翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
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ネオコンは死なず:ナショナル・インタレスト誌から

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所



マルコ・ルビオとネオコンの復活(Marco Rubio and the Neocon Resurgence)

ジェイコブ・ハイルブラン(Jacob Heilbrunn)筆
ナショナル・インタレスト誌(National Interest)
2013年1月24日
http://nationalinterest.org/blog/jacob-heilbrunn/marco-rubio-the-neocon-resurgence-8016
http://nationalinterest.org/blog/jacob-heilbrunn/marco-rubio-the-neocon-resurgence-8016?page=1

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フロリダ州選出の共和党所属連邦上院議員マルコ・ルビオ(Marco Rubio)は、次の大統領選挙出馬の準備として、小さいが重要な動きを行った。それは、ルビオがジェイミー・M・フライ(Jamie M. Fly)を国家安全保障担当補佐官として雇った。フライは、シンクタンクのフォーリン・ポリシー・イニシアチヴ(Foreign Policy Initiative)の事務局長を務め、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権に参画していた。これはなかなか賢い決定であった。それは、イラク戦争が失敗だったとは認めることを拒否し、ネオコンが支配している共和党向けには賢いということではあるが。ネオコンが、外交政策について議論を行う際の決まりきった定型文を作っている。共和党内部をネオコンが支配している状況では、共和党内で外交政策に関する議論、内輪もめさえも起こすことができないでいる。ネオコンは共和党内部をこれまでよりも完全にコントロールしているようである。

フォーリン・ポリシー・イニシアチヴ(FPI)は2009年にウィリアム・クリストル(William Kristol)によって創設された。その目的は、有望な若手を訓練することだ。この組織は目的を達成したように見える。FPIは、ニューヨークに1か所、ワシントンに2か所のリーダーシップ・プログラムを作った。フライは、手堅い手腕と熱意にあふれたネオコンであり、シリア、アフガニスタン、イスラエルといった幅広い外交政策に関する諸問題で強硬な発言を繰り返している。昨年の秋、フライは『フォーリン・ポリシー』誌で次のように書いている。

「オバマ大統領は、同盟諸国を疎外し、専制国家に対する国家を代表して発言することを失敗している。オバマ大統領はアメリカの国益を脅かす暴政国家に関与し、異議申し立てを無視してきた。イランが核兵器開発能力を手にする日はだんだん近づいている。アメリカと同盟国イスラエルとの間の不協和音は大きくなっている。そして、テロリストによるアメリカ国民や政府関係者たちへの攻撃計画は、イラン政府の指令に基づいて次々と立てられている」

フライがマルコ・ルビオのスタッフに参加したことは、共和党内にネオコンの影響力が残っていることを示している。そして、ウィリアム・クリストルが自分の片腕を共和党内部で地位を得させることに成功したことも示している。

 フライは、ゲイリー・シュミットと共著で、『フォーリン・アフェアーズ』誌に記事を掲載した。この記事の中で、フライは、アメリカがイランを攻撃することを求めている。記事の中から引用する。

「限定的な軍事攻撃が一時的であるが、有効な解決策である。しかし、核兵器開発プログラムを阻止したいとアメリカ政府は考えているのに、実際には反対のことを行うことになる。イラン政府は核兵器開発プログラムを地下に潜らせ、アメリカとアメリカの同盟諸国に脅威を与える能力を保持している。それをアメリカは許しているのだ。アメリカは軍事行動の採用について真剣に考える場合、イランの核開発プログラムにだけ攻撃するだけではなく、イランの現体制を不安定にするべく攻撃することが必要だ。それによって、イランの核開発危機を一気に解決することにつながるのだ」

 残念なことに、空爆を行っても、体制変革(regime change)が起きるという保証はない。どれほど大規模な空爆を行っても、体制変革が起きないこともある。オリバー・ノースはかつてイラン・コントラ事件について述懐した時、攻撃が体制変革につながるとは限らないという考えを「きちんとした考え」と評した。アメリカによる空爆によって、中東地域を混乱に陥るか、イランの現体制を強化するという結果で終わることもある。ルビオは、自分の領分をはっきり区分している。外交問題に関して言うと、敵を作らないようにという意図を持っている。ルビオの決断は他の大統領選挙立候補希望者たちにも影響を与え、彼らがネオコンを自陣営に招くこともあるだろう。そして、大統領選挙の予備選挙と本選挙での焦点となる可能性もある。

『ニューヨーカー』誌にジル・レポーレによる重要な記事が掲載された。その記事によると、冷戦終結後、アメリカの軍事的な立ち位置について再評価はなされてこなかったということだ。レポーレは、ボストン大学のアンドリュー・J・バセヴィッチ(Andrew J. Bacevich)教授の文章を引用している。この部分は単純ではあるが重要である。バセヴィッチはアメリカの軍事中心主義(militarism)に対して批判的な人物として有名である。

「アメリカは地理的に言えば、2つの大洋によって世界から隔絶されているが、同盟諸国に囲まれている。アメリカは地理的に見て、偶然の結果ではあるが、地上で最も堅固に守られている国である。それにもかかわらず、太平洋戦争終結後の約60年間、約30万のアメリカの将兵が海外に駐留してきた。ドイツには5万5000人、日本には3万5000人、イタリアには1万人が駐留している。連邦政府の「国防」予算とは言っているが、国境警備やアメリカ国民警護にはそこまでのお金が投入されてはいない。それどころか、アメリカ軍は、アメリカの外交政策を補強しているのだ。

 これは否定しづらいものだ。オバマ大統領はイラクからアメリカ軍を撤退させ、アフガニスタンからも撤兵させつつある。しかし、アメリカの国外における軍事力と目的についての基本的な議論は、オバマ政権内でも連邦議会でも行われていない。これまでの20年間のことを懐かしむ人は、アメリカは冷戦期に持っていた精神を現在でも保つべきだと考えているようだ。中国とイスラム教徒のテロリストが冷戦期のソ連の代わりになっている。また、冷戦期の主張が現在もなされていることもある。体制変革のような考えを現在でも主張しているのはネオコンである。しかし、レポーレが書いているように、アメリカ国民の中で、そのような暴力を伴う政策に対して違和感を持っている。しかし、アメリカ軍に対しては違和感を持っているということではない。「年若い帰還兵への対処が重要になっている。2011年にピュー・リサーチセンターが行った調査によると、アフガニスタンとイラクからの帰還兵のうち、半数がアフガニスタン戦争は戦う価値のないものだと考えている。約60%はイラク戦争も戦う価値のない戦争だと考えている」アメリカ国民は、イラン、シリア、その他の紛争地域に軍事介入すべきではないと考えているのは疑いようのないところだ。しかし、アメリカ国民のこのよう気持ちは共和党内部では反映されていない。オバマ大統領は、二期目では軍事よりも外交を優先するという姿勢を見せている。これに対して、ネオコンは、オバマ大統領が小心過ぎると非難している。1月22日にPBSのテレビ番組に出演したアメリカ・エンタープライズ研究所のダニエル・プレツカは、オバマ政権を激しい言葉づかいで非難した。プレツカは、アメリカの安全に対する多くの脅威を無視していると主張した。

「私は、全体の流れはトラブルだらけということになっているように思う。ベンガジ事件は、オバマ政権の後退政策を象徴したものである。また、オバマ政権がアルカイーダからの挑戦に対処したくないという姿勢が招いたものだ。オバマ政権がアルカイーダに対して消極的なのは、アルカイーダが北アフリカ、リビア、マリ、アルジェリアだけで活動している訳ではないからだ。アルカイーダは、イエメン、シナイ半島、イラク、南アジア、アフガニスタン、パキスタンでも活動している。アルカイーダに対処するには世界中に出なければならないが、オバマ大統領はそれに対して消極的なのだ」

言い換えるならば、脅威というのはどこにでもあり、全く予想しない場所にすらある。マルコ・ルビオはネオコンをこんなに早い時期から支持することを表明した。しかし、共和党がネオコンに支配され続ける限り、次の選挙でも敗北することになるだろう。

(終わり)

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社


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by Hfurumura | 2013-01-26 18:13 | アメリカ政治
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