翻訳、評論の分野で活動するSNSI研究員の古村治彦のブログ
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最後まで自説を曲げなかったヒラリー:アトランティック誌から

アメリカが作り上げた“素晴らしき"今の世界

ロバート・ケーガン / ビジネス社



ヒラリー・ドクトリン(The Hillary Doctrine)

デイヴィッド・ロード(David Rohde)筆
アトランティック誌(The Atlantic)
2013年1月25日
http://www.theatlantic.com/international/archive/2013/01/the-hillary-doctrine/272511/

 党派の戦いの場である議会の場はやはり一流の人間が集まる場所であった。ランド・ポール(Rand Paul)上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、「可能ならば、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)を首にする」と言い放った。ロン・ジョンソン(Ron Johnson)上院議員(ウィスコンシン州選出、共和党)は、ベンガジ事件に関し、オバマ政権はアメリカ国民を間違った方向に導いたと主張し、ヒラリー・クリントンは怒りをもって反論した。ジョン・マケイン(John McCain)上院議員(アリゾナ州、共和党)は、国務省が職員の安全に関してぞんざいな対応をしていたことに怒りを持ち続けている。マケインの怒りは正しい。

 議員たちは様々な態度を取っている。しかし、一つの疑問が浮かび上がってくる。それは、「北部、西部アフリカを席巻した武装勢力とアメリカは対峙しなければならないが、そこにどんな戦略があるのか?」というものだ。ヒラリーは、マケインとの緊張感あふれるやり取りの中で、次のような悲しくなる発言をした。

 「私たちは一致団結してことに臨まねばなりません」

 アメリカの政治家たちはアメリカの外交官たちの安全に関心を集中させている。これは正しいことだ。一方で、アフリカのイスラム教系のテロリストたちと戦ううえで重要なのは地元の政治家と軍隊だ。アメリカと同盟諸国はイラクとアフガニスタンで警察と軍隊のトレーニングを行ってきた。現在、その成果が試されているところだ。アフリカでもまた試される日が来るだろう。

 フランスがマリに介入して10日後、西アフリカの国であるマリでも私たちアメリカ人にはお馴染みのパターンが出現しつつある。アメリカ人ジャーナリストのピーター・ティンティは、電話インタビューの中で、ディアバリの住民たちがイスラム聖戦主義者たちをディアバリから退散させたフランス軍の空爆の後に「興奮」していた様子を語った。

 「地元の人たちはフランスの空軍能力が凄いことについて話したがっていた。地元の人たちによると、フランスの戦闘機はテロリストのトラック群は攻撃し破壊したが、近隣の住宅には被害を及ぼさないほどだったそうだ。彼らはフランス空軍の正確な攻撃に驚いていた。私が知る限り、公式には非戦闘員から死傷者が出ていないようだ」

 このような成果の後には、えてして人道主義による介入が起きる。外交官たちと海外支援の活動家たちは、介入後、世界の善意と影響力が最高潮に達する最高の瞬間について語る。1995年、NATOはセルビア人勢力に最初の空爆を加えた。この時、ボスニアのイスラム教徒たちは喜んでいた。2001年、アメリカはアフガニスタンに攻撃を加え、タリバンを追い落とした。この時、アフガニスタンの人々も喜びを表明した。2003年、アメリカはイラクに侵攻し、サダム・フセイン大統領を警護する共和国防衛隊を壊滅させた。この時、イラクのシーア派の人々はアメリカを応援した。問題は、このようなことが起きた後に何が起きるのかということだ。

 水曜日に行われた公聴会で、ヒラリー・クリントンは彼女の中にあるジレンマを次のように語った。

 「世界でアメリカ軍の能力と勇敢さに匹敵する軍隊は存在しません。しかし、私たちが直面している問題の多くは、軍事力だけですぐに、完全に解決できるということはありません」

 ティンティは、ジャーナリストになる前、マリ北部で平和部隊(Peace Corps)のヴォランティアをしていた。ティンティはマリ国内の政治状況がアフガニスタンとよく似ていると指摘している。イスラム聖戦主義者たちは国内では人気がないが、政府は弱体化している。マリの地方幹部の多くが国民の信認を失っている。マリ軍と治安維持部隊は機能不全に陥っている。トゥアレグ族やその他の人々は自治権を要求しているが、長年にわたり実現していない。そして、ヨーロッパへコカインを輸出する麻薬取引がこれら全てを悪化させている。

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 ヒラリー・クリントンは、公聴会で、ソマリアとコロンビアがマリにとっての良い具体例になると発言した。クリントンは、「アフリカ連合(African Union)によるソマリア・ミッション(AMISOM)」に対してアメリカは資金援助を行っており、これが徐々にではあるが、アル・ハシャブやその他のイスラム原理主義勢力の駆逐に役立っていると主張した。コロンビアでは、コロンビア政府がコロンビア革命軍と麻薬組織の駆逐に成功しつつある。

 ソマリアでもコロンビアでも後退している部分はあり、努力が完璧な形で実を結んでいるという訳ではない。しかし、国際社会からの資金援助とトレーニングを受けている地域の警察や治安維持部隊は徐々にではあるが、成果を出し始めている。

 クリントンは公聴会で次のように発言している。「私たちがやらねばならないことは、長期にわたり、北部、西部アフリカにとどまり、問題解決に努力しなければならないと認識することです。これは、アメリカが歴史的に無視、もしくは軽視してきた地域に注意を払わねばならないということを意味しているのです」

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 熱を帯びたやり取りの中で、マケインは、ヒラリーとオバマ政権に対して、リビアの軍隊と警察に十分なトレーニングをしてこなかったと批判した。ヒラリー・クリントンは、この批判に対して、オバマ政権は、リビアの治安部隊へのトレーニングに対する予算を求めたが、連邦下院の共和党が請求を拒絶したのだと反論した。

 「リビアの軍隊と警察をしっかりとしたものとするためにリビア政府を手助けすることが最優先事項であり、私たちがそれに本気で取り組もうとするならば、私たちは協力しなければなりません」とヒラリー・クリントンは述べた。

 ヒラリーの述べたことが正しい。また、マケインの批判も正しい。議会での政治的な駆け引きが国務省の邪魔をしたのだ。そして、国務省はベンガジで大きなミスを犯した。私はこれまでクリントンを批判してきた。しかし、ヒラリーは、中東における脅威については正しい認識を持っている。

 ヒラリー・クリントンは中東を席巻している変化に言及し、次のように述べている。「私たちは新しい現実に直面しています。私たちは誰も予想しなかった事態に対応しなければなりません。そして、私たちは新しい現実と共に生きていかねばなりません」

 ヒラリーは、アメリカが海外では「謙虚さ」を示し、国内では、国家安全保障問題を「政争の具」にしてしまうことを止めるように求めた。ヒラリーは、アフリカとアラブの春が一段落した中東地域において、治安維持のための警察力を強化し、民主政治体制を促進するためにアメリカが長期にわたり関与するために、冷戦期のような超党派の合意が必要であると述べた。

 ヒラリーは、ソマリアとコロンビアに言及しながら、次のように述べた。「私たちは賢くならねばなりませんし、過去の教訓から学ぶ必要もあります。私たちは政権が代われば変更されてしまう政策を遂行するのではなく、一つの全く同じ政策を遂行していく必要があります」

 ヒラリーは更に次のように語っている。「私たちは世界で誰も持っていない政治力、経済力、軍事力を持っています。しかし、私たちはこのような力を最も効果的に使う方法を知ろうとせずに、横道にそれてばかりいます」

 「横道にそれている」とは、国家安全保障を危険にさらす党は争いについてのヒラリー・クリントン独自の婉曲表現である。もしアメリカが一つにならなければ、ベンガジ事件のようなことは更に起こることになるだろう。

(終わり)

アメリカ政治の秘密

古村 治彦 / PHP研究所


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by Hfurumura | 2013-02-07 19:48 | アメリカ政治
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