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翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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こういう小さなことにも注意を払うようにしたいものです


自衛隊がソマリア沖の海賊対策に出動しており、その拠点をアフリカ・ジブチに建設するということだそうです。ジブチはソマリアに隣接し、紅海とアデン湾に面した面積の小さな国です。ソマリア沖には海賊が頻繁に出没し、タンカーなどを襲い、乗組員たちを人質にしているということは日本でも報道されています。そして、世界各国が軍隊を送り込んでいることもよく知られています。

しかし、日本の場合、海上自衛隊が哨戒機P3Cという哨戒機を送り込んでいることはあまり報道されていませんでした。ソマリア沖の海賊対策に海上自衛隊が派遣されていることも知りませんでした。こういう大事なニュースはもっと大々的に報道してもらわねばなりません。自衛隊は海外派遣が可能になっています。自衛隊は、災害救助、戦争は災害の後の復興援助などで大きな貢献をしていることももっと大々的に報道すべきです。しかし、海外派遣する場合には、そのルールをしっかりと守ってもらうことが必要になります。

今回、現在、アメリカ軍の基地に「間借り」をしているが、不便であるということから、拠点建設が進められるということですが、この文には欺瞞があります。まず、海上自衛隊はアメリカ軍の補助的機能を果たすために、アメリカの下請け軍隊として派遣されていること、そして拠点と言う単語は、離発着基地と言い換えるべきです。侵略を進行と、撤退を転進と称することと同じです。おそらく、アメリカ軍は、自分たちが命令して海自の哨戒機を連れてきながら、邪魔になったので、「どっか他に出ていけ」ということになったのではないかと推察します。こうした重要な動きについてはジブチの周辺各国と日本国内で十分なコンセンサスを得るようにしてもらいたいと思います。

小泉政権下、イラクの復興支援の現場の指揮官として佐藤正久氏(現参議院議員)が選ばれ、任務を立派に遂行し、ほとんど支障もなく無事に自衛隊は引き上げてきました。しかし、佐藤氏は、自衛隊の武器使用に関し、近くにいる他の国の軍隊が攻撃されていても、自衛隊は支援することができないことに大変な不満を持ち、もし自分たちを防衛してくれる友軍が攻撃を受けたら、その近くまで行き、自衛隊が攻撃されたことにして武器使用を行うという発言をしていました。

佐藤氏の発言は由々しきもので、彼が参議院議員に選ばれたことは大変奇異なものです。彼は自分の命だけならまだしも、部下の命まで危険にさらしてまで武器を使用しようとしたのです。これはまず軍隊の指揮者として最低の行為です。また、そうしたことはしないようにという首相や防衛大臣の希望を踏みにじるもので、「制服組の暴走」とはまさにこのことです。

相手から攻撃を受けたから報復をしたという体裁を取ることによって日中戦争は始まりました。軍部は暴走し、日本を破滅に追い込みました。佐藤氏の考え方はあの時の日本軍の考え方そのものです。自衛隊の中にそうした考え方が今でも残っているようならば大変危険です。ですから、自衛隊の能力の高さと自制の精神の高さを認めながらも、なおその危険を常に念頭に
置いておかねばなりません。

アメリカの大物ジャーナリストであるデイヴィッド・ハルバースタムの代表作に『ベスト・アンド・ブライティスト』があります。この本は、どうしてアメリカがベトナム戦争の泥沼にはまり込んでいったのかを描いています。アメリカ最高の知性たちがケネディ、ジョンソン両政権に勢ぞろいしながら、ベトナム戦争にはまり込み、敗北したのか。それは知性たちが過剰な自信と傲慢さを最後まで捨てられなかったことと、軍部をコントロールできなかったことです。『ベスト・アンド。ブライティスト』の一節に、「文民が軍人をコントロールするには戦争を起こさないことだ」とあります。

ベトナム戦争も最初はわずか200名の軍事顧問団の派遣から始まりました。大げさかもしれませんが、軍事に関する限り、大げさなくらいに注意を向けておくべきだと考えます。どうも自衛隊の中には戦前回帰の人たちが多いようですから。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「自衛隊の海賊対策、ジブチに拠点建設へ 長期化に備え」

2010年7月17日付 朝日新聞電子版

 16日の閣議で1年延長が決まったソマリア沖・アデン湾での自衛隊の海賊対策の活動に関連し、防衛省は空中からパトロールにあたっている哨戒機用の施設をアフリカ・ジブチの空港に約40億円かけて建設する。海賊行為が後を絶たず、活動の長期化に備えることにした。

 海上自衛隊は昨年6月から哨戒機P3C2機をジブチに派遣。防衛省によると、これまで飛行回数は264回、不審な船などに関する他国への情報提供は約2190回に上った。だが、担当部隊は現在、寝泊まりする隊舎や倉庫などをジブチ国際空港滑走路の南側にある米軍基地で無償で「間借り」。哨戒機の駐機場所との移動が車で20~30分と不便なため、自前の施設を整備することにした。

 計画では、滑走路の北西側12ヘクタールの土地をジブチ政府から賃借し、駐機場や隊舎、格納庫などを整備する。近く着工し、来年春ごろに完成する予定だ。活動に当たる人員も150人から180人規模に増やす。

 各国は海賊取り締まりを強化しているが、海賊行為は2009年には217件発生。今年も7月10日現在で101件とペースは落ちておらず、警戒監視活動の長期化が避けられない見通しだ。

 施設について「海外基地建設では」との指摘もあるが、防衛省は「恒久的とは考えていない。プレハブをちょっと強化したような形」と説明。あくまで「活動拠点」と強調している。(河口健太郎)

(新聞記事転載貼り付け終わり)
by Hfurumura | 2010-07-17 21:46
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