翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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第4回副島隆彦の“予言者”金融セミナーのご案内をいたします

欧米日 やらせの景気回復

副島隆彦 / 徳間書店



古村治彦です。

本日は、来る2012年7月1日に開催される副島隆彦先生の「第4回副島隆彦の“予言者”金融セミナー」のご案内をいたします。

副島先生の最新刊『欧米日 やらせの景気回復』(2012年4月、徳間書店)の中にご案内のハガキが挟んでありますが、こちらのブログでもご紹介いたします。

開催日:2012年7月1日
開演:午前11時(開場・受付:午前10時)
終了:午後5時30分(予定)
受講料:15,000円(税込)/全自由席
定員:596名(ただし、座席を追加する場合もございます)
会場:東商ホール(東京商工会議所ビル4階)
   100-0005 東京都千代田区丸の内3-2-2
アクセス:JR有楽町駅・・・5分
     地下鉄千代田線二重橋駅前・・・2分
     都営三田線日比谷駅・・・2分
申し込み期限:2012年6月18日(月)(それ以降のお申し込みは直接お電話で承りま                      す)

お問い合わせ:ブレイントラスト企画(成甲書房内)
       101-0051 東京都千代田区神田神保町1-42
       電話:03-3292-8401(平日:午前10時から午後6時まで)
       ファクシミリ:050-3156-3040
       email: seminar@seikoshobo.co.jp


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東商ホールへのアクセス

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副島隆彦の“予言者”金融セミナー第3回『「金・ドル体制」の終わり』発刊記念講演DVD (副島隆彦の“予言者”セミナー)

副島 隆彦 / 成甲書房


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by Hfurumura | 2012-05-23 00:26 | 宣伝

宣伝ばかりで申し訳ありません

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



古村治彦です。

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今回も拙著『アメリカ政治の秘密』を宣伝いたします。宣伝ばかりで申し訳ありません。ですが、本は最初の数週間が勝負だと経験上考えておりまして、もうしばらく宣伝にお付き合いをいただけますようによろしくお願い申し上げます。

『アメリカ政治の秘密』は、2012年5月13日にウェブサイト「副島隆彦の学問道場」内「今日のぼやき・広報ページ」に中田安彦(アルルの男・ヒロシ)SNSI筆頭研究員による紹介文である「「1306」 爆弾のような破壊力を持った一冊!! 古村治彦著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)を強力に推薦する。2012年5月13日」が掲載されて以降、興味を持っていただける方が急増中であります。アマゾンの順位では、最高で全体121位、現在は165位と健闘中です。昨日は、担当編集者から電話があり、新人にしては大健闘だということも言われました。

これもひとえに皆様方のご協力のおかげです。誠にありがとうございます。今後も精進してまいります。

※「今日のぼやき・広報ページ」へは、こちらからどうぞ。

また、ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」では、『アメリカ政治の秘密』の頒布が始まりました。4冊セット1万円ですが、今ではもう書店で手に入らない書籍も多数取り揃えております。ご利用をいただけますようよろしくお願い申し上げます。

※「副島隆彦の学問道場」の本の頒布コーナーへは、こちらからどうぞ。

以上、宣伝をいたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2012-05-15 17:04 | 宣伝

拙著『アメリカ政治の秘密』を宣伝いたします

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



古村治彦です。今日は、2012年5月11日です。

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先日、2012年5月12日に発売予定の単著『アメリカ政治の秘密』の見本が出来上がり、出版社PHP研究所に受け取りに行ってきました。

本日、いよいよ『アメリカ政治の秘密』が取次から書店に配送される「配本」という佐合が開始されます。都内の書店では5月13日頃から。全国的にはその1、2日後くらいから書店の店頭に並べられると思います。

皆様のお手元に本を実際にお届けできる日が近づいてきました。もし書店等で見かけられましたら、是非、手に取ってご覧いただければと思います。宜しくお願い申し上げます。

本日、このブログでは、本の発売直前ということで、本の宣伝を行いたいと思います。何をやるのかと言いますと、『アメリカ政治の秘密』から、副島隆彦先生に書いていただきました序文と、目次をここに紹介します。

これらを参考にしていただき、是非、『アメリカ政治の秘密』をお読みいただけますように、よろしくお願い申し上げます。

(貼り付けはじめ)

副島隆彦による序文

 本書、『アメリカ政治の秘密』の著者である古村治彦(ルビ:ふるむらはるひこ)氏は、私が主宰する副島国家戦略研究所(SNSI ルビ:エス・エヌ・エス・アイ)の研究員である。

 古村氏は、二〇〇一年から六年間、アメリカのロサンゼルスにある南カリフォルニア大学の大学院に留学し、本場でアメリカ政治学を学んできた若手学者である。彼がこれから日米の政治分析やアメリカ政治研究で活躍してくれることを私は強く希望している。

 今回、古村氏が、これまでの調査研究の成果をまとめて、初めての単著『アメリカ政治の秘密』として、PHP研究所から出版していただくことになった。私も大変喜んでいる。私は、才能のある若い知識人をたくさん育てていくことが、私の責務であると考え活動してきた。私は、副島国家戦略研究所(SNSI ルビ:エスエヌエスアイ)を主宰し、集まってくる「才能はあるが恵まれた環境にいない」若者たちを育てている。古村氏もその一人である。SNSI(ルビ:エスエヌエスアイ)は、中田安彦氏や古村氏に続いてこれからも若い人材を世に出していく。

 本書、『アメリカ政治の秘密』は、私が二〇年前から確立した「帝国―属国理論」とアメリカ政治研究の系譜に連なる本である。私の主著『属国・日本論』(五月書房、一九九七年)と『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社+α文庫、一九九九年)及びSNSI筆頭研究員の中田安彦氏の『ジャパン・ハンドラーズ』(日本文芸社、二〇〇五年)で、日本における現在のアメリカ政治研究、日米関係研究は、飛躍的に進歩したと自画自賛している。

 本書、『アメリカ政治の秘密』は、私や中田氏の研究の枠組みを用いている。だが、著者独自の視点からの新事実の発見と分析がふんだんに盛り込まれている。

 この一〇年でようやく、日本国民の中に「日本はアメリカの属国である(残念だ)」という考えが受け容れられるようになった。普通の人たちでも「日本はアメリカの属国だから仕方がないんだ」と平気で口にする。

 私が一九九七年に『属国・日本論』を出した頃は、「日本はアメリカの属国である」と書いても、冷たく黙殺され鼻で嗤(ルビ;わら)われた。もしくは激しく嫌われて、反論される反応しかなかった。それが、一般国民に間でも、「日本属国論」がじわじわと浸透しつつある。しかし、知識層だけでなく、日本の大テレビ局五社(それにNHK)と大新聞社五社の合計一一社は、今も私を徹底的に無視している。

 「日本属国論」が浸透するようになった理由は、やはりアメリカの日本管理が杜撰になり、これまでのような温和さと鷹揚さがなくなったからだ。アメリカが日本を上手に管理し、操るだけの余裕がなくなった。かつ、日本人の側も「何かおかしいな」という疑問を抱くようになったからだ。

 アメリカは、長年、日本をうまく管理してきた。一九九〇年代までは、日本全体がアメリカに“洗脳”されている状態だった。

 選抜され、フルブライト奨学金でアメリカの大学に留学させてもらった人々は、アメリカに育てられて日本に帰ってくる。そして、日本の政界、財界、マスコミなどで重要なポジションに就く。彼らは、頭からどっぷりとアメリカの行動を何でも支持する。そして今もアメリカの国債を、円高対策のためと称して、日本国民の血税を使って一回あたり何兆円も購入する。この状況が現在でも続いている。

 しかし、アメリカも相当に行き詰ってきた。アメリカは世界覇権国(ルビ:ヘジェモニック・ステイト)として世界で君臨してきたが、覇権国(=帝国 ルビ:エムパイア)としての国内だけでなく、世界の経営もうまくいかなくなってきている。だから、主要な周辺属国のひとつである日本を良い気持ちにさせながら管理していくという方法がなかなか取れなくなった。その結果、日本に対して露骨な、そして凶暴な本性を垣間(ルビ:かいま)見せるようになってきた。

 その表れのひとつとして、日本からアメリカへの留学生の数は、一九九七年に史上最高の四七〇七三人を記録した。それ以降、減少し続けている。二〇一〇年には、わずか二一二九〇人となり、一九九七年と比べ半減している(日米教育委員会の統計)。それに比べてアジア諸国からのアメリカ留学が一段と増加し日本だけが減少している。このアメリカの衰退は、そのまま現在の世界経済の状況をも映し出している。

 ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授は、日本に来るたびに嘆いている。「ハーバード大学に留学してくる日本人学生の数が激減している。これは日米関係にとってマイナスになる」と。ナイが学科長をしているハーバード大学ケネディ行政学大学院(通称“Kスクール”)には、日本の各省庁から多く留学していた。が、その数が激減している。ハーバード大学のウェブサイトで(http://www.hio.harvard.edu/abouthio/statistics/studentstatistics/academicyear2010-2011/)で調べると、中国や韓国からの留学生が数十人いるのに対して、日本からの留学生の数はわずか一二名だ。日本からのエリート留学生が減ると、ナイは、二つの面で困る。

 まず、自分たちの食い扶持の収入が減る。アメリカの大学経営は、一般企業に劣らずシビアな競争の世界である。二つ目は、自分たちの意思に従って、日本を管理する、日本側の人材が減少してしまう。これまでのように立派に“洗脳”して日本に送り返して、重要ポストに就け、アメリカの政策を東アジアで貫徹する仕掛け(仕組み)そのものが弱体化していく。

 アメリカにとって海外からの留学生は、一つの産業である。世界中の若者が最新の学問を学びに、また英語を身に着けるためにアメリカにやってくる。アメリカの大学にとって留学生は、多額のお金を落としてくれる大事なお客様なのである。最新の統計によれば(http://www.fulbright.jp/study/res/t1-college02.html)、アメリカへの留学生の数は約七二万人である。そのうちのおよそ三分の二の四六万人がアジアからの留学生だ。上位の三カ国は、中国、インド、韓国である。日本は第七位となっている。

 学費と生活費で、アメリカへの留学生一人当たり年四〇〇万円(約三万ドル)くらいかかる。すると、日本人留学生が最盛期の約四万七〇〇〇人から約二万二〇〇〇人に減少すると、単純計算で約一〇〇〇億円の減収だ。アメリカの留学産業にとって、この減収は大きな痛手だろう。

 本書は、前半部では「アメリカの外交の手口(世界各国への介入の仕方)」を、後半部では「アメリカの日本管理(日本の計画的な操り)の手口」を取り上げている。前半部で明らかになったことは、二〇一〇年末から二〇一一年にかけて発生した中東諸国の「アラブの春」が、アメリカ政府(とくにヒラリー・クリントン派)によってあらかじめ周到に準備されていたものであることだ。

 後半部は、日本に対するアメリカの最新の管理の諸手法を解明した。

 これらを本書『アメリカの秘密』は、必ずしもジャーナリズムの手法に寄らず学問的な緻密さで白日の下に明らかにした。読者諸氏のご高配を賜りたい。

二〇一二年三月六日
副島隆彦

==========

『アメリカ政治の秘密』・目次

副島隆彦による序文 
まえがき 

第一章 ヒラリーに乗っ取られた外交―オバマ外交の変質
●世界中から歓迎されたオバマ大統領の誕生
●現実主義的な外交姿勢を標榜したオバマ大統領
●オバマ政権の外交姿勢が変化した
●オバマ政権でヒラリーを応援してきた女傑三人衆
●サマンサ・パワー
●スーザン・ライス
●アン・マリー・スローター

第二章 現在のアメリカ外交の基本政策は民主化
●民主化はアメリカの外交目標である
●アメリカが準備していた「アラブの春」
●米国務省政策企画局長
●全米民主政治のための基金
●米国国際開発庁
●政治学における民主化理論・現実政治に仕える政治学
●アラブの春と同時期に起きていたミャンマーの民政移管

第三章 アメリカ外交の流れ―介入主義と現実主義
●アメリカ外交政策の流れを大まかに分類する
●介入主義
●現実主義
●ネオコンについて改めて説明する
●レーガン政権の基礎となった「カークパトリック・ドクトリン」ネオコン派第一世代
●カークパトリック・ドクトリンに反発したネオコン第二世代
●現実主義派が多数を占めていたジョージ・H・W・ブッシュ政権

第四章 アメリカの介入外交はケネディから本格化した
●ケネディが行った介入主義的政策
●ケネディが行った日本の労組穏健化への取り組み
●ケネディ外交の基礎となった近代化論
●近代化論の創始者W・W・ロストウとアレクサンダー・ガーシェンクロン
●ネオコン第二世代の先駆けはガリガリ右翼ロストウ
●近代化論に対抗する二つの理論
●ケネディの介入主義から日本管理は始まった

第五章 エドウィン・O・ライシャワーとチャルマーズ・ジョンソン―日本管理路線の創始者と反対者
●菊クラブ=ジャパン・ハンドラーズ=日本研究正統派の創始者・ライシャワー
●ケネディ・ライシャワー路線 日本管理路線の始まり
●ライシャワーの日本管理路線を引き継いだ「菊クラブ」
●ライシャワーは日本古代史の研究者として出発
●ライシャワーが日本で流行させた近代化論
●ライシャワーの日本近代化論に説得力を与えたジャンセンの坂本龍馬研究
●ロストウの近代化論をそのまま利用したライシャワー
●チャルマーズ・ジョンソン=日本研究正統派から「修正主義者」のレッテルを貼られた学者
●チャルマーズ・ジョンソンの通産省研究
●アメリカでも民主党政権になると採用される産業政策
●日本研究の二つの流れ:正統派と修正主義派

第六章 日本管理の前線司令官 ジェラルド・カーティス
●カーティスが期待する日本の若手政治家たち
●カーティスが作った野党人脈が菅内閣につながった
●日本管理は世代を超えて継続されている
●日本の選挙の研究で博士号を取得
●実はアメリカ本国で学者として評価なしのカーティス
●日本のTPP参加推進担当

第七章 ライシャワーの嫡流:ケント・カルダー
●ライシャワーの最後の弟子
●現在の国務省日本部長はカルダーの弟子
●民主党の普天間基地移設問題のキーマンとの人脈
●日本にあるアメリカの軍事基地を維持するための研究
●“バラマキ政治”補償型政治で政治家優位を説明
●産業政策はうまく機能しなかったという主張

第八章 日本管理のための洗脳担当:リチャード・サミュエルズ
●学者一筋の人生なのにどこか怪しいサミュエルズ
●サミュエルズが主催する洗脳の道具としての危機シミュレーション
●ついに日本でも開催されたサミュエルズ式シミュレーション
●サミュエルズの代理人・油木清明
●普天間基地移設問題についてのサミュエルズの考え
●産業界の研究を行ったサミュエルズ
●岸信介を通じて日本政治の連続性を研究
●日米安全保障戦略についての研究に着手

あとがき

(貼り付け終わり)

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※『アメリカ政治の秘密』の内容を講演会でお話しした内容が収められたDVD『今、世界経済がどう変質しつつあるか』が発売されています。DVD頒布ページへは、こちらからどうぞ。

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2012-05-11 15:06 | 宣伝

訳書をご紹介します③

ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方

カンナ,P. / 講談社



古村治彦です。

今回は、『ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方』をご紹介します。

==========

「宣伝文0006」 パラグ・カンナ著『ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方』(古村治彦訳、講談社、2011年)が発売されました。 古村治彦(ふるむらはるひこ)筆 2011年6月10日

 ウェブサイト「副島隆彦の論文教室」管理人の古村治彦です。このたび、私が翻訳しました『ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方』(原題:How to Run the World: Charting a Course to the Next Renaissance)が講談社から発売になりました。全国各地の書店にも置いてあります。

 本書の著者パラグ・カンナは新進気鋭の国際政治学者、地政学者です。1977年生まれで、現在ワシントンにあるニューアメリカ財団の主任研究員をしています。デビュー作『「三つの帝国の時代」』は話題となりました。本書『ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方』はカンナの著作第2弾です。

 本書『ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方』で、カンナは「巨大化する外交(メガ・ディプロマシー)」という概念を提唱しています。このメガ・ディプロマシーとは、これまで職業外交官たちや国際機関が独占してきた外交に様々なアクターが参加することでより機能するものとするというものです。NGO、有名人、宗教家、人道支援活動家たちが能力を持ちより、分業することで外交を行うというものです。

 カンナはこれまで大きな厄災をもたしてきた国境は引き直されるべきだと主張しています。そして、鉄道や石油や天然ガスのパイプラインを重視すべきだとも述べています。カンナは、アメリカの衰退と併せて、現代の国民国家と各国政府が機能を果たせなくなりつつあると指摘しています。こうした状況は1000年前の中世とよく似ていると指摘しています。

 原著は、2011年1月に発売されました。同時期に翻訳を進めておりましたところ、2011年3月11日に東日本大震災が発生し、3月12日には東京電力福島第一原子力発電所で原子炉のトラブルから放射能漏れ事故が発生しました。著者のカンナ氏は、日本の読者のために、「日本は必ず復興する」という趣旨の日本語版の序文を送ってくれました。この序文も読みごたえがあります。是非手にとってお読みください。

 本書『ネクスト・ルネサンス』の発刊に際し、このページでは、海外での書評、著者パラグ・カンナ氏のインタビュー、カンナ氏がニューヨーク・タイムズ紙に掲載した論稿をご紹介したいと思います。

 『ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方』をどうぞよろしくお願い申し上げます。

==========

●Kirkus Book Review (出版前の本の書評を行い掲載するウェブサイト)
2010年10月15日になされた書評
http://www.kirkusreviews.com/book-reviews/non-fiction/parag-khanna/how-run-world/?spdy=2011

 ニューアメリカ財団の上級研究員パラグ・カンナ(『「三つの帝国」の時代』の著者)は、世界が不安定になっている時期に世界の諸問題を解決するために新しい「メガ・ディプロマシー(巨大化する外交)」が必要だと説く。カンナは、職業外交官たちが長い間、世界をどう動かすかを交渉して決めてきた、と書く。古代シュメールで都市国家が繁栄した時代、外交官たちは王たちの間で神の言葉を取り次いだ。現代社会においては、外交官たちは大きな戦争の後、戦後処理として世界を分割するための交渉を行ってきた。

 今日の「分裂し、断片的になり、統治不可能な」世界において、世界を単独でコントロールする力を持つ超大国は存在しない。ポスト冷戦時代の世界では、各国政府、企業、市民活動家たちの連携を基にした新しい外交の方法が必要となっている。情報技術革命によって、公的部門と民間部門は効率的に協働でき、国境を越え、テロリズム、エイズの大流行、気候変動といった世界規模の諸問題に対処できるとカンナは書いている。この新しい形の外交にとって、企業家、学者、活動家、有名人、その他様々な人たちが新しい外交の重要な参加者となる。彼らはこれまでにはなかった協力体制を構築し、地雷禁止、最貧国の債務免除、国際刑事裁判所の創設などの目的を達成しようとしている。

 そうした人々には、ビル・ゲイツ、メリンダ・ゲイツ夫妻、ボノやアンジェリーナ・ジョリーまで様々な人が数えられる。こうした人々は財力と影響力を持っている。またオープンソサエティ財団は世界規模の重要な問題を提起し続け、世界経済フォーラム(WEF)は「新しい外交の設計者」となっている。WEFは年に何度も開かれる会合に多様な参加者を招き、議論の場を提供している。クリントン・グローバル・イニシアチブは政治、経済、社会の各分野のリーダーたちの提携を推進している。

 カンナは新しい外交が世界規模の諸問題の解決のための斬新なアプローチを提供するとして、その方法をいくつか提案している。世界各国が協力して情報を共有するという協力体制を作る。ソマリアの漁民が海賊行為に走らないようにする(例えば高速漁船を提供して漁獲高を上げるなど)。そして、イランと北朝鮮に対して、彼らには核開発プログラムは必要ないと説得する。環境保護の分野では、新しい外交によって官民連携が意義あるものとなる、とカンナは書いている。これまでいくつも結ばれてきた国際的な合意よりも環境分野に影響を与え、環境保護が進むようになるとカンナは主張している。メガ・ディプロマシーのモデルとして、カンナはヨーロッパを挙げている。域内では国境がなくなったヨーロッパ連合(EU)の加盟国は共通の諸問題の解決のために実験と協力を継続している。

 世界統治に対する議論への大きな貢献となる一冊である。

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●「Amazon.com」に掲載された著者パラグ・カンナのインタビュー
http://www.amazon.com/How-Run-World-Charting-Renaissance/dp/1400068274/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1305046793&sr=8-1

インタビュアーはスティーヴ・クレモンス。ブログ「ワシントン・ノート」の著者。クレモンスとカンナはニューアメリカ財団の同僚。

質問:デビュー作『「三つの帝国」の時代』であなたは、現代の世界は、数十カ国の新興国に対して、複数の超大国が影響力を及ぼそうと競争している世界だ、と書いた。本書『ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方』で、あなたは、新しい世界の構造はどのようになると書いているのか?

答え:私は「これからの世界は強力な国々とそうではない国々で構成されるようになる」とは考えていない。これからの世界は1000年前の中世世界のようになると考えている。1000年前の中世世界では、現在と同様、東洋と西洋が同時に強力であった時代である。それ以降現代まで、両方が同時期に強力ということはなかった。中国の宋帝国では紙幣が発明された(中国は今でも紙幣をたくさん保有している!)。南インドに栄えたチョーラ朝は東アフリカからインドネシアにかけての海を支配した。アラブ・イスラム世界はアッバース朝時代に繁栄のピークを迎えた。アッバース朝の領土は現代のスペインのアンダルシア地方から中央アジアにまで広がっていた。一方、ヨーロッパの神聖ローマ帝国は不確実で、不安定な状況にあった。

質問:1000年前のグローバライゼーションと現在のグローバライゼーションはどれくらい似ているか?

答え:歴史的に見ると、十字軍の遠征の終結は、時代の重要な転換点になった。ヨーロッパはコモディティやスパイスを獲得するために商業に集中するようになり、新しい土地や商品の発見のために遠洋航海を始めた。これが史上初の世界規模の通商システムを創造することにつながった。ヨーロッパ中で活躍した銀行網は長距離の遠洋航海のための資金を集めた。この時期の長距離遠洋航海では多額の資金に加えてコンパスの発明も大きな貢献となった。イタリア人のマルコ・ポーロやモロッコ人のイブン・バトゥータは数千マイルの旅を行った。その結果、東洋と西洋の相互理解は深まった。グローバライゼーションは経済、戦略、文化の面で昔のように再び起こっている。興味深いのは、中世時代のグローバライゼーションの参加者は、都市、企業、教会、ギルド、傭兵、大学、人道主義活動家であったことだ。これは現代のグローバライゼーションでも同じである。

質問:現代のような複雑な世界における外交はどうあるべきだろうか?

答え:外交は主権ではなく地位と権威を基礎にした政府で行われてきた。今日、外交は聖職者、企業経営者、有名人、活動家、その他の人々といった幅広い人々の間で行われる相互活動である。彼らは資金、資源、才能を持ちよって世界規模の諸問題に対処している。私はこれを「メガ・ディプロマシー(巨大化する外交)」と呼んでいる。世界中の人々がたかだか200の政府に代表されることなど不可能だ。その代わり、メガ・ディプロマシーではより多くのグループが自分たちを代表して、自分たちの利益を追求することができる。各国家の違いを強調する外交に代わり、メガ・ディプロマシーはこうしたグループ間のより有機的な連帯を創造することができる。こうしたグループが連帯することで協働も生まれる。

質問:複雑さを伴う新しい時代の秩序をアメリカはどのようにコントロールできるだろうか?

答え:アメリカが世界中で行ってきたことはこれまでのどの国家や帝国がやったことよりも偉大である。アメリカの企業は金融、技術、マネジメント技術を世界中に広めた。アメリカの大学は中東やアジア地域にキャンパスを置き、次代のリーダーたちを教育している。アメリカ市民と慈善団体は世界で最も寛大である。アメリカはこれまで数十年間尊敬すべきリーダーたちがやってきたように、これからも国を開き、世界の諸問題に関与する必要がある。アメリカは各国政府ではなく、市民たち同士の関係を構築すべきだ。ヨーロッパ、日本、インドの市民たちとアメリカの市民たちがより良い関係を築く。そうなれば同盟はより長続きし、安定したものになる。

=====

●「中央アジアにおける新しいシルクロード(Central Asia's New Silk Roads)」

2010年8月12日

ニューヨーク・タイムズ紙論説欄(インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙論説欄から転載)

パラグ・カンナ(PARAG KHANNA)筆

 モンゴルのウランバートルから。アフガニスタンで新たに発見されたリチウム鉱脈は、海に面していない中央アジア地域で見つかる他の天然資源と同じ運命をたどるだろう。欧米諸国が見つけて開発するが、それらをコントロールするのはアジアである。

 シベリアの木材、モンゴルの鉄鉱石、カザフスタンの石油、トルクメニスタンの天然ガス、アフガニスタンの銅鉱石は新しく建設された中国向けの輸送ネットワークを通じて中国国内に運ばれている。こうした資源が世界最大の人口を抱える中国の急速な経済発展を支えている。

 中国は現在、急ピッチで中央アジア地域に道路、鉄道、パイプラインを建設している。こうした社会資本は欧米諸国にもチャンスを与えるし、中央アジア諸国にも経済発展の機会を与える。19世紀に繰り広げられたグレート・ゲーム(Great Game)を、天然資源を巡ってこの21世紀でやることなどない。欧米諸国は中国の国内発展を支援するようにすべきだ。欧米諸国は、中国の地方政府を指導することで、繊維製品や農産物の輸出を増やすことに貢献できる。また欧米の先進諸国は、多くの天然資源輸出国が陥った「資源の呪い(resource curse)」に中国がかからないように輸出品の多様化を進めることにも協力できる。

 中国は海に面していない中央アジアを海につなげるために社会資本の整備を進めている。欧米諸国は新しい建設される、東西を結ぶシルクロード(East-West Silk Road)を成功させるように動く必要がある。この新しいシルクロードは石油を運ぶためのものとなる。

 カスピ海沿岸の油田からカザフスタンを通る石油パイプライン、トルクメニスタンからウズベキスタンとカザフスタンを通る、最近完成した天然ガスのパイプライン、ロシア国内を通る道路や鉄道の建設計画などこの地域の社会資本の整備は着々と進んでいる。これらの道路やパイプラインは、パキスタンのグワダルの天然の良港にまでつながっている。中国は中央アジアを大国間の緩衝地帯から東西を結ぶ回廊にしようと努力している。その証拠が中央アジア地域の社会資本整備に中国が深く参画していることである。中国政府の指導者たちは、ユーラシアを中国の経済発展に必要な天然資源を大量に埋蔵している地域だと見ている。

 中国が中央アジアとアフリカに進出していることを新しい植民地主義ではないかと疑いを持って見る必要はない。欧米諸国の各企業は、中国が建設した道路、鉄道をいかに利用してそうした地域で成功を収めるか、戦略を練るようにすべきだ。中国と競争するのではなく協調していくことが重要だ。中央アジアで中国と協調するためには、社会資本建設に多額の投資を行うこと、地図上の役に立たない、恣意的な国境を超える新しい線(道路やパイプラインなど)を引くことである。道路やパイプラインは経済的利益を中央アジア、中国、欧米各国にもたらす。

 中央アジアの社会資本プロジェクトで最も重要なものはまだ建設されていない、トルクメニスタン・アフガニスタン・パキスタン・インド(TAPI)天然ガスパイプラインと、イラン・パキスタン・インド(IPI)天然ガスパイプラインである。TAPI天然ガスパイプラインについて言えば、アフガニスタンの治安情勢が確保されないために建設が進まない。TAPI天然ガスパイプラインに投資しようという投資家は数多くいるし、アジア開発銀行も融資をしようとしているだけに残念だ。TAPI天然ガスパイプラインが建設されることでアフガニスタンの人々には職を与えることができるし、エネルギー不足が続いているアフガニスタンとパキスタンに安いエネルギーを供給することができる。米軍はアフガニスタンで軍事戦略を進めているが、その戦略の中にパイプライン建設など経済開発プロジェクトも含めるようにすべきだ。

 イラン・パキスタン・インド(IPI)天然ガスパイプラインについて言うと、アメリカは建設に反対しているが、イランとパキスタンは建設を始めることで合意に達した。

 アメリカ政府が気づくべき、最も重要なことは、イランを孤立させると近東と中央アジアをつなぐ架橋がなくなってしまうということだ。ヨーロッパ各国も中国もこのことにきちんと気づいている。ヨーロッパはナブコ・パイプラインを建設し、中国が融資を行って建設が進められている北部アフガニスタンからイランへと続く道路を建設している。ヨーロッパや中国派こうしてイランを孤立させるのではなく参加させることで地域を安定させようとしているのだ。

 中央アジア諸国の地方政府では天然資源を発見しても精製も輸出もできない。欧米諸国が開発に参加することで関係する国々全てに利益が出るようになる。アフガニスタンは、鉱山技術をほとんど持っていないが、中国、オーストラリア、ロシアの企業群がアフガニスタン国内の鉱山開発を進めることができる。モンゴルでは外国企業による鉱山開発がここ20年ほどにわたり続いており、その結果、モンゴルはミネラルの輸出を急増させ、経済発展が加速している。モンゴルは鉱山技術以外にも欧米諸国の知識を利用している。モンゴルはノルウェイの真似をして、開発危機を設立し、ミネラル輸出で得られる利益を国民に還元している。またペルー人の高名な経済学者であるヘルナンド・デ・ソトをモンゴル政府が招聘している。デ・ソトは所有権と小規模開発の専門家であるが、彼の指導のもと、国内の整備を行おうとしている。モンゴルは新しいシルクロードの重要な部分を構成している。

 中国もロシアも今や中央アジアを自国の裏庭だと見なしてはいない。その反対で、中国とロシア両国は欧米諸国が現在中央アジアで十分な役割を果たしていないと不満を持っている。欧米諸国は19世紀から中央アジアで様々な活動を行ってきたのに、現在、その動きが低調だというのだ。しかし、そんなことはない。シェブロンと中央アジア諸国に派遣されていたアメリカの大使たちはリーダーシップを発揮して、バクー・ティビリシ・ジェイハン・パイプラインを建設した。その当時、ソビエト連邦は崩壊し、コーカサス地方は不安定な状況にあった。

 中央アジア地域に展開している欧米諸国の軍隊は、中国が融資をしたいと望んでいる天然資源開発プロジェクトや社会資本整備計画を防衛することに集中すべきだ。特にアフガニスタンに駐留しているNATO軍や中央アジア諸国と協定を結んでいるアメリカ軍はそのようにすべきだ。アフガニスタンにあるアイナク銅鉱山はすでに欧米の軍隊が守備している。アフガニスタンでは前述したとおり、リチウム鉱脈が発見された。中国は携帯電話と電気自動車の電池を製造するためにリチウムを求めている。それならば、NATO軍はこの鉱脈の守備も行うべきだ。

 中国は中央アジア地域を貫く道路やパイプラインなどの社会資本の建設を積極的に進めている。ペルシア湾岸地域の自由貿易港であるドバイは、繊維製品など中央アジアの製品をヨーロッパやアメリカに輸出する港として生き残ることができる。欧米諸国が中央アジアからの製品にかける関税を引き下げたら、中央アジアの経済は多様化し、天然資源の輸出だけに頼るようなことはなくなり、資源の呪いを避けることができる。そうなると、中央アジア各国で非エネルギー部門における雇用も増加する。その結果、海に面していない中央アジアで最も必要な2つのことが実現する。それは安定と相互のつながりの深化である。

 グレートゲームの遺産とも言うべきものに、この地域での「戦略的三角形」をどのように形作るかという考えがある。アメリカ―中国―インド、アメリカ・インド・アフガニスタン、アメリカ・中国・イランなどの可能性が考えられる。しかし、こうした対立を前提にした考えは中央アジアにとって何の利益ももたらさないどころか、害悪となる。中央アジアが栄えた時代、この地域は全ての方向に開かれていたのだ。長年にわたり、カイバル峠は侵略者と犯罪者にとって中央アジアへの玄関口となってきた。現在、カイバル峠はアフガニスタンに駐留するアメリカ軍の補給路となっている。カイバル峠を通っているのはアメリカ軍に雇われたマフィアたちである。しかし、できるならば、カイバル峠は色とりどりの民間トラックがホーンを鳴らしながら通って欲しいものである。

 中央アジアの経済発展と安定は、中国の投資と中東地域の富によってもたらされる。シルクロードは歴史上常に、相互利益のための双方向の通路として機能してきた。デュランドラインと呼ばれるパキスタン・アフガニスタン間の国境線は半世紀にわたり何の利益ももたらさなかった。石油を運ぶ新しいシルクロードは中央アジアに将来、多大な利益をもたらすだろう。

パラグ・カンナ:ニューアメリカ財団上級研究員。著書に『三つの帝国の時代』(講談社刊)がある。

ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方

カンナ,P. / 講談社


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by Hfurumura | 2012-05-09 14:53 | 宣伝

訳書をご紹介します②

バーナード・マドフ事件 アメリカ巨大金融詐欺の全容

アダム・レボー / 成甲書房



古村治彦です。

今回は、『バーナード・マドフ事件 アメリカ巨大金融詐欺の全容』をご紹介します。この本は、全米史上最大の被害額650億ドル(約6兆円)を出したねずみ講事件の物語です。バーナード・マドフという金融詐欺師がどうしてこのような事件を起こすことになったのかが克明に描かれています。

日本でもAIJ事件で約2000億円の年金資金が失われました。このAIJを日本版マドフ事件と呼ぶ向きもあるようです。どうして人はお金のことで騙されるのか、この本の中にヒントや答えがあると訳者である私には考えます。

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「0081」 翻訳&宣伝 『バーナード・マドフ事件 アメリカ巨大金融詐欺の全容』(アダム・レボー著、副島隆彦=監訳・解説、古村治彦=翻訳、成甲書房)発売記念。レボーが書いた記事の翻訳をご紹介します。 古村治彦(ふるむらはるひこ)訳 2010年4月15日

 ウェブサイト「副島隆彦の論文教室」管理人の古村治彦です。本日は、2010年4月17日に発売となります、『バーナード・マドフ事件 アメリカ巨大金融詐欺の全容』発刊記念としまして、著者アダム・レボーが2009年に本書に関連して書いた記事を翻訳し、掲載します。

 今回ご紹介するレボーが書いた記事では、マドフの起こした金融詐欺事件について、著書でも書いていますが、ユダヤ人の歴史やユダヤ社会の持つ特徴の面から論じています。今回の事件で、ユダヤという視点から事件を論じ、本にまでしたのはレボーくらいです。

 バーナード・マドフが起こした事件は単なる金融詐欺ではありません。そこには色々な要素が絡んでいます。是非、お読みください。

 それでは拙訳をお読みください。

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マドフはどうしてネズミ講事件を起こしたのか?それは復讐のためである(What made Madoff do it? Revenge)
アダム・レボー(Adam LeBor)筆
ザ・ジューイッシュ・クロニクル(ロンドンを拠点とするユダヤ系新聞)
2009年8月20日付

 人々はバーナード・マドフのことを「バーナードおじさん(Uncle Bernie)」とか「ユダヤ系米国債(The Jewish T-Bill)」と呼んでいた。マドフへの投資は、最も安全な投資だと考えられていた。マドフは美しい白髪で、ロンドンのサヴィル・ロウの店で仕立てたスーツを着て、上品な身のこなしをしていた。彼は、親しみやすさ、安定、正直さを体中から発していた。彼はウォール街の有名人だった。彼は株式取引で大成功を収め、また投資ビジネスでも有名になっていた。マドフは、ユダヤ系社会で行われる慈善事業には常に絡んでいたし、大富豪たちの良き相談相手だった。彼は、マンハッタンのアッパーイーストサイド、美しいパームビーチカントリークラブ、そしてフランスのプロヴァンスを自分の庭のようにして活動していた。

 そんな素晴らしい生活もマドフが「一つの大きな嘘」を告白したことで終焉を迎えた。マドフは、華麗な外見の裏側で、ユダヤ系社会の裏側で連綿と続いてきた、「犯罪の歴史」を受け継いでいたのだ。ユダヤ系社会の犯罪の歴史が始まったのは、マンハッタンのローワーイーストサイドであった。マドフは現代に甦った、アーノルド・ロスステインであり、マイヤー・ランスキーだった。

 ロスステインとランスキーは、バットと銃を使った暴力で犯罪帝国ともいうべき、巨大な縄張りを築いた。マドフはコンピューターを使い、史上最高額の被害を出した詐欺を行った。自分たちのことを経験と知識が豊富だと考えていた投資家たちに、毎月、マドフが行ったという株式取引(実際には行われなかった)の詳細な結果が送られてきた。報告書に書かれていた数字はウソだらけだったが、報告書の内容を精査し、疑問を呈する人は一人もいなかった。

 マドフの詐欺事件の被害額は、650億ドル(約6兆円)となっている。マドフの詐欺は、21世紀型の詐欺であると言えるだろう。マドフの詐欺は、強欲さ(greed)が高じた騙されやすさ(gullibility)と、投資に参加する素人の数が増えたことによって起きた。しかし、この事件の根本にあるのは、ユダヤ系移民の2つの波とそれによって形成されたユダヤ系アメリカ人の分裂した心理があるのだ。

 バーナード・マドフの祖父母たちは、約100年前に東欧からアメリカにやって来た。200万人以上のユダヤ人がアメリカに大挙して移民してきた。その波の中にマドフの祖父母たちがいた。彼らは、戦争、ユダヤ人虐殺(ポグロム、pogroms)から逃れ、黄金の国(the Goldene Medinah)アメリカでの新しい生活を夢見てやって来た。東欧からやって来たユダヤ移民たちは、自分たちよりも早くアメリカに渡り、成功を収めたユダヤ人たちから歓迎されるものと期待していたが、その期待は裏切られた。ドイツからアメリカに渡った初期のユダヤ人(イェッケ)たちは、ニューヨークを国際金融センターに育てた。リーマン家、ウォーバーグ家、シフ家など錚々たる名家となった。彼らは、東欧から押し寄せてくるユダヤ移民たちに恐怖を覚えた。イェッケたちは、東欧からのユダヤ移民によって、反ユダヤ主義(antisemitism)が助長されることを恐れた。東欧からのユダヤ移民たちは訛りの強い英語で、下品なことばかり話していた。彼らはいつも騒がしく、マナーもなっていなかった。彼らは、東欧の寒村シュテッテル(shtetls)からやってきていた。シュテッテルには水道も電気もなかった。

 新しくやって来た東欧からのユダヤ移民たちの多くは、ローワーイーストサイドに住み着いた。ローワーイーストサイドで、マドフの祖父母は、シュヴァッツ(shvitz)と呼ばれるトルコ式浴場を経営していた。ローワーイーストサイドは東欧の寒村シュテトルがマンハッタンの裏路地に移植されたような場所であった。薄汚いスラム、低賃金の工場、もぐりの酒場、売春宿などがひしめいていた。ローワーイーストサイドを牛耳っていたのはシェターカー(shtarkers)と呼ばれた、ならず者たちだった。彼らは独立独歩の精神に富んでいた。全てのシェターカーが犯罪者ではなかったが、犯罪者のすべてはシェターカーだった。ローワーイーストサイドの狭い路地やスラムから、ユダヤ系のギャングが生まれた。そんな場所でバーナード・マドフは成長したのだ。彼は子供時代をローワーイーストサイドで過ごした。祖父母が経営しているシュヴァッツに良く遊びに行っていた。マドフはギャングたちの慣習や価値観を吸収していった。

 マドフは、「親近感を利用した詐欺(affinity fraud)」と呼ばれる方法で、ユダヤ系社会のリーダーたちを意図的に騙した。親近感を利用した詐欺の場合、ターゲットには、宗教、人種グループが標的となる。あるメンバーがグループ内のメンバー間の信頼感を利用して他のメンバーを騙すのである。マドフは、ユダヤ系コミュニティのネットワーク、例えば、慈善団体、学校、大学、シナゴーグ、カントリークラブのつながりを利用して金を奪ったのである。

 彼の詐欺は、ユダヤ教現代正統派(modern Orthodox)に属する五番街シナゴーグ(ニューヨーク)から始まったと言える。ここにはアメリカで最も金持ちや権力者が集まる。シナゴーグから、イェシヴァ大学(Yeshiva University)につながった。マドフは、イェシヴァ大学のビジネススクールの理事長になった。また、マドフは、ラマズ・デイ・スクールやその他いくつもの慈善団体とつながりを持つようになった。

 マドフは、ホロコーストの生き残りでノーベル賞受賞者のエリ・ヴィーゼル(Elie Wiesel)さえも騙した。ヴィーゼルは彼自身の資産と、運営する慈善団体の資産のほとんどをマドフに投資して失ってしまった。バーナード・マドフの祖父母が移民船から上陸し、イェッケたちから差別されてから1世紀が経った。1世紀が経っても、マドフはシェターカーであり、イェッケたちに復讐(revenge)をしようとしたのだ。これはもう聖書に出てくる歴史物語のようなものなのだ。

(終わり)

バーナード・マドフ事件 アメリカ巨大金融詐欺の全容

アダム・レボー / 成甲書房


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by Hfurumura | 2012-05-07 20:27 | 宣伝

訳書をご紹介します①

メルトダウン 金融溶解

トーマス・ウッズ / 成甲書房



古村治彦です。

今週末に、私の初の単著である『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』(PHP研究所)が発売になります。今週は、私がこれまでに翻訳をいたしました本を皆様にご紹介します。訳書も併せて手に取っていただければ幸いです。

今日は、私が初めて訳出しました『メルトダウン 金融溶解』(トーマス・ウッズ著、副島隆彦監訳、解説、古村治彦訳、ロン・ポール序文、成甲書房、2009年)をご紹介いたします。

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「宣伝0001」 宣伝文 『メルトダウン 金融溶解』(トーマス・ウッズ著、副島隆彦監訳、解説、古村治彦訳、ロン・ポール序文、成甲書房)発売決定! 古村治彦(ふるむらはるひこ)筆 2009年7月25日 ※2009年7月29日に加筆しました

 ウェブサイト「副島隆彦の論文教室」管理人の古村治彦(ふるむらはるひこ)です。今回は論文ではなく、宣伝を掲載いたします。読者の皆様には、ご寛恕くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

 今回、宣伝をいたしますのは、副島隆彦(そえじまたかひこ)先生が監訳と解説をなさいました、最新刊『メルトダウン 金融溶解』です。私、古村が翻訳をいたしました。今回の本は、アメリカにおいてベストセラーとなりました、Thomas E. Woods Jr. Meltdown: A Free-Market Look at Why the Stock Market Collapsed, the Economy Tanked, and Government Bailouts Will Make Things Worse(Washington D.C., Regency Publishing, Inc. 2009)を翻訳したものです。著者であるトーマス・ウッズの本の初めての邦語訳です。

 今回の翻訳プロジェクトは、4月初旬にスタートしました。まず、古村が約1カ月の期間をかけて、原文180ページ(脚注を含む)を翻訳しました。その後、副島隆彦先生が、内容と翻訳を精査されました。また、副島先生が、前書き(「はじめに」)と後書き(「訳者解説」)を書かれました。後書きには私も文案を提出し、その中からいくつかの部分を認めて採用していただきました。この作業が6月末ごろまで続きました。そして、このたび、完成し、出版の運びとなりました。

 『メルトダウン』の大事な部分は、「昨年から世界中を苦しめている金融危機を引き起こしたのは、連邦準備制度(Federal Reserve System)である。中央銀行制度がある限り、これからもバブルが発生し、人々を苦しめる」という主張です。連邦準備制度の行った、低金利政策と通貨供給量の増大政策によって、ドル紙幣がじゃぶじゃぶと刷り散らかされました。その結果、市場にお金が溢れかえり、バブル経済となり、投機が促進されました。

 サブプライムローンなど、冷静に考えれば破たんすることは目に見えていました。そのサブプライムローンを組み込んだ金融商品(MBS)や、企業の貸倒引当金を担保とした金融商品(CDS)など、リスクを無視した投機的な商品が世界中に販売されました。それらは大きな利益を上げていました。しかし、バブルが崩壊し、それらが大きな負債となってしまいました。現在、多くの人々が経済不況に苦しみ、金融危機の出口は見えない状況です。

 『メルトダウン 金融溶解』で、著者のトーマス・ウッズは、今回の国際金融危機について、オーストリア学派の景気循環理論を使いながら、分かりやすく説明しています。バブル発生のメカニズム、オーストリア学派の理論など、幅広い知識を得ることができます。

 また、アメリカで若者の圧倒的支持を受けている、リバータリアン政治家、ロン・ポールが序文を寄せています。日本でロン・ポールの文章が活字となったのは初めてのことだと思います。この点も、『メルトダウン 金融溶解』の持つ素晴らしい点だと思います。

 『メルトダウン 金融溶解』をぜひ、手にとってお読みくださるように、よろしくお願い申し上げます。

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『メルトダウン 金融溶解』目次

[はじめに] なぜ、金融はメルトダウンした(溶けて流れた)のか 副島隆彦

[本書を押す] 残念ながら経済危機はまだ続いている ロン・ポール

[第一章] 重要なのに無視され続けた問題

      金融恐慌の根本原因を探る
      より大きな救済策、より厳しい規制、より大きな政府
      「支出によって経済を回復する」という迷信
      アメリカ経済を破壊するのは連邦準備制度だ

[第二章] 連邦政府はいかにして住宅バブルを生み出したか

      金融恐慌の真犯人を見つけた
      二〇〇六年、すでに大変な状況が到来していた
      恐慌の犯人その1=ファニーメイとフレディマック
      恐慌の犯人その2=地域再投資法と貸付時の積極的差別是正措置
      恐慌の犯人その3=政府の誘導による投機
      恐慌の犯人その4=住宅取得優遇税制
      恐慌の犯人その5=連邦準備制度と意図的な低金利
      「より広範な規制」が最善策なのだろうか
      恐慌の犯人その6=「大きすぎて潰せない」という迷信
      果たしてどんな未来が待ち受けているのか

[第三章] ウォール街への大規模救済策

      ポールソン財務長官とバーナンキFRB議長の大罪
      救済策はこうして開始された
      「大きすぎて潰せない」とは「生かしておくには大きすぎる」
      「不良債権救済プログラム」は政府による金融資産の強制収容
      「空売りは反愛国的行為だ」と叫ぶ政府の意図
      モラル・ハザードを助長する救済策
      問題は「規制緩和」でも「規制強化」でもない
      金融恐慌下でも資金調達は機能していた
      「とりあえず何かやれ!」の大合唱
      銀行の国有化でチャベス大統領よりも左傾化するアメリカ
      国民からの略奪物、それが救済策の適用
      国債や借入金の支払期限が来た時に何かが起きる

[第四章] 政府が原因となるバブル景気とその崩壊のサイクル

      真に理解すべきは「景気循環=ビジネス・サイクル」
      経営者たちに襲いかかる「過ちの束」
      「金利とは、お金につく値段である」
      連邦準備制度が介入してもたらされる「実体なき経済」
      「好景気は永遠に続く」というケインズの幻想
      「景気循環理論」を改めておさらいする
      持ちこたえれば持ちこたえるほど、傷は大きく深くなる
      公共事業による景気刺激という愚行
      ITバブルの崩壊は何よりの実例である
      「二〇年不況」を生んだ日本のバブル崩壊を考える
      オーストリア学派の景気循環理論が意味するもの

[第五章] 大恐慌についての神話

      大恐慌を長引かせたのはニューディール政策だった
      連邦準備制度創設以前のバブル景気とバブル崩壊
      忘れ去られてしまった一九二〇年の恐慌
      大恐慌の襲来を予測したオーストリア学派
      フーバーは自由放任主義者ではなかった―それこそが問題だった
      ルーズベルトはこうして大恐慌を長引かせた
      「戦争が好景気をもたらす」という陳腐な神話
      「大恐慌」と「日本の二〇年不況」を教訓とする

[第六章] 通貨という正体不明の生き物について

      通貨にまつわる神話を覆す
      通貨はどのように生まれるのか
      ただの紙切れが紙幣となるカラクリ
      なぜ金と銀が通貨となるのか
      そして連邦準備制度が誕生した
      インフレーションとは何か?なぜインフレーションは悪なのか?
      物価が上昇する本当の原因とは
      デフレーションは「結果」であって「原因ではない」
      人工的に通貨を作り出すことの問題点
      金の使用に反対する主張、その間違いの数々
      ・金と銀は柔軟性が十分ではない。もっと柔軟性に富んだ通貨が必要だ
      ・貴金属は大きくてかさばり、使いにくい
      ・金本位制はコストがかかり過ぎる。紙幣は製造するのにコストがかからない
      ・現代経済の取引すべてをまかなうには金と銀の量が足りない
      ・金の供給量の増加は、経済活動の活発化についていけない

[第七章] 今なすべきことは何か?

      「アメリカを愛するなら消費せよ」という戯言
      「GDP=国内総生産」は虚妄のデータである
      ケインズがまるで誤解していた「セーの法則」
      生産的支出と消費的支出、これだけの相違点
      私たちが緊急になすべきことを列記する
      ・大企業や銀行を倒産させる
      ・ファニーメイとフレディマックを廃止する
      ・救済策を止め、政府支出を削減する
      ・政府による通貨の操作を止める
      ・連邦準備制度についてきちんと議論する
      ・特別な貸出し窓口を閉鎖する
      ・通貨の独占を止める
      オーストリア学派は私たちに警告してくれていたのに

[あとがき] さらに読み進めたい読者のために

[脚注一覧]

[訳者解説] 副島隆彦/古村治彦

メルトダウン 金融溶解

トーマス・ウッズ / 成甲書房


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by Hfurumura | 2012-05-06 17:39 | 宣伝

『アメリカ政治の秘密』の見本本をいただきました

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



古村治彦です。

2012年5月2日に、PHP研究所に伺い、『アメリカ政治の秘密』の見本本をいただきました。見本本とは、私の理解では、本が全部刷り上がる少し前に、20冊ほど本として刷り上がったものです。

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いよいよ来週、全国の書店に向けて、本が発送されるそうです。発送はトラックで行われるそうで、東京から距離が離れている場所だと到着が数日、遅れるということです。ですから、発売も遅れるそうです。私は鹿児島で育ちましたが、ジャンプやサンデーのような少年漫画誌や週刊文春や週刊新潮などの週刊誌などは東京から少し遅れて発売されていたことを思い出します。

この本の初めての読者であり、製作者でもある編集者の方も「面白いよ」と言ってくださいました。この言葉を多くの方々に言っていただける自信もありますが、同時に不安もあります。

発売が迫りましたら、またお知らせをいたします。最近、このブログが宣伝ばかりになって申し訳ないのですが、現在、ある本の翻訳に取り掛かっております。そのため、なかなか時間が取れないのですが、現在の政治状況について言いたいことはあります。ひと段落したら、ブログで文章を書いていきたいと思います。

宜しくお願い申し上げます。

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2012-05-04 16:51 | 宣伝