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翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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3党合意を実際に読んでみよう

福島瑞穂消費者・少子化担当大臣が昨日、沖縄を訪問し、辺野古への移設反対を改めて表明した中で、「3党合意」に反している、という発言に対して、閣僚たちから批判の声が出ています。下の新聞記事では、岡田克也外務大臣と直嶋正行経済産業大臣の批判が掲載されていますが、鳩山由紀夫総理大臣も批判を行ったということだそうです。

岡田外相、直嶋経産相は表現は違いますが、ともに「普天間とか辺野古とかいう表現は入れずに3党合意はできあがっている」と言っています。

それでは「3党合意」とはどういうものか、実際に読んでみなければ、どちらが正しいことを言っているのか分かりません。それで実際に読んでみました。これも下に貼り付けました。

「3党合意」というのは、正式には「連立政権樹立に当たっての政策合意」というもので、三党が正式に出している文書です。この合意に基づいて、政策を実行していくという約束を紙に書いたもので、法的拘束はありませんが、政党間の信義に基づいた文書です。

この文書には、10個の政策分野について合意した内容が書かれています。今回の問題では、9番目の「自立した外交で、世界に貢献」が当てはまります。そしてその中でも「主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。日米協力の推進によって未来志向の関係を築くことで、より強固な相互の信頼を醸成しつつ、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」が重要であると考えられます。

この部分、および文書全体に「普天間」、「辺野古」という単語は一切出てきません。ですから字面の点から言えば、岡田外相、直嶋経産相の言っていることは「正しい」と言えます。

しかし、上に引用した部分を読むと、「米軍再編や在日米軍基地のあり方について見直しの方向で臨む」と書いてあります。今回の場合、この「見直し」という単語が問題になります。「見直し」という単語は複数の解釈ができます。

たとえば、学校時代、テストの時間、先生が「残り時間が少ないよ。答えを見直してごらん。ケアレスミスをするなよ」という呼びかけを聞くことがありました。この場合、間違っていない答えの場合、「これはこうで正しいから書き直さない」という「正しさ」を確認する作業でもありました。しかし、見直しには、「間違い」の確認もあり、「これはこうで間違っているから書き直さなくちゃ」ということもあります。

今回の場合、鳩山首相がいろいろと「見直し」てみて、「辺野古の周辺(沖合も含む)」に作ることが「正しい」、現行案の「正しさ」を確認したと言うことはできます。しかし、社民党にとっての「見直し」は現行案に「間違い」があるから「見直す」ということでした。

そして、鳩山首相は、「県外、国外移設」という発言をしました。これは現行案とは違うということを言っていました。こうした発言をしていたことは今更隠せません。そうなると、社民党が鳩山首相の「辺野古周辺」と言いだしたことに反発するには当然です。

閣僚たちは、この部分で官僚のような答え方をしてはいけないと思います。しかし、このような木で鼻をくくったような発言を民主党側、閣僚たちがするか、それは、社民党の主張は間違っていないと考えているからです。それでも自分たちのやっていることは間違っていないということを強調したくて、強引な抗弁をしているのです。

官僚とアメリカに絡め取られている閣僚たちが官僚のような答え方をするのは当然なのかもしれません。しかし、ここで大事なことはこれ以上の策動に乗らないことです。策動というのは、連立政権を内部分裂(谷垣自民党総裁いわく「閣分裂」)させようという動きのことです。官僚はおそらく閣内で、情報量に差をつけて、閣僚間の疑心暗鬼や不満を醸成させて、内閣を崩壊に追い込もうとしていると思われます。

ここで彼ら官僚の策動に嵌まってはいけません。この問題では対立があるのは仕方がないので、それ以外ではまとまりが保てるように努力しなければなりません。そして、鳩山首相をはじめ民主党の閣僚たちは、もっと穏やかな、落ち着いた、大人の対応をすべきです。

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

「外相「福島氏の主張は間違い」 3党合意違反との批判に」

2010年5月26日付 朝日新聞電子版

 岡田克也外相は26日午前の衆院外務委員会で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設をめぐり、「(社民党の)福島(瑞穂)党首が言われている『3党合意に反する』というのは明確に間違い」と反論した。平沢勝栄議員(自民)への答弁。

 岡田氏は昨秋の連立政権樹立時の3党協議で、自ら民主党幹事長として福島氏と協議した経緯に触れ、「結局、普天間とか辺野古とかいう表現は入れずに3党合意はできあがっている。福島さんが言っているような普天間の移設先は『日米合意に戻らない』とか『辺野古の近辺にはしない』とか約束したわけではまったくない」と主張。「閣僚の一人としての自覚を持ってやっていただきたい」と重ねて批判した。

 岡田氏はさらに「最終的には閣議で何らかの決定か了解を行うことになるだろう。(福島氏も)ぜひそれに賛成をして頂きたい」と求めた。


「「3党合意を曲解」直嶋経産相、普天間で社民党批判」

2010年5月25日付 MSN産経ニュース

 直嶋正行経済産業相は25日の閣議後会見で、米軍普天間飛行場の移設問題について、「世の中に向かって3党合意違反だと繰り返すのは問題だ」と連立を組む社民党の対応を批判した。

 社民党は、鳩山由紀夫首相が普天間飛行場の移設先を現行案とほぼ同じ名護市辺野古周辺にする方針を打ち出したことへ、「3党合意に反している」として、連立からの離脱も視野に反発を強めている。

 これに対し、直嶋経産相は「3党合意では沖縄の負担軽減に取り組むことを確認しただけ。内容を曲解している」と話し、政府案は3党合意違反にあたらないと強調した。

 さらに、社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は連立与党の一員として事態の収拾に努力すべきだとして、「むしろ火を付けてまわるのはどうかと思う」と、閣僚として対応に問題があると厳しく牽制(けんせい)した。

 一方、県外移設を明言していた鳩山首相の責任問題については、「なんとか沖縄の負担を下げたいという考えでああいう行動をされたのは、ぜひ理解していただきたい」と述べるにとどめた。


(新聞記事転載貼り付け終わり)

(政党文書貼り付けはじめ)

三党連立政権合意書

民主党、社会民主党、国民新党の三党は、第45回衆議院総選挙で国民が
示した政権交代の審判を受け、新しい連立政権を樹立することとし、その発
足に当たり、次の通り合意した。

一 三党連立政権は、政権交代という民意に従い、国民の負託に応えるこ
とを確認する。

二 三党は、連立政権樹立に当たり、別紙の政策合意に至ったことを確認
する。

三 調整が必要な政策は、三党党首クラスによる基本政策閣僚委員会にお
いて議論し、その結果を閣議に諮り、決していくことを確認する。

2009年9月9日

民 主党代表
社会民主党党首
国 民新党代表

2009 年9 月9 日

連立政権樹立に当たっての政策合意

民 主 党
社 会 民 主 党
国 民 新 党

国民は今回の総選挙で、新しい政権を求める歴史的審判を下した。
その選択は、長きにわたり既得権益構造の上に座り、官僚支配を許してきた自民党
政治を根底から転換し、政策を根本から改めることを求めるものである。

民主党、社会民主党、国民新党は連立政権樹立に当たって、2009 年8 月14 日の「衆
議院選挙にあたっての共通政策」を踏まえ、以下の実施に全力を傾注していくことを
確認する。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

小泉内閣が主導した競争至上主義の経済政策をはじめとした相次ぐ自公政権の失
政によって、国民生活、地域経済は疲弊し、雇用不安が増大し、社会保障・教育のセ
ーフティネットはほころびを露呈している。

国民からの負託は、税金のムダづかいを一掃し、国民生活を支援することを通じ、
我が国の経済社会の安定と成長を促す政策の実施にある。

連立政権は、家計に対する支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やし、
消費の拡大につなげる。また中小企業、農業など地域を支える経済基盤を強化し、年
金・医療・介護など社会保障制度や雇用制度を信頼できる、持続可能な制度へと組み
替えていく。さらに地球温暖化対策として、低炭素社会構築のための社会制度の改革、
新産業の育成等を進め、雇用の確保を図る。こうした施策を展開することによって、
日本経済を内需主導の経済へと転換を図り、安定した経済成長を実現し、国民生活の
立て直しを図っていく。



1.速やかなインフルエンザ対策、災害対策、緊急雇用対策

○ 当面する懸案事項であるインフルエンザ対策について、予防、感染拡大防止、
治療について、国民に情報を開示しつつ、強力に推し進める。
○ 各地の豪雨被害、地震被害、また天候不順による被害に対し速やかに対応する。
○ 深刻化する雇用情勢を踏まえ、速やかに緊急雇用対策を検討する。

2.消費税率の据え置き

○ 現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担
当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わ
ない。

3.郵政事業の抜本的見直し

○ 国民生活を確保し、地域社会を活性化すること等を目的に、郵政事業の抜本的
な見直しに取り組む。
「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式売却を凍結する法律を速や
かに成立させる。日本郵政グループ各社のサービスと経営の実態を精査し、「郵
政事業の4 分社化」を見直し、郵便局のサービスを全国あまねく公平にかつ利
用者本位の簡便な方法で利用できる仕組みを再構築する。
郵便局で郵便、貯金、保険の一体的なサービスが受けられるようにする。
株式保有を含む日本郵政グループ各社のあり方を検討し、国民の利便性を高め
る。
○ 上記を踏まえ、郵政事業の抜本見直しの具体策を協議し、郵政改革基本法案を
速やかに作成し、その成立を図る。

4.子育て、仕事と家庭の両立への支援

安心して子どもを産み、育て、さらに仕事と家庭を両立させることができる環境
を整備する。
○ 出産の経済的負担を軽減し、「子ども手当(仮称)」を創設する。保育所の増設
を図り、質の高い保育の確保、待機児童の解消につとめる。学童保育について
も拡充を図る。
○ 「子どもの貧困」解消を図り、2009 年度に廃止された生活保護の母子加算を復
活する。母子家庭と同様に、父子家庭にも児童扶養手当を支給する。
○ 高校教育を実質無償化する。

5.年金・医療・介護など社会保障制度の充実

○ 「社会保障費の自然増を年2,200 億円抑制する」との「経済財政運営の基本方
針」(骨太方針)は廃止する。
○ 「消えた年金」「消された年金」問題の解決に集中的に取り組みつつ、国民が
信頼できる、一元的で公平な年金制度を確立する。「所得比例年金」「最低保障
年金」を組み合わせることで、低年金、無年金問題を解決し、転職にも対応で
きる制度とする。
○ 後期高齢者医療制度は廃止し、医療制度に対する国民の信頼を高め、国民皆保
険を守る。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する。
医療費(GDP比)の先進国(OECD)並みの確保を目指す。
○ 介護労働者の待遇改善で人材を確保し、安心できる介護制度を確立する。
○ 「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を
基本とする総合的な制度をつくる。

6.雇用対策の強化―労働者派遣法の抜本改正―

○ 「日雇い派遣」「スポット派遣」の禁止のみならず、「登録型派遣」は原則禁止
して安定した雇用とする。製造業派遣も原則的に禁止する。違法派遣の場合の
「直接雇用みなし制度」の創設、マージン率の情報公開など、「派遣業法」から
「派遣労働者保護法」にあらためる。
○ 職業訓練期間中に手当を支給する「求職者支援制度」を創設する。
○ 雇用保険の全ての労働者への適用、最低賃金の引き上げを進める。
○ 男・女、正規・非正規間の均等待遇の実現を図る。

7.地域の活性化

○ 国と地方の協議を法制化し、地方の声、現場の声を聞きながら、国と地方の役
割を見直し、地方に権限を大幅に移譲する。
○ 地方が自由に使えるお金を増やし、自治体が地域のニーズに適切に応えられる
ようにする。
○ 生産に要する費用と販売価格との差額を基本とする戸別所得補償制度を販売農
業者に対して実施し、農業を再生させる。
○ 中小企業に対する支援を強化し、大企業による下請けいじめなど不公正な取引
を禁止するための法整備、政府系金融機関による貸付制度や信用保証制度の拡
充を図る。
○ 中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」を成立させ、貸付け
債務の返済期限の延長、貸付けの条件の変更を可能とする。個人の住宅ローン
に関しても、返済期限の延長、貸付け条件の変更を可能とする。

8.地球温暖化対策の推進

○ 温暖化ガス抑制の国際的枠組みに主要排出国の参加を求め、政府の中期目標を
見直し、国際社会で日本の役割を果たす。
○ 低炭素社会構築を国家戦略に組み込み、地球温暖化対策の基本法の速やかな制
定を図る。
○ 国内の地球温暖化対策を推進し、環境技術の研究開発・実用化を進め、既存技
術を含めてその技術の普及を図るための仕組みを創設し、雇用を創出する新産
業として育成を図る。
○ 新エネルギーの開発・普及、省エネルギー推進等に、幅広い国民参加のもとで
積極的に取り組む。

9.自立した外交で、世界に貢献

○ 国際社会におけるわが国の役割を改めて認識し、主体的な国際貢献策を明らか
にしつつ、世界の国々と協調しながら国際貢献を進めていく。個別的には、国
連平和維持活動、災害時における国際協力活動、地球温暖化・生物多様性など
の環境外交、貿易投資の自由化、感染症対策などで主体的役割を果たす。
○ 主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。日米協力の
推進によって未来志向の関係を築くことで、より強固な相互の信頼を醸成しつ
つ、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編
や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。

○ 中国、韓国をはじめ、アジア・太平洋地域の信頼関係と協力体制を確立し、東
アジア共同体(仮称)の構築をめざす。
○ 国際的な協調体制のもと、北朝鮮による核兵器やミサイルの開発をやめさせ、
拉致問題の解決に全力をあげる。
○ 包括的核実験禁止条約の早期発効、兵器用核分裂性物質生産禁止条約の早期実
現に取り組み、核拡散防止条約再検討会議において主導的な役割を果たすなど、
核軍縮・核兵器廃絶の先頭に立つ。
○ テロの温床を除去するために、アフガニスタンの実態を踏まえた支援策を検討
し、「貧困の根絶」と「国家の再建」に主体的役割を果たす。

10.憲法

○ 唯一の被爆国として、日本国憲法の「平和主義」をはじめ「国民主権」「基本的
人権の尊重」の三原則の遵守を確認するとともに、憲法の保障する諸権利の実
現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる。
以上

http://www.dpj.or.jp/news/files/20090909goui.pdf

(政党文書貼り付け終わり)

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by Hfurumura | 2010-05-26 13:47 | 日本政治
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