翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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2012年、大変お世話になりました

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 2012年12月31日大晦日を迎えました。今年一年、皆様には大変お世話になりました。どうもありがとうございました。

 私にとりまして、2012年は記念すべき年となりました。初めての単著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)を上梓しました。また、ロバート・ケーガンの著書の翻訳『アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界』(ビジネス社)も刊行しました。

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 今年、世界の多くの国々で国政選挙が行われました。日本でも総選挙が行われ、民主党から自民党へと政権交代が行われました。2013年には、日本のアメリカの「下請け化」が進むものと思われます。

 2013年、私たちは「生き延び」ながら、「終わらない民主政治」の擁護を続けていかねばならないと考えます。2013年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 読者の皆様には、良い年末年始をお過ごしになれますように、お祈り申し上げます。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2012-12-30 20:06 | 個人的なこと

安倍政権の「価値観外交」とオバマ政権のPivot to Asia

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 安倍晋三首相が国会で総理大臣に指名され、安倍内閣が発足しました。安倍政権は、来年(2013年)7月の参議院議員選挙までは、経済に力を入れていくという観測が流れています。しかし、外交で何もしないということはありません。早速、外交についての基本的な方針が示され、行動が起こされています。まずは以下に貼り付けた新聞記事をご覧ください。

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(貼り付けはじめ)

●「首相、日米軸に「価値観外交」…アジア連携重視」
読売新聞電子版 2012年12月29日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121229-OYT1T00441.htm

 安倍首相が読売新聞との単独インタビューで語った外交方針は、第1次安倍内閣(2006年9月~07年9月)当時に掲げた「価値観外交」を、厳しさを増す安全保障環境に応じてさらに発展させるものだ。

 首相は国益重視の立場から、民主党政権で揺らいだ外交を早急に立て直す考えだ。

 「自由、民主主義、基本的人権。こうした価値観を共有する国との関係を深め、価値を広げていく。この理念に変わりはない」

 首相は28日のインタビューでこう語り、インドや豪州など価値観を共有する国と連携を強化する価値観外交の推進を強調した。

 さらに「アジア情勢が緊迫している。北朝鮮のミサイル、中国の海洋での振る舞いがある」とし、北朝鮮の問題に加え、沖縄県の尖閣諸島を巡る問題など中国の挑発的行動に懸念を表明。「2国間関係だけをみるのではなく、地球儀全体を俯瞰ふかんしながら戦略を考えるべきだ」と指摘した。

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 首相は言葉通り、28日には豪印露、インドネシア、ベトナムなどの首脳と相次いで電話で会談。首相周辺は「これらの地域の大国を結ぶと、中国をすっぽりと取り囲む形になる」と解説する。「中国包囲網」を連想させることで、中国に外交的な圧力をかける狙いもあったようだ。

 第1次安倍内閣では、東南アジアや中央アジアなどの民主主義国を支援する「自由と繁栄の弧」構想をもとに価値観外交を推進し、アフガニスタンなどの地域の安定化や、日本としての資源の確保を目指した。首相側近は当時と比較して、「軍事力を増す中国が南シナ海や東シナ海で挑発行為を繰り返して地域の不安定要因となっている点が大きく違う。沖縄県の尖閣諸島を巡る問題で日中も緊張関係にある」と指摘。この間、民主党の鳩山政権が「東アジア共同体」構想を唱え、日米同盟やアジア外交を迷走させたこともあり、対中戦略を重視した外交の立て直しが急務だとしている。

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 首相は価値観外交で日本の外交基盤を強めたうえで、中国との間で互いに共存共栄を図る「戦略的互恵関係」を追求し、日中関係の改善を図りたい意向だ。

 さらに、ロシアやインド、ベトナムなどとの関係強化は、経済的な利益につながる可能性が高い。資源の確保や高い技術を持つ日本のインフラなどの輸出先として期待できる点も重視しているとみられる。(2012年12月29日16時02分 読売新聞)


●「麻生氏、年明けにミャンマー訪問 大統領と会談」
共同通信 2012年12月29日
http://www.47news.jp/CN/201212/CN2012122801001995.html

 麻生太郎副総理兼財務相が1月2日からミャンマーを訪問することが28日、分かった。3日にテイン・セイン大統領と首都ネピドーで会談する。経済発展が著しいミャンマーとの関係を強化、日本企業の進出を後押しする。安倍新政権の外交が本格的にスタートする。

 麻生氏はウィン・シェイン財務・歳入相との会談も調整している。4日に最大都市ヤンゴン近郊の「ティラワ経済特区」を視察し、地元企業や日系企業と意見交換する。第2次世界大戦の戦没者が埋葬されている日本人墓地も訪問する予定。5日に帰国する。

2012/12/29 00:18 【共同通信】

(貼り付け終わり)

 安倍政権の外交は、「価値観外交」を基本にするということです。この価値観外交とは、「自由、民主主義、基本的人権」を重要な原理としている各国と外交的な連携を深め、これらの価値を原理としない国々、具体的には、中国と北朝鮮と対峙する、これらを封じ込める(containment)というものです。読売新聞の地図に引かれた線が中国を封じ込める線ということになります。また、こうした封じ込めのラインを作るために、安倍総理は、「豪印露、インドネシア、ベトナムなどの首脳と相次いで電話で会談」し、麻生副総理は、新年早々、ミャンマーを訪問し、テイン・セイン大統領と会談をすることになっています。安倍政権は、アジア諸国と連携して、勃興する中国に対応するという道を選ぶ、そのために、アジア諸国と中国を封じ込めるための線を構築するということを外交の基本とするということになりそうです。

 これは、2011年9月にヒラリー・クリントン国務長官が外交誌『フォーリン・ポリシー誌』に掲載した、「アメリカの太平洋の世紀(America’s Pacific Century)」というタイトルの論文で示された「Pivot to Asia」というアメリカ外交の戦略に合致するものです。(ヒラリー・クリントン国務長官の論文の内容については以下のアドレスのウェブサイトを参考になさってください→http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/ronbun.html)

 ヒラリー・クリントン国務長官の論文は、アメリカがアジアに回帰するということの宣言文です。論文の中で、クリントン国務長官は「これからの10年、私たちは、限られた時間とエネルギーを、賢く、体系的に使う必要がある。これからの10年、私たちアメリカは、指導的地位を確保、維持し、国益を確保し、私たちの持つ価値観を世界に拡散するために最も有利なポジションを取らねばならない。より具体的に言うと、次の10年のアメリカの国政にとって最も重要な目標の一つは、アジア・太平洋地域に対して、外交、経済、戦略などの面で投資を確実に増やす、ということになる」と書いています。

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 そして、ヒラリー・クリントン国務長官は、アメリカは中国との関係を深化させながら、同時に人権問題や安全保障問題で中国と対決していくということも明らかにしています。米中関係は、難しいものとなっています。経済的に言えば、両国の依存関係はどんどん大きくなっています。しかし、同時に中国の勃興に対してアメリカは警戒感を持っています。

 米中関係は大変に複雑です。単純に「仲が良い」「仲が悪い」と割り切ることはできません。それが国際政治と言えばそうなのですが、分かりにくいことになります。アメリカとソ連はイデオロギーという分かりやすい点で対立し、世界はそのどちらかに就くかを選ぶだけで済みました。しかし、米中関係はそう簡単に割り切れるものではありません。米中は対立しているようでもありながら、世界第一、第二の経済大国として協力しているようでもあります。

 米中関係がどうなるのかは、「価値観外交」を掲げる安倍政権率いる日本にとっても重要です。日本もまた中国への輸出でご飯を食べている現状です。ですから、中国と対立することはまだしも、決定的に関係を悪くして、経済関係に悪影響を及ぼすことは避けねばなりません。「武士は食わねど高楊枝」は精神としては素晴らしいですが、現実としては不可能な話です。人間ですからご飯を食べなければなりません。

 安倍政権は中国を取り囲む周辺近隣諸国との関係を深め、その外交関係を持って、「中国を封じ込める力を持ち」ながら、中国との関係を改善したいと言っています。しかし、そのような敵対的な態度で、中国との関係を改善することはできるのでしょうか。「お前をやっつける力があるからお前と仲良くしてやる」と言っているようなものです。また、註号を封じ込めるための基礎となるアジア諸国との関係ですが、これらの国々は都合が良い時にはどちらにもつくものであり(それが国益というものです)、「価値観が同じだから日本と協力して中国と対峙しよう」と常に考えてくれるわけではありません。

 それなのに、どうして「価値観外交」なのでしょうか。それは、日本がアメリカの「下請け」をやらされているからです。アメリカと中国との関係は複雑だと先ほど書きました。しかし、アメリカは中国との関係を悪化させ、特に重要な経済面での協力関係を悪化させることはできません。しかし、中国の勃興は何とかしたいというジレンマに陥っています。

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 そこで登場してくるのが日本です。アメリカは、経済的な果実は手にしながら、中国の勃興の阻止、もしくは嫌がらせは日本にやってもらおうとしているのです。最近、日米関係に関する論稿で、日本側の「負担の分担(burden sharing)」を期待する、という文言をよく目にします。そのために、日本政府が(日本国憲法の第9条を基にして)政府見解として認めていない集団的自衛権を認めさせて、自衛隊を米軍の「下請け」にして、日本の領空、領海以外でも活動ができるよう、アメリカは求めています。最悪の場合、アメリカの代理で、中国と戦火を交えるということがかなり現実的になってきています。

 他国は、そのような状況になった時、「価値観外交」で日本と外交関係が深まったからと言って、一緒になって戦ってくれるとは限りません。日本だけで戦い、日中両国だけが疲弊すればいいや、そしたらまたアメリカに頼ればいいやということで、何もしてくれないことは十分にあり得ます。
 
 また、アメリカは、中国との経済関係を維持しつつ、中国の勃興を遅らせることができたら良い訳ですから、「適度な」「軽い(米軍が出動しなくても良い程度の)」日中の軍事衝突は受け入れることができます。

 安倍政権の「価値観外交」がこのようなシナリオも含んでいることを考えながら、これから、2013年の日本外交の行方を見ていくことも重要なのだろうと私は考えます。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2012-12-29 23:51 | 日本政治

日本未来の党の分裂のニュースを聞いて思ったこと

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 2012年12月26日、国会では安倍晋三自民党総裁が総理大臣に指名されました。そして、安倍内閣が発足しました。この同じ時期、日本未来の党は、党内不和から分裂の道を選びました。本日、日本未来の党の党首(だった)嘉田由紀子滋賀県知事と、小沢一郎代議士が滋賀県大津市で共同記者会見を行うということです。

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(記事貼り付けはじめ)

●「嘉田氏ら「名」を、小沢氏「実」取る…未来分裂」

読売新聞電子版 2012年12月28日

 日本未来の党は27日、党名を「生活の党」に変え、代表を嘉田由紀子滋賀県知事から森裕子参院議員へと変更することを総務相に届け出た。

 「生活の党」は小沢一郎衆院議員ら旧「国民の生活が第一」(現在は国会議員15人)のメンバーで構成される見通しで、嘉田氏と嘉田氏に近い阿部知子衆院議員らは離党することになり、分裂が決まった。嘉田氏らは政治団体として党名を引き継ぐ方向だが、結党1か月にして国会から未来の党の名は消えた。

 小沢氏と嘉田氏は28日に大津市内で共同記者会見を行い、党分裂の経緯などを正式に説明する。

 当初は小沢氏らが離党するとの観測もあったが、離党して新党を結成した場合に受け取れる政党交付金は、未来の党が受け取る予定だった約8億6500万円(現時点での勢力による試算)と比べ、大幅な減額となる。小沢氏に近い議員が「衆院選の選挙資金の多くは、旧『国民の生活が第一』が負担した」などと語る一方、嘉田氏側は、日本未来の党という党名の存続にこだわり、党の「割れ方」を巡る騒動を「カネ目当てと思われたくない」と周辺に語っていた。これが、嘉田氏らが「名」を取り、政党交付金という「実」を小沢氏らが取る格好の決着になったものとみられている。(2012年12月28日05時29分 読売新聞)

(貼り付け終わり)

 日本未来の党は名前を「生活の党」にし、党首を嘉田由紀子知事から森裕子参議院議員に変更することになりました。離党するのは、嘉田由紀子知事と阿部知子衆議院議員で、党名は嘉田知事と阿部代議士が引き継ぐということになりました。新しい「日本未来の党」は、政党要件を満たさない、政治団体ということになります。

 2012年11月27日、嘉田由紀子滋賀県知事が新党「日本未来の党」結成を発表し、翌日の11月28日に選管に届け出を行い、日本政治の世界に「日本未来の党」が出現しました。小沢一郎氏が代表をしていた「国民の生活が第一」がすぐに合流を発表しました。また、新党を結成していた亀井静香氏たちも合流し、選挙前に衆議院議員61名、参議院議員8名の政党が誕生しました。私は、この日本未来の党結成時、「どうしてこの時期に、嘉田滋賀県知事が新党を結成し、それに小沢氏たちが合流するのか」という疑問を持ち、「違和感」を持ちました。そして、そのことをブログでも書きました。

 12月16日に実施された総選挙で、日本未来の党は大敗を喫し、所属衆議院議員は9名という結果になりました。その後、党内で人事をめぐり、嘉田代表と所属国会議員たちとの間で対立が起こり、昨日、日本未来の党から嘉田知事と阿部議員が離党ということになりました。

 思えば、2009年の民主党(と連立相手である社会民主党と国民新党)による政権交代は約3年で変質し、民主党は第二自民党と化し、そして、今回、自民党が総選挙で大勝利を収めることになりました。そこには、有権者の深い失望がありました。そして、強い怒りがありました。

 民主党の変質から、小沢一郎氏と小沢氏を支持する議員の離党、国民の生活が第一の結党、日本未来の党への合流、そして分裂という一連の「ここは決起せよ」「勝負を挑め」という決戦主義、突撃主義がありました。その裏側に「決起に参加せぬ卑怯者、臆病者」という罵倒がありました。また、今回の日本未来の党の分裂に関しては、嘉田知事や小沢代議士、森裕子参院議員に対して、罵詈雑言が投げつけられました。

 こうした一連の動き、日本人の短気さを示していると思います。「早く理想の状態に辿り着きたい」「早く結果を出してほしい」という焦燥が人々を駆り立て、怒りの感情を湧き起こさせ、罵詈雑言を吐いている、このように感じます。

 映画『硫黄島からの手紙』の中で、徹底抗戦で1日でも長く島を死守するという意図を持つ栗林忠道中将に対し、その他の多くの将官が決戦主義を主張し、自決、総攻撃、玉砕の道を選んでいきます。これは日本人の潔さを示すエピソードでありますが、同時に日本人の短気さも示しています。

 また、「日本にとっては自民党がいちばん良いのさ」「何をやっても変わらない」「日本国民は馬鹿ばかりだからな」という諦観と蔑みの感情も、今回噴出しました。自民党を支持している人々からも、それ以外を支持している人たちからもそのような声が聞かれました。これもまた、日本人の短気さ(=一度うまくいかなかったら「潔く」諦める)を示していると思います。

 民主党の変質から未来の党の分裂までの間、大変な罵詈雑言が聞かれました。その対象は、嘉田知事であったり、小沢議員であったり、森議員であったりと様々ですが、どうも見ていると、罵倒している人たちが一番罵倒したいのは、その人たち自身であるように思います。「信じた自分が馬鹿だった」「裏切られた」という気持ちの噴出であると私は見ています。それもこの3年ほどで「理想が実現されなかった」「結果が出なかった」ことに対する焦燥と失望が原因であると考えます。

 この日本人の短気さについては、山本七平がイザヤ・ペンダサンという名前で書いたベストセラー『日本人とユダヤ人』の中でも指摘されていることです。日本人毎年「キャンペーン型稲作農業」で鍛えられ、締切から逆算して行動するという訓練を受けてきたが、遊牧民たちはまた違う時間の流れで生きた、というのが山本七平の書いていることです。そして、日本人は「待つ」ということが苦手で、待つとなるとイライラして待つということになるのだと山本七平は書いています。

 私たちが陥っているのは、まさにこのような状態なのではないかと私は考えます。日本人特有の短気さゆえに、民主党による政権交代から以降の出来事に大きく失望し、怒り、諦めるというようなことになっているのではないかと思います。

 しかし、このような怒りや諦観をいつまでも引きずる訳にはいきません。私は、アメリカ生まれのユダヤ人政治学者マイケル・ウォルツァーの『正義の領分』(山口晃訳、而立書房、1999年)に所収されている「我が身を振り返って―私の特定主義―」という文章を思い出します。

 ウォルツァーはこの文章の中で、ユダヤ人のものの考え方を書いています。その中で、次のような文を書いています。

 「『指おり数え』『終わりを強行する』人々は、繰り返し私たちの人民に災厄をもたらしてきた。それゆえに、数えることと強行することの両方に対してラビの政治があるのである」

 「政治的解放、社会建設、国民形成、立法といった仕事、これらはすべて永続するものである。文字通り継続し、終わることなく更新される」

 「私たちは、最後の詩を書くことを期待すべきではないように、最後の法を制定したり、最後の国家を建設することを期待すべきではない」

 ユダヤ人に対しては、毀誉褒貶様々ありますが、歴史を見れば、自分たちの国家建設のために千年単位かけ、その間にユダ人内部でも激しい対立があったり、迫害にあったりと様々な出来事が起きています。しかし、ユダヤ人は民族として生き延びてきました。迫害や失敗の後に自暴自棄になることなく、また同じことを繰り返していったということが、ウォルツァーの言葉から読み取れます。また、考えや意見の多様性を大事にしていること、これもまた重要なのだろうと思います。このことについては今回は触れません。

 私たちは「決戦主義「突撃主義」で短兵急に結果を求めるのではなく、同じことを繰り返していく、それで良いのだ、と思うことから始めるべきではないかと思います。そこには華々しさはなく、長距離走のように苦しいことばかりがあると思います。しかし、それでも繰り返しをただ繰り返していく。うまくいかなかったら、また最初からやっていく、ということを「気長」にやっていくしかないのではないかと思います。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-12-28 15:35 | 日本政治

宣伝:「副島隆彦の“予言者”金融セミナー第5回」が開催されます

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


副島隆彦の“予言者”金融セミナー第3回『「金・ドル体制」の終わり』発刊記念講演DVD (副島隆彦の“予言者”セミナー)

副島 隆彦 / 成甲書房



来年(2013年)の1月27日(日)に副島隆彦先生の金融・経済講演会(『ぶり返す世界恐慌と軍事衝突』発刊記念)が開催されます。

係の方に確認したところ、座席はまだあるそうです。電話やメールの受付は、年末は12月28日(金)18:00まで、年始は2013年1月7日からだそうです。

・開催日:2013年1月27日(日)
・開演:11時(開場・受付10時)・途中休憩有
・終了:17時30分(予定)
・受講料:15,000円(税込)/全指定席
・会場:東商ホール(東京商工会議所ビル4階)
     〒100-0005 
     東京都千代田区丸の内3-2-2
・アクセス:JR有楽町駅・・・5分
       地下鉄千代田線二重橋前駅・・・2分
       地下鉄都営三田線日比谷駅・・・2分
・お問い合わせ先:
ブレイントラスト企画(成甲書房内)
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-42
電話03-3292-8401(平日10:00~18:00)
ファックス050-3156-3040
Eメール seminar@seikoshobo.co.jp

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アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


副島隆彦の“予言者”金融セミナー第2回『大災害から復活する日本』発刊記念講演DVD

副島 隆彦 / 成甲書房


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by Hfurumura | 2012-12-24 17:11 | 宣伝

ヘーゲルの国防長官指名をめぐる論稿②

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



連邦下院民主党議員の発言:「ヘーゲル氏はイスラエルに対して独特の敵意を持っている」(Top House Democrat: Hagel has an ‘endemic hostility towards Israel’)

ジョシュ・ロギン(Josh Rogin)筆
フォーリン・ポリシー誌(Foreign Policy)
2012年12月21日
http://thecable.foreignpolicy.com/posts/2012/12/21/top_house_democrat_hagel_has_an_endemic_hostility_towards_israel

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チャック・ヘーゲル

 連邦下院外交関係委員会に新たに加入した民主党議員がヘーゲルの次期国防長官指名について反対を表明している。この議員は、「ヘーゲル氏はイスラエルに対して独特の敵を持っている」と確信しているそうだ。

エリオット・エンゲル連邦下院議員(民主党、ニューヨーク州選出)は、ヘーゲルの国防長官指名に関して懸念を表明した議員の一人である。そして、エンゲルは連邦下院議員として、ヘーゲルが国防長官に指名された場合、承認には反対票を投じると言明している。

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エリオット・エンゲル

 エンゲルは、新たに連邦下院民主党の外交政策のリーダーに就任した。エンゲルの発言は、オバマ大統領がヘーゲルを国防長官に指名しようとしているということに対しての強い非難ということになる。

 今週の金曜日(12月21日)、エンゲルは、ウェブサイトのザ・ケーブルとポリィティコが共同で行い、C-SPANで放送されたインタビューに応じた。 エンゲルは、「ヘーゲル氏のイスラエルとイランについてのこれまでの発言を見ると、国防長官にふさわしくない」と述べた。ヘーゲルは、以前、国務省での勤務の経験もあるアーロン・デイヴィッド・ミラーのインタビューに応じ、その中で「ユダヤ・ロビー(Jewish lobby)」について言及した(ミラーはヘーゲルの指名を支持している)。エンゲルは、この発言を特に問題視している。

 「私は、ヘーゲル氏のユダヤ・ロビー発言はトラブルを引き起こし、問題になると思います。彼の発言は、良く言って、感受性の欠如を示していますし、悪く言って、偏見から出たものです。私はこの発言について懸念を持っていますし、ヘーゲル氏の国防長官指名についても懸念を持っています。私に指名権があるなら、チャック・ヘーゲル氏を指名することはありません」

エンゲルの選挙区は、ブロンクス、ロックランド、ウエストチェスターである。エンゲルは、選挙区の有権者の多くがヘーゲルの国防長官指名に反対であると彼に語ったと述べた。エンゲルはまた、ヘーゲルのイスラエルに関連する行動は、それにはハマスやアメリカ政府に対するイスラエルの影響力についての発言も含まれているが、これらは、ヘーゲルがイスラエルに対して「敵意」を持っていることを示していると述べている。

 エンゲルは次のように語っている。「ヘーゲル氏はイスラエルに対して独特の敵意を持っているようです。これは、私や多くの人々にとって問題です。国防長官は大変に微妙な、感受性の必要なポジションです。ヘーゲル氏の発言は、彼が国防長官に向いていないことを示しています」

 エンゲルは、「オバマ大統領には自分の安全保障チームのメンバーを選ぶ権利と権威を持っています。しかし、オバマ大統領は論争を避けるためにヘーゲル氏の指名を行わないと思いますよ」と述べた。

 エンゲルは、「大統領はヘーゲル氏の指名は問題になるだろうことは知っていると思いますよ」と述べた。

 エンゲルは、政策担当国防次官を務めたミッシェル・フロノイ(Michèle Flournoy)が国防長官にふさわしいと述べた。エンゲルはまた、オバマ大統領がジョン・ケリー(John Kerry)連邦上院議員(民主党、マサチューセッツ州選出)を次期国務長官に指名したことを賞賛した。

 エンゲルは「私はジョン・ケリーについてよく知っています。彼の知識は豊富です。外交政策を専門にしています。外交に関する全ての問題に精通し、政治についてもよく分かっています。私は、ケリーの指名は最高の指名であると考えます。ケリーは大変素晴らしい国務長官になりますよ」

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2012-12-24 14:23 | アメリカ政治

ヘーゲルの国防長官指名をめぐる論稿①

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



ヘーゲルと彼の批判者たち:キューバ版(Hagel and His Critics: Cuba Edition)

ロバート・ゴラン=ヴィエラ(Robert Golan-Vilella)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2012年12月21日
http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/hagel-his-critics-cuba-edition-7897

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チャック・ヘーゲル

 チャック・ヘーゲルの国防長官の就任をめぐる戦いに新たな人物が参戦してきた。昨日、ワシントン・フリー・ビーコン紙は、マルコ・ルビオ連邦上院議員が、「ヘーゲルが国防長官に指名された場合、反対をするという脅しともとれる声明を発表した」と報じた。興味深いことに、ルビオの懸念は、イスラエルやイラン、その他の最近になってヘーゲルに関して囁かれている懸念のどれにも当てはまらない。ルビオの懸念は全く別の地域に関することだ。それはキューバについてである。 ルビオの広報担当のアレックス・コナントの出した声明から一部を引用する。

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マルコ・ルビオ

 「ラテンアメリカ諸国における民主政治体制の促進はルビオ上院議員の優先事項である。そして、この問題に関して疑義がある場合、政権の高官の承認について、ルビオ議員は常に反対票を投じてきた。もし、オバマ大統領がヘーゲル元上院議員を政権の一員となるように指名するならば、私は、ヘーゲル氏のキューバに対する姿勢について質問をすることになる」

 ルビオの反対は、ヘーゲルが以前、「アメリカの対キューバ政策に関して言うと、時代遅れで、非現実的、そして全く重要ではない」と発言した事実を基にしている。ヘーゲルは長年にわたり、アメリカ政府の対キューバ禁輸政策を批判し、キューバとの交易を再開することを支持してきた。

 キューバに対する姿勢が国防長官の適性に対して重要ではないという事実はまずおいておく。国防総省が重要視している問題はキューバ以外にも少なくとも10以上はある。そして、ホワイトハウスと議会の方が、国防総省に比べて、対キューバ政策の方向性を決めるうえではるかに強力である。更に重要なことは、キューバに関する姿勢をヘーゲルの国防長官に対する適性をテストすることに使うならば、彼の姿勢は国防長官に対する適性を示すものであり、承認に賛成する理由となりこそすれ、反対する理由にはならない。ヘーゲルの言っていることは完全に正しい。アメリカの対キューバ政策は冷戦期の遺物であり、時代遅れだ。そして、私たちには、キューバと交易をし、外交関係を持つことを拒絶する理由は存在しない。私たちは現在、多くの独裁国家と交易し、外交関係を持っている。先週、ダグ・バンドウが本誌上で主張したように、アメリカの対キューバ政策は、有効性を失い、変化させる時期はとっくの昔に過ぎている。

 古い格言に、「ある人がどんな人物なのかを判断するには、その人の敵を見ればよい」というものがある。この格言の内容にすべて賛成できなくても、ヘーゲルを批判する人々は、ヘーゲルの株をどんどん上げているということは間違いない。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2012-12-24 13:01 | アメリカ政治

ジョン・ケリー国務長官就任

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



アメリカの次のトップ外交官(America's Next Top Diplomat)

ウィキリークスが暴露するジョン・ケリー(What the WikiLeaks cables reveal about John Kerry)

J・ダナ・スタスター(J. Dana Stuster)筆
フォーリン・ポリシー誌(Foreign Policy)
2012年12月21日
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/12/21/americas_next_top_diplomat
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/12/21/americas_next_top_diplomat?page=0,1

 ジョン・ケリーが次の国務長官に選ばれるのが当然だと読者の皆さんが考えるなら、それは、ジョン・ケリーだからだ。ジョン・ケリーは27年にわたり、上院の外交関係委員会に参加し、2009年からは委員長を務めている。ジョン・ケリーはジョー・バイデンの後任で委員長となった。上院外交関係委員会委員長として、ジョン・ケリーは世界各国を飛び回り、様々な問題に取り組んできた。ジョン・ケリーは世界各国の指導者たちと会談し、歴代政権の使者として重要な、そして機密扱いのメッセージを世界各国に届けてきた。しかし、多くの会談や交渉が非公開で行われているので、ケリーの実際の外交スタイルを知ることは難しい。

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 ウィキリークスが暴露した海外電報の中にいくつかヒントがある。ウィキリークスによって暴露された米国務省の公電(2005年から2010年初めにかけてのもの)では、ケリーの海外訪問について言及されている。同時期、ケリーは、プレトリア、イスラマバード、北京、ダマスカスを訪問した。国務省の公電には、訪問の内容を要約した内容が書かれており、ケリー以外の人物の発言も掲載されている。これらの内容は「ケリー上院議員の発言に対応して」「ケリー上院議員がこの問題についてこう質問し、こうこうと返答した」などという形式で書かれている。国務省の公電を読むと、「飛行機で飛び回る忙しい外交官」というイメージが浮かび上がる。

 ケリーが長年取り組んできた問題を見ると、彼の外交スタイルの一端が分かる。ケリーは常に難しい問題に取り組んできた。若手の上院議員の頃は、ベトナムでアメリカ軍将兵の捕虜が行方不明になった問題に取り組んだ。最近では、頻繁に中東諸国を訪問した(シャトル・ディプロマシーと呼ばれている)。ケリーは不愉快な人物たちと仕事をすることを避けることはない。例えば、カンボジアのフンセン首相は、カンボジア国内でポルポト派が裁判を受けることに同意するに当たり、ケリーが約10年間、交渉の成功に努力してきたことを賞賛した。ある公電では、フンセン首相の発言を紹介している。その発言は次のようなものだ。「ケリー上院議員は、カンボジア国内でのポルポト派の裁判が成功するように努力してきた」

 ケリーは問題から逃げない。自ら関与しようとしてきた。それは、アラブ世界の諸問題への対処を見ても明らかだ。ケリーは頻繁にアラブ世界の各国を訪問してきた。2006年、ケリーは、レバノンのベイルートで当時の連立政権の指導者たちと会談した。そして、ラフィーク・ハリーリー元レバノン首相の暗殺の捜査に対する助言を行った。また、レバノンの野党勢力とも会談した。その後、シリアのダマスカスで、レバノンの野党勢力を支援しているシリアのバッシャール・アル=アサド大統領とも会見した。

 気候変動は解決の難しい重要な問題であり、ケリーが関心を寄せている問題である。2007年にバリで開催された気候変動に会する国際会議にケリーは出席した。彼は、少なくとも10カ国(パートナー国のフランスから中国まで)からの代表団と会見した。また、25のNGOの代表者たちとも会見した。ケリーは、気候変動問題で重要な存在である中国に特に注意を払っている。彼は、2009年のコペンハーゲンでの国際会議の開催前に、北京を訪問した。その時ホワイトハウスからのメッセージを携えていた。ホワイトハウスのメッセージは次のようなものだった。それは、「世界はエネルギー基盤の変化を必要としている。そして、持続可能な経済成長の方向に進むことを求めている」というものだった。ケリーは、中国の政府高官たちを動かして、温室効果ガスの排出の測定に関し、従来とは異なる基準を受け入れてもらおうと努力した。ケリーと中国政府高官との会話は最初から好感触だった。ある公電には次のようにある。「ケリーと中国の副首相との会話が始まると、雰囲気は楽観主義に包まれた。ケリー上院議員と中国の副首相との間で、率直な意見交換が行われ、双方の国益についても率直に語られた。この会談で、中国側は、アメリカのオバマ新政権が気候変動を米中二国間に存在する問題で最優先のものだと考えていることを理解したであろう」しかし、ケリーの訪問から7か月後、コペンハーゲンで国際会議が開催された。会議では、ケリーが北京で議論した諸問題の議論だけに終始し、何も進展がないままに終わった。

 しかし、ウィキリークスで暴露された公電では、ケリーが騙されやすい人物であるとは描かれていない。中国政府高官たちと気候変動について話している時、ケリー上院議員は、他国には、気候変動について、中国やアメリカが参加しなくても解決できるように動くよう圧力をかけていた。2008年初めに気候変動について国際的な議論が始まった時、議論の結果が自分の選挙に不利な要素となることをケリーは恐れた。「国際的議論が進み、ある程度の合意が達成されれば、アメリカは議論の結果を尊重し、その合意に基づいて国内法を整備する」とケリーは述べた。しかし、この発言はあまりに楽観的、非現実的すぎる。

 アラブとイスラエルとの間では微妙な和平交渉が行われている。この交渉に対するケリーの関わりは賛否両論を引き起こすことになった。これはウィキリークスが国務省の公電を暴露したことで明らかになった。2009年、ケリーは、レバノンの大統領に対して、「アメリカは和平交渉が長引きすぎ、一刻の猶予もないと感じている」と語った。レバノンの首相との会見で、ケリーは、「ジョージ・ミッチェルが特使に任命されたのは、アメリカが和平達成のために積極的に関与するサインである」と述べた。ケリーはアラブの指導者たちに対して非現実的な約束をした。シリアの副大統領に対して、アメリカの政策は、イスラエルの新たな入植地の拡大に反対する内容だと語った。また、締結されるだろう和平合意の枠組みの概要を話した。そこで、パレスチナの首都は東エルサレムになるだろうと語った。国務省の公電が暴露されたとき、ケリーはカタールの首長との会見の内容が明らかにされ、批判を受けることになった。

 ケリーが収めた成功の中で知られていないのが南アジアに関することである。ケリーは、インドのマンモハン・シン首相、首相の安全保障担当補佐官M・K・ナラヤナンと会見した。この会見で、ケリーは、アメリカとインドとの間で民生用の核技術に関する対話を行うように提案した。そして、米印間の対話の結果が米印原子力協力協定となった。こうした議論の中で、ケリーは慎重な姿勢を崩さなかった。米印原子力協力協定は、インドとアメリカ上院の支持だけでなく、国際機関やインドの一般国民の支持を得た。2008年にムンバイでテロ攻撃が起きた時、ケリーは、インドとパキスタンとの間で緊張が高まらないように調停者として努力した。2009年、ケリーは、アフガニスタンのハミッド・カルザイ大統領を説得し、大統領選挙の決選投票を行うことに成功した。この時のアフガニスタンの大統領選挙は、1回の投票では結果が決まらなかった。そして、カルザイ大統領が決選投票で勝利をしたと時、ケリーは対抗馬の候補に電話をし、潔く敗北を受け入れるように説得した。

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 ケリーはパキスタンに関しては運に見放された。ケリーは、ケリー・ルーガー援助法のようなイニシアチブを通じて、アースィフ・アリー・ザルダーリー大統領の権力の確立と文民政府の樹立を支援することに奮闘した。しかし、パキスタンの強力な軍部の抵抗にあり、ほとんど前進はなかった。オサマ・ビン・ラディンがパキスタンのアボッターバードの隠れ家で発見された時、ケリーが行ってきたパキスタンの文民政府の力の確立に向けての努力は行き詰ってしまった。

 ケリーは、アメリカの国内と国外で気候変動に対処するイニシアチブを創設した。また、レバノン国内に特別法廷を設置することに努力を傾けた。これは政治的な難問となった。そして、これがハリリ政権の崩壊につながった。そして、それから8年過ぎても、ラフィーク・ハリーリー元レバノン首相の暗殺に関して、解明が全く進んでいない。中東の和平合意に向けて、ケリーはアラブ諸国の指導者たちからの助言を受け入れた。彼らは、イスラエル・パレスチナ間の紛争を終息させるには、イスラエルとシリアとの間の主張の相違をまず解決することだとケリーに助言した。ケリーは、この助言を受けて、シリアのアサド大統領と何回もダマスカスで会談を行った。

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 アサド大統領との会見で、ケリーは厳格さを崩さないが、優しさを出していた。2006年12月、ケリーはアサド大統領に対して、和平プロセスに関して積極的な方向に向かっていること、イラク国内に流入する民兵の流れを止めていることを評価していると述べた。また、アサド大統領は既に明確な方向転換を行ったのにブッシュ政権がそれを評価しないという懸念を持っていたが、ケリーはこの懸念を払しょくしようとした。ケリーは、会談(meeting)の締めくくりで、アサド大統領に対して警告(warning)を発した。ケリーは、「イランが優勢になっていると考えている人たちは間違いを犯している」と述べた。また、暴露された公電から紹介する。「ケリーはアサド大統領に対して、中東地域で起きている事件を見て、自分の政権が安泰だという過剰な自信で状況を見誤らないようにすべきだと警告した。現在の状況から見て、アサド政権の将来は悲観的なものであるとも述べた」

 2010年2月、ケリーはカタールの首長と会談した。その中で、ケリーはアサド政権について口にしている。ある公電によると、ケリーは、「ダマスカスを訪問し、アサド大統領が変化を望んでいることは分かった」と述べた。これは、シリアの緊密な同盟国であるカタールに対して、アサドにより圧力をかけるように求めたことになる。より率直な会話の中で、ケリーは、「アメリカはシリアが大きく変化することは期待していないが、会話を始めることは有効だと考えている」と述べた。

 ジョン・ケリーが上院で承認を受けたら、ケリー国務長官の仕事は会話を始めることだ。ケリーは全ての相手(良い相手ともそして悪い相手とも)と交渉を始めている。ケリーの努力が全て実を結んできたということはない。そして、ケリーは、国務長官に就任したら成功確実という訳ではない。しかし、彼のこれまでの業績を見ると、私たちは、彼が成功のための努力をするだろうということだけは分かる。

※J・ダナ・スタスター:フォーリン・ポリシー誌研究員。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-12-24 00:31 | アメリカ政治

日本の未来のヴィジョンを示せ:総選挙に向けての日本政治論

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



日本の国民投票(A Referendum for Japan)

シーラ・A・スミス(Sheila A. Smith)筆
外交評議会(Council on Foreign Affairs)
2012年11月20日
http://blogs.cfr.org/asia/2012/11/20/a-referendum-for-japan/

 日本の政治家たちは立法に関する、頭を使う仕事から解き放たれ、総選挙に向けての準備にまい進している。総選挙は2012年12月16日に投開票が行われる予定だ。マスコミは、政治家たちが党を移籍し、新党が次々と結成され、大政党に挑戦する様子に焦点を当て報道している。野田佳彦首相と評判の悪い与党、民主党に対する厳しい批判が起きている。しかし、今回の総選挙が民主党に対する国民投票だと考えるのは、重要なポイントを見逃すことになる。今回の総選挙はこれからの日本のための選択を形作るものとなる。

 民主党が政権を取って以降、自民党をはじめとする野党は総選挙に持ち込もうと多大な努力をしてきた。内閣に対する不信任が国会で何度か採決された。一度などは、民主党の小沢一郎と自民党の谷垣禎一総裁との間で取引がなされ、採決が行われたこともあった。選挙の実施を求める野心は政策討議の中ではっきりと見え、民主党と自民党との間で成立した政策に関するコンセンサスは幻影であることは明らかとなった。

 現在、政治家だけが興奮状態にある。個人の忠誠心が試されている。そして、野田佳彦首相率いる民主党に属する政治家たちさえも、次の選挙に向けて新しいパートナーにすり寄っている状況である。民主党と自民党の国会議員たちは、関心や感情の面から言えば、そんなにかけ離れていないと考えられている。この考えがこれから起こる政界再編の基礎となる。多くの日本人にとって、一党支配は、日本政治が抱える問題の一部であり、一党支配の終焉は望ましいことである。日本の有権者と政治家たちは、一党支配を終わらせるには、新党を立ち上げ、穏健で、しっかりとした統治を行う方向に持っていくことであると考えているようだ。

 現在の日本政治の潮流を見ていて、大連立というアイデアが実現することは難しいのではないかと私は考えている。第一に、民主党自体が大連立の末にできた政党であるという事実を見逃している。民主党は自民党の長期にわたる支配に対抗できる、現実的な政党を作りたいと望んだ政治家たちの連立(連合)なのである。民主党という形になった連立は、政権を取った後、運営が大変難しかった。第二に、民主党の所属議員の減少は、今年の7月に小沢と彼と共に行動した人々が離党という決断をしたことで起きたことだ。そして、党所属の議員数が減少したことで、民主党は弱体化したのではなく、強化されたのである。全ての名前を挙げることはできないが、民主党に残った野田佳彦、岡田克也、玄葉光一郎、前原誠司、枝野幸男、古川元久、細野豪志たちを含む民主党に残った議員たちは、彼ら自身を改革者として考えており、与党として政権運営を行うことで大きな経験を積んだ。民主党は幹部たちによって決定がなされているということを考えると、彼らが自民党と一緒になりたいと考えているとはにわかには信じがたいものがある。

 より重要なことは、新しい政党が次々と結成されていることだ。日本政治が今でもまだ凝集ではなく分裂を続けているという印象を私は持っている。これらの新党の目的は、選挙後の新しい(連立)政権で影響力を持つことである。短期的に見れば、このプロセスの第一の被害者は民主党であり、民主党から多くの政治家が離党し、「勝ち組」に入る機会を狙うか、民主党に反対する道を選ぶかしている。各世論調査によると、民主党と新しく結成された日本維新の会が支持率では並んでいる。この両党は支持率が15から16%を推移し、自民党は約23%の支持率を得ている。従って、自民党が12月16日の選挙で最大の議席を獲得するということになると、連立の相手を選ぶことができる。

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 安倍晋三自民党総裁は野田首相の次に首相になる可能性が最も高いと考えられる。安倍氏は連立政権を率いていけるだけの能力を持っていることを示す必要がある。自民党は現在定員480の衆議院で118の議席を占めているが、この議席数を拡大しなければならない。自民党が過半数を占めると予想している人はいない。しかし、自民党の獲得議席の大きさによって、どのような形の連立政権になるかが決まる。

 日本政治が自民党一党支配の古い時代に戻ることは考えられない。しかし、興味深いのは、自民党が野党だった3年間で学んだことである。石破茂幹事長は、自民党がいつものように政権の座に復帰できるなどと期待してはいけないと同僚たちに明言している。今回の選挙で新人たちが多く当選してくると予想されるが、彼らは、古いルールに従うとは考えにくい。こうした自民党に新しく参加してくる議員たちは、石破チルドレンということになるだろう。2005年の小泉チルドレン、2009年の小沢チルドレンのようなものだ。新人たちは議員の1期目から目に見える成功を収めて、人々の支持を得て再選されることを望むだろう。更には、政策通でカリスマ性のある、若きスターである小泉進次郎のような若手たちもまた、古い自民党のヒエラルキーが復活することを望まないだろう。

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 民主党と同様、新しい自民党もまた改革のエネルギーを充てんさせて政権運絵鵜を行う必要がある。自民党は政治的エネルギーをどこに集中させることになるのか?民主党の「実験」をあざ笑うだけでは、エネルギーは無駄に使われることになる。日本に政治改革が必要であるのは明らかだ。そして、各新党は、政治改革を達成するために、過激なものから過激ではないものまで様々な提案をしている。民主党が政権を運営し始めた時、透明性と説明責任についての新しい考えを持っていた。これらの考えは日本の有権者たちに受け入れられた。彼らは既得権益を守ることに汲々としている官僚たちや党内にしか目を向けない政治家たちに対して不満をつらせていた。プロセスを変える程度のことが政治改革のゴールとはなり得ないのが現状である。

 現在の日本は、複雑な、そして矛盾した様々な問題を抱えている。その問題の多くは経済に関することであり、この点では、日本は他の先進工業国と変わらない。しかし、そうした問題の中には、日本経済に特有のものであり、日本独自の優先事項もある。そして、これらの問題は、大きく変化し、今でも変化を続けている世界経済の中で、どのように日本経済を活性化させるかということでもある。高齢化社会も問題であるし、この高齢化社会に対応する社会インフラも完全に整備されておらず、利用しにくい状況にある。戦略的に見て、日本は、10年前とは全く異なる位置にある。そして日本が世界の中でどのような位置を占めるかは、国内をどう組織するかにかかっている。国内の組織化が決定や選択肢の熟慮において重要なのである。しかし、それは、日本の選択について注意深い分析も必要であり、その選択の中にはアメリカとの同盟関係と近隣諸国との間の悪化した関係も含まれる。

 日本の国家政策に活気を与えてきた社会のパターンのいくつかが現在の日本から姿を消している。現在の若い日本人たちは親の世代とは志向や選択が全く異なる。日本が反映するためには、女性たちがもっと指導的な立場に就く必要がある。日本の女性と若者たちが最優先であると考えるものを最優先の課題にすることが現在最重要である。そして、女性と若者たちを政治のプロセスに参加させることだけが、才能を動員し、政治をより良い方向に動かすことにつながる。

 最近の世論調査の結果によると、日本国民の多くが次の総選挙には投票に行くと決めているそうだ。2009年、人々は日本政治の改革を望み、それが新しい民主党に対する大きな支持となり、選挙結果に反映された。現在、その当時にあった改革志向が消えたということはない。実際のところ、人々の改革志向は増大している。2011年、人々は歴史的な大災害に苦しんだ。三重の災害、地震、津波、原発のメルトダウンに苦しんだ。これらの災害は日本の根幹を揺るがした。約2万人が命を落とし、50万人以上が避難しなければならなかった。人口3000万の巨大都市東京は原発からの放射能の危険が差し迫ったことになった。

 日本は回復力と国の誇りを持っているかを試されている。今回の選挙を通じて日本の未来がどのようなものになるかが示されることになる。しかしながら、日本の政治家たちは、過去の分裂を引きずっている。また、日本の未来のヴィジョンを示す能力も低下しているようだ。

 2012年12月16日の総選挙は、日本の未来についての国民投票となるだろう。そして、日本の有権者たちは未来についての考えとヴィジョンを基準として次の政権を選ぶ必要がある。未来についての考えとヴィジョンが社会を前進させる。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-12-22 14:53 | 日本政治

習近平の次は胡春華だ

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



10年後の新指導者:次の「胡」(The Next Hu)

ツゥエン・ワン(Zheng Wang)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2012年12月19日
http://nationalinterest.org/commentary/hus-next-7866
http://nationalinterest.org/commentary/hus-next-7866?page=1

これから10年後に習近平の次の中国の指導者は誰になるか?それは新しい「胡」である。

 12月20日の木曜日、胡春華(Hu Chunhua、こしゅんか)は、広東省の党委員会書記に任命された。また胡春華は政治局に最近入った唯一の若手である。中国共産党がこれから10年間権力を保持できたら、2022年に開催される第20期中国共産党大会が開かれるとき、胡春華が中国の指導者に選ばれる可能性が高い。

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胡春華

 今年の11月に開催された第18期党大会の後に政治局員の確定名簿が発表された。薄煕来(Bo Xilai、はくきらい)の事件を含む様々なスキャンダルは、中国共産党の内部闘争と政治局常務委員会の人選について多くの噂を生み出した。政治局常務委員に誰がなるかについて多くの考察がなされた。そして、誰が保守派で、誰が改革派であるかということが議論された。しかし、今回の権力継承において最大の勝者は胡春華であると人々は考えている。胡春華は、まだ49歳であり、習近平(Xi Jinping、しゅうきんぺい)より10歳も若い。胡春華の異例の昇進は、中国共産党の権力継承と最高指導者選びに関する秘密のルールに則ったものである。

鄧小平(Deng Xiaoping、とうしょうへい)の遺した遺産の一つは、指導者交代の際の複雑な公式である。これは、現役の指導者が自分の後継者の後継者を選ぶというシステムである。中国語では、「隔代指定(gedai zhidin)」と呼ばれる。例えば、鄧小平は、権力を移譲する際、江沢民(Jiang Zemin、こうたくみん)の後継者に胡錦濤(Hu Jintao、こきんとう)を選んだ。江沢民は、胡錦濤の後継者に習近平を選んだ。今回は胡錦濤が影響力を行使する順番なのである。

 この後継者選びのルールができた目的は、最高指導者が力を握り続けることを避けることである。そして、鄧小平は、現役の最高指導者に自分の後継者を選ばせないようにした。これは、中国共産党内部の力の均衡を維持させることにつながり、後継者をめぐる内部抗争を減らすことにも成功した。後継者を早い段階に決定しておくことで、その選ばれた人物は、最高指導者の地位就任に向けて長い時間をかけて準備をすることができる。

 胡春華は、「小さな胡錦濤」と呼ばれている。そして、胡春華の政治キャリアは、胡錦濤全総書記と大変によく似ている。胡春華は、長年チベットで党委副書記を務めた。その後、中国共産主義青年団(Communist Youth League)のトップに任命された。それから、河北省の省長となり2年後には、すぐに内モンゴル自治区の党委書記に任命された。胡春華の在任中に、河北省で汚染ミルク事件が発生したが、胡春華は昇進を続けた。胡春華は、胡錦濤が最も信頼している人物であることは明らかだ。

 中国共産党内部の年功による昇進のルールに基づき、現在の政治局常務委員7名のうち、5名が5年後には引退することになる。胡春華は、2017年の第19期共産党大会で政治局常務委員となる可能性が高い。そして、現在から10年後の第20期共産党大会で、何か大きな事件が起きなければ、胡春華は、習近平の後継として中国共産党総書記に就任するだろう。

 中国共産党は世界最大の政党である。中国共産党内部では闘争が激しく、また強力で権威を備えた指導者がいないので、年功は指導者を選ぶ際に最重要の基準となる。2012年11月に政治局常務委員会のメンバーが発表される前、権力闘争や党内の政治的な連携関係に基づいたメンバーに関する噂が流された。しかし、最終的に発表された名簿を見ると、常務委員会のメンバー選びの際に最重要の基準は年功であることがはっきり分かった。

 現在の政治局常務委員7名のうち、第18期から常務委員だったのは、習近平と李克強の2名だけだった。その他の常務委員は全て引退した。従って、この2人が自然と中国の最高指導者となった。2人以外の5名の常務委員のうち、張徳江(Zhang Dejiang、ちょうとくこう)、兪正声(Yu Zhengsheng、ゆせいせい)、劉雲山(Liu Yunshan、りゅううんさん)の3人が政治局員を2期務めた。これらの人々は、習近平と李克強以外の政治局員たちよりも年齢が上である。彼らの年齢が上であることが常務委員に任命された理由なのである。王岐山(Wang Qishan、おうきざん)と張高麗(Zhang Gaoli、ちょうこうらい)は、今回常務委員への昇進がなかった汪洋(Wang Yang、おうよう)と李源潮(Li Yuanchao、りげんちょう)よりも年齢が上である。王岐山と張高麗は中央委員への選出が現在の政治局員たちより5年も早かった。

 年齢は重要である。鄧小平以来、中国共産党は、引退について固定したルールを設定している。68歳になった人物は、政治局常務委員にはなれない。66歳の張高麗と64歳の王岐山が政治局常務委員に昇進していなければ、彼らはこれから5年後の第19期党大会で引退することになっただろう。他方、57歳の汪洋と62歳の李源潮は第19期党大会では、まだ政治局常務委員になることができる。年功を尊重する文化では、これは人々の納得を得やすい習慣である。

 唯一の例外は、女性政治局員の劉延東(Liu Yandong、りゅうえんとう)である。彼女は張高麗よりも一歳年上である。彼女が政治局常務委員になれなかったのには2つの重要な理由がある。第一に、中国共産党の歴史上、女性で政治局常務委員になった人はいない党ことだ。更に、劉延東は目に見える業績を達成した指導者ではなく、女性初の政治局常務委員にふさわしくないということになった。第二に、他の男性の同僚たちに比べ、彼女のキャリアは中身が薄かった。彼女は、都市や省の長や経済発展部門の指導者を務めた経験がない。劉のキャリアのほとんどは、中国共産主義青年団と統一戦線に集中している。従って、政治局常務委員会に彼女に適した地位は存在しなかった。中国政治協商会議主席には彼女よりも年功が上の兪正声が就任することは既に決まっていた。劉延東が今回の人事を受け入れたのは、年齢が理由であることで説明がつく。

 新しい政治局にはもう一人の「若手」がいる。それが孫政才(Sun Zhengcai、そんせいさい)である。孫政才は、胡春華と同い年で、重慶市党委書記に任命されたばかりである。年齢のことを言えば、胡春華と孫政才は、他の政治局員に比べてかなり若い。孫政才は、2023年に李克強の次に国務院総理になると考えられている。胡春華を広東省に配し、孫政才を重慶市に配していることには重要な意味がある。経済と政治の面で、広東省は重慶市よりも重要である。このような配置は胡春華が中国の最高指導者の後継者であり、孫政才は彼の下につくということを確かなものにしている。

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孫政才

 第18期共産党大会での指導部交代で分かったことは、海外の中国ウォッチャーたちが中国共産党内部の抗争のインパクトを強調しすぎるということだ。内部の情報筋によると、薄煕来のスキャンダルが発生する前に、政治局常務委員会の名簿は決まっていたということだ。政治局常務委員会の定員が9名から7名に減ったことは、評判が悪い薄煕来が常務委員になれないようにする意図があったようである。薄煕来は63歳で、政治局常務委員会の定員が9名のままだったら、年功のことを考えると、常務委員になっていた可能性は高い。

 年功、年齢の基準と自分の後継者の後継者を選ぶという指導者選抜のルールはあるが、これは中国共産党内に内部抗争がないということを意味していない。しかし、内部抗争があることで、中国共産党がこうした基準を使うようになっているのだ。それは、より大きな混乱を避けるためだ。中国共産党では投票で指導者を選ばない。また、各指導者は様々なキャリアを経験しているため、実績を評価することは難しい。年功や指導者選抜のルールを使うことは、指導者に選ばれなかった幹部たちが人事を受け入れることができるために必要だ。これまでのところ、江沢民から胡錦濤、胡錦濤から習近平へ指導部の交代はスムーズに行われている。これから10年後に年功に基づいた同様の指導部交代が起こるかどうかを見るのは興味深い。胡春華はきっと同じような指導者交代が行われることを希望しているに違いない。

※ツゥエン・ワン博士:ウッドロー・ウイルソン国際研究センター研究員(公共政策)、シートン・ホール大学助教授。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2012-12-22 11:39 | 中国政治

安倍晋三氏がアジアの新時代を開く:ナショナル・インタレスト誌から

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



日本にとっての新しい政治課題(A New Agenda for Japan)

マイケル・オースリン(Michael Auslin)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2012年12月21日
http://nationalinterest.org/commentary/abes-priorities-7893
http://nationalinterest.org/commentary/abes-priorities-7893?page=1

 安倍晋三元首相は、今週権力を取り戻すことになった。安倍総裁率いる自民党は総選挙で大勝した。安倍氏は5年前に屈辱的な状況で首相の座を退いた。自民党は、民主党が2009年に総選挙で大勝するまで、日本を半世紀以上支配してきた。今回、自民党は地滑り的勝利を収め、衆議院の圧倒的多数を占める結果となった。しかし、今回の選挙結果は、有権者が、自民党に対する支持というよりも、民主党の犯した失敗に対する罰を与えたということなのである。日本の有権者たちは日本の全ての政党に対して不満を持っている。このような状況下、安倍氏と自民党は、日本を苦しめている諸問題に対しての解決策を自分たちが持っていると有権者たちを説得できる余地は少ない。安倍氏は素早く行動する必要がある。安倍氏が特に集中すべき分野は次の3つである。

(1)経済、経済、経済

 日本の有権者たちは、日本の経済状態と自分たちの個人的な経済状況を最も懸念している。過去20年間、日本は経済的停滞に苦しんだ。そして、日本は今年、景気後退局面に入った。2009年と2012年の総選挙では、有権者たちは、日本経済を復活させるという公約を果たせなかった政治家たちに対して罰を与えた。安倍氏が集中しなければならない最優先課題は、国内の経済成長である。安倍氏が最初の首相在任時に犯した失敗の原因の1つは、安倍氏が人気のあった小泉純一郎首相在任時の改革志向から、「古い」自民党へ回帰させようとしたことだ。これまで、安倍氏が金融緩和と景気刺激のための公共支出を増やすということを主張しているのを見ると、安倍氏は前回と同じ轍を踏むように思われる。

 安倍氏は過去との劇的な決別し、大胆な改革を行うことで自らを新しいタイプの政治家であることを宣言するだろう。日本にはより大きな規制緩和、海外からの直接投資、起業の促進、自由貿易の推進が必要である。国連が最近発表したレポートによると、日本の女性たちがもっと労働市場に参加することでGDPを最大で8%上昇させることができるということだ。

 安倍氏が過去と決別するためには、かなり高いレベルの、超党派の経済学者たちによる独立委員会(blue ribbon commission)を作ることだ。経済学者たちのこの大連合は、日本経済が復活するための劇的な提案をしてくれるだろう。独立委員会を作ることで、安倍氏は自分の本気度と、経済が日本の有権者にとって最優先課題であることを分かっていることを示すことができる。また、良いアイデアを得ることもできる。

(2)同盟関係の管理方法

 民主党は、2009年に政権に就いて最初の数か月で、2006年の日米合意(海兵隊の航空基地を沖縄県内に移設すること)を不必要なまでに軽視し、反故にした。ここ数年、民主党政権は、希望と現実の間を取り繕おうとしてきたが、この問題に関しては何の進展もなかった。2012年、野田政権は、日本の軍事力強化に向けて重要な動きを行った。F35戦闘機の購入、武器輸出禁止の見直し、弾道ミサイル防衛の継続という決定を行った。しかし、民主党政権下、防衛費は削減され続けた。また、民主党は集団的自衛行為の禁止やアジアにおける公共財の負担の見直しなどには着手しなかった。

 アメリカ政府は、自民党と安倍氏が小泉政権下で確立された、仕事のできる関係を復活させることを期待している。これまでの行動や発言によって、安倍氏がそのような方向にもっていくであろうことは明らかだ。また、安倍氏は集団的自衛権を容認するために憲法改正を行う準備を整えている。しかし、安倍氏は、アメリカや他国に対して、日本にとって現在の安定を保ち、現在の国際システムを守ることが国益になると説得し、納得してもらうには、アジアと世界における日本の役割についてのより一貫した考えを持つ必要がある。日本が海外でより大きな役割を果たすことは、それが日米同盟に直接関係のないことでも、日米間のパートナーシップを強化することにつながる。安倍氏は、民主国家や自由主義国家の間での協力関係を築くという考えを促進し続けるだろう。これは、彼が前回の首相在任時に強調したことである。民主国家や自由主義国家を集めたより大きな同盟を作ることは、アジア全体の更なる自由化を促すことになるだろう。

(3)中国に対する対処方法

 日中関係は、尖閣諸島をめぐる問題が沸騰した今年の夏以来、悪化したままだ。野田政権は尖閣諸島のうち3つの島々を国有化する決定を下した。この決定は、中国国内での反日デモを引き起こし、貿易量の激減という結果になった。そして、尖閣諸島の周辺の空や海でチキン・ゲームが行われるという状況になっている。日本の海上保安庁の船舶は、中国の船舶のほぼ毎日の領海侵犯に対応している。日本政府は、中国政府が日本の尖閣諸島に対する施政権の行使を切り崩そうとしていることに不安を持っている。

 安倍氏は尖閣諸島に対する日本の主権と施政権を確保するための信頼性の高い方法を採る必要がある。しかし、より幅広い日中関係を犠牲にできないし、軍事衝突や貿易関係の悪化の危険を冒すことも不可能なことだ。このような危険性は低いのだが、日中間の緊張は現在でもかなり高いままであり、何かの事故や計算違いによって想定外のことが起きる可能性がある。従って、安倍氏は日中関係を安定させるための何らかのイニシアチブを作ることを中国側に提案する必要がある。しかし、その際に尖閣諸島の件で中国側に譲歩する必要はない。イニシアチブの導入は不可能だということになるだろう。しかし、中国と日本によって現在のお互いに対する悪感情から脱して、より広範囲な点から両国関係を考えることが両国にとっての利益となる。中国は今までのところこの問題に対して主導権を発揮していない。だから、安倍氏は政治的に大きな役割を果たし、日中間の経済、文化、政治的関係をより深化させるために、関係をリセットできるだろう。

 同時に、安倍氏はアジアの近隣諸国、オーストラリア、韓国、フィリピン、ヴェトナム、インドとの関係を強化することも目指すべきだ。第二次世界大戦終結から70年経過した。この期間、日本はアジア地域で緊密な関係を持つパートナー国を持つことはなかった。日本の戦時中の残虐行為についてのアジア諸国の懸念について、日本はこれまで長い間、向き合ってきた。従って、日本は過去を過去とし、より緊密な協力関係を築く未来を構築するために出発することができる。これまでの日本の政治指導者たちは、戦時中の日本の行動に対して謝罪を行ってきた。そして、日本はこれからもアジア諸国が過去を受け入れてもらい、アジア・太平洋地域全体で日本が果たしている選挙区的な役割を認識してもらえるようにする義務を負っている。安倍氏は日本のナショナリストというレッテルを貼られるが、安倍氏はアジアの新時代を促進することで、現状を打破し、大きな転換を起こすことができるだろう。

 これら3つの分野のどれを取っても、日本を現在苦しめている問題に対して即効性を持つ特効薬は存在しない。しかし、国家の再生と世界におけるより大きな役割に関して、大胆なヴィジョンを明らかにすることで、安倍氏は、国際社会における柱となる役割を果たすことができる力を日本に取り戻すためのプロセスをスタートさせることができる。

※マイケル・オースリン:アメリカ・エンタープライズ研究所研究員(在ワシントン)。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2012-12-22 01:23 | 日本政治