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翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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ウォルト教授のネオコン批判

●ネオコンのもう一つの「成功物語」(Another neocon 'success story')

スティーヴン・M・ウォルト筆
2012年9月5日
フォーリン・ポリシー誌
http://walt.foreignpolicy.com/posts/2012/09/05/another_neocon_success_story

 今日、イランが、イラク国内の空軍基地を使って、シリアのアサド政権に対して物資の供給を再開した、というニュースが飛び込んできた。しかし、このニュースは、私にとって、2つの理由から、それほど驚くに値しないものであった。第一に、シリアはイランにとって重要な同盟国であり、イランはアサドが政権を保つために支援をするのは、驚くべきことではない。第二に、イラクのアル・マリキ政権は、サダム・フセインほどには、反イランという訳ではなく、いくつかの点では、イランの置かれている状況に同情的ですらある。

 こうした状況を見るにつけ、ネオコンの人々はイラクに侵攻し、サダム・フセインを追い落とすことを夢見ていて、彼らがどれほど愚かだったかを、私たちは改めて思い出してしまう。もちろん、リベラル・タカ派も、ネオコン同様、イラク進攻とサダム・フセインの追い落としを夢見ていた。彼らもまた愚かだった。

 誤解されたくないのは、私は、サダム・フセインを肯定的に、懐かしく思い出しているという訳ではない、ということだ。フセインは、悪党であり、独裁者であった。シリアのアサドと同じくらい、その手は血塗られていたと言って良い。そして、私は、彼が権力の座から引きずり降ろされたこと、そして、処刑されたことを悼むことなどしない。しかし、最近の情勢から見て明らかなように、イラク進攻とフセインの追い落としの、マイナスの影響は大変大きなものであり、多くのお金と人命が失われ、アメリカの地政学的に置かれている立場もまずいものとなった。

 効果的な戦略とは、ある行動を起こすことよりも、より考え抜くことを必要とする。そして、行動しないことで起こる最悪のケースがもたらすリスクを想定し、同時に戦争がもたらす利益について最も楽観的な予想をして、それらから導き出される瞬間的な判断を基にして戦略を立ててはいけない。イラクを崩壊させたとき、その結果として、ペルシア湾岸地域の力の均衡は、イランが望む方向に変化するということは明白だった。そして、その当時でも、ペルシア湾岸地域の力の均衡にもたらされる変化が、親米的な方向に進むだろうという予想は全くできなかった。しかし、ネオコンの人々は、そうなると私たちに請け合ったのだ。だから、アメリカは、イラクのサダム・フセインを追い落とし、反イランの政権から、イランの希望に部分的に沿う行動を取る政権に交代させたのだ。このために、アメリカの納税者は膨大なお金を負担したのだ。しかし、それらの負担は無駄になろうとしている。

 この問題は、私たちが経験から多くのことをきちんと学んでいれば、大きくなることはなかった。また、私たちの国を愚かな戦争に巻き込んだ人々が表舞台から退場していれば、問題は大きくなることはなかった。私が以前書いたように、この失敗は、アメリカの外交政策の世界に何か影響を与えたということはない。だから、イラク戦争を計画立案した人々が、ワシントンのシンクタンクでのほほんとしていられるのだ。彼らはフォックス・ニュースやその他のメディアで、外交政策について雄弁に自分の考えを語り、ロムニー陣営で確固とした地位に就いているのだ。もちろん、イラク戦争を支持した民主党側の人々もまた、キャリアに傷がつくということはなかった。2008年、人々は状況を改善できると思い、行動した。しかし、実際には何の改善もなされなかった。それは、失敗をした人々が今でも排除されずに活動し、政策立案にかかわっているからなのだ。

(終わり)
by Hfurumura | 2012-09-19 13:15 | アメリカ政治
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