翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
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自民党総裁選挙の結果について

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



2012年9月26日、野党第一党の自由民主党の総裁選挙が行われました。結果は、安倍晋三元首相が決選投票で、石破茂元防衛相を破り、新総裁に選出されました。投票結果は以下の通りです。私は石破氏の当選を予測しましたが、見事に外してしまいました。何ともお恥ずかしい限りです。しかし、ツイッターでも書いたように、「一位・二位連携」が図られるようです。

==========

●第一回目投票(過半数:249)

・石破茂候補(地方票:165、国会議員票:34);199
・安倍晋三候補(地方票:87、国会議員票:54);141
・石原伸晃候補(地方票:38、国会議員票:58);96
・町村信孝候補(地方票:7、国会議員票:27);34
・林芳正候補(地方票:3、国会議員票:24);27

●決選投票

・安倍晋三候補;108
・石破茂候補;89

==========

第一回目の投票では、地方票で圧倒的な得票をした石破茂氏が一位となり、それに安倍晋三候補が続くという形になりました。しかし、石破氏が過半数を獲得するに至らず、自民党所属国会議員のみによる決選投票が行われ、安倍氏が過半数を獲得し、新総裁に選出されました。

第一回目の投票結果を見ると、ほぼ事前の報道通りの結果でしたが、一点だけ違うのは、石原氏が国会議員票で58票を獲得し、国会議員票ではトップになったことです。事前の報道では、国会議員票について、「安倍氏が約50票、石原氏が40票程度、石破氏が約30票」ということになっていました。安倍氏と石破氏に関しては、事前報道通りでした。しかし、石原氏が60票近くを獲得したことは驚きです。これは、石原氏を支持したベテラン、長老議員たちが最後の力を見せつけたということになるでしょう。しかし、ろうそくは消える前に輝くと言われているように、これが最後の抵抗ということになると思います。

自民党という政党は、派閥のダイナミクスで動くことを今回もはっきり示しました。石破氏は、自民党離党、新進党参加、自民党復党という動きをし、復党後は、派閥に参加せずに、派閥政治を批判してきました。この結果、石破氏をまとまって支援する派閥はついに出てきませんでした。

小泉純一郎元首相が登場して、自民党の派閥は衰退したと言われてきました。しかし、現在でもやはり大きな力を持っているようです。そして、やはり自民党は、国会議員が中心の頭でっかちの形をした政党であり、国会議員たちの派閥の合従連衡で、党内政治は決まっていくということになっていきそうです。そこで重要なのは、スムーズに世代交代をしているかどうかであり、それに失敗した旧竹下派の流れをくむ額賀派はそれに完全に乗り遅れてしまったようです。また、町村派もどうなるかは先行きが不透明です。

今回、小泉進次郎氏の動向も注目されましたが、目立つ動きは自分から気を付けて行わないようにしていました。これは、自民党内の普通の政治家たちは、閥務、党務、政務で汗をかきながら、雑巾がけをしながら出世していくのに、自分は最初から梯子を登ることができる、それに対しての嫉妬や恨みを買わないようにしようというもので、石破氏が逆転されたことで、その思いを強くしたことでしょう。小泉氏には永田町に精通した飯島勲氏がついているでしょうから、そういう点で厳しく仕込んでいる途中なのでしょう。

安倍新総裁の誕生で、戦後初、首相の返り咲きの可能性が高まっています。これは、日本の政治の不安定と動揺を示す一つの現象と言えるでしょう。


(貼り付けはじめ)

●「怨念と混乱の舞台裏 40年ぶりの決選投票」

MSN産経ニュース 2012年9月27日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120927/stt12092701060008-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120927/stt12092701060008-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120927/stt12092701060008-n3.htm

 40年ぶりの決選投票で雌雄を決した自民党総裁選。混戦となったのは5人という候補の多さというよりも、各陣営の誤算に加え、怨念も渦巻き、見通しを狂わせたことが大きい。

 怨念が投票行動にはっきり表れたのは、決選投票だった。石破茂前政調会長の陣営は、地方票で圧倒すれば国会議員もその結果を尊重すると踏んでいた。だが、石破氏は党改革の推進を優先するあまり、派閥の持つ力を軽視した。

 地方票の過半数を超えたにもかかわらず、かつて小泉純一郎元首相が橋本龍太郎元首相を破ったときのような、石破氏への雪崩現象は起きなかった。

 「野党時代に離党し、政権復帰後に復党した」(閣僚経験者)という石破氏の過去の行動をいまだに根に持つベテランは多い。なかでも、石破氏がかつて所属しながら「後ろ足で砂をかけるように派閥を出た」と恨む額賀派(会長・額賀福志郎元財務相)は決選投票できっちり安倍晋三元首相支持で足並みをそろえてみせた。

 総裁選で、最も大きな怨念を抱いて行動したのは、政権奪還を目前に控えながら出馬断念に追い込まれ、悔し涙に暮れた谷垣禎一前総裁らのグループだった。

 谷垣氏に近い議員12人は都内のホテルに集まっては、出馬断念の元凶は執行部の一員でありながら立候補した石原伸晃幹事長にあるとして「石原潰し」を確認していた。

 その動きをいち早くキャッチしたのが安倍氏周辺だった。安倍陣営は地方票では石破氏に及ばず、議員票の獲得も出遅れていた。

 谷垣氏から支持を得られれば票だけでなく、安倍氏は谷垣路線の後継者という“正統”なイメージが得られる。すっかり「謀反人」の印象が定着した石原氏にさらなるダメージを与えることもできるからだ。

 安倍氏はさっそく知己の遠藤利明幹事長代理と数度にわたって接触、谷垣氏らに支援を要請した。

 「万全を期して復(ふく)讐(しゅう)を遂げる」(谷垣氏周辺)ために、慎重に情勢を見極めていた谷垣氏周辺が、安倍氏支持で動きだしたのは26日朝のことだ。

 その2日前から石原陣営が猛烈な勢いで流した「石原陣営が各陣営から票を剥がしている」「石原氏が議員票でトップ」という噂で騒然となり、谷垣氏周辺は危機感を覚えたのだった。

 ただ、予想以上に石破氏が地方票を伸ばしたため、議員投票直前になってひるむ声も出て、安倍氏への支持表明自体は見送られた。このため「安倍氏への支持表明が石原氏落選の決め手になった」と、留飲を下げるつもりだった谷垣氏周辺からは「僕らは恨みを晴らせたんだろうか」とぼやき声も上がった。

 派閥領袖や党重鎮にとっては、誤算続きの総裁選だった。

 古賀派会長の古賀誠元幹事長をはじめ党重鎮らは、石原氏を「意中の候補」としていた。

 「君には閣僚になって頑張ってほしい。石原さんは私のお願いはよくきいてくれるよ」

 投開票前日の25日、党重鎮の一人は旧知の中堅議員を呼び出し、ポストをちらつかせながら石原氏支援を求めた。

 中堅は答えに窮したが、結局、他候補に投票した。

 林芳正政調会長代理の陣営から石原氏の陣営に乗り換えるようにと、古賀氏から指示を受けた若手議員数人も応じずじまいだった。憤慨した一人は安倍陣営に「古賀さんが票の引き剥がしをしている」と通報に走るなど逆効果だった。

 今回の総裁選は派閥の枠組みをテコにコントロールしてきた党重鎮の発言力の低下を白日の下にさらすことにもなった。(佐々木美恵、水内茂幸)

●「党内から「『お友達内閣』アゲインだ」との声 幹事長に石破氏起用に拒否反応も」

MSN産経ニュース 2012年9月27日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120927/stt12092710350012-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120927/stt12092710350012-n2.htm

 自民党の安倍晋三総裁が石破茂前政調会長の幹事長起用を決めたのは、挙党態勢の構築には地方票で大量得票を得た石破氏の存在を無視できないと判断したためだ。「お友達内閣」と批判された首相当時の側近政治からの脱却を印象づける狙いもあるが、「脱派閥」を掲げる石破氏の幹事長ポスト起用には決選投票で安倍氏を支持した各派閥などから不満が上がる可能性もある。

 「きょう5人は戦いを終えた。ラグビーでいえばノーサイドでしょう。これからはそういう垣根はまったく外して人材を開かれた形で活用していきたい」

 26日の就任会見で、安倍氏は役員人事に着手するにあたり、こう強調した。

 しかし、党内からは早くも「当選直後から『お友達』たちがわが世の春のようにテレビに出ている。挙党一致というより敵をつくる連中ばかりだ」、「『お友達内閣』アゲインだ。とても支えられない」との声が出ている。

 石破氏の幹事長起用にはこうした声を打ち消す狙いがあるが、派閥攻撃を繰り返す石破氏については安倍氏を支持した陣営からも「党内を取りまとめる幹事長には不向きだ。総務会長でいいのでは」との拒否反応が出ている。

 外交・安全保障分野などでは共通点も多い両氏だが、路線の違いがネックとなる可能性もある。安倍氏は橋下徹大阪市長が率いる「日本維新の会」について一定の評価をしている。これに対し石破氏は連携が「議論になること自体に違和感がある」と慎重だ。

 5氏乱立となった総裁選では、各派閥内にも亀裂が生じており、修復は容易ではない。

 安倍氏自身、出身派閥の町村派(43人)の制止を振り切る形で出馬し、同派は会長の町村信孝元官房長官との分裂選挙になった。決選投票では「脱派閥」を唱える石破氏への反発から安倍氏にまとまって投票した同派だが、感情的なしこりは残る。

 安倍氏としては、1回目の投票から支援してくれた麻生派(12人)、高村派(7人)に加え、決選投票で一致して支持に回った額賀派(28人)への配慮も必要になる。

 安倍氏の党運営に対する党内の懸念を意識し、谷垣禎一前総裁は総裁選後、党本部の総裁室で、安倍氏に「衆院解散を勝ち取り、そこで勝利するためにも、みんなが気持ちを一つにしていける態勢をつくってもらいたい」と注文をつけた。(赤地真志帆)

(貼り付け終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-09-27 19:49 | 日本政治

野田内閣・民主党の新陣容について

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



野田佳彦総理は、民主党代表選で圧倒的な票数を獲得し、民主党代表に再選されました。そして、内閣改造、執行部の交代を行おうとしています。これは人心一新、より強固な体制で内閣の運営と党の運営、国会対策を行うというためのものです。

下の記事にあるように、大規模とはいかないまでも、中規模で、来たる総選挙に向けた布陣となるようです。選挙の責任者には、安住淳氏、選挙の顔には細野豪志を当てることが決まりました。これで少しでも失点を防ごうということなのでしょう。増税路線継続のために岡田克也氏の横滑り、選挙に影響されない森本敏氏の防衛相留任が決まっているようです。また、前原氏の入閣はどこになるのか分かりませんが、これも目玉の一つとなっているようです。

全国紙各紙がこのことを記事にして報道していますが、そのタイトルは異なります。各紙それぞれ編集方針や考えがあるのですから、違っていて当然なのですが、今回は、各紙の違いに注目したいと思います。

毎日新聞は「衆院選と野党対策」がタイトルになっています。産経新聞は、「岡田財務相」がタイトルの最初に来ています。読売新聞は、「前原氏が入閣」が最初に来ています。これはそれぞれの新聞がどこがポイントなのか、誰が重要なのかを読者に知らせているのです。毎日新聞は、解説的な内容ですから、内閣改造や民主党執行部の意義を強調しています。

産経新聞は、岡田氏の処遇で、安住淳氏が財務相から幹事長代理となるので、岡田氏を財務省にして、税と社会保障の一体改革という名目の増税をきちんと進めて、自民党にバトンタッチをするのだということが言いたいのでしょう。民主党が下野した場合、増税路線に協力した岡田氏が民主党の代表になると、自民党政権になっても増税は続けることができる、と産経新聞は考えているのでしょう。これは産経新聞の裏にいるアメリカの勢力が、きちんと増税路線を確実なものとして進めることを求めているということになるのでしょう。

それに対して、読売新聞は、前原氏の入閣を最初に持ってきています。これは、読売新聞が前原氏に期待している、つまり、前原氏がもう一度民主党代表になるべきだと彼らが考えていることを示しています。これは読売新聞の裏に、ジャパンハンドラーズの一人であるジェラルド・カーティスコロンビア大学教授がいるからだと思われます。また、前原氏はアメリカのネオコン勢力には受けが良いようですから、それもあるでしょう。

民主党は下野に向けて、その衝撃をできるだけ弱め、次のリーダシップの確立に向けて動いているようです。今の自民党よりも指導層の人材は豊富ですから、野党になってもその指導層は残り続けるでしょうから、結構華やかな野党になるのではないかと思います。また、野党慣れしている人材が多いですから、野党として結構存在感を出すのではないかと思います。そのために、岡田氏や前原氏を使って、切り札として細野氏や彼よりも少し年上の若手たちが出てくるようになるのでしょう。そして、これは日本国内の事情だけではなく、アメリカの意向も十分に反映されるものとなるでしょう。

(貼り付けはじめ))

●「<民主党>役員人事 次期衆院選と野党対策の両にらみ」

毎日新聞 9月24日(月)21時47分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120924-00000090-mai-pol

 野田佳彦首相が24日に固めた党役員人事は、次期衆院選対策と、税と社会保障の一体改革をめぐる自民、公明両党との3党合意も含めた野党対策の両にらみの布陣だ。「選挙の顔」になりうる細野豪志環境相を政調会長に据え、安住淳財務相には幹事長代行として政党間協議を期待する。ただ、10月下旬にも開かれる臨時国会では、赤字国債発行に必要な特例公債法案などの見通しは立たず、首相は選挙準備と国会運営の二正面作戦を強いられる。

 首相は24日、党本部で細野氏に「党内、議員はもちろん地方の意見を聞いてしっかりしたものを作ってほしい」と公約作成に全力を挙げるよう指示した。

 細野氏は首相に反発する中堅・若手グループに推され、代表選立候補を検討した。今回の起用は「選挙の顔」としての効用をちらつかせ、選挙基盤が弱く離党予備軍の衆院当選1回生らを引き留める狙いもある。細野氏は当初、閣僚を続投したい意向だったが、輿石東幹事長は23日夜、細野氏に電話で「政調会長という立場から力を発揮できる」と説得した。

 また、安住氏は野党時代も含め、選対委員長を2回経験しており、選挙実務の経験は十分だ。今回の党役員人事で次期衆院選に向けた態勢を整えたとも言える。

 一方で、首相に近い安住氏を起用したのは、強引な国会運営で野党と対立した「輿石氏頼み」の党運営を軌道修正する狙いもうかがえる。自公両党は、早期解散に慎重な輿石氏に警戒感が強い。3党合意で中心的な役割を果たした安住氏には、より与野党協議での役割が期待できる。

 当選4回の山井和則国対副委員長を委員長に抜てきしたのは、首相が党代表選の記者会見で約束した「若手登用」の実現だ。山井氏は安住氏の国対委員長時代にも国対副委員長を務めており、党関係者は「安住氏が全部決める。そのためには適任の人事だ」と語り、国対の実権は安住氏が握るとも指摘した。

 ただ、今回の役員人事が首相の掲げた「チーム力強化」につながるかは不透明だ。離党を検討する衆院当選1回議員は24日、安住氏について「消費税を進めた大臣だ。そのうえ『上から目線』で、ついて行けない若手は多い」と批判した。【光田宗義】

●「岡田財務相で調整 政調会長・細野氏、幹事長代行・安住氏」

MSN産経ニュース 2012.9.25 06:39
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120925/stt12092506420002-n1.htm

 野田佳彦首相は24日、民主党政調会長に細野豪志環境相兼原発事故担当相、幹事長代行に安住淳財務相、国対委員長に山井和則国対副委員長の起用を内定した。

 10月1日にも実施する内閣改造は大幅改造になる公算が大きく、安住氏の後任に岡田克也社会保障・税一体改革担当相を副総理のまま横滑りで調整、細野氏の後任は福山哲郎元官房副長官を軸に検討している。

 首相は米ニューヨークで開かれる国連総会から帰国後の28日に両院議員総会を開き、役員人事を正式決定する。

 首相は役員人事について党本部で記者団に「(社会保障・税一体改革に関し)民主、自民、公明3党で合意したことを着実に進めていく態勢を作った」と強調した。

 細野氏の起用については「マニフェスト(政権公約)を丁寧に作り、政策を発信していく意味で期待を込めてお願いした」と説明。続投する輿石東幹事長については「一蓮托生(いちれんたくしょう)と思っている」と述べた。

 輿石氏は記者団に「衆院議員定数削減、一票の格差是正、特例公債法案は避けて通れない。野党の協力をいただきしっかりやっていく」と語った。

 改造では前原誠司政調会長と樽床伸二幹事長代行、城島光力国対委員長の入閣が有力視されている。6月に入閣した羽田雄一郎国土交通相と郡司彰農林水産相は再任が有力だ。玄葉光一郎外相も再任の見通し。国民新党からは自見庄三郎代表が入閣する。




民主党の新役員(敬称略)


 ≪幹事長(再任)≫

 輿石(こしいし)東(あずま) 76

 党幹事長・党参院議員会長・県教組委員長・都留短大・山梨・参3衆2  

 ≪幹事長代行≫

 安住(あずみ)淳(じゅん) 50

 財務相・党国対委員長・防衛副大臣・NHK記者・早大・宮城5区・衆5  

 ≪政調会長≫

 細野(ほその)豪志(ごうし) 41

 環境相・原発事故担当相・首相補佐官・党幹事長代理・京大・静岡5区・衆4 

 ≪国対委員長≫

 山井(やまのい)和則(かずのり) 50

 党国対副委員長・厚労政務官・松下政経塾生・京大院・京都6区・衆4 

●「前原氏入閣で調整…民主党役員人事固まる」

読売新聞 2012年9月25日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120925-OYT1T00224.htm

 野田首相は24日、民主党の主要役員人事を内定したことを受け、内閣改造の調整に入った。

 前原誠司政調会長(50)を重要閣僚に起用するとともに、樽床伸二幹事長代行(53)、城島光力国会対策委員長(65)を初入閣させる方向で調整しており、中規模以上の内閣改造となる見通しだ。

 首相は24日、輿石東幹事長(76)の再任と、政調会長に細野豪志環境相(41)、幹事長代行に安住淳財務相(50)、国対委員長に山井和則国対副委員長(50)の起用を明らかにした。28日の民主党両院議員総会で新役員人事の承認を受け、10月1日に内閣改造を行う。

 内閣改造では、社会保障・税一体改革を担当する岡田克也副総理(59)を閣内に残す方向で、財務相として一体改革に取り組んだ安住氏とともに、自民、公明両党との協議を進める態勢を強化する考えだ。

(2012年9月25日07時32分 読売新聞)

(貼り付け終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-09-26 00:26 | 日本政治

明日行われる自民党総裁選挙について

いよいよ、明日、2012年9月26日に、野党第一党で、次期総選挙で比較第一党となる可能性の高い、自由民主党の総裁選挙が行われます。即日投開票で、明日の午後には新総裁が誕生します。今回の自民党総裁選挙は、近い将来、少なくとも来年の総選挙の選挙の顔選びにとどまらず、総理を決めることにもなるということで、盛り上がっています。

立候補したのは、石破茂氏、石原伸晃氏、安倍晋三氏、町村信孝氏、林芳正氏の5名です。このうち、町村氏は、途中で体調を崩してしまい、立候補辞退はしていませんが、選挙遊説や討論会などへの参加は見合わせている状況です。

現在のところ、石破氏の勝利の可能性が高いと言われています。ただ、一回の投票で過半数を獲得できず、決選投票までいくという可能性が高いようです。決選投票は、一回目の投票で一位だった候補者と二位だった候補者が争うことになります。

一回目の投票で石破氏が第一位になるとして、第二位になるのは誰かという点が重要です。1956年に行われた自民党の総裁選挙では、一回目の投票で一位だった岸信介氏が、二位だった石橋湛山氏に決選投票で逆転されるということがありました。また、最近では、2011年の民主党の代表選挙で、決選投票で二位だった野田佳彦氏が、一位だった海江田万里氏を逆転したことも記憶に新しいところです。

このように決選投票になると、「二位・三位連合」などが組まれた場合、逆転が起こることがあります。今回の自民党総裁選挙では、石原伸晃氏と安倍晋三氏が二位争いを展開しているようです。石原、安倍両氏は何としても二位に入っておかないと、次がないので、必死になっていることでしょう。更に、二位になった場合の、支持取り付けにも躍起になっていることでしょう。

現在のところ、下に記事を貼り付けた両新聞とも安倍氏が二位に入るだろうと予想しています。

決選投票になれば、国会議員票だけの戦いになります。そうなると、石破氏は、下の記事にもあるように、「選挙も近いのだから、一般党員(普通の国民の感覚に近い人々)の感覚を重視せよ」と言うために、地方票で圧倒的に勝っておかねばなりません。しかし、国会議員はそれだけでは動かず、お金やポストも重要になってきます。昔の「ニッカ、サントリー、オールドパー」がまかり通った時代とは異なり、お金が飛び交うことは少なくとも見られないでしょう。しかし、ポストの手形は既に切られていることでしょう。

国会議員票はどう動くでしょうか。石破氏は国会議員票を30票程度、安倍氏は国会議員票を50票程度獲得すると下の記事にあります。199票のうちの80票は既にどちらかに決まっています。ここで残りの119票(もしくは最低で約100票)がどう動くかが重要です。石原氏が40票程度、町村氏が29票、林氏が22票ですから、行方が分からない票が10から20票程度あることになります。

ここで重要なのは、アメリカは誰を首相にしたいと考えているかです。日本国内や自民党内の状況も重要なのですが、アメリカの意向、これが大きな要素となります。更に、中国は誰ならまだ許容できるのかという点も重要です。そうなると、石破氏だと思われます。二位になる可能性が低い(大変失礼な言い方をして申し訳ありません)、町村氏と林氏は除外します。そして、石破氏、安倍氏、石原氏の三人について考えてみます。安倍氏は総理大臣経験者でありますが、健康問題もあり、最後は倒れるようにして辞任しました。この複雑で、常に緊張を強いられる状況に耐えられるかどうか不安です。また、アメリカにしてみれば、意外にアジアに対して友好的で、日中関係を少し改善させた点は現在の状況ではあまり評価されないかもしれません。更に、カルトオブヤスクニ問題、太平洋戦争の評価問題は、アメリカにしてみれば受け入れがたいものです。また、
土壇場になると、日和見になってしまうのも、アメリカには許容しづらいものがあります。

石原氏は、「ウルトラ・ナショナリスト」石原慎太郎の子息である点は現在の状況下では評価されるでしょう。また、自分の秘書だった、民主党の長島昭久衆議院議員兼野田総理補佐官を通じて、アメリカともつながっているでしょうから、アメリカから評価がなされているでしょう。しかし、これは安倍氏との比較ではそうなのですが、石破氏との比較では、恐らく石破氏の方が評価が高いでしょう。

アメリカは、日本の政治状況を消費税増税という財政問題から、尖閣諸島などの領土問題という安全保障問題へとシフト、チェンジ・オブ・ペースを図っていると考えられます。この安全保障がメインの政治状況では、石破氏がアメリカにとって最も都合が良い人物だと思われます。また、中国にとっては、安倍氏も石原氏も、家族関係の点から(祖父や父親)、受け入れにくいのに対し、石破氏はまだましだということになります。

石破氏は、国防、軍事、憲法についての研究と知識に関しては人後に落ちないと自負しています。これは、頼もしいと思われがちですが、知識があると自信を持つ人ほど騙されやすいのです。「専門バカ」という言い方もされマウ。ある論理を示されてしまうと、なまじ知識があるために、それに捉われて、論理が通っていれば、それで受け入れてしまうのです。直観とは全く逆なので、安心感があるように思われますが、アメリカやその手先となっている官僚たちが示す論理にそのまま乗ってしまう危険があるのです。

ここで一番怖いのは、アメリカと中国の「ガチンコではなくやらせ」の対立のために、かませ犬となっている日本という状況で、石破氏が、自衛隊を使って、中国と軍事衝突を始めてしまうということです。アメリカは軍事衝突を望んでいないのですが、アメリカの政権内部も一枚岩ではありません。日中の軍事衝突で利益を得る人々がいます。彼らの示唆を受けて、彼らの示す論理に納得して、石破氏が軍事行動にゴーを出す可能性は否定できません。

すこし書きすぎましたが、恐らく明日の自民党代表選挙では、石破茂氏が新総裁に選出されるでしょう。しばらくは、あの陰鬱な話しぶりに付き合わねばならなくなります。それだけで既に気分が重くなっています。明日から多くの国民も気分が重くなっていくでしょう。

(貼り付けはじめ)

●「26日投票、熾烈な2位争い 必死の石原氏」

MSN産経ニュース 2012.9.25 01:20 (1/2ページ)[自民党]
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120925/stt12092501220000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120925/stt12092501220000-n2.htm


 自民党総裁選は24日、北海道で街頭演説が行われ、26日の投開票に向けて各候補はラストスパートに入った。地方票で優位に立つ
石破茂前政調会長(55)が1回目の投票で首位となるのは確実な情勢に変化はない。激しさを増す2位争いでは安倍晋三元首相(58)
が一歩リードし、石原伸晃幹事長(55)が追う展開だ。決選投票をにらみ連携を模索する動きも表面化してきた。

 「北海道の農業は競争力がある。しかし、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)はダメだ!」

 札幌市での街頭演説で石原氏は、農業の盛んな北海道を意識してこう訴えた。

 4候補とも体調不良のために入院し、地元・北海道での街頭演説を欠席した町村信孝元官房長官(67)の早期回復を願う言葉を忘れ
なかったが、特に踏み込んだのが石原氏。「我らが兄貴分である町村氏が議論に深みを与えてくれた。最終日に元気な姿を示すことを心
から祈念する」と最大級の賛辞を贈った。「町村票」を取り込みたいとの思惑もちらつく。

 2位争いで後れを取る石原陣営は巻き返しに必死だ。加藤紘一元幹事長らベテランに支持を呼び掛ける“個別攻撃”を展開している。
ある重鎮は電話で「特例公債法案に協力的な石破氏が総裁になれば解散が遅れる」と、石破陣営の議員の切り崩しも始めた。

 1回目の投票で1位が予想されている石破陣営も決して楽観視できない状況にある。石破陣営は地方票では優勢でも、無派閥の中堅・
若手が中心で議員相手の「多数派工作は不得手」(陣営若手)。決選投票になれば、2位以下の候補による連携で、逆転される可能性が
あるのだ。

 実際、町村陣営は24日夜の会合で、決選投票に同じ町村派所属の安倍氏が残った場合には、町村氏や陣営内からの要職起用などを
条件に安倍氏支援に回る方向で調整に入った。町村陣営が決選投票で安倍氏にかじを切ると打ち出せば他陣営がなびく可能性も高い。

 石破陣営幹部は「地方票で大差をつけ『民意に背いていいのか』という心理を働かせたい」と述べ、地方票で大差を付けることに期待
を寄せている。

 石破陣営幹部の鴨下一郎元環境相が24日夜、安倍陣営幹部の甘利明元経済産業相と会談するなど、情勢認識について、互いの腹の
探り合いも活発化している。(小島優)

●「石破氏、地方票4割超 決選投票では苦戦? 逆転の可能性も残る」
MSN産経ニュース 2012.9.23 23:40 [自民党]
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120923/stt12092323420011-n1.htm

 26日投開票の自民党総裁選で、産経新聞社は党所属国会議員や都道府県連幹部らへの取材をもとに、終盤情勢を探った。石破茂前政
調会長(55)が地方票(300票)の4割超を獲得する勢いで、国会議員票(199票)とあわせた第1回目の投票で首位に立つのは
確実な情勢だ。これに安倍晋三元首相(58)が迫り、石原伸晃幹事長(55)が追う構図だ。

 ただ、いずれの候補も1回目の投票で過半数を獲得できず、1、2位候補による決選投票に持ち込まれるのは避けられない見通し。
国会議員票のみで決まる決選投票では石破氏の苦戦が予想され、逆転の可能性が十分に残されている。

 国会議員票は、安倍氏が約50人の支持を固めて一歩リード。石原氏が約40人を固めて上積みを狙い、約30人の支持を得ている
石破氏が追っている。

 体調不良で検査入院した町村信孝元官房長官(67)は選挙続行を表明し、町村派の国会議員ら約30人を固めたが、支持の拡大は
極めて困難な情勢。林芳正政調会長代理(51)は古賀派など20人を超す支持を集めている。

 党員・党友による事前投票をもとに配分される地方票の動向を見ると、高知、茨城両県議団からの推薦・支持を得た石破氏が18県で
優位に選挙戦を展開している。安倍氏は地元・山口のほか神奈川、福岡などで支持を拡大し、地方票の約3割を固めたとみられる。石原
氏は静岡、和歌山などで職域組織をテコに約2割を獲得する見通しだ。

 ただ、これまでの総裁選に比べ、事前投票の出足が鈍く、残る3日間で情勢が大きく動く可能性もある。

●「安倍・石原氏の2位争いが焦点…自民党総裁選」

読売新聞 2012年9月25日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120925-OYT1T00304.htm

 5氏が争う自民党総裁選(26日投開票)は、安倍晋三元首相(58)と石原伸晃幹事長(55)による2位争いが焦点となりそうだ。

 先行する石破茂前政調会長(55)も、1回目の投票で過半数を獲得できず、上位2人による決選投票になる公算が大きいためだ。
各陣営は、生き残りをかけた多数派工作に力を入れている。

 読売新聞社が自民党議員に対して行った投票動向調査では、24日現在、安倍氏45票、石原氏40票、石破氏30票、町村信孝
元官房長官(67)29票、林芳正政調会長代理(51)22票の順となった。一方、読売新聞社が14~16日に行った自民党員への
電話調査では、4割弱が石破氏を支持し、安倍、石原氏への支持はそれぞれ2割となった。

 今回の総裁選は国会議員票199票と、全国の党員約79万人を300票に換算した党員票で争われ、党員票の比重が大きい。
このため、調査結果を総合すると、石破氏がリードし、安倍、石原両氏が追う展開になっているとみられる。石破陣営の鴨下一郎
元環境相は24日のBS朝日の番組で「政権交代後、地方で積極的に講演してきた。3年間の努力が徐々に理解されてきた」と手応えを
語った。

 2位争いは、しれつだ。

 安倍氏は当初、首相辞任から間もないことや、同じ派閥から町村氏も出馬していることで「苦戦は避けられない」(安倍氏周辺)と
みられていた。しかし、尖閣諸島をめぐる中国への対応など、安倍氏の得意とする外交・安全保障分野が総裁選の争点となり、歯切れの
良い弁舌が支持を集めている。

 決選投票に進んだ場合、町村氏の支持議員をどこまで取り込めるかなどがカギとなる。

 「町村先生の鋭く的確な発言が、私たちの議論に厚みを増していた」

 安倍氏は24日、北海道函館市での演説会でこう述べ、体調不良で検査入院している町村氏を持ち上げた。安倍陣営幹部は同日夜、
党本部で鴨下氏ら石破陣営の幹部とも会談した。

 一方の石原氏は、出身の山崎派や額賀派の支援を受け、森元首相らベテランにも推す声が多い。ただ、谷垣総裁を総裁選出馬断念に
追い込んだ経緯が党内に悪印象を与えたほか、得意とするテレビ討論も「発言の危うさが目立つ」(若手)と不評を買い、頼みとする
国会議員票で伸び悩んでいる。石原陣営幹部は24日、「党員票が取れれば楽なのだが、きつい」と危機感をあらわにした。

(2012年9月25日10時18分 読売新聞)

(貼り付け終わり)
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by Hfurumura | 2012-09-25 22:15 | 日本政治

ウォルト教授の尖閣諸島論

最新版:中国が尖閣諸島を買い取るというのはどうだろうか?(Why doesn't China just buy the Senkaku islands? (updated))

スティーヴン・ウォルト筆
2012年9月21日
フォーリン・ポリシー誌
http://walt.foreignpolicy.com/posts/2012/09/21/sell_the_senkakus

東シナ海では、注意を向けるべき、そして懸念すべき対立が起きている。その中心には、尖閣諸島(中国名:魚釣島)と呼ばれる無人島の島々がある。尖閣諸島を巡り、当事者たちが争っている。

これまでの歴史的経緯を簡単に書く。日本は尖閣諸島の支配権を、日清戦争後の1895年に獲得した。その後、アメリカが1945年から1970年代初めにかけて支配した。1972年、日本が支配権を回復した。その際、尖閣諸島の所有権は、一般の、ある家族が回復した。現在、尖閣諸島に人は住んでいない。

今年初め、右翼的な東京都知事が、「尖閣諸島を日本の手にとどめておくために、東京都庁が尖閣諸島を買い取るつもりだ」 と発言した。東京都が尖閣諸島を購入していたら、尖閣諸島は、世界史上、最も遠くにある大都市の「近郊」ということになっただろう。この動きを阻止するために、日本政府は、尖閣諸島を所有者から買い取った。この動きは、中国国内での醜悪なデモを引き起こしている。そして、軍事衝突の可能性を高めた。

この問題は、アメリカ政府にとっては、扱いにくい問題である。それは、私たちは、日中間の緊張がエスカレートした場合、同盟国である日本を支援、支持することを期待されるだろうからだ。しかし、この問題に関するアメリカの立場は明確なものではない。また、状況をさらに複雑にしているのは、台湾が中国の主張に同意しているという事実である。台湾もまた、尖閣諸島を自国の領土だと認識している。尖閣諸島の最大の島でもたかただ4平方キロの広さしかなく、もぐら、鳥、羊のすみかとなっているに過ぎない。

こうした状況を踏まえて私は考えてみた。歴史を振り返って見ると、世界各国は自国の利益にかなう場合には、お互いに領土を売却しあっていた。多くの場合、ある国が現金を必要としていた場合、領土を売却していた。アメリカによるルイジアナ購入を思い出してもらいたい。また、アメリカはロシアからアラスカを購入した。日本政府は尖閣諸島の所有者から20億ドル(訳者註:これは20億円の間違いであろう)で尖閣諸島を購入した。中国は、それと同じ金額(もしくは市場で適正だと思われる金額)で尖閣諸島を買い取れば良かったのではないか?中国は購入資金をいくらでも用意できるだろうし、日本政府もさらにお金を積むことができるだろう。しかし、20億ドル(訳者註:20億円の間違いだろう)を更に支払うことは無理だが。どうして尖閣諸島問題をただのビジネス上の問題とする、というこの考えはどうだろう?

このような解決策に立ちはだかる障害は、ナショナリズムである。中国は尖閣諸島を中国の領土だと考えている。従って、中国の領土である島々を手に入れるためにどうして日本にお金を支払わねばならないのか、ということになる。 日本側でも尖閣諸島の売却は、国家としてのプライドを傷つけるものだと考える人々も日本国内にいる。日本国民が誰も住みたいとも思わない、ただの小さな島々であっても、日本側からすれば、売却することはプライドが許さない。

それでも、日本政府が自分たちが支払った金額で尖閣諸島の買い取りを中国側に提案することは賢い動きだと私は考える。このように考えてもらいたい。あなたがお金持ちの隣人と土地の境界線のことで争っていると仮定する。市役所の記録を調べてみても、その境界線がはっきりしないとする。この場合、争っている当事者たちは、お互いに、相手はフェアではないと考える。しかし、もし隣のお金持ちがあなたが満足する条件を提示してきたら、あなたはそれを喜んで受け入れるはずだ。お金持ちは自分が既に所有していると考えている土地を進んで買い取るだろう。それは、そのお金持ちが訴訟は避けたい、もしくはあなたとこれからもずっと争い続ける関係を終わらせたいと願うからだ。そして、ここでお金を払う方が結果的に安くつく。お金持ちにとっては、あなたの主張に対してお金を支払うことが賢い対処法となるのだ。その結果、あなたはお金を手にし、お金持ちを自宅に招いてビールでも飲みながら、問題解決を祝えば良い。

日本政府が売却を提案すべき理由はもう一つある。もし中国が提案を拒否したら、それは、中国政府が日本と戦争をしたいと望んでおり、問題を理性的な方法で解決する意思はないということを示すことになる。これができれば日本の勝利である。なぜなら、日本が紛争における理性的な当事者であると世界各国と見なすことが国益になるからだ。それはなぜか?中国がこれからも勃興し続ける場合、東アジアの外交における重要な要素は、地域内外の様々なプレイヤーたちが、それぞれいろいろな意図を持って外交を行うが、その意図をいかにして把握するかということになる。中国は、アメリカとアジア地域における同盟諸国を、対立と不安定をもたらす要素だと描き出したいと望んでいる。なぜなら、そうすることで、他国が中国と均衡を保つために、アメリカの陣営に参加する可能性を低下させることができるからだ。 一方、中国政府が好戦的で、野心的で、威張り散らしたいという態度だと他国が認識すれば、アメリカにとっては、アジア諸国との同盟関係を維持することが容易となる。また、東アジア、東南アジアの国々が、中国との緊密な経済関係や、相互の争いを乗り越えて、お互いに協力関係を築き上げ、中国に対峙するように説得することもまた容易にできるようになる。日本と中国との間の、尖閣諸島をめぐるいさかいは、日中両国にとっては、自分たちがいかに理性的であるかを示すチャンスである。そして、自分が理性的だと見せることができれば、相手は強情で、強欲だと他国に思わせることができる。

しかし、こうしたことは実際には起こらないだろうと私は確信している。日本は中国側に対して、尖閣諸島の購入を提案することはないだろうし、もし提案することがあっても、中国は購入を拒否するだろう。このような解決法が採れないために、東アジアにおける安全保障上の競争はこれからも激しさを増していくと私は確信している。

最新版:昨日、この問題に詳しいコメンテーターから電話をもらった。その人は、私に、「あなたは今回の衝突における重要な要素の一つを見逃している」と言った。その要素とは、中国は尖閣諸島自体はどうでも良いと思っているということだ。中国は、尖閣諸島に付随する天然資源に関心を持っているのだ。石油、天然ガス、海産物などに関心を持っているのだ、とその人は教えてくれた。そして、尖閣諸島を手に入れることで、「排他的経済水域」を拡大したいのだとも教えてくれた。コメンテーターの指摘は良い点をついている。しかし、その人が述べたことが、衝突を経済的に解決するための障害にはならない。もし尖閣諸島に天然資源が存在し、中国がそれを欲するなら、日本は購入代金の値上げをすればよい。もしくは、天然資源の分を前払い、もしくは将来得られたはずの利益分(例えば50年分など)を上乗せして売却すればよい。言い換えるならば、原理的に言えば、交渉とお金の上乗せをすれば問題を解決できないと考えるだけの理由は存在しない。しかし、これまで述べてきたように、私は、交渉と購入によって問題が解決できるとは考えていない。

(終わり)
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by Hfurumura | 2012-09-25 16:55 | 国際政治

最近の尖閣諸島に関する問題について考えたこと③

■量的緩和のお金で短期間でも景気浮揚、失業率低下を実現したいアメリカ

 アメリカは、今年の11月に大統領選挙を迎える。現在、現職のバラク・オバマ大統領(民主党)が、共和党のミット・ロムニー候補をリードしている。今回の大統領選挙ははっきり言って盛り上がりに欠けている。ロムニーの失言ばかりが取り上げられている。そして、オバマ大統領は、現職の強みを活かして、経済状況を浮揚させようとしている。そうすることで、再選を勝ち取ろうとしている。

 このQE3は、雇用の改善を目指し、住宅ローンを担保にした証券を月400億ドル規模で買い入れる。さらに、2014年の終盤とされていたゼロ金利政策の期限を2015年の半ばまで延長する。FRBは2012年9月13日にこのQE3を決定した。QE3の内容は、「毎月400億ドル分の住宅ローン担保証券を購入し、住宅ローン担保証券購入を通じて金融緩和策を実行する。購入額の上限を決めず、失業率の減少が確認できるまで続ける」というものだ。これは、米大統領選挙で、現職のオバマ大統領が有利になるように、失業率の改善と株価の上昇を狙って行われるものであることが分かる。そのためには、市場に流れるお金は、アメリカの景気浮揚のために使われねばならない。

 前回のQE2のお金のほとんどが中国市場へ流れたということが以下に貼り付けた記事から分かる。これではせっかく、アメリカ政府が刷り上げたお金が無駄になってしまう。そこで、アメリカ政府としては、QE3のお金がアメリカ国内にとどまるようにしなければならない。そのためには、海外に投資するにはリスクがあるという状況を作り、利用する必要がある。それが中東の不安定さであり、日中韓の関係悪化なのである。また、米中はお互いを、不公正な貿易慣習があるとしてWTOに提訴している。これもまた演出のようである。アメリカの意図について、中国側も気づいている。だからある程度までアメリカの意図に乗ってあげよう、しかし、軍事衝突まではエスカレートさせないと考えている。

 しかし、不安定要素もある。それはアメリカも中国も一枚岩ではないことだ。軍事衝突を起こすことで利益を得たいとする強硬派が両国の政権内部にいる。これらをどう抑えて、うまく「芝居」をうつか、ここが米中両国にとって重要になっている。

(貼り付けはじめ)

●「米QE3、中国市場へのホットマネー大量流入につながらない見込み」

2012年 09月 21日 13:44 JST
ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88K04020120921?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88K04020120921?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0

[上海 20日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和第3弾(QE3)は、中国市場への短期運用を軸としたホットマネーの大量流入にはつながらなそうだ。

FRBの前回の量的緩和第2弾(QE2)は、投資家がドルに対する人民元建て資産価値の上昇を見込んだことを背景に、中国市場へのホットマネーの大量流入を引き起こした。

だが、2012年の人民元の為替レートは変動が大きく、人民元建て資産の購入は一方向の賭けにしかすぎなくなる。

同時に、中国や新興市場全般の総体的な信頼感は内外で低迷しており、トレーダーやアナリストは、先週発表されたQE3が人民元ではなくドル建て資産への関心を高める可能性があると指摘する。

中国招商銀行(深セン)のマネーマーケット・アナリスト、Liu Junyu氏は「QE2以降、世界の市況が大幅に変わった」とし、「一方では中国への資本流入が減速しており、もう一方ではQE3が中国での輸入インフレをめぐる懸念を引き起こし、政府が金融緩和のペースを後退させることになる」と述べた。

<資本流入ペースの減速>

中国への資本流入は2011年後半から減速しており、最近では資本流出の兆しさえ顕在化している。外需の縮小が輸出の伸びの重しとなり、海外直接投資(FDI)も減った。

中国人民銀行(中央銀行)のデータによると、中銀と金融機関による外貨取引は8月にネットで174億3000万元(27億6000万ドル)相当の売り越しとなった。このような外貨取引は主にドル供給量のバランス調整の方法として使われるため、ネットでの売り越しは資本流出の兆しを示唆している。

2012年上半期の外貨取引で、ネットの買い越し額は月間平均で504億元と、前年同期の平均3481億元から大幅に減少した。

経常黒字も、2008年の第4・四半期に過去最高の1331億ドルとなって以降、減少の兆しを見せており、今年の第1・四半期に235億ドル、第2・四半期では537億ドルとなっている。

このどのデータも、外貨の波が中国に戻る兆しを示していない。

<QE2とQE3に対する市場反応の違い>

またQE2とQE3に対する市場の反応の違いは、7日物レポ金利の動きにも鮮明に表れている。このレポ金利はQE2の前後では250日の移動平均で1.8%だったが、それ以降現在では、2倍の3.6%となっている。

あるアジア系銀行(上海)のトレーダーは「マネーマーケットの金利はQE3に起因する中国市場への資本流入がないことを反映している」と述べ、QE3による資本流入の急増に備えて中銀が現状の金融政策を維持するか、わずかに引き締める可能性さえあると指摘した。

QE3発表に2カ月先立ち、中銀はさらなる緩和には乗り出さず、インターバンク市場での短期的な資金供給へと姿勢を転換することで、米国の緩和策の可能性に備える兆候を示していた。

景気減速への対応として、中銀は2012年に政策金利と預金準備率(RRR)を2度にわたって引き下げたものの、3度目の緩和には踏み切らなかった。

代わりに、中銀は流動性のひっ迫を回避するために短期のリバースレポに頼る形で、インターバンク市場への介入の頻度を増やした。

インフレ圧力はこれまで断続的な形で抑えられてきたものの、世界的なコモディティ価格は上昇基調にあり、中国での価格上昇圧力が高まることで、中銀のコントロールがより困難になることが予想される

●「中国が米をWTOに提訴、輸出補助金への米相殺関税不服」

2012年 09月 18日 02:31 JST
ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE88G01020120917

[ワシントン/ジュネーブ 17日 ロイター] 中国は17日、同国が輸出補助金を出す製品への相殺関税を認める米国の新しい法律を不服として、世界貿易機関(WTO)に提訴した。

米政府も、中国が自動車業界に不当な支援を行っているとして、WTOに提訴した。両国の動きによって、再選を目指すオバマ大統領の米中関係に対する姿勢や、自動車産業への支持に注目が集まる可能性がある。

関係者によると、中国の提訴によって、これまで米関税の対象となっていた30品目近くが影響を受ける可能性がある。

WTOは声明で、品目には鋼鉄やタイヤ、磁石、化学薬品、台所用品、木製の床などが含まれるとしている。

中国商務省は、米国が補助金に対する相殺関税で中国を狙い撃ちしていると非難した。同省の報道官は声明で「米国が誤った政策を正し、WTOの紛争解決枠組みや協議を通して、中国側の懸念を適切に解消するように望む」とした。

中国の自動車業界をめぐる米国側のWTO提訴方針については、言及しなかった。

(貼り付け終わり)

■米中G2体制の中で、日本は、「かませ犬・かまされ犬」にされる

 米中関係は経済的に密接な関係を築いている。また、キッシンジャーのような変幻自在のリアリストたちは、米中のG2という枠組みで世界を動かしていくべきだと考えている。一方で、ジョージ・W・ブッシュ政権を牛耳ったネオコンや、現在のヒラリー・クリントン国務長官が率いる人道主義的介入派の人々は、中国を敵対視している。こうした状況でG2という枠組みは崩壊したという見方もある。

 しかし、お金の関係で見ていくと、中国はアメリカ国債を大量に購入し、保有している。またドル建て資産も膨大に保有している。このような上客に対して、嫌がらせまではできても、本格的に敵対することは不可能だ。また、中国もアメリカの次の世界覇権国になることは間違いないが、今は、その時期ではなく、力を貯め、経済を発展させることに力を注ぎたいと考えている。従って、アメリカと敵対することはしたくないと考えている。それならば、中国がアメリカの意図を汲んで、ある程度、アメリカの意図を叶えてやるように動く。

 アメリカは、今回の尖閣諸島の問題を使って、オフショア・バランシングの実験、練習をし、中国へQE3のお金が流れないようにしたかったのだろう。それは現在のところ、うまくいっている。しかし、扱いを間違うと、アメリカと中国が避けたい思っている軍事衝突にまで発展することもある。アメリカと中国国内の強硬派が何かを仕掛けてくることは考えられる。しかし、彼らをうまく抑えられれば、対立という「芝居」をうつことができる。「仲良くケンカをする」ということであり、言ってみれば、米中は「ガチンコではなく、やらせをしている」ということになる。

 振り返って見て、日本は悲しい立場である。日本は、アメリカの意図に従って、中国や韓国にけしかけられる、かませ犬のような存在になってしまった。このかませ犬の状態から脱するためには、尖閣諸島に関して、アメリカがどう行動するかをまずはじっと観察することだ。そこから、日本の次の一手が見えてくる。

(終わり)
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by Hfurumura | 2012-09-25 01:21 | 日本政治

最近の尖閣諸島に関する問題について考えたこと②

■アメリカは尖閣諸島の問題にどう対処するか

 日中の緊張が高まる中、日中が軍事的な衝突や戦争にまで突き進むのではないかという懸念(一部には期待)が広がっている。日中が戦えばどちらが勝つか、というような内容の記事も欧米では出ている。日本と中国との間で軍事的な衝突が起こる場合、両国にとって、アメリカの動向が重要になってくる。日本が日米安全保障条約があるので、日本の領土である尖閣諸島が攻撃されたら、アメリカ軍が出動してくれると思っている。一方、中国としては、アメリカ軍の介入を招くようなことは望まない。あくまで日本だけを相手にしたいところだろう。

 日本の中には、「中国が尖閣諸島に攻めてきても、アメリカ軍は出動しない」という主張をする人がいる。孫崎享氏だ。孫崎氏は、元外交官であり、防衛大学の教授だった人だ。孫崎氏は著書『日本の国境問題』(ちくま新書、2011年)の中で、「日米安保条約」があっても、「尖閣諸島が日米安保条約の対象になる」ことと、「尖閣諸島での軍事紛争の際に米軍が出る」ことはほぼ同一ではない、と述べている。これはどういうことか。

 日米安保条約第五条には、「両国の日本における、(日米)いずれか一方に対する攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであるという位置づけを確認し、憲法や手続きに従い共通の危険に対処するように行動することを宣言している」とある。これが根拠となり、日本人の多くが、「日本の領土がどこかの国から攻撃されたら、アメリカ軍が出動して戦ってくれる」と考えている。しかし、孫崎氏は、この条文の「憲法や手続きに従い」という部分に注目する。アメリカでは米軍の軍事行動には、アメリカ議会の承認が必要となる。アメリカ大統領が米軍の最高司令官であるが、大統領が勝手に軍隊を動かすことはできない。だから、孫崎氏は、この条文は、「議会の承認を得るように努力する」ということであって、直ちに軍事行動を取るというものではないと述べている。

 この孫崎氏の解釈を使えば、以下に貼り付けた二つの記事をより正確に読み解くことができる。知日派で知られる、カート・キャンベル国務次官補は、「尖閣諸島は日米安保条約の対象となる」と述べている。この中で、「日米安保条約第5条の明確な適用対象となる」と述べている。キャンベル氏の発言に、孫崎氏の解釈を当てはめると、「アメリカ政府は、日本の領土である尖閣諸島が攻撃された場合、アメリカ議会に軍事行動の承認を求め、それが得られるように努力する」と述べていることになる。「何かあったら、直ちに米軍を動かす」
と述べている訳ではない。また、尖閣諸島に関する日中間の問題は、「平和的な手段で解決されることを望む」としている。

 米中は、ともに「平和的な解決を望んでいる」、そのように公式的に述べている。中国に関しては本音であろう。中国が今、日本との関係を緊張させて利益がある訳ではない。一方、アメリカ側は本音だろうか?私はそうは思わない。アメリカには、アメリカと中国でG2という枠組みを作り、世界を動かしたいと考えている人々がいる。一方、中国側は自分たちにはそんな力はないし、責任を背負わされるのは嫌だ、という姿勢を取っている。もしアメリカが中国に対して好意的であるならば、属国である日本に対しては、尖閣諸島をめぐる動きを牽制し、また、中国と交渉を行うように圧力をかけるはずだ。しかし、アメリカは、まるで無力な第三者のようにふるまっている。これは、争いをある程度までエスカレートさせるために火をつけて回っているのと一緒だ。

 アメリカは、外交政策として、オフショア・バランシング戦略を取っているように見える。このオフショア・バランシングというのは、アメリカのような世界覇権国だけが採ることができる戦略である。アジアを例にとって説明する。アメリカは、いくら日本というお財布があるとは言っても、この地域に米軍を駐留させるために多額のお金を使っている。これが大きな負担となる。そこで、アメリカは、この地域から撤退する。そして、地域の大国同士(アメリカの友好国と非友好国)を牽制させあう。そしていがみ合わせることで、非友好国を疲弊させる。そして、一朝ことが起きた時(軍事紛争や戦争など)、その時に米軍を派遣する。そうすることで常時軍隊を駐留させることなく、地域の安定とアメリカの優位を保つ。このようなある意味で「ずるい」戦略、これがオフショア・バランシング戦略である。

 アメリカのオバマ政権は、軍事費の削減を進めている。それに対して、共和党の大統領候補ミット・ロムニーは、強いアメリカを標榜し、軍事費の増大を主張している。しかし、現実的に考えれば、アメリカ政府の債務上限問題があったように、アメリカ政府は無駄なお金はどんどん削りたい、軍事関連予算も例外(聖域)ではないとしている。クリントン元大統領の側近だったレオン・パネッタ国防長官が現在やっているのは、大幅な予算カットである。今回、日中関係が緊張すれば、「やはり米軍が存在しなければ(米軍の存在という抑止力がなければ)、アジアの安定は保てない。だから米軍の予算を削るべきではない」と強硬派や保守派は主張するだろう。しかし、アメリカは軍事行動までエスカレートつもりはなく、オフショア・バランシングの実験、練習を行っているように見える。

(貼り付けはじめ)

●「尖閣は日米安保条約の適用対象=米国務次官補」

2012年 09月 21日 13:01 JST
ロイター
http://jp.reuters.com/article/special2/idJPTYE88K00R20120921

[ワシントン 20日 ロイター] 米国務省のキャンベル次官補(東アジア・太平洋担当)は20日、上院外交委員会小委員会で、日本と中国の間で深刻な問題となっている尖閣諸島(中国名:釣魚島)について、日本が攻撃された場合に米国が日本を防衛することを定めた日米安保条約の「明らかな」適用対象との認識を示した。

キャンベル次官補は、領有権に関する見解を示すのは控えたものの、日本が尖閣を管理していることを「はっきり認める」とし、「よって、(米国の対日防衛義務を定めた)日米安保条約第5条の明確な適用対象となる」と述べた。

そのうえで、最近中国各地で起こっている反日デモなどの動きが、米国にとってより深刻な懸念になっていると説明した。

●「米国、尖閣問題で日中両国に平和的な解決促す」

2012年 09月 20日 07:11 JST
ロイター
http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTJE88I01D20120919

[ワシントン 19日 ロイター] 日本の尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化により日中関係が緊迫している問題で、米ホワイトハウスのカーニー報道官は19日、「平和的な手段」を通じて領土問題を解決することを望むとの見解を示した。

報道官は記者団に対し「良好な日中関係が、地域のすべての人の利益となると確信している」と述べた。

尖閣諸島の領有権問題に関して米国は立場を表明することはしないとし、外交的に両国が問題を解決することを望んでいるとした。

(貼り付け終わり)
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by Hfurumura | 2012-09-25 01:16 | 日本政治

最近の尖閣諸島に関する問題について考えたこと①

■日中関係は、尖閣諸島をめぐり緊張を増している

 日本、中国両国は、尖閣諸島をめぐり、緊張を高めている。日本からは具体的なリアクションはないが(尖閣諸島を実効支配しているので)、中国国内では、9月14日から始まった反日デモ、日系商店やレストランなどに対しての略奪行為が激化した。中国政府は、デモが過激化し、暴動に発展しないように抑えようとしている。

 そもそも、尖閣諸島をめぐり、日本は実効支配し、中国は領有権を主張してきた。尖閣諸島付近の海底に石油が埋蔵されているという話もあり、中国は領有権の主張を強めてきた。しかし、日中国交委回復の交渉過程で、尖閣諸島の領有権については「棚上げ」し、領土問題の解決は、後代の知恵に任せるという態度をお互いに取ることで日中両国は合意した。こうした事情については、孫崎享著『日本の国境問題――尖閣・竹島・北方領土』に詳しい。

 しかし、日中間の緊張は高まった。これは、尖閣諸島の所有者が石原慎太郎東京都知事に尖閣諸島を売却する、そして、石原都知事が、購入資金の寄付を呼びかけ、約14億7000万円を集めた。しかし、尖閣諸島の所有者は、国に20億2000万円で売却することに合意した。この「尖閣諸島の国有化(nationalization)」が中国側を刺激したようだ。「棚上げ合意」を踏みにじられたと考えたようだ。

 しかし、中国側は「領土問題は平和裏に交渉で解決する。アメリカ側の介入は望まない」という姿勢を示している。以下に中国側の動きを伝える記事を張り付ける。梁光烈中国国防部長の「平和的な交渉による解決」という発言を報道しているメディアは少ない。これには意図的なものを感じる。日本は「領土問題は存在しない」という立場だから、交渉に応じないということになるだろう。しかし、最大の貿易相手国である中国との関係悪化は、日本経済に影響を与えることは間違いない。そうなれば、日本側も何らかの対応を取らざるを得なくなる。

 中国との商売でご飯を食べているのに、中国が大事なお客様なのに、その中国と事を構えて、民間の商取引、文化交流などを止めてしまうのは愚の骨頂である。本来であれば、中国の最高指導部と話ができる政治家を使って、表裏様々なチャンネルから話し合いをして、落としどころを探るべきである。しかし、中国側は最高指導部交代が直前に迫り、日本でも政治が混迷している中で、そうしたチャンネルを使った交渉が行われている様子は見えない。

(貼り付けはじめ)

●「中国各地で反日デモ、中国監視船11隻が接続水域に」

2012年09月19日
AFPBB
http://www.afpbb.com/article/politics/2901950/9539433?ctm_campaign=txt_topics

【9月19日 AFP】満州事変の発端となった柳条湖事件から81年目となった18日、日本政府による尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:
釣魚島、Diaoyu Islands)の国有化に抗議するデモが中国各地で行われた。また中国の監視船11隻が日本の接続水域に入ったことが確認
された。

海上保安庁によると、中国の海洋監視船10隻と漁業監視船1隻の合わせて11隻が尖閣諸島周辺の日本の領海に隣接する接続水域に入り、
このうち3隻が領海を侵犯した。

北京(Beijing)の日本大使館前には18日、数千人のデモ隊が集結した。一部が卵やペットボトルを投げ付けたほか、故毛沢東(Mao
Zedong)主席の肖像画を掲げる集団も見られた。ある工場労働者(31)は「中国はもはや弱い国ではない。われわれは強い。これ以上
日本にいじめられることはない」「釣魚島は中国領土であり、日本から守らなければならない」と訴えた。

中国の梁光烈(Liang Guanglie)国防相は18日、中国を訪問しているレオン・パネッタ(Leon Panetta)国防長官と会談し、中国には
日本が実効支配している尖閣諸島をめぐる問題で「さらなる措置」を取る権利があると主張する一方で、「平和的な交渉による解決」を
望んでいると述べた。

●「習副主席、争い激化と日本非難」

2012年09月20日
ロイター
http://jp.reuters.com/article/jpjapanchina/idJP2012091901001902

【北京共同】新華社電によると、中国の習近平国家副主席は19日、パネッタ米国防長官と会談し、日本政府による尖閣諸島(中国名・
釣魚島)国有化について「領土争いが激化した」と日本を非難。米国が尖閣は日米安保条約の適用対象との立場を取っていることを念頭
に「(米国は)言動を慎み、釣魚島の主権争いに介入しないよう望む」と述べた。尖閣の国有化をめぐり習氏が発言したのは初めて。

(貼り付け終わり)
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by Hfurumura | 2012-09-25 01:13 | 日本政治

インドの作家の資本主義論

名前を名乗るのを憚られる、ある一つの資本主義(The One Capitalism That Dare Not Speak Its Name)

パンカジ・ミシュラ(Pankaj Mishra)筆
2012年7月23日
ブルームバーグ
http://www.bloomberg.com/news/2012-07-22/the-one-capitalism-that-dare-not-speak-its-name-pankaj-mishra.html

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※パンカジ・ミシュラはインドの作家

 1992年12月26日。この日は、ソビエト連邦が崩壊し、ロシアがアメリカ型の資本主義を採用した日からちょうど1年目にあたる日だった。この日、『エコノミスト』誌の論説ページに次のような文言が掲載された。「自由市場資本主義の代替物は存在しないというのが世界共通の主張となっている。自由市場資本主義は、経済生活を組織するための唯一の方法となっている」と。

 『エコノミスト』誌は19世紀中ごろのイギリスで創刊された。それ以降、エコノミスト誌は、新古典的なイデオロギー(自由市場、最小国家、神の見えざる手など)の主要な宣伝機関として存続してきた。イデオローグたちの仕事は、自分たちが望む政治的、経済的システムが自然で完璧なものと見られるようにすることだけだ。1992年にエコノミスト誌の編集会議で、編集委員の中には、「ソ連の変化は早すぎるのでは」という意見を述べた人たちもいたことだろう。しかし、その声はとても小さいものだったに違いない。

 2012年1月の国家資本主義に関する特別レポートの中で、エコノミスト誌は、「自由市場が勝利を収めたという考えは激しく動揺し、拡散が止まっている。イギリスとアメリカの自由主義的資本主義は、規制を受けなかった金融業者たちが起こした国内の危機によって激しく動揺している。自由主義的資本主義は、ある有力な代替物の出現に直面している。それは、国家資本主義である。国家資本主義は、世界の経済大国の一つである中国と、世界経済において影響力を持つ大企業が採用し、支えている経済体制である。こうした大企業には、ロシアのガスプロム、中国のチャイナモバイル、アラブ首長国連邦のドバイ・ポーツ・ワールドとエミレーツ航空などがある」

●驚くべき逆戻り

 ブルームバーグ社発行の『ビジネス・ウィーク』誌は最近ある記事の中で次のように書いている。「発展途上諸国の間で、国家資本主義が自由市場に取って代わりつつある。国家資本主義では、国家が企業を所有する、もしくは企業を支援、主導することに大きな役割を果たす。2004年から2009年にかけて、120の国有企業が、フォーブス誌の世界の大企業のリストに初登場した。一方で、250の私企業が大企業リストから脱落した」

 一時は世界中で主要なイデオロギーとなったアングロ・アメリカ(英米)的な新自由主義からのこのような驚くべき逆戻りはどうして起きているのか?それとも、イデオロギーによって惑わされ、現実の世界をそのままの形で見ることができない時期が長く続いたが、瞬きをすることで、現実の世界を見ることができるようになったのだろうか?

 グローバライゼーションが20年間続いた結果、国有企業の売却、外国からの投資の誘致、物価や市場に対する規制の緩和が成長を促進し、ひいては民主政治体制を生み出すという論調が世界中に広まった。

 グローバライゼーションによって利益を得る人たちのため、国家はそのシステム作りのみを行うというシナリオに対しては、初期の段階から警告となる兆候が発せられていた。1990年代、ロシアは市場改革を行い、その結果は惨憺たるものとなった。ロシアの誇る天然資源はオリガルヒたちに収奪され、一般国民は貧困に叩き落され、その傷はウラジミール・プーチンという権威主義的な政治家が登場するまで癒されることはなかった。プーチンは、戦略的に重要な産業に対する国家の権威を回復させるために行動した。

 1990年代のロシアに悲惨な結末をもたらした「自由」市場をもてはやしたのは、欧米の経済を専門にする雑誌などだった。こうした雑誌は、自由市場を煽ったことについて自己反省することはない。だから、今度は、エコノミスト誌は国家資本主義について取り上げているのだ。エコノミスト誌の編集委員たちは、1991年以降のロシアの崩壊を見て、中国の指導者たちは、私企業システムに国家が介入することが必要だと悟ったのだと述べている。また、現在の国家資本主義の形は、建国の父リー・クワン・ユーの治世下にあったシンガポールで作り出されたとも述べている。

 歴史こそが重要だ!歴史を見てみると明らかなように、国家が経済発展と所得再分配において重要な役割を果たすという考えは、この2世紀の間に、英米世界を除く、世界の大部分で中心的な考えとなってきた。フランクリン・ルーズベルト大統領が実行したニューディール政策は、この考えがアメリカ政治の主流をなす考えになるきっかけとなった。そして、この考えは数十年にわたり、アメリカに残り続けることになった。

●昇る太陽(Rising Sun)

 最近の国家資本主義に関する記事や議論の中で見落とされているのは、日本がいかにして発展途上国から先進国へと進み道を進んできたかということである。日本では、国家(政府)が国内産業を創設、育成し、輸出先となる海外市場を見つけることで、経済を発展させた。

 日本の国家資本主義は、東アジア諸国のモデルとなった。シンガポールにとってもまた、日本はモデルであった。これは言っておかねばならないが、シンガポールは、規模が小さすぎ、金融と貿易の中心となったがこれは例外的なことである。従って、シンガポールの成功例は、より規模の大きな国々にとっての歴史的な教訓になることはない。

 現代資本主義の歴史から逸脱した、日本と東アジア諸国が経済的成功を収めたのはどうしてだろうか?

 1970年代から1980年代にかけて、民営化、規制緩和、最小国家といったものが経済発展の前提になると考えられていた。これは別名ワシントン・コンセンサスと呼ばれる。世界銀行とミルトン・フリードマンのような新自由主義的な経済学者たちは、東アジアの「奇跡」と自由市場を結びつけて賞賛し始めた。

 この時期の経済史を見てみると、日本、韓国、台湾、シンガポールの自由市場は、インドや中国の中央計画を柱とする「社会主義的な」経済に対置されるものだと考えられていた。この考えは大変に影響力を持つものだった。現在でも、インドや中国には、自由市場導入をすることで改革を目指す人々は、他の東アジア諸国を引き合いに出す。こうした人々を見つけることは簡単だ。

 もちろん、物事はそんなに単純ではなく、複雑なものだ。日本は自国が作り上げた、政府が産業界と密接につながり、産業界に対して国際市場での競争力を与えるために行動するというモデルを守ってきた。

 日本研究の大家チャルマーズ・ジョンソン(Chalmers Johnson)は、1982年に発表した著書『通産省と日本の奇跡』の中で、「日本の通商産業省(Ministry of International Trade and Industry)が日本の発展と日本企業の競争力の強化に中心的な役割を果たした。通産省は、こうした役割を20世紀初めから果たした」と主張し、証明した。ジョンソンはのちにアメリカの外交政策に対する激しい批判でも知られるようになった。

 日本の成功は、アジア全域に、熱心な観察者と模倣者を生み出した。韓国の指導者、朴正煕(Park Chung Hee)は、韓国の急速な経済発展を開始することに成功した。かつて、朴は、アメリカ人のジャーナリストであり歴史家だったフランク・ギブニーに次のように語った。「わが国の資本主義的な発展のモデルは、19世紀の明治維新以降の日本である」と。

●資本主義の様々なモデル(Model Capitalists)

 日本は、彼らの成功した経済モデルを東アジア全域に輸出しようと躍起になった。しかし、ネオリベラル的な資本主義が賞賛される時代になり、自画自賛を急にやめてしまった。1993年に世界銀行が発表した「東アジアで起きている奇跡(The East Asian Miracle)」は日本政府が資金を出したもので、政府の介入を賞賛する内容だった。

 1980年代から1990年代にかけて、自由放任を柱とする自由市場資本主義経が正統派と見なされていた。しかし、この時期、意識してこの考えに反対した人々がいた。ジェイムズ・ファローズは、著書『太陽を見る:東アジア諸国の新しい経済・政治システムの勃興(Looking at the Sun: The Rise of the New East Asian Economic and Political System)』の中で、「国家は基本的に経済成長を阻害する存在である」という考えは、アングロ・アメリカ(英米)社会の偏見に過ぎないと主張した。MITの経済学者アリス・アムスデンは、著書『西洋以外の勃興(The Rise of the Rest)』の中で、産業化に送れて参加した国々であるインド、中国、トルコ、ブラジルは、国内の市場に介入する以外に選択肢はないと主張している。

 これらの様々な主張は、地政学的な動機と国内的な条件の考慮を無視している。この点に関しては、次回の日本と中国の国家資本主義に関する記事で書きたいと思う。日本や中国は、過去20年間の自由放任イデオロギーの持つ陰湿な影響力とは何だったのかと読者の皆さんに不思議がらせる存在である。自由放任イデオロギーは、アジアの国家資本主義の存在を人々が忘れるように仕向けるものだったのである。

(終わり)
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by Hfurumura | 2012-09-24 22:18 | 国際政治

インドネシア経済についての記事をご紹介します

アメリカの外交専門誌『フォーリン・ポリシー』誌に掲載されていた、インドネシア経済に関する記事をご紹介します。

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インドネシアが奇跡の経済成長を達成すると信じることができる5つの理由(5 Reasons to Believe in the Indonesian Miracle)

魅惑的な列島が世界第7位の経済大国に躍進していく理由(Why this amazing archipelago is on track to be the world's seventh largest economy.)

リチャード・ダブス、フレイザー・トンプソン、アリエフ・バディマン筆
2012年9月21日
フォーリン・ポリシー
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/09/21/5_reasons_to_believe_in_the_indonesian_miracle?page=0,0

 インドネシアと言うと、多くの人々はビーチや寺、人々で混雑する都市を思い出す。しかし、2億4000万の人口を抱えるこの国は、外国の投資家たちや企業が考えるよりも、より近代的で、多様性を持ち、経済はダイナミックなものである。インドネシアの持つ潜在能力を見れば、投資家たちや企業は、インドネシアに対する考えを改める必要があることに気付くだろう。インドネシアについての5つの「神話」を詳しく見ていくことは、インドネシアに対する考えを改める第一歩となる。

①「インドネシアの経済は不安定だ」

 そうではない。不安定からは程遠い状態である。インドネシアは、過去約10年間にわたり、年率4%から6%の経済成長を達成し続けてきた。これは注目に値する。インドネシア経済には、ブラジル、ロシア、インド、中国やその他先進諸国に比べて、不安定な要素は少ない。インドネシア政府の債務は、この10年間で70%も減少した。インドネシアの政府債務は、先進諸国の85%よりも低いレベルを達成している。インフレーション率に関して言うと、10年前は20%に達していたが、現在は8%に落ち着いている。現在世界から注目されている南アフリカとトルコに比べ、インドネシアの経済全体の管理は確実に改善している。世界経済フォーラムは、2012年、マクロ経済の安定性に関し、インドネシアを139カ国中、第25位にランクした。2007年の第89位から急上昇した。ブラジルは第62位、インドは第99位であった。

②「経済発展はジャカルタ以外では起きていない」

 これは真実ではない。インドネシアの首都ジャカルタは年々拡大している。そして、ジャカルタは、インドネシア全体の国内総生産(GDP)の4分の1を占めている。しかし、ジャカルタのGDPに占める割合は年々低下している。バンドンやメダンといった中規模、「ミドル級」の諸都市の経済は、首都ジャカルタよりも急速に発展しており、外国の投資家や企業にとって、これからより重要な投資先や進出先となることだろう。インドネシアでは都市化が進行し、都市化が経済成長を刺激している。2030年までに、インドネシアの総人口の70%以上が都市に住むようになる。現在は50%以上が都市に住んでいる。2010年から2030年の間に、3000万人以上の人々が地方から都会へと移動すると考えられている。人口200万から500万の都市、ベカシやスラバヤといった都市の経済は急速に発展し、2030年までにGDPの27%を占めるようになるだろう。2030年までに、急速な経済発展を続ける都市の90%までが、首都ジャカルタのあるジャワ島以外の島々に誕生すると予想されている。

③「インドネシアには天然資源しかない」

 インドネシア経済を詳しく見ればこのようなことは言えないはずだ。確かにインドネシアは、豊富な天然資源を誇る国である。インドネシアはヤシ油の世界最大の生産国であり輸出国である。また、世界第2位の石炭の輸出国であり、世界第2位のココアと錫の生産国だ。そして、ニッケルは世界で第4位、ボーキサイトは世界で第7位の埋蔵量を誇っている。インドネシアは世界最大の地熱エネルギー国である。もちろん、原油と天然ガスも豊富に埋蔵している。しかし、原油と天然ガスの生産と輸出は、インドネシアの名目GDPの11%を占めているに過ぎない。これはロシアと同じ割合である。インドネシアは2004年以降、石油の輸入国となっている。インドネシアのGDPの半分を占めているのは、サービス分野であるという事実は、ウォッチャーたちを驚かせるだろう。サービス分野、特に金融サービス、貯蓄と投資、小売り、通信分野がGDPの中で大きな割合を占めている。インドネシアは、フェイスブックのユーザー数で世界第4位になっている。これは、インドネシア国内でインターネットを使ったEコマースがこれから発展することを示唆するものである。

④「インドネシアは典型的な“アジアの虎”である」

 これは間違いである。インドネシア経済は、アジアの虎と呼ばれた国々で共通の要素だった、輸出にけん引されているものではない。インドネシアの輸出はGDPの35%を占めているだけだ。天然資源や農産物の輸出を除くとその割合は、16%にまで低下する。インドネシアのGDPの過半を占めるのがサービス分野であることが示す通り、国内消費が、インドネシア経済をけん引しているのだ。インドネシアの人口の成長率は年率5~6%である。この成長率を維持すると、2030年までに、9000万人が新たに「消費者クラス」の仲間入りをすると考えられる。ここで言う消費者は次のように定義される。一日に10ドル以上を稼ぎ、世界必需品や最低限のサービス以外に、好きなものを購入することができる人々をここでは消費者と呼ぶ。消費者の数の増加は、インドと中国には及ばないが、それ以外の地域の増加よりも大きいものとなる。そして、インドネシア市場がより成長するための基盤となる。消費の拡大によってインドネシアの国内市場は拡大していく。それも長期にわたって拡大していくだろう。インドネシア国内の旺盛な消費は、インドネシア経済をけん引している。更に、アジア金融危機と現在の世界規模の景気後退といった不安定な要素からインドネシア経済を守る盾となっている。インドネシア国内の消費者サービス分野を発展させることによって需要を拡大させることができる。そして、インドネシアは、国内の需要を拡大させることで、将来起こるであろう経済的なショックの影響を和らげることができるのだ。

⑤「インドネシアの経済成功の裏には人口増加がある」

 これに関しては「イエス」であり、「ノー」である。インドネシアの人口は、全体として若く、増加している。現在の2億4000万人から、2030年までに2億8000万人まで増加すると考えられている。人口動態はこれからの経済成長に貢献するものと考えられる。人口増加は、2030年までの経済成長の2.4%に貢献するだろう。しかし、インドネシアの人口規模がインドネシアの経済成長の主要な要因とはならない。主要な要因は、インドネシア国民の生産性である。ここ20年、インドネシアの労働生産性は向上してきた。この労働生産性の向上は、同時期のインドネシアの経済成長の60%以上に貢献してきた。また、卸売り、小売り、運輸、製造、通信といった各分野の発展もインドネシアの経済成長に貢献してきた。生産性が向上すると失業率が上昇するというのが経済学の常識である。しかし、インドネシアでは生産性が向上しても失業率が上昇することはなかった。過去51年間のうち、35年間は生産性の向上と失業率の低下の両方が見られたのである。

 インドネシア政府は、年率7%成長という野心的な目標を立てている。この目標を達成するためには、過去よりももっとより良いことを実行していかねばならない。生産に関して言えば、2000年に比べて60%向上させる必要がある。これは困難を伴うが、達成可能である。インドネシアが生産性をますます向上させ、生産性向上のために障壁を除去し、消費者サービス、農業、天然資源の3つの重要な分野を発展さて、さらに、人々のスキルを向上させたら、インドネシア経済はますます発展し、外国投資家にとっては魅力的な市場となるだろう。インドネシア市場は、2030年までに1兆8000億ドル(約140兆円)の利益を生み出すものとなるだろう。

 インドネシアは、現在、国の将来を左右する、重要な分岐点に立っている。インドネシア経済は、過去10年、他のどの国よりも注目に値する成長を遂げてきた。これはインドネシア自身にとっても想定外のことだった。しかし、この経済成長を続けるためには、インドネシアは、経済の主要なセクターにおいて生産性革命を起こす必要がある。現在、インドネシアの経済規模は世界第16位である。しかし、インドネシアの潜在能力を完全に解放したら、2030年までに第7位まで躍進する可能性が高い。そうなれば、インドネシアは、ドイツとイギリスを抜くことになる。世界の経済大国の集まりであるG7メンバーのうちの2国を抜き去ることになるのだ。

※リチャード・ダブス:マッキンゼー国際研究所部長、フレイザー・トンプソン:マッキンゼー国際研究所上級研究員、アリエフ・バディマン:マッキンゼー・インドネシア上級部長

(終わり)
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by Hfurumura | 2012-09-24 16:24 | 国際政治

ウォルト教授は、アメリカのアジア関与についてこう考えている

●東アジア地域における「ゴルディロックス問題」

スティーヴン・M・ウォルト筆
2012年9月3日
フォーリン・ポリシー誌
http://walt.foreignpolicy.com/posts/2012/09/03/the_goldilocks_problem_in_east_asia

※「ゴルディロックス」とは、英語で「中庸を選ぶ」という意味である。

 アメリカは極東地域に対してどの程度関与すべきか?オバマ政権は、今年、アジア地域に「基軸」を置くと発表した。また、ヒラリー・クリントン国務長官は、南シナ海における領土争いに関するアメリカの立場を何度も明らかにした。それは、「南シナ海における領土争いは、強制、威嚇、脅迫、そして暴力の行使なしに解決されねばならない」というものだ。

 ある面では、アジア地域におけるアメリカの役割に何の変化もない。アメリカは、長い間、ヨーロッパやアジアで、それぞれの地域を支配する地域大国が出現することを阻止してきた。それは、こうした地域大国が、世界におけるアメリカの国益に挑戦し、脅威を与える存在にまで成長すると考えたからだ。この考えに基づき、アメリカは、1930年代、日本の拡大に対抗し、冷戦期には、アジア地域で、アメリカ中心の、反ソビエト同盟のネットワークを構築した。現在、アメリカは、勃興する中国に疑いの眼差しを向けている。そして、中国以外の、アジア地域における同盟諸国と安全保障関係を強化している。

 しかし、現在アメリカが行っているこうした努力は、古典的な「ゴルディロックス問題」に直面する。アメリカのアジアへの関与は、「ちょうど良い」程度であるべきなのだ。熱すぎてもいけないし、冷たすぎてもいけない。もしアメリカの関与が「熱すぎた」場合、つまり、アメリカが独断的すぎたり、攻撃的すぎたりする場合、中国政府内部の強硬派が力を持ち、アメリカと中国との間の安全保障上の競争が激化し、戦争にまで発展することもあり得る。もしアメリカの指導者たちが必要のない争いに進んで巻き込まれようとし、有益な経済関係を危機に晒すことになるとする。これはロムニー陣営が、自分たちが政権の座に就いたら行うと述べているものだ。そうなれば、アメリカは、問題を解決する立場ではなく、問題を起こす存在になってしまう。

 これと同じく重要なのは、アメリカの過度に積極的な政策によって、アジア地域の同盟諸国が、多くの間違った行動を取ってしまうということもある。第一に、アメリカが同盟諸国に対して、過度に、彼らを助ける用意があることを強調すると、同盟諸国は、アメリカに全面的に頼るフリーライダーになり、アメリカは中国を封じ込めるための過大な負担を強いられることになる。第二に、アメリカの同盟諸国が、何があってもアメリカが自分たちを守ってくれるという、過度の自信を持ってしまうと、こうした国々は、二国間関係のある問題に関して独善的な態度を取り続け、歴史的な対立を円滑に調整することに注意を向けなくなる。(的確な事例:韓国と日本との間で続いている領土争いと、韓国国内での騒動。こうした状況は、韓国と日本との間で結ばれていた、有益な情報・諜報関係の協力を損なってしまった)

 しかし、アメリカの政策が「冷たすぎる」場合、つまり、アメリカが他の問題に忙殺される、もしくはアジア地域の懸念にうまく対処できない場合、アジア地域におけるアメリカの同盟諸国の中には、他のオプションについて考慮を始める国が出てくる可能性がある。中国が経済的に発展し、同時に軍事力も増強し続けると彼らは考える。そうすると、アメリカの同盟諸国は、中国を封じ込めることは不可能だという結論を出すだろう。

 東アジアへの関与は、「熱すぎ」てもいけないし、「冷たすぎ」てもいけないというジレンマをアメリカは抱えている。ヴェトナムやフィリピンのような国々は、南シナ海における中国の領土獲得への野望に対して、独善的すぎるような態度は、このジレンマによって説明できる。こうした国々は、アメリカが中国よりも豊かで強力である今、アメリカを全面的に関与させようと考えている。彼らは、アメリカが中国の勃興を遅らせるための行動を取り、南シナ海沿岸諸国が共存できるような条件で、領土問題を解決するために影響力を行使することを望んでいる。ヴェトナムやフィリピンのような国々が、将来起こる力の均衡の変化は自分たち(とアメリカ)に不利な方向で起こると確信しているなら、彼らは現在、中国に対して強硬な態度に出るにはそれだけの理由があるし、当然のことだと言える。

 この議論から得られる大きな教訓は、極東地域における安全保障関係をうまく取り扱うことは、これから、難しく、巧妙な手際を必要とするようになるということだ。私たちはトラブルの素を数多く抱えている。それらは、力の均衡の変化、領土争い、歴史的な経緯から生み出される憤りが残り続けること、利害関係者の数が多すぎること(それぞれが独自の利益と懸念を持っている)などである。私が本文の中で述べたように、アメリカの政策を「ちょうど良い」ものにすることは、容易なことではない。

(終わり)
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by Hfurumura | 2012-09-19 15:17 | アメリカ政治