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翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
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アメリカを席巻したティーパーティー運動はどうなっているのか:ウォールストリート・ジャーナル紙から

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



ティーパーティー運動は再編へ向けて進んでいる(Tea Party Seeks to Regroup)

ティーパーティー運動は十分に保守的ではないと考える共和党の政治家たちを追い落とそうとしている。

ニール・キング・ジュニア(Neil King Jr.)、ナフタリ・ベンデイヴィッド(Naftali Bendavid)筆
ウォールストリート・ジャーナル紙(Wall Street Journal)
2012年11月22日
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324712504578133473519800756.html

 ティーパーティー運動(tea-party movement)は、今月に行われた大統領選挙、連邦上下両院議員選挙での敗北後、組織の再編成を行おうとしている。いくつかのグループは既に2014年の連邦上下両院議員選挙に目を向けている。彼らは自分たちが推す候補者たちが共和党の候補者となれるように支援し、彼らが十分に保守的でないと考える共和党の政治家たちを排除することを狙っている。

アメリカを席巻したティーパーティー運動はどうなっているのか:ウォールストリート・ジャーナル紙から_c0196137_1453053.png


 根源の選挙で敗北を喫し、2014年の選挙に向けて動き出しているグループがある。彼らは、保守性が足りないと考えられる、サグビー・チャムブリス、リンゼー・グラハム両上院議員(共和党)に対して挑戦者を送り込もうとしている。

ティーパーティー運動の活動家の多くは、異口同音に次のように語っている。「共和党のミット・ロムニー候補が大統領選挙で敗れ、自分たちが支援していた候補者たちが上院議員選挙で敗北したことに大きな衝撃を受けた」と。そして、ティーパーティー運動をこれからどのように進めるかで意見が分かれ、フラフラしている状況になっている。

 ヴァージニア州では、ティーパーティー運動に属する各組織は、ロムニー候補ために活発な選挙運動を展開した。現在では、来年行われる州知事選挙のために組織を引き締め、活動している。ティーパーティー運動に属する組織の多くは、ビル・ボーリング副知事の対抗馬として予備選挙に出ているケン・カキネリ州検事総長を支持するようになっている。

 こうした保守派の各グループは、共和党所属のリンゼー・グラハム(サウスカロライナ州)、ラマー・アレクサンダー(テネシー州)、サグビー・チャムブリス(ジョージア州)の各上院議員に対抗馬を出そうと考えている。こうしたグループの活動家の多くは、これらの上院議員たちには保守性が足りないと見ている。

2010年の中間選挙で、ティーパーティー運動は大きな成功を収めた。しかし、今年の選挙では、バラク・オバマ大統領が選挙人を獲得した州での選挙運動はだいぶしにくくなっていることにティーパーティーに属する各グループは気づいていた。

 ティーパーティー運動で最も発言が注目される一人である、アレン・ウエスト連邦下院議員(フロリダ州)は、再選に失敗した。一方、議会内でティーパーティー会派を結成したミッシェル・バックマン連邦下院議員(ミネソタ州)は、何とか議席を確保することができた。2010年にティーパーティー運動の支援で当選した新人下院議員たちの多くは、今年の選挙で再選を果たした。そして、共和党は下院では過半数を維持できた。

 「ヴァージニア州ティーパーティー愛国者連合」の創設者で、今年の上院議員選挙では落選したハイメ・ラドケは次のように語っている。「今年は難しい年でした。オバマ大統領は地に足の着いた、地道な選挙戦で強みを発揮しましたが、ロムニー候補は情熱を掻き立てるような活動ができませんでした」と。ラドケの創設したヴァージニア州ティーパーティー愛国者連合は、ヴァージニア州全体をまとめる組織で、現在でも規模を拡大しており、60以上の組織が参加している。ラドケは、「選挙では敗北しましたが、私たちの組織はこれまで以上に強力になっていますよ」と語っている。

 ラドケは、2013年のヴァージニア州知事、副知事の選挙を含む、各種の選挙で、ヴァージニア州ティーパーティー愛国者連合は今までよりもより大きな、そして積極的な役割を果たすことになると述べた。

アメリカを席巻したティーパーティー運動はどうなっているのか:ウォールストリート・ジャーナル紙から_c0196137_1455882.png


 しかし、アメリカ全体を見てみると、ティーパーティー運動の活動家たちの中には、今年の選挙の敗北から全く異なる教訓を得た人々もいる。

 ティーパーティー運動にとっての大敗北の1つは、インディアナ州での連邦上院議員選挙での敗北だった。インディアナ州では、リチャード・モードックが、6期にわたって上院議員を務めたリチャード・ルーガーを共和党の予備選挙で追い落とし、共和党の候補者となった。モードックは、ティーパーティー運動の活動家も支援していた。しかし、本選挙では、民主党保守派のジョー・ダナリーに敗れた。モードックは、「レイプという恐ろしい状況で生命が始まった時でも、そえrは、神がそのように思召したからだ」と発言し、その後、選挙戦ではこの発言が取り上げられ、批判されることになった。

 「保守的な連邦上院を当選させるインディアナ州民の会」の創設者で、モードックを支援してきた、ティーパーティー運動の活動家グレッグ・フェティーグは、「私が学んだ教訓は、活動家は、自分たちが支援する選挙活動がきちんと運営されていることを知ることだ、というものです」と語っている。

 サウスカロライナ州では、ティーパーティー運動の活動家たちは、現職のグラハム上院議員への対抗馬を予備選挙に擁立しようと考えている。ティーパーティー運動の活動家たちは、グラハム議員は、オバマ大統領が指名した最高裁判事候補、ソニア・ソトメイヤーとエレナ・ケーガンの承認に賛成票を投じたことに反対し、批判している。

 サウスカロライナ州でティーパーティー愛国者組織の取りまとめをしているジョー・デューガンは、次のように語っている。「グラハム議員は予備選で強力な対抗馬と戦うことになると思いますよ。対抗馬の強さとグラハム議員が集められる政治資金の額の多寡は、これからの彼の活動がどのようなものかにかかっていると言えるでしょう」

 グラハム議員にコメントを求めたが、本記事掲載までに返事はなかった。

 もう一人、ティーパーティー運動のターゲットになっている共和党の政治家は、テネシー州のアレクサンダー上院議員である。ティーパーティー運動の活動家たちは、アレクサンダー議員が中道過ぎると考えている。そして、その具体例として、2011年7月に、ライフラインに関するアメリカ環境保護庁の規制の導入に関し、それに賛成する投票を行ったことを彼らは挙げている。

 テネシー州マーフィーズボロに住むティーパーティー運動の活動家、キャサリン・ハギンズは次のように語っている。「アレクサンダー議員は、民主党に近すぎます。私たちは彼が芯の部分では環境保護主義者であると確信しています。彼はダークサイドに堕ちてしまったのです」

 ティーパーティー運動に属する各グループの幹部たちは、予備選挙に勝てる候補者者探しに奔走している。テネシー州でもアレクサンダー議員に対抗する候補者探しが行われている最中だ。保守派団体フリーダムワークスが主催した昨年9月にオハイオ州で開かれたある集会で、テネシー州のティーパーティー運動の活動家たちのグループは、インディアナ州から参加していたフェティーグに近づき、ベテランの上院議員をどうやったら追い落とせるのか、アドバイスを求めた。

 フェティーグは「あの人たちには選挙の2年前から活動を始めても早すぎることはないですよ、と言っておきました」と述べた。

 アレクサンダー議員は、公式声明の中で、テネシー州の共和党は、ティーパーティー運動を含む、様々な個人や組織の参加を歓迎している、それはこうした人や組織が共和党をより正しい方向に進めてくれるからだと述べている。また、アレクサンダー議員は次のようにも述べている。「私が言いたいことは、私たちはいささか分裂し、混乱しているが、大きくは同じ方向を向いているということです。わが共和党はより大きくなり、成功をおさめ、より保守的になっています。そして、私は、引き続き、共和党の候補者となれるように努力をしています」

 2012年の選挙の敗北分析をする中で、ティーパーティー運動の活動家たちは、ロムニー候補の敗北の責任をロムニー候補自身が負うべきだと率直に述べている。

 ティーパーティー・ネイションの設立者ジャドソン・フィリップスは、「私たちが中身のない選挙戦を行い、少なくとも共和党内部の中道から逸脱してしまう候補者を選んでしまえば、そのしっぺ返しは私たち自身に降りかかってきますよね」と述べた。

ティーパーティー運動への支援、支持は最高潮だった2010年から減少してきている。

 11月の選挙で、5000人以上の有権者を対象に行われた全国規模の世論調査の結果によると、約21%の人がティーパーティー運動を支持し、30%が反対していた。約42%はどちらとも言えないと答えた。

2010年9月、共和党に下院での過半数をもたらした選挙が行われる少し前、ウォールストリート・ジャーナル紙とNBCニュースの共同世論調査が行われた。その結果によると、成人の約27%がティーパーティー運動を支持していた。そして、42%が、ティーパーティー運動はアメリカの政治システムにとって有益な存在であると答え、18%が有害と答え、28%がどちらとも言えないと答えた。

フィラデルフィア郊外に住む、アナスタシア・シュビルスキーは、キッチン・テーブル・ペイトリオッツという組織の共同設立者である。シュビルスキーは、ティーパーティー運動の活動家の中には、選挙結果に打ちひしがれたままの人たちがいると述べている。そして次のように語った。「そのような人たちは、『ああ、神様。この世の終わりです』なんて言っていますけどね。私たちはそんな人たちを落ち着かせなきゃいけないんです」と。

 彼女のグループは、12月20日にペンシルバニア州ドイルズタウンで集会を主催する。この集会の目的は、ティーパーティー運動の活動家たちを再び奮起させることだ。シュビルスキーは、この集会で次のようなメッセージを発信したいとしている。それは、「物事は右に行ったり、左に行ったりするけど、希望を失ってはダメ」というものだ

 ティーパーティー運動の活動家の中には運動自体に幻滅している人たちもいる。サウスカロライナ州コロンビアでティーパーティー組織を設立したアレン・オルソンは、運動の参加者たちを「分裂して」いて、「フワフワ生きている」と形容している。

 オルソンは次のように述べた。「ティーパーティー運動の活動家たちの多くは、オバマ大統領に勝利をもたらした人口動態の実態を否定しています。そして、ティーパーティー運動は、運動の中核をなす使命を超える様々な問題に取り組んでいます。ティーパーティー運動は規律ある財政の達成にだけ取り組むべきです。それ以上は必要ありません。それなのに、移民法の改正や有権者ID法に取り組んでいます。そうした問題は共和党が取り組むべき問題であって、ティーパーティー運動が関わるべき問題ではないと私は思います」

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


by Hfurumura | 2012-11-25 01:48 | アメリカ政治
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