翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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自民党内の新しい動きについて:小泉氏の人脈づくりと石破氏の派閥づくり

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



ここ数日、自民党内の新しい動きの話が記事になっています。小泉進次郎氏が率いる、自民党青年局の陣容が紹介されたり、石破茂幹事長(脱派閥を標榜しているし、昔は武村正義氏が主宰したユートピア政治研究会に参加していたこともある)の側近がグループ作りを行っているという記事が出たりしています。

 現在の自民党の派閥について、読売新聞の取材・記事によると、次のような状況になっています。

・町村派(町村信孝元官房長官):80名→岸派・福田派・安倍派・三塚派・森派
・額賀派(額賀福志郎元財務相):約50名→田中派・竹下派・小渕派・橋本派
・岸田派(岸田外相):40名→池田派・前尾派・大平派・鈴木派・宮澤派・加藤派
・麻生派(麻生太郎副総理):34名→河野(洋)派
・二階派(二階俊博総務会長代行):28名→中曽根派・渡辺派・亀井派・伊吹派
・石原派(石原伸晃環境相):約15名→山崎派
・大島派(大島理森前副総裁):12名→三木派・河本派・高村派
・無派閥:約120名

 石破幹事長の側近と言われているのが、鴨下一郎国対委員長や山本有二衆院予算委員長です。彼らが石破派作りに動いているようです。一方の記事は、青年局の人事のことで、この中から小泉派ができてくるという筋立てになっています。

 小泉派ができるまではまだまだ時間がかかるでしょう。派閥はお金を配り、人事に介入し、若手の教育をするための組織です。小泉氏自体にはお金がなく、時分がまだ教育課程にいる身ですから、シンパグループ作りにはなるでしょうが、派閥という訳にはいかないでしょう。しかし、小泉進次郎氏のグループ作りの記事が出て、すぐに石破氏の派閥づくりの記事が出たというのは興味深いことです。こうした動きは恐らく、自民党内では、安倍氏の次は石破氏で、その次の次位は小泉氏であるちということを示すためのものでありましょう。

 小泉氏は父親の純一郎氏がある意味で最大の切り札です。はっきり言ってそれ以外には、学閥や閨閥(これはこれからのことですが)がありません。そこで、青年局長の今こそ、人脈作りをしなければならず、現在の青年局には、将来、小泉氏のライバルになる人、側近になる人、他派閥・グループながら親小泉氏になる人が出てきそうです。小泉氏の学閥と言えば、コロンビア大学やアメリカ留学経験者ということになるでしょう。これならば、自民党の内部にもたくさんいます。青年局次長には初当選組の福田達夫氏が入っています。福田氏は福田康夫元首相の長男です。福田氏と関係が深いのが国務省日本局長のマーク・ナッパー氏で、ナッパー氏は、ケント・カルダー・ジョンズホプキンズ大学SAIS教授の弟子筋であり、自民党で秘書をしていたということでは、マイケル・グリーンとは先輩後輩ということになります。ここに恐らくですが、今年の参議院議員選挙で中曽根康弘元首相の孫である康隆氏(コロンビア大学大学院で小泉氏とほぼ同時期に学ぶ。指導教授は共にジェラルド・カーティス教授)も加わってくるものと思われます。ジェラルド・カーティス、ケント・カルダー、マイケル・グリーンとの関係が深い人々が「若手」として自民党内で蠢動を始めようとしています。ここら辺のことは拙著『アメリカ政治の秘密』に書きましたので、お読みいただければ幸いです。

 自民党青年局で思い出すのは、竹下登青年局長と宇野宗祐次長の関係です。彼ら2人は、正力松太郎氏などからお金をもらい、アジアを歴訪し、青年海外協力隊創設のアイディアを得て、その創設に尽力します。2人は別派閥でありながら、友人関係を続けます。そして、竹下氏が退陣した後に、宇野氏の名前が出てきたのです。歴代の青年局長の名前を見ると、のちに総理大臣にまでなった人たちの名前が散見されます。現在の安倍氏も1996年から青年局長を務めています。この青年局長というポストはこれからの自民党内では、スッテピングボードになっていくのかもしれません。

 小泉氏にはまだ時間的な余裕がありますが、石破氏は待ったなしの状況で、党内に勢力を作らねばなりません。前回の自民党代表選でも明らかなように、国会議員の中で人気がないのが石破氏の弱点でした。しかし、今回の衆院選では新人たちが多数当選し、党内のバランスも変わってきています。新人たちが誰よりも恩義を感じるのが幹事長です。ですから、石破氏には現在の状況は大きなチャンスと言えましょう。ポスト安倍と言って、名前が出てくるのは石破氏と石原伸晃氏くらいのものです。ここで石破氏が党内を固めておけば自然と次の総理の座は転がり込んでくるでしょう。そうした中で、キーマンになるのは、山本有二代議士ということになるでしょう。汚れ役も引き受けられるキングメーカー型の政治家です。鴨下氏は医者からの転身で、ソフトな語り口の理論派であり、テレビ受けのする政治家です。硬軟取り合わせた人たちが側近にいるというのは、石破氏の強みとなります。石破氏の派閥づくりは石破氏の個人的な意向というよりも、ポスト安倍に向けた大きな動きであり、その裏にアメリカがいると言えましょう。政治家たち以外での人気は証明されたわけですから、不安要因である政治家たちの人気を固めておけば、安倍氏が辞任するような事態になってもすぐに対応できます。

 自民党内で新しい動きが出ているようです。若い小泉氏の人脈づくりとベテラン石破氏の派閥づくり。これはポスト安倍へ向けた動きであり、将来に備えた動きです。そして、これらの動きの裏にはまたアメリカがいるようです。その点では確かに記事として連続して出てくるべきものなのでしょう。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「石破氏、“無派閥の派閥”を旗揚げ! 「包囲網」打破が狙い?」

ZAKZAK 2013年1月29日
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130129/plt1301291136003-n1.htm

 自民党の石破茂幹事長を支持する無派閥議員が、事実上の「石破派」を立ち上げることが分かった。昨年9月の総裁選で、石破氏は「脱派閥」を掲げて戦ったが、安倍晋三首相率いる主流派が「石破包囲網」を敷くなか、前言を修正して基盤強化に乗り出すつもりなのか。

 石破派の名称は「無派閥連絡会」。総裁選で石破氏を支えた鴨下一郎国対委員長や、山本有二衆院予算委員長ら約30人が参加し、31日に初会合を開く。党内第4、5勢力となる見込み。他派閥と同様、今後、毎週木曜日昼に定例会合を開くという。朝日新聞が29日朝刊で報じた。

 昨年末の衆院選で圧勝し、自民党幹事長に留任した石破氏だが、その立場は極めて微妙だ。

 石破氏は党三役に懇意の小池百合子元防衛相を推したが、安倍首相は、野田聖子総務会長と高市早苗政調会長を抜擢した。自身の周辺にも、安倍首相に近いベテランの河村建夫選対委員長や、細田博之幹事長代行、二階俊博総務会長代行らがおさまり、完全に包囲網を敷かれているのだ。

 政治のイロハを学んだ田中角栄元首相の教え通り、「数の力」で政治の壁を打ち破るつもりなのか。

 自民党関係者は「『脱派閥の派閥』なんて冗談みたいな話だ。まあ、石破氏が『脱派閥』を掲げたのは、所属した額賀派の幹部らとソリが合わず、同派を飛び出たから。本気で『脱派閥』を唱えたわけではない。今後、隙を狙って『ポスト安倍』に踏み出すつもりだろう」と語っている。


●「進次郎氏、事実上の旗揚げか 82人決起! メンバーは大物の子弟ズラリ」

ZAKZAK 2013年1月28日
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130128/plt1301281826006-n1.htm

 自民党内で若手エース、小泉進次郎青年局長(31)をめぐる動きが活発化している。通常国会の28日召集を受け、青年局は30日に役員会を開いたうえで、2月1日から毎週、定例役員懇談会を開くというのだ。役員数は衆院議員72人、参院議員10人の計82人で、党所属国会議員の5分の1以上になる。永田町では「事実上、進次郎派の旗揚げでは。一致結束すれば、無視できない勢力になる」と見る向きもある。その全容とは-。

 「進次郎氏がやる気満々らしい」

 自民党の一部に先週初め、こんな噂が飛んだ。関係者によると、進次郎氏は先々週あたりから、若手の議員会館事務所に「これから頑張りましょう」などと、あいさつをして回っていた。

 念頭には青年局の人事があったようだ。22日の総務会で青年局役員人事が決定され、新体制が発足した。45歳以下の衆院1-3回生、参院1、2回生のうち、政府入りした議員などを除く82人が役員になった。

 同日、青年局事務局から会館事務所に、会議・会合の案内がファクスで届いた。それによると、1月30日正午に党本部で役員会を開き、2月1日以降の毎週金曜日、正午から定例役員懇談会を行うという。

 進次郎氏の脇を固める青年局メンバーの顔ぶれはどうなっているのか。目につくのは、父である小泉純一郎元首相と縁のある大物政治家らの子弟だ。

 橋本岳(がく)氏は、1996年と2001年の総裁選で小泉元首相と争った橋本龍太郎元首相の次男。武部新氏の父は、小泉元首相に「偉大なるイエスマン」として尽くした武部勤元幹事長。福田達夫氏の父は、同じく官房長官として仕えた福田康夫元首相。中川俊直氏の父は、やはり政調会長を務めた中川秀直元幹事長、大野敬太郎氏の父は、大野功統(よしのり)元防衛庁長官…。

 彼らが国会議員になる前の経歴としては、地方首長や財務・農水・国交官僚、弁護士、医師、経営者、松下政経塾出身者、五輪メダリスト、ミスコン女王など、まさに多士済々といえる。

 こうした面々を統括する役員懇談会が、定例化されたのが特筆される。

 政治評論家の浅川博忠氏は「自民党の各派閥は、毎週木曜日に定例会を開いており、進次郎氏は曜日をズラして同じ形を取った。青年局所属議員は、国民的人気の高い進次郎氏とともに行動することで後援会などに発信できて選挙にプラス。進次郎氏としては、今後に備えてそれなりのグループを作りたい思惑もありそうだ。政策が近く、気心の知れた議員が絞り込まれて『進次郎グループ』のような形になるのではないか」と語る。

 過去の若手議員グループとしては、2005年衆院選で初当選した「小泉チルドレン」83人がつくった「83会」が記憶に新しい。08年の総裁選では、83会メンバーが中心となって小泉元首相の再登板を目指すなど、政局にも絡んだ。

 24日現在、自民党の国会議員は378人(正副議長含む)だから、青年局の82人が結束して動けば大きな力となるのは間違いない。

 自民党中堅議員は「83会と違い、青年局には進次郎氏という『核』があるのでインパクトが大きい。政策形成の過程で執行部に圧力をかけたり、いざとなったら進次郎氏を総裁候補として立てる可能性もある」と警戒感を隠さない。

 実際、進次郎氏は存在感を発揮し始めている。

 新年早々の党厚生労働部会で、70-74歳の医療費窓口負担を1割に据え置いている特例措置の存廃について議論した際、進次郎氏は「2割という本来の水準に戻すべきだ」と主張し、夏の参院選への影響を懸念する議員と対立した。

 進次郎氏と青年局メンバーは2月10日から11日にかけて、全国の青年部長や青年局長も交えて、1泊2日で東日本大震災の被災地・福島を訪問する。毎月11日、被災地を訪問する青年局の事業「TEAM-11」の一環で、被災者を招いて同事業の1周年報告会を開催するという。

 さらに、島根県が2月22日に主催する「竹島の日」記念式典に、進次郎氏は青年局メンバーと出席する予定で、石破茂幹事長も了承済みだ。

 青年局長は「首相への登竜門」といわれ、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相も経験者だ。進次郎氏もここで人脈を作り、政策、グループの動かし方を学びステップアップしていくのか。

 前出の浅川氏は「先輩議員から『若手を囲い込んでいる』と嫉妬されないように、うまくやれるかが課題だ。参院選までは『選挙の顔』として進次郎氏には活発に動いてもらいたいはずなので、動きは黙認される。参院選後は難しいかじ取りを迫られるだろう」と話している。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-01-30 21:24 | 日本政治

ネオコンは死なず:ナショナル・インタレスト誌から

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



マルコ・ルビオとネオコンの復活(Marco Rubio and the Neocon Resurgence)

ジェイコブ・ハイルブラン(Jacob Heilbrunn)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2013年1月24日
http://nationalinterest.org/blog/jacob-heilbrunn/marco-rubio-the-neocon-resurgence-8016
http://nationalinterest.org/blog/jacob-heilbrunn/marco-rubio-the-neocon-resurgence-8016?page=1

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フロリダ州選出の共和党所属連邦上院議員マルコ・ルビオ(Marco Rubio)は、次の大統領選挙出馬の準備として、小さいが重要な動きを行った。それは、ルビオがジェイミー・M・フライ(Jamie M. Fly)を国家安全保障担当補佐官として雇った。フライは、シンクタンクのフォーリン・ポリシー・イニシアチヴ(Foreign Policy Initiative)の事務局長を務め、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権に参画していた。これはなかなか賢い決定であった。それは、イラク戦争が失敗だったとは認めることを拒否し、ネオコンが支配している共和党向けには賢いということではあるが。ネオコンが、外交政策について議論を行う際の決まりきった定型文を作っている。共和党内部をネオコンが支配している状況では、共和党内で外交政策に関する議論、内輪もめさえも起こすことができないでいる。ネオコンは共和党内部をこれまでよりも完全にコントロールしているようである。

フォーリン・ポリシー・イニシアチヴ(FPI)は2009年にウィリアム・クリストル(William Kristol)によって創設された。その目的は、有望な若手を訓練することだ。この組織は目的を達成したように見える。FPIは、ニューヨークに1か所、ワシントンに2か所のリーダーシップ・プログラムを作った。フライは、手堅い手腕と熱意にあふれたネオコンであり、シリア、アフガニスタン、イスラエルといった幅広い外交政策に関する諸問題で強硬な発言を繰り返している。昨年の秋、フライは『フォーリン・ポリシー』誌で次のように書いている。

「オバマ大統領は、同盟諸国を疎外し、専制国家に対する国家を代表して発言することを失敗している。オバマ大統領はアメリカの国益を脅かす暴政国家に関与し、異議申し立てを無視してきた。イランが核兵器開発能力を手にする日はだんだん近づいている。アメリカと同盟国イスラエルとの間の不協和音は大きくなっている。そして、テロリストによるアメリカ国民や政府関係者たちへの攻撃計画は、イラン政府の指令に基づいて次々と立てられている」

フライがマルコ・ルビオのスタッフに参加したことは、共和党内にネオコンの影響力が残っていることを示している。そして、ウィリアム・クリストルが自分の片腕を共和党内部で地位を得させることに成功したことも示している。

 フライは、ゲイリー・シュミットと共著で、『フォーリン・アフェアーズ』誌に記事を掲載した。この記事の中で、フライは、アメリカがイランを攻撃することを求めている。記事の中から引用する。

「限定的な軍事攻撃が一時的であるが、有効な解決策である。しかし、核兵器開発プログラムを阻止したいとアメリカ政府は考えているのに、実際には反対のことを行うことになる。イラン政府は核兵器開発プログラムを地下に潜らせ、アメリカとアメリカの同盟諸国に脅威を与える能力を保持している。それをアメリカは許しているのだ。アメリカは軍事行動の採用について真剣に考える場合、イランの核開発プログラムにだけ攻撃するだけではなく、イランの現体制を不安定にするべく攻撃することが必要だ。それによって、イランの核開発危機を一気に解決することにつながるのだ」

 残念なことに、空爆を行っても、体制変革(regime change)が起きるという保証はない。どれほど大規模な空爆を行っても、体制変革が起きないこともある。オリバー・ノースはかつてイラン・コントラ事件について述懐した時、攻撃が体制変革につながるとは限らないという考えを「きちんとした考え」と評した。アメリカによる空爆によって、中東地域を混乱に陥るか、イランの現体制を強化するという結果で終わることもある。ルビオは、自分の領分をはっきり区分している。外交問題に関して言うと、敵を作らないようにという意図を持っている。ルビオの決断は他の大統領選挙立候補希望者たちにも影響を与え、彼らがネオコンを自陣営に招くこともあるだろう。そして、大統領選挙の予備選挙と本選挙での焦点となる可能性もある。

『ニューヨーカー』誌にジル・レポーレによる重要な記事が掲載された。その記事によると、冷戦終結後、アメリカの軍事的な立ち位置について再評価はなされてこなかったということだ。レポーレは、ボストン大学のアンドリュー・J・バセヴィッチ(Andrew J. Bacevich)教授の文章を引用している。この部分は単純ではあるが重要である。バセヴィッチはアメリカの軍事中心主義(militarism)に対して批判的な人物として有名である。

「アメリカは地理的に言えば、2つの大洋によって世界から隔絶されているが、同盟諸国に囲まれている。アメリカは地理的に見て、偶然の結果ではあるが、地上で最も堅固に守られている国である。それにもかかわらず、太平洋戦争終結後の約60年間、約30万のアメリカの将兵が海外に駐留してきた。ドイツには5万5000人、日本には3万5000人、イタリアには1万人が駐留している。連邦政府の「国防」予算とは言っているが、国境警備やアメリカ国民警護にはそこまでのお金が投入されてはいない。それどころか、アメリカ軍は、アメリカの外交政策を補強しているのだ。

 これは否定しづらいものだ。オバマ大統領はイラクからアメリカ軍を撤退させ、アフガニスタンからも撤兵させつつある。しかし、アメリカの国外における軍事力と目的についての基本的な議論は、オバマ政権内でも連邦議会でも行われていない。これまでの20年間のことを懐かしむ人は、アメリカは冷戦期に持っていた精神を現在でも保つべきだと考えているようだ。中国とイスラム教徒のテロリストが冷戦期のソ連の代わりになっている。また、冷戦期の主張が現在もなされていることもある。体制変革のような考えを現在でも主張しているのはネオコンである。しかし、レポーレが書いているように、アメリカ国民の中で、そのような暴力を伴う政策に対して違和感を持っている。しかし、アメリカ軍に対しては違和感を持っているということではない。「年若い帰還兵への対処が重要になっている。2011年にピュー・リサーチセンターが行った調査によると、アフガニスタンとイラクからの帰還兵のうち、半数がアフガニスタン戦争は戦う価値のないものだと考えている。約60%はイラク戦争も戦う価値のない戦争だと考えている」アメリカ国民は、イラン、シリア、その他の紛争地域に軍事介入すべきではないと考えているのは疑いようのないところだ。しかし、アメリカ国民のこのよう気持ちは共和党内部では反映されていない。オバマ大統領は、二期目では軍事よりも外交を優先するという姿勢を見せている。これに対して、ネオコンは、オバマ大統領が小心過ぎると非難している。1月22日にPBSのテレビ番組に出演したアメリカ・エンタープライズ研究所のダニエル・プレツカは、オバマ政権を激しい言葉づかいで非難した。プレツカは、アメリカの安全に対する多くの脅威を無視していると主張した。

「私は、全体の流れはトラブルだらけということになっているように思う。ベンガジ事件は、オバマ政権の後退政策を象徴したものである。また、オバマ政権がアルカイーダからの挑戦に対処したくないという姿勢が招いたものだ。オバマ政権がアルカイーダに対して消極的なのは、アルカイーダが北アフリカ、リビア、マリ、アルジェリアだけで活動している訳ではないからだ。アルカイーダは、イエメン、シナイ半島、イラク、南アジア、アフガニスタン、パキスタンでも活動している。アルカイーダに対処するには世界中に出なければならないが、オバマ大統領はそれに対して消極的なのだ」

言い換えるならば、脅威というのはどこにでもあり、全く予想しない場所にすらある。マルコ・ルビオはネオコンをこんなに早い時期から支持することを表明した。しかし、共和党がネオコンに支配され続ける限り、次の選挙でも敗北することになるだろう。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2013-01-26 18:13 | アメリカ政治

第29回副島隆彦を囲む会主催定例会開催決定!

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



第29回副島隆彦を囲む会主催定例会
『ますます衰退国家にさせられる策略を見抜く』(副島隆彦)
『アイン・ランドは日本人向き――ハイエクより早く赤裸々に』(藤森かよこ)
講師:副島隆彦、藤森かよこ
開催日:2013年3月3日(日)
会場:建築会館ホール

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「副島隆彦を囲む会」主催の定例会のお知らせを致します。開催場所は東京・「田町」駅近くの「建築会館ホール」という会場になります。
どうぞ今回も、是非ご参加ください!

※この集まりは「副島隆彦を囲む会」会員の方を対象とした定例会です。
参加費は「特別会費(1Day会員)」という扱いになります。消費税の課税対象ではありません。
会員でない方は、この機会に是非、正式会員にもお申し込み下さい。※

・会員のお申し込みに関するご案内は、以下のページにございます↓
http://www.snsi.jp/tops/entry

※当日券は発行いたしません。ご参加いただく方は、全て事前のお申し込みをお願い致します。

■□■□■

<<講演会のお申込み方法>>

1.以下の「お申込みフォーム」に必要事項を入力し、最後に「送信する」ボタンを押して(クリックして)下さい。

2.お客様のメールアドレス宛に送信される「返信メール」に従って、ご入金ください。(「『囲む会』会員の方:4,000円/非会員(1 Day会員)の方:6,000円」)

3.当方でご入金を確認した後で、随時、当日の交通アクセスなどを記載した「入場券(はがき)」をご住所宛てに郵送します。
(※郵便振替の場合には、銀行よりも2日ほど、入金確認までお時間が掛かります。)

4.あとは当日、この「入場券(はがき)」を会場に忘れずにお持ち下さい。

■□■□■

【参加費について】
参加費(特別会費)は
「『囲む会』会員の方:4,000円/非会員(1 Day会員)の方:6,000円」
になります。

【ご注意】
※複数人でお申し込みをされた方は、
「各お一人様につき、4,000円(または 6,000円)ずつ」の合計の金額を、お振込み下さい。

■□■□■

【会場について/交通手段】

・「建築会館ホール」
↓以下のURLをクリックしていただくと、
↓会場「建築会館ホール」までのアクセスのご案内が出てきます。
http://www.aij.or.jp/jpn/guide/map.htm

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第29回 副島隆彦を囲む会主催定例会
「ますます衰退国家にさせられる策略を見抜く」
講師:副島隆彦先生、藤森かよこ先生

開催日 2013年3月3日(日曜日)
会場 「建築会館ホール」
アクセス
●JR「田町」駅,都営地下鉄「三田」駅(浅草線・三田線)徒歩3分

会場住所 〒108-8414
 東京都港区芝5丁目26番20号
 TEL 03-3456-2051
 FAX 03-3456-2058

※定例会の予定等についてのご質問は、囲む会(042-529-3573)へ、お問い合わせをお願い致します。
「建築会館ホール」へは、交通アクセスについてだけ、お問い合わせ下さい。

【当日の予定】

開場  12:15
開演  13:00
終了  17:30

※開場、開演時間以外は、あくまで予定です。終了時刻等が変更になる場合もございます。
※お席は全て「自由席」になります。お手荷物・貴重品等はお客様ご自身で管理をお願い致します。

お問い合わせ先:
「副島隆彦を囲む会」
〒190-0012 東京都立川市曙町1-24-11 橋本ビル5F
Tel.042-529-3573 Fax.042-529-3746
メールアドレス:snsi@mwb.biglobe.ne.jp

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-01-24 18:17 | 宣伝

日本の円安に対してヨーロッパから批判が起きている

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 フィナンシャル・タイムズ紙(Financial Times)が日本の甘利明経済財政担当大臣のインタビューを基にした記事を掲載していました。タイトルは、「日本政府は円安に対する批判へ反論(Japan fires back at currency critics)」(アドレスは以下の通りです。→ 
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/45bf2708-6546-11e2-8b03-00144feab49a.html#axzz2Io3uYryA)です。このインタビューの肝は、ドイツの中央銀行総裁バイトマン氏と英イングランド銀行のキング総裁が日本の金融政策を批判し、「通貨戦争(currency war)」を起こすつもりかと述べています。また、中央銀行の独立性を犯しているという批判を行っています。これに対して、甘利大臣は、「日本が意図的に通貨安になるようにはしていない」「これまで以上に円高だったのが是正されているだけ」といった反論を行っています。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

January 23, 2013 10:50 am

Japan fires back at currency critics

By Jonathan Soble in Tokyo
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/45bf2708-6546-11e2-8b03-00144feab49a.html#axzz2Io3uYryA

Japan’s government has denied that it is trying to revive the country’s economy at the expense of its trading partners by intentionally weakening the yen, defending a new and more assertive monetary policy that some critics have warned could lead to “currency war”.

Akira Amari, economy minister, hit back against admonishments by Jens Weidmann, the president of Germany’s Bundesbank, and other officials in Germany as well as the UK, who have raised concerns about the political pressures that led the Bank of Japan to ease its policy this week.

In an interview with the Financial Times on Wednesday, Mr Amari rejected Mr Weidmann’s characterisation of the Japanese moves as “alarming infringements” of central bank independence that could lead to “politicisation of the exchange rate”.

“Germany is the country whose exports have benefited most from the euro area’s fixed exchange rate system. He’s not in a position to criticise,” Mr Amari said.

Japan’s new prime minister, Shinzo Abe, is pushing the BoJ to take stronger measures to support the economy and end consumer-price deflation, which has dogged the country for much of the past two decades.

His effort is seen as a primary cause of the yen’s 10 per cent drop against the dollar and 14 per cent tumble against the euro since November, when the election that brought him to power was called.

On Tuesday, the central bank extended indefinitely its programme of buying up government bonds and set a target of 2 per cent inflation, reaching beyond what had been a flexible “goal” of 1 per cent.

Mr Amari rejected the notion that Japan was trying specifically to weaken the yen, saying its efforts were aimed at reviving the domestic economy and reversing price declines.

“The market is in the process of correcting on its own from an excessively strong yen,” he said. “We aren’t guiding it, we aren’t doing anything.”

After the BoJ’s decision, Michael Meister, a senior member of Germany’s ruling Christian Democratic Union, said Germany might seek support from fellow G20 nations to pressure Japan to reverse course. Sir Mervyn King, Bank of England governor, also warned of the risk of competitive currency devaluations – dubbed “currency wars” since the US adopted unorthodox measures to ease monetary policy in 2010.

China added to the criticism on Wednesday. In a harsh editorial, the official Xinhua news agency said the “decision to crank up money printing presses is dangerous” and could lead to “currency wars” that could knock the global economy off track.

Mr Amari countered that the world would benefit if Japan’s economy strengthened and Japanese began buying more foreign goods. “Japan can’t simply be carried along by other country’s consumption,” he said. “We have to strengthen our own economic foundation so we can be a global leader.”

He said the government had taken an important step in that direction by announcing Y10.3tn of stimulus spending this month. Japan has the highest public debt among developed countries, at more that twice annual economic output, but Mr Amari said previous austerity measures had only made matters worse by depressing the economy and, by extension, tax revenues.

Masaaki Shirakawa, the BoJ’s governor, is to retire at the end of March and Mr Abe is expected to install a more dovish replacement.

Mr Amari said that, in addition to being “strongly committed” to co-operating with the government, the next governor should be a skilled communicator with a good command of English who can explain Japanese policy to foreign leaders and financial markets.

If Mr Abe agrees, it could favour candidates with international experience such as Haruhiko Kuroda, a former finance ministry official who heads the Asian Development Bank.

“English is a necessary but not sufficient requirement,” Mr Amari said.

Additional reporting by Simon Rabinovitch

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 ここで気になったのが、通貨戦争(currency war)という言葉です。戦争という言葉は穏やかではありません。しかし、通貨戦争についてはイメージしかないので調べてみました。この言葉は、2010年にブラジルのマンテガ財務相が使い、広がった言葉だそうです。当時のドル安政策に対して、新興国の通貨の価値が高くなったことを背景に、通貨の切り下げ競争が行われることを警告した言葉だそうです。

 各国とも輸出で景気回復を行おうとした場合、自国の通貨が安い方が良い訳です。日本も円安の方が輸出しやすい、もしくは輸出で利益を得やすいということになります。オバマ政権は製造業の復活を目論み、ドル安政策を進めました。また、ヨーロッパもユーロ安を求めました。これに対して、円は価値が上がり続け、円高状態となっていました。

 これに対して、安倍政権は、直接円安にするための政策はしていない(円売りドル買い介入)をしていません。しかし、円の価値を下げることになる、金融政策の緩和や物価上昇の目標設定をして、円安を実現しています。円が安くなると相対的にドルやユーロの価値が上がり、輸出で景気回復をしようとしている欧米としては困ってしまいます。

 また、通貨切り下げ競争が起きるのかどうか、専門家の間でも議論が分かれているようです。昨日の段階で、全く異なる予想をしている記事がありましたので、タイトルとアドレスをご紹介します。

●「【コラム】今度の通貨戦争は世界大戦に,日本が口火-ペセック」ウィリアム・ペセック
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MGZ4C66KLVR401.html

●「コラム:日銀の緩和政策、「通貨戦争」につながらず」フェリックス・サーモン
http://jp.reuters.com/article/jpeconomy/idJPTYE90M03920130123

 ヨーロッパからは日本の円安に対して大変な文句が出ていますが、アメリカでは、自動車メーカーのビッグ3の経営陣からは文句が出ていますが、あまり大きな批判は聞こえてきません。アメリカもドル安政策をやっているし、為替市場を操作することに関しては人一倍うるさい国です。オバマ大統領と大統領選挙で戦ったミット・ロムニー氏は「自分が大統領になったら初日に中国を、為替市場を操作している国に認定する」と言って批判しました。

 また、主要国が日本の円安を容認しないと、いつまでもは円安を続けることができません。95円になる、100円になるというのも日本だけの力では無理な話です。しかし、ヨーロッパは円安を望んでいないようです。しかし、アメリカは批判のトーンが鈍いようです。

 これは恐らく、安倍政権が、円安によって輸出で儲けたドルとじゃぶじゃぶに刷った円でアメリカ国債を買うということをアメリカに伝えて了承されているのでしょう。その一環が、安倍政権が打ち上げた、50兆円規模の外国債を買う政府運営の基金(SWF)を創設するということです。このことは少し前の本ブログの記事でもご紹介しました。

 日本のSWFは、外国債を専門に取り扱うということですが、そうなれば「一番安全、安心な(ことになっている)」アメリカ国債を購入するということになります。アメリカは債務上限を引き上げさえすれば、買い取ってくれる国がある訳です。そのためにも、日本にはお金(ドル)を儲けてもらわねばならない。


 だから、円安に対しても批判のトーンが低い訳です。「日本が儲けても、それは自分たちが使えるお金なのだ」ということなのです。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-01-24 13:50 | 日本政治

アメリカ政府債務上限引き上げと米国債購入のための基金(fund)の話

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 5日程前に、ブルームバーグで、「日本が外国債を買い入れる見通し:安倍がバーナンキに助け舟を出す」という記事が出されました。これは、昨年、元日本銀行副総裁の岩田一政氏が、円高介入のために50兆円規模の基金を創設し、外国債(米国債)を買い入れるようにすべきだと主張したことに、安倍晋三首相も同調したという内容です。

 そして、本日、米連邦下院の共和党が政府債務上限を暫定で気に引き上げる案を提出したという記事が出ました。これは、アメリカ政府の借金の上限を引き上げて、支払い不能(デフォルト)になることを防ぐことが目的ということです。しかし、共和党は、元々、国の借金が増えることには反対で、政府の予算をどんどん削ることを求めていたはずです。

 これら2つのニュースは結びつけて考えてみるべきです。アメリカは国債の発行額を増やそうとしている。日本はアメリカ国債をもっと買おうとしている。アメリカは、日本にもっとアメリカ国債を買ってもらおうとしています。ブルームバーグの記事によると、安倍政権は、そのために、日銀や事務省が運営する基金(fund)を創設しようとしています。

 日本の財務省は、円を売ってドルを買う(円の価値が下がってドルの価値が上がる)ことで、円安ドル高になります。日本の財務省は手元にあるドルでアメリカ国債を買うということになります。現在は、円安ドル高になっているので、介入は行われませんが、アメリカの製造業などからは円安に対して文句が出ています。恐らく、アメリカはある程度の円安を容認しているかもしれませんが、ここら辺が限界ということなのかもしれません。

 円安になると、日本は資源や農産物の輸入に頼っているので、電気やガスの料金は上がりますし、食料品の値段も上がります。人々の所得が増えないままに物価が上がれば、これはスタグフレーションという現象で、不景気の原因となります。安倍政権は、物価を押し上げ、GDPも2%増加させるために、金融緩和策と財政出動を組み合わせた緊急経済対策を実施することを先日発表しました。これで景気が回復すればよいのですが、どこまで効果があるかは疑問です。また、数字上は景気回復ということになっても、豊かさを実感できなかった小泉政権下のようなことになることも大いに考えられます。

「米国債は絶対安全」という考えを建前でも信じて、米国債を買い続けています。日本が買い支え続けることで、米国債の「安全性」は保ち続けられているという面があります。しかし、ここで逆回転が起こり、米国債の価値が減少を始めた時、日本は営々と築き上げてきた富を失うということになります。

 また、ここで指摘しておかねばならないのは、日銀や財務省が運営する基金を作って、外国債を買い入れるという点です。このような政府が運営する基金は、ソブリン・ウエルス・ファンド(sovereign wealth fund、SWF)と呼ばれるものです。SWFは一時期、持て囃されました。このSWF、政府による市場参加を、アメリカのコンサルタント会社ユーラシア・グループ(Eurasia Group)のイアン・ブレマー(Ian Bremmer)は、国家資本主義(State Capitalism)と呼んでいます。

 イアン・ブレマーは安倍氏と特別親しい関係にあるということを喧伝しています。安倍政権の緊急経済対策やSWFの創設といった話は、政府が経済において、主要な役割を果たすということです。これは安倍氏や現在の安倍政権に参加、協力している人々が参加した小泉政権の路線とは全く異なるものです。彼らは静かに路線を転換しています。そこに、イアン・ブレマーの影響があるのではないかと私は考えています。

 どちらにしても、日本は金融緩和でお金をじゃぶじゃぶ刷る訳で、それが日本国内ではなく、海外の、アメリカ国債の買い付けに回るということも考えられます。どちらにしても、属国の悲しさ、下駄の雪のような悲しさがそこにはあります。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「米共和党、政府債務上限を暫定的に引き上げる案」
読売新聞電子版 2013年1月19日
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130119-OYT1T00415.htm?from=ylist

 【ワシントン=岡田章裕】米下院で多数派を占める野党共和党は18日、早ければ2月半ばに米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る事態を回避するため、米政府がどこまで借金できるかを定めた政府債務の法定上限を、暫定的に引き上げる案を発表した。

 引き上げる額は、政府の資金繰りに必要な3か月分で、国債を発行して借金できる額が増える。政府が資金繰りに行き詰まるデフォルトの危機は当面先送りされる可能性が高くなった。

 連邦債務は昨年12月末に上限の16兆3940億ドル(1477兆円)に達し、現在は非常措置でしのいでいる。共和党は大幅な歳出削減なしでは債務上限の引き上げは認めないと主張し、2月半ばから3月上旬に資金繰りが行き詰まってデフォルトの危機に直面する見通しだった。

 同法案は、4月15日までに予算の大枠をまとめることを条件にする方針だ。来週、採決する方向だ。共和党にとっては、予算審議の時間を稼ぎながら、社会保障分野の大幅な歳出削減を含めた抜本的な財政再建策につなげる狙いがある。

(2013年1月19日12時16分 読売新聞)

●Abe Aids Bernanke as Japan Seen Buying Foreign Debt

Bloomberg January 13th 2013
By Wes Goodman & Daniel Kruger - Jan 15, 2013 3:37 AM GMT+0900.
http://www.bloomberg.com/news/2013-01-13/abe-aids-bernanke-as-japan-seen-buying-558-billion-foreign-debt.html

Shinzo Abe is set to become the best friend of investors in Treasuries as Japan’s prime minister buys U.S. government bonds to weaken the yen and boost his nation’s slowing economy.

Abe’s Liberal Democratic Party pledged to consider a fund to buy foreign securities that may amount to 50 trillion yen ($558 billion) according to Nomura Securities Co. and Kazumasa Iwata, a former Bank of Japan deputy governor. JPMorgan Securities Japan Co. says the total may be double that. The purchases would further weaken a currency that has depreciated 12 percent in four months as the nation suffers through its third recession since 2008.

Shinzo Abe, Japan's prime minister, speaks during a news conference in Tokyo on Jan. 11, 2013. Abe’s Liberal Democratic Party has proposed establishing a fund run by the Bank of Japan, the Ministry of Finance and private investors to buy foreign bonds.

The support would help Federal Reserve Chairman Ben S. Bernanke damp yields after the worst start to a year since 2009, according to the Bank of America Merrill Lynch U.S. Treasury Index. Government bonds lost 0.5 percent as improving economic growth in the U.S., Europe and China curbed demand for the relative safety of government debt even with the Fed buying $45 billion in bonds a month.

“I can’t imagine the U.S. would be disappointed in Japan buying Treasuries,” Jack McIntyre, a fund manager who oversees $34 billion in global debt at Brandywine Global Investment Management in Philadelphia, said in a Jan. 8 telephone interview. “The Fed’s been doing all the heavy lifting.”

Bond Yields

Ten-year note yields fell one basis point, or 0.01 percentage point, to 1.86 percent at 1:34 p.m. New York time. The yield touched 1.97 percent on Jan. 4, the highest level since April. This year, U.S. debt maturing in 10 years or longer ranked 125 out of 144 indexes tracked by Bloomberg and the European Federation of Financial Analysts Societies.

The average Treasury 10-year note yield in 2012 was the lowest since at least World War II at 1.79 percent, compared with the 20-year mean of 4.73 percent. The average 10-year yield for Japan’s debt in 2012 was 0.85 percent, and was 1.85 percent during the past 20 years.

Strategists are already paring back bearish forecasts for U.S. debt. The 10-year Treasury yield will rise to 2.27 percent by year end, according to the median prediction of economists in a Bloomberg survey. In July, the estimate was 2.7 percent.

Hiromasa Nakamura, a senior investor for Tokyo-based Mizuho Asset Management Co., which oversees the equivalent of $38 billion, is more bullish. Ten-year Treasury yields will fall to a record low of 1 percent by year-end as Japan ramps up purchases, while the yen falls to 90 per dollar, he said in an interview on Jan. 11. Japan’s buying “will be one of the positive factors in the market.”

Fund Details

Abe said yesterday he wants someone “who can push through bold monetary policy” as the next governor of the Bank of Japan when Masaaki Shirakawa steps down in April. He has demanded the central bank double its inflation target to 2 percent and engage in unlimited easing till the goal is met.

Abe’s LDP, which swept to power in elections last month, has proposed establishing a fund run by the Bank of Japan, the Ministry of Finance and private investors to buy foreign bonds. He announced Jan. 11 a 10.3 trillion yen stimulus plan including about 3.8 trillion yen for disaster prevention and reconstruction, aimed at boosting gross domestic product by about 2 percentage points and creating about 600,000 jobs.

‘Bazooka Strategy’

The election handed the LDP a political mandate to follow through on its bond-purchase plan, George Goncalves, the head of interest-rate strategy at Nomura Securities International, one of 21 primary dealers that trade with the Fed, said in a Jan. 8 telephone interview from New York. “It’s a quantum leap from doing central bank easing in local markets to foreign markets.”

Details of the bond fund weren’t announced. It might be targeted at a variety of assets including Treasuries, though the whole amount may not even be deployed, according to Yunosuke Ikeda, the head of foreign-exchange strategy at Nomura in Tokyo.

“It’s the bazooka strategy,” Tokyo-based Ikeda said in a telephone interview on Jan. 10. “In order to have an impact on the dollar-yen market, the size needs to be very big.”

The yen may weaken to about 95 per dollar, Iwata, the president of the Japan Center for Economic Research, said at a forum in Tokyo on Jan. 11. The currency traded at 89.23 against its U.S. counterpart, having earlier fallen to 89.67, a level not seen since June 2010.

Buying Treasuries

In an October report, Iwata said that a 50 trillion yen fund would enable the BOJ to purchase foreign bonds to rein in the yen.

The fund could be twice that size or more as “there’s no upper limit,” said Masaaki Kanno, the chief Japan economist for JPMorgan and a former BOJ official. Abe can hold off on unveiling a large plan now until the next time the currency starts to appreciate, Kanno said by telephone Jan. 11.

Whatever the foreign bond fund’s amount, more than half will probably be funneled into Treasuries because they are the most easily-traded securities, Yoshiyuki Suzuki, the head of fixed-income in Tokyo at Fukoku Mutual Life Insurance Co., which has about $64.8 billion in assets, said on Jan. 8.

Tradable Treasury debt amounted to $11 trillion at the end of 2012, with weekly trading volume in the securities among 21 primary dealers averaging $521.4 billion, Fed data show.

Japanese Finance Minister Taro Aso said last week that his nation will buy bonds issued by the European Stability Mechanism to weaken the yen. The nation hasn’t decided on the amount, he said.

Yen ‘Myth’

Support for a new foreign-bond fund isn’t universal.

“I personally think it won’t happen,” said Naruki Nakamura, head of fixed income at BNP Paribas Investment Partners Japan in Tokyo, which has the equivalent of $8.7 billion in assets. “There’s no need to boost yen weakness. It’s a myth. I’m not sure the new administration wants unlimited inflation,” he said in a telephone interview Jan. 4.

Working against Abe’s plan is the decade-long pattern of the yen strengthening alongside U.S. debt. Moves in the 10-year Treasury note and the yen were correlated 60 percent of the time in 2012 on a weekly basis, reflecting their roles as havens from risk. Since the start of the financial crisis in August 2007, the yen appreciated 33 percent against the dollar, while yields on 10-year U.S. government debt fell to 1.87 percent from 4.74 percent.

Good Investments

Japan bought $76.9 billion of Treasuries in September 2011 and $59.9 billion in November 2011, its two largest monthly purchases. The 10-year U.S. note yield plunged 0.31 percentage point to 1.92 percent in September 2011 as Europe’s sovereign debt crisis worsened, and in November 2011 dropped 0.05 percentage point to 2.07 percent.

These turned out to be good investments. Treasuries returned 2.1 percent in 2012, or 15 percent after accounting for the dollar’s gain against yen, according to EFFAS index data compiled by Bloomberg. Japanese government bonds gained 1.8 percent, with only Swedish government securities returning less among 26 sovereign debt markets tracked by the gauges.

Treasury yields and the value of the yen last fell in tandem between January 2000 and October 2001, as U.S. stock prices declined 21 percent from then-record highs and as the Fed lowered borrowing costs to address a recession. The currency depreciated to 122 per dollar from 103 as 10-year yields slid to 4.23 percent from 6.44 percent.

Timing Right

For Bernanke, the timing couldn’t be better. Yields have risen 49 basis points from the record low of 1.379 percent July 25 with a pickup in economic growth curtailing demand. U.S. GDP grew at a 3.1 percent annual rate in the third quarter, up from 2.7 percent in the previous three months, the Commerce Department reported Dec. 20.

With the economy improving “Treasuries are susceptible to higher yields” over the next 6 to 12 months, Gary Pollack, who oversees $12 billion as head of fixed-income trading at Deutsche Bank AG’s Private Wealth Management unit in New York, said in a Jan. 10 telephone interview. “The market will start pricing in that the Fed stops buying Treasuries as part of quantitative easing. Without the Fed you’d see higher yields.”

European Central Bank President Mario Draghi said last week the euro-area economy will slowly return to health in 2013 as the region’s bond markets stabilize after three years of turmoil. Chinese government data showed exports increased 14.1 percent in December from a year earlier, the most since May.

Europe, China

Japan raised its holdings of U.S. debt in 2012 by 7.2 percent to $1.13 trillion as of October and is on pace to again become the largest U.S. creditor since slipping to second place in September 2008. China owns $1.16 trillion. The Treasury Department’s next report on foreign ownership of U.S. securities, covering November, is due Jan. 16.

Overseas investors help reduce U.S. borrowing costs by absorbing about half of the $11 trillion of publicly traded debt. Foreign buyers benefit as the purchases help to weaken their currencies, making their exports cheaper than American goods.

The yen slid 11 percent in 2012, the most in seven years. It is still about 13 percent stronger than its 10-year average of 101.15. Domestic manufacturers want the currency to trade between 90 and 100, Hiroshi Tomono, president of Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp. said Jan. 7 in Tokyo.

Japan has been battling deflation for more than a decade, with consumer prices falling 0.1 percent each month on average over the past 10 years, causing shoppers to delay purchases. The nation’s economy contracted in the second and third quarters of 2012.

Purchasing Treasuries would “have the double benefit of allowing them to drive down the value of the yen and also better control any possible increase in yields of Japanese government bonds,” Brian Jacobsen, the chief portfolio strategist at Wells Fargo Funds Management in Menomonee Falls, Wisconsin, said Jan. 9 at Bloomberg’s headquarters in New York.

(新聞記事天左飛貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-01-19 23:31 | 日本政治

軽減税率か、給付付き税額控除か、それが問題だ:財務省にすればどちらでもOK!

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 安倍晋三首相は、先日、緊急経済対策を発表しました。安倍政権は、この経済対策で、GDPの2%成長を目論んでいます。この2%の経済成長が達成された後に実施されるのが、消費税率の5%から8%への引き上げです。「景気が良くなったら消費税を上げる」ということで、基本的に自民、公明、民主が合意しているのですから、これは予想されてきた動きです。消費税率を上げたい財務省とすれば、財政出動しても、その後、その分以上のお金を税金として取り立てることができる訳ですから、財政出動に対して文句を言いません。

 このところ、話題になっているのは、消費税率引き上げに伴って、低所得者層に対する軽減措置制度です。自民党と公明党は、導入の時期に関しては意見が異なりますが、軽減税率制度の導入を主張しています。これは食料品など生活必需品の税率を低くするというものです。しかし、どの物品やサービスの税率を低くし、どれを高くするかを決めるのは大変なことです。また、富裕層も低所得者層も同じものを買う場合は、富裕層に恩恵があるというデメリットがあります。一方、民主党は、給付付き税額控除を主張しています。給付付き税額控除とは、「所得税を減税しても、低額所得でもともと納税額が少ないため、減税の恩恵があまり受けられない人に対して給付金を支給する制度」です。この制度には、所得の把握が難しいこと、財産はあるが所得が少ない人に恩恵があるというデメリットがあります。

 この2つの制度が今、議論されています。このことについて、先日、私はとある専門家にお話を聞く機会がありました。お恥ずかしい話ですが、専門家からお話を伺うまで、そこまで関心がありませんでした。その方は、私があまり興味を持っていないのを感じたのか、大変興味深いお話を聞かせてくださいました。

 その方は、「古村君、この2つの制度の議論で何が大事か分かるかな?」とまず言われました。私は、「事務手続きの煩雑さでしょうか?」と答えました。その方は、「そんなことじゃないんだよ、財務省が絡んだことさ」とその方は言われました。そして、次のような説明をしてくださいました。

 自民党が主張している軽減税率制度が導入されたどうなるか。どの業界団体も、自分たちの商品は軽減税率の適用を受けたいと考えるでしょう。そして、一度軽減税率の適用を受けたら、その適用がずっと続いてほしいと願うでしょう。そうなると、各業界団体は、自民党の政治家、そして官僚たち、この場合は財務省にロビー活動を行います。そうなると、当然見返りということになります。政治家には政治献金や集票、官僚には天下りの受け入れということになります。財務省にしてみれば、天下り先をこれから確保するためにも、軽減税率は重要です。これだと、いわゆる「政官財の鉄の三角形」が維持されます。そして、民主党は天下りをさせないためには、給付付き税額控除が良いのだと主張しています。しかし、この給付付き税額控除にもカラクリがあります。

 給付付き税額控除を行うためには、日本国民各人の「所得の正確な把握」が必要になります。そうなると、必要になるのは、「マイナンバー(社会保障と税の共通番号)制度」です。これによって、税務署は各人の名寄せが簡単になり、転居や結婚により姓の変更などによって名寄せが困難になることを防ぐことができます。しかし、日本人のプライベートな情報まで一つの番号で把握されることになります。財務省は、マイナンバーの導入を悲願として掲げています。

 所得の正確な把握ということになると、「公正、公平な制度」のために、マイナンバー導入が不可避となります。そうなると、給付付き税額控除とマイナンバーは表裏一体の関係になります。

 財務省とすれば、「天下りの確保」と「マイナンバーの導入」のどちらが良いかということになります。私が話を聞いた専門家は、「天下りの確保はいつでもできるから、やはり、マイナンバーの導入を優先したいだろう」と話しておられました。そして、「あと、重要なことは、富裕層、財産のある層には税金が重くなるだろうね」とも話しておられました。どちらの制度も富裕層、財産家層には恩恵があるというデメリットがありますから、これを是正するための富裕層・財産家層への課税は強化されるでしょう。

 消費税の論議は、国民のためにどちらが良いかという視点でやられていると思われていますが、結局は、どちらに転んでも財務省には美味しいことになっているようです。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「低所得者対策 自民、公明は軽減税率で足並み 民主は給付付き税額控除」
MSN産経ニュース 2012.9.27 21:42
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120927/fnc12092721440013-n1.htm

 消費税率引き上げの大前提になる低所得者対策が、次期衆院選の争点に浮上してきた。自民、公明両党が食料品など生活必需品の税率を低くする「軽減税率」の導入で足並みをそろえたのに対し、政府・民主党は所得に応じて減税と現金給付を組み合わせる「給付付き税額控除」を柱に据えているためだ。長引く景気低迷で節約を強いられている家計にとって税負担の増大は切実で、各党の政策判断が注目される。

 平成26年4月に消費税率を8%に、27年10月に10%に上げる社会保障・税一体改革関連法で積み残された課題が低所得者対策だ。消費税増税は、低所得者ほど負担感が重くなる「逆進性」が問題視され、今後の税制改正論議で具体策を急ぐ必要がある。

 自民党の安倍晋三新総裁は総裁選の公約で、「軽減税率を導入」と主張。公明党は22日に発表した公約案で、税率8%段階からの「軽減税率の導入を目指す」と明記した。これに対し、野田佳彦首相は「給付付き税額控除が基本」との立場を崩していない。

 軽減税率は買い物のたびに、恩恵が実感できるわかりやすさが魅力だ。消費税にあたる付加価値税の標準税率が20%程度と高い欧州では、食料品や新聞などで広く適用され、国民負担の緩和に役立ってきた。

 政府・民主党は軽減税率は対象品目の線引きが難しく、税収が目減りするなどの難点を指摘するが、自民党は給付付き税額控除について、正確な所得把握が困難で「バラマキになる」と強く反対している。


●「軽減税率、導入時期で自公の綱引き続く」
読売新聞電子版 2013年1月13日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130113-OYT1T00437.htm?from=ylist


 2013年度税制改正を巡る自民、公明両党の綱引きが続いている。

 所得税、相続税を巡る調整は進んでいるものの、消費税率引き上げに伴う低所得者対策として生活必需品などの税率を抑える軽減税率の扱いは、なお着地点が見えない。両党は軽減税率を導入することでは一致したものの、導入時期で隔たりがある。

 「国民から消費税(率の引き上げ)を理解してもらうために、最も良い方法は軽減税率だ」

 公明党の斉藤鉄夫税制調査会長は、12日のTBS番組でこう強調した。

 斉藤氏と自民党の野田毅税調会長らによる11日の与党税制協議会では、軽減税率導入の必要があるとの認識で一致した。しかし、公明党が税率を8%に引き上げる14年4月から導入するよう主張するのに対し、自民党は10%に引き上げる15年10月以降を念頭に置いており、溝は埋まっていない。

 公明党は11日の協議会で、適用品目をコメなどの穀類や野菜などに限定する案を提示した。適用品目を絞れば、自民党が「軽減税率に不可欠だ」と指摘するインボイス(税額票)制度の導入も当面は不要になるとの判断だ。

 これに対し、自民党は、10%段階での導入を念頭に「軽減税率の検討チームを設けることでどうか」と妥協案を示し、決着はつかなかった。自民党も軽減税率には賛成しているものの、8%段階での導入には否定的な意見が根強い。夏の参院選前に8%段階での導入を決めれば、納税額の算出などで事務負担の増える小売店が反発し、支持を失う可能性も指摘されている。

 自民、公明両党は、14日に協議会を開き、軽減税率の導入時期について再度調整することにしている。(2013年1月13日15時45分 読売新聞)


●「民主 給付付き税額控除導入を」
NHK NEWS WEB  1月13日 18時11分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130113/k10014775491000.html

民主党の細野幹事長は、高知県南国市で記者団に対し、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策に関連し、自民・公明両党との今後の協議では、所得に応じて給付や控除を行う「給付付き税額控除」の導入を求めていく考えを示しました。

この中で細野幹事長は、消費税率の引き上げに伴う低所得者対策に関連し、食料品などの税率を低く抑える複数税率について、「どの項目の税率を軽減するのか、本当に公平にできるのかということを考えると現実に導入できるのか、相当慎重に考えなければいけない」と述べました。

そのうえで細野氏は、「基本的には、現金を払い戻す『給付付き税額控除』によって低所得者への対応をしっかりしていきたい」と述べ、自民・公明両党との今後の協議では、「給付付き税額控除」の導入を求めていく考えを示しました。

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-01-16 23:08 | 日本政治

本人(プリンシパル)の意向に反した時、代理人(エージェント)は首を切られる

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 『日本政治の経済学―政権政党の合理的選択』(マーク・ラムザイヤー+フランシス・ローゼンブルース著、加藤寛監訳、川野辺裕幸+細野助博訳、弘文堂、1995年)という本があります。この本は、日本政治研究において、大変に重要な本です。政治学に、合理的選択(ラショナル・チョイス、Rational Choice)というアプローチがあります。これは、ある政治的な行動について、「個人は利益の最大化(プロフィット・マキシマイゼーションprofit maximization)のために行動する、合理的に(rational、ラショナル)行動する」と説明するアプローチであり、現在の政治学の世界では大きな勢力になっています。

日本政治は、こうした合理的な説明ではなく、文化とか伝統、慣習、もしくは、構造から説明するものというのが通念でしたが(日本政治研究が本格化したのは第二次世界大戦後、しばらく経ってからです)、欧米の合理的選択で説明できるとしたのが、『日本政治の経済学』です。

この本で使われている理論は、プリンシパル・エージェント理論(Principal-Agent Theory)と呼ばれるものです。プリンシパルを「本人」、エージェントを「代理人」と訳すこともあります。プリンシパルと呼ばれる個人や団体は、自分の利益を最大化するために、エージェント呼ばれる人を雇います。エージェントは、プリンシパルの利益を最大化するために行動し、報酬を得ます。

このように書くと、大変難しく感じますが、日本政治を使って説明すると次のようになります。有権者(私たち)は、利益を最大化するために、政治家(例えば国会議員)を使います。この場合、有権者はプリンシパルとなり、政治家はエージェントとなります。そして、政治家、特に与党の政治家の場合は、官僚を使って、利益が最大になるようにします。この場合、政治家がプリンシパルになり、官僚がエージェントになります。プリンシパルが使う人、エージェントが使われる人ということになります。

・有権者(プリンシパル)―政治家(エージェント)
・政治家(プリンシパル)―官僚(エージェント)

 『日本政治の経済学』のなかで、ラムザイヤーとローゼンブルースは、この理論を使って、日本政治を説明しています。そして、自民党の政治家たちが官僚たちを使っているというモデルを作りました。それまでの日本政治のモデルは、官僚主導モデルというもので、日本政治を本当に動かしている、力を持っているのは官僚たちなのだというものでした。

 このプリンシパル・エージェント理論で重要なのは、エージェンシー・スラック(Agency Slack)と呼ばれる問題です。これは、プリンシパルとエージェントの間で、情報の非対称性、具体的にはエージェントは情報を持っているのに、プリンシパルが情報を持っていない場合、エージェントが自分勝手に行動し、プリンシパルが求めたものと違う結果をもたらすことです。そのために、プリンシパルは、エージェントが自分の要求通りに動くように、アメと鞭、自分の期待通りに動いたら報酬、期待通りに動かなかったら罰を与える、ということになります。ラムザイヤーとローゼンブルースは、『日本政治の経済学』のなかで、自民党官僚たちの昇進をコントロールすることで、エージェンシー・スラックを避けようとしてきたと述べています。

 これを現在の日米関係に当てはめてみます。日本はアメリカの属国(トリビュータリ―・ステイト、tributary state)ですから、プリンシパルはアメリカ、エージェントは日本の安倍晋三首相ということになります。アメリカの国益を最大化するために、安倍首相は行動します。日本の国益のために行動する訳ではありません。そして、安倍首相はプリンシパルになって、側近や官僚たちがエージェントとなります。

・アメリカ―(ジャパン・ハンドラーズ)―安倍首相―側近・官僚

 ここで、アメリカと安倍首相との間にも、エージェンシー・スラック問題があります。アメリカの意向通りに安倍首相が動かない場合、エージェンシー・スラック問題が起こります。

 以下のウェブサイト「プロジェクト・シンディケート(Project-Syndicate)」に、2012年12月27日付で、安倍首相の論文「アジアの民主国家による安全保障のダイアモンドを作る(Asia’s Democratic Security Diamond)」というタイトルの論文が掲載されています。この論文の存在は、新進気鋭の政治評論家である中田安彦氏に教えていただきました。(アドレスはこちら→
http://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe)

 この論文のなかで、安倍首相は、日本が主導して、韓国、インド、オーストラリア、遠くはイギリスやフランスを巻き込んで対中国包囲網を形成すること、東シナ海と南シナ海の海上航行の自由を確保するために、日本が中国と対峙することを主張しています。

 この安倍氏の、対中国強硬姿勢、ジンゴイズム(Jingoism)をアメリカはどれだけ望んでいるのか疑問です。アメリカは中国から国債も買ってもらっているし、経済関係も緊密です。世界覇権国の地位を脅かされるという不安はありながら、ソ連のように、ただ敵対すればよいというものでもありません。安倍氏については、太平洋戦争中の日本軍の行動に関して、歴史を書き変えようとする歴史修正主義(リヴィジョニズム、revisionism)があり、アメリカとしては、決して、「優秀な」エージェントという訳でありません。

 安倍氏個人が「優秀な」エージェントであっても、今度は彼がプリンシパルになって使う側近や官僚たちが「優秀な」エージェントでなく、安倍氏に彼らを抑える力がなければ、安倍氏の期待通りに動かないどころか、暴走することもあります。そうすると、アメリカから見れば、安倍氏が失敗した、エージェンシー・スラックが起きたと見なされるのです。そうなると、安倍氏には罰が与えられます。それは恐らく「辞任」ということでしょう。

 このように見ていくと、安倍氏が「低姿勢(ロー・ポスチュア、low posture)」でスタートしたのは彼にとって良かったと言えますが、いつアメリカから、「暴走した、期待外れだった」ということで首を切られるか分かりません。そう考えると、日本の首相の座というのも安泰ではないし、苦しい仕事なのだろうということが分かります。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2013-01-15 20:04 | 日本政治

いよいよ本性を現してきた米政翼賛会③

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 安倍晋三首相は、今月(2013年1月)中の訪米を模索してきました。しかし、アメリカ側も、オバマ大統領の就任式が21日にあり、また、主要な国務、国防、財務格長官の交代もあり、日本の首相の訪問を受け入れるだけの余裕がないようです。そこで、来月2月の訪米を安倍首相は考えているようです。今月末に通常国会が始まり、来年度予算を審議する中で、なんとか時間を作ってもらってアメリカに(参勤交代で)行きたいようです。

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 以下に転載貼り付けした新聞記事にもありますが、安倍首相は、訪米の際に、日本の集団的自衛権(ライト・オブ・コレクティブ・ディフェンス、right of collective defense)の容認に向けての議論を加速させる意向をアメリカに伝えたいとしています。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「首相、集団自衛権の議論加速 訪米で伝達へ」
47ニュース 2013年1月13日
http://www.47news.jp/CN/201301/CN2013011301001168.html

 安倍晋三首相は13日午前、NHK番組に出演し、2月で調整中のオバマ米大統領との首脳会談で、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈見直し議論の加速方針を伝える意向を明らかにした。環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の表明には慎重な姿勢を示し「まだ状況分析が十分ではない。精査、分析し判断したい」と述べた。

 集団的自衛権行使容認に関し「安倍政権の大きな方針」とした上で「このことで日米同盟がどう変わるか、地域がどう安定するか議論したい」と強調した。

2013/01/13 11:18 【共同通信】

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 集団的自衛権とは、国連憲章(Charter of the United Nations)で認められた、自衛権の一種です。以下にインターネットで見られる解説と合わせて引用します。

(引用はじめ)

国連憲章第51条
「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。(Nothing in the present Charter shall impair the inherent right of individual or collective self-defence if an armed attack occurs against a Member of the United Nations, until the Security Council has taken measures necessary to maintain international peace and security. Measures taken by Members in the exercise of this right of self-defence shall be immediately reported to the Security Council and shall not in any way affect the authority and responsibility of the Security Council under the present Charter to take at any time such action as it deems necessary in order to maintain or restore international peace and security.)」

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集団的自衛権とは:

 国連憲章第51条で加盟国に認められている自衛権の一。ある国が武力攻撃を受けた場合、これと密接な関係にある他国が共同して防衛にあたる権利。

◆日本は主権国として国連憲章の上では「個別的または集団的自衛の固有の権利」(第51条)を有しているが、日本国憲法は、戦争の放棄と戦力・交戦権の否認を定めている(第9条)。政府は憲法第9条について、「自衛のための必要最小限度の武力の行使は認められている」と解釈し、日本の自衛権については、「個別的自衛権は行使できるが、集団的自衛権は憲法の容認する自衛権の限界を超える」との見解を示している。

※デジタル大辞泉のアドレスはこちら→
(http://kotobank.jp/word/%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%9A%84%E8%87%AA%E8%A1%9B%E6%A8%A9)

(引用終わり)

 集団的自衛権は、ある国が攻撃を受けた時、同盟を結んでいる、もしくは密接な関係を結んでいる別の国が共同して防衛行動を取る権利のことです。具体的には、日本はアメリカと安全保障条約を結んでいるので、「密接な関係」にありますので、アメリカへの攻撃は自国への攻撃と考え、アメリカと共同して防衛行動を取るということになります。

 しかし、日本政府は、日本国憲法第9条に基づいて、「個別的な」自衛権は行使できるが、集団的な自衛権は行使できないという見解を出しています。安倍首相は、ここの部分を変えたいと考えています。アメリカへの攻撃を日本への攻撃とみなし、アメリカと共同して行動ができるようにしたい、自衛隊を日本国領外でも、アメリカの下請けで行動できるようにしたいと考えているようです。

 更に言えば、日本政府が禁止という見解を出している集団的自衛権の改正(容認)をアメリカは求めています。アメリカのジャパン・ハンドラーであるマイケル・グリーン(Michael Green)が昨年に発表した論稿をこのブログ(「マイケル・グリーンのご神託:野田も安倍も同じだ②」2012年11月29日 http://suinikki.exblog.jp/18935190/)でご紹介しました。この論稿の中で、マイケル・グリーンは日本の集団的自衛権について次のように書いています。

(引用はじめ)

日本には戦略があるのか?(Does Japan Have a Strategy?)

マイケル・J・グリーン(Michael J. Green)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2012年11月28日

 昨年(2011年)、野田総理は日本の武器輸出三原則を緩和することを発表した。そして、野田総理の防衛に関する諮問委員会は、集団的自衛行動の禁止を撤廃することを提言した。集団的自衛行動を認めることで、自衛隊はアメリカ軍との共同行動に参加できるようになる。アメリカと同盟を結んでいるNATOやオーストラリアと同じことができるのだ。日本の首相は集団的自衛権があることを認め、それを発動する力を持っている。それは、日本国憲法第9条(「平和条項」)の再解釈が必要なだけだ。日本国憲法の改正は困難であるが、それをする必要はない。日本の海上自衛隊は、アラビア海で交戦規定に沿って活動している。彼らは、海賊から攻撃を受けた友軍を助けるために武力を使うことを許されている。法律的に言えば、海賊は犯罪者であり、国家ではないということになる。政治的な可能性の世界での話となるが、次のステップは、日本の自衛隊がアメリカやその他の同盟諸国の軍隊と共同作戦が行える能力を促進するということになる。

(引用終わり)

 安倍首相は、今のところ、TPPについては慎重な姿勢を崩していませんが、TPPと同様に重要な集団的自衛権の容認については、積極的に進めようとしています。この集団的自衛権容認は、自衛隊の日本国外での防衛行動(武力行使)への道を拡大することであり、アメリカ軍の下請け化を進めるものです。アメリカとしても、アジア・太平洋地域での秩序維持の負担を日本に押し付けようとしています。このように日本の国益にもならないこと(アメリカの国益にはかなう)を熱心に進めるのが安倍政権であり、米政翼賛会です。またしても彼らの本性が良く現れたニュースを見ましたので、皆さんにご紹介いたします。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2013-01-14 17:27 | 日本政治

ネオコンとの戦いであったチャック・ヘーゲルの上院議員時代:ナショナル・インタレスト誌の記事から

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



 オバマ政権二期目で国防長官に指名されたチャック・ヘーゲルに関する記事をこれまでも何回かご紹介しました。今回もまた大変興味深い内容の記事をご紹介します。今回の記事は、チャック・ヘーゲルが上院議員時代にいかに「反逆児」であったかを紹介しています。

 ヘーゲルは上院議員時代、皆が持っている印象ほどには反逆児ではなかったようですが、重要な投票では共和党の主流に反対し、「反逆児」という印象を持たれました。また、ブッシュ(子)大統領や共和党の同僚たちを激しく批判して、共和党の中で孤立していったようです。

 ブッシュ(子)政権は、ネオコン(NeoConservatives)と呼ばれる危険な考えを持つ人々が数多く参画しました。ブッシュ大統領は、イラクとアフガニスタンへの侵攻を行い、アメリカを泥沼の戦争に引きずり込むことになりました。これもネオコンの人々が画策したものです。

 こうしてみると、ブッシュ政権下、ブッシュ政権と共和党に反対するというのは、ネオコンに反対するということと同じでした。チャック・ヘーゲルは、共和党内部でネオコンと戦った人物ということになります。問題児、反逆児のように見えますが、ネオコンとの戦いということになると、一貫して反対した人物という姿が浮かび上がってきます。

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 ネオコンと親和性の高い、ヒラリーを旗頭とする民主党内の人道的介入主義派が、オバマ政権第二期目ではだいぶ政権から外れるようです。オバマ大統領は一期目の最初に志向した現実的な外交・安全保障政策を遂行する意図を持っているようです。今回のヘーゲルの国防長官指名はその一環と言えます。

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ヘーゲルはいかにして共和党を怒らせてきたか(How Hagel Angered the GOP)

ジョーダン・マイケル・スミス(Jordan Michael Smith)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2013年1月11日
http://nationalinterest.org/commentary/how-hagel-angered-the-gop-7957
http://nationalinterest.org/commentary/how-hagel-angered-the-gop-7957?page=1

 チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)の国務長官指名は最も議論を呼ぶ指名となった。1989年にジョージ・H・W・ブッシュ(父)大統領がジョン・タワーを国防長官に指名して以来、最も議論が白熱した指名となった。タワーの国防長官就任は上院が承認を拒否したことで幻に終わった。しかし、この時、タワーの敵となったのは民主党所属の上院議員たちだった。今回のヘーゲルの指名に関して、敵となるのは共和党である。共和党は、ヘーゲルが10年以上にわたり上院議員を務めた際に所属した政党である。上院議員時代のヘーゲルの活動を詳しく見ていくと、ヘーゲルが共和党の中で孤立していった様子がよく分かる。ヘーゲルは、共和党の方針に反した投票行動を行い、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権に対して敵対的な発言をし、上院共和党の同僚議員たちを批判してきた。

 ヘーゲルの上院議員としての姿勢は、国内政策に関しては保守的であった。アメリカ保守連合の調査によると、ヘーゲルの投票行動は、84%の割合で保守的だったそうだ。ヘーゲルが共和党を怒らせたのは主として外交政策についての行動である。彼の独自の行動は、新人の頃から始まった。ヘーゲルは、1999年、コソボに対する米地上軍の派遣を主張した。共和党の上院議員でこのような主張をしたのはほとんどいなかった。更に、ヘーゲルは、地上軍派遣を求める決議案の共同提出者となった。この決議案は否決された。この時、ヘーゲルの行動を支持したのは、現在は宿敵となっているジョン・マケイン(John McCain)だった。この時、上下両院の187名の共和党所属の議員たちが決議案に反対した。この時のヘーゲルの主敵は誰だったか?オクラホマ選出の共和党上院議員であるジェイムズ・インホッフェ(James Inhofe)だ。インホッフェは、当時、「この決議案は、アメリカの持つ資源を浪費することになり、効果的な使い方にはならない。米地上軍をコソボに派遣すべきではない」と発言している。ヘーゲルにとって悪いことには、インホッフェは、現在、上院軍事委員会の幹部となり、影響力を持っていることだ。インホッフェは、ヘーゲルの承認に対して反対票を投じるだろう。

 コソボに関しては明確に共和党の方針に反したヘーゲルも、その他の問題では一貫しない姿勢を示し、共和党の主流派を困惑させた。ヘーゲルはアフガニスタンへの侵攻を支持した。またミサイル防衛計画や国防予算増額、同性愛の兵士たちに対して「同性愛者かどうか問わないが、自分から同性愛者であることを発表しない(Don’t Ask, Don’t Tell)」政策、愛国法の改正を支持した。また、包括的核実験禁止条約に反対した。そして、ヘーゲルはイラク戦争に賛成票を投じた。

 投票に関してヘーゲルと共和党の主流派の間で実際に不和が起こった数は少ないが、不和に至った問題は全てが重要な問題であった。2007年の半ば、ヘーゲルは、民主党が提出したイラクからの即時撤退を行うための法案に、他の2人の共和党議員たちと賛成に回った。同じ2007年、ヘーゲルは、ブッシュ大統領のイラクへの米軍増派に反対した。この投票がヘーゲルにとっても、共和党にとっても、ブッシュ政権にとっても致命的に重要なものになった。ヘーゲルの反対に対して、ディック・チェイニー(Dick Cheney)は、「ロナルド・レーガン大統領が定めた規則の11か条目には、“同僚の共和党員のことを悪く言わない”とある。しかし、チャック・ヘーゲルのこととなると、この規則を守ることがとても難しくなる」と発言している。ヘーゲルは、イランに対する禁輸措置に対して反対票を投じたが、別の機会では賛成している。

 従って、彼の投票行動を詳しく見てみると、ヘーゲルが共和党の同僚たちとは反対の投票をしたのは僅か3回しかないことが分かるが、この3回が重要な投票であったのだ。共和党の同僚たちの記憶に残っているのは、ヘーゲルが頻繁にブッシュ政権と共和党全体を批判したことだ。ヘーゲルは、ブッシュ大統領の「悪の枢軸(Axis of Evil)」演説を批判した。そして、「アメリカがアフガニスタンに侵攻している今、イランはアメリカの助けになる」と発言した。ヘーゲルはまた、同僚のマケイン、リンゼー・グラハム上院議員が、イラク戦争の早期開始を求めたことにも異議を唱えた。ヘーゲルは、「サダム・フセインが核兵器開発プログラムを継続している明らかな証拠は存在しない」と主張した。アメリカのイラク進攻の一週間前、ヘーゲルは、「外交チャンネルが全て完全に断たれたわけではない」と主張した。ヘーゲルは、アメリカはブッシュ大統領が「悪の枢軸」というレッテルを貼った国々、イラク、イラン、北朝鮮との関係改善に努力すべきだと提案した。政治雑誌『ウイークリー・スタンダード』誌は、ヘーゲルを批判し、ヘーゲルが「宥和(弱腰)の枢軸(axis of appeasement)」の一員だと書いた。

 ヘーゲルはイラクへの侵攻に賛成票を投じた。しかし、ヘーゲルは熱心に支持していたわけではなかった。ヘーゲルは、2003年に「私たちがイラクに介入することで、イラクやアラブ世界に民主政治体制が樹立されるかどうかは分からない」と述べた。ヘーゲルはまた、ブッシュ大統領のグアンタナモ基地にテロ容疑者たちを収容し、拷問するという政策を批判した。それにもかかわらず、ヘーゲルは、グアンタナモ基地の収容者たちの公民権の回復には反対票を投じた。

 イラクで反米テロが頻発するようになった後、ヘーゲルは共和党内でイラク占領に反対する政治家として有名になっていった。2004年、ヘーゲルはイラクの状況を「悲惨という言葉以上の状況」と述べている。ジョン・ケリー(John Kerry)上院議員は2004年の大統領選挙で、ヘーゲルのこのコメントを選挙運動の中で引用した。共和党の首脳部はヘーゲルのコメントに激怒した。

 ブッシュ大統領の二期目、ヘーゲルは、外交政策に関して共和党の主流にことごとく反対した。ヘーゲルは少なくとも公然と反対を表明した。ヘーゲルはチェイニー副大統領の「イラクでの反米テロは生みの苦しみである」という発言を嘲笑した。ヘーゲルは、ドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)国防長官を非難し、「ブッシュ政権が無為無策であることは何も驚くに値しない」と発言した。ヘーゲルは二度にわたり、ブッシュ大統領の弾劾を提案した。あの時期、確かに多くの共和党の議員たちは、ブッシュ政権から距離を取ろうとしていた。しかし、ヘーゲルほどブッシュ政権への批判を公然と、そして激しく行った人はいなかった。

 2006年、ヘーゲルは「ユダヤ・ロビー(Jewish lobby)」が議員たちを「恐怖を用いて支配している」と発言した。そして、自分はアメリカの上院議員であり、イスラエルの上院議員ではないと述べた。この発言は今になって、ヘーゲルを批判するのにつかわれている。ヘーゲルは、イスラエルとハマスとの間、またアメリカとヒズボラとの間で直接交渉を行うべきだと主張した。そして、パレスチナ人たちへの同情を公然と表明した。このような一連の発言は、彼の言動の中で最も議論を呼ぶものになった。さすがに法的措置まで発展することはなかった。

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 個人との関係で言えば、ヘーゲルの独自の行動はコストを伴うものである。ヘーゲルとマケインは以前友人であった。しかし、現在のマケインは、ヘーゲルが国防長官に適した人物かについて疑義を呈している。ヘーゲルのイラクへの増派に対する反対が分裂を決定づけた、と誰もが口を揃える。マケインの友人は取材に対して次のように語っている。「ヘーゲルとマケインの分裂は、泥沼状態に陥ったイラク戦争開始時から始まり、ヘーゲルの増派への反対で決定的になりました。マケインは、ヘーゲルの反対をマケイン個人に対する侮辱と受け取ったのです」ヘーゲルが共和党の大統領予備選挙でマケインに対する支持を取りやめたことで分裂が深まった。ヘーゲルはマケインを名指しで批判した。ヘーゲルはマケインが「軍を拡大しなくはいけない」と考えているとし、次のように語った。「 私はいつもこのように言うんだ。ジョン、アメリカの力には限りがあるんだよ。現在の陸軍と海兵隊は大きく傷ついている。今のようなことはいつまでも続けられないよ、とね」ヘーゲルはまた、マケインが、産業化された民主国家の集まりであるG8からロシアを排除すべきだと繰り返し述べているのに対し、「完全に狂っている!」と批判した。

 ヘーゲルの孤立化を象徴するのが、2008年の共和党全国大会を欠席したことだ。ヘーゲルは、共和党の国会議員の中でただ一人、マケインがサラ・ペイリン(アラスカ州知事、当時)を副大統領候補に選んだことを批判した。ヘーゲルは、「ペイリン候補は、アメリカの歴史上、履歴書が最も短い履歴書の副大統領候補であることは疑いのないところだ」とこき下ろした。

 ヘーゲルは、マケインの大統領選挙について「大変に失望した」と述べた。ヘーゲルは、「マケインは一回だけ良い演説を行ったがただそれだけだった。彼は5000万ドル(約44億円)も使って敵を打ち破ろうとしたが失敗した」と述べた。更に、ヘーゲルは批判を全ての共和党所属の政治家たちにも向けた。「わが国には“何も知らない人々党”と呼ばれる政党がある。この政党は極端な方向に進んでいる。そして、一つの問題だけしか興味を持たない、具体的には妊娠中絶をどうするかという問題にしか興味がない有権者たちからしか支持を得られていない。もちろん、この問題が重要なのは私も分かってはいる」

 10年以上にわたり、ヘーゲルは外交政策に関して独自の考えを発展させてきた。それが、チャック・ヘーゲルと友人だった共和党の議員たちを分かつことになった。ヘーゲルの承認に関して現在行われている議論から得られる教訓はいろいろあるが、そのうちの一つは次のようなものだ。「言葉を選んで、人と関係を保つことが重要だ。ある人の議会での行動の記録には全てが記録されている」

※ジョーダン・マイケル・スミス:ウェブサイト「サロン」、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、ボストン・グローブ氏に寄稿している。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-01-13 17:43 | アメリカ政治

チャック・ヘーゲル新国防長官はアメリカの路線変更の証左か:ナショナル・インタレスト誌の記事から考える

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 安倍政権は、「価値観外交」を標榜し、対中国包囲網づくりの主導的な役割をアメリカに担わされている。しかし、アメリカ国内では、チャック・ヘーゲル新国防長官は、対中ハト派であり(と言うことは、オバマ大統領も中国に対して敵対的な姿勢を取るつもりはないということになる)、対中タカ派の多い米国防総省を、オバマ大統領の意向に沿う形で抑えるためにヘーゲルが国防長官になるということだという主張がある。それが今回、ご紹介するアミタイ・エツィオーニの記事だ。

 エツィオーニのこの記事は大変重要だと私は考える。それは、アメリカの路線転換を示していると考えるからだ。宥和的なジョン・ケリーが国務長官に、そして、対中タカ派であり、イラク戦争や経済制裁に対して批判的なチャック・ヘーゲルが国防長官になる(ケリーもヘーゲルも連邦上院議員経験者であり、オバマ大統領、バイデン副大統領とも同僚の間柄)ことで、オバマ政権第一期のヒラリーの人道的介入主義路線(Humanitarian Interventionism)・対中強硬路線が変更されることになるだろう。更に言うと、アメリカは、国内問題優先、より具体的には財政問題優先になるだろう。

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 それでは日本はどういうことになるだろうか。安倍政権の対中包囲網づくりはどうなるだろうか。この動きはある程度、アメリカから容認されるだろう。小競り合い程度までなら容認されるだろう。しかし、それ以上の、人民解放軍の艦船と自衛隊の艦船の衝突といった事態は許されないのではないかと考えられる。しかし、こうしたことは偶発性を伴うものだ。現場の指揮官レベルが上層部の意図を「わざと」読み間違うこともある。

 勇ましく姿勢を示して船出した安倍政権であるが、こちらも参議院議員選挙までは、経済優先で政権運営を行うということになる。更に言えば、安倍晋三首相は、アメリカの意図をきちんと読みとり、「集団的自衛権の容認といったことまでは行うが、中国との対決を煽動・先導しない」という方向性に進む可能性も出てきた。

 とりあえず、アメリカは路線変更をしつつあるようだ。これに対して、日本がどのように動くか。日本が対中包囲網づくりの価値観外交を推進し続けるようなら、アメリカは日本を使って中国をけん制している、もしくは安倍氏が独走(暴走)しているということになる。その場合、安倍氏が石破氏に交代させられるということもある。これからの動きを注視しなくてはいけない。

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チャック・ヘーゲルと中国(Chuck Hagel and China)

アミタイ・エツィオーニ(Amitai Etzioni)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2013年1月10日
http://nationalinterest.org/commentary/chuck-hagel-china-7952

 マスコミは、チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)元上院議員の、イラン、イスラエル、同性愛者たちに対する過去の発言や立場を大きく報じている。しかし、ヘーゲルの中国に対する考えについてより注意を払うべきである。

 次期国防長官は世界の秩序の将来、米軍の構造、これから10年間の国防予算の規模に影響を与えることになる戦略的に重要な決定を行うことになるだろう。ヘーゲルは、中国を遅かれ早かれ米国と衝突する国として、それとも、平和的に共存できる国として、どちらを優先して取り扱うか、決定を迫られることになる。

 2011年にオバマ政権が発表した「アジア回帰(pivot to Asia)」で、既に決定はなされ、米中両国の将来における衝突は避けられないと主張する人々がいる。しかし、オバマ大統領の「現在の近東の重要性は低下し、極東がアメリカにとっての最優先事項になる」という宣言は、また違う解釈もできる。オバマ大統領のアジア回帰宣言は、米軍(海兵隊や海軍の艦船など)の極東への再配置を行い、中国の近隣諸国との軍事同盟を形成し、アジア地域で共同軍事演習を行うというシグナルであるという見方をする人々がいる。米国防総省の中には、空軍と海軍の予算を増加させようと努力している人たちがいる。空軍と海軍は、中東においては、陸軍と海兵隊をする支援するという役割を担ってきた。しかし、軍関係者や戦略家たちの中には、アジア・太平洋地域では、海軍と空軍が主導的な役割を果たすべきだと主張する人々がいる。

 このような対中国タカ派の人々は、公然と、中国は「世界に出てきて、私たちの権益を喰い荒らす(out to eat our lunch)」と述べ、中国の「平和的台頭(peaceful rise)」は真意を隠すためのマスクだと主張している。彼らは、中国は、リベラルな世界秩序(アメリカが作り上げた戦後の世界秩序―訳者註)に対して、共産主義国家として挑戦したいと本当のところは考えているのだと主張している。また、対中国タカ派の人々は、中国を直視することを拒否し、ただ「アジアはアメリカにとって新しい活動の場となる」というような物言いに終始する。しかし、彼らは、中国こそが最も重要なターゲットであることを確信している。

 対照的に、「中国との違いを乗り越えて協力することができる」と考える人々が多くいる。彼らは、中国を世界に対する脅威と見なすことは大きな間違いであると主張している。何も切迫した脅威がある訳ではないのに、中国を敵とするのは間違いだと彼らは主張している。ジョセフ・ナイは次のように述べている。「中国を敵視すれば、中国が将来、アメリカの敵になることは間違いない。中国を友人だと見なしても、友情が醸成されるかどうか確かではないが、米中関係が、深刻な危機的状況に陥ることは少なくともないだろう」

 対中国関係について、ヘーゲルはどの立場に立つだろうか?その答えは、PBSで放送された、ロバート・ノーランによるヘーゲルへの最新インタビューの中にある。ヘーゲルは、中国経済が急速に発展しているといる事実から中国を警戒すべきだと考えている人々には与しないとしている。ヘーゲルは次のように語っている。

 「中国は台頭し、経済成長を続けています。これからも存在を増し続け、経済成長を続けるでしょう。私たちは中国の台頭と経済成長を歓迎すべきでしょう。中国は、インドやブラジル、その他の国々と同様、アメリカの競争者となるでしょう。それも良いでしょう。貿易、様々な交流、米中関係、共通する利益といったものを私たちアメリカと新興国家は持っています。またこれらの新興諸国は、安定、安全、エネルギー資源、人材といった点で共通していると言えます。これらを基盤にして発展しているのです。私たちアメリカにもこれらのものが全て揃っていますね。中国もまたそうなのです」

 ヘーゲルは、中国が国内に多くの問題を抱えており、国外でできることは限られているという認識を持っている。ヘーゲルは次のように指摘している。

 「中国は多くの重大な問題を抱えています。13億の人口を抱え、多くの人々が厳しい貧困の中で生活しています。雇用、中国の一番の問題はこれに尽きます。中国はエネルギー問題を抱えています。彼らはこの問題にずっと取り組んでいかねばならないでしょう。中国は世界の大国の一つとなりました。これからも大国であり続けるでしょう。それもまた受け入れねばならないことです。しかし、アメリカは中国の台頭によって衰退することはありません。また、中国がアメリカに取って代わるということを心配する必要もありません」

 ヘーゲルはアメリカについては楽観的見方をしている。

 「私は、私たちアメリカ国民が良く考えられたこと、正しいこと、合理的なことを行い続ける限り、アメリカについて心配はいらないと考えています。私たちは世界をリードしています。しかし、世界を自分勝手に支配している訳ではありません。私たちは世界各国に何かを強制している訳でもありません。私たちは世界のあちこちに介入していません。占領や侵攻をしている訳でもありません。私たちは同盟諸国と緊密に協力しています。私たちは、第二次世界大戦後のアイゼンハワー、トルーマン、マーシャルといった賢明な指導者たちが行ったことを今も行っているのです」

 対中国という重要なテーマについて、ヘーゲルがどのような立場を取っているかについては、彼のインタビューでの発言を見て、なんの疑う余地もない。ヘーゲルは対中国ではハト派ということになる。そして、ヘーゲルは、米国防総省内でオバマ大統領の意向に忠実に沿うように努力するだろう。米国防総省内部には、中国は米国にとって脅威となる敵であると考える人々が数多くいる。このような人々は、意図することなく、アメリカを新しい冷戦(Cold War)に引きずり込むために動いている人々なのである。

※アミタイ・エツィオーニ(Amitai Etzioni):カーター政権上級顧問。コロンビア大学、ハーバード大学、カリフォルニア大学バークレー校で教鞭を執る。現在は、ジョージワシントン大学・栄誉教授国際関係論教授。最新作に『ホットスポット:ポスト人権時代のアメリカの外交政策(Hot Spots: American Foreign Policy in a Post-Human-Rights World)』がある。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2013-01-12 23:11 | アメリカ政治