 また両外相は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について協議を進める方針を確認した。前原氏は会談に先立ち、米戦略国際問題研究所(CSIS)での講演後の質疑で「より自由な貿易体制を目指し、それを日本再生の起爆剤にしていくことが必要だ」と積極姿勢を示した。

 北朝鮮については前原氏が共同会見で「北朝鮮が具体的な行動をとれば、中国が提案している6者の会合を拒む理由はない」と、まず北朝鮮が非核化を進めるべきだとの考えを表明。クリントン氏も「我々は北朝鮮の挑発的な行為を終わらせ、朝鮮半島の非核化に取り組むことを確認した」と語った。


・「フロリダ高速鉄道計画の中止確定」

2011年3月5日付 MSN産経ニュース
2011.3.5 12:03


 【ワシントン=柿内公輔】ラフード米運輸長官は4日、フロリダ州の高速鉄道計画にあてる連邦予算を他の州に振り向けると発表した。共和党系のスコット州知事が連邦政府の補助金の受け入れを拒否しているためで、日本が新幹線の採用を売り込んでいた同計画の中止がほぼ確定した。

 米メディアなどによると、ラフード長官は同日、スコット知事と電話で会談し、約24億ドル(約1980億円)の補助金を受け入れるよう再度促したが、州のコスト負担増を懸念する知事は拒否。長官は「補助金は、(高速鉄道計画を抱える)他の州に振り向けられるだろう」と述べた。

 また、同州の州上院議員がスコット知事に補助金受け入れを命じるよう求めていた訴訟で、同州最高裁は4日、訴えを退けた。

 これにより、オバマ政権が全米で整備する高速鉄道網で最も進行していたフロリダ州の計画が頓挫した。

 新幹線を擁する日本は、JR東海など11社の企業連合を組み、前原誠司外相が訪米して知事にトップセールスをかけるなど官民挙げて受注を目指していた。藤崎一郎駐米大使は4日、「連邦政府の決定を見守りたい」と述べた。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

2010年9月以降、日中関係に大きな進展はありませんでした。日本は中国との間で何もしてこなかったと言えます。問題が生じたら、それに向けて解決をするための努力をしなければなりませんが、全くそれがないまま、半年が過ぎました。中国の指導部は交替に向けて、課題を少しでも解決していこうという姿勢を見せているのですから、その流れに乗って日中関係も改善させられることもできたはずです。しかし、アメリカから見れば、こうした日本の無策は、だんだん負担になっていきます。アメリカは中国との相互依存関係にあり、敵対ばかりしていられません。しかし、日本側と会うたびに、中国に対する非難や批判をしなければならないのは大きな負担であり、アメリカの国益を損なうことになりかねません。中国もアメリカの苦しさは分かっているでしょうから、表だっては批判
しつつも、「大変だね」ということになります。そして、お互いにとって負担(と言うよりは負債)となっているのは、「あの日本の外相だ」ということになったのでしょう。

「日本の外相を交替させてしまえば良いや」が米中の共通の利益となりました。その象徴として前原外相がトップセールスで売り込んだ高速鉄道です。「日本から作らせて下さいと言ってきた。まぁ一応良いものらしいし、前原は大事な政治家のようだから考えてやるか」だったのでしょうが、「前原はダメだということが分かったから、気を使う必要もないな」ということになったのでしょう。
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by Hfurumura | 2011-03-08 12:25

前原誠司外務大臣の辞任について考える

古村治彦です。

昨日、2011年3月6日夜、前原誠司外務大臣が、在日韓国人から政治献金を受けていたことの責任を取る形で、辞任を発表しました5年間に毎年5万円、計25万円を京都市に住む、子どものころから交流がある在日韓国人女性から政治資金として受け取っていたことが問題となりました。

政治家が外国人や外国勢力から影響を受けないようにするために政治資金規正法では外国人や外国企業からは政治資金を受け取ることを禁じています。このことの趣旨は分かります。しかし、これは「故意ではない場合」、修正して返金すれば済むようにも思います。こう書くと批判をされると思いますが、はっきり言って「些細な間違い」です。

全国会議員732名の政治資金報告書を詳細に調べていけば、どれほどの人たちが全く問題のない、となるでしょうか。政治資金の問題はこのように破裂すると大変に大きな影響が出ます。逆に考えると、こうしたことを就任するときに騒いでおかなければ、「自爆起動装置」となり、いつでもスイッチを押して、政治家を辞任させることができるようになります。

ここで外国との関係で前原氏辞任の背景を考えてみたいと思います。日本に大きな影響力を持つ国はアメリカです。アメリカの意向があれば、それをすぐに実行できるような人材が日本の各界には存在します。マスコミにだって学界にだって存在します。

前原氏は「アメリカに捨てられた」と副島隆彦先生が2011年3月7日の朝に書いています。この主張を私は更に発展させて、「中国が前原氏を切りたがっていた。アメリカも前原氏には失望していた。米中は今のところ、景気回復に向けて呉越同舟の関係にある。よってお互いの利害が一致し、前原氏は辞任となった」と私は考えます。

先週は中国の国会にあたる第11回全国人民代表者会議(全人代)が開催されました。温家宝国務院総理は均衡ある国内の発展とともに、近隣諸国との善隣外交を打ち出しました。これは日本との関係改善を指しています。そして、中国の楊外交部長は、「日中関係改善のために重要な1年になる」と発言しています。

前原氏は外相就任以来、中国に対してときにヒステリックとも思える外交姿勢を取ってきました。これはアメリカの一部の勢力(具体的にはネオコン派)には、大変受けが良いものとなりましたが、恐らく、クリントン国務長官(ネオコン派に近い)から見ても、「こいつはアホなのか」と思われるほどに酷いものだったのではないかと思います。外交は大変に複雑なもので、単純に相手を非難したり、馬鹿にしたりだけではできるものではありません。色々な要素を加味しながら、押したり引いたり、交渉したり脅し文句を言ったりという様々な方策で、国益を追求するものです。

クリントン国務長官から見たら、「馬鹿の一本槍で中国との対立を煽る前原氏では、いくら属国の政治家にしてもダメすぎる。考えが致命的に足りない」ということになったのでしょう。

そこに中国から、「全人代で近隣諸国との関係を改善し、発展途上国の経済発展に貢献する(新たな市場となり、輸出志向型になっているアメリカにも利益がある)」というメッセージが出されました。中国は来年2012年に新しい指導部が発足します。今年2011年は、中国にとって、それまでに外交を立て直す重要な1年となります。そこで、日中関係を改善にするにあたり、中国側が必要としたのは、日本の外相の交替であったと考えられます。

米中の利害が交錯し一致する点に「前原外相辞任」があったとも考えられます。

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(新聞記事転載貼り付けはじめ)

・「前原外相辞任 後任、松本剛氏らの名 外国人献金問題」

2011年3月7日付 朝日新聞電子版

 前原誠司外相は6日夜、首相公邸で菅直人首相と会談し、在日外国人からの政治献金受領問題の責任を取って辞任する意向を伝えた。首相は慰留したが、最終的に辞任を受け入れた。重要閣僚の辞任で、首相の政権基盤が一層弱体化するのは確実だ。

 菅内閣の閣僚辞任は、柳田稔元法相らに次いで3人目となる。前原氏の後任には、松本剛明外務副大臣の昇格などが取りざたされているが、数日間は首相か枝野幸男官房長官が兼務する見通しだ。

 前原氏は6日午後6時半すぎに首相公邸を訪れ、首相と約1時間45分会談した。途中から枝野官房長官、福山哲郎官房副長官も同席し、前原氏の辞意を受け入れた。

 会談後、前原氏は外務省で記者会見し、「一両日熟慮を重ねた結果、外相の職を辞することにした。クリーンな政治を目指してきたのにもかかわらず、政治とカネの問題で不信を招いたことを国民におわびする」と陳謝。辞任の理由について「金額の多寡にかかわらず、外国人から献金を受けていたことは重い。政治資金の管理責任は私自身にあり、政治家としてのけじめをつける」と語った。

 また、前原氏は自らの政治献金の調査結果として、京都市内に住む在日韓国人女性から2005~08年の4年間と、10年の計5年間に毎年5万円ずつ計25万円の献金を受けていたことを明らかにした。

 前原氏は問題が発覚した4日、首相官邸で首相と会談した際、すでに辞意を伝えていた。だが、この時は首相が強く慰留し、前原氏もいったんは判断を先送りした。ただ、前原氏の外相続投のままでは野党が反発し、国会審議の見通しが立たなくなるうえに、前原氏の辞意も固かったことから、首相も最終的には前原氏の辞任を受け入れざるを得ないと判断した。

 前原氏は「ポスト菅」の最有力候補だったが、次の民主党代表選への立候補は極めて厳しい情勢になった。昨年9月の外相就任から約6カ月。前原氏は民主党代表だった06年3月、「偽メール事件」で代表辞任表明に追い込まれたことがある。


・「中国:全人代 「善隣外交」アピール 温首相、周辺国との摩擦意識」

2010年3月6日付 毎日新聞電子版

 【北京・成沢健一】中国の温家宝首相は5日に開幕した第11期全国人民代表大会(全人代)第4回会議の政府活動報告で、周辺国との外交について「善意をもって隣国に接し、隣国を仲間とみなす」との方針を堅持すると強調した。昨年は南シナ海の領有権問題や尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件などで東南アジア諸国や日本との摩擦が目立ったことから、周辺国との関係強化を図る姿勢をアピールしたとみられる。

 南シナ海の領有権問題では米国が関与する姿勢を強めたほか、漁船衝突事件で中国が見せた強硬な対応には欧米諸国からも疑念の声が上がった。さらに、中国で服役中の民主活動家、劉暁波(りゅうぎょうは)氏へのノーベル平和賞授賞を巡る「圧力外交」に対し、「中国異質論」も高まった。こうした昨年の外交については「失敗の連続との認識が政府内でも出ている」(外交筋)という。

 一方で、温首相は政府活動報告で「強力な軍隊の建設は国家の主権や安全、発展の利益を守り、小康(ゆとりのある)社会を築くうえで重要な保障だ」とも述べた。軍の装備強化や海洋権益確保といった方針に変わりはなく、周辺国の懸念を払拭(ふっしょく)するのは容易ではなさそうだ。

 ◇「温暖化対策を推進」 排出量取引導入も言及

 【北京・米村耕一】中国の温家宝首相は5日の政府活動報告で「経済成長に対する資源、環境面での制約が強まっている」と指摘し、省エネと環境保護を通じて地球温暖化対策に前向きに取り組む姿勢を表明した。ただ、各種の数値目標は、これまで公表した行動目標に沿ったものにとどまった。

 全人代で採択される第12次5カ年計画は、国内総生産(GDP)単位当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を17%、GDP単位当たりのエネルギー消費量を16%削減するとの目標を設定した。

 すでに中国は20年までにGDP単位当たりのCO2排出量を05年比で40~45%減らすとの行動目標を発表しており、この目標に合わせた水準だ。

 一方、今回の5カ年計画は初めて、排出量取引の段階的な導入に言及した。

 炭素税についても「環境税の改革を進め、徴収範囲を段階的に拡大する」などの表現で、積極的に検討する姿勢を示した。

 1次エネルギー消費量に占める非化石エネルギーの割合については、11・4%に引き上げるという目標を掲げた。

 中国の太陽エネルギー発電や風力発電などの規模は現時点でも世界トップだが、さらに拡大されることになる。

==============

 ◇中国政府活動報告要旨
 第12次5カ年計画の主要目標などを盛り込んだ中国政府活動報告の要旨は次の通り。

 <現状評価>

 一、中国の総合国力は著しく向上し、国際的地位と影響力も向上した。国民生活は目に見えて改善されたが、一方で投資と消費のバランスが崩れ、所得分配の格差も拡大した。社会矛盾が増え、大衆が強い不満を抱く問題が解決されていない。

 <主要目標>

 一、今後5年間の経済成長率を年平均7%に。

 一、今年の経済成長率は8%程度とする。今年の物価上昇率は4%程度、都市部失業率は4・6%以内に抑える。

 一、(引き締め方向に転じた)穏健な金融政策を実施し、人民元為替レートの形成メカニズムも完備させる。

 一、GDP(国内総生産)単位当たりエネルギー消費量を16%削減、二酸化炭素排出量を17%、汚染物質排出量は8~10%低減させる。

 <国民生活>

 一、所得水準の上昇率を年平均7%以上にする。低所得者の税負担軽減など所得分配を合理的に調整する。

 一、都市部の中低所得者の住宅難を重点的に解決する。不動産投機への規制を強める。

 一、家屋取り壊しや立ち退きなど民衆が不満を抱く問題を解決する。土地収用や開発計画にからんで公務員が私利をむさぼる問題を解決する。

 <その他>

 一、食糧安全保障を最優先目標とし、農村のインフラ整備に力を入れる。食の安全への監督を充実させる。

 一、(チベット、新疆ウイグル自治区など)少数民族地区を発展させる措置をとる。

 一、インターネットの利用と管理を強化する。

 一、情報の安全と機密保持の活動を強化する。

 一、情報化時代の地域戦争に打ち勝てるよう軍の能力を高める。

 一、周辺国との善隣友好協力関係を深め、多国間の外交活動も積極的に展開する。


・「「中日両国の国民感情改善が重要」楊外相が記者会見 尖閣衝突事件で関係の悪化受け」

2011年3月7日付 MSN産経ニュース

 【北京=矢板明夫】中国の楊(よう)潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)(けつち)外相は7日、全国人民代表大会(全人代=国会)が開会中の北京市の人民大会堂で記者会見し、昨年9月に沖縄・尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件で悪化した日中関係について「両国の国民感情を改善することが大変重要で、対立と矛盾を激化させないことが必要だ」と述べた上で、「中日双方にとって、中日関係は最も重要な二国間関係であり、良い関係をつくることは双方のいずれにとっても賢明な選択だ」と述べた。

 北朝鮮の核開発問題をめぐる六カ国協議に関しては「今は大変有利な時期だと認識している。協議の早期再開を実現するため、各国と一緒に努力したい」と語った。

 米中関係については「中米両国は世界と地域に対し最も大きな影響力を持つ二つの国家であり、両国関係を深化させる必要がある」と述べたうえで、米国の台湾への武器輸出に対して「断固反対だ」と改めて強調した。

 楊外相は中国が発展途上国との関係強化を重視しているとも指摘、中国がこれまでにアフリカ諸国のために「2200キロの鉄道、3400キロの道路を建設した」と明らかにした。今後は「発展途上国の競争力と持続発展能力を高めるため」引き続き積極的に支援するとの姿勢を示した。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

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by Hfurumura | 2011-03-07 15:31 | 日本政治

名古屋とウィスコンシンで起きていること

古村治彦です。

朝日新聞電子版に大変興味深い記事が2本掲載されていました。

名古屋市議会の定数は75です。立候補者数は138名ですから、3月13日の選挙は63名が落選するという大変な激戦となります。河村たかし名古屋市長が率いる地域政党「減税日本」からは41名が立候補しています。市議会で過半数を制するためには38名の当選が必要です。減税日本はほぼ全員の当選が必要となりますが、なかなか困難ではないかと思います。しかし、既存の政党の候補者たちの中にも、河村市長の公約である、「市民税10%恒久減税」、「議員報酬の半減(800万円に半減)」、「地域委員会の全市拡大」に賛成を表明している人たちが出てきています。

河村氏の公約に対して一度は否決を市議会議員たちも、リコール運動や選挙を通じて表明され「人々の意思」を無視することはできなくなりました。私は、昨年の9月に名古屋市に行き、市議会リコール運動のお手伝いをしてきました。その中で、ある年配の方に声をかけられました。その方は、「自分はヨーロッパを旅行してきた。ヨーロッパの市では議員は職業ではない。日本では議員たちが高い給料を取って貴族化している。今の時代に、この名古屋に貴族はいらん」と話され、私は感動しました。日本は戦後、アメリカの占領下、民主政治体制が強化されました。しかし、デモクラシーになっても、人々から税金を召し上げ、それでお手盛りの高額の給料を決めてきた、公務員や議員たちが貴族化し、それが存続していたのです。

名古屋で起こっていることは、民主政治体制の当たり前の手続きを行って、有権者たちの意思を表明して、政治を市民のものにするという動きです。そして、これが日本全国に広がっています。議員たちは選挙がありますから、代えることができます。しかし、公務員や官僚たちは選挙もなく、辞めさせられることはありません。

しかし、日本国憲法には「公務員を罷免するのは国民の固有の権利である」と書かれています。公務員や官僚を辞めさせることはできるのです。しかし、実際に、それをするというのは大変です。それではどうしたら良いかというと、官僚組織や公務員組織の管理部門を選挙で選ばれた人たち、もしきは政治任命にすることです。それで、有権者に責任を持つことになりますし、選挙に負ければ辞職ということになります。煩雑や一貫性がないだという批判があると思いますが、それには民主政治体制のコストであると答えるだけです。

一方、ウィスコンシン州についてはこの前の文章でも書きましたが、朝日新聞の記事の方が詳しかったのでこちらを掲載します。ウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事は、共和党に所属するリバータリアンです。そして、ウォーカー知事は財政赤字削減のため、州職員の解雇と州職員組合による団体交渉権を制限しようとしています。州議会も共和党が過半数を握っているために、ウォーカー知事の法案は成立する可能性が高くなっています。それに対して、民主党は議会に出席しないという戦術(と言って良いのか疑問ですが)で対抗しています。また、ソリス労働長官はこうした動きを批判しています。アメリカでは日本と同様、地方が疲弊しているようです。ウィスコンシン州については前回にたくさん書きましたので、ここで繰り返しません。

日本とアメリカで何か似たようなことが起きているようです。それは、貴族化し、合理的ではない報酬を受けている人たちに対しての異議申し立てだと私は考えます。

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(新聞記事転載貼り付け終わり)

・「「報酬800万円に半減」7割が賛成 名古屋市議選候補」

2011年3月5日付 朝日新聞電子版 

 4日に告示された名古屋市議選に立候補した138人のうち73%にあたる101人が、河村たかし市長が公約する議員報酬を800万円に半減させる政策に賛成していることが、朝日新聞社が全候補者を対象に行ったアンケートで分かった。

 2月19、20日に朝日新聞とメ~テレが行った共同世論調査で議員報酬半減に賛成した72%とほぼ同じ割合。住民投票による議会解散を受け、候補者が世論を敏感に感じ取っている様子が浮かび上がる。

 朝日新聞では、河村市長が「3大公約」として掲げる市民税10%恒久減税、議員報酬の半減、地域委員会の全市拡大の賛否について138人に調査票を送付、3日までに全員の回答を得た。

 それによると、河村氏が代表を務める地域政党「減税日本」の41人全員が3大公約すべてに賛成。議員報酬半減は101人(73%)が賛成し、「その他」が31人(22%)、「反対」は6人(4%)。党派別には、民主党(27人)の半数を超す15人が賛成。自民党(24人)の5人、公明党(12人)と共産党(16人)の全員、みんなの党(8人)の2人が賛成した。

 また、市民税10%恒久減税は62人(45%)が賛成する一方、「反対」が43人(31%)、「その他」が33人(24%)。自民党の12人、民主党の1人が賛成した。「反対」「その他」の中でも、借金を増やさないことや低所得者層に配慮するといった条件付きで賛成する回答もあった。

 地域委員会は、予算の一部の使い道を選挙で選ばれた地域住民が決める仕組みで、昨年8地区でモデル実施された。その全市拡大については「賛成」71人(51%)、「反対」29人(21%)、「その他」38人(28%)。反対理由の多くが「モデル実施の検証が十分ではない」だった。

・「米でも6万人デモ 団体交渉権めぐり州職員ら立てこもり」

2011年3月5日付 朝日新聞電子版

 【ニューヨーク=田中光】中東諸国でデモが相次ぐなか、米国でもデモが激化している。財政赤字に悩むウィスコンシン州の知事が公務員の団体交渉権を制限する法案を提案、これに反発する州職員や組合支持者たちが断続的に州庁舎に立てこもり続けている。知事は4日、組合側に4月にも解雇すると通知した。

 労使間の対立は2月中旬から続いており、解雇通知は15日以内に法案が通らなければ、州職員1500人が職を失うとしている。地元メディアによると、3日には、警察当局が州庁内で41発の銃弾を見つける事件も起きており、緊張が高まっている。

 昨秋の中間選挙で、8年ぶりに共和党が州知事の座を奪還。スコット・ウォーカー知事が2千億円を超える財政赤字を改善するため、団体交渉権の廃止と、州職員の健康保険料などの負担増を求めたことが今回の騒動のきっかけだ。組合側が激しく反発し、教員がデモに駆けつけ、学校も一時休校になった。

 ウィスコンシン州は、公務員組合が団体交渉権を勝ち取った初めての州。全米でも最大級の勢力を誇る組合のデモ隊は一時、6万人以上に膨れあがった。一方、財政規律を訴える保守派の市民運動「ティーパーティー(茶会)」支持者が州内外から駆けつけ、組合のデモに反対するデモをするなど、泥仕合状態だ。

 同州議会でも与野党が激しく対立している。組合が支持基盤である14人の民主党議員は採決を阻止するため、議場から雲隠れして、近隣のイリノイ州に逃亡。これに対し、共和党が多数派を占めるウィスコンシン州議会は3日、議会への侮辱行為だとして、逃亡した民主党議員の逮捕も辞さない決議を採択。議場に姿を見せない限り1日当たり100ドルの罰金を導入するなど、妥協点を見いだすのは難しい状況だ。

(新聞記事転載貼り付け終わり)
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by Hfurumura | 2011-03-06 17:43 | 日本政治