翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
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『イスラエル・ロビー』著者たちのオバマ大統領への提言

古村治彦です。

 本日は、『イスラエル・ロビー』の著者である、ジョン・ミアシャイマーとスティーヴン・ウォルトの最近の言説をご紹介します。ミアシャイマーとウォルトは、最近、取りざたされるようになった、イスラエルによるイランへの空爆、アメリカによるイランへの攻撃について、「アメリカは、イスラエルとは違う戦略を取るべきだ」という言説を展開しています。彼らは学者であり、現実の政治には何の力も持ちえませんが、アメリカ国民の一部の考えを代表していると思います。

イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1

ジョン・J・ミアシャイマー / 講談社



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●「オバマ大統領は、イラン問題に関して、イスラエルとは反対の立場をとるべきだ(Mr Obama must take a stand against Israel over Iran)」

フィナンシャル・タイムズ紙(Financial Times)
2012年3月4日付
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/38c9382a-65f8-11e1-979e-00144feabdc0.html#axzz1onV9LIlX

ジョン・ミアシャイマー(John Mearsheimer)・スティーヴン・ウォルト(Stephen Walt)筆

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、本日、ホワイトハウスに、最も好かれていない外国の指導者を迎える。イスラエル首相ベンジャミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)は、アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)の年次大会に出席するために渡米し、ホワイトハウスも訪問することになっている。オバマ、ネタニヤフ両首脳は、アメリカ国内の最も熱心なイスラエル支持者たちの前で、アピールする機会を得ることになる。私たちは、これから、アメリカ、イスラエル両国の「共通の利益」「揺るぎない絆」「共通の価値観」といった言葉をいやと言うほど聞くことになるだろう。

 これらの言い回しは良くて人々の誤解を招くだけのことであり、単純に間違っている。全く共通する利益を持つ国々は存在しない。そして、イスラエルとアメリカは、二つの重要な問題を抱えている。その二つとはイランと、イスラエル・パレスチナ紛争である。オバマ大統領に対して、イスラエルは、イラン攻撃を行うように圧力をかけている。オバマ大統領は拒絶している。一方で、ネタニヤフ首相がパレスチナ国家の承認を拒否し、イスラエルを危険にさらしているということを思い出させている。

 イランについて、ネタニヤフ首相は、「彼らは核兵器を持ちたがっている。そして、彼らの目的はイスラエルの存在自体に脅威を与えることである」と述べている。ネタニヤフ首相は、外交交渉でイランの核開発を阻止できるとは考えておらず、アメリカがイランの核開発関連施設を破壊してくれることを望んでいる。もしオバマ大統領がイランへの攻撃を拒否したら、ネタニヤフ首相は、イスラエル国防軍に対してイラン攻撃のゴーサインを出すだろう。

 オバマ大統領と彼の補佐官や側近たち(この中には軍事関係者も含まれている)は、事態を全く別の視点で見ている。彼らは、イランが核兵器の保有を望んでおらず、イランが核兵器を保有しても、イスラエルの存在を脅かすようなことはないと見ている。イスラエルは多くの核兵器を保有しており、イランから攻撃を受けたら、それらを使って、イランをかんぷなきまでに叩くことが可能である。アメリカの情報当局は、イラン政府が核兵器を実際に製造するかどうかまだ決定していないという確かな情報を得ている。アメリカ政府首脳は、イスラエルによるイラン攻撃によって、イランが核抑止力(nuclear deterrent)の必要性を認識してしまうことを憂慮している。アメリカ政府首脳の考えは間違っていない。

 軍事力だけでは意味のある勝利を得ることは不可能であるという事実も重要である。イスラエルの空軍力では、イラン国内にある全ての核関連施設を破壊することは不可能だ。アメリカ軍による攻撃が成功しても、核開発計画の基礎になっている知識そのものを破壊することはできない。イランは、攻撃を受けにくい場所に核関連施設を再建するだろう。1981年にイスラエルがイラクのオシラク原発を空爆したが、その後、イラクは核関連施設を再建した。

 まとめると、イスラエルのタカ派がアメリカにイランを攻撃してもらいたがるのは理解できることではあるが、アメリカにとってイラン攻撃は何の利益ももたらさない。オバマ大統領はこのことをイスラエルのネタニヤフ首相に明確に伝えるべきなのだ。

 アメリカとイスラエルとの間の隔たりは、イラン問題と同様、パレスチナ問題でも大きい。ネタニヤフ首相は、1993年のオスロ合意(イスラエル・パレスチナ紛争を解決し、パレスチナの自治を確立することを決めた)に反対した。ネタニヤフ首相が認める「パレスチナ国家」は、分断され、武力を持たず、実質的にイスラエルにコントロールされる存在のことを指す。ネタニヤフ首相は2009年の選挙で首相に選ばれたのだが、公約にパレスチナ国家の否定を盛り込んでいた。彼が組織した内閣の閣員の多くは、ヨルダン川西岸地区を永久に支配下に置くことを望んでいる。ネタニヤフ政権は、エルサレムとヨルダン川西岸地区からパレスチナ人たちを排除し続けている。そして入植地を科拡大し続けている。

 一方で、オバマ大統領は、パレスチナ国家がイスラエルと平和的に共存できるような形で独立ができるように援助している。2009年6月にカイロで演説した時、オバマ大統領は次のように述べている。「イスラエルとパレスチナ国家が共存するのは、イスラエルの利益となり、パレスチナの利益となり、アメリカの利益となり、世界の利益となる」と。オバマ大統領は、アメリカによるイスラエルへの援助と、イスラエル国内でのパレスチナ人に対する不当な扱いがある限り、アラブ世界とイスラム社会の反米感情は激化していく一方だと認識している。そして、世界規模でのテロ問題も深刻化させることも分かっている。

 事実、パレスチナ問題は、イスラエルの存在自体に関わる脅威となっている。現在、50万人以上のユダヤ人が、イスラエルが占領した地域に入植しているヨルダン川から地中海にかけて一つの国家を作り出そうかという勢いである。人口動態統計の数字から考えると、「大イスラエル(Greater Israel)」は、多くのパレスチナ人を含んでおり、ユダヤ人国家とは言えない。また、パレスチナ系の国民の参政権を制限しているので、きちんとした民主政体の国とも言えない。大イスラエルは、人種差別国家となり、イスラエルの正統性とこれからの存続に大いなる脅威を与えることになる。2007年に当時のエフード・オルメルト首相は次のように語っている。「イスラエルとパレスチナが共存することができなければ、イスラエルは、昔の南アフリカが苦しんだように、パレスチナ人にユダヤ人と平等な参政権を与えるかどうかで苦しむようになる。そうなれば、イスラエルは国家として存続しえないのである」と。

 ネタニヤフ首相とオバマ大統領は、パレスチナ問題に関して、何度も衝突してきた。そして、いつでもオバマ大統領が折れてきた。オバマ大統領は、今年11月に行われる米大統領選挙まで、パレスチナ問題を巡るネタニヤフ首相との軋轢を公にしたくないはずだ。だから、オバマ大統領は、アメリカとイスラエルが緊密な同盟関係にあることを強調するように行動するだろう。それが真実であるかのように行動するだろう。

 しかし、実際には、アメリカとイスラエルの「特別な関係」が持つ機能不全を、オバマ大統領とネタニヤフ首相との間の軋轢は明らかにしている。アメリカとイスラエルが通常の関係であるなら、オバマ大統領は、ネタニヤフ首相の計画にはっきりノーと言える。そして、イスラエルに対して説教じみた説得を行い、アメリカの影響力を使って、イスラエルに計画の再考を促すことができる。しかし、イスラエル・ロビー(Israel Lobby)を形成するアメリカ・イスラエル広報委員会(AIPAC)やその他の団体は、政治家たちに圧力をかけ、イスラエルの望むこととアメリカのできることを区別させないようにしている。つまり、アメリカの政治家たちに圧力をかけ、イスラエルの希望通りにアメリカが動くようにしている。オバマ大統領は、イスラエルだけを特別扱いすることで、アメリカの他の重要な同盟諸国がアメリカから離反してしまうことも可能性としてあることは理解している。しかし、民主党への大口献金をしてくれる人々(ユダヤ人が多い)やマスコミ内のイスラエル支持者たちの意向に沿わねば、オバマ大統領の再選が危なくなってしまうのだ。

 戦争は常に大きなコストとリスクを内包するものである。そして、決して長期的な利益をもたらすものではない。従って、オバマ大統領には軍事行動を促す圧力を巧みに避け続けて欲しい。オバマ大統領が公の場でどんなに激しい言葉遣いをしても、軍事行動だけはしてはいけない。一方で、イスラエルは、パレスチナ地域の占領を続けることで、自国の存在を脅威にさらし続けることになるだろう。

※ジョン・ミアシャイマー:シカゴ大学教授、スティーヴン・ウォルト:ハーバード大学ケネディ記念行政学・政治学大学院教授

(終わり)

イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 2

J.J. ミアシャイマー / 講談社


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by Hfurumura | 2012-03-28 00:18 | アメリカ政治

2012年3月24日の講演会のお礼

古村治彦です。

昨日、2012年3月24日、副島隆彦を囲む会第26回定例会において、1時間の時間をいただき、講演をいたしました。当日、雨にもかかわらず、講演会にご出席いただいた皆様に厚く御礼を申し上げます。

拙い話しぶりと時間を10分も超過してしまうという失態で、ご出席いただいた皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

2012年5月に、PHP研究所から『アメリカ政治の秘密』という本を出版していただくことになりました。この本は、私の初めての単著となります。お話をいただいてから約2年、そのうちの1年10か月は何を書いてよいのか分からず、大げさな表現ですが、無明の闇をさまよっているようなものでした。

昨年12月に、苦し紛れの原稿を副島先生に見ていただいて、叱責を受け、それからひと月、2012年1月11日に、本の全体骨格が出来上がり、それからひと月ほどで原稿を書き上げることができました。

このブログも不定期な更新ですっかり、荒れ果てた田畑のような状況になっておりますが、本の準備、講演会の準備が終わりましたので、また一から開墾する心で、定期的な更新に努めてまいりたいと思います。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方

カンナ,P. /


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by Hfurumura | 2012-03-25 22:33 | 宣伝