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翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
by Hfurumura
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中国の新指導部選びが最終局面を迎えました

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



中国の新指導部選びについて、いよいよ最終局面といった記事が出てきましたので、ご紹介します。

==========

●「独占:中国の最高実力者たちが新指導部にふさわしい候補者たちを選定、と情報筋が明かす(Exclusive: China power brokers agree preferred leadership team – sources))

ベンジャミン・カン・リン(Benjamin Kang Lim )、ベン・ブランチャード(Ben Blanchard)筆
ロイター通信(Reuters)北京
2012年10月19日
http://www.reuters.com/article/2012/10/19/us-china-politics-idUSBRE89I0EG20121019

 ロイター発。中国で最も力を持つ3人が一堂に会し、中国の新しい指導部入りにふさわしい候補者たちを選定した、と情報筋が明かした。新しい指導部は、必要な財政改革に取り組むことになるだろうが、政治改革を進めるかは疑問符が付く。

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江沢民(左)と胡錦濤

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習近平

 中国共産党政治局常務委員7名のリストが、過去、現在、未来の中国国家主席たちによって作成された、と中国共産党指導部と関係が深い3名がこのように明かした。中国指導部は10年に1度の交代を来月の中国共産党第18回党大会(Communist Party's 18th congress)において完了する。

 江沢民(Jiang Zemin、こうたくみん)前国家主席、胡錦濤(Hu Jintao、こきんとう)現国家主席、習近平(Xi Jinping、しゅうきんぺい)次期国家主席最有力候補(ほぼ決定)は、次期最高意思決定機関である政治局常務委員入りの候補者たちの人選で合意に達したと複数の情報筋は語っている。この合意は、最近数か月間に起きた政治的争いや混乱のあと、決定がスムーズにいくようにするための道ならしということになるだろう。

 彼らが合意に達した候補者たちのリストについては、今でも反対する人たちはおり、他の共産党の長老たちによって変更されることもある。このリストは、政治局常務委員会が9名から7名に減員されることが反映されている。新しい政治局常務委員会は、習近平と国務院総理に内定している、李克強(Li Keqiang、りこっきょう、57歳)によって率いられることになる。習近平と李克強以外は、政治局常務委員に内定している人物はいない。

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李克強

 政治局常務委員会の人数が減ったことで、習近平(59歳)は権威を確立しやすくなるだろうし、必要な諸改革を推進することになるだろう、と情報筋は語っている。最高実力者たちが作ったリストには、王岐山(Wang Qishan、おうきざん、64歳)国務院副総理も含まれていると情報筋は語っている。王岐山は、財務大臣の職(financial portfolio)にあり、海外投資家のお気に入りである。

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王岐山

 しかし、リストには、中国共産党内で最も改革を志向している、汪洋(Wang Yang、おうよう、57歳)広東省(中国南部にある省)党委書記が含まれていない。汪洋は、言論の自由と草の根の公民権に対する寛容さによって、西側の専門家たちからは中国の政治改革の指針となる人物、競争者であると考えられている。

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汪洋

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劉雲山

 汪洋に代わり、リストには劉雲山(Liu Yunshan、りゅううんさん、65歳)が入っている。劉雲山は、共産党中央宣伝部長をしている。中央宣伝部長として劉は、国内メディアの締め付けと5億人以上のユーザーがいる、ルールが確立されていない中で成長し続けているインターネットのコントロールを目指してきた。

 「胡錦濤は、汪洋を政治局常務委員会から外したいと思っていた。それは、汪洋が改革志向的過ぎるし、常務委員にするにはリスクがあると胡錦濤が考えたからだ」と香港科技大学(Hong Kong University of Science and Technology)の政治学者デイヴィッド・ツヴァイク(David Zweig)は述べている。

 しかし、ツヴァイクは、候補者のリストはバランスが取れているとも述べている。候補者たちは、改革の必要性を認識しているが、経済的改革のスピードを政治的改革にスピードよりも速くする、つまり政治的改革を急がないと考えている、と述べている。ツヴァイクはまた次のように語っている。「このリストに入っている人たちは、変革のために十分に素早く動いてくれると私は確信していますよ」

 このほかの候補者は、党内の派閥のバランスによって決定されたもので、公にされた改革志向によって選ばれたものではない。その他の候補者としては、李源潮(Li Yuanchao、りげんちょう、61歳)中国共産党組織部長、張徳江(Zhang Dejiang、ちょうとくこう、65歳)重慶市(中国南西部の大都市)党委書記(有力な政治局常務委員候補だった薄熙来が解任され、職を引き継いだ)、張高麗(Zhang Gaoli、ちょうこうれい、65歳)天津市党委書記が挙げられる。

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李源潮

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張徳江

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張高麗

 中国の政治家個人の政治改革志向がどのようなものかを判断するのは難しい。現在の段階では、自分のスタンスを公に明らかにすることは危険なことである。しかし、張高麗と王岐山は、もともと金融、財政改革主義者であり、李源潮は、中国共産党組織部を、実力で人材を登用するという形に内部改革した人物である。

 候補者の多くは、江沢民(86歳)、胡錦濤(69歳)と深い関係にある。江沢民は現在でも中国共産党内に大きな影響力を行使している。ある情報筋は匿名を条件に、このように語っている。

ある情報筋は次のように述べている。「胡錦濤、習近平、江沢民が集まって候補者たちを決めた。しかし、共産党内部の長老たちはそれに対して、否決する権利(right of veto)を持っている」

■より速い改革に向けてのプレッシャー(PRESSURE FOR FASTER REFORM)

 候補者たちは、最高実力者たちによって選ばれているので、選考過程での中国共産党内部での争いはほとんどなかったと言える。しかし、それでも、その他の中国共産党内部の長老たちから拒否される可能性も残されている。李鵬(Li Peng、りほう)元国務院総理、元全国人民代表者会議委員長はそうした長老の一人である。また、候補者たちは、政治の裏側で起こる暗闘にも勝ち残らねばならない。スキャンダルや汚職の発覚によって、候補者たちが寸前で突然脱落することはあり得る。

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李鵬

 新しい政治局常務委員会は、2012年11月1日に開催される第7期中国共産党中央委員会によって最終決定される。そして、その1週間後の11月8日から、全国人民代表者大会が開催される。

 経済的平等の推進、国家部門の支配の減退、資本市場の発展、地方出身の労働者たちの生活水準の向上、言論の自由の拡大、中国特有の汚職のごく滅を中国の人々は求める。習率いる新政権は、こうした人々の要求にこたえるために、経済的、政治的改革のペースを上げるように圧力をかけられている。

 退場を控えた胡錦濤国家主席の政権下の10年に対して批判的な人々は、改革のペースを上げることに失敗したので、社会不安が拡大し、一党支配に対する長期的な脅威を与えるようになったと述べている。

 政治局常務委員会の構成は、全体の政策志向の決定に大変重要な用途なる。それは、政治局常務委員会の決定は全員のコンセンサスによってなされるからだ。他の多くの国々のように、行政府における最終決定は最高指導者によってなされるのとは全く異なる。

 コンセンサス形成は、ここ30年間で最大の政治的スキャンダルによって中国共産党が激震に見舞われたことによって、大変に困難なことになっている。その大スキャンダルは、野心的な政治家であった薄熙来(Bo Xilai)の妻がイギリス人の実業家を殺害したことである。薄熙来は、中国の市場を基礎にした改革に対して批判的な左派から支持を受けていた。

 薄熙来の追放は、中国共産党内部の深刻な亀裂を白日の下に晒すことになった。毛沢東(Mao Zedong、もうたくとう)が支配した革命時代を懐かしく思う左派と、市場改革のスピードを上げることを求める人々との間に大きな分裂がある。

 政治局常務委員会内での責任分担は、来年の3月、新常務委員会が正式に政権を担うことになるまで明らかにされない。

 リストに掲載されていないが、候補者として可能性があるのは、広東省党委書記である汪洋と劉延東(Liu Yandong、りゅうえんとう、66歳)である。劉延東は、現在、健康、教育、スポーツ担当の国務委員(state councillor)である。劉延東が政治局常務委員会に入れば、1949年建国以来、初の女性常務委員となる。

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劉延東

 上海市党委書記の兪正声(Yu Zhengsheng、ゆせいせい、67歳)も年齢の問題もあるが、政治局常務委員の候補である。兪正声は共産主義者として立派な家系の出である。彼は、情報部勤務だった兄が1980年代にアメリカに亡命するまでは、中国政界の成長株(rising star)であった。

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兪正声

(テリル・ジョーンズ、スイ・リー・ウィーによる追加取材。マーク・バンデイク、ジョナサン・サッチャー編集)

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


by Hfurumura | 2012-10-20 21:31 | 中国政治
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