翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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マイケル・グリーンのご神託:野田も安倍も同じだ②

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 第二に、日本の指導者たちは、自衛隊に対しての不合理なそして時代遅れの制限を取り払わねばならないことをよく分かっている。日本の軍隊組織である自衛隊は、各種世論調査の結果を見る限り、日本国内で最も尊敬を集める組織である。これは、平和国家と考えられてきた日本において、驚くべき顕著な方向転換である。2011年3月11日に発生した津波に対する反応が自衛隊のイメージを向上させたが、軍隊組織に対する支持はその前からすでに上昇傾向にあった。

 昨年(2011年)、野田総理は日本の武器輸出三原則を緩和することを発表した。そして、野田総理の防衛に関する諮問委員会は、集団的自衛行動の禁止を撤廃することを提言した。集団的自衛行動を認めることで、自衛隊はアメリカ軍との共同行動に参加できるようになる。アメリカと同盟を結んでいるNATOやオーストラリアと同じことができるのだ。日本の首相は集団的自衛権があることを認め、それを発動する力を持っている。それは、日本国憲法第9条(「平和条項」)の再解釈が必要なだけだ。日本国憲法の改正は困難であるが、それをする必要はない。日本の海上自衛隊は、アラビア海で交戦規定に沿って活動している。彼らは、海賊から攻撃を受けた友軍を助けるために武力を使うことを許されている。法律的に言えば、海賊は犯罪者であり、国家ではないということになる。政治的な可能性の世界での話となるが、次のステップは、日本の自衛隊がアメリカやその他の同盟諸国の軍隊と共同作戦が行える能力を促進するということになる。

 第三に、日本は、他の海洋諸国と協働して、太平洋における好ましい均衡状態を維持すべきだ。日本は、2007年にオーストラリアと、2008年にはインドと安全保障協定を結んだ。この両国との協力関係は、2009年に民主党が政権の座に就いて以降も、深化し続けている。2011年にインドネシアのバリで開催された東アジアサミットで、野田首相は演説を行い、その中で、日本は平和と安定を維持するための明確なルールの伴った、アジア地域の新しい海洋秩序の創設に貢献すると提案した。野田首相がこのような海洋秩序に対する挑戦者は中国を想定していることは、アセアン諸国やその他の参加諸国にとって明らかなことだった。安倍首相は、2007年の首相在任時、アメリカ、日本、オーストラリア、インドとの間で「Quad」サミットと呼ばれる海洋諸国の連合の創設に熱心だった。この提案は、日本以外の3か国にはややしつこい感じであった。しかし、安倍氏は、首相の座に復帰したら、同様の戦略的な提携を構築するための新しい方法を模索することだろう。

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 第四に、日本はTPP貿易協定に参加することになる。これは自民党の候補者たちが、日本がTPPに参加するのは、例外が認められた時だけだと主張しているのを見聞きした人々にとっては思いがけないことだろう。彼らは、自民党の候補者たちのスタンスでは、TPPには参加できないと考えているだろう。しかし、地方を支持基盤とする政党が、TPPについて、選挙の前に何が言えるだろうか?私が個人的に聞いた話では、自民党の幹部たちは、アメリカが砂糖などの例外を設けているので、日本もアメリカと同じ方法を見つけられるだろうということは分かっている。財界のリーダーたちは、自民党が日本をTPPに参加させるはずだという信頼を表明している。野田首相もTPP参加を提案したが、民主党が支持を失う前にそれを進めることに失敗した。自民党のリーダーたちは、TPPの問題は、いつ参加するかであって、参加するかどうかではないことをよく理解している。

 最後に、日本は経済を成長させる方法を見つけねばならない。戦後数十年にわたり、日本は、驚くべき経済成長とOECD諸国では最低レベルのジニ係数(富裕層と貧困層の格差)を達成してきた。1990年代、そのような曲芸のようなことは崩壊し、2001年に登場した小泉首相は、再分配よりも改革と経済成長に重点を置くことを選んだ。経済は急速に成長したが、それに伴って、ジニ係数も大きくなった。2009年に民主党が与党となった。この時、民主党は、彼らが「小泉のネオコン経済」と呼ぶものに終止符を打ち、補助金や控除を通じて富の再分配を大々的に行うと約束していた。この実験は、悲惨な失敗で終わった。野田首相は、民主党の立場を親財界の政策を行う方向に修正した。そして、自民党は、政府を元に戻すことになるだろう。

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 経済を成長させるなどの優先度の高い課題は最重要であるが、その解決が最も困難なものであることは言うまでもない。日本の保守派の間では、原発は廃止できないし、ビジネスにとって税制と労働関係法の整備によって環境を整えることが必要だというコンセンサスができている。自民党がどれだけ早く原発を再稼働させられるかは、彼らが政権を獲得した時の政治状況にかかっている。

 その他の問題もまだ議論が続けられている。政府は金融緩和で経済を刺激すべきか?それとも規制緩和で?もしくは女性の地位向上で?または移民制度の改革で?これらは、安全保障に関する様々な手段よりも、解決が困難な政策課題だ。しかし、これらの問題は大変に重要である。そして、財政、移民、規制改革についてアメリカが行った選択と同様に、それらの課題に取り組むことは日本経済の強さと海外援助と国防に使える資源の規模に影響を与えることになる。

 日本には戦略があるのか?日本の国家目標は大変明確である。その目標を達成するための手段を整えるには、長い年月が必要である。ここしばらくの間は、日本は、北東アジアの安全保障において、強力な、そして重要なアクターであり続けるだろう。

※マイケル・グリーン:戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長・日本部長兼ジョージタウン大学助教授(アジア研究)。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-11-29 23:58 | 日本政治

マイケル・グリーンのご神託:野田も安倍も同じだ①

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



日本には戦略があるのか?(Does Japan Have a Strategy?)

マイケル・J・グリーン(Michael J. Green)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2012年11月28日
http://nationalinterest.org/commentary/does-japan-have-strategy-7776
http://nationalinterest.org/commentary/does-japan-have-strategy-7776?page=1

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マイケル・グリーン

 日本の政治指導者たちは、高齢化社会と巨額の公債といった根本的な諸問題に向き合うことができないでいるようだ。また、気軽に原発を停止し、貿易自由化と経済の規制緩和をもたらす環太平洋経済協力協定(TPP)に参加するかどうかフラフラしている。こうしたことが事態をもっと悪くしている。日本は、領有権争いをしている島々を巡り、中国、韓国と対立している。日本の外交政策は自滅的なサイクルに入っているように見える。また、こうした動きに合わせて、超ナショナリストの石原慎太瑯東京都知事と橋下徹大阪市長が国政の場に登場した。ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズを読んでいると、日本は、中国の沖合を目的もなく漂流し、沈まないようにもがきながら、最後には波間に消えていってしまうのではないかという印象をもってしまう。

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 しかし、日本のエリートたちの間には、見かけ以上に、国家戦略についてのコンセンサスが存在しているのである。

 確かに日本は頻繁に首相を交代させ、一度はポピュリスト的でありながら、現在は大変に不人気な民主党の下、ここ3年間全く政府は機能しなかった。こうしたことが日本の活力を弱めてきたことは否定できない。日本は国内政策に関しては厳しい選択を迫られている。しかし、外交政策に関して言えば、日本はいまだに考慮に入れねばならない、重要なアクターである。

 日本には様々な主張が存在している。平和主義的な主張から極右的な主張まである。しかし、中道右派の主張が最も勢力を持っている。高級官僚、財界、自衛隊、そして次の10年の日本を統治するであろう政治指導者たちの間には一貫性のある考えが存在する。彼らは戦略について同じ考えを持っている。

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 現在の野田佳彦首相は、中道右派のリーダーの1人である。野田首相は、12月中旬に予定されている選挙で政権の座を追われる可能性が高い。しかし、それは彼の政策観ではなく、彼が率いる民主党があまりに不人気なのが原因である。もし野田首相が今とは全く別の家に生まれていれば、彼は長年日本の政治を支配した自由民主党に参加していただろう。しかし、実際の野田氏は松下政経塾に入り、政治指導者となるために自力で始める訓練を受けた。そして、野田氏は民主党から社会主義者やポピュリストを追い出した。

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 次の選挙の結果、現在の自民党の指導者である安倍晋三(重要な政治家の息子であり孫である)が首相の座に復帰することが確実な状況である。安倍氏と野田氏は非常に似通った外交政策についての考えを持っている。自民党の総裁選でライバルだった石破茂と石原伸晃も、野田氏の次を狙う前原誠司国家戦略相や玄葉光一郎外相を含む民主党の政治家たちの多くと考えを同じくしている。30から50%の民主党の国会議員たちと自民党の全ての国会議員は、これらの指導者たちが差し示す日本のための戦略に従う用意はできている。

●戦略の諸要素(Elements of a Strategy)

 日本の戦略的思考は、中国からの挑戦に対して現実的に考えることから始まる。日本は、アメリカに比べて、中国に対してはより現実的な思考をしている。野田首相と安倍氏、そして先ほど述べた民主党と自民党の政治家たちは、中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、観光と輸出にとって重要な顧客であることは認識している。

 野田氏ら政治家たちは、日本から台湾を結び、フィリピンに至る第一列島線(First Island Chain)内部の海域をコントロールしたいと望んでいることも知っている。従って、尖閣諸島をめぐる争いは、漁獲、石油や天然ガス、国内のナショナリズムの問題というよりも、地理戦略的な争いなのである。ほんの数年前、日本が尖閣諸島と台湾に続くシーレーンを完全に支配していた。しかし、現在では、中国は海軍と沿岸警備隊を増強し、その存在によって、第一列島線内部の海域の8割を支配するようになっている。そして、中国海軍と沿岸警備隊は、毎年艦船の数を増やしている。



 野田氏たちは日本がこのような事態に対してどのように反応すべきか、共通した考えを持っている。第一に、日米同盟にこだわるべきだと彼らは考えている。民主党初の首相となった鳩山由紀夫は、ポピュリスト的イメージ作りのために排他的な「東アジア共同体(East Asia Community)」を提唱し、日米同盟を軽視するという失敗を犯した。鳩山首相の芝居じみたアメリカからの離反は、中国にチャンスを与え、中国による積極的な行動を招いた。民主党の政治家たちでさえ鳩山の行動が招いたマイナスの状況は失敗であったことを認めている。そして、このような状況は、親米の小泉純一郎が政権を担っていたら、まず起こらなかったことだ。これから日本をリードしていく政治家たちは、鳩山の犯した失敗を犯すことはないだろう。

(つづく)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-11-29 22:10 | 日本政治

ヘリテージ財団の日本政治論:シナリオはできていた?④

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



●アメリカ政府は何をすべきか(What Washington Should Do)

 アメリカは以下の方法で、日本の国家安全保障の新しいプログラムを補強すべきだ。その方法とは以下の通りだ。

■日本はこれ以上、他国に依存するだけで海外での国益を守り続けることはできないということをはっきりさせる。日本政府は、大国としての地位に見合った国際社会における安全保障上の役割を受け入れるべきだ。例えば、日本はシーレーンの防衛のための努力を強化すべきだ。

■日本政府に対して、自国の防衛と同盟国アメリカの安全保障に必要なだけ防衛支出を増大させるよう求める。

■日本政府に対して、集団的自衛権の理論をあまり厳格に解釈しないように求める。それによって、危機的状況になった時、日本は同盟国を守るために行動することができるようになる。日本はより現実的な交戦規定を採用すべきだ。そうすることで、日本が海外での安全保障に関する活動を行う際に、同盟諸国に迷惑をかけることなく、より効果的な貢献を行うことができるようになる。

■日本政府に対して、沖縄の普天間基地の代替施設の建設について、具体的に進めるように圧力をかけるべきだ。次の首相は、単なる言葉の上での支援ではなく、日米両政府のかわした約束を実行するようにすべきだ。

■日韓の軍事的、外交的協力関係を進化させるように促す。二国間の軍事情報に関する包括的保全協定(GSOMIA)、情報共有協定は、同盟関係を進化させ、日韓共通の脅威に対応する能力を強化する。

■米韓日3か国の軍事協力を深化させる。3か国は、共同しての平和維持活動、対テロ活動、対核拡散活動、対麻薬活動、対潜水艦作戦、地雷除去活動、サイバー上の防衛、人道支援・災害救援活動を行う可能性を追求すべきである。

■西太平洋地域に展開しているアメリカ軍をそのまま維持する。西太平洋地域に展開するアメリカ軍は韓国軍、日本の自衛隊と密接に統合され、運用されるべきだ。このような統合によって、同盟国同士が防衛し合うことが可能になる。それだけでなく、日本の軍国主義の復活に対する韓国側の恐怖感を和らげることができる。

■アメリカは、太平洋地域にある同盟諸国に対し、明確に支持、支援を行うことを示す。アメリカは、二国間の安全保障条約の不可侵性を確認するだけでなく、中国を安心させるべきではない。アメリカは中国に対して、アジア諸国が中国から威嚇されているとして支援を求められたら、その要請に応えることを明確に示すべきだ。

■安倍晋三には私的に、彼の修正主義的な歴史観を打ち出さないように言うべきだ。安倍氏は、日本政府が日本の戦時中の行動についての声明を撤回することを求めている。しかし、これはアジア地域に根深く残り続けている日本への敵意の火に、必要もないのに油を注ぐ結果になる。日本は償いと謝罪の声明を見直し、韓国の傷つきやすい感情を満足させるべきだ。また、そうすることで、中国がアジア地域に残る日本に対する怒りの感情を利用して、地政学的に利益を得ることを止めさせるべきだ。

●結論(Conclusion)

 中国と北朝鮮は自分たちで意図せず、アジア地域の地政学的な状況を自分たちに不利なものに変えている。中国は「平和的台頭」という仮面を外し、北朝鮮は、オバマ大統領の対話の申し入れを拒絶した。日本国民は、中朝両国のこうした態度を見て、民主党のナイーブな外交政策ではいけないと考えるようになった。その結果、日本政府と日本国民は、地域に存在する脅威に対して、日本は脆弱であると考えるようになった。

 日本の持つ脆弱性に向き合う第一歩は、日米同盟の刷新を行うことで既に踏み出しているように思われる。次のステップは、日本が自国の防衛により大きな責任を負う決意をし、国際的な安全保障上の脅威に向き合うことだ。アメリカは、このような新しい流れを大きくするように促進すべきだ。それは、こうした新しい流れは、アメリカの国家安全保障上の目的に合うものだからだ。

 次の首相が、日本が直面している様々な嵐をうまく切り抜けられるかどうかは、アジア・太平洋地域におけるアメリカ国益にとって大変重要である。ここ最近の日本は、弱い政治指導者たちが続いたために弱体化してきている。日本の次の首相は大胆な改革を実行し、日登る国が日没する国にならないようにしなければならない。

※ブルース・クリングナーはヘリテージ財団北東アジア・アジア研究センター上級研究員。

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 クリングナーは、2007年、ヘリテージ財団に入った。それまでの20年間、CIAとアメリカ国防情報局の情報関係分野で働いてきた。1993年、クリングナーは、CIAの韓国支局長に選ばれた。CIA韓国支局は、北朝鮮の核開発を巡り危機的状況が発生した時期、北朝鮮の軍事力の増強に関する分析レポートを数多く出した。1996年から2001年にかけて、クリングナーはCIAの情報本部の韓国担当副チーフとして勤務した。クリングナーは、大統領や政府高官たちに提出するための、韓国の政治、軍事、経済の各分野の指導者たちについての分析を行った。

 クリングナーの記事は、次のような媒体で掲載された。フィナンシャル・タイムズ、ワシントン・タイムズ、USAトゥデイ、朝鮮日報、中央日報、コリア・ヘラルド、コリア・タイムズ、ソウル新聞、国民デイリー、ファー・イースタン・エコノミック・レビュー、日経ウィークリー、アジア・タイムズ、コリア・アンド・ワールド・アフェアーズ・ジャーナル、インターナショナル・ジャーナル・オブ・コリアン・スタディーズ、コリア・ポリシー・レビュー・ジャーナル、そして、イェール・ポリティック。

 クリングナーのコメントや分析は次のような媒体で紹介されている。CNN、CNNインターナショナル、CNBC,ブルームバーグTV、フォックスTVニュース、C―スパンTV、BBCTV、SBSTV(韓国)、KBSTV(韓国)、NHKTV(日本)、アリランTV(日本)、アルジャジーラTV、ニューヨーク・タイムズ、インターナショナル・ヘラルド。トリビューン、フィナンシャル・タイムズ、フォーチュン、ニューズウィーク、ワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、ニューリパブリック、ナショナル・ジャーナル、クリスチャン・サイエンス・モニター、ロイター通信、アソシエイティッド・プレス通信、AFP通信、ディフェンス・ニュース、朝日新聞、読売新聞、ジャパン・タイムズ、毎日新聞、共同ニュース、世界日報、産経新聞。

 ヘリテージ財団に来る前、クリングナーはユーラシア・グループで数年を過ごした。ユーラシア・グループは世界の世界リスク評価を行う企業である。クリンガーは、ユーラシア・グル―プの首席韓国アナリストを務めた。そして、アジアとアメリカの主要な新聞に記事と分析記事を書いてきた。クリングナーは、ワシントンで行われる政策フォーラムによくパネリストとして出席している。ユーラシア・グループに入る前、インテリブリッジ・コープで分析部長とアジア関連上級アナリストを務めた。インテリブリッジ・コープは、情報と分析を政府や企業の幹部に提供する企業である。

クリングナーは国立国防大学を優秀な成績で卒業した。2002年に国家安全保障戦略の修士号を取得した。また、国立国防情報大学で修士号、ヴァーモント州のミドルバリー大学で学士号(政治学)を取得している。クリングナーは韓国武道に親しんでおり、テコンドーの黒帯3段、合気道の黒帯初段、テコンムーソルの黒帯初段である。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-11-29 14:55 | 日本政治

ヘリテージ財団の日本政治論:シナリオはできていた?③

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 政党がイデオロギーや政策の違いを打ち出せない、今の日本の政治システムの停滞を打破することで、橋下氏は人々から受け入れられる存在となる。好ましい変化の象徴と受け止められる。しかし、橋下氏がより詳細な外交、国内政策を打ち出さねばならなくなったとき、人々に好ましい変化の象徴と受け止め続けさせるにはどうしたら良いだろうか?ある専門家は次のように言った。「橋下氏は今月発売の新しい味のお菓子のようなものだ。お菓子が出たその月は良い。それでは、人々はその新しいお菓子を1回食べた後、どのような反応をするだろうか?」
 
 橋下市長にとっての大きな難関は、次の選挙でどれくらいの候補者たちを立候補させられるかということだ。橋下市長は、自民党や民主党から離党する政治家たちをあまり多く迎え入れることはできない。それは彼の「アウトサイダー」のイメージを損ねることはできないからだ。しかし、橋下氏が、300名の「アウトサイダー」でありながら能力のある候補者たちを見つけることは至難の業である。橋下氏は、候補者全てに対して自分で選挙資金を賄うことを求めているので、候補者探しは尚更困難である。

 橋下市長は、政治権力を東京から各都道府県に移す、地方分権化(脱中央集権化)を主張している。これは、大阪では大きな支持を得ているが、日本全体ではその影響力を拡大していない。民主党も自民党も有権者の支持をほとんど得ていないのが現状である。しかし、だからと言って、政府の責任を地方に移すことで現在の諸問題が解決されると考えている有権者もほとんどいないのである。更に言えば、橋下市長の提案の中には、憲法改正のように、非現実的だと考えられているものもある。

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 熱狂が消えつつあることについて。今年の中旬ごろ行われた各種世論調査の中には、日本維新の会の支持率は、自民党と民主党を上回る結果を示すものもあった。しかし、夏以降、世論調査の結果が示しているように、有権者たちの間で、日本維新の会が国政の場で主要なアクターとして活動する能力があるのか、疑問が広がっていった。更には、橋下市長と日本維新の会に合流した国会議員たちの間で不協和音が起きた。自民党を離党し日本維新の会に合流した松浪健太は、国会議員たちが日本維新の会の外交、安全保障政策を策定するにあたり主導的な役割を果たすべきだとし、「橋下氏の独裁は容認されない」と宣言した。橋下市長は、松浪代議士に対して反撃し、「党の綱領に関しては私だけがコントロールする力を持つ」と述べた。

 橋下氏の最近の外交に関する立場は、有権者からの批判を浴びている。しかし、このような橋下氏に対する不支持は驚くべきことではない。それは、橋下氏の提案の中には、一般国民の感情から外れているものがあるからだ。例えば、橋下市長は、日韓の間で領有権を争っている竹島(韓国名:独島)について、韓国と共同管理したらよいと主張している。竹島に関しては、日本は単独の主権を主張している。橋下市長の尖閣諸島に関する考えもまた不人気である。橋下氏は、日本が実効支配している尖閣諸島に関しては、中国との間で領有権争いがあることを世界に向けて宣言し、解決のために国際司法裁判所に持ち込むべきだとしている。

 日本維新の会内部の摩擦と橋下市長の批判を受けている外交姿勢の結果、日本維新の会が最初に与えたインパクトと人気は少しずつ減退している。最新の世論調査の結果、日本維新の会の支持率は民主党とイーブンといったところである。しかし、両党とも自民党の後塵を拝している状況である。選挙結果の予測を見ても、獲得議席の予想数は大きく減ってきている。最初、日本維新の会は100から130議席を獲得すると予想されていた。しかし、その数が70から100に減り、最新の予想では40から70になっている。

●政治的な津波は大阪から?・・・それとも北京から?(A Political Tsunami from Osaka…or Beijing?)

 日本維新の会が次の衆議院議員選挙に大きな衝撃を与えることになるのは間違いない。しかし、それよりももっと大きな要素は、中国の積極的な姿勢ということになるだろう。特に、日中間の緊張関係の高まりは、自民党を利することになるだろう。それは、有権者は、自民党と安倍総裁が中国に立ち向かってくれると考えるからだ。従って、野田首相は、総選挙の実施をできるだけ引き延ばし、その間に日本と中国、韓国との間の緊張を緩和しようとするだろう。

 尖閣諸島をめぐる争いは橋下市長にも悪い影響を与えている。メディアは、橋下市長の選挙運動を取り上げなくなったし、彼の外交政策の分野における経験のなさを報道するようになった。日本ではナショナリズムが高揚しているが、橋下氏が「安倍氏を追い越す」ことができない以上、ナショナリズムの高揚は橋下氏にとって不利に働く。また、橋下氏は、ベテランの政治家たちを迎え入れて、より細かい外交政策を策定するためのアドバイザーにする気はないように見える。

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 盛り上がるナショナリズムについて。中国が地政学的に積極な行動を取り続けている。これに対して、日本全体でナショナリズムが盛り上がっている。そして、ナショナリズムの盛り上がりは、日本の政治状況を変えている。これは次の総選挙の結果も左右するだろう。しかし、銘記しておかねばならないのは、このような変化は中国との関係だけで起こることであり、日本が軍国主義に戻ることを示す兆候ではない。実際、中国の好戦的な行動によって、日本はいつもの引っ込み思案な態度から踏み出し、多くの有権者は日本が戦後長い間堅持してきた過度の平和主義を放棄しても良いと考えるようになった。この変化は世代の変化の産物である。戦争の悲惨さを実体験で知り、軍国主義を否定してきた世代はこの世を去っている。

 結果、日本政府は中国の拡大主義に対抗し、軍事力の増強をしようとしている。2010年、尖閣諸島を巡り、中国は積極的な行動を取り、日本の人々は中国は傲慢な態度を取っていると認識した。これらの結果、日本は新しい防衛戦略を採用した。世論調査の結果によると、70から80%の日本国民が中国に対して否定的な見方をしている。政権の座に就いて以降、民主党は、より保守的な外交、安全保障政策を採用するようになった。そして、全ての主要な政党は、アメリカとの同盟関係を強化することを支持している。

 ナショナリスティックな感情が生まれ始めたことで、人々は、日本の軍事力の脆弱さを懸念するようになっている。そして、中国と対峙し、押し戻そうとする強いリーダーを求めている。各種世論調査の結果を見てみると、2012年現在、25%の人々が日本の軍事力を増強することに賛成している。2009年には14%、1991年には8%だったが、数次は大きく伸びている。有権者たちはまたより長い時間が必要な変化も認めようとしている。そうした変化は、防衛予算の増額、集団的自衛権と交戦規程の厳格な解釈の緩和である。

 これらの変化によって、日本は同盟国が攻撃された際に、一緒に防衛することができるようになる。アジア各国のメディアは、このような改革に警鐘を鳴らしているが、これらはなにも軍国主義の復活へのゴーサインでもなんでもない。日本の国民が右にシフトしているのは、日本の基準で言えばこれまでにない大きなことではあるが、世界で受け止められているほど重要なことでも、危険なことでもない。「ナショナリズム」というとどうしても帝国主義下の日本の否定的なイメージを呼び起こすが、現在の日本国内で盛り上がっているナショナリズムは、他国と同じような、標準的なナショナリズムなのだ。そして、日本のナショナリズムは、現在の中国が示しているような対外攻撃的なものではない。中国の対外攻撃的なナショナリズムの具体例は、中国全土に拡大した反日抗議運動である。

 いくつかの例外を除いて、日本の主要な政党で、アメリカとの関係を破棄して軍国主義的な日本を作ろうなどと主張している政党は一つもない。安倍氏は、日本の安全保障政策についてのルールを妥当なものに変えようという穏健な主張をしている。そしてアメリカとの同盟を維持していこうとも主張している。安倍氏は中国と対峙するとしながらも、中国との関係が良好であることが日本にとって重要であることも理解している。

 更に言えば、安倍氏のこれまでの政治活動歴と日本のナショナリズムに関する議論は切り離して考えることが重要だ。日本の戦時中の行動に関して、安倍氏は修正主義的な歴史観を持ち、それに基づいた発言をしている。もし安倍氏が首相になっても、このような行動をするならば、トラブルを招き、アジア諸国との間でいらぬ緊張を引き起こすことになる。日本がアジア・太平洋地域における、有能なリーダーになるためには、いくつかの政治的な足かせを取り除く必要がる。その時、安倍氏はただ闇雲に自分の思うとおりに行動することは控えねばならない。

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 安倍氏が最初に首相を務めた時期、安倍氏は挑発的な行動を控えた。そして、アメリカは、安倍氏に対して個人的に、歴史を書き変えるなどという必要のないことに政治的な資源を投入するべきではないと助言し、それはうまくいった。

 次の選挙の結果予想について。現在与党の民主党は次の選挙では議席を大きく減らすことは確実である。その結果、民主党は与党の座を失うだろう。自民党は、2009年の選挙では有権者の信任を得られなかったが、次の選挙では議席数で第一党になるだろう。自民党の党勢回復は、野党であった時期に何かを達成した、実現したという積極的な理由からではなく、与党の民主党が失敗したからという消極的な理由からであろう。

 自民党が多数を取っても、過半数を確保することはないだろう。従って、連立のパートナー探しに奔走しなければならないだろう。その結果、連立に参加する小政党は政策決定において、規模以上の影響力を与えることができる。このシナリオは、鳩山政権でも起きたことだ。鳩山政権では、社会民主党が民主党に対して大きな影響を及ぼした。自民党は公明党との関係は維持するだろう。しかし、一つの疑問が残る。:自民党は、離党者を多く出し、中道政党から左派的な要素を取り除いた民主党と連立を組むのか、それとも橋下市長率いる日本維新の会と連立を組むのか?

 今年(2012年)の初め、自民党と日本の維新の会の連立は確実なもののように思われた。それは、安倍氏が橋下市長との特別な関係を強調したからだ。今年7月、橋下氏は次のように語った。「もし安倍氏が自民党総裁に選ばれたら、日本維新の会は安倍氏率いる自民党との連立に差化するだろう」と。しかし、今年9月末、橋下氏は記者たちに対して、日本維新の会と自民党との間には政策に関して合意できない部分があるので、「選挙になれば、私たちは安倍氏、自民党と戦うことになる」と述べた。橋下市長が自民党との連立を本当に否定しているのか、連立内での存在感と影響力を増加させるために、高く売りつけるためにこのような発言をしたのか、本当のところはわからない。

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 もし橋下氏が自民党との連立に参加するなら、改革を主張するアウトサイダーというイメージをなくさないように、妥協をしてはならない。自民党と日本維新の会との間には政策面で異なるところもある。自民党は原発を維持し、消費税増税を支持している。一方、日本維新の会は、原発にも消費税増税にも反対している。従って、連立の構成は、次の総選挙で各政党がどれくらいの議席を獲得するかにかかっている。

 これから改善される可能性がある政策について。次の首相は、いくつかの厳しい挑戦に直面する。それらは、停滞する経済、増大する公債、高齢化していく人口、中国と北朝鮮からの安全保障上の脅威の増大、国際社会における影響力が消えていくこと、である。

 自民党が予想通りに総選挙で勝利した場合、衆参両院で過半数を獲得することになる。その結果、ここ数年続いた、それぞれの議院の過半数を民主党と自民党が持つ「ねじれ国会」が解消される。ねじれ国会が解消されることで、次の首相は、政治的な心理戦を行わなくても政策を実行できるようになる。安倍氏が成功するかどうかは、有能な人物を内閣に入れることができるか、そして政策ヴィジョンを明確にできるかどうかにかかっている。以前安倍氏が首相を務めた時、安倍内閣は「お友達内閣」と揶揄された。お友達内閣を再び作ってしまってはいけない。

 安倍氏が首相になっても、日本の政策の方向性は変更されないであろう。それは、民主党が既に自分たちの元々の計画を変更し、自民党の政策を採用したからだ。新しい政権は、現在の政策の変更というよりも、深化と実行を行うだろう。政策の変更と実行との間には大きな違いがある。

(つづく)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

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by Hfurumura | 2012-11-29 14:10 | 日本政治

ヘリテージ財団の日本政治論:シナリオはできていた?②

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 自由民主党について。先月(2012年10月)の総裁選で、安倍晋三を総裁に選出した。安倍氏の勝利は驚きをもって迎えられた。それは、事前の世論調査では、石破茂元防衛相、石原伸晃幹事長に次いで3位につけていたからだ。安倍氏は1回目の投票で、石破氏に次いで2位となった。石破氏は、地方の党幹部や党員の間での人気が安倍氏よりも高かった。決選投票は国会議員だけが投票できた。そして、安倍氏は、派閥政治と個人的な相性、好き嫌いの組み合わせによって勝利を得た。

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 もし自民党が総裁に石破氏を選んでいたら、次の総選挙での結果予想はもっと高いものとなっただろう。安倍氏は有権者からの人気が低い。そ有権者たちは、安倍氏が首相に就任してわずか1年で、突然の、そして無責任とも思われる辞任をしてしまったことに怒りを持っているのだ。実際、2007年の参議院議員選挙、そして2009年の総選挙で自民党が敗北したのは、安倍氏に責任があると主張する人々も多くいる。

 2012年の総裁選後、安倍新総裁は、尖閣諸島を巡り、中国に対抗すること、アメリカとの同盟関係を強化すること、日本がより大きな安全保障上の役割を果たすことを主張している。これらの問題に対する安倍氏の立場は、日本で大きくなっているナショナリズムに対応している。しかし、有権者の中には、安倍氏が中国との対立を激化させるのではないかと不安に思っている人々がいる。中国は日本にとって最大の貿易相手国である。そのような不安はあながち非合理的という訳でもない。安倍氏が首相だった期間、中国、韓国と日本の関係を悪化させた。それは、安倍氏が第二次世界大戦中、日本の軍隊がアジア各国の女性たちを強制的に従軍慰安婦にしたことを否定し、また日本の教科書で日本の戦時中の行動を控えめに扱うようにさせる法律を制定しようとしたことで起こった。しかし、安倍氏は同時に自制的でもあり、前任者の小泉純一郎元首相が頻繁に参拝した靖国神社には首相在任中一度も参拝に行かなかった。そして、初めての外遊の訪問先を中国にした。

 2012年9月の総裁選で勝利を得た後、安倍氏は、これまでに挙げた彼に対する懸念を払しょくしようとして次のように発言した。

 「私たちは、中国が様々な活動に直面しているこの時、自国の領海と尖閣諸島を守り抜くという固い決意を見せねばなりません。とは言っても、私が6年前に総理大臣に就任した時、最初の外国訪問の行く先として中国を選びました。それは日中関係が大変に重要だからです。日中それぞれの国益がぶつかる時、私たちは日中それぞれが相手を必要として、状況をうまくコントロールしなければならないと認識しなくてはいけません。同時に事態に関して戦略的に考えることも必要です。私の日中関係についてのスタンスは変化していません」

 日本維新の会(Japan Reformation Party)について。停滞し、効率の悪い政府に対して人々は怒りを持っている。この怒りに乗って、橋下徹大阪市長は政党を立ち上げ、日本の政治システムを揺さぶっている。カリスマ性を持った橋下市長は、決断力を持ち、地方自治体レベルではあるが、変革をもたらしてきた。橋下市長の業績は素晴らしいものだ。市長として、赤字が重くの敷かっていた予算を削減し、労働組合の抵抗を乗り越えて、教師評価システムを導入した。現在、橋下市長は、国政の舞台を見据え、日本の政治システムの急進的な大修理を公約として掲げている。

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橋本氏の唱える船中八策(Hashimoto's Eight-Point Manifesto)

1.統治機構改革(Governing Institutions Reform)
2.中央集権国家モデルから地方分権モデルへの転換(Change from a centralized power state model to a regionalized power state model)
3.首相公選制の導入(Direct, popular election of the Prime Minister.)
4.衆議院議員定数の半減と参議院の廃止(Eliminate half of Diet Lower House seats and abolish the Upper House)
5.消費税を国税から地方税化と地方間財政調整制度の導入(Make the national consumption tax a locally collected and distributed tax)
6.財政と行政の改革(Financial and Administrative Reforms)
7.議会システムと統治機構の簡素化と効率化(Simplify and raise effectiveness of the parliamentary system and governmental institutions)
8.国家の財政状況を黒字化(プライマリーバランス)するための目標設定(Set targets for bringing the national fiscal balance into surplus)
9.公務員制度改革(Civil Service System Reform)
10.大阪で実行されている公務員制度改革を全国に拡大する(努力や業績に対するボーナス、能力・実績・職位に基づいた給与)
11.公務員の終身雇用保障を廃止(Abolish guaranteed, lifetime employment in civil service)
12.教育システムの改革(Education System Reform)
13.自立した国家と自立した地域を担う自立した個人を育成する(Nurture self-reliant individuals who can support a self-reliant nation and self-reliant localities)
14.全ての地方自治体が独自の教育システムを選ぶことを認める(Allow localities to choose their education system)
15.大学を含む全ての教育機関でヴァウチャーシステムを導入して、教育機関同士の競争を促進する(Institute a voucher system at all levels, including universities, to promote
competition among institutions)
16.社会保障システムの改革(Reform of the Social Security System)
17.供給サイドへの税投入よりも受益サイドへの直接の税投入を重視(Reform the system to change from funding providers to directly funding beneficiaries)
18.公共サービス供給者間の競争を促進するための規制緩和(Deregulate to increase competition among service providers)
19.経済政策、雇用政策、税制(Economic Policy, Employment Policy, Tax Policy)
20.貿易協定である環太平洋経済協力協定への参加、自由貿易協定の拡大(Join the Trans-Pacific Partnership trade pact; expand free trade agreements)
21.「均等税」改革の実施(Implement a “flat tax” reform)
22.外交政策と防衛政策(Foreign Policy and Defense)
23.日本の主権と領土を自力で守るための準備(Prepare to self-reliantly defend Japan's sovereignty and territory)
24.国連PKOなどの国際平和活動への参加を強化(Increase participation in international peace activities like U.N. peacekeeping operations)
25.ODAの継続的低下に歯止めをかけ、積極的な対外支援策に転換(Arrest the decline in official development assistance; shift to an active foreign aid policy)
26.日本国憲法の改正(Amending the Japanese Constitution)
27.首相公選制(Popular election of the Prime Minister)
28.日本国憲法第9条(交戦権の放棄)の改正について国民投票を行う(Put the question of revising Article 9 (renouncing the right to wage war) to a popular vote)

 橋下市長のイニシアチブは多くの点で、アメリカのティーパーティー運動に似ており、「ワンマン・ティーパーティー運動」というべきものだ。アメリカのティーパーティー運動と同様、橋本市長は、既成政党に対する人々の怒り(嫌気まではいっていないが)のうねりに乗って登場した。しかし、アメリカのティーパーティー運動は、形式ばらない組織や団体の、下からの融合で構成されているが、橋下市長は、トップダウンで計画を発表し、橋下氏個人のアピール力で関心を集めている。実際のところ、専門家たちは、橋下氏を「日本版のロス・ペロー」と見なしている。

(つづく)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

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by Hfurumura | 2012-11-28 13:34 | 日本政治

ヘリテージ財団の日本政治論:シナリオはできていた?①

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



アメリカは日本の政治の変化を利用して同盟を深化させるべきだ(U.S. Should Use Japanese Political Change to Advance the Alliance)

ブルース・クリングナー(Bruce Klingner)筆
ヘリテージ財団(Heritage Foundation)ウェブサイト
2012年11月14日
http://www.heritage.org/research/reports/2012/11/us-should-use-japanese-political-change-to-advance-the-alliance

要約:2012年12月16日、日本国民は、日本の政治状況を再び変えるための機会を持つ。多くの有権者にとってこのような変革は3年前にも見たものである。この時は、民主党が選挙に大勝し、政権を獲得した。選挙公約を実現できず、改革を現実のものとすることができなかった。その結果、日本国民の政治の変革を求める熱望は満足させられないままの状態にある。核世論調査の結果を見てみると、保守の自民党が再び衆議院で過半数を占め、安倍晋三元首相が次の日本の首相になると予想される。安倍氏の保守的な外交政策に対する考えと日本国民の間で中国に対する懸念が増大していることは、アメリカ政府にとって素晴らしい機会を提供することになる。アメリカ政府は、この機会を利用して、日米同盟の健全性にとって重要な政策目的を達成することができる。

●重要なポイント(Key Points)
1.2009年の総選挙は、日本政治におけるリーダーシップの在り方を変えてきた。しかし、民主党は選挙公約を実行できず、改革を現実のものとすることができなかった。その結果、日本の一般国民の政治を変革したいという熱意は存在しているものの、どの政党にも信頼を置いていない。

2.日本の次のリーダーたちは、いくつかの厳しい挑戦に直面することになる。それらは、停滞する経済、増大していく公債、高齢化していく人口、中国と北朝鮮からの安全保障上の脅威、国際社会における影響力の低下である。

3.中国は日本に地政学上の攻勢をかけている。この結果、日本全土でナショナリズムが高揚している。そして、日本の政治状況と来たる選挙の結果を変えることになる。

4.各種世論調査の結果から、次の総選挙では、保守の自民党が衆議院で再び過半数を占め、安倍晋三元首相が日本の次期総理になることが予想される。

5.安倍氏の保守的な外交政策に対する考えと日本国民の間で中国に対する懸念が増大していることは、アメリカ政府にとって素晴らしい機会を提供することになる。アメリカ政府は、この機会を利用して、日米同盟の健全性にとって重要な政策目的を達成することができる。

==========

 3年前、民主党は総選挙に大勝し、政権を獲得した。民主党の大勝は、自由民主党による50年に及ぶ支配によって作り出された政治の停滞に対して人々の怒りがうねりになったことによるものだった。しかし、高揚感はすぐに消え去った。財政の現実に直面し、民主党は、非現実的な経済に関する公約を破棄することになった。そして、中国と北朝鮮からの脅威に対応することで、民主党は現実離れした外交政策を転換せざるを得なくなった。アマチュアリズムが蔓延し、多くのスキャンダルに見舞われ、民主党は政治的に自民党同様、機能不全に陥り、短期間で首相を次々と変えるようになってしまった。民主党政権初の首相、鳩山由紀夫は1年も持たずに辞任し、二人目の菅直人もわずか15か月、首相の地位に留まっただけだった。有権者たちは民主党支持から態度を変え、参議院では、それ以前の選挙では信頼しなかった自民党が参議院をコントロールできるだけの議席を与えた。

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 公約を実現できなかった結果、民主党は次の選挙で衆議院の過半数を失い、政権を手放すことになるのはほぼ確実だ。選挙の正確な日時ははっきりしていないが、遅くとも2013年の8月の終わりまでには実施される。野田佳彦首相は、選挙の日時を設定することをできるだけ避けようとするだろう。それは瀕死の状態にある今の民主党を何とかして立ち直らせようとするからだ。このような引き延ばしに対して、自民党は早期の解散総選挙をさせるために国会審議を停滞させると脅しをかけている。

 各種世論調査の結果によると、次期総選挙では、保守の自民党が過半数を獲得し、自民党総裁で元首相の安倍晋三が日本の次の首相に選ばれる可能性が高い。安倍氏は、外交政策について保守的な考えを持っている。そして、日本国民は中国への懸念を早大させている。こうしたことは、アメリカにとって絶好の機会となる。アメリカは、こうした状況を利用して、日米同盟の健全性にとって重要な政策目標を達成することができる。

 アメリカ政府は、これまで長い間、日本に対して、自国の防衛でより大きな役割を果たすこと、そして防衛力と経済力に見合った海外での安全保障の責任を引き受けるように強く求めてきた。日本が防衛予算を増大させ、集団的自衛権を行使し、海外での非岩維持活動における武器使用についての厳格なルールを緩め、沖縄の普天間基地移設問題で辺野古に代替施設を建設することは、アメリカにとって利益となる。

●日本の有権者は今でも政治指導者を追い求めている(Japanese Electorate Still Longing for Leadership)

 2009年の総選挙は日本の政治状況を変化させたが、民主党は公約を実行して、改革を実現することができなかった。その結果、日本国民の政治の転換に対する熱望は残ったままになり、政党に対する不信感が残った。世論調査などを行っても、「支持政党なし」「支持する候補者なし」という答えが多くなっている。このような政治不信は、日本政治に空白を生み出し、そこに大阪市長の橋下徹が登場し、日本維新の会(Japan Restoration Party、JRP)を結成した。

 民主党について。漫画のキャラクターであるワイリー・コヨーテのように、中空に浮かんでいるような状況である。そして今にも真っ逆さまに落ちてしまいまそうになっている。そうした中、野田佳彦首相は、これから苦境に向かうであろう党を率いている。民主党はある程度の勢力を維持するだろうが、ワイリー・コヨーテのように、大きな間違いであったことが証明された基本プランに縛られてフラフラすることだろう。

 2010年に尖閣諸島を巡り中国と対峙して、民主党は選挙期間中に訴えていた、外交政策、安全保障政策に関する公約を放棄した。例えば、民主党は、日米同盟を批判しなくなった。また中国との関係を深め、アメリカ抜きの東アジア共同体を構築するという主張も放棄した。また現在普天間にあるアメリカ海兵隊の航空基地を沖縄県外に移設するということも言わなくなった。民主党は事実上、ライバルである自民党の外交政策を踏襲したことになる。

 民主党の経済政策についての公約もまた同じような運命をたどった。例えば、2009年の選挙戦で、民主党は高齢者に対して年金と医療費の増額を約束した。そして、2009年から4年間はいかなる増税も行わないと主張した。しかし、選挙に大勝した後、民主党は公約を放棄した。2011年、野田首相は、消費税を現行の5%から10%に倍増させるということを提案した。野田首相はまた、税収の増加分は全てトラブルが頻発している社会保障システムの安定のために使い、政府の規模を大きくしないということも約束した。

 しかし、人々の人気が低い消費税増税を強行したことで、野田首相は、政治的に見て、民主党の墓堀人になったと言える。民主党所属の川内博史代議士は次のように語っている。「自民党政権下での年金と健康保険に対する一般国民の不信と、私たちが国民とした約束によって、私たちは政権を取ることができました。しかし、現在の民主党は昔の自民党と同じになっているのです」

 有権者からの支持が減り続けていることに加え、民主党は政治家の離党が相次いでいることにも苦しんでいる。これまでに70名以上の政治家たちが民主党を離れていった。彼らは、消費税増税や大飯原発の再稼働についての野田総理の決定と自分たちの考えが異なるとして離党していった。

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 野田佳彦首相について。驚くほど大胆で有能な政治家である。野田首相のじり貧の支持率は皮肉なものである。野田首相の支持率が下落したのは、彼が日本政治において異例な存在であることを示して以降である。野田首相は、勇気を持って実際に日本をリードしている政治指導者である。野田首相は、自民党と民主党から出た前任者5名に比べてかなり有能である。

 野田首相の業績は、彼が2011年3月に起きた地震、津波、原発事故の三重苦のすぐ後だったことを考えると、大変に印象的である。日本国民は更なる原発事故への恐怖から、日本の全原発の稼働をストップした。原発は日本の電力の30%を供給してきた。

 野田首相は、期待されていたよりも、かなり政治的に熟練していた。例えば、2012年初め、日本のメディアは、野田首相はすぐに政治的に無力化してしまうと予想していた。しかし、野田首相は、野党や民主党内部の反対者の裏をかき、議論が紛糾していた法律案を成立させた。更には、民主党内部や議事進行を妨害してまでする野党の反対がありながら、野田首相は消費税増税の承認を勝ち取った。野田首相は、日本が長い間堅持してきた武器輸出三原則を緩和し、アメリカ政府を説得し、二国間防衛に関する同意を変更した。その際、アメリカは海兵隊普天間基地の代替施設建設が。沖縄にある5つの米軍基地の返還の条件であると主張していたが、この2つを切り離すことができた。

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 小沢一郎について。小沢は人気のないポピュリストである。日本政治の未来についての議論がある時、その名前が出なくなってしまったのが(これは驚きである)、民主党元代表で、キングメイカーとして知られる小沢一郎である。小沢氏は、「壊し屋」としても知られている。小沢氏はこれまで長い間、いくつもの政党や政策を投げ棄て、選挙での勝利の可能性を高めるということを繰り返してきた。実際、小沢氏の首尾一貫して持つイデオロギーは、その時その時の有権者に最も受けが良い考えを強く信じるということだけである。

 しかし、選挙に影響を与えることができるという能力を持つことで小沢氏は人気を保ってきた。しかし、小沢氏の人気も徐々に落ちている。現在、彼の政党には49名の国会議員が所属しているが、その多くが一回生の軽量級の議員である。そして、次の総選挙では落選すると予想されている。小沢氏はお金と影響力を確保しようとして東奔西走している。小沢が新しく立ち上げた「国民の生活が第一」は、次の選挙で恐らく10議席程度しか確保できないであろう。

(つづく)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

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by Hfurumura | 2012-11-28 12:36 | 日本政治

これからブレイクする7つの国:フォーリン・ポリシー誌から

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



これから新たにブレイクする国々(The New Breakout Nations):ブリックス諸国のことは忘れてください。世に知られていない7つの国を見てみよう(Forget the BRICs. Meet seven unheralded countries to watch.)

ルチア・シャルマ(Ruchir Sharma)筆
フォーリン・ポリシー誌(Foreign Policy)12月号
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/11/26/the_new_breakout_nations?page=0,0
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/11/26/the_new_breakout_nations?page=0,1

 1980年代、世界は「新興市場(emerging markets)」の発見に沸き立ち、2000年代には調達がしやすい資金によってバブル経済が発生し、急速な経済成長が起こった。しかし、こうしたことは既に過去のことである。これから伸びると頻繁に宣伝された国々、ブラジル、ロシア、インド、中国は全て成長が急激に鈍化している。発展途上国の平均の経済成長率は昔の水準に戻って、約5%となっている。現在の世界経済は緩やかな成長を示しているが、不均衡な形で成長している。そして、これまでは評価されてこなかった国々がスターとして出現しつつある。ブリックス諸国のことは忘れよう。そして、これからブレイク確実な7つの国々について見てみよう。

 1.フィリピン:フィリピンの豊富な天然資源はいまだに手つかずのままだ。そして、フィリピンの一人あたりの平均年収は3000ドル以下のままの状態が長年推移してきた。しかし、これらのことは、フィリピンが成長の余地を大いに残していることを意味している。2010年の選挙以来、ベニグノ・“ノイノイ”・アキノ大統領は、国民に約束した、半世紀前のフィリピンの栄光を取り戻すために努力している。半世紀前、フィリピンは次の東アジアの虎(East Asian tiger)になると考えられていた。アキノ大統領は、政府支出の透明性を高める改革に着手し、税収の増加を図ろうとしている。フィリピンは、海外からのアウトソーシング産業の成功によって、国民の平均年収が増加し、国民の間へ富の拡散が進んでいる。

 2.トルコ:GDP1兆ドル(約80兆円)クラブに入るであろうと予想されているのが、イスラム教民主国家であるインドネシアとトルコである。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、正統な経済政策を実施した。2003年にエルドアンが首相の地位に就いたとき、ハイパーインフレがトルコを襲っていた。また、歴代の世俗政権が締め出してきた敬虔なイスラム教徒たちに公職を開放した。これはトルコ国民の大多数を経済活動の主流に迎え入れることを意味していた。その結果、トルコはエルドアン首相就任以来繁栄を続けている。経済成長は、自動車の輸出の成功と金融部門の急激な伸びによって支えられている。

 3.インドネシア:天然資源を輸出することで経済成長をしてきた国々、ブラジルやロシアなどは、世界規模の金行き来が発生したことで、成長が急激に鈍化した。しかし、インドネシアは、天然資源がけん引する経済であるが、バランスを保つことができている。そのバランスとは、輸出と健全な国内消費、首都と経済成長の源泉となっている経済活動の活発な地方と間でのバランスのことだ。スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領は、経済改革に必要なことをよく理解している政治リーダーである。インドネシアは、東南アジアの経済新興諸国のモデルとなっている。これらの国々は、1997年の通貨危機で競争力を失ったが、現在では回復させている。

 4・タイ:タイは近隣諸国と同様、1990年代後半に発生した東アジア通貨危機で苦境に陥った。この時中国の通貨人民元が突然切り下げられたことで、東南アジア諸国は競争力を失ってしまった。しかし、ここ数年で人民元の価値が調整され、中国の労働者の賃金が上昇したことで、東南アジア諸国とタイの製造業は再び競争力を持つようになった。タイの持つ弱点は、首都と地方との間の終わりの見えない政治的な緊張関係である。インラック・シナワット首相がこの緊張関係をうまく封じ込めることができたら、タイは、メコン川流域の交易回廊の中心として繁栄することができる。

 5.ポーランド:ポーランドは2004年にEUに加盟した。ポーランドは、「スイート・スポット」の事例研究にぴったりの国である。「スイート・スポット」とは、EUに加盟した国が、その後しばらくの間、ユーロを採用しなくても良いという期間のことである。ポーランドは、安定した投資を呼び込み、EUからの補助金をうまく利用している。そして、金融機関の改革を行い、EUの基準に合わせるために財政赤字を削減してきた。同時に、ユーロを採用しなかった混乱をうまく回避した。ポルトガルとスペインを見れば、その混乱がいかに深刻であるかは理解できる。ポーランドはヨーロッパ諸国の平均よりもかなり速いスピードで経済発展を続けているが、ユーロへの加盟を急いでいない。ポーランドはヨーロッパ諸国の改革のお手本であることを自任している。ポーランドは年金制度の改革を行い、支給年齢を67歳に引き上げた。ヨーロッパ諸国の多くは、支給年齢を50歳代後半のままにしているのとは対照的である。

 6.スリランカ:これまで戦争の勃発によって、それまで高い経済成長をしてきた国々の成長が止まってしまうことはよくあった。しかし、これに当てはまらないのがスリランカである。スリランカでは、タミル・イーラム解放の虎が1980年代に蜂起し、数年前まで内戦が続いていた。スリランカ経済は、内戦が起きていた時期でも4~5%の経済成長を維持してきた。これは奇跡だ。内戦では国土の30%を荒廃させ、国民の15%が命を失った。現在、スリランカは、反乱軍がコントロールしていた地域を国家に再加入させ、再出発を図ろうとしている。スリランカはインドと中国との間の交易ルートにおいて戦略上重要な場所にあり、国民の識字率も高い。このような条件が揃っているので、スリランカは、急速な経済成長を達成するものと考えられている。

 7.ナイジェリア:ナイジェリアは、長年腐敗した政治指導者たちに食い物にされてきた。しかし、現在のグッドラック・ジョナサン大統領は、改革に取り組んでいる。ナイジェリアの農業、石油と天然ガス、そして最も重要な電力への投資を促進している。現在のところ、ナイジェリア全体で生み出される電力は、イギリスの複数の小さな町の電力量を合わせたレベルでしかない。そして、安定した電力供給ができないために、ナイジェリアでビジネスを展開することは難しい状況にある。しかし、ナイジェリアのような国で重要なことは、かなり低いレベル(国民一人あたりの平均年収が約1500ドル)なので、経済成長にそれほどの時間と資源を必要としないということだ。政治指導者がこれまで悪いから良いに大きく転換した。そして、基本的なインフラの整備と投資の促進に集中している。これだけの条件が揃っているので、ナイジェリアは、ここ5年間で、世界で最も急速な経済発展を達成することができる。そして、この経済発展プロセスを進んでいけば、アフリカ大陸で最大の経済規模を誇る国になるだろう。

(終わり)

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by Hfurumura | 2012-11-27 13:56 | 国際政治

日本政治論:エコノミスト誌から

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



極(pole、ポール)を巡って競争するポール・ダンサーたち(Pole dancers)

曖昧なマニフェストを掲げる小政党は日本の有権者たちをうんざりさせようとしている

エコノミスト誌(The Economist)東京発
2012年11月24日
http://www.economist.com/news/asia/21567116-small-parties-vague-manifestos-hope-entice-fed-up-japanese-voters-pole-dancers

 日本の自由民主党(Liberal Democratic Party、LDP)について言い古されてきたジョークがある。それは、自民党は、自由主義的(Liberal)でも、民主的(Democratic)でもなく、ましてやきちんとした党(Party)でもないというものだ。自民党は、1950年代に反社会主義の諸派閥の雑多な組み合わせで形成された。そして、2009年に総選挙で大敗するまで、半世紀以上にわたり、雑多な派閥の集まりである自民党はその団結を保った。現在、歴史は繰り返す、という状況になっている。野田佳彦首相が2012年12月16日に総選挙を行うことを宣言して以降、日本の政治の世界には14の政党が出現している。

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 野田首相率いる民主党(Democratic Party of Japan)は国民からの支持を失っている。そして、新しく結成された諸政党は政治的には右であるが、これらは連合して日本を再活性化したいと熱望している。こうした戦略は諸政党の名前によく反映されている。「太陽(Sunrise)」、「維新」、「ルネサンス(Renaissance)」といった具合である。日本の有権者たちは、「こうした政党は一体何を基にして連合するのだろうか?」という疑問を持っている。

 総選挙の約3週間も前になって、諸政党のリーダーたちは、日本のメディアが、民主党と自民党以外の選択肢となる「第三極(third-pole)」と呼ぶ、連合を形成しようと躍起になっている。有権者の多くは、民主党には罰を与えたいが、自民党に政権の座に復帰して欲しくないと考えている。それは世論調査の結果から明らかである。民主、自民両党は、両方の支持率を足しても半数の有権者の支持を得られていない。従って、残りの諸政党は、お互いに協力するか、民主、自民どちらかと協力することができれば、影響力を行使できることになる。

 このような状況下、諸政党は、政策がぶつかることがあっても、最も魅力的な相手と一緒になろうとして、お見合いパーティー(speed-dating)に狂奔している。ベテラン政治家で反中国の立場をとる、石原慎太郎は、東京都知事を辞任して、右翼政党「太陽の党(Sunrise Party)」を結成した。それからほんの数日後、石原は、橋下徹大阪市長率いる日本維新の会(Japan Restoration Party、JRP)に入党し、党代表となった。石原、橋下両氏は、合併のためにいくつかの政策をあやふやなままにしておいた。そしてそれを敢えて問題視しなかった。橋下市長は、日本維新の会が主張していた2030年代までの原発廃止という主張を取り下げ、石原は、アメリカが主導している自由貿易協定、環太平洋戦略的経済協力協定(Trans-Pacific Partnership、TPP)への参加に反対する姿勢を軟化させた。

●いろいろなことが噴出している

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「橋石(HashIsh)」合併は、これらと連合を組む可能性が高かった残り2つの政党を驚かせた。一つは、みんなの党(Your Party)である。みんなの党は、TPP推進と反原発の立場をとっている。もう一つは、減税日本(Taxcut Japan)である。減税日本は、石原慎太郎と合併について協議していたところだった。

 諸政党のリーダーたちはうまく立ち回るべく動いている。彼らの動きは激しさを増している。それは、そうした活動を行う余地が多く存在するからだ。各種世論調査によると、自民党は約25%の支持を得ており、民主党の倍の数字となっている。しかし、自民党の安倍晋三総裁の人気は下降気味であり、一方、野田首相の人気は、国会を解散して以降、上昇している。多くの有権者が態度を決めていない。日本政治に関するブログ「シサク(思索)」の著者マイケル・チュチェックは、有権者が態度を決めていないこと受けて、次のように書いている。「第三極の諸政党は、安易な連合を組むだろう。政策を粘着テープで適当につぎはぎし、政治家個人の人気に頼り、うんざりするほど愛国主義を煽り立てるだろう」と。まrた、自民党と民主党の親財界の人々は、選挙後、一時的な連合を組もうとする可能性ある。このような「大連立(grand coalition)」の希望は過去に成就しなかった。しかし、今回は分からない。

 選挙の結果について、たった一つ確実に言えることは、日本政治が右傾化するということだ。石原慎太郎は、日本と中国との間で尖閣諸島の領有権をめぐる争いの引き金を引いた人物である。日中間の争いによって、ビジネスは大きなダメージを負った。しかし、石原は後悔をしていない。先月、東京都知事を辞任して以降、石原は、日本の戦争を非難する憲法は「醜い(ugly)」のでこれを改正し、中国に対してこれまで以上の厳しい態度で臨むべきだと強く主張している。石原は、日本は核兵器を開発し所有すべきであるとも主張している。また、1937年に南京で起きた大虐殺(massacre)については否定している。減税日本代表で名古屋市長の河村たかしは、南京大虐殺には疑義があると発言した。名古屋市と南京市は姉妹都市の関係にある。

 みんなの党は、日本維新の会との合併協議から離れようとしている。みんなの党は最初から慎重な姿勢を崩さなかった。しかし、選挙後、非公開の場所での交渉が始まれば、政策は再び柔軟に取り扱われることになる。みんなの党所属の浅尾慶一郎代議士は、「そうしたことは、それぞれの政党のリーダーたち次第であろう」と述べている。何も心配することはないのだ。

※アジア版から転載

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-11-26 13:02 | 日本政治

若きジャパンハンドラーズ候補生であり、大物ハンドラーであるリチャード・サミュエルズの弟子の日本政治論

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



※リチャード・サミュエルズMIT教授(日本政治)については、拙著『アメリカ政治の秘密』で詳しく書いております。是非お読みくださいませ。

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日本政治:2012年の時代精神?(Japanese politics: the spirit of 2012?)

トバイアス・ハリス(Tobias Harris)・MIT政治学部所属
イースト・エイジアン・フォーラム(East Asian Forum)
2012年10月27日
http://www.eastasiaforum.org/2012/10/27/japanese-politics-the-spirit-of-2012/

「日本政治は不安定な段階に入っている(Japanese politics have entered a volatile phase)」

 消費税増税を巡る衆議院での議論は、民主党から新たな分裂を生む結果となった。小沢一郎が約49名の議員を引き連れて民主党を離党し、「国民の生活が第一(People’s Life First)」を結成したのは、2012年7月だった。この分裂に続き、橋下徹大阪市長率いる「日本維新の会(Japan Restoration Association)」が結成された。そして、新自由主義を標ぼうする「みんなの党(Your Party)」が日本の二大政党である民主党と自民党に対する挑戦者としてその力を高めつつある。これらの動きは、日本政治は、「政党の再編成」の新時代の幕開けであることを示していると私は考える。

 日本政治のウォッチャーたちは、政党の変遷(栄枯盛衰)に重要性を見出していない。これまで20年以上にわたり、日本の政党は、結成され、分裂し、解散し、また結成され、を頻繁に繰り返してきた。しかし、日本は、政党システムだけにとどまらない、幅広い政治の大転換の真っただ中にいるのである。

 2012年、東京で、1960年以降で最大のデモが起きている。多くの人々が定期的に首相官邸の前に集まり、野田佳彦首相の原発再稼働の決定に抗議をしている。日本では、2011年3月11の大震災以降、原発稼働が停止されてきた。2011年末から2012年初めにかけて、日本では、野田政権の環太平洋経済パートナーシップ(TPP)への参加の意思に対して小規模な抗議活動が続いていた。反原発の抗議活動は、反TPPの抗議活動に続いて発生した。これらの抗議活動は、これまで長い間政治家たちに対して不満を持ってきた一般の人々が自分たちの手に政治を取り戻したいと思っていることを示している。こうした動きに並行して起きているのだが、橋下市長を含む改革志向の政治家たちが主宰している、政治家「養成」のための政治塾(political ‘training’ academies)に参加する人々の数は増えているそうだ。政権を取って以降の民主党の政策に対する失望、もしくは日本が構造的に抱える腐敗や汚職がなくならないことへの諦めの気持ち、のどちらが大きく影響したとも言えないが、一般の人々の政治に対する不信感は大きな転換を起こすところまで高まっていると言える。

 現在東京で行われている抗議活動はアラブの春との比較がなされ、橋下市長の人気は明治維新(Meiji Restoration)と比較されている。しかし、今回の大きな動きがどのような結果になるかについて語るのは時期尚早である。成熟した民主国家ではよくあることだが、日本の政治的、選挙に関する、そして行政の各機構は、外側の人間が参入しようとする際の障壁になっている。

 第一に、衆議院(House of the Representatives)の小選挙区比例代表並立制(mixed-member electoral system)は、300ある小選挙区のほとんど全てに候補者を立てられる大政党に有利になっている。みんなの党と大阪維新の会との間で成立すると考えられる同盟が次期総選挙(遅くとも2012年8月までには行われる)でどれほどの数の候補者を擁立できるか、はっきりしない。そして、政治資金と選挙運動に関する法規は現職に有利になっていて、その現職のほとんどは2大政党(民主党と自民党)に所属している。

 更に言えば、参議院(House of Councillors)は、改革を目指す人々にとっては、大きく邪魔な存在となっている。もし、参議院の過半数を野党が握っている場合、政権がやろうとしている政策を邪魔し、阻止することができるようになる。これは、ここ5年の間、実際に起こっていることである。参議院議員の半数が2013年の選挙を控えている。正統が分立している現状では、どの政党も過半数を獲得することは困難である。そうなると、与党は、行き当たりばったりで野党と妥協することになるだろう。ポピュリスト的な政党や諸政党の同盟が衆議院で過半須を獲得して政権を担うことになると、ねじれ国会(divided Diet)である場合、与党が統治する能力が十分に発揮することは難しい。

 最後に、ポピュリスト的な政権は、日本の中央官僚制度と競い合わねばならない。中央官僚たちの影響力と改革志向の政治家に対する敵意は、過大評価される傾向がある。しかし、政治家は最も従順な官僚たちをうまく管理しなければならない。政策の専門知識はあるが経験のない大臣たちは、官僚たちをうまく管理することができるとは限らない。これは、2009年以降の民主党に当てはまる話だ。立法スタッフやシンクタンクというようなところからのアドバイス、いわゆる外部からのアドバイスない現状では、政治家たちは、官僚たちに頼る以外には選択肢はないと言って良い。民主的な正当性というものは、有権者が望むプログラムを実行できる、中立で、能力の高い中央官僚が存在しているかどうかにかかっている。官僚の力を弱めようという熱意をもって、政治家たちは、才能あふれる人々を官僚の身分から追い出す、もしくは官僚にならないように説得し、または官僚たちが持つ健全な政策アドバイスを行う能力を損なわせることで、官僚制度を突き崩そうとしている。

 日本の政治システムはその不安定さを増している。しかし、そうした状況であっても、変化を起こそうとする人々にとっての重大な障壁が今でも存在している。これは、日本の政策に変革をもたらそうとしている人々にとっては、容易に解決できない問題である。人々は強力な、決断力を持つリーダーの出現を願っている。しかし、今の日本にとって必要なのは、より多くの考えを代表し、妥協がしやすい機構なのである。野田首相は、野党との妥協を成立させた。困難ではあったが、それが決して不可能ではないことを野田首相は示した。しかし、東京でのデモに参加した人々と大阪の都市を基盤とした改革者たちは、彼が熱望する大きな変化を見ることは難しいだろう。それでも、彼らは、日本政治に何らかの足跡を残ることになるだろう。日本の政治システムに対する不満が、政治システムへの参加者を増やし続けるならば、日本の民主政治体制は、より開かれたものとなり、国会内部の権力の中心が外部からの新しい考えを吸収するようになるだろう。

※トバイアス・ハリス:マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)博士候補生。2006年から2007年にかけて民主党所属参議院議員(現在はみんなの党所属の浅尾慶一郎代議士)の下で働いた経験(私設秘書)を持つ

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-11-25 17:09 | 日本政治

アメリカを席巻したティーパーティー運動はどうなっているのか:ウォールストリート・ジャーナル紙から

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



ティーパーティー運動は再編へ向けて進んでいる(Tea Party Seeks to Regroup)

ティーパーティー運動は十分に保守的ではないと考える共和党の政治家たちを追い落とそうとしている。

ニール・キング・ジュニア(Neil King Jr.)、ナフタリ・ベンデイヴィッド(Naftali Bendavid)筆
ウォールストリート・ジャーナル紙(Wall Street Journal)
2012年11月22日
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324712504578133473519800756.html

 ティーパーティー運動(tea-party movement)は、今月に行われた大統領選挙、連邦上下両院議員選挙での敗北後、組織の再編成を行おうとしている。いくつかのグループは既に2014年の連邦上下両院議員選挙に目を向けている。彼らは自分たちが推す候補者たちが共和党の候補者となれるように支援し、彼らが十分に保守的でないと考える共和党の政治家たちを排除することを狙っている。

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 根源の選挙で敗北を喫し、2014年の選挙に向けて動き出しているグループがある。彼らは、保守性が足りないと考えられる、サグビー・チャムブリス、リンゼー・グラハム両上院議員(共和党)に対して挑戦者を送り込もうとしている。

ティーパーティー運動の活動家の多くは、異口同音に次のように語っている。「共和党のミット・ロムニー候補が大統領選挙で敗れ、自分たちが支援していた候補者たちが上院議員選挙で敗北したことに大きな衝撃を受けた」と。そして、ティーパーティー運動をこれからどのように進めるかで意見が分かれ、フラフラしている状況になっている。

 ヴァージニア州では、ティーパーティー運動に属する各組織は、ロムニー候補ために活発な選挙運動を展開した。現在では、来年行われる州知事選挙のために組織を引き締め、活動している。ティーパーティー運動に属する組織の多くは、ビル・ボーリング副知事の対抗馬として予備選挙に出ているケン・カキネリ州検事総長を支持するようになっている。

 こうした保守派の各グループは、共和党所属のリンゼー・グラハム(サウスカロライナ州)、ラマー・アレクサンダー(テネシー州)、サグビー・チャムブリス(ジョージア州)の各上院議員に対抗馬を出そうと考えている。こうしたグループの活動家の多くは、これらの上院議員たちには保守性が足りないと見ている。

2010年の中間選挙で、ティーパーティー運動は大きな成功を収めた。しかし、今年の選挙では、バラク・オバマ大統領が選挙人を獲得した州での選挙運動はだいぶしにくくなっていることにティーパーティーに属する各グループは気づいていた。

 ティーパーティー運動で最も発言が注目される一人である、アレン・ウエスト連邦下院議員(フロリダ州)は、再選に失敗した。一方、議会内でティーパーティー会派を結成したミッシェル・バックマン連邦下院議員(ミネソタ州)は、何とか議席を確保することができた。2010年にティーパーティー運動の支援で当選した新人下院議員たちの多くは、今年の選挙で再選を果たした。そして、共和党は下院では過半数を維持できた。

 「ヴァージニア州ティーパーティー愛国者連合」の創設者で、今年の上院議員選挙では落選したハイメ・ラドケは次のように語っている。「今年は難しい年でした。オバマ大統領は地に足の着いた、地道な選挙戦で強みを発揮しましたが、ロムニー候補は情熱を掻き立てるような活動ができませんでした」と。ラドケの創設したヴァージニア州ティーパーティー愛国者連合は、ヴァージニア州全体をまとめる組織で、現在でも規模を拡大しており、60以上の組織が参加している。ラドケは、「選挙では敗北しましたが、私たちの組織はこれまで以上に強力になっていますよ」と語っている。

 ラドケは、2013年のヴァージニア州知事、副知事の選挙を含む、各種の選挙で、ヴァージニア州ティーパーティー愛国者連合は今までよりもより大きな、そして積極的な役割を果たすことになると述べた。

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 しかし、アメリカ全体を見てみると、ティーパーティー運動の活動家たちの中には、今年の選挙の敗北から全く異なる教訓を得た人々もいる。

 ティーパーティー運動にとっての大敗北の1つは、インディアナ州での連邦上院議員選挙での敗北だった。インディアナ州では、リチャード・モードックが、6期にわたって上院議員を務めたリチャード・ルーガーを共和党の予備選挙で追い落とし、共和党の候補者となった。モードックは、ティーパーティー運動の活動家も支援していた。しかし、本選挙では、民主党保守派のジョー・ダナリーに敗れた。モードックは、「レイプという恐ろしい状況で生命が始まった時でも、そえrは、神がそのように思召したからだ」と発言し、その後、選挙戦ではこの発言が取り上げられ、批判されることになった。

 「保守的な連邦上院を当選させるインディアナ州民の会」の創設者で、モードックを支援してきた、ティーパーティー運動の活動家グレッグ・フェティーグは、「私が学んだ教訓は、活動家は、自分たちが支援する選挙活動がきちんと運営されていることを知ることだ、というものです」と語っている。

 サウスカロライナ州では、ティーパーティー運動の活動家たちは、現職のグラハム上院議員への対抗馬を予備選挙に擁立しようと考えている。ティーパーティー運動の活動家たちは、グラハム議員は、オバマ大統領が指名した最高裁判事候補、ソニア・ソトメイヤーとエレナ・ケーガンの承認に賛成票を投じたことに反対し、批判している。

 サウスカロライナ州でティーパーティー愛国者組織の取りまとめをしているジョー・デューガンは、次のように語っている。「グラハム議員は予備選で強力な対抗馬と戦うことになると思いますよ。対抗馬の強さとグラハム議員が集められる政治資金の額の多寡は、これからの彼の活動がどのようなものかにかかっていると言えるでしょう」

 グラハム議員にコメントを求めたが、本記事掲載までに返事はなかった。

 もう一人、ティーパーティー運動のターゲットになっている共和党の政治家は、テネシー州のアレクサンダー上院議員である。ティーパーティー運動の活動家たちは、アレクサンダー議員が中道過ぎると考えている。そして、その具体例として、2011年7月に、ライフラインに関するアメリカ環境保護庁の規制の導入に関し、それに賛成する投票を行ったことを彼らは挙げている。

 テネシー州マーフィーズボロに住むティーパーティー運動の活動家、キャサリン・ハギンズは次のように語っている。「アレクサンダー議員は、民主党に近すぎます。私たちは彼が芯の部分では環境保護主義者であると確信しています。彼はダークサイドに堕ちてしまったのです」

 ティーパーティー運動に属する各グループの幹部たちは、予備選挙に勝てる候補者者探しに奔走している。テネシー州でもアレクサンダー議員に対抗する候補者探しが行われている最中だ。保守派団体フリーダムワークスが主催した昨年9月にオハイオ州で開かれたある集会で、テネシー州のティーパーティー運動の活動家たちのグループは、インディアナ州から参加していたフェティーグに近づき、ベテランの上院議員をどうやったら追い落とせるのか、アドバイスを求めた。

 フェティーグは「あの人たちには選挙の2年前から活動を始めても早すぎることはないですよ、と言っておきました」と述べた。

 アレクサンダー議員は、公式声明の中で、テネシー州の共和党は、ティーパーティー運動を含む、様々な個人や組織の参加を歓迎している、それはこうした人や組織が共和党をより正しい方向に進めてくれるからだと述べている。また、アレクサンダー議員は次のようにも述べている。「私が言いたいことは、私たちはいささか分裂し、混乱しているが、大きくは同じ方向を向いているということです。わが共和党はより大きくなり、成功をおさめ、より保守的になっています。そして、私は、引き続き、共和党の候補者となれるように努力をしています」

 2012年の選挙の敗北分析をする中で、ティーパーティー運動の活動家たちは、ロムニー候補の敗北の責任をロムニー候補自身が負うべきだと率直に述べている。

 ティーパーティー・ネイションの設立者ジャドソン・フィリップスは、「私たちが中身のない選挙戦を行い、少なくとも共和党内部の中道から逸脱してしまう候補者を選んでしまえば、そのしっぺ返しは私たち自身に降りかかってきますよね」と述べた。

ティーパーティー運動への支援、支持は最高潮だった2010年から減少してきている。

 11月の選挙で、5000人以上の有権者を対象に行われた全国規模の世論調査の結果によると、約21%の人がティーパーティー運動を支持し、30%が反対していた。約42%はどちらとも言えないと答えた。

2010年9月、共和党に下院での過半数をもたらした選挙が行われる少し前、ウォールストリート・ジャーナル紙とNBCニュースの共同世論調査が行われた。その結果によると、成人の約27%がティーパーティー運動を支持していた。そして、42%が、ティーパーティー運動はアメリカの政治システムにとって有益な存在であると答え、18%が有害と答え、28%がどちらとも言えないと答えた。

フィラデルフィア郊外に住む、アナスタシア・シュビルスキーは、キッチン・テーブル・ペイトリオッツという組織の共同設立者である。シュビルスキーは、ティーパーティー運動の活動家の中には、選挙結果に打ちひしがれたままの人たちがいると述べている。そして次のように語った。「そのような人たちは、『ああ、神様。この世の終わりです』なんて言っていますけどね。私たちはそんな人たちを落ち着かせなきゃいけないんです」と。

 彼女のグループは、12月20日にペンシルバニア州ドイルズタウンで集会を主催する。この集会の目的は、ティーパーティー運動の活動家たちを再び奮起させることだ。シュビルスキーは、この集会で次のようなメッセージを発信したいとしている。それは、「物事は右に行ったり、左に行ったりするけど、希望を失ってはダメ」というものだ

 ティーパーティー運動の活動家の中には運動自体に幻滅している人たちもいる。サウスカロライナ州コロンビアでティーパーティー組織を設立したアレン・オルソンは、運動の参加者たちを「分裂して」いて、「フワフワ生きている」と形容している。

 オルソンは次のように述べた。「ティーパーティー運動の活動家たちの多くは、オバマ大統領に勝利をもたらした人口動態の実態を否定しています。そして、ティーパーティー運動は、運動の中核をなす使命を超える様々な問題に取り組んでいます。ティーパーティー運動は規律ある財政の達成にだけ取り組むべきです。それ以上は必要ありません。それなのに、移民法の改正や有権者ID法に取り組んでいます。そうした問題は共和党が取り組むべき問題であって、ティーパーティー運動が関わるべき問題ではないと私は思います」

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-11-25 01:48 | アメリカ政治