翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
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日本未来の党の分裂のニュースを聞いて思ったこと

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



 2012年12月26日、国会では安倍晋三自民党総裁が総理大臣に指名されました。そして、安倍内閣が発足しました。この同じ時期、日本未来の党は、党内不和から分裂の道を選びました。本日、日本未来の党の党首(だった)嘉田由紀子滋賀県知事と、小沢一郎代議士が滋賀県大津市で共同記者会見を行うということです。

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(記事貼り付けはじめ)

●「嘉田氏ら「名」を、小沢氏「実」取る…未来分裂」

読売新聞電子版 2012年12月28日

 日本未来の党は27日、党名を「生活の党」に変え、代表を嘉田由紀子滋賀県知事から森裕子参院議員へと変更することを総務相に届け出た。

 「生活の党」は小沢一郎衆院議員ら旧「国民の生活が第一」(現在は国会議員15人)のメンバーで構成される見通しで、嘉田氏と嘉田氏に近い阿部知子衆院議員らは離党することになり、分裂が決まった。嘉田氏らは政治団体として党名を引き継ぐ方向だが、結党1か月にして国会から未来の党の名は消えた。

 小沢氏と嘉田氏は28日に大津市内で共同記者会見を行い、党分裂の経緯などを正式に説明する。

 当初は小沢氏らが離党するとの観測もあったが、離党して新党を結成した場合に受け取れる政党交付金は、未来の党が受け取る予定だった約8億6500万円(現時点での勢力による試算)と比べ、大幅な減額となる。小沢氏に近い議員が「衆院選の選挙資金の多くは、旧『国民の生活が第一』が負担した」などと語る一方、嘉田氏側は、日本未来の党という党名の存続にこだわり、党の「割れ方」を巡る騒動を「カネ目当てと思われたくない」と周辺に語っていた。これが、嘉田氏らが「名」を取り、政党交付金という「実」を小沢氏らが取る格好の決着になったものとみられている。(2012年12月28日05時29分 読売新聞)

(貼り付け終わり)

 日本未来の党は名前を「生活の党」にし、党首を嘉田由紀子知事から森裕子参議院議員に変更することになりました。離党するのは、嘉田由紀子知事と阿部知子衆議院議員で、党名は嘉田知事と阿部代議士が引き継ぐということになりました。新しい「日本未来の党」は、政党要件を満たさない、政治団体ということになります。

 2012年11月27日、嘉田由紀子滋賀県知事が新党「日本未来の党」結成を発表し、翌日の11月28日に選管に届け出を行い、日本政治の世界に「日本未来の党」が出現しました。小沢一郎氏が代表をしていた「国民の生活が第一」がすぐに合流を発表しました。また、新党を結成していた亀井静香氏たちも合流し、選挙前に衆議院議員61名、参議院議員8名の政党が誕生しました。私は、この日本未来の党結成時、「どうしてこの時期に、嘉田滋賀県知事が新党を結成し、それに小沢氏たちが合流するのか」という疑問を持ち、「違和感」を持ちました。そして、そのことをブログでも書きました。

 12月16日に実施された総選挙で、日本未来の党は大敗を喫し、所属衆議院議員は9名という結果になりました。その後、党内で人事をめぐり、嘉田代表と所属国会議員たちとの間で対立が起こり、昨日、日本未来の党から嘉田知事と阿部議員が離党ということになりました。

 思えば、2009年の民主党(と連立相手である社会民主党と国民新党)による政権交代は約3年で変質し、民主党は第二自民党と化し、そして、今回、自民党が総選挙で大勝利を収めることになりました。そこには、有権者の深い失望がありました。そして、強い怒りがありました。

 民主党の変質から、小沢一郎氏と小沢氏を支持する議員の離党、国民の生活が第一の結党、日本未来の党への合流、そして分裂という一連の「ここは決起せよ」「勝負を挑め」という決戦主義、突撃主義がありました。その裏側に「決起に参加せぬ卑怯者、臆病者」という罵倒がありました。また、今回の日本未来の党の分裂に関しては、嘉田知事や小沢代議士、森裕子参院議員に対して、罵詈雑言が投げつけられました。

 こうした一連の動き、日本人の短気さを示していると思います。「早く理想の状態に辿り着きたい」「早く結果を出してほしい」という焦燥が人々を駆り立て、怒りの感情を湧き起こさせ、罵詈雑言を吐いている、このように感じます。

 映画『硫黄島からの手紙』の中で、徹底抗戦で1日でも長く島を死守するという意図を持つ栗林忠道中将に対し、その他の多くの将官が決戦主義を主張し、自決、総攻撃、玉砕の道を選んでいきます。これは日本人の潔さを示すエピソードでありますが、同時に日本人の短気さも示しています。

 また、「日本にとっては自民党がいちばん良いのさ」「何をやっても変わらない」「日本国民は馬鹿ばかりだからな」という諦観と蔑みの感情も、今回噴出しました。自民党を支持している人々からも、それ以外を支持している人たちからもそのような声が聞かれました。これもまた、日本人の短気さ(=一度うまくいかなかったら「潔く」諦める)を示していると思います。

 民主党の変質から未来の党の分裂までの間、大変な罵詈雑言が聞かれました。その対象は、嘉田知事であったり、小沢議員であったり、森議員であったりと様々ですが、どうも見ていると、罵倒している人たちが一番罵倒したいのは、その人たち自身であるように思います。「信じた自分が馬鹿だった」「裏切られた」という気持ちの噴出であると私は見ています。それもこの3年ほどで「理想が実現されなかった」「結果が出なかった」ことに対する焦燥と失望が原因であると考えます。

 この日本人の短気さについては、山本七平がイザヤ・ペンダサンという名前で書いたベストセラー『日本人とユダヤ人』の中でも指摘されていることです。日本人毎年「キャンペーン型稲作農業」で鍛えられ、締切から逆算して行動するという訓練を受けてきたが、遊牧民たちはまた違う時間の流れで生きた、というのが山本七平の書いていることです。そして、日本人は「待つ」ということが苦手で、待つとなるとイライラして待つということになるのだと山本七平は書いています。

 私たちが陥っているのは、まさにこのような状態なのではないかと私は考えます。日本人特有の短気さゆえに、民主党による政権交代から以降の出来事に大きく失望し、怒り、諦めるというようなことになっているのではないかと思います。

 しかし、このような怒りや諦観をいつまでも引きずる訳にはいきません。私は、アメリカ生まれのユダヤ人政治学者マイケル・ウォルツァーの『正義の領分』(山口晃訳、而立書房、1999年)に所収されている「我が身を振り返って―私の特定主義―」という文章を思い出します。

 ウォルツァーはこの文章の中で、ユダヤ人のものの考え方を書いています。その中で、次のような文を書いています。

 「『指おり数え』『終わりを強行する』人々は、繰り返し私たちの人民に災厄をもたらしてきた。それゆえに、数えることと強行することの両方に対してラビの政治があるのである」

 「政治的解放、社会建設、国民形成、立法といった仕事、これらはすべて永続するものである。文字通り継続し、終わることなく更新される」

 「私たちは、最後の詩を書くことを期待すべきではないように、最後の法を制定したり、最後の国家を建設することを期待すべきではない」

 ユダヤ人に対しては、毀誉褒貶様々ありますが、歴史を見れば、自分たちの国家建設のために千年単位かけ、その間にユダ人内部でも激しい対立があったり、迫害にあったりと様々な出来事が起きています。しかし、ユダヤ人は民族として生き延びてきました。迫害や失敗の後に自暴自棄になることなく、また同じことを繰り返していったということが、ウォルツァーの言葉から読み取れます。また、考えや意見の多様性を大事にしていること、これもまた重要なのだろうと思います。このことについては今回は触れません。

 私たちは「決戦主義「突撃主義」で短兵急に結果を求めるのではなく、同じことを繰り返していく、それで良いのだ、と思うことから始めるべきではないかと思います。そこには華々しさはなく、長距離走のように苦しいことばかりがあると思います。しかし、それでも繰り返しをただ繰り返していく。うまくいかなかったら、また最初からやっていく、ということを「気長」にやっていくしかないのではないかと思います。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-12-28 15:35 | 日本政治

ヘリテージ財団の日本政治論:シナリオはできていた?①

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



アメリカは日本の政治の変化を利用して同盟を深化させるべきだ(U.S. Should Use Japanese Political Change to Advance the Alliance)

ブルース・クリングナー(Bruce Klingner)筆
ヘリテージ財団(Heritage Foundation)ウェブサイト
2012年11月14日
http://www.heritage.org/research/reports/2012/11/us-should-use-japanese-political-change-to-advance-the-alliance

要約:2012年12月16日、日本国民は、日本の政治状況を再び変えるための機会を持つ。多くの有権者にとってこのような変革は3年前にも見たものである。この時は、民主党が選挙に大勝し、政権を獲得した。選挙公約を実現できず、改革を現実のものとすることができなかった。その結果、日本国民の政治の変革を求める熱望は満足させられないままの状態にある。核世論調査の結果を見てみると、保守の自民党が再び衆議院で過半数を占め、安倍晋三元首相が次の日本の首相になると予想される。安倍氏の保守的な外交政策に対する考えと日本国民の間で中国に対する懸念が増大していることは、アメリカ政府にとって素晴らしい機会を提供することになる。アメリカ政府は、この機会を利用して、日米同盟の健全性にとって重要な政策目的を達成することができる。

●重要なポイント(Key Points)
1.2009年の総選挙は、日本政治におけるリーダーシップの在り方を変えてきた。しかし、民主党は選挙公約を実行できず、改革を現実のものとすることができなかった。その結果、日本の一般国民の政治を変革したいという熱意は存在しているものの、どの政党にも信頼を置いていない。

2.日本の次のリーダーたちは、いくつかの厳しい挑戦に直面することになる。それらは、停滞する経済、増大していく公債、高齢化していく人口、中国と北朝鮮からの安全保障上の脅威、国際社会における影響力の低下である。

3.中国は日本に地政学上の攻勢をかけている。この結果、日本全土でナショナリズムが高揚している。そして、日本の政治状況と来たる選挙の結果を変えることになる。

4.各種世論調査の結果から、次の総選挙では、保守の自民党が衆議院で再び過半数を占め、安倍晋三元首相が日本の次期総理になることが予想される。

5.安倍氏の保守的な外交政策に対する考えと日本国民の間で中国に対する懸念が増大していることは、アメリカ政府にとって素晴らしい機会を提供することになる。アメリカ政府は、この機会を利用して、日米同盟の健全性にとって重要な政策目的を達成することができる。

==========

 3年前、民主党は総選挙に大勝し、政権を獲得した。民主党の大勝は、自由民主党による50年に及ぶ支配によって作り出された政治の停滞に対して人々の怒りがうねりになったことによるものだった。しかし、高揚感はすぐに消え去った。財政の現実に直面し、民主党は、非現実的な経済に関する公約を破棄することになった。そして、中国と北朝鮮からの脅威に対応することで、民主党は現実離れした外交政策を転換せざるを得なくなった。アマチュアリズムが蔓延し、多くのスキャンダルに見舞われ、民主党は政治的に自民党同様、機能不全に陥り、短期間で首相を次々と変えるようになってしまった。民主党政権初の首相、鳩山由紀夫は1年も持たずに辞任し、二人目の菅直人もわずか15か月、首相の地位に留まっただけだった。有権者たちは民主党支持から態度を変え、参議院では、それ以前の選挙では信頼しなかった自民党が参議院をコントロールできるだけの議席を与えた。

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 公約を実現できなかった結果、民主党は次の選挙で衆議院の過半数を失い、政権を手放すことになるのはほぼ確実だ。選挙の正確な日時ははっきりしていないが、遅くとも2013年の8月の終わりまでには実施される。野田佳彦首相は、選挙の日時を設定することをできるだけ避けようとするだろう。それは瀕死の状態にある今の民主党を何とかして立ち直らせようとするからだ。このような引き延ばしに対して、自民党は早期の解散総選挙をさせるために国会審議を停滞させると脅しをかけている。

 各種世論調査の結果によると、次期総選挙では、保守の自民党が過半数を獲得し、自民党総裁で元首相の安倍晋三が日本の次の首相に選ばれる可能性が高い。安倍氏は、外交政策について保守的な考えを持っている。そして、日本国民は中国への懸念を早大させている。こうしたことは、アメリカにとって絶好の機会となる。アメリカは、こうした状況を利用して、日米同盟の健全性にとって重要な政策目標を達成することができる。

 アメリカ政府は、これまで長い間、日本に対して、自国の防衛でより大きな役割を果たすこと、そして防衛力と経済力に見合った海外での安全保障の責任を引き受けるように強く求めてきた。日本が防衛予算を増大させ、集団的自衛権を行使し、海外での非岩維持活動における武器使用についての厳格なルールを緩め、沖縄の普天間基地移設問題で辺野古に代替施設を建設することは、アメリカにとって利益となる。

●日本の有権者は今でも政治指導者を追い求めている(Japanese Electorate Still Longing for Leadership)

 2009年の総選挙は日本の政治状況を変化させたが、民主党は公約を実行して、改革を実現することができなかった。その結果、日本国民の政治の転換に対する熱望は残ったままになり、政党に対する不信感が残った。世論調査などを行っても、「支持政党なし」「支持する候補者なし」という答えが多くなっている。このような政治不信は、日本政治に空白を生み出し、そこに大阪市長の橋下徹が登場し、日本維新の会(Japan Restoration Party、JRP)を結成した。

 民主党について。漫画のキャラクターであるワイリー・コヨーテのように、中空に浮かんでいるような状況である。そして今にも真っ逆さまに落ちてしまいまそうになっている。そうした中、野田佳彦首相は、これから苦境に向かうであろう党を率いている。民主党はある程度の勢力を維持するだろうが、ワイリー・コヨーテのように、大きな間違いであったことが証明された基本プランに縛られてフラフラすることだろう。

 2010年に尖閣諸島を巡り中国と対峙して、民主党は選挙期間中に訴えていた、外交政策、安全保障政策に関する公約を放棄した。例えば、民主党は、日米同盟を批判しなくなった。また中国との関係を深め、アメリカ抜きの東アジア共同体を構築するという主張も放棄した。また現在普天間にあるアメリカ海兵隊の航空基地を沖縄県外に移設するということも言わなくなった。民主党は事実上、ライバルである自民党の外交政策を踏襲したことになる。

 民主党の経済政策についての公約もまた同じような運命をたどった。例えば、2009年の選挙戦で、民主党は高齢者に対して年金と医療費の増額を約束した。そして、2009年から4年間はいかなる増税も行わないと主張した。しかし、選挙に大勝した後、民主党は公約を放棄した。2011年、野田首相は、消費税を現行の5%から10%に倍増させるということを提案した。野田首相はまた、税収の増加分は全てトラブルが頻発している社会保障システムの安定のために使い、政府の規模を大きくしないということも約束した。

 しかし、人々の人気が低い消費税増税を強行したことで、野田首相は、政治的に見て、民主党の墓堀人になったと言える。民主党所属の川内博史代議士は次のように語っている。「自民党政権下での年金と健康保険に対する一般国民の不信と、私たちが国民とした約束によって、私たちは政権を取ることができました。しかし、現在の民主党は昔の自民党と同じになっているのです」

 有権者からの支持が減り続けていることに加え、民主党は政治家の離党が相次いでいることにも苦しんでいる。これまでに70名以上の政治家たちが民主党を離れていった。彼らは、消費税増税や大飯原発の再稼働についての野田総理の決定と自分たちの考えが異なるとして離党していった。

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 野田佳彦首相について。驚くほど大胆で有能な政治家である。野田首相のじり貧の支持率は皮肉なものである。野田首相の支持率が下落したのは、彼が日本政治において異例な存在であることを示して以降である。野田首相は、勇気を持って実際に日本をリードしている政治指導者である。野田首相は、自民党と民主党から出た前任者5名に比べてかなり有能である。

 野田首相の業績は、彼が2011年3月に起きた地震、津波、原発事故の三重苦のすぐ後だったことを考えると、大変に印象的である。日本国民は更なる原発事故への恐怖から、日本の全原発の稼働をストップした。原発は日本の電力の30%を供給してきた。

 野田首相は、期待されていたよりも、かなり政治的に熟練していた。例えば、2012年初め、日本のメディアは、野田首相はすぐに政治的に無力化してしまうと予想していた。しかし、野田首相は、野党や民主党内部の反対者の裏をかき、議論が紛糾していた法律案を成立させた。更には、民主党内部や議事進行を妨害してまでする野党の反対がありながら、野田首相は消費税増税の承認を勝ち取った。野田首相は、日本が長い間堅持してきた武器輸出三原則を緩和し、アメリカ政府を説得し、二国間防衛に関する同意を変更した。その際、アメリカは海兵隊普天間基地の代替施設建設が。沖縄にある5つの米軍基地の返還の条件であると主張していたが、この2つを切り離すことができた。

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 小沢一郎について。小沢は人気のないポピュリストである。日本政治の未来についての議論がある時、その名前が出なくなってしまったのが(これは驚きである)、民主党元代表で、キングメイカーとして知られる小沢一郎である。小沢氏は、「壊し屋」としても知られている。小沢氏はこれまで長い間、いくつもの政党や政策を投げ棄て、選挙での勝利の可能性を高めるということを繰り返してきた。実際、小沢氏の首尾一貫して持つイデオロギーは、その時その時の有権者に最も受けが良い考えを強く信じるということだけである。

 しかし、選挙に影響を与えることができるという能力を持つことで小沢氏は人気を保ってきた。しかし、小沢氏の人気も徐々に落ちている。現在、彼の政党には49名の国会議員が所属しているが、その多くが一回生の軽量級の議員である。そして、次の総選挙では落選すると予想されている。小沢氏はお金と影響力を確保しようとして東奔西走している。小沢が新しく立ち上げた「国民の生活が第一」は、次の選挙で恐らく10議席程度しか確保できないであろう。

(つづく)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2012-11-28 12:36 | 日本政治

二つの「中心」

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



昨日、午後、小沢一郎衆議院議員をはじめとする50名の衆参の国会議員が民主党を離党した。近いうちに新党を立ち上げると見られている。私は、小沢氏をはじめとする、先日の消費税増税法案に反対票を投じた議員たちの民主党離党には反対の考えを持っていた。

それは、民主党・自民党・公明党の三党による翼賛体制を牽制するには、小沢氏をはじめとする議員の方々は、党内に留まるべきではないかと考えたからだ。もし執行部に反対する議員たちがいなくなれば、それこそフリーハンドで、これまで以上に、何でも簡単に進められてしまうと考えた。それを危惧した。

しかし、本日、小沢氏をはじめとする国会議員たちは離党届を輿石東幹事長に提出した。なぜ今日なのかという疑問は残る。しかし、小沢氏は午後6時から記者の取材に応じ、離党理由を説明した。その内容は、「民主党が国民党の約束を破った。自分たちは、原点に立ち返るために離党した」というものだった。消費税増税や原発再稼働問題で国民の期待を裏切っているということだ。

私は、生真面目な小沢氏の離党理由の読み上げを聞きながら、それならば離党もやむなしかという思いに駆られた。と同時に、今回の離党に関して、辻恵議員と階猛議員が最初、離党メンバーに入っていながら、それがのちに修正されたというドタバタをどう捉えたら良いのかと考えた。

私は、政権交代の前後から、階猛議員に注目してきた。東大法学部(野球部では投手として活躍)から長銀、そして弁護士という経歴と、その理論構築力は、これからを担う若い政治家だと考えてきた。そして、階議員は、先週末、離党に否定的な考えを重ねて発表してきた。私は、階議員の離党に反対の理由は全くその通りだと受け止めた。階議員は、①小沢氏の裁判に関して、野党議員になると、何をされるか分からない、②民自公の翼賛体制を牽制するという理由を挙げていた。

そして、昨日である。辻議員と階議員の離党をしないという決断に対して、インターネットの世界を中心に多くの批判・非難が寄せられた。私は、このような批判・非難には与しない。

私は、今回の消費税増税法案の衆議院通過を通じて、2つの問題点がはっきりと姿を現したと考えている。①民主党の現執行部は、国民との約束を破り、国民を裏切った。②与党と野党が野合し、翼賛体制を組み、デモクラシーの原則を踏みにじった。

これら2つの問題に対し、心ある議員は、何とかしないといけないと考えるはずだ。しかし、この2つの問題に同時に対処することは難しい。そこで、どちらを優先すべきか、これで、今回の対応が別れた、と私は考える。

私は政治家の運命や選挙の当落は、デモクラシーの原則の前ではどうでも良いものとなると考えている。デモクラシーの原則を守ることこそが重要だと考える。政治家や政党は転変するが、原則は変わらない。母校の校歌の一節にあるが、「集まり散じて人は変われど、仰ぐは同じき理想の光」なのである。しかし、現実の国民生活について、政党が、しかも与党が約束を破るということも同じくらいに、罪が重たいことである。

私は、このように考えることにした。①と②の問題、それぞれに心ある政治家たちが反応したのだ、と。そして、民主党と翼賛体制の内と外で、これらに対抗するための2つの中心ができたのだ、と。①の問題に対応して、今回の小沢氏をはじめとする議員たちが行動し、既に行動していた新党きづなと真・民主が連携して中心となる。一方で、②の問題に対応して、民主党内には、消費税増税法案に、反対した議員が20名以上残っている。デモクラシーの原則を守り、翼賛体制を牽制するためにこの人たちが中心となる。

民主党は議員数が多い。しかし、そのほとんどは、中間派や付和雷同型の若手議員たちだ。彼らは、どちらにも顔を向けることができる。ヤヌス型と言って良い。現執行部に対抗する、2つの中心が力を持ち始めたらなびき始める人々である。

だから、この2つの中心が現執行部と翼賛体制に対抗していく存在になるであろうと私は考えている。その時に、安易な感情論や突撃主義、純化主義で、排除をしていけば、待っているのは敗北だけである。

(終わり)

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副島 隆彦 / 成甲書房


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by Hfurumura | 2012-07-03 02:05 | 日本政治

政治家の発する言葉

副島隆彦の“予言者”金融セミナー第2回『大災害から復活する日本』発刊記念講演DVD

副島 隆彦 / 成甲書房



 このブログを久しぶりに更新します。先月末から個人的なことでバタバタしており、落ち着いて何かをするということができませんでした。

 時事通信のサイトで、下に貼り付けた2つの記事を見つけました。それぞれ民主党の実力者と言われる2人の発言を取り上げています。

 一つ目は前原誠司民主党政調会長のこれまでの発言を取り上げたものです。時事通信の記事では、前原氏の政調会長就任後の発言について「突出」という表現を使っています。そして、前原氏の発言は「歯切れが良く、明快さを持っている」としながら、同時にその発言によってマイナスになったこともあると時事通信の記事の中で評されています。

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もう一つの記事は、小沢一郎元民主党代表がインターネット番組に出演した際の発言を取り上げています。小沢氏は自身の政治資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反に関して元秘書3人に執行猶予つきの有罪判決が出たことについて発言しています。また、今回の事件に関して「自分がターゲットであり、政権交代に対する攻撃のスケープゴートにされた」と語り、「憶測を基にした判決など民主主義国家では考えられない」という発言をしています。

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 政治家の発言が「突出」「行き過ぎ」「実力が伴わない(口だけ)」と捉えられるかどうかの分かれ目は「その政治家がどれだけぶれないか」ということにあると思います。発言の内容は、変わることがあります。状況の変化や考え方の変化があるからです。しかし、そのもっと根幹にある部分がぶれるかどうかで、政治家の語る内容に対する評価が変わってきます。

 前原氏の発言は「親米・従米」という側面では全く変化のないものです。しかしそれ以外の点では何を自分の根幹にしているのか、分かりにくいために発言が「突出」し、「過去の反省がない」ということまで言われてしまいます。

 小沢氏の発言内容も変化はあります。自民党幹事長時代と現在の発言を比べたら変化している部分も少なくないでしょう。しかし、小沢氏の根幹にあるのは「日本のデモクラシーを成長させよう」「政権交代が現実的に実現する制度にする」「官僚ではなく、国民から負託を受けた政治家が政治を行う」という考えがあり、そこがぶれないために、発言自体もぶれていないように感じられます。

 政治家の発言の変化をたどることと同時に政治家のぶれない部分がどこにあるのかということを見ていくことが大切だと考えます。

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(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「突出発言目立つ前原氏=「実行力伴わぬ」と批判も-民主」

2011年10月2日付 時事ドットコム
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011100200080

 民主党の前原誠司政調会長の発言が突出気味だ。党政策調査会の発言力を高める狙いがあるとみられるが、政府側との調整が不十分なまま踏み込んだ結果、「軽率」と受け止められることも珍しくない。党内では「もう少し落ち着いてほしい」(中堅)との声が広がり
つつある。

 前原氏は就任早々、ワシントンで行った講演で、国連平和維持活動(PKO)での自衛隊の武器使用基準緩和に言及。政府・与党内に波紋を広げた。鉢呂吉雄前経済産業相の原発事故をめぐる発言では、「事実とすると大変由々しき問題だ」と記者団に語り、政権幹部の中では真っ先に辞任への「引き金」を引いた形となった。

 前原氏の歯切れの良さには定評がある。同氏の人気の高さにもつながっているが、その「明快さ」が自らの首を絞めたことも。代表時代には「信ぴょう性は高い」としたメールが偽物と判明し、辞任に追い込まれた。

 また、華々しい発言の割に「実行力が伴わない」との指摘も少なくない。政権交代直後、国土交通相として八ツ場ダムの建設中止を打ち上げたものの、結局、地元住民との関係をこじらせたにすぎなかった。

 臨時増税に関する政府・民主党の迷走も、前原氏の発言が一因と言えそうだ。前原氏は党内の増税反対派を抑えるため、税外収入を5兆円から増やす考えを表明。確たる見通しのない情報発信に財務省が硬化し、双方の増税額の説明はなお食い違ったままだ。

 野田佳彦首相は政策決定への党の関与を強めた。今回の増税をめぐる政府・民主党の調整はそのテストケースの意味合いもあったが、前原氏の発言が尾を引き、及第点に達したとは言い難い。

 2日に政権発足1カ月を迎えた野田政権。民主党関係者は当面の対応について「余計なことは言わない、派手なことはしない。そうするしかないのだろう」と語った上で、こう付け加えた。「問題は前原氏だ。過去の失敗の反省がない」(2011/10/02-14:11)

●「「民主主義国では考えられぬ」=小沢氏、元秘書有罪判決を批判」

2011年10月2日付
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011100200160

 民主党の小沢一郎元代表は2日午後、インターネットの対談番組に出演し、自身の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、元秘書3人に有罪判決が出されたことについて「大変びっくりした。何の証拠もないのに推測に基づいて決めてしまうのは民主主義国家では考えられない」と述べ、痛烈に批判した。

 小沢氏は先月26日の判決後、自身に近い議員に「あり得ない」などと強い不満を示していたが、公の場で発言するのは初めて。小沢氏は「既得権益を持ち続けてきた人にとっては、(自分が)最大の狙いだった。政権交代のスケープゴートにされた」とも語った。

 また、小沢氏は番組の司会者から首相就任を目指すよう求められたのに対し、「自分がそういう立場に立ったら、責任回避やポジションにすがりつくということだけは絶対にしたくない」と否定しなかった。(2011/10/02-19:13)

(新聞記事転載貼り付け終わり)
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by Hfurumura | 2011-10-03 11:10 | 日本政治

民主党代表選

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民主党代表選に関する動きが活発化しています。昨日、民主党代表選の説明会が開かれ、9陣営が参加しました。9人も立候補を表明していたかな、とびっくりしたのですが、小沢鋭、海江田、鹿野、樽床、野田、前原、馬淵のすでに立候補表明済みの7氏に加え、平岡氏と平野氏の代理人が参加したということです。平野氏は鳩山氏の側近で、鳩山政権の官房長官を務めた人物です。鳩山政権瓦解後は、小沢氏と近く、反主流派としての活動が多くなっていました。平岡氏についてはあまり知られていませんが、民主党内では「リベラルの会」というグループを近藤昭一氏と共同で率いています。平岡氏は山口2区選出で当選5回、東大法学部から大蔵省へ進んだ人物です。

リベラルの会は他グループとのかけもちの議員たちも多く、人数を確定しづらいのですが、コアメンバーは20名いないものと考えられます。主なメンバーは生方氏、寺田学氏、藤末健三氏、中村哲治氏で、リベラル派として党内のタカ派(前原グループなど)とは一線を画しています。平岡氏はおそらく立候補することはできないでしょう。しかし、リベラルの会の存在を知らしめることで退潮傾向に歯止めをかけていこうという意思が見られます。平野氏も立候補することはないでしょうが、鳩山グループの結束を固めるという意思があるものと見られます。

焦点は小沢グループの動向です。小沢氏はおそらく代表選挙の投票日まで支持する候補者を明らかにすることはないでしょう。現在、有力候補となっている前原氏とのにらみ合いの状況です。前原氏と小沢氏をつなぐ稲盛氏、そして前原氏を支える仙谷氏はすでに小沢氏と会い、仙谷氏は小沢氏から「挙党一致と言うがそちらが我々を排除したのではないか」という非難を受けました。大事なことは前原氏が小沢氏に会いに行き、小沢氏も面会を拒まなかったという点です。2人が全く接触できない、しない状況というのは民主党の存続、民主党政権の存続にもマイナスになってしまうからです。

民主党政権を続けること、小沢氏はこれこそが重要だと考えていると思います。大連立という考えは震災直後なら意味があった考えですが、今となっては増税のための野合、自民党の延命のためのものでしかありません。前原氏は自民党との親和性が高い人物ではありますが、彼自身が民主党から出るといってどれだけの議員がついていくかと考えるならば前原氏は民主党に残るしかありません。

民主党を続けるため、民主党政権を続けるために小沢氏が前原氏に投票することは何もおかしくありません。ですが、そこにはやはり条件を付けなければなりません。小沢氏の党員資格停止を解除するということは小沢氏にとってはどうでもよいことです。それよりは、他の条件、マニフェストの堅持や政治主導の堅持を求めるでしょう。そのための現在のにらみ合いであり、小沢氏のとぼけ作戦であると言えます。前原氏や仙谷氏としては小沢氏に早く態度を表明してもらえばそれだけ楽ですが、そうさせてもらえないので大変なのではないかと思います。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「来るわ来るわ…民主代表選、事前説明会に9陣営」

2011年8月25日付 朝日新聞電子版

http://www.asahi.com/politics/update/0825/TKY201108250226.html

 民主党代表選の事前説明会が25日、党本部で開かれ、9陣営の代理人が出席した。候補者乱立の様相だが、水面下で候補者の一本化を進める動きもあり、27日の告示を前に各陣営の動きが活発化している。

 説明会には、小沢鋭仁元環境相(57)、海江田万里経済産業相(62)、鹿野道彦農林水産相(69)、樽床伸二元国会対策委員長(52)、野田佳彦財務相(54)、平岡秀夫総務副大臣(57)、平野博文元官房長官(62)、前原誠司前外相(49)、馬淵澄夫前国土交通相(51)=50音順=の9陣営が参加した。平岡氏は立候補に必要な国会議員20人の推薦人の確保に苦しんでいる。平野氏は代表選への意欲を明らかにしておらず、立候補に踏み切るかどうかが注目される。

 候補者の一本化をめぐっては、海江田氏の陣営幹部が25日、「小沢(鋭)氏との一本化を模索したい」と語った。渡部恒三最高顧問も24日、小沢一郎元代表に批判的な前原氏と野田氏の一本化が望ましいとの考えを示したが、野田氏の陣営内には、樽床氏との連携を望む声もある。一方、馬淵氏は25日、東京都内で記者団に「各候補がどんな価値観や政策、国家観を持っているか国民は知りたいと思う。しっかりと見せて戦うことが重要だ」と語った。

●「因縁の二人が神経戦=会談10分、話題は政策-民主代表選」

2011年8月25日付 時事ドットコム

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011082400946

 民主党代表選への出馬を決めた前原誠司前外相と、党内最大のグループをまとめる小沢一郎元代表との駆け引きが24日、本格化した。小沢氏が前原氏を推せば、一気に「前原代表の流れになる」(党関係者)とみられるが、菅政権下で反目してきた両氏だけに、話は単純ではない。党内情勢をにらみながらの神経戦が、29日の代表選直前まで続く可能性もありそうだ。

 「立候補するのでご指導をよろしくお願いします」。前原氏は24日午後、小沢氏を事務所に訪ね、頭を下げた。終了後、記者団に「政策の話をした。考え方にあまり違いはなかった」と説明。記者団から、小沢氏の処分解除の話をしたか聞かれると「するわけがない」と語気を強めた。

 前原氏は、岡田克也幹事長や仙谷由人代表代行らとともに、菅政権の「脱小沢」路線を主導した一人。各種世論調査での高い人気が武器だ。小沢グループの支援を得たいが、露骨に擦り寄れば、足元の支持を失いかねない。前原氏サイドが、小沢氏訪問を「代表経験者へのあいさつ回りの一環」と説明するのも、こうした事情からだ。会談時間も、わずか10分だった。

 一方、代表選後の「復権」を目指して勝ち馬に乗るのが基本戦略の小沢氏だが、グループの結束が弱まっていることもあり、こちらの事情も複雑だ。仮に「前原代表」誕生に貢献しても、政権への影響力を確保できる保証はなく、メンバーの前原氏への不信感は根強い。かといって、他の候補を担いで前原氏と全面対決した末に敗れれば、グループ内での小沢氏の求心力がさらに低下するのは必至。鹿野道彦農林水産相や海江田万里経済産業相の擁立で既に動きだしている議員もいる。

 「挙党一致を言うが、われわれを排除しているのはあなた方だ」。小沢氏は23日夜、ひそかに訪ねてきた前原グループ幹部の仙谷氏に、不快感をあらわにした。小沢氏周辺からは、支援の条件として「誠意を示せ、担保を出せってことだ」と、新体制でのポストを求める声も漏れる。グループ内では「小沢さんは、ぎりぎりまで対応を決めない」との見方が支配的だ。(2011/08/24-21:48)

●「マニフェスト再構築明記 民主代表選・鹿野氏が政策骨子」

2011年8月24日付 朝日新聞電子版

 民主党代表選に立候補を予定している鹿野道彦農林水産相(69)が掲げる政策の骨子が判明した。(1)東日本大震災の復旧・復興(2)デフレ脱却(3)円高対応を「直ちに取り組む政策」と位置づけているが、党内の幅広い支持を得るため、復興増税や原発政策については明確に示していない。

 骨子によると、小沢一郎元代表が掲げた「国民の生活が第一」の理念のもとで「マニフェスト(政権公約)を再構築する」ことも明記。党内最大勢力を率いる小沢氏に配慮した。円高対策として日銀にさらなる金融緩和を求める一方、外国為替市場への単独介入も辞さないとしている。東日本大震災の復興財源として無利子国債を発行することも盛り込んでいる。

(新聞記事転載貼り付け終わり)
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by Hfurumura | 2011-08-25 16:36 | 日本政治

政局いろいろ

副島隆彦の“予言者”金融セミナー第2回『大災害から復活する日本』発刊記念講演DVD

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8月末の会期末、菅内閣総辞職、民主党代表選に向けて動きがあわただしくなってきました。民主党代表選については、今のところ、野田氏、海江田氏、馬淵氏、小沢鋭氏が出馬を表明し、鹿野氏が出馬要請を受けています。そして、本日、前原氏が出馬表明を行う予定になっています。私は現在訪日中のバイデン米副大統領が誰に会うかで民主党代表選の流れが決まると思っていましたが、今のところ、候補者たちと会うという予定はないようです。バイデン氏は民主党代表選、つまり日本の総理選びに直接関与しないようです。

前原氏と野田氏は盟友であり、常に行動を共にしてきました。一時期は野田・前原グループという呼ばれ方をしていました。しかし、今回、二人の盟友関係には亀裂が入りました。民主党や国民の間に野田氏の増税とTPPの推進に対して嫌気や嫌悪感が予想外に広がってしまいました。野田氏を評価するのは自民党だけと民主党現執行部だけという奇妙な状況になりました。民主党の人気がこれ以上落ちることを凌雲会系は恐れたのでしょう。彼らにも原因があるのですが。野田氏と前原氏のグループの亀裂は、あれだけ蜜月だった、日本新党と新党さきがけの亀裂と重なる部分があります。両党ともに合併で合意していたのに結局、ケンカ別れとなりました。これは非自民連立政権での首相になるかならないかで細川氏と武村氏がケンカしたからです。前原氏と野田氏が共に日本新党出身というのは因縁を感じます。

戦争の時でも赤十字はつながっています。戦争のときは赤十字のマークを付け、相手方に通告されている病院船を攻撃することは禁止されています。戦時国際法で決められています。ケンカにもある程度の暗黙のルールがあります。相手に命に係わる、もしくは後遺症が残るような傷を負わせることはルール違反です。自民党時代、総裁選挙における派閥間の競争は熾烈を極めました。主に資金面での争いでした。しかし、それでもルールが存在し、あまり行き過ぎる場合は財界や自民党の長老が仲裁に入るということはありました。

また、連絡将校のような人たち、主に派閥の事務総長たちが定期的に会合を持つことで連絡ができるようにしていました。自民党を壊さないためのブレーカーがあったということです。現在の民主党にこうしたブレーカーがあるのかと言われるとよく分かっていません。しかし、民主党内で対極にある前原氏と小沢氏をつなぐ赤十字的な存在はやはり稲盛和夫京セラ会長す。前原氏も小沢氏も稲盛氏との関係が深く、稲盛氏は政権交代を主張し、長年民主党をそして前原氏、小沢氏を支援してきました。

現在の民主党内部の主流派と反主流派の戦いを内戦、内部分裂にまで発展させてはいけません。そうなれば自民党政権に逆戻りとなります。一部の小沢一郎至上原理主義者たちはそれを望んでいるのでしょうか。ひいきの引き倒しをしているという自覚がないので、本当に始末に負えません。小沢氏系と前原氏系が何も仲良くしろと言っているのではないのです。民主党政権を続けていくように望むだけです。

増税について、お隣同士の県の県知事が全く別のことを言うという不思議な現象が起きました。以下の新聞記事にあるように、宮城県の村井知事は増税を主張し、岩手県の達増知事は増税に反対をしています。村井知事は漁業特区といい、増税といい、何か裏があるような主張を繰り返しています。さすが、「トモダチ」作戦の本拠となった仙台空港のある宮城県の知事です。知事は県民の代表であり、県民のために命を懸ける存在ですが、一体誰のために存在し活動しているのか、村井知事に関しては疑問に思うことが多いのです。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「前原氏、稲盛氏に出馬意向伝える「お礼方々あいさつ」」

2011年8月23日付 MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110823/stt11082310270007-n1.htm

 民主党の前原誠司前外相は23日午前、同氏の有力後援者で、民主党と関係が深い稲盛和夫日本航空会長と都内で会談し、党代表選に出馬する意向を伝えた。前原氏は会談後、記者団に「日本航空の問題でお世話になっており、お礼方々(代表選出馬の)あいさつをした」と語った。

 前原氏は22日夜、都内で行われた自らを支持する党内グループ幹部らとの会合で、「(党代表を)私にやらせていただきたい。20年間の政治生命をかけて決断した」と決意を語った。23日夕のグループ会合で正式に出馬を表明する。

●「「臭い物にふた」 宮城知事、復興増税慎重候補者を批判」

2011年8月22日付 MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110822/stt11082213250002-n1.htm

 宮城県の村井嘉浩知事は22日の記者会見で、民主党代表選に出馬を取りざたされている候補者に関し、東日本大震災に絡んだ復興増税に慎重な意見が多いことを「大変残念に思う。臭い物にふたをしろという思いが透けて見える」と批判した。

 村井知事は復興増税の必要性を主張している。会見では「日本のかじ取り役として、具体的にどこまで国が責任を負うのか、どこまで財源を確保するのかを明確にしてほしい」と注文。「苦しいものこそ表に出し、はっきりと党員、国民に問うてほしい」と強調した。

●「「増税する状況にない」安住氏発言に岩手知事」

2011年8月1日付 MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110801/stt11080122390004-n1.htm

 岩手県の達増拓也知事は1日の記者会見で、民主党の安住淳国対委員長が「自治体の首長は増税しないんだから(批判されにくい)。国からお金をもらい、泥をかぶらない」と発言したことについて、「もし泥をかぶれというのが増税せよという意味ならば、被災地は増
税する状況にはない」と述べた。さらに「財政政策は国家の在りように関わる話。それを地方がやるべきだというのは国としては無責任」と訴えた。

●「前原氏出馬論強まる 小沢氏処分解除反対 29日代表選」

2011年8月22日付 朝日新聞電子版

http://www.asahi.com/politics/update/0822/TKY201108210408.html

 菅直人首相(党代表)の後継を決める民主党代表選で、前原誠司前外相の立候補論が党内で強まってきた。前原氏は21日、小沢一郎元代表の党員資格停止処分の解除に反対することを明言した。前原氏は22日にも自らのグループ幹部と協議し、最終判断する見通しだ。

 前原氏が立候補に踏み切れば、前原氏との連携に期待していた野田佳彦財務相は苦しい立場に追い込まれ、代表選の構図が一変するのは確実だ。

 前原氏は21日夜、京都市内で記者団に、自らの立候補について「そう遠くない時期に仲間と相談して最終判断する。いまは白紙の状態で様々な人の意見をうかがっている」と語った。小沢氏の党員資格停止処分については「現執行部の判断を尊重すべきだと思う」と述べ、解除に反対した。

 前原氏は今年3月、在日外国人からの政治献金問題で外相を辞任。この問題の影響なども考慮して、いったんは今回は立候補しない考えを周辺に伝え、前原グループのベテラン議員にも慎重論が強かった。だが、グループ内で野田氏への支持が広がらず、前原氏の待望論が噴出。前原氏は周辺に「自分のグループがまとまって野田氏を推すことは難しいのではないか」との見方を伝えた。前原グループ幹部は21日夜、「立候補の可能性はかなり出てきた」と語った。

 前原氏は20日、野田氏と東京都内で会談したが、自らの立候補については明言を避けた。両氏は17日も会談し、復興増税の先送りを求めた前原氏に対し、野田氏は「何が何でもすぐに増税というわけではない」と説明、支援を要請した。

 野田氏のグループ内では「前原氏が立候補した場合、支援に回る」と公言する議員も出始めており、グループ幹部は21日夜、都内で今後の対応を協議した。

 一方、民主党は代表選日程を「27日告示、29日投開票」に固めた。菅首相が辞任条件とする特例公債法案と再生可能エネルギー特別措置法案の26日までの成立を前提にしたもので、22日の役員会でこうした日程を決定する。これに関連して同党の岡田克也幹事長は21日のNHKの番組で「29日には代表選が終わっていないといけない」と述べた。

 また、自民党の谷垣禎一総裁は21日のNHKの番組で、民主党との大連立について「両方が一緒の政権に入るのは例外中の例外だ」と改めて否定的な考えを示した。

●「グループでの支持できない」 前原氏、野田氏に支援断る

2011年8月21日付 MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110821/stt11082121120008-n1.htm


 民主党代表選で、前原誠司前外相が、既に出馬の意向を固めている野田佳彦財務相に対し、前原グループとしてまとまって野田氏を支持するのは困難と伝えていたことが21日、分かった。

 野田氏は17日に都内で前原氏と会談し、代表選での支援を要請した。20日に2人が再会談した際、前原氏は、自身を支持するグループ議員に「前原氏の出馬」を求める声が強いことを説明し、グループとしてまとまって野田氏を支援するのが難しいと説明したという。

(新聞記事転載貼り付け終わり)
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by Hfurumura | 2011-08-23 17:01 | 日本政治

重要なお知らせ

他人のカネで生きているアメリカ人に告ぐ ―リバータリアン政治宣言―

ロン・ポール / 成甲書房



日本再占領 ―「消えた統治能力」と「第三の敗戦」―

中田 安彦 / 成甲書房



2011年7月28日に小沢一郎×カレル・ヴァン・ウォルフレン公開討論会&小沢一郎記者会見を開催されました。録画は以下のアドレスにあります。

http://iwakamiyasumi.com/archives/11365#more-11365

重要な部分を以下に文字起こしします。

公開討論会の1時間13分44秒から

ウォルフレン:もう一つの危機、大災害がやってきます。金融に関する国際的なニュースを見ていれば、そして、現在アメリカ国内で起きていることを見ていれば、何かが終わりに近づいていることがわかります。第二次世界大戦後の国際金融システムの中で私たちは生きてきました。そのシステムが終わりを迎えようとしています。日本にも大きな影響があるでしょう。日本人は純粋な政治的リーダーシップがないままで漂流するようなことになってはなりません。これは何も口先だけのことではないのです。本当に深刻なことが起きるのです。日本人には今の状況よりもより良い未来があるはずです。私が申し上げたかったことはこのことで、この本の中にも書いてあるので、買って読んでいただければと思います。

公開討論会の1時間15分56秒から

小沢:今のウォルフレンさんの指摘されたこと、大変重要なことだと思います。まだ日本人はそれをあまり深刻に受け止めていませんけども、報道でお分かりのように、アメリカでもヨーロッパでも財政金融の危機的な状況が今出て、みんな深刻になっておるところですけれども、これはちょっと話が違うけれども、「ミスター円」と呼ばれていた榊原氏が「すでに世界大不況は始まっている」という
本を書かれておりまして、それをちょっと僕も読んだんですけれども、今日の日本社会のこのような無責任体制の社会の中で、それは政治家だけの問題ではないですよ、あらゆる政治経済、あらゆる分野での総無責任体制の中でですね、経済が本当に大恐慌でも起きた日にはね、全く混乱し、無秩序な体制、社会に陥ってしまうのではないかという風な心配を一方においてしております。ですから、
内では放射能、原発の放射能汚染の問題、そして世界全体を覆っている、この財政金融を中心とした経済の問題、これをやっぱり日本人はもっともっと深刻に捉えて、それの対処の仕方を、あらゆる社会の分野で整えていかなくちゃならないと思います。

●重要なお知らせ

◆『大災害から復活する日本』発刊記念講演会:第2回副島隆彦の“予言者”金融セミナー
・開催日: 2011年7月31日(日曜日)
・会場:よみうりホール(読売会館7階)
〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-11-1
JR有楽町駅・・・国際フォーラム口よりすぐ
有楽町線・有楽町駅・・・D4/D6出口
日比谷線・千代田線日比谷駅・・・A2出口より徒歩3分
丸ノ内線・銀座線銀座駅・・・C9出口より徒歩5分
・開演:11時(開場・受付:10時)
・終了:16時30分(予定)
・受講料:15,000円
・お問い合わせ:ブレイントラスト企画
:03-3292-8401(平日10:00-18:00)
・Eメールアドレス:seminar@seikoshobo.co.jp

ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方

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by Hfurumura | 2011-07-28 23:56 | 宣伝

昨日の続き:岡孝氏が小沢一郎に付けたpolicy entrepreneurshipに絡めて

ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方

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昨日、産経新聞に掲載された小沢一郎代議士の英語の伝記の記事について、私の考えを当ブログに掲載しました。

私は昨日の記事の中で、岡孝氏が小沢一郎代議士に対してpolicy entrepreneurshipという「見出し」をつけたことは大変素晴らしいと書きました。それは、この言葉こそ、英語が理解できる人であれば、「なるほど、小沢一郎という日本の政治家はそういうひとなのだ」ということが理解しやすくなると考えたからです。細かいディテールも重要でしょうが、やはり一言で決めるのは、長年ジャーナリストをしてきた岡氏ならではだなと感心しました。

それをもっと詳しく説明すべきであったと思い、補遺という意味も込めてこれについて書いていきたいと思います。policy entrepreneurshipは、「政策的企業家」と産経新聞の記事を書いた古森義久記者は訳くしていますが、私は「政策的企業家精神」の方がより良いのではないかと思います。それは、昨日も書きましたが、岡氏は恐らくヨゼフ・シュンペーターの提唱した「企業家精神」と絡めて使っているからだと私は考えるからです。

シュンペーターの提唱した企業家精神とは「資源を陳腐化した古いものから新しい生産性の高いものへと移す企業家精神こそ経済の本質」であり、そのために革新(イノベーション innovation)をもたらすということです。小沢一郎代議士のこれまでの政治行動を見ていると、まさに企業家精神の発露であったと言えましょう。

一方で、この企業家精神と対立してしまうのが、官僚制(bureaucracy)です。官僚制の研究者でもあったマックス・ウェーバーは官僚制の特徴について、集権化、公式化、没人格性が挙げられます。この官僚制の特徴は、国家機関や軍隊だけではなく、民間企業は政党にも当てはまります。どんな組織でも、規則やルールにがんじがらめに縛られ、杓子定規な行動を取るようになり、その活力を失っていく過程で、「あそこは昔は元気だったが、今は官僚的になったね」などと言われてしまうのです。(この部分は以下のサイトを参考にしました。http://www.initiaconsulting.co.jp/archives/management/1_05.html)

日本の中央官僚の官僚たちはまさに、ウェーバーの提唱した官僚制の特徴をすべて備えています。そして一番の問題は効率性も活力も失っているのに、革新が全くもたらされていないということなのです。小沢氏はこの官僚制に革新(イノベーション)をもたらそうとする「企業家」でした。それに対して官僚たちが頑なな抵抗したことはもうすでに明らかになっています。

1990年代以降の日本政治は、その中心にいて官僚制に革新をもたらそうとした「企業家」小沢一郎と、アメリカの後ろ盾を得て、革新をさせまいとする官僚たちの戦いであったと言えるでしょう。今回の伝記についての記事を読み、さらにこのように考えました。

バーナード・マドフ事件 アメリカ巨大金融詐欺の全容

アダム・レボー / 成甲書房


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by Hfurumura | 2011-06-16 01:35 | 日本政治

英語で書かれた小沢一郎代議士の伝記を産経新聞の古森記者が取り上げた

ネクスト・ルネサンス 21世紀世界の動かし方

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小沢一郎代議士の英語で書かれた伝記が出版されたということが産経新聞に記事として掲載されました。これは、小沢氏の国際問題顧問をしている岡孝(おか・たかし)氏(日系アメリカ人)がオックスフォード大学に提出した博士論文を基にしているそうです。調べてみると、岡氏は2008年に博士号を取得しているそうです。小沢氏の伝記を書いただけで博士号が授与されるようなことはないでしょう。

ここからは予測ですが、理論的な部分を除いて、実証の部分で書いた小沢氏の個人的な歴史と政治の歴史の部分を本にしたのではないかと思います。政治学では、個人の分析をする研究をファースト・イメージと言います。今回の小沢氏についての岡氏の研究はこれに分類されます。そして中身は、典型的な日本の政治家である小沢氏が、どうして「改革者」としてこれまでの日本政治では提起されなかった政策を提案してきたのかという問題提起をし、それを心理学や社会学、国際関係論的な手法を使って分析した内容ではないかと推察します。

記事の中で古森氏は、政策企業家という言葉を使っています。これは原題では、policy entrepreneurshipとなっています。これは企業家精神とも訳せますが、恐らく、ヨーゼフ・シュンペーターの企業家精神とほぼ同義ではないかと思います。企業家精神によって革新が進められるのですが、大企業になると企業家精神が失われていく、とシュンペーターは述べています。彼の政治人生を見てみると、政界に革新をもたらしながら、いくつもの政党を壊してきたという特徴があると私は考えます。これは彼が革新を求める企業家精神の持ち主であり、政党もある程度の大きさになると大企業のようになり、小沢氏の企業家精神が発揮できなくなり、政党を壊してしまうということになるのだろうと思います。小沢氏は一兵卒でも革新的な政策に向けて動ける、企業家のような人なのです。小沢一郎という政治家を表す言葉として、このpolicy entrepreneurshipを選んだ岡氏は大変な慧眼の持ち主であると思います。

今回の本は、Nissan Institute/Routledge Japanese Studiesのシリーズです。このシリーズはイギリスやオーストラリアの学者たちが多く執筆しているシリーズで、お固い学術書ばかりです。値段もなかなか手が出ないほどに高額です。私は全く買えませんので、図書館で借りだして読んでいました。日本に関する研究であれば出版できるので、歴史、政治、文学などの本が出版されています。オックスフォード大学には、日産自動車が資金を出して設立した日本研究所Nissan
Institute of Japanese Studiesがあります。オックスフォード大学はいくつかのカレッジの集合体であり、研究所は、セント・アントニーズ・カレッジに置かれているそうです。ウェブサイトを見てみると、この研究所は、学際的地域研究学部の一部であると書かれています。ここから推察されることは、アメリカ流の政治学というよりも、イギリス伝統の外国研究、地域研究の一環として日本研究が確立されているということです。研究所のウェブサイトには、修士課程の卒業試験の試験問題が掲載されていたので、私の専門である日本政治について見てみました。なかなか刺激的な試験問題でした。

Nissan Institute of Japanese Studiesのウェブサイト
http://www.nissan.ox.ac.uk

Nissan Institute of Japanese Studiesが設置している現代日本研究修士号授与試験の過去問(日本政治)
http://www.nissan.ox.ac.uk/__data/assets/pdf_file/0003/9975/Japanese_Politics_2008.pdf

日本では総理の座に近づいた有力政治家が自伝や伝記を英語で出版するということはよくありました。しかし、いまはおそらく行われていないでしょう。インターネットの発達で、日本の政治家の情報も外国語で容易に得られる時代になりました。岡氏は今回の本の中で、小沢氏の首相就任の可能性について、言及しています。そこも重要であると考えますが、この本の肝はそこではないと私は考えます。

今回の岡氏の本の出版の肝は、小沢代議士について、policy entrepreneurshipという言葉を使ったことだと私は考えます。岡氏は長年、ジャーナリストとしてクリスチャン・サイエンス・モニター紙、ニューヨーク・タイムズ紙、タイム誌を舞台に活躍してきた人物です。ジャーナリストとして岡氏は、小沢氏に対して最高の見出しを付けたのがこの本であると私は考えています。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「「失望が多く、成功は少なかった」…米英で初の小沢一郎伝記」

2011年6月14日付 MSN産経ニュース

 日系米人ジャーナリストによる初めての英語での小沢一郎民主党元代表の伝記が米英両国でこのほど出版された。同書はいまや刑事被告人にまでなった小沢氏
の政治面での複雑な動きが単なる権力欲からなのか、特定の政策推進を目指すからなのかを問い続け、政策面での動因を強調した。

 同書は「日本の政策企業家と選挙=小沢一郎政治伝記」(ラウトレッジ社)と題され、米英両国で5月に発売された。著者はクリスチャン・サイエンスモニタ
ーなど米大手紙の記者として長年、活躍した日系米人の岡孝氏で、英オックスフォード大学に出した博士論文を基礎としている。岡氏は1990年代から小沢氏
の国際問題顧問をも務め、直接の交流も深い。

 同書は小沢氏の生い立ちから政界入り、田中角栄氏との絆などを追い、小沢氏の政界での動きを「権力欲か、政策追求か」という観点から分析した。特に同氏
の著書「日本改造計画」や小選挙区制度の推進に焦点を合わせ、「集団的コンセンサス志向から個人の意思による政策の競合での選択への移行を求め、米英両国
のような政権交代が可能な二大政党制を実現することを意図した」と指摘した。

 同書は小沢氏の動きの最大要因について、権力欲とする見方をも詳述しながらも、同氏が平成3年10月に首相就任を求められても断った実例などを挙げて、
政策傾斜の見方を優先させている。小沢氏の過去20年ほどの軌跡としては「失望が多く、成功は少なかった」と述べる一方、21年8月の総選挙での民主党大
勝を小沢氏の功績に帰した。

 同書は小沢氏が検察審査会の議決で強制起訴されて、刑事被告人となった経緯を説明しながらも、なお同氏が今後の裁判で無罪を獲得し、今度こそは首相にな
るという可能性も記している。(ワシントン 古森義久)

(新聞記事転載貼り付け終わり)

Policy Entrepreneurship and Elections in Japan: A Political Biogaphy of Ozawa Ichiro (Nissan Institute/Routledge Japanese Studies),Routledge
(2011/4/21)
Takashi Oka is a journalist who received his PhD from St Anthony's College, Oxford in 2008.

Prying Open the Door: Foreign Workers in Japan (Contemporary Issues Paper, No 2),Brookings Inst Pr (1994/11)
Takashi Oka, a non-resident associate of the Carnegie Endowment, draws on forty years of experience as a foreign correspondent for The Christian
Science Monitor, Time magazine, Newsweek Japan, and The New York Times.


岡孝氏のブログ:The Oka Report
http://02dea0c.netsolhost.com/blog1/?page_id=2


“Stability in East Asia”by Takashi Oka, Foreign Affaris, 1984
http://www.foreignaffairs.com/articles/39406/takashi-oka/stability-in-asia

「三つの帝国」の時代――アメリカ・EU・中国のどこが世界を制覇するか

パラグ・カンナ / 講談社


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by Hfurumura | 2011-06-15 02:36 | 日本政治

再び・小沢一郎を城山の西郷隆盛にしてはいけない

先週末、江藤淳著『南州残影』を読んでいました。その書評をウェブサイト「副島隆彦の論文教室」に掲載しました(こちらからどうぞ)。もしお読みいただければ幸いです。私は、このブログで何度も「小沢氏は西郷である」と書きました。そして、2010年6月7日に「小沢一郎を城山の西郷にしてはいけない」(こちらからどうぞ)というタイトルで文章を書き、このブログに掲載しました。

『南州残影』は、もともと雑誌「文學界」平成6年(1994年)10月号から平成10年(1998年)1月号まで10回にわたり連載されたものをまとめた本です。単行本は平成10年(1998年)3月に文藝春秋から刊行されました。一方、「帰りなん、いざ―小沢一郎君に与う」は平成9年(1997年)3月3日の産経新聞に掲載されました。「帰りなん、いざ―小沢一郎君に与う」は、今年、産経新聞から出た『小沢君、水沢に帰りたまえ』という選集に所収されています。時系列として、江藤氏が『南州残影』の後半部を書かれていた時期と「帰りなん、いざ―小沢一郎君に与う」を書いた時期は重なります。そして、江藤氏は、「帰りなん、いざ―小沢一郎君に与う」の中に直接は書いていませんが、小沢を西郷と重ねて見ていた、と私は考えます。江藤氏は、「帰りなん、いざ―小沢一郎君に与う」の中で次のように書いています。

(引用はじめ)

沖縄は、防衛・外交は、財政再建は、憲法改正は?小沢にはとてもついて行けないといって烏合の衆を成していた連中が、自分の頭で考え、自分の言葉で語りはじめれば、永田町は確実に変わる。変わらないかも知れないけれども、小沢一郎が新進党の党首を辞め、議員バッジもはずしてサッサと故郷に帰ってしまえば、新進党はもとより自・社・さも民主党も、皆一様に茫然自失せざるを得ない。

その茫然自失のなかで、人々は悟るに違いない。過去五年間日本の政界を閉ざしていた暗雲の只中に、ポカリと一点の青雲が現れたことを。党首の地位にも議席にも恋々とせず、信念を枉(ま)げず、理想を固く守って故山へ戻る政治家の心情の潔さを。小沢君、君は何もいう必要がない。ただ君の行動によって、その清々しさを示せばよい。

大西郷以来、そういう出処進退を示し得た政治家が何人いただろうか。洋の東西を問わず、クリントンもエリツィンもメージャーも、江沢民も金泳三も、一人の例外なく「続投」に汲々としているだけではないか。(22-23ページ)

(引用終わり)

 江藤氏は小沢氏に出身地である水沢(現・奥州市)に帰るように主張していますが、これは何も小沢氏にそのまま引退せよ、などと言っているものではありません。以下に「帰りなん、いざ―小沢一郎君に与う」から引用します。

(引用はじめ)

水沢で想を練り、思索を深めつつ改稿した『日本改造計画』第二版をひっさげて、捲土重来、国民の輿望(よぼう)をになって議政壇上に復帰する日が、そう遠いものとも思われない。(24ページ)

(引用終わり)

小沢氏が水沢に帰って隠遁することで、国民は小沢氏の価値を再認識する。それによって、小沢氏は再び国民の期待を一身に受けて議会に復帰することになる、と江藤氏は述べています。

こうした「国民の期待を一身に受けて中央に乗り込む。そして国民のための政治を実行していく」という政治家というのは、まさに、アメリカでいうポピュリスト(Populist)の系譜に連なります。アメリカのポピュリストとして有名な政治家と言えば、ヒューイ・ロング(Huey Long)です。ポピュリストという言葉は、大衆迎合に汲々とする政治家という意味で使われますが、それは正しくありません。ポピュリストとは、人々の既存の政治に対する怒りを代表してそれを正そうとして政治の中心に乗り込んでいく、力のある政治家のことです。

江藤氏はポピュリストという言葉を使っていませんが、彼の言葉づかいを見ると、まさにポピュリストのことを述べています。そして、私は小沢一郎は西郷隆盛であると書きましたが、ここでポピュリストでもある、とも言えると結論付けます。

ここで重要だと私が考えるのは、江藤氏が小沢氏に水沢に帰って再び議会に戻って来たらよいと書いていることです。西郷は明治六年の政変で失脚し、鹿児島に隠遁しました。江藤氏は「大西郷以来、そのような清々しい進退を行った政治家はいない」と書いています。しかし、西郷は鹿児島に帰った後、再び、行動を起こします。それが西南戦争です。

西南戦争は西郷が国を守るために、国恩に報いるために、一身を滅して大義を示すことが目的であった、と江藤氏は述べています。ですから最初から新政府を改革しようとか、自分が新政府の長になるなど考えていなかったのです。ですから最初から「斃れる」ことを目的として兵を挙げています。

それでは、江藤氏は小沢氏に西郷のような最期を見ていたと言えるのか。これは分かりません。しかし、「議政壇上に復帰する」と江藤氏は書いていますから、小沢氏がちゃんと東京の永田町にある国会議事堂で議員として活動をすることを念頭に置いて、この「帰りなん、いざ―小沢一郎君に与う」が書かれていると思います。

ですから、江藤氏は「小沢君(慶応義塾の伝統で塾生どうしは君付けで呼ぶらしいです)は西郷のように清々しい進退をせよ。そうすれば人々は君を放っておかない。君を再び国政を担う地位まで復帰させるだろう」ということを述べています。ここには、『南州残影』のキーワードである「全的滅亡」や「亡びへの憧憬」は出てきません。

私は、小沢氏には、大変難しいことかもしれませんが、西郷と勝海舟の両方をやって欲しいと考えます。それはつまり、その理想と実力によって人々の声望を集め、人々に国政の任を任せられるポピュリストとしての役割と、勝海舟のような綿密に企図された行為を行い、政治的人間として生き残り、国家枢要の地位に就くという役割を同時に果たして欲しいと考えます。小沢氏は「情けとしては西郷が好きだが、政治家としては大久保利通を尊敬している」と語ったことがあります。

ですから小沢氏は私が今まで書いてきた様なことはよくご存じであると私は考えます。大義に殉じて「斃れる」ことはカッコいいことですし、小沢氏がそれを行う機会はこれまでもありました。しかし、これまでしぶとく生き抜いてきたところに、小沢氏の「政治的人間」の能力の高さがあります。

今回の民主党代表選は西郷がいわゆる征韓論で敗れた明治六年の政変と同じことで、ここで1回撤退しておいて、捲土重来を期すという作戦が上策であると私は考えます。

再び、小沢一郎を城山の西郷隆盛にしてはいけません。

(終わり)
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by Hfurumura | 2010-09-20 15:59 | 日本政治